近畿植物同好会 掲示板
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「らんまん」の登場人物と実在の人物との関係は?。コオロギラン、ムジナモの原記載・植物画など

●コオロギラン: Stigmatodactylus sikokianus Maxim. ex Makino(1890-1891)
常緑樹林下に生える腐生植物と考えられているようです。
【開花・結実期だけ、地表に現れるのかもしれません】
全国版:絶滅危惧II類 .
紀伊半島、四国南部、九州南部、台湾に分布する。

命名者の間にある「ex」:前置詞で、「~から」の意味。
exの前の人物が命名したが、正式な記載とは認められず、exの後に記述された人物が正式な命名者とされます。
「マキシモビッチ」の学名(私信で仮の学名を牧野に連絡したか?)を参照して、「牧野」が以下の「日本植物志図篇」で正式に発表した。
マキシモビッチが1891年に急死し、牧野が「日本植物志図篇」で正式に発表したことになります。
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●コオロギランの植物画●原記載は、以下の「日本植物志図篇」となります。

Illustrations of the Flora of Japan, to Serve as an Atlas to the Nippon-shokubutsushi [of J. Matsumura]. Tokyo(1890-1891)
牧野富太郎。1888-1891.日本植物志図篇。敬業社。東京。

印刷の経費は実家からの援助により自費出版する。(こんなことをするから、お金が足りないのか?)
この時期にドイツに留学していた松村任三(後の、小石川植物園の初代園長)が日本に帰国する。
注:上記書籍について。「牧野が「自ら手を下して真物より模写」した大型の精密で見事な植物画集である」、としている(俵浩三、1999。34p)。)
日本植物志図篇は、第11集が出版されたのを最後に(1891年)、中断し再開されることはなかった。
●コオロギランの、図は牧野が描き、学名をつけたのはマキシモビッチと推察されます(マキシモビッチが、発表前に私信で牧野に学名を伝えていたと考えられます)。

★藤井注
当時の植物学教室の教授は矢田部良吉であった。
矢田部は植物誌を編纂するのは大学の役割と考えていたが、外部からきた素人の牧野が大学の資料を利用して「日本植物志図篇」を作っていることに、快く思っていなかったらしい(俵浩三、1999。35p)。
このことをきっかけに、ロシアでマキジモビッチの助けを借りて、「日本植物志」を完成させようと考えたと思われる。
しかし、計画が実行される直前にマキシモビッチが急死したため、頓挫することになる。
(ツンベリーや、シーボルトの「Flora of Japan」のような体裁を目指していたのかもしれない。)

●植物学雑誌にコオロギランの報告が載ったのは、「日本植物志図篇」の出版とほぼ同時期です。当時、牧野:28才。
牧野富太郎。1890。雑録「土佐ニ於テ發見シタル新属ノらん科植物」。植物学雑誌。4(39):192-197.(197p)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/4/39/4_192/_pdf/-char/ja
横倉山で、矢野勢吉郎、吉永虎馬と牧野の三人で採集したと記している。
●「日本植物志圖篇第七集中第四十三版チ見テ知ル可シ」
上記の記述があり、「日本植物志図篇。7。(Fig.43)」で、発表する予定だとしている。
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●ムジナモ発見の報告。235p.
牧野富太郎。1890. in 雑録(p230-p236)○Aldrovanda vesiculosa L. 日本否ナ東京近郊ニ産ス。植物学雑誌。4(40):235-236p.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/4/40/4_230/_pdf/-char/ja

牧野富太郎。1890. in 雑録(p424-p430)○むじなも(新稱)Aldrovanda vesiculosa L. 植物学雑誌。7(80):425p.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/4/45/4_424/_pdf/-char/ja
★上記報告で、和名を「ムジナモ」(新称)とした。

●ムジナモの植物画
牧野富太郎。1893. Notes on Japanese Plants, XIX。植物学雑誌(BMT)。7(80):285-286.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/7/80/7_80_285/_pdf/-char/ja
ムジナモの開花は、日中の数時間に限られる。
世界の植物学者が観察できなかった開花時の線画を精緻に描いていることが世界中を驚かせたことになります。
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★ついでに牧野関連図書
●参考文献
俵浩三。1999.牧野植物図鑑の謎。平凡社新書。平凡社。660円
白岩卓巳。2008.牧野富太郎と神戸。神戸新聞総合出版センター。1600円。
渋谷章。2001.牧野富太郎。平凡社。平凡社ライブラリー。1000円。
高知新聞(編)2014.MAKINO~牧野富太郎生誕150周年記念出版~。北隆館。2420円。

●NHK朝ドラの関連書籍。
朝井まかて。2022.ボタニカ。祥伝社。1800円。

●コオロギランの彩色画(牧野原図)
高知県立牧野植物園(編)。1992.高知県立牧野植物園所蔵・牧野富太郎植物画集。
コオロギランの脚注に、明治22年(1899)牧野富太郎27歳の時、高知県越知町横倉山で発見命名(和名)。
世界的植物学者ロシアのマキシモビッチはこの植物画を絶賛した。と記述している。
 2001年12月に植物園の企画展示「不思議な果実展」を見に行った時に買った覚えがあります。
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★NHKの「らんまん植物図鑑」より
※主人公は、実在の人物である牧野富太郎(1862―1957)をモデルとしますが、激動の時代を夢に向かって生きたある植物学者の物語として大胆に再構成します。
登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描きます。原作はありません。
https://www.nhk.or.jp/archives/creative/ranman/zukan
NHK連続テレビ小説「らんまん」あらすじ
https://www4.nhk.or.jp/P8377/

歴史上の人物および所属などの名称
牧野富太郎(1862年5月22日 - 1957年1月18日。高知県高岡郡佐川町出身。近隣から「佐川の岸屋」と呼ばれた商家(雑貨業)と酒造業を営む裕福な家に生まれた。)
個人的に所蔵していた分だけでも40万枚に及び、命名植物は1,500種類を超える。→都立大の牧野標本館(MAK)に50万点(植物標本は16万点)が収蔵されている。
https://www.biol.se.tmu.ac.jp/herbarium/
実家の造り酒屋(屋号は、岸屋)現在の司牡丹が最終的に譲り受けた。

矢田部良吉:1877年(明治10年)8月、東京大学理学部教授となる。トガクシソウ(破門草事件)で有名。キレンゲショウマなどを記載。1891年(明治24年)3月、教授職を非職となる
伊藤篤太郎:1865-1941、は、本草学者で東京大学教授の伊藤圭介(1803-1901:1881年から東大の教授)の孫である。Ranzaniaを記載した(1888)。
大久保三郎:東京大学御用掛、小石川植物園の植物取調に任じられた。1883年(明治16年)助教授に昇進し、矢田部良吉を補佐した。
松村任三: 小石川植物園の初代園長(1877年)

→1893年に松村仁三が、牧野富太郎を植物園の助手として採用(ヤマトグサ(1889)、ムジナモ(1890)、コオロギラン(1890-1891)の報告の後になります)
 矢田部良吉は、すでに非職(今でいう、休職扱いのようなものか?)。
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●劇中の名称と、実際の名称

●実際の名称        → ★テレビでの名称

●岸屋(後に司牡丹に譲渡される)        → ★峰屋
●牧野富太郎        → ★槙野万太郎(神木隆之介)
●矢田部良吉:東大植物学教室の教授 (1877-1891) → ★田邊彰久(要潤):教授  
●大久保三郎:東大植物学教室の助教授(1883-1895) → ★大窪徳三郎(今野浩喜):講師
●松村任三:→小石川植物園の初代園長(1897-1922) → ★徳永政市(田中哲司):助教授
植物園には1877年から(矢田部良吉の助手として)

●染谷徳五郎:東大植物学教室の学生        → ★波多野 泰久(前原 滉):2年生
●池野成一郎:東大植物学教室の学生        → ★波多野 泰久(前原 滉):2年生(多分、2人のキャラを合わせた登場人物か?)
  (1896年にソテツの精子を発見)
       (同年に平瀬作五郎がイチョウの精子を発見:植物園の画工)
●田中延次郎(旧姓:市川):1889年に卒業。 → ★藤丸次郎(前原瑞樹): 2年生       
       日本における最初の近代菌類学書、『日本菌類図説』を執筆した。
●白井光太郎:BMT・創刊号では「苔癬発生実験記」 → ★細田晃助(渋谷謙人): 4年生
●平瀬作五郎;画工(1896年にイチョウの精子発見) → ★野宮朔太郎(亀田佳明) :画工


●モデルが不明
→ 飯島悟(高橋里央) :3年生
→ 柴豊隆(岸野健太) :3年生
→ 山根宏則(井上想良) :2年生
→ 澤口晋介(犬飼直紀) :2年生


***********●以下は、藤井の勝手な想像です●****************************
当時の学生として、松田定久が在籍していた。
卒業後、当時、大阪の第二尋常中学校(現在の大阪府立三国丘高校)の教頭となっている(1895年)。
1896年に、高知県名野川で、ハイノキの標本を採集している。ラベルの読み間違いにより、大阪(和泉地方)の記録となっていた。
藤井俊夫。2014.大阪府にハイノキは産しない。近畿植物同好会々誌。37:30-33。
正しくは、以下。
ハイノキ:松田定久。1896.May.07.高知県吾川郡名野川村から泉。
当時の標本記録から、名野川村の小学校の先生であった渡辺協(ワタナベソウの発見者)、伊藤篤太郎(Ranzaniaを記載)とともに、鳥形山から名野川周辺で植物採集をしていたと考えるのが自然である。
●渡邉協について:高知県 仁淀川町観光協会
仁淀川町は牧野富太郎博士の裏庭 ~名野川村の小学校教師が発見したワタナベソウ~
https://www.niyodogawa.tv/news/news-15464/

★上記で、「モデルの人物が不明な」登場人物のいずれかは、「松田定久」をモデルにしたのかも知れない。

★対応関係が間違っているかも(TVドラマは、新しく作った架空のオリジナル・ストーリーです)


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●放送週ごとのテーマ
【連続テレビ小説】らんまん 第01週「バイカオウレン」日本固有種。牧野がこよなく愛したとされ、高知の牧野植物園のロゴにもなっている。
【連続テレビ小説】らんまん 第02週「キンセイラン」牧野が命名。B.M.T.13: 128 (1899)
【連続テレビ小説】らんまん 第03週「ジョウロウホトトギス」マキシモヴィッチが命名。Bull. Acad. Imp. Sci. Saint-Petersbourg 32: 625 (1888)
【連続テレビ小説】らんまん 第04週「ササユリ」葉の縁が白くなる「フクリンササユリ」を記載発表する。
【連続テレビ小説】らんまん 第05週「キツネノカミソリ」オオキツネノカミソリを命名。Makino in Makinoa no. 9: 176 (1948), nom. nud., pro syn.
【連続テレビ小説】らんまん 第06週「ドクダミ」臭い成分はラウリン酸アルデヒドなど。熱を加えると、匂いは消える。
【連続テレビ小説】らんまん 第07週「ボタン」牧野著「植物知識」に解説が載っている。
【連続テレビ小説】らんまん 第08週「シロツメクサ」漢字表記は「白詰草」。言い伝えによると四つ葉のクローバーは幸運をもたらすが、このような考え方がいつ・どのように始まったかは明らかでない。
【連続テレビ小説】らんまん 第09週「ヒルムシロ」植物学雑誌の第1巻1号に牧野が論文を投稿している。1887 年。JJB: 1( 1): 2-8.
【連続テレビ小説】らんまん 第10週「ノアザミ」ノアザミの花言葉は、「触れないで」「独立」「素直になれない恋」「私をもっと知ってください」。高知市に薊野(あぞうの)という地名がある。
【連続テレビ小説】らんまん 第11週「ユウガオ」ヒョウタンの仲間、カンピョウの園芸品種。夕方から開花するので、日中の撮影には日長処理をした人工環境での栽培が必要。
【連続テレビ小説】らんまん 第12週「マルバマンネングサ」。牧野がマキシモビッチに送り、命名された。Bull. Acad. Imp. Sci. Saint-Petersbourg 32: 487 (1888)
【連続テレビ小説】らんまん 第13週「ヤマザクラ」日本植物志図篇に、精緻な線画が載せられている。牧野富太郎。1888-1891.日本植物志図篇。敬業社。東京。
【連続テレビ小説】らんまん 第14週「ホウライシダ」1892年、安芸市内の穴内、伊尾木洞などで採集している。
【連続テレビ小説】らんまん 第15週「ヤマトグサ」牧野が大久保と共著で(日本人だけで)、記載発表した記念すべき植物。in Makino in B.M.T. 3:5(1889, njn)
【連続テレビ小説】らんまん 第16週「コオロギラン」牧野が彩色画をマキシモビッチに送り、同定を依頼した。B.M.T. 4:197(1890), n.n.
【連続テレビ小説】らんまん 第17週「ムジナモ」牧野が精密な線画を描き、世界の植物研究者を驚かせた。Makino in B.M.T. 4:235 & 425 (1890, ntj, njn)
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●上記の植物で、襲速紀要素(ソハヤキ要素)と考えられる植物
ジョウロウホトトギス、コオロギラン:牧野が新種として記載した植物に、ソハヤキ要素の植物が含まれてい居ることも、特筆すべきと思います。
(当時、東大の植物研究者は、四国・九州の植物を見る機会が少ないと考えられます)

●襲速紀要素の文献
行本では、少し古いが、
前川文夫。1977.日本の植物区系。玉川大学出版部があります。
Amazonで、500円程度(中古)

●日本の固有植物についての概説
国立科学博物館(編)。2011.国立科学博物館叢書⑪「日本の固有植物」。東海大学出版会。3800円。

●襲速紀要素:前原勘次郎「南肥植物誌」(1931)の前書きで、京都大学教授:小泉源一が使った言葉。
明確に定義されていないため、様々な解釈がなされています。
上記「日本の植物区系」で、定義づけられたと考えています。

●ソハヤキ型分布をする植物は、中国大陸の温帯域(雲南省周辺)を起源とする植物が多い。
堀田「植物の分布と分化」p276-p27を参照。絶版。
堀田満。1974.植物の進化生物学III.植物の分布と分化。三省堂。4600円。(絶版)
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●小石川植物園で活躍した研究者:牧野富太郎
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/gallery/exhibits/bg001.html

●矢田部良吉デジタルアーカイブ
https://dex.kahaku.go.jp/yatabe

●矢田部良吉年譜稿
太田由佳・有賀暢迪.2016.矢田部良吉年譜稿。Bull. Nat. Mus. Nat. Sci., Ser. E, 39, pp. 27–58。
https://www.kahaku.go.jp/research/publication/sci_engineer/download/39/L_BNMNS_E39_27.pdf

大久保三郎・松村任三・染谷徳五郎・池野成一郎・田中延二郎・白井光太郎・平瀬作五郎は、Wikipediaを参照。

★大場秀章。2009.牧野富太郎伝に向けた覚書き。分類。9(1):3-10.
日本植物分類学会 第7回 東京大会 公開シンポジウム講演記録「牧野 富太郎 博士の植物研究とその継承 」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/9/1/9_KJ00005379905/_pdf/-char/ja

★増田芳雄。1996.日本における植物学の曙。人間環境科学。5:33-83。
file:///C:/Users/fujii/Downloads/KJ00000196022.pdf

東大植物学と植物画――牧野富太郎と山田壽雄
https://www.um.u-tokyo.ac.jp/web_museum/ouroboros/v24n3/v24n3_kurata.html

常設展:時を越える自然の証人 -東京大学収蔵・植物標本-
https://www.um.u-tokyo.ac.jp/web_museum/ouroboros/v13n1/v13n1_ikeda.html
牧野採集のムジナモ標本画像がある。

大場秀章(編)1996.日本植物研究の歴史:小石川植物園300年の歩み。
http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DKankoub/Publish_db/1996Koishikawa300/index.html
付録:明治十四年小石川植物園日誌。
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●牧野富太郎が収集した植物関連書籍(6万点ともいわれる)
高知県立牧野植物園:牧野文庫
https://www.makino.or.jp/fixed/?page_key=science-facility
当時、高価な外国の洋書を個人でこれだけそろえるのは相当な金額になったものと考えられます。
(大学の図書室でも、これだけの予算が工面できないのでは?)
牧野が生涯に集めた植物標本は、40万点と言われています。
これら(書籍:6万点、植物標本40万点)を保存する倉庫も必要になるだろうし、個人での維持管理費用も大変なものだったと考えられます。


ダウンロード●2014大阪府にハイノキは産しない ( .pdf / 326.6KB )
ダウンロードコオロギラン ( .pdf / 211.1KB )


イワタバコ 磯野久美子 投稿日: 2023年07月24日 23:27:13 No.762 【返信】

7月22日、赤目を歩いて来ました。2019年秋の例会に参加できなかったので、赤目に来たのは子供の時以来かもしれません。昔から両生類・爬虫類が好きなので、赤目と言えばオオサンショウウオの記憶しかなかったのですが、思っていたより滝川の水量が多く、涼しくて、改めていい所だなあと思いました。カジカガエルの声も聞こえて、嬉しかったです。
渓流沿いにイワタバコの花を沢山見ました。どの個体も沢山蕾をつけていて、開花したものも3割位はあったでしょうか。
イワタバコは花の大きさに比べると全体に葉が大きいと思いますが、中にはとてつもなく大きな葉の個体もありました。しかし、岩壁一面に小さな葉がびっしりと出ている所もあちこちにあり、ああ、これがあそこまで細胞分裂して大きくなって行くのだなあと思うと、ちょっと感動しました。
ウィキペディアで、イワタバコの若葉は山菜として昔から食べられて来た事を知りました。
イワタバコのほかに目についた花はハグロソウ、ダイコンソウ、ハエドクソウの仲間、朝ドラで話題になったマルバマンネングサ、ギボウシの仲間。またいずれも1個体だけでしたが、ノギラン、キランソウの花も見ました。
葉しかありませんでしたが、葉の形が気に入っているアギスミレの群落も目を引きました。私の好きなマツカゼソウもありました。
マツカゼソウはシカが食べないので、どこにでも沢山ありますが、私は花がない時でも、この葉の形や全体の姿が好きです。独特のニオイも嫌いではありません。オトナになって山歩きを再開した頃、山道の両側に延々とこのマツカゼソウが続いている所があり、こんなに美しい植物がこんなに沢山あるのに、私は名前も知らないなあと思って、イチから自力で名前を調べたら名前が松風草とこれまた風流で、以来、私にとってはスペシャルな植物となりました。
岩窟滝からは、出合茶屋を経て赤目口駅まで歩きました。途中、ヒグラシの大合唱がサラウンドで聞こえ、まるで極楽浄土に来たかのように心地よかったです。道路を渡るカモシカとも遭遇し、目が合いました。
入口の日本サンショウウオセンターでカスミサンショウウオだけ水槽のどこを見ても、何回見ても姿が見えなかったのがちょっと心残りです。

写真
1枚目イワタバコの花と蕾
2枚目大きな葉のイワタバコ
3枚目岩肌にビッシリ生えているイワタバコの小さな葉
4枚目橋に沿って並んで咲くイワタバコ
5枚目カーテン状に水が弱いシャワーのように降り注ぐ岩壁に咲くイワタバコ
6枚目ハグロソウ


イワタバコ、カスミサンショウウオ 藤井俊夫 投稿日: 2023年07月25日 11:56:33 No.764
6月18日に、犬鳴山でもイワタバコがたくさん生えていました。

●昨年の堺市植物同好会の案内です
令和4年11月6日(日)犬鳴山渓谷 植物観察会 案内文
https://sakaisyokubutsu.blogspot.com/2022/11/blog-post.html
暖温帯性の常緑樹と岸壁に着生する植物が見られます。
南海本線:泉佐野、JR阪和線:日根野から南海バスで行けます。

●カスミサンショウオ類の分類について
最近、DNA解析により、種の区分が細分され、従来の分類体系と大きく異なっています。
下記site参照。
●Web両爬図鑑
https://herpetology.raindrop.jp/about
従来、カスミサンショウウオとされた種は九州北部の「カスミサンショウウオ」、瀬戸内海周辺の「セトウチサンショウウオ」、山陰地方の「サンインサンショウウオ」、紀伊半島南東部の「ホムラサンショウウオ」などに細分されています。

写真は6月18日に犬鳴山七宝瀧寺の滝周辺で見られたイワタバコです。


トカゲとカモシカ 磯野久美子 投稿日: 2023年07月25日 21:27:36 No.767
藤井様

犬鳴山の写真、ありがとうございます。
ここは何度かハイキングの時に通過したことがありますが、じっくり植物を観察したことがありません。
近植での観察会は私が入会する前の2007年に行われていたようです。
またの機会がありますように!

「Web両爬図鑑」というものがあることを教えていただき、ありがとうございました。
赤目の遊歩道の真ん中で、敏捷なはずなのに、おそらくは踏み潰されて死んでいたトカゲは青い尾で、おそらくニホントカゲだろうと思いますが、この鮮やかな青色は、雄では成長するにつれて消え、雌ではある程度残ることが多いということをこのweb図鑑で初めて知りました。勉強になりました。
ありがとうございました。

内臓と思しきものが少し出た動かないトカゲの写真を載せるのは顰蹙ものだと思うので、代わりにカモシカの写真を載せます。
こっちを向いた時に咄嗟に撮ったので、フォーカス甘いですが。




ウォーターヒヤシンス H-matsumoto 投稿日: 2023年07月24日 21:34:03 No.761 【返信】

 無印良品で「水草」と大きな看板が出ていたので近寄ったら、
きれいな籠、
「ウォーターヒヤシンス」環境にいいみたいなことが書いてあって、何だろうと思って
家で調べたら、「ホテイアオイ」でした!あんなに茎が長くなるとはビックリ。
昔から売られていたかしら?作ってみたい。
 増えて困るといえば「クズ」先端が美味しいと最近YouTubeでみたので食べてみよう。
増えすぎて厄介なものはとことん利用したいです。
 7月後半は自然史博物館の講演会の配信を見て、コシアカツバメ調査を頑張ってしまい、今まで下ばっかり見ていたのが急に上ばっかり見たら眩しくて、眩しくて。
それに私には巣から出てくるのを15分待つ忍耐力もないことが判明しました。
 8月はエアコンのきいた家でカモジグサとイヌムギの調理と動画作成に励みます。

 大学の時、私を自然観察会に誘ってくれた昆虫学の先生は「二兎を追う者は二兎を得る」がモットーで、虫も鳥も植物も!だったな(三兎じゃん!)
ホテイアオイ(外来種問題、炭素固定能力について) 藤井俊夫 投稿日: 2023年07月25日 11:23:13 No.763
●ホテイアオイ
南アフリカ原産の浮遊植物
水質浄化、炭素固定能力に優れているといわれているが、植物体の8割以上が水分で、刈り上げる労力、処分する費用を考慮しているのか疑問です。
(森林なら、毎年固定した二酸化炭素を材木という形で蓄積するので、刈り取る労力は全くかかりません。)
また、ホテイアオイは外来種問題としても問題になっています。

************●外来種問題について●************************************
●生態系被害防止外来種リストに掲載されています。
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html

●世界の侵略的外来種ワースト100に掲載されています(日本語版Wikipediaを参照)

●環境省の侵入生物database
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80810.html

★以前、鹿児島県の鶴田ダムに行ったら、湖面一面にホテイアオイが繁殖しており、駆除の大変さを思い知らされた。
https://www.asahi.com/articles/ASMCM5752MCMTLTB00N.html

********●以下は、植物(草本、木本全体の)物質生産(固定能力)について*********************
●植物の物質生産量について
生産力には、総生産と純生産があります。
植物が光合成によって固定した有機物量を総生産とよびます。
それから植物の呼吸によって失われた有機物量を引いたものを純生産とよびます。
すなわち、

純生産= 総生産 - 呼吸。

● 通常生産力というと純生産のことをさします。

● 純生産のデータとしては、
九州のスギの密植若齢林    4.4 kg 植物体乾燥重量/m2/年、
長野や栃木のアカマツ若齢林 2 kg /m2/年を越えます。
暖温帯の照葉樹林の若齢林 2 kg /m2/年程度の純生産を示します。

● 植物同士が光をめぐる高さの競争をすれば、草本植物は樹木にはかないません。
しかし、樹木は、高さをかせぐからこそしっかりした幹や根をもたなくてはなりません。
このため、総生産に対する呼吸の割合は大きくなります。
水分が欠乏する、栄養が乏しい、攪乱を受けやすい、寒冷が長期に及ぶ、など条件下では樹木の生育が難しくなり、
変わって草本植物が生育します。


*********************************************************************
●草本の物質生産量(ホテイアオイの生産量は、以下の最大値程度と考えられます。せいぜい5-10程度か?)

● 植物同士が光をめぐる高さの競争をすれば、草本植物は樹木にはかないません。
しかし、樹木は、高さをかせぐからこそしっかりした幹や根をもたなくてはなりません。
このため、総生産に対する呼吸の割合は大きくなります。
水分が欠乏する、栄養が乏しい、攪乱を受けやすい、寒冷が長期に及ぶ、など条件下では樹木の生育が難しくなり、
変わって草本植物が生育します。

●草本植物は総生産に対する呼吸の割合が樹木より小さいので、
 少々のストレス条件下でも十分に純生産が可能です。

チシマザサ:北海道ニセコ 1.6 kg /m2/年、
セイタカアワダチソウ:利根川河川敷  1.8 kg /m2/年の記録がある。
一般のススキ草原の生産量は、 0.6~1.2 kg /m2/年程度。

●農地として管理すれば草本植物をよい条件で育てることがでる。
C4草本のネピアグラス(プエルトリコ)  8.6kg /m2 (12ヶ月生産を続けるわけではないので、/年を省略)
サトウキビ(ハワイ)   6.71kg /m2の記録がある
日本のイネ   2.6 kg /m2程度が最高

●岩城英夫(編)1979.「群落の機能と生産」.朝倉書店.
寺島 一郎(東京大学大学院理学系研究科)
*********************************************************************

●日本植物生理学会【みんなの広場】登録番号3164 登録日:2014-10-25

乾物量換算の生産量は熱帯多雨林の平均値:  2 kg m-2 year-1ですが、

湿生草本植物のチェコやアメリカの
ヨシ、ガマ、イグサなどで         3〜4 kg m-2 year−1の純生産の記録があります。
日本でも、河川敷のオギ群落で        2 kg m-2 year-1の測定例があります。
*********************************************************************
●森林の物質生産量
森林タイプ別の純生産量
 カラマツ林 10.1±4.4 ton/ha/year
 常緑針葉樹林 13.5±4.2 ton/ha/year
 30年生ヒノキ林 16.3    ton/ha/year
 マツ林 14.8±4.1 ton/ha/year
 スギ林 18.1±5.6 ton/ha/year
落葉広葉樹林    8.7±3.0 ton/ha/year
ブナ林       19.3 ton/ha/year
 常緑広葉樹林 18.1±4.9 ton/ha/year
コジイ林      22.7 ton/ha/year
熱帯多雨林(タイ) 28.6 ton/ha/year
(只木,1971.森の生態.共立出版など)
*********************************************************************
ちなみに以前話題となった、ケナフの生産量(日本では1年草なので,純生産量に相当する)は 7-25 ton/ha/year で,森林の純生産量に比べて,格段に多いわけではない.
ケナフは一年草なので、毎年枯れた茎を刈り取る必要があります。
また刈り取った茎を燃やせば炭素固定の役割を果たせません。
紙すきやその他の工芸品にするにしても、労力と手間がかかり(二酸化炭素を排出するようなエネルギーを使う)、販売流通に乗らなければ、いずれ捨てられてしまうので、温暖化対策にはあまり貢献しないと思います。

●ケナフが注目されていた頃に書いた駄文が「日の目を見ました」。
伊吹寛子 投稿日: 2023年07月25日 12:36:57 No.765
二十年近く前のある年に3回各10日ほどタイに行きました。バンコクの近くを流れるチャオ・プラヤ川でホテイアオイが繁殖して困っているとのことで、駆除した物で作ったバスケットなどを売っていて、ホテイアオイに対するそのような対策も、使った製品も見たことがなく驚いたのを思い出しました。日本でも池などにホテイアオイが広がって困る話は聞いていましたが、流水でも?と現場を見たかったのですが、それは叶わず、ただ繁殖の様子のパネル写真だけを見ることで満足するしかなかったです。今はチャオ・プラヤ川がどんな様子なのか、今もそのような製品を作っているのかも分からないですが。
H-matsumoto 投稿日: 2023年07月25日 20:47:24 No.766
情報ありがとうございます。
無印良品の公式サイトに収穫、作り方の動画が載せられていましたが、すごく大きくで驚きでした(動画リンクがうまくここに載せれませんでした)
「べトナム南部にあるメコン川から集めたウォーターヒヤシンスの茎を、現地職人が一つずつ手編みしています。スチールフレームを使わず、自然繁茂している材料のみ使っている環境負荷が少ない商品」と説明されていました。
 20年ほど前にメコン川クルーズに参加した時には植物も籠も見かけなかったのでその後増えたのかな。上流の国がダムを作って水量が減っているらしいので心配。
 その時ベトナムで買った天然素材の籠から、虫がたくさん出てきたけど無印さんが輸入しているのは防虫対策してくれてるはず

https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550512057796 MUJIのサイト


ヤマユリ 西村徹也 投稿日: 2023年07月19日 22:54:51 No.759 【返信】

本日、2023.7.19(水)、金剛山の麓(千早赤阪村)を歩いてきました。
山道に、ヤマユリ(山百合)の花が咲いていました。
*ヤマユリ{ユリ科、ユリ属}

【写真】;ヤマユリ


ヤマユリ、テッポウユリ、園芸のシンテッポウユリ 藤井俊夫 投稿日: 2023年07月20日 13:42:53 No.760
Lilium:
世界に約100種。北半球の温帯地域に分布する。東アジアに60種。北米に30種。西欧に20種。
欧米では、東アジアのユリを交配して作出したオリエンタル・リリーとして流通しています。

●ヤマユリ(Lilium auratum Lindl.)
日本固有種。東北から近畿地方まで分布する。古来から花の美しさが鑑賞に用いられ、万葉集にも読まれている(万葉集:巻20-4369)
楽しい万葉集site
https://art-tags.net/manyo/flower/yuri.html
ヤマユリは、30年ぐらい前に奈良県の和佐又山で見た記憶があります。

伊豆諸島には、変種のサクユリ(L. auratum var. platyphyllum Baker)が分布する。世界最大のユリとして有名。カサブランカなどの園芸品種の原種である。

●テッポウユリ(Lilium longiflorum Thunb.)
日本の九州南部、琉球列島、台湾の海岸近くに分布する。
インドからビルマ周辺にかけて分布する Lilium wallichianum Schult. & Schult.f.と、同一種とする見解もある。
台湾には、変種の(var. scabrum Masamune)が分布するらしい。
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=240001418

●タカサゴユリ(Lilium formosanum Wallace)
テッポウユリに非常によく似ている。花被片外部に紫の筋が入ることやん」葉が細いことで、ようやく区別できる。
台湾の海岸から3500mの山地まで広く分布する。
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200027716

★最近テッポウユリとタカサゴユリを交配して作出されたシンテッポウユリ(Lilium x formolongo Hort.)が、野外に多数逸出して問題になっています。
種子から1年で開花結実し、種子は風散布で崖の上でも定着できます。自然の崖地状に生育した場合、除去は不可能です。
また、日本在来のユリとの交配により、遺伝子汚染が危惧されています。
樋口幸男。2016.恵泉 花の分化史(11)帰化植物としてのシンテッポウユリ。恵泉女学園大学園芸文化研究所報告:園芸文化12.
https://core.ac.uk/reader/236345556

●ヤマユリの参考文献
河野昭一(監修)植物生活史図鑑III.夏の植物1.北海道大学出版会。3000円。


金剛山の大雨による被害 西村徹也 投稿日: 2023年07月18日 00:09:52 No.758 【返信】

◎金剛山・国見城址付近
2023年6月16日、金剛山を歩いてきました。国見城址広場の北西斜面が崩落していました。時計台左横から青崩(あおげ)へ抜ける近道ルートも崩落していて通行不能でした。食堂と転法輪寺との間の青崩道に至るルートは歩けます。台風2号の影響で近畿地方でも大雨が降りましたが、おそらくその影響で、大雨直後の6月3日に崩落が発生したのではないかと思います。 

◎金剛山・山頂方面
2023年7月15日、現場から北西約11km先の富田林市錦織公園「みはらしの丘」から金剛山を撮影しました。崩壊が確認できます。

◎金剛山へのバス路線が再開
 南海バスも金剛バスも「登山口~ロープウェイ前」が、土砂崩れのため運休していましたが、数日前から再開されました。

【1枚目の写真】=2023.6.16撮影;国見城址・時計台付近 

【2枚目の写真】=2023.6.16撮影;国見城址・時計台北西斜面

【3枚目の写真】=2023.7.15撮影;富田林市錦織公園・見晴らしの丘から撮影した金剛山




外来のJuncus(イグサ属) 藤井俊夫 投稿日: 2023年07月16日 13:28:53 No.756 【返信】

外来のJuncus(イグサ属)

先日、ひとはくに来たM氏から近くの公園で外来のJuncusがあったので、名前を調べてくれと言われた。
Juncusは、世界に200種以上が分布するとされ、中国で70種、北アメリカで100種以上がある、とんでもない(と私は思っている)仲間です。
Missouri Botanical Gardenの、efloras@orgを参照のこと。

とりあえず、写真を挙げておきます。
以前から気づいていたが、標本を採集する気にならなかった。
クサイと混生しています。
写真の左がクサイ、右が新しく侵入したJuncusです。

今日は、兵庫県全体でプレミアム芸術dayをやっています。
下記site参照。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk18/kenminpuremiamu2.html
最近はやりの、多様性やユニバーサルデザイン(障害の有無に関係なく,すべての人が使いやすいように製品・建物・環境などをデザインすること)
を考慮した展示解説をするというものです。
(短期間ですが、触れる展示を増やすぐらいです)


植村 修二 投稿日: 2023年07月17日 23:34:35 No.757
藤井俊夫さま

 イグサ属Juncusは、私のところに同定依頼がくるのですがなかなか同定して返事がだせない外来種が多くありました。そのため、イグサ属のモノグラフFlora of the world 8.Juncaceaeを購入して同定しました。

 クサイに類似した外来種としては、アメリカクサイ、オオタチクサイ、セイタカクサイ、ナギナタクサイなどが報告されています。私は、オオタチクサイとセイタカクサイとの2種しか実物を見たことがありません。この2種は自宅で栽培し、観察しておりました。「藤井さんが画像を紹介された不明種」(以下、藤井氏不明種と略す)はこの2種ではありません。

 同書をみてみますと、藤井氏不明種はJuncus dichotomusによく似ておりました。根気よく花や果実、葉の付け根などを見ていくと種名が判明するでしょう。そして、間違っているかもしれないですが、ナギナタクサイと報告された植物は、藤井氏不明種と同じ植物である可能性もあります。以前、いろいろ調べていたのですが、資料は自宅の震災で失いました。



 


ヤマトグサの所属について(アカネ科になりました) 藤井俊夫 投稿日: 2023年07月16日 12:59:24 No.755 【返信】

従来、ヤマトグサは、ヤマトグサ科に属する一科一属数種の系統関係が不明な分類群とされてきました。
eg.保育社の原色図鑑では、新エングラー体系のヒユ科とヤマゴボウ科の間に位置する。
  平凡社の旧版日本の野生植物では、アリノトウグサ科とスギナモ科の間に位置する。(新エングラー体系)
   (Wikipediaの「新エングラー体系」を参照)
  クロンキスト体系では、アカネ科の隣に置かれている。(アカネ目)
  (Wikipediaの、「クロンキスト体系」、「クロンキスト体系詳細」を参照)
  
●下記論文に、ヤマトグサ属はアカネ科に所属するとの報告が載っていました。

Tao Deng, Jian-Wen Zhang, Ying Meng, Sergei Volis, Hang Su1 & Ze-Long Nie.2017.
Role of the Qinghai-Tibetan Plateau uplift in the Northern Hemisphere disjunction: evidence from two herbaceous genera of Rubiaceae.
Nature: Scientific Reports.7:13411.
https://www.nature.com/articles/s41598-017-13543-5

●p3.のFig.1.を参照。
based on fve plastid sequences (rbcL, rps16, trnT–F, atpB–rbcL and psbA–trnH).
(葉緑体DNAを使った系統解析を行っている。familyなどの大分類群の系統関係には有効な手法)

系統樹で、ヤマトグサ属が、アカネ亜科、ケロギア亜科、プトリア亜科(いずれもアカネ科に所属)の間に入っているので、現在はアカネ科に入れられた。
アカネ科は世界に600属、1万種以上があるとされています。

●Fig.1.の学名(和名)
Rubieae(アカネ連:アカネ科)
Kelloggia(ケロギア属:アカネ科:2種があり、中国とアメリカに分布する)
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:34784-1
Theligonum(ヤマトグサ属:地中海から西アジアにかけてと中国、日本に、4種が分布する)
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:41017-1
Putorieae (プトリア連:アカネ科)→現在は、Plocamaの、synonymとされる。地中海から西アジアにかけて、30種が分布する)
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:35148-1

★国立 基礎生物学研究所の「ヤマトグサ」も参照。
植物発生進化学:読む植物図鑑 Plant Development and Evolution
風媒のスペシャリスト、ヤマトグサ属 Specialist of wind-pollination Theligonum
https://www.nibb.ac.jp/plantdic/blog/
図6と図7の間の文章を参照。

●アカネ科で、風媒花の植物。
Anthospermeae(アントスペルマ連)。12属、200種が所属する。主に南半球に分布する。


ヤマトグサ 相良真佐美 投稿日: 2023年07月06日 20:22:49 No.735 【返信】

NHK「らんまん」ではヤマトグサが登場しました。
ヤマトグサは、牧野富太郎博士が発見しましたが、当時は肩書がなかったので、大久保三郎助教授(ドラマでは大窪助教授:今野 浩喜)と共同で記載・発表しました。

 植物学雑誌 1889年3巻23号p.19 日本植物報知第二(前號ノ續)
 五~六ページ 〇 いらくさ科
 (74) Thelygonum Japanicum,n.sp. Okubo et Makino.
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/3/23/3_23_1/_pdf/-char/ja

なお、原本の属名ではThely(女の)-gonum(膝)として Thelygonum と綴っていますが間違いで、正しくは Theligonum です。

また、「山に咲く花」(山渓ハンディ図鑑2)などでも「牧野富太郎が日本人として初めて学名を付けた記念すべき植物」と記載されていますが、
1888年に伊藤篤太郎(ドラマでは伊藤孝光:落合モトキ)のトガクシソウ(学名:Ranzania japonica (T.Itô ex Maxim.) T.Itô)をロシアの植物学者マキシモヴィッチに最初は協力してもらって、英国で発表したのが「日本人により学名を付けられた最初の植物」で、
ヤマトグサは翌年の1889年に「日本人によって初めて日本から記載・発表された植物」ですが、日本人としては2番目に学名を付けたことになります。

一方、トガクシソウを巡って伊藤篤太郎と矢田部教授(ドラマでは田邊教授:要 潤)と「破門草事件」が起こります。
史実としてはWikipedia ↓ に【 学名と「破門草事件」】として載っています。
https://tinyurl.com/m69mwsye

ドラマは今後どんな展開になるのでしょうか。


ヤマトグサの基準標本、高知の名野川から鳥形山、黒滝山、天狗高原 藤井俊夫 投稿日: 2023年07月07日 16:21:16 No.736
ヤマトグサ属(Theligonum)は、リンネが Species Plantarum 2:993(1753) で記載しています。
https://www.ipni.org/n/41017-1
Thelygonumは、牧野の誤記と思います。

●ヤマトグサのtype(副基準標本:Paratypeと選定基準標本:Lectotype)の画像が都立大の牧野標本館(MAK)で公開されています。
http://ameba.i.hosei.ac.jp/BIDP/MakinoCD/makino/html_j/index0.html

●ヤマトグサの線画が植物学雑誌に載っています。
Makino,T.1908. Observations on the Flora of Japan. 23(268):81-95.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/23/268/23_268_81/_pdf/-char/ja

ここでは、ヤマトグサの学名をCynocrambe japonicaとしている。(属(genus)の組み換えを行っている)。
現在はCynocrambeは、Theligonumの、synonym(同物異名)とされている。
ハシカグサ(Hedyotis)に似ているとの記述がある。

★標本の採集者にK.Watanabeとあるのは、ワタナベソウを発見した渡邉協(わたなべ・かなう)のこと。
(Wikipedia:ワタナベソウを参照)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ワタナベソウ
仁淀川町観光ポータルサイトに、ワタナベソウの解説有り。
https://www.niyodogawa.tv/news/news-15464/

●ヤマトグサ属(Theligonum)は世界に4種ほどが知られている。
地中海周辺に1種、日本及び東アジアに3種ほどが知られている。
Flora pf China
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=132763
参考(POWOの分布図)
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:41017-1

ヨーロッパの、Theligonum cynocrambe(分布)
https://www.europlusmed.org/cdm_dataportal/taxon/58513445-c597-4c5a-991d-2255b9abd842
*********************************************************************
そういえば、昔(2008年10月)に、天狗高原に行ったのを思い出した。
渡辺協さんの活動地域(名野川)の南10kmに、鳥形山があります。
鳥形山は石灰岩でできており、山の西側はセメント用の石灰岩採集地になっている。(伊吹山と同じです)。
トリガタハンショウヅルなどが採集されています。
天狗高原は、鳥形山から10kmぐらい西にある。
天狗高原との中間にある黒滝山ではクロタキカズラが採集されている。

●以前、泊ったところ(国民宿舎だったと思う)は、立派なホテルになっている(1万円からー)。
https://village-tengu.com/
大阪から高速を使って、6時間ぐらいかかる。
ヤマトグサの雌花 相良真佐美 投稿日: 2023年07月13日 14:36:53 No.749
7月13日放送のNHKドラマ「らんまん」では、属名Theligonumのスペルは正しく放送されていました。
また、「ヤマトグサは雌花に毛がある」と分かり「新種発見!」と歓声を上げるシーンが見せ場でした。

手持ちの写真を調べましたが、雌花はうまく映っていませんでした。毛は確認できませんでしたが雌花はこれのようです。
撮影当時は、雄花ばかりに目が行き、雌花が重要とは知りませんでした。これからは注意して撮影したいと思います。

雌花の解剖画像は、以下のサイトにあります。
植物発生進化学:読む植物図鑑「風媒のスペシャリスト、ヤマトグサ属 」↓ 
https://www.nibb.ac.jp/plantdic/blog/?p=1166

ドラマは、トガクシソウを巡る破門草事件に展開のようです。


藤井俊夫 投稿日: 2023年07月13日 17:39:11 No.750
●前回の相良さん投稿の写真に、雌花と思われる突起が写っています。
ヤマトグサ 相良真佐美 投稿日: 2023年07月06日 20:22:49 No.735 【返信】
左の写真:右から3本目の茎、上から2個目の葉の付け根に二本の小さな突起が見えます。
風媒花の特性として、雌花は雄花の上や下に離れて着き、開花時期がずれることがあります。
自家受粉を避けるためと考えられています。
ヤマトグサでは、雌花は雄花より下に着き、雄花が終わるころに開花するものと考えられます。
長谷部さんの「植物発生進化学:読む植物図鑑の、右上の写真を参照のこと。
https://www.nibb.ac.jp/plantdic/blog/wp-content/uploads/2023/05/ヤマトグサ-Theligonum-1.jpg

●牧野がすでに、植物学雑誌でヤマトグサの雄花、雌花の拡大図を描いています。
ヤマトグサの基準標本、高知の名野川から鳥形山、黒滝山、天狗高原 藤井俊夫 投稿日: 2023年07月07日 16:21:16 No.736
●ヤマトグサの線画が植物学雑誌に載っています。
Makino,T.1908. Observations on the Flora of Japan. 23(268):81-95.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/23/268/23_268_81/_pdf/-char/ja
この図には、雌花の拡大図があるが、茎の最下部に着くと思われる雌花については描かれていない。
雄花の開花期には、雌花はまだ成熟しておらず、雌蕊が突出していないと考えられます(雄花の拡大図の横に小さく飛び出しているのが雌花です。)
子房上の毛の表現も、見事というほかありません。
テレビに出た雌花のスケッチは、上記の牧野の線画から書き起こしたものと思います。
相良真佐美 投稿日: 2023年07月13日 20:34:20 No.751
藤井先生

 ありがとうございます。アドバイスを基にもう一度、毛の生えた子房がないかヤマトグサの全部の写真をじっくり探しました。
 そうすると、それらしきものがありました。湾曲した花柱と毛の生えた子房らしきものも見つかりました。
 次回は、この部位を集中的に撮影して確認したいと思います。
 
 


辻本 穣 投稿日: 2023年07月15日 11:48:01 No.752
当園にも、ヤマトグサは保有していますが、花は咲かなく
今春、金剛山までみにいきました。
教えてもらえないと分からないことばかりです。
ありがとうございます。
相良真佐美 投稿日: 2023年07月15日 22:16:09 No.754
辻本 様

4月に辻本さんが統括されている「西日本絶滅危惧植物」のエリアにお邪魔した時は、数本で花の咲きそうなのがありました。
ヤマトグサは多年草ですから、また来年期待ですね。

(直前の投稿画像で、コハコベが写り込んでいて紛らわしいので削除して再投稿ました。)

来週、ドラマ らんまん は第16週「コオロギラン」ですね。




ケアクシバ 西村徹也 投稿日: 2023年07月11日 23:52:10 No.748 【返信】

本日、2023.7.11(火)、金剛山(千早赤阪村)を
歩いてきました。
ケアクシバ(毛灰汁柴)の花が咲いていました。
*ケアクシバ{ツツジ科、スノキ属}

【写真1枚目】;ケアクシバ(全体)
【写真2枚目】;ケアクシバ(花) 

No.747に花の写真を添付するのを忘れましたので、No.747は削除し、投稿しなおしました。




シラホシムグラは『もぐり込み植物?』 植村 修二 投稿日: 2023年07月10日 10:29:33 No.745 【返信】

 2023年5月27日から28日に実施した近畿植物同好会の長野観察会で泊まった「ホテル ルートイン塩尻」の近くには、シラホシムグラGalium aparine L.が多く見られました。観察会の翌日、朝早く起きて、帰化植物の状況を見て回ったところ、シラホシムグラが道路沿いのサツキやヒラドツツジなど刈り込まれた樹木のグリーンベルト内に多く見られ、近くに空き地があるとそこへ広がっていくようでした。

 以前に『帰化植物とつきあうにはなにが大事なのか』を書く際、都市部では、路面間隙に生育できる植物の性質が分布拡大に有利であるとまとめました。

 実は、この部分を書くにあたり、載せるか、やめておくか、ずいぶん悩みました。
それが、「樹木の植えますに生育できる植物たち」と「刈り込まれたグリーンベルトに生育できる植物たち」でした。

 前者は、路傍にある種類とそれほどかわらないので最終的に載せなかったのですが、後者はどうも特定の植物、ニセカラクサケマン、カベイラクサ、オオヒカゲミズ、そしてシラホシムグラがそのような広がりを見せているらしかったですが、観察例が少なく、結局載せないことにしました。

 今回、塩尻市内で下見の時を含め、シラホシムグラを観察した結果、グリーベルトに入り込んで分布を広げていることに確信が持てました。

 観察会が終わってずいぶん日がたっています。遅れた理由は、このような植物をネーミングした本を捜していたからなのです。結局みつからず、そろそろ期限かと思い、『もぐり込み植物?』として載せることにしました。

 『もぐり込み植物?』という名前、間違って記憶していたら申し訳ありませんが、たしか唐沢孝一さんの著書だったと思います。見つからないので、大阪北部地震の震災で失ったかもしれないです。この件でご存じの方おられましたら教えてほしいです。

参考文献
 植村修二2012:帰化植物とつきあうにはなにが大事なのか — 特に近畿地方における帰化植物の分布の動態、現状と関連して、雑草研究57(2):36-45.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/weed/57/2/57_36/_article/-char/ja/からダウンロード可)


植村 修二 投稿日: 2023年07月10日 14:02:17 No.746
『もぐり込み植物』が載っているのは、以下の本でした。近畿植物同好会の掲示板を見た人から連絡がありました。


唐沢孝一2018:『カラー版 - 目からウロコの自然観察』 (中央公論新社書)


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