ゴム動力模型飛行機掲示板


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層流・乱流と境界層の剥離 松本@GPF 投稿日: 2023年03月07日 21:16:24 No.230 【Home】 【返信】

境界層の剥離のメカニズムの説明は小池先生の本にも出ていますが説明のスペースは限られています。
YouYubeにわかりやすくて丁寧な説明(実際には工学院大学の金野祥久先生の講義録)を発見したので紹介します。

層流・乱流とはく離


剥離のメカニズム


剥離と圧力抵抗の関係


新刊2冊の紹介 松本@GPF 投稿日: 2023年01月22日 23:03:37 No.177 【Home】 【返信】

2022年11月発行の岡本正人: 紙飛行機の空力データー低レイノルズ数の風洞実験

2022年12月発行の小池勝: フリーフライトF1Bー滞空時間を伸ばす技術と科学
です。
どちらも本の名前が内容を良く現しています。

添付写真は2冊をA4版コピー用紙の上に置いて撮影しました。
大判でどちらも内容のほぼ半分が図表や写真になっており内容が大変豊富です。

著者のご両人の経歴は似ていろところがあって
岡本正人さん:
1955年生まれ、和歌山工業高校教師ー秋田工業高等専門学校教授ー金沢工業大学教授(現職)
小池勝さん:
1952年生まれ、三菱自動車の開発エンジニアー明石工業高等専門学校教授ー大阪工業大学教授ー引退後はF1Bフライヤー
です。

岡本先生は和歌山工業高校時代から現在に至るまで紙飛行機や昆虫に相当する低レイノルズ数の翼の特性を風洞実験で研究しています(レイノルズ数RN=10000前後)。
小池先生の方は三菱自動車時代のF1Bの上昇パターンの研究もありますが風洞試験を使った研究は高専、大学教授時代で対象はF1Bに相当するRN=40000前後。
両方を合わせるとフリーフライト機のほぼ全域の翼特性をカバーしています。

両先生の少年時代からの趣味が研究の原動力になっているようです。

続くページでは小池先生の本の内容を紹介します。
岡本先生の本は別スレッドで。


松本@GPF 投稿日: 2023年01月30日 19:06:10 No.195 【Home】
小池勝: フリーフライトF1B
の目次を添付しました。
前書きに相当する「この本につて」(全6ページ)に小池先生の執筆姿勢が良く分かる部分があるので引用します:
「大阪工業大学を2018年3月に定年退職した後、幸い愛知工業大学で非常勤講師として空気力学の授業を担当することができた。授業のために 「模型航空工学」の概要をまとめて3回ほどの授業で解説したが、十分には伝わらないと感じた。改めて今まで知りえたことや研究成果 を詳細に書いてみようと思った。 書き始めると意外に内 容が盛りだくさんであることに気が付いた。 また書いて いる中で新しい発見もあった。
 類書は存在しない。 従来の模型飛行機の本で学者の書 いたものは、理論が中心で、 技術的な情報が不足している。模型飛行機をやっている人は論文や書籍をあまり書かない。 模型飛行機を学問の対象として研究した人は1942年のドイツのSchmitz ぐらいである。 その内容は今でも有用で、本書でも引用しているが、その後の技術の進歩も大きなものがある。
 そこで情報を系統的に整理して1冊の本にしてみよう と思い立った。 末尾には入門用のライトプレーンも加え た。フリーフライト人口は減少しつつあり絶滅危惧種となっているので、この本を出版すれば競技人口を増やせ るのではないか、という気もしてきた。
 フリーフライト模型飛行機の競技がラジコンや自動操 縦技術が出現した現在でも継続しているのは、新たな技術の出現が続いていることが大きな要因だろう。 その技術を記録するのは私の使命だと感じるようになった。ネットが発達した現在、海外からも技術情報が伝 わり、日進月歩の感がある。 しかし新技術に取り組んでいる模型飛行機屋はその内容を文章にして発表したがらない。それより競技会で勝つことに努力を集中する。私 は新しい技術を開発するのが好きであり、競技会に参加 している現役選手でもあるので、最新の技術内容を文書や図にして記録し、広く伝えたいと思い本書を執筆した。 本書は専門外の人にも理解できるように配慮したが、わ かりやすくするために厳密な説明を省略するのは避けたい。つまり論文としても成立するような内容とした。 そ のため微分方程式や積分も出てくるが、高校レベルの数 学・物理で理解できるだろう。」

執筆の意図が良く分かります。
副題の通り国際級ゴム動力機F1Bの技術と科学の全域がカバーされていて「類書はない」ことになります。
執筆の姿勢は「わかりやすくするためにげんみつな説明を省略するのは避けたい。」です。

小池先生には類書のないこの本の英文出版を考えていただきたいのですが
上記の「この本について」部分引用はGoogleフォトのOCR機能を使ったのですが更に翻訳機能を使って英文にしてみました:
After retiring from Osaka Institute of Technology in March 2018, I was fortunate enough to be able to teach aerodynamics classes as a part-time lecturer at Aichi Institute of Technology. For his class, he summarized the outline of "model aeronautical engineering" and explained it in about three classes, but he felt that it was not sufficiently conveyed. He decided to write in detail what he had learned so far and the results of his research. When he started writing, he found it surprisingly full of content. He also made new discoveries during his time as he wrote. There are no similar documents. The scholar's writings in traditional model airplane books are mostly theoretical and lack technical information, he says. People who do model airplanes don't write many papers or books. Schmitz of Germany in 1942 is the only person who studied model airplanes as an academic subject.  The content is still useful today, and is quoted in this book, but there have been major advances in technology since then. So he decided to organize the information systematically into a book. He also added an introductory light plane at the end. The free flight population is declining and has become an endangered species. The reason why free-flight model airplane competitions continue even today, with the advent of radio-controlled and autopilot technology, is that new technologies continue to emerge.  I came to feel that it was my mission to record the technique. Today, with the development of the Internet, technical information is transmitted from overseas, and there is a sense of rapid progress.  However, model aircraft manufacturers working on new technology do not want to publish their content in writing. Instead, focus your efforts on winning the competition. I like to develop new technology, and I am also an active athlete who participates in competitions, so I wrote this book to record the latest technology in documents and diagrams and to disseminate it widely. This book has been designed to be understandable to non-experts, but he would like to avoid omitting rigorous explanations in order to make it easier to understand. In other words, the content was such that it could be established as a thesis. Therefore, there are differential equations and integrals, which can be understood with high school level mathematics and physics.

この自動翻訳の出来具合で?または間違いは
ー「3回ほどの授業で」が in three classesになっている
ー 数か所 I, my とすべきか所が he,his になっている
ー「模型飛行機屋」が model aircraft manufacturers になっている
の3点だけで後はそのまま使える出来栄えです。専門用語も正確に翻訳されています。


興味深い内容など次ページで続けます。


松本@GPF 投稿日: 2023年03月06日 17:29:37 No.226 【Home】
前回から1か月以上たってしまいましたが
小池勝: フリーフライトF1B
の内容紹介と感想の続きです。

最初は本題から外れますが自動翻訳の続き、岡本先生の本の存在を教えてくれた飛行機仲間の平原さんから教えてもらった翻訳ソフトのdeepL (https://www.deepl.com/translator)で前ページと同じ小池先生の前書き部分を翻訳してみました。結果のWordファイルを添付しました。
Google翻訳の問題点3点の内、最初の2点は解消し
・「模型飛行機屋」は model aircraft manufacturersではなくmodel airplane makersになっている
点だけが残りましたが、これは問題点といえるかどうかも疑問なのでdeepLはほぼ完全な翻訳をしたことになります。
deepLは数回の試行は無料ですが本格利用は有料になります。

37ページ:
「ちなみに、インドアのゴム動力機(F1D)では・・・・・。一方F1Bは文字通り青天井なので、飛ばし方が大きく異なるのである。」
紙飛行機は青天井、ライトプレーンは青天井など真似ができそうです。

42ページ
「ダウンスラストを増やすと頭を下げるように思われるが、逆に頭を上げることもある。バーストやトランジェントではダウンスラスト増のより頭を下げるが、クルーズでは逆に頭を上げるのである。私は最初信じられなかったが、実際のそうなるのを目の当たりにして確信した。なぜそうなるのか?」
この事実、恥ずかしながら私は知りませんでした。
その理由として小池先生は2説を挙げています。
(a) 機体の進行方向説:推進軸が下を向く→主翼の迎角が増加→機体が上を向く
(b) プロペラ後流説:プロペラ後流が主翼の下面にあたる→主翼の迎角が増加→機体が上を向く(クルーズ時にはプロペラ後流は尾翼まで届かない前提)
私はb説に賛成です。a説では主翼のみならず水平尾翼の迎角も増加するはずです。従って機体が上向くとは思えません。
バースト時にはダウンスラストが頭上げ抑制に有効です。その理由はプロペラ後流が水平尾翼の下面にあたり揚力を増すためと思われます。プロペラ後流は主翼の下面にもあたり主翼の揚力も増加させますが、その程度は水平尾翼より小さい―その理由はプロペラ後流は主翼全体ではなく主翼の中心部(全スパンの1/3程度の揚力を増すだけだからです。
これには傍証があります。私のまともなライトプレーンでは重心位置を主翼の33%付近(風圧中心付近)にしています。この構成では重心位置が50%より後ろにある通常のFF機よりも主翼・尾翼間の取り付け角差が大きくなります。その結果通常のライトプレーンなどと同じダウンスラストではバースト時の頭上げが強くなってしまいます。理由は大きい取り付け角差のためプロペラ後流が水平尾翼の上面に当り水平尾翼の頭上げモーメントが発生するためと思われます。従って私のライトプレーンは大きなダウンスラストになっています。
クルーズ時には大きいダウンスラストが頭上げに寄与すると言う小池先生のご指摘は私には朗報です。

49ページにはプロペラのジャイロ効果に関連してプロペラの慣性モーメントの式が出ています:
  ∫r^2dm
この表現はWebを検索しても出てきますが違和感があります。
積分はプロペラの回転軸r=0からプロペラの先端r=Rまで行われるので、半径rの位置の微小慣性モーメントはr^2Δmと表現するよりもr^2xm(r)Δr (m(r)は半径rの位置のプロペラ質量密度)と表現するのが自然、したがって妥当な慣性モーメントの表現は
  ∫r^2xm(r)dr
でしょう。
プロペラの慣性モーメントについては随分前に測定したことがあり、一度紹介したと思います:
http://www.ll.em-net.ne.jp/~m-m/copter/propData/15cmGreenPropMI.htm
http://www.ll.em-net.ne.jp/~m-m/copter/weightAdded.htm


ダウンロードdeepL翻訳 ( .docx / 5.6KB )
松本@GPF 投稿日: 2023年03月06日 17:32:13 No.227 【Home】
引き続き小池:フリーフライトF1B
第7章 主翼の空気力学と第8章 乱流装置と境界層は模型飛行機領域の翼の空力データの宝庫です。その中の多くは小池先生の実際の風洞試験の結果にです。
134ページから始まる36枚の写真は煙風洞でみた境界層の剥離の様子。丁寧の見るとどの位置で境界層が剥離しているかがわかります。

平成20年度航空宇宙空力班シンポジウム、小池勝・石井満:ハンドランチグライダーの空力特性なる寄書を随分前に小池先生から送ってい頂きました(添付写真)。
改めて内容をめくって見るとほぼ上記と同様の解析がハンドグライダー翼について行われています。風洞試験はRe=15,000から100,000までとより広範です。
火星探査などにも役立つデータだと聞いた記憶があります。


松本@GPF 投稿日: 2023年03月06日 18:48:01 No.228 【Home】
第9章 プロペラの空気力学は全6ページの短い内容です。
理由は小池勝、流体機械工学、2009年、コロナ社に詳しく解説してあるためでしょう(表紙写真添付)。
私もこの流体機械工学の詳しい解説に従ってプロペラの特性計算のExcelファイルを作ったことがあります:https://sites.google.com/site/gpfmodel/Home/fuku--gomu-douryoku-mokei-hikouki--websaito--keijiban-fairu
のプロペラ設計・評価実習版.xls
です。
3枚のワークシートで
・最適ブレード形状の計算(プロペラトルクを与えて)
・最適ブレード形状の計算(プロペラ推力を与えて)
・プロペラの性能評価
が可能です。

第11章 モーターランのシミュレーション の末尾に
「1980年代にポケットコンピュータでプロペラの空力特性を数値計算したときは1ケース10時間以上かかった。PC98を使って15分で終わった時は感動したものである。現在はノートパソコンで1秒以下である(計算の内容はもっと複雑化しているのに)。」
とありますが、手元にあるB5版全14ページの
KFC通信1986-6月特報
 F1Bにおける理想的上昇パターンのコンピュータによる計算 小池勝
(表紙のコピーを添付)
(KFCは京都フリーフライトクラブ)
(この研究報告、小池先生から頂いたのか大村和敏さんから頂いたのか記憶があいまいで申し訳ありません。)
内容は翼、機体、プロペラの空力特性の解説とそれに基づく上昇パターンの計算と評価です。100本に近いカーブか記載されていますからPC98で1ケース15分としても膨大な時間がかかったと思われます。
まとめの中の有益な結論は「主翼、プロペラともに失速しない範囲でできるだけ上を向けると上昇効率が良いことがわかった。」


小池勝 投稿日: 2023年03月07日 16:48:39 No.229
松本さん「書評」をありがとうございます。すごくうれしいです。
「ダウンスラストを増やすと頭を上げることがある」件についてコメントします。
全ての機体がそうなるわけではありません。私の機体の中にもダウンを増やすと頭を下げる機体も、上げる機体もあります。ウクライナのスタファンさん(世界選手権で4回優勝)は、アップスラストを付けています。私は、本に仮説を書きましたが、まだよくわかりません。本には2つの仮説を書きましたが、逆に頭下げになると考えることもできて、この方が素直な考えです。ですから特定の機体で頭を上げるか下げるかは、複数のメカニズムを定量的に見積もって、大きさを比較する必要があります。しかし定量的に見積もるにはデータが足りません。データが増えても難しいです。


ゴム動力機調整の主翼ねじり上げの効果について 滝 敏美 投稿日: 2023年02月22日 14:46:55 No.221 【返信】

右旋回上昇させるときに,「右主翼をねじり上げると突っ込まなくなる」という記述を見たことがあります.主翼をねじるというのは,エルロンを操舵するということと同じです.

ゴム動力機の3次元運動解析で,主翼ねじり上げの意味について検討してみました.
解析結果をまとめると次のようになります.

■ 主翼をねじるのは,サイドスラストが過大であるのを打ち消す効果がある.
■ 右主翼をねじり上げる必要があるのは,右サイドスラストが大きいためである.
■ 適度なサイドスラストにすれば主翼のねじり上げは必要ない.
■ サイドスラストを固定しておいて,エルロンだけで動力飛行の調整をすることができる.
■ バースト領域における不安定な飛行を主翼のねじりで抑えることはできなかった.
⇒ フリーフライト模型飛行機の場合,上反角効果がじゅうぶん大きいので,ラダー操舵だけ,またはエルロン操舵だけできれいに旋回できる.⇒ 主翼をねじるのは,ラダーを操舵することと同じ効果がある.
⇒ 以前のスレッドで示したように,ゴム動力機の動力飛行の調整は,サイドスラストを固定しておいて,ラダーで調整すればよいということと整合している.

以上の解析結果は実際の飛行と整合しているでしょうか?
主翼のねじりを実際につかっておられる方の経験,ご意見をお聞かせください.
あくまで解析結果なので,どこま正しいのかわかりません.経験者なら当たり前のことでも初心者のわたしではわからないことばかりですので,お教えください.
松本@GPF 投稿日: 2023年02月26日 13:49:19 No.222 【Home】
解析結果は実際と飛行とあっていると思います。
・バースト領域における不安定な飛行はダウンスラストかサイドスラストで解決できます。
・ラダーは旋回調整にも使われるので、スラスト、ラダー、スタブチルト(stab. tilt)を上昇調整と滑空調整にうまく役割分担させる必要があります。
スタブチルトが動力飛行時には効果を発揮しないと言うおもしろい事実もあります←滝さんの解明を期待しています。
・主翼のねじり上げは翼端失速を促進するので使用には注意が必要です。
滝 敏美 投稿日: 2023年02月26日 20:09:48 No.224
松本様

コメントをありがとうございます.
スタブチルトの検討もやってみます.
ダウンスラストの効果についてはおもしろい解析結果が出ていますが,自分で飛行試験で確かめてから報告します.


Free Flight Model Planes in Japan and France 1934 松本@GPF 投稿日: 2023年02月26日 13:54:51 No.223 【Home】 【返信】

1934年(昭和9年)の日本とフランスの模型飛行機の動画です:
https://www.youtube.com/watch?v=8dVvNOF833o


木村秀政著:模型飛行機讀本のスラスト記述 松本@GPF 投稿日: 2023年02月19日 22:41:29 No.219 【Home】 【返信】

滝さんの質問への回答、スレッドを起こしました。

表紙・奥付、目次、スラスト記述部分を添付します。
昭和18年(1943年)発行、木村先生の東京帝大助教授・航空研究所所員時代の著作です。
誰かからもらった古本で中をまともに見たことはなかったのですが、この機会に10数分さっと中身をみました。
目次でもわかりますが、模型飛行機の作り方や飛ばし方よりも理論面をわかりやすく網羅的に取り上げた良書との印象をうけました。
索引がちゃんと付いているのも感心しました。日本の本はこれをさぼっているのがほとんどです。
実は索引はないと思って本の最初から最後さっと見ても該当部分を発見できず、最後の索引で推力線の記述が2か所にあるのを発見した次第です。
スラストラインの代わりに推力線をつかっていますが、戦時中にも関わらずそれ以外の英語由来の航空用語はちゃんとカタカナ表記で使われています:プロペラ、NACA、カンバー、ジャイロ、ダッチロール、ゴム、トルク、モーメント、ピッチ、ブロック、ミクロフィルム。


ダウンロード木村本目次 ( .pdf / 2.8MB )
ダウンロード木村本スラスト ( .pdf / 3.2MB )
滝 敏美 投稿日: 2023年02月20日 14:08:59 No.220
松本様
貴重な情報の提供ありがとうございます.
やはりスラストラインに関する記述があったのですね.
わたしの提案しているスラストラインの調節法でよいことが確認できました.

目次を見ると,わたしが知りたいことがたくさん載っているようです.

模型飛行機の本でありながら,実機を解説する本と同じ感覚で書いておられることがわかります.1943年の戦時中にこのような本が出版されているのは驚きです.
ZaicのModel Glider Designが1944年出版ですから,ほぼ同時期です.航空に関して米国と同等の技術力があったことを示していると思います.


動力ゴムの断面積の決め方について 滝 敏美 投稿日: 2023年02月16日 08:29:37 No.208 【返信】

動力ゴムの断面積の決め方について検討した結果をお見せします.

ゴム動力模型飛行機が水平飛行をするために必要なゴムのトルクは,機体の諸元(全備重量,主翼面積,揚力係数,抗力係数),プロペラの仕様で決まります.プロペラの性能曲線の例を図に示します.プロペラの性能曲線と機体諸元のデータがあれば,この水平飛行をするために必要なトルクを計算することができます.

一方,実際に機体に搭載しているゴムの断面積により,使用できるゴムのトルクがわかります.
ゴムのトルク曲線の例を図に示します.ゴムのトルク曲線は巻き戻りの最初は急激にトルクが低下し,その後ほぼ一定でゆるやかに低下していていきます.この中間領域のトルクをここでは「平均トルク」と呼ぶことにします.平均トルクとゴムの断面積の関係はゴムのトルクを計測すると求めることができます.
わたしがFAI TAN Super Sportゴムで計測した例を図に示します.

水平飛行に必要なトルクと搭載しているゴムの平均トルクには関係があると考えられます.そこで,インターネットでゴム動力飛行機(野外用)のデータを調べてみました.そのデータを使って水平飛行をするために必要なトルクと平均トルクの関係を計算しました(かなり仮定を入れています).結果を表とグラフで示しました.

このグラフでわかることは以下のとおりです.
■ 水平飛行に必要なトルクと搭載しているゴムの平均トルクには明らかな相関があります.スケール機のデータが下限値を示しています.ゆるい上昇の飛行パターンと考えられます.
■ ほとんどのライトプレーン(ここでは1本棒胴体のゴム露出タイプの機体をライトプレーンとしました)は水平飛行に必要なトルクの約3倍の平均トルクのゴムを使っています.かなりの急上昇の飛行パターンと考えられます.
■ P30はライトプレーンより低めのトルクを使っています.

このように,このグラフを使うと機体をかなり明確に分類できますし,このグラフを設計に使うことができます.

この結果について,コメントをいただければありがたいです.
機体のデータがもっとあれば,このグラフの妥当性を検討できると思います.
データを送っていただけるとありがたいです.


水平飛行に必要なトルクの計算方法と解析ツールについては,レポートを作成しましたので,欲しい方にはお送りします.


滝 敏美 投稿日: 2023年02月16日 08:30:37 No.209
結果の表と図を示します.

松本@GPF 投稿日: 2023年02月18日 16:47:50 No.211 【Home】
最初のグラフ: 変数とパラメータの意味の説明、およびこのグラフと主題との関係の説明をお願いします。
2番目のグラフ: トルク急減部分はバースト領域、平均トルクの部分はクルーズ領域と呼ばれています。移行部分はニー(knee 膝)と呼ばれニーが高ければ良いゴム、ニーが低ければ悪いゴムとされています。実際これはエネルギーの大小をよく反映していると思います。滝さんのトルクカーブの近似式のパラメータとしてニーの高低が入っていれば有用性が増すと思いまず。
測定カーブの凸凹、特に巻き戻しでトルクが増えるのは本来あり得ない事ですが、測定法がらみで何か心当たりはありますか?
3番目のグラフ: トルクがゴム断面積の1.5乗に比例する理由、滝さんの解析能力で解明して定性的な説明をぜひお願いします。ゴム束の最大巻き数が長さに比例して断面積の平方根に反比例すると言われているのとも関連がありそうです。
4番目のグラフ: スケール機のデータを沢山収録していただいて興味深い。スケール機では上昇気流をキャッチしない限り、滑空時間はあまり期待出来ないのでモーターランを長くしている結果がグラフに出ていると思います。近似曲線の右側が直線より下がっているのは、機体の大型化に伴い機体性能とプロペラ性能が上がり、より弱いゴムでも飛行可能になっているからでえしょう。
最後の表: 貴重なデータですが表が大きすぎで文字が相当ぼけています。多分左右に2分割して再投稿して頂ければと思いまず。

送って欲しいデータは項目を明示した方がわかりやすいと思います。
レポートについては滝さんのサイトで公開してはいかがですか。掲示板投稿時にもサイトURLを入れていただくと助かります。
滝 敏美 投稿日: 2023年02月18日 18:34:19 No.212
松本様
コメントをありがとうございます.

レポートをわたしのホームページで公開しますので,しばらくお待ちください.

1番目の図はプロペラの性能曲線で,横軸Jは前進係数,縦軸CTは推力係数,CQはトルク係数です.プロペラの性能計算を説明したレポートもわたしのホームページで公開します.

2番目の図のトルクの計測値が上下することについてはわたしも気になっていますが,理由はよくわかりません.プロペラシャフトの摩擦が影響しているのではないかと思っていますが.
トルクの測り方は,プロペラの先端を電子秤の上に当てて測っています.値が安定せず,読み取りに苦労しています.ゴムのトルクの実測値のデータを見たことがありませんが,みなさんはどうやって測っておられるのでしょうか?
トルクメーターの作り方がインターネットに載っていますが,これで測ったデータを見たいです.

3番目の断面積とトルクの1.5乗の関係は解析方法が無いと思います.昔のGrantの本のゴムのトルク曲線で調べてみましたが,大体1.5乗になっていました.

表を2分割して載せます.これは読めるでしょうか?
pdfファイルを添付することが可能ですか?


滝 敏美 投稿日: 2023年02月18日 18:57:13 No.213
送ってほしい機体のデータを示します.野外用機です.
(追加:ダウンスラスト角のデータもあればお願いします.)

機体の図面はOuterzoneにたくさん載っているのですが,バルサ+紙貼りで完成重量が一定しないためか重量のデータがほとんど載っていないので,データになりません.
よろしくお願いします.


機体の名称(あれば)
図面(あれば)
図面がなければ真上から写した機体の写真
機体の種類:スケール機,ライトープレーン,被覆胴体,対応規定等
主翼幅
主翼面積
機体重量(ゴム無し)
ゴムのデータ
 品名:FAI TAN Super Sportが望ましい
 幅
 条数
 重量
 常用巻き数
 手巻き/ワインダー巻き
プロペラデータ
 市販品(品名)/自作の別
 直径
 ピッチ比
ダウンスラスト角度(あれば):プロペラ中心と機体重心を結ぶ線を基準とする(添付の写真のように,プロペラの中心をつまんで持ち上げ,プロペラシャフトと鉛直方向の角度でわかります)
その他:主翼翼型,主材料(バルサ+紙貼り,スチレンペーパー等),機体の特徴(急上昇をねらったとか)


松本@GPF 投稿日: 2023年02月19日 17:03:22 No.214 【Home】
表は解読可能になりました。ありがとうございます。

ファイルの添付は可能です。やり方は画像の場合と同じです。

機体データについては写真も重要です。特に翼面積は計算が面倒なので手持ちデータは無い可能性大です。翼の真上からの写真があると推定が容易です。
なお本件については前のページの編集をお勧めします。画面の一番下でページ番号とパスワードを入力すれば可能です。ひょっとして最初の投稿と同じ端末からの場合はパスワードは不要かもしれません。

トルク測定にはトルクメーターの自作をお勧めします。測定値の変動は抑えられるとおもいます。
松本@GPF 投稿日: 2023年02月19日 17:23:40 No.215 【Home】
私の自作トルクメーターの写真です。
用途は最大トルクの確認なので目盛りを読むだけで実際のトルク値をみているわけではありません。
構造はいたって簡単、プラスチックなどのパイプに目盛り板を貼り付け、両端をフック状にしたピアノ線を通します。ピアノ線の片側をパイプの端に接着し、目盛り板の上面になるいちでピアノ線に目盛り線を接着するだけです。
目盛り板はバルサシートに分度器のコピーを貼り付けています。
目盛り線を仮延長して分銅を吊るせば正確なトルク値の校正が可能でしょう。


松本@GPF 投稿日: 2023年02月19日 18:51:04 No.216 【Home】
トルク値がゴムの断面積の1.5乗に比例する件、私の能力で解明は無理ですが最大巻き数との関係は分かりました。

図で一定長のゴム束がありその最大巻き数はR、その時の最大トルクはTとします(グラフの黒線)。
次にゴム束の長さはそのままで断面積をN倍にします。
新しいトルクカーブは最大巻き数の減を反映して一定比率だけ左に縮小、更にエネルギーがN倍になるのを反映して
?倍の比率だけ上に伸びます。
言われている様に最大巻き数はゴムの断面積の平方根に比例する
としたら新しい最大巻数はR/ (N^0.5)になります。
そのカーブが赤線です。
エネルギーがN倍になるのを反映して赤線の下の面積は黒線の下の面積のN倍になります。この条件を式にすると:
RxTxN=(R/(N^0.5))x(Tx?)
これを変形して
?= (RxTxN)/((R/(N^0.5))xT)=Nx(N^0.5)=N^1.5
つまり赤線の最大トルクは黒線の最大トルクの「Nの1.5乗倍」となります。Nは断面積に比例しているので最大トルクは断面積の1.5乗に比例します。
更に赤のカーブは黒のカーブをNの1.5乗倍上に拡張しているのでゴムの全域でトルクは断面積の1.5乗に比例します。


滝 敏美 投稿日: 2023年02月19日 20:31:39 No.217
(1)動力ゴムの断面積の決め方に関するレポートを含め,ゴム動力飛行機に関係するレポートをわたしのホームページで公開しました.

http://takitoshimi.starfree.jp/

から日本語のページに移動すれば見ることができます.

(2)輪ゴムを動力にした機体の説明と調整方法についても公開しましたので,ご覧ください.
調整方法について,知人から「木村秀政先生の古い本に,スラストラインは重心位置の上下位置と関係していると書いてあったような気がする」と聞きましたが,木村先生の本の内容をご存じの方がおられたら教えていただけませんか?

(3)1.5乗のに関する松本様の説明について
簡明な理屈ですね.ただ,断面積がN倍になると,エネルギーがN倍になるのが自明のことなのか少し疑問に思います.


小金井公園 梅だより 合田@小金井公園 投稿日: 2023年02月17日 14:50:45 No.210 【返信】

小金井公園の梅も咲いてきました。
まだまだ寒いのですが、フライヤーの皆様
ゴム動力、モータ、紙・バルサグライダー
等々楽しんでおられます。




高速時の頭上げのメカニズム 松本@GPF 投稿日: 2023年02月10日 21:55:39 No.207 【Home】 【返信】

ゴム動力模型飛行機Webサイト http://www.ll.em-net.ne.jp/~m-m/ に標記記事を追加しました。
2006年に作成した投稿忘れの記事を発見したものです。

紙飛行機の二宮康明さんの実機操縦の経験談も入っています。


輪ゴムを動力に使うには 滝 敏美 投稿日: 2023年01月30日 19:11:59 No.196 【返信】

檀上様のコメントに,
「輪ゴムの場合、使い方として難しいのはその巻き方です。伸ばして巻き込むと確かに巻き数は増えるのですが、トルクがすっからかんになります。実際に飛ばしてみると、ワインダーでしっかり巻くと高度が取れず、タイムが下がってしまうこともあります。」
とありましたので,輪ゴムでプロペラを回して観察してみました.

■ 観察結果
(1)伸ばしてワインダーでしっかり巻いて,プロペラを回したときの様子
ゴムが大きく振れ回る(振動する).
(2)伸ばしてワインダーでしっかり巻いたときのゴムの状態
ゴムのこぶが一様ではなく,太さが場所によってかなり異なる.

(1)の原因は(2)と考えられます.FAI Super Sportゴムでは巻いたときの太さが一様です.
(2)の原因は,輪ゴムをつないでいるので,結び目があってループの太さが一様でないためであると考えられます.

■ 飛行時にトルクが出ない理由
トルク測定試験結果では,静的なトルク(巻き戻し時)を測定しており,その静的なトルクは特に低いわけではない.
しかし,ゴムが振れ回ることによって,その慣性力でプロペラ軸のトルクが低下する.要するに,ゴムの振動によってエネルギー損失が生じて,プロペラに伝わるエネルギーが減少している.

■ 対策
ゴムを巻いたときにできるこぶを一様にして,ゴムの振れ回りを小さくする.
ゴムの巻き戻る速度(プロペラの回転速度)を小さくして,振れ回るエネルギーを小さくする.
今後,具体的にどうしたらよいかを考えようと思います.

わざわざ動力に輪ゴムを使う必要はないかもしれませんが,もう少し追及してみます.
滝 敏美 投稿日: 2023年02月06日 15:41:53 No.203
輪ゴムを動力ゴムとして使う場合に問題となる振れ回り防止案を考案しました.

①振れ回り振幅を抑えるガイドを胴体につけました.
②輪ゴムに結び目を作らないでつなぐようにしました.
③手巻きとします.

翼幅400mmのヘルキャットのプロフィル機で試しています.振れは小さくなりました.
輪ゴムですので,モーターランが短いのはしかたがありませんが,一応飛ぶことがわかりました.


松本@GPF 投稿日: 2023年02月06日 22:18:24 No.204 【Home】
結び目なしでつなぐ方法、写真で理解できました。
普通の動力ゴムでも長さを少し伸ばしたい時など使えそうです。

写真では8条、ほかに可能なのは4条、12条など4の倍数。刻みが大きいので使いにくい場合がありそうです。
滝 敏美 投稿日: 2023年02月07日 13:13:45 No.205
写真に示す別の機体に輪ゴムをつけて飛ばしてみました.
この機体ではガイドが無くてもゴムの振動はほとんど出ず,よく上昇しました.これなら使えそうです.
プロペラが自作品で約3.5gあり,ヘルキャットに使っている140mmのプラスチックのプロペラの重量の倍くらいあるのが影響しているようです.
ヘルキャットのプロペラブレードの先端に板鉛をつけて回してみたら,ゴムの振動が減少しました.
ゴムの振動は研究するとおもしろそうです.

松本様のコメント「刻みが大きいので使いにくそう」については,そのとおりです.
機体に合わせて,プロペラと動力ゴムを選定するのではなく,動力ゴムに合わせて,機体とプロペラを設計するということになりますね.人力飛行機みたいになります.
それはそれでおもしろい課題になるのでは?


松本@GPF 投稿日: 2023年02月07日 20:01:48 No.206 【Home】
プロペラの重量の影響は正確にはプロペラの慣性モーメントの影響だと思います。
私は過去に安定板式ヘリコプターでプロペラの慣性モーメント増で問題を解決した経験があります:
http://www.ll.em-net.ne.jp/~m-m/copter/copter.htm
http://www.ll.em-net.ne.jp/~m-m/copter/weightAdded.htm


豪華賞品の寒中杯は盛会でした 松本@GPF 投稿日: 2023年02月05日 15:48:06 No.201 【Home】 【返信】

YSF代々木スカイフレンズ 寒中杯ワンメーク大会
■時刻:AM 08時 30分
■主催:代々木スカイフレンズ
■場所:武蔵野中央公園(グリーンパーク)
■参加費:無料
■種目:スカイキッズ号
2月5日日曜日 寒中杯ワンメーク大会
武蔵野中央公園(グリーンパーク)8:30受付開始。
「スカイキッズ号」限定の競技会です。
参加費は無料。
機体のない方はキットを500円で準備しています。
MAX制限なし、ゴムの制限なし。
大人げなく思い切りさよなら覚悟で飛ばしましょう。
豪華賞品・・を準備して皆さんの参加をお待ちしています。
賞品の提供も大歓迎です。
———————————————————————————————-
以上はランチャーズサイト掲載の行事予定です。

2020年2月前回の寒中杯以来、グリーンパークフライヤーズ、YSF共に武蔵野中央公園での大会を休止していたので今回は久々のゴム動力飛行機大会でした。
今日は晴天、殆ど無風の絶好の飛行機日和で参加者も主催者予想を上回る約20名。

全長36cm全幅35cmのスカイキッズ号は非常に素直な機体で同封の接着剤を使って組み立て後、ほとんどの機体がキレイに飛んでいました。
成績は首位はYSF会長和田さんの88秒、2位58秒、3位56秒でした。

賞品は事前アナウンス通り主催者準備の豪華賞品に加えて寄付多数で上位成績者は2巡目まで賞品を頂けました。大感謝です。
因みに首位の和田さんは賞品辞退でした。
添付写真の赤矢印は(多分)一番高価だったJan. 2022の1/16” Tan SS 1ポンド箱、現在Kotobukiで4,800円、バックヤードストアで5,940円です。
添付写真の青矢印は参加賞、追加写真と共に次ページで紹介します。


松本@GPF 投稿日: 2023年02月05日 16:11:09 No.202 【Home】
前ページ添付写真の青矢印は参加賞のノリ付き6mm厚のスチレンボードです。
初期の寒中杯の参加賞はシャレの効いたかん酎ハイだったのですが、ここ10年ほどは勝山さんがちょうど良いサイズに切断したスチレンボードです。毎回これが大人気です。

その理由はこれで手軽にサンディングブロックが作れるからです。
わたしの場合は小さく切断して使っています。スラスト調整など飛行場の道具箱には不可欠です。




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