投稿者:滝 敏美
動力ゴムの断面積の決め方について検討した結果をお見せします.
ゴム動力模型飛行機が水平飛行をするために必要なゴムのトルクは,機体の諸元(全備重量,主翼面積,揚力係数,抗力係数),プロペラの仕様で決まります.プロペラの性能曲線の例を図に示します.プロペラの性能曲線と機体諸元のデータがあれば,この水平飛行をするために必要なトルクを計算することができます.
一方,実際に機体に搭載しているゴムの断面積により,使用できるゴムのトルクがわかります.
ゴムのトルク曲線の例を図に示します.ゴムのトルク曲線は巻き戻りの最初は急激にトルクが低下し,その後ほぼ一定でゆるやかに低下していていきます.この中間領域のトルクをここでは「平均トルク」と呼ぶことにします.平均トルクとゴムの断面積の関係はゴムのトルクを計測すると求めることができます.
わたしがFAI TAN Super Sportゴムで計測した例を図に示します.
水平飛行に必要なトルクと搭載しているゴムの平均トルクには関係があると考えられます.そこで,インターネットでゴム動力飛行機(野外用)のデータを調べてみました.そのデータを使って水平飛行をするために必要なトルクと平均トルクの関係を計算しました(かなり仮定を入れています).結果を表とグラフで示しました.
このグラフでわかることは以下のとおりです.
■ 水平飛行に必要なトルクと搭載しているゴムの平均トルクには明らかな相関があります.スケール機のデータが下限値を示しています.ゆるい上昇の飛行パターンと考えられます.
■ ほとんどのライトプレーン(ここでは1本棒胴体のゴム露出タイプの機体をライトプレーンとしました)は水平飛行に必要なトルクの約3倍の平均トルクのゴムを使っています.かなりの急上昇の飛行パターンと考えられます.
■ P30はライトプレーンより低めのトルクを使っています.
このように,このグラフを使うと機体をかなり明確に分類できますし,このグラフを設計に使うことができます.
この結果について,コメントをいただければありがたいです.
機体のデータがもっとあれば,このグラフの妥当性を検討できると思います.
データを送っていただけるとありがたいです.
水平飛行に必要なトルクの計算方法と解析ツールについては,レポートを作成しましたので,欲しい方にはお送りします.