ゴム動力模型飛行機掲示板


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動力ゴムの断面積の決め方について
滝 敏美 投稿日:2023年02月16日 08:29 No.208
動力ゴムの断面積の決め方について検討した結果をお見せします.

ゴム動力模型飛行機が水平飛行をするために必要なゴムのトルクは,機体の諸元(全備重量,主翼面積,揚力係数,抗力係数),プロペラの仕様で決まります.プロペラの性能曲線の例を図に示します.プロペラの性能曲線と機体諸元のデータがあれば,この水平飛行をするために必要なトルクを計算することができます.

一方,実際に機体に搭載しているゴムの断面積により,使用できるゴムのトルクがわかります.
ゴムのトルク曲線の例を図に示します.ゴムのトルク曲線は巻き戻りの最初は急激にトルクが低下し,その後ほぼ一定でゆるやかに低下していていきます.この中間領域のトルクをここでは「平均トルク」と呼ぶことにします.平均トルクとゴムの断面積の関係はゴムのトルクを計測すると求めることができます.
わたしがFAI TAN Super Sportゴムで計測した例を図に示します.

水平飛行に必要なトルクと搭載しているゴムの平均トルクには関係があると考えられます.そこで,インターネットでゴム動力飛行機(野外用)のデータを調べてみました.そのデータを使って水平飛行をするために必要なトルクと平均トルクの関係を計算しました(かなり仮定を入れています).結果を表とグラフで示しました.

このグラフでわかることは以下のとおりです.
■ 水平飛行に必要なトルクと搭載しているゴムの平均トルクには明らかな相関があります.スケール機のデータが下限値を示しています.ゆるい上昇の飛行パターンと考えられます.
■ ほとんどのライトプレーン(ここでは1本棒胴体のゴム露出タイプの機体をライトプレーンとしました)は水平飛行に必要なトルクの約3倍の平均トルクのゴムを使っています.かなりの急上昇の飛行パターンと考えられます.
■ P30はライトプレーンより低めのトルクを使っています.

このように,このグラフを使うと機体をかなり明確に分類できますし,このグラフを設計に使うことができます.

この結果について,コメントをいただければありがたいです.
機体のデータがもっとあれば,このグラフの妥当性を検討できると思います.
データを送っていただけるとありがたいです.


水平飛行に必要なトルクの計算方法と解析ツールについては,レポートを作成しましたので,欲しい方にはお送りします.


滝 敏美 投稿日:2023年02月16日 08:30 No.209
結果の表と図を示します.

松本@GPF 投稿日:2023年02月18日 16:47 No.211 【Home】
最初のグラフ: 変数とパラメータの意味の説明、およびこのグラフと主題との関係の説明をお願いします。
2番目のグラフ: トルク急減部分はバースト領域、平均トルクの部分はクルーズ領域と呼ばれています。移行部分はニー(knee 膝)と呼ばれニーが高ければ良いゴム、ニーが低ければ悪いゴムとされています。実際これはエネルギーの大小をよく反映していると思います。滝さんのトルクカーブの近似式のパラメータとしてニーの高低が入っていれば有用性が増すと思いまず。
測定カーブの凸凹、特に巻き戻しでトルクが増えるのは本来あり得ない事ですが、測定法がらみで何か心当たりはありますか?
3番目のグラフ: トルクがゴム断面積の1.5乗に比例する理由、滝さんの解析能力で解明して定性的な説明をぜひお願いします。ゴム束の最大巻き数が長さに比例して断面積の平方根に反比例すると言われているのとも関連がありそうです。
4番目のグラフ: スケール機のデータを沢山収録していただいて興味深い。スケール機では上昇気流をキャッチしない限り、滑空時間はあまり期待出来ないのでモーターランを長くしている結果がグラフに出ていると思います。近似曲線の右側が直線より下がっているのは、機体の大型化に伴い機体性能とプロペラ性能が上がり、より弱いゴムでも飛行可能になっているからでえしょう。
最後の表: 貴重なデータですが表が大きすぎで文字が相当ぼけています。多分左右に2分割して再投稿して頂ければと思いまず。

送って欲しいデータは項目を明示した方がわかりやすいと思います。
レポートについては滝さんのサイトで公開してはいかがですか。掲示板投稿時にもサイトURLを入れていただくと助かります。


滝 敏美 投稿日:2023年02月18日 18:34 No.212
松本様
コメントをありがとうございます.

レポートをわたしのホームページで公開しますので,しばらくお待ちください.

1番目の図はプロペラの性能曲線で,横軸Jは前進係数,縦軸CTは推力係数,CQはトルク係数です.プロペラの性能計算を説明したレポートもわたしのホームページで公開します.

2番目の図のトルクの計測値が上下することについてはわたしも気になっていますが,理由はよくわかりません.プロペラシャフトの摩擦が影響しているのではないかと思っていますが.
トルクの測り方は,プロペラの先端を電子秤の上に当てて測っています.値が安定せず,読み取りに苦労しています.ゴムのトルクの実測値のデータを見たことがありませんが,みなさんはどうやって測っておられるのでしょうか?
トルクメーターの作り方がインターネットに載っていますが,これで測ったデータを見たいです.

3番目の断面積とトルクの1.5乗の関係は解析方法が無いと思います.昔のGrantの本のゴムのトルク曲線で調べてみましたが,大体1.5乗になっていました.

表を2分割して載せます.これは読めるでしょうか?
pdfファイルを添付することが可能ですか?


滝 敏美 投稿日:2023年02月18日 18:57 No.213
送ってほしい機体のデータを示します.野外用機です.
(追加:ダウンスラスト角のデータもあればお願いします.)

機体の図面はOuterzoneにたくさん載っているのですが,バルサ+紙貼りで完成重量が一定しないためか重量のデータがほとんど載っていないので,データになりません.
よろしくお願いします.


機体の名称(あれば)
図面(あれば)
図面がなければ真上から写した機体の写真
機体の種類:スケール機,ライトープレーン,被覆胴体,対応規定等
主翼幅
主翼面積
機体重量(ゴム無し)
ゴムのデータ
 品名:FAI TAN Super Sportが望ましい
 幅
 条数
 重量
 常用巻き数
 手巻き/ワインダー巻き
プロペラデータ
 市販品(品名)/自作の別
 直径
 ピッチ比
ダウンスラスト角度(あれば):プロペラ中心と機体重心を結ぶ線を基準とする(添付の写真のように,プロペラの中心をつまんで持ち上げ,プロペラシャフトと鉛直方向の角度でわかります)
その他:主翼翼型,主材料(バルサ+紙貼り,スチレンペーパー等),機体の特徴(急上昇をねらったとか)


松本@GPF 投稿日:2023年02月19日 17:03 No.214 【Home】
表は解読可能になりました。ありがとうございます。

ファイルの添付は可能です。やり方は画像の場合と同じです。

機体データについては写真も重要です。特に翼面積は計算が面倒なので手持ちデータは無い可能性大です。翼の真上からの写真があると推定が容易です。
なお本件については前のページの編集をお勧めします。画面の一番下でページ番号とパスワードを入力すれば可能です。ひょっとして最初の投稿と同じ端末からの場合はパスワードは不要かもしれません。

トルク測定にはトルクメーターの自作をお勧めします。測定値の変動は抑えられるとおもいます。


松本@GPF 投稿日:2023年02月19日 17:23 No.215 【Home】
私の自作トルクメーターの写真です。
用途は最大トルクの確認なので目盛りを読むだけで実際のトルク値をみているわけではありません。
構造はいたって簡単、プラスチックなどのパイプに目盛り板を貼り付け、両端をフック状にしたピアノ線を通します。ピアノ線の片側をパイプの端に接着し、目盛り板の上面になるいちでピアノ線に目盛り線を接着するだけです。
目盛り板はバルサシートに分度器のコピーを貼り付けています。
目盛り線を仮延長して分銅を吊るせば正確なトルク値の校正が可能でしょう。


松本@GPF 投稿日:2023年02月19日 18:51 No.216 【Home】
トルク値がゴムの断面積の1.5乗に比例する件、私の能力で解明は無理ですが最大巻き数との関係は分かりました。

図で一定長のゴム束がありその最大巻き数はR、その時の最大トルクはTとします(グラフの黒線)。
次にゴム束の長さはそのままで断面積をN倍にします。
新しいトルクカーブは最大巻き数の減を反映して一定比率だけ左に縮小、更にエネルギーがN倍になるのを反映して
?倍の比率だけ上に伸びます。
言われている様に最大巻き数はゴムの断面積の平方根に比例する
としたら新しい最大巻数はR/ (N^0.5)になります。
そのカーブが赤線です。
エネルギーがN倍になるのを反映して赤線の下の面積は黒線の下の面積のN倍になります。この条件を式にすると:
RxTxN=(R/(N^0.5))x(Tx?)
これを変形して
?= (RxTxN)/((R/(N^0.5))xT)=Nx(N^0.5)=N^1.5
つまり赤線の最大トルクは黒線の最大トルクの「Nの1.5乗倍」となります。Nは断面積に比例しているので最大トルクは断面積の1.5乗に比例します。
更に赤のカーブは黒のカーブをNの1.5乗倍上に拡張しているのでゴムの全域でトルクは断面積の1.5乗に比例します。


滝 敏美 投稿日:2023年02月19日 20:31 No.217
(1)動力ゴムの断面積の決め方に関するレポートを含め,ゴム動力飛行機に関係するレポートをわたしのホームページで公開しました.

http://takitoshimi.starfree.jp/

から日本語のページに移動すれば見ることができます.

(2)輪ゴムを動力にした機体の説明と調整方法についても公開しましたので,ご覧ください.
調整方法について,知人から「木村秀政先生の古い本に,スラストラインは重心位置の上下位置と関係していると書いてあったような気がする」と聞きましたが,木村先生の本の内容をご存じの方がおられたら教えていただけませんか?

(3)1.5乗のに関する松本様の説明について
簡明な理屈ですね.ただ,断面積がN倍になると,エネルギーがN倍になるのが自明のことなのか少し疑問に思います.




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