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再生開始 香取「L司令失礼します…『邪神』がまた別の人物と接触を図ったようです」 L「次は誰に接触しましたか?」 香取「今度はルルーシュと接触したようです」 L「という事はルルーシュにも加担を…?」 香取「いえそれが…今回は協力というよりも挑発の意味合いで接触したようです」 L「そうですか…技術供与等が無い…となると多分今回は完全に彼女自身の愉悦の為だけの行動でしょう…」 香取「どこまでが遊びでどこまでが本気か分からないのが本当に厄介ですね」 L「しかし今回までの彼女の行動…今までの彼女の行動とは話が合わないんですよ…」 香取「どういう事です?」 L「彼女の目的が己の愉悦の為なら真っ先に任務部隊に「レガリア」の配備を推進するはずです…けど違った、中将を自殺にまで追い込み上層部に脅しをかける程頑なに拒んだ」 L「かと思えば世界にデータを発信させ「レガリア」を広めようと動いたり研究に行き詰まったノーピスにヒントを出したりしてます」 香取「確かにその点は矛盾してますね…」 L「そして今回のルルーシュとの接触では「レガリア」を布教するわけでもなくただただ彼を挑発しただけ…本来の彼女のであれば衛生兵の復活の方法とかを教えるはずです…」 香取「ええ…ですが今回はそれをしていない」 L「あと前回のシャルラッハロート確保作戦での彼女の発言「こちらとしても全人類にレガリアが普及されると私の「物語」に影響が出る、君の行動には感謝する」という発言…」 L「ここから推察するに彼女にとって「レガリア」は「目的」ではなく「手段」の一部なのでしょう…Jun軍への配備白紙化も彼女の「筋書き」の手伝いをしてしまったと言う事になってしまいますね…」 香取「つまりレガリアを人に使わるのが「目的」ではなくその先の「何かの目的」のために「レガリアを人に使わせるのが手段」と言う事ですか」 L「おそらくは…そして一番不明なのは彼女がなぜ我々に分かるように誰と接触したかという「痕跡」を残してる事です…彼女がその気ならそれこそ香取さんの情報網でも補足は不可能なはずです」 香取「!?」 L「考えてもみれば当然です…彼女はあの成りですが「神」です。痕跡の抹消・現実の改変等もたやすいはずです…」 L「ノーピスとの接触も本来なら『天啓』という形で知識を授ければ済む話です…でも実際そうはせず実際に会って接触を行った…ただ愉悦の為の行動とは言いにくい…」 香取「つまり私たちのこれまでの調査も計算済みでわざと痕跡を追わせていると…!」 香取が悔しそうな表情を見せる L「恐らくそう言う事でしょう…今までは我々が任務部隊の裏をかいてきましたが今は逆に任務部隊…いや彼女に裏をかかれてる状態です…」 L「以前の参謀の更迭の際もそうです…参謀の核使用をその場で発表するまで我々から完全に隠ぺい仕切って居ました…」 L「つまり我々の行動も含めて彼女の言う「物語」に組み込まれている…それがどのような「物語」までは私にも未だ分かりませんが…」 L「言い換えれば彼女の物語が「総仕上げ」に入るまでは彼女自身はちょっかいは出せどもそこまで大きな動きはしないとも言えます…そこが救いですかね…その前に阻止できればいいのですが…」 L「彼女が愉悦を得るタイミングは大体「気が付いたら全てが手遅れになってどうあがいても逃れられない運命に囚われた様を見る」時ですから…」 香取「…取り合えずこれまで通り任務部隊と彼女の行動等に警戒をしておきます…たとえ彼女の計算の上だとしても…!」 L「ええ…お願いします……ナイア…貴方は一体なにを企んでるのですか…!」 Lもまた悔しげな表情を浮かべていた |
ナイアが風呂上りの火照った体をタオル一枚巻いて羽織いつつ長いソファーにだらしなく寝転がりながら黄金に輝く酒を煽り、天井を見つつ独白していた。しかしその目にハイライトはなく視点も定まらず虚ろではだけ掛けたタオルにも気にせず何か遠くの存在と話している様でもあった 「流石L君だJun軍のレガリア投入は白紙に戻されちゃったよ」 「しかし何も問題はない、「Jun軍」のみが狙いではないからね。さらに言えばJun国だけが狙いではないからなー。」 「なぜ私が設計データを世界に配布したのか、それは軍以外、そして全世界を標的にしてるからさ」 「何せ人類は多種多様いろんな人間がいる。そして「レガリア」の魅力も大きいものだ「ゲリラ軍」「反政府軍」「民間企業」に「反社会組織」…レガリアを欲するものはJun軍以外にも数多くいる。無論国外にもね」 「そして人とは「知識」と「利便性」を糧として吸収し成長する生き物だ、たとえそれが猛毒だとしてもそれを吸収することを止めれない。かつて私が伝授した核兵器のように、そして今のコンピューターやスマホのようにね」 「また人とは「禁止」されるほどより強く使いたいと思う欲深い生き物だ、Jun国全体で禁止の法案を通しても止めることはできないだろう」 「禁酒法がギャングの勢力を強めたように、薬物禁止法をかいくぐりヤクザが資金を得るように、そして企業では他の企業を出し抜こうとするように」 「いやはや人は業が深い、だからこそ面白いしこの「物語」を思いついた訳だ」 「ただ広がり過ぎるのも少々問題だった…「筋書」が狂うからね…となればL君の行動には感謝しないとねはっはっは!」 「全ては順調何も事も無し何もかもが私が思う通りに動いてる。何も心配しないでいいよ」 「何?私のやり方が気に入らない?まどろっこしいからとっとと全人類にレガリアを使わせろ?もしくは私自身で手を下せ?黙れよ「物語」を決めるのは私だ。不様な「外野」は観客席で指をくわえて観覧してろ」 「私は私がやりたいようにやる。私が「我が王」の全権使節であることを忘れるな、私の意志はすなわち「我が王」の意志だ、意見は許さない」 「という事でこれ以上は会話を切る。こちとら慣れない戦い方して疲れてるんだ。じゃあな」 その言葉と同時に目のハイライトが戻り視点も定まる。そしてはだけ掛けていたタオルを巻き直す 「…やれやれ外野はうるさくて駄目だ…まぁ今の所は気づかれてないようだし良しとするかぁ」 そう言いながら残っていた黄金酒を飲み干す 「うーん…なんか人肌恋しくなってきたから南部君の部屋に忍び込んでコッソリ添い寝してくるか…向こうから全然来てくれないしなー…いや今さっきのタイミングに来られてたら困るのだけど」 この後ピッキングで南部君の部屋に入ろうとして例の如くクレイモアに吹き飛ばされるのは別のお話 |
「しかしるルルーシュ君も考えが甘いなぁ「次世代コンピューター」って所で巨大な物をイメージしてたんだろうけどあれは数世代も前の話。今はこのサイズだもんなー」 そう言って自分の部屋に掛けてある「壁掛け時計」の前に立つ 「誰もこれが「復元した最新式のメカ衛生兵だなんて予想もしないでしょ。一応壁掛け時計に偽装して「本体」は電源落としてるけど」 「さて彼はこれを見つけることができるかなー?」 そう言ってナイアは冷笑を浮かべる 「『魂魄』の方はー…まぁ無理だろうね「世界の裏側」の奥ににしっかり隠ぺいしてるし見ようものならその前に精神が破壊されるし」 「さぁルルーシュ君はどう出るのかね」 |
ルルーシュ「クソ!任務部隊の連中め!私に大恥をかかせおって!」 ルトラ「あっはっはっは!いやー実に無様で滑稽で哀れでしたよルルーシュ君。私も大いに楽しませてもらいました。それで?今の心境は如何です?自分に仕える「教祖」の失態を叱責した直後に自分がそれ以上の失態を晒し恥をかいた気分は」 ルルーシュ「貴様…!どこから!」 有無を言わさずルトラに拳銃を発砲するがルトラは全弾手で弾を受け止める ルトラ「いやはやまたずいぶんな挨拶ですねぇ声を掛けただけで発砲なんて、よほど私の事が憎い様で?」 ルルーシュ「当たり前だ!こちらは戦力を大きく削がれた上に何の成果も無かったんだからな!」 ルトラ「まぁそれなら憎まれても当然でしょうね、とりあえずまぁ話の前に先ほどの「挨拶」、返しておきますね」 ルトラが先ほど受け止めた弾丸を「指弾」の要領で一発放ちルルーシュの持っていた銃を弾き飛ばす そして嘲笑気味に言う ルトラ「この場合貴方様にはこう言うべきですかね?「銃を撃っていい者は銃で撃たれる覚悟がある者だ!」って」 ルルーシュ「っ…!」 ルトラ「しかし調整が上手くいって良かった良かった、ちょっと加減間違えると片腕ごと吹き飛ばしてしまいますからね。さぁこれでそちらは丸腰、こちらは先ほどの弾丸がまだ残ってます。状況は分かりますよね?」 ルルーシュ「…今度は何の要件だ」 ルトラ「いえ前回の戦いで大いに楽しませてもらったので「返礼」をと思いまして」 ルルーシュ「返礼…だと?」 ルトラ「ええ、その返礼がこちらです」 そう言うと一瞬ルトラの手の上の空間がねじ曲がり20センチほどの立方体の「筐」が現れる。その「筐」の外殻は透明でその中はサイバーパンクとスチームパンク、生体部品が合わさったようなものが詰め込まれており外部には見たことも無い物も含まれるコネクターがいくつも付いていた ルルーシュ「…それは一体なんだ?」 ルトラ「貴方が熱望していた「メカ衛生兵」ですよ。今のままじゃ永遠に見つけられそうになかったので哀れに思って持ってまいりました」 ルルーシュ「!?」 ルトラ「貴方は「次世代スーパーコンピューター」って言葉でより大きなものを想像してたのでしょうがそれは昔の話、今ではこのサイズに収まるんですよ。これが貴方への「返礼」です」 ルルーシュ「おお…ついに衛生兵が我が手に…!」 ルトラ「と言っても簡単に渡すのは面白くないので精密にして緻密、綿密にして超難解な「ロック」を掛けてますがね」 ルルーシュ「…つまりそれを全て解除すれば「メカ衛生兵」は稼働すると」 ルトラ「まぁそう言う事です」 ルトラが嘲笑を交えて言う ルトラ「最も、貴方方程度の技術で解除できればの話ですがね」 ルルーシュ「貴様…!我々を愚弄するのもそこまでにしておけ…!絶対にそのロックを解除してみせる!」 ルトラ「まぁせいぜい頑張ってください。ただし復活させるチャンスは一回のみとします。私の今日の要件はそれだけです」 ルトラ「さてと、特務部隊で色々と嗅ぎまわってる連中も居るし「私を追跡できている」などと舐められっぱなしというのも癪です、ここは一度実力の差を見せる為にも色々と「改竄」させてもらいますか」 そう言ってルトラが指を鳴らすと同時にルルーシュとの接触した記録や記憶、その痕跡を消し去ってルトラの姿も消える 残されたルルーシュはこの「筐」が「メカ衛生兵」であること、そしてロックを解除すれば復活する事の記憶のみが残りルトラと接触した記憶は消えていた それは香取率いる特務部隊の諜報部隊にも発動して「ルルーシュとルトラが接触した」という記憶も記録も改竄された そしてルルーシュが通信で呼びかける ルルーシュ「衛生兵信仰会に所属するすべての技術者を集めろ!ついに「メカ衛生兵」を手に入れた!だが厳重なロックが掛けられている!このロックの解除作業に技術者総出で掛かれ!」 ルルーシュ「必要な設備などは遠慮なく言え!資金に糸目はつけん!絶対にこのロックを解除しろ!全ては「メカ衛生兵」復活の為だ!」 ノーピス「申し分ありませんが…私は「レガリア」の活用法を模索中でして…」 ルルーシュ「フン、貴様はそちらに専念していろ私は「レガリア」なぞに興味はないからな」 |
香取「L司令、ルルーシュがとうとう「メカ衛生兵」を入手したそうです」 L「!?…それは本当ですか…?」 香取「ええ間違いありません、レインボー衛生兵信仰会の物資の搬入量も激増しており恐らくは「メカ衛生兵」の復活の為の物資だと判明しています」 L「それはまずいですね…万が一復活されると余計に場が混乱状態になってしまいます…所で彼はどうやって「メカ衛生兵」を手に入れたのですか?」 香取の表情が少し曇る 香取「…それが不明なんです」 L「不明…?」 香取「ええ、以前の任務部隊の基地制圧では発見できていなかったという報告はあるのですが…その後どこで入手したか不明なんです…ルルーシュは各方面で「メカ衛生兵」の痕跡を追っていたのでそのどれかが「メカ衛生兵」の残骸を発見したというのが一番有力だと思います」 香取「任務部隊に注力し過ぎたあまりに衛生兵信仰会の諜報が疎かになってましたから…申し訳ありません」 L「謝る必要はありませんよ…過ぎた事を言っても仕方ありませんから…任務部隊に注力するあまり今度は我々がルルーシュに裏をかかれたという事ですか…難儀ですね…」 香取「そして今は「メカ衛生兵」復活の為の大規模な施設が建造されたとのことです。そしてそれを任務部隊が破壊して阻止する作戦を立案したようです」 L「ではその辺は任務部隊に放っておけばいいでしょう…私たちは私たちのやるべきことをしましょう」 香取「分かりました…それでは失礼します」 L(しかし何か引っ掛かりますね…確かに「メカ衛生兵」は自爆して大破しましたが…それを復活させるのにここまでの大規模な施設は必要でしょうか…もしかしてルルーシュにはメカ衛生兵の復活以外別の意図があるのでは…そうなるとこちらもどこかで手を打たなければ…) この時Lも香取も知る由も無かった、ルトラによって真実を改竄されていることに 故にLも推理が的外れな方向に走ってしまっていることに… |
ルルーシュ「ええい任務部隊め折角メカ衛生兵復活の為の施設を!」 ルルーシュが輸送車の中で毒づく ルルーシュ「だが「本体」はこの手にある。何度でも繰り返して必ず復活させてやるさ」 ルトラ「とは行かないんだなぁコレが」 ルルーシュ「!?」 いつの間にかルトラが輸送車の後部に立っており有無を言わさず不可視の力で「本体」を掠め取る ルルーシュ「貴様!返せ!」 ルルーシュや周りの兵が一斉にルトラに発砲するがすべての弾はルトラの眼前で止まり床に落ちる ルトラ「言ったでしょう?与えるチャンスは一回のみと。そして貴方はそのチャンスをふいにした。それだけのことです。ではごきげんよう」 ルトラが輸送車の扉を蹴破って飛び出し空間跳躍で姿を消す ルトラ(これは「改竄」せずに置いておくか…聡明なL君なら恐らく事態に気づくだろうし) |
香取「L司令、任務部隊が施設を壊滅させたそうです」 L「流石は任務部隊…と言ったところでしょうか…」 香取「あと撤退時にルルーシュが持っていたメカ衛生兵の「本体」が奪取されたそうです」 L「それはどういう事です…?あれだけの大規模な施設だったのですからその「本体」も大掛かりな物なはずでは…」 香取「私もそう思っていましたが実際の「本体」は10~20cmほどの直方体だったようです」 香取「そしてルルーシュの搭乗していた輸送車からその「本体」と一緒にルトラが脱出する所を一瞬ですが捕捉したそうです」 L「彼女にメカ衛生兵が奪取されたとなると余計に厄介ですね…一体何に使われることになるか…いや…何かおかしいですね…」 香取「何がですか?」 L「彼女にとって「メカ衛生兵」は彼女の言う「物語」には関係がないはずです…メカ衛生兵を復活させたところで彼女には何のメリットもありません…」 香取「確かに今の彼女は「レガリアをいかに人間に使わせる」かが重点項目のはず」 L「となると彼女の行動は効率的に辻褄が合いません…何で「本体」を奪取したのか…」 香取「という事は私たちがどこかで思い違いをしているって事ですか?」 L「想定以上に小型な「本体」に釣り合わない大規模施設…もしかして私たちは勘違いをしてた可能性があります…」 香取「どういう事ですか?」 L「ルルーシュがメカ衛生兵を復元してルトラがその「本体」を奪取したのではなく逆に最初にルトラがルルーシュに「本体」を渡していたという可能性です」 香取「!?しかし私たちの諜報ではルルーシュとルトラが接触したのは撤退時のみですが」 L「でもそうすれば辻褄が合います…ルルーシュがルトラから「本体」を受け取った…しかし彼女の事です膨大なロックを「本体」に仕込んでいたはずです…その稼働には大規模な設備が必要になった…」 L「そして施設を破壊され復活の見込みの無くなった「本体」を彼女が回収した…これで辻褄が合います…」 香取「しかし私たちの諜報ではそんな痕跡はありませんでしたよ!」 L「恐らく彼女はその際に真実を「改竄」して香取さんや私を欺いたのでしょう…それ位彼女なら朝飯前でしょうから…」 香取「つまり私たちの諜報活動は彼女に対しては完全に無意味と…!」 L「悔しい話ですがそうなります…それを分からせるためにわざわざ「本体」奪取時に痕跡を残したのでしょう…!」 香取「……」 L「……」 二人は沈黙し沈痛な面持ちでいた L「だとしても特務部隊としてやるべき事はしていくしかありません…」 香取「それしかありませんね…」 L(きっとナイアは今のこの状況を見て嘲笑ってるのでしょうね…忌々しいですが…) |