近畿植物同好会 掲示板
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ナミガタタチゴケ 相良真佐美 投稿日: 2023年03月22日 10:02:50 No.500 【返信】

3月19日に、京都市西京区の大原野に行きました。いろいろなコケと出会えました。
その中で、ナミガタタチゴケを観察しました。これは、スギゴケ科ではコスギゴケ、ウマスギゴケと並んで最初に学ぶポピュラーなコケです。
山地だけでなく寺院の庭園などでもよく見られます。
ナミガタタチゴケ Atrichum undulatum は、葉は披針形で横じわが特徴で、乾燥すると強く縮れます。

胞子の出た蒴の撮影をしていると、中から残った胞子がこぼれました。顕微鏡で見ると、20μmほどですが、図鑑にはサイズが記載されていません。
Flora of North Americaには、「Spores (12–)16–28 µm」とあったので、範囲内でした。
ちなみに、スギ花粉が30~40μmなので、直径で半分ほどです。

葉を顕微鏡で見ると、中肋には、ラメラ(薄板)が6列ありました。図鑑では4~6列、(Flora of North Americaではlamellae 2–6)とあり範囲内でした。

横じわに沿って、20~30μmの高さの歯状の突起が並んでいました。これは図鑑やネットでは画像を見たことがなく初めて知りました。
透過光で見ると黒く見えたのは、これが見えたからのようです。

参考文献
 日本の野生植物 コケ 平凡社
 原色日本蘚苔類図鑑 保育社
 日本産蘚類概説 野口彰著 北隆館
 特徴がよくわかるコケ図鑑 藤井久子著 家の光協会
 コケの国のふしぎ図鑑 左木山祝一著
 校庭のコケ 全国農村教育協会
など




霜柱を作る植物、シモバシラ(Keiskea japonica)について 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月21日 16:41:15 No.497 【返信】

磯野様 

森林植物園の「シモバシラ写真展」の話題が出たので、
ひとはくでもシモバシラの霜柱写真展をしていました(ヤヤコシイ)。
展示パネルの解説を校閲してくれと頼まれた(ほとんど、査読状態)。。
以下、カタカナ表記は植物です。

●シモバシラ(Keskea japonica)
シソ科、シモバシラ属の多年草。
シモバシラ属は日本(1種)と中国南部(5種)に知られる。
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=117022
近似のCollinsoniaは、北アメリカに数種が分布する。
(最近は、KeiskeaをCollinsoniaに含める見解が取られている)
●Collinsonia(Keiskeaを含む)分布図。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:328177-2

●これも、第三期周北極要素の一つと考えられる。
小林武栄。1997。氷河時代と森林。水利科学。41(5):1-12.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suirikagaku/41/5/41_1/_pdf/-char/ja

●日本でのシモバシラの分布
ソハヤキ要素型の分布をする。
(日本語版Wikipediano「襲速紀要素」を参照)
京都大学の教授であった小泉源一が前原勘次郎の「南肥植物誌」(1931)の前文で、初めて使う。
九州の「熊襲」(九州南部)、速吸の瀬戸(現在の豊予海峡:大分と愛媛の間)、紀州(和歌山県)から、命名した。
九州から、四国、紀伊半島、伊豆半島までの地質学的に西南日本外帯と呼ばれる地域に分布し、中国西南部(雲南省周辺)に起源をもつ植物が多いとされる。

●日本の地帯構造図
http://ww.uenosato.net/daichi/1_tsukuri/3_rekishi/chishi_2.html
図の中央構造線の南側。薄黄色の部分が西南日本外帯。四万十帯と表記されている部分に、襲速紀要素の植物群が分布している。

●日本海学講座「第1回日本海側気候と植物」より
http://www.nihonkaigaku.org/library/lecture/i040605-t1.html
ソハヤキ要素の成立についても言及されている。

●ひとはくでも、シモバシラ写真展を去年の12月から今年1月までやっていました。
1.展示解説パネル(2022年12月から2023年1月まで)
シモバシラと霜柱の解説ではなく、伊藤圭介(Keiskeaのもとになった)とシーボルトの関係から日本の植物がヨーロッパに紹介された経緯の解説になっている。
Keiskea(シモバシラ属)は、シーボルトの持ち帰った植物標本を研究したオランダのライデン大学教授であったミクエルが、伊藤圭介を記念して命名した。
日本の植物を紹介した飯沼慾斎(1856-1862)「草木図説」などから影響を受けた。
国立公文書館:江戸の花だより(西洋植物学の紹介)
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/hana/contents/11.html

●シモバシラによる、霜柱形成の報告
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsir/2012/0/2012_230/_pdf
https://obihiro.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=21&item_id=973&item_no=1

★添付画像
2018年1月6日のシモバシラ写真展・解説講座のパワポから。
2.シモバシラ1:植物地理区で、日華区系区の南から日本へやってきたのが襲速紀植物にあたる(図は、インターネットだったか、保育社の原色図鑑か?、から拝借)。
3.シモバシラ2:日本の植物地理区で、太平洋側の植物が襲速紀植物群(堀田満。1974.植物の分布と文化。三省堂。)
4.シモバシラ3:霜柱を作るとされるソハヤキ要素の植物(藤井原図。写真はインターネットから拝借)。


ダウンロード20221101 ひとはく写真展示説明文 修正後 最終版 ( .pdf / 342.7KB )
シモバシラと毒展とモンステラの果実その後 磯野久美子 投稿日: 2023年03月22日 00:46:34 No.499
藤井様

シモバシラについて文献ありがとうございました。
ゆっくり読ませていただきます。
ギンバイソウやミカエリソウでも霜華が見られるのですね。
寒い所で見ることができるようなイメージがあったので、ソハヤキ要素型分布をすることに驚きました。
いつかどこかで、朝早く氷が解けないうちに遭遇できる機会がありますように。

ところで、3月21日、「毒」展に行って来ました。
朝イチで入るつもりがちょっと出遅れたために超満員でしたが、ほかのお客さんたちの会話も含めてとても面白かったです。
まだこれからいらっしゃる方が多いと思いますので、ネタバレみたいなことは書きませんが、シュウ酸カルシウムについてはポトスとクワズイモが例示されていました。
そばに藤井さんが作成された標本も展示されていてなんだか嬉しかったです。
また、牧野さんが明治42年に作成された標本も展示されていました。
今度の朝ドラは見ようと思っています。録画機が不調で、不安ではありますが。
勿論脚色もあるでしょうけど、牧野さんは実人生自体がドラマチックなので、きっと面白いドラマになるだろうと期待しています。今、どこの本屋さんにも沢山牧野さんの本を並べていますね。意外でしたが、私の周りにも牧野富太郎という名前すら知らない人もいると分かったので、ドラマになって広く知ってもらえるようになるのはいい事だと思っています。
毒展のお土産には「毒まんじゅう」を買って帰りました(^^♪

ついでにもう一つご報告を。
モンステラの果実、3月21日にようやく完食しました。
12日に皆さんに試食していただいた後、果実の上半分の果皮がなかなか剥がれて来ず、蒸れるかと思ってラップをしていなかったら、小バエみたいなものが飛んで来るようになり、これはまずい、もし卵でも産まれたら大変だと思って、ふんわりとビニール袋に入れておいたのですが、今度は微妙にカビて来たような気もしたので、もう待てないと思い、箸で果皮を取り除いて食べました。捨てるという選択は私にはできず、全部きれいに美味しくいただきました。しかし、やっぱり通常のデザート位の量を食べると口中が幾分いがいがしました。


京都の街中で 伊吹寛子 投稿日: 2023年03月21日 20:09:44 No.498 【返信】

多分、前の掲示板にも、そして今の掲示板の#270にも藤井俊夫先生が「京都市左京区の百万遍交差点の近くでコケトキンソウを見ている」と書いておられるので気になっていたところ、知人が昨年末に「百万遍交差点近くでコケトキンソウとカラクサナズナを見た」と情報をくださいました。

年末の慌ただしい中、町に出たついでに見に行くと、百万遍交差点近くでコケトキンソウは猛烈に繁殖していました。最近では除草されて減っていますし花は終わったようですが、まだまだ勢力旺盛です。

カラクサナズナについては「全草に強い悪臭があり、牧草に混じって牛が食べると牛乳が臭くなり商品にならなくなるそうです(https://neko-net.com/hana/archives/30324)」とネットにありますが、その記述に違わず強烈な臭いがしました。でも、そこでしか嗅いだことがありませんので、植物の臭いなのか、散歩するイヌの…の臭いなのか判然としません。

その後、その近くでイヌノフグリもあることを知って見に行くと、毛深いフラサバソウやタチイヌノフグリの濃い青い花の近くで、京都で絶滅危惧種に指定されているイヌノフグリが、可愛い花をつけていました。

また、陽気に誘われて吉田山に登り(と言ってもご存知の通り丘ですが)周辺をウロウロしますと、紫が際立ったミミナグサにも出会いました。あんな街中周辺でも色々の植物があることが、とても嬉しかったです。吉田山では私がもう一度見たかったコスギゴケの派手な雄花盤にも出会えて、オマケがつきました。

画像は 1:コケトキンソウ 2023年2月5日
2:カラクサナズナ 2023年1月20日
3:   〃    2023年3月9日
4:イヌノフグリ  2023年3月11日
5:ミミナグサ   2023年3月11日
6:   〃 の種子(ちょっと画像が暗いですが)2023年3月11日




ザゼンソウの発熱に関する報告(赤外線写真あり)と、温室植物について 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月19日 12:59:11 No.491 【返信】

磯野様

ザゼンソウの発熱に関する報告に、花のサーモ写真が載っています(図1)。
https://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/press/2009/20090905/20090905_1.pdf
東北大の研究チームの一連の研究成果です(2009年)。
https://europepmc.org/article/PMC/2736897
Fig.1(A).に、1週間の温度変化と、雌花(female)・両性花(bisexual)・雄花(male)の変動グラフがあります(雌性先熟:サトイモ科によく見られる、両性雌雄同株)。
Figures7の、ウィンドウ画面をクリックすると拡大できます。
以下に述べる温室植物など、3タイプが有名だが、ザゼンソウは、花の部分だけを(発熱させて)温室に変化させる種類と考えることができます。

●温室植物(Wikipediaを参照)
ヒマラヤの高山帯に生える植物で有名な、ノビレ大横(Rheum nobile):タデ科ダイオウ属。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:696766-1

●クッション植物(Wikipediaを参照)
乾燥地や、高山帯などに生え、マット状になって乾燥や低温に耐える。
(密集すると、「押しくら饅頭」や「サル団子」の効果がある)
Arrenaria(ナデシコ科:ノミノツヅリ属)

●セーター植物(Wikipediaを参照)
高山帯に生え、茎葉に綿毛を生やして、低温から守る。
ワタゲトウヒレン Saussurea gossypiphora

他にも、花がパラボナ・アンテナ型になり、日光を集めて温室効果により、昆虫を誘因するフクジュソウのような植物もある。
キンポウゲ科の春先に咲く黄色の花をつける種類(Ranunculus)は、紫外線を吸収し誘引効果を高めている。
黄色の花弁(ガク)の中心付近が紫外線を吸収し黒くなる。蜜標(nectar guide, nectar sign)としての機能を持つ。

追伸
霜柱、シモバシラ(Keiskea japonica)についても、過去に作成した解説を探索中です。
Re:発熱機序 磯野久美子 投稿日: 2023年03月20日 01:48:25 No.494
藤井様

文献、ありがとうございました。
ザゼンソウは寒冷地で自生する唯一の発熱植物だったのですね!
花のサーモ写真や気温変化とメス期→両性期→オス期での温度変化の比較グラフはとても分かりやすかったです。
ザゼンソウの花はメス期の方がオス期より温度が高いとかミトコンドリアの量が多いとか、オス期でも非熱産生植物よりは多いとか、飛ぶのにエネルギーを使い、冬眠もするコウモリと比較して考えてみるとか、面白かったです。
こういった研究が耐寒性作物の育種に活かされて行くことに感動しました。
また、電子顕微鏡下での超微細構造の研究には驚嘆しました。知らない言葉を調べていたら、筑波大学のBotany WEBの「花粉」の項目に行きつき、科によるタイプの違いまで研究されていることを知り、学問の世界は進んでいるんだなあと思いました。

温室植物やセーター植物などについても教えていただき、ありがとうございました。
クッション植物の3000歳の個体もあるという話には驚きました。
また、フクジュソウのパラボラアンテナの話は聞いたことがありましたが、黄色いキンポウゲ科の花の中心が紫外線を吸収して黒くなることで蜜標となるというお話は初めて聞きました。勉強になりました。
早とちりしました(>_<) 磯野久美子 投稿日: 2023年03月20日 12:09:04 No.496
藤井様

哺乳類BATと書いてあったので、コウモリかと思いましたが、褐色脂肪組織(Brown adipose tissue)の略でした…(^^;
へええ、コウモリ!と思って、「コウモリ 熱産生」で検索したら、またそれらしい文献が出て来たので、完全に思い込んでしまいました。
難しい論文を深夜にパソコン画面で読んだのが間違いでした。
ちゃんと紙に印刷して落ち着いてゆっくり読まないといけませんでした。大反省です。

なお、この度、使用するパソコンによって使う翻訳ソフトが違うのか、和訳文が異なることに気がつきました。
例えば、Symplocarpus renifoliusをザゼンソウと訳せないのは仕方がないのかもしれませんが、パソコンにより水芭蕉と訳すものがあったり、スカンクキャベツと訳すものがあったりしました。文章の大筋は違わないのだろうと思いますが。


コバノチョウチンゴケ 相良真佐美 投稿日: 2023年03月18日 17:36:35 No.485 【返信】

2月の中旬から各地で、春のおとずれを告げる黄緑色のコバノチョウチンゴケの新芽が出てきました。
吹田市の万博記念公園でも、一斉に黄緑色の絨毯になりました。特に日本庭園は、一面に広がり、今の時期は見もので皆さんにお勧めです。
3月上旬には、呼びかけに応じていただいた方々と自然文化園と日本庭園を一回りしましたが、好評でした。

コバノチョウチンゴケの雌株の胞子体が出揃ったところは壮観です。この蒴が提灯のように下がっているので、この名前が付きました。
また、雄株の雄花盤も開いて集団になっているところも観察できました。皆さん歓声を上げていました。

コバノチョウチンゴケの葉を生物顕微鏡で観察しました。葉の長さは1.98mmで、図鑑の2~3mmにほぼ入っていました。葉身細胞は、不規則な四角形で、10μmほどのサイズ。細胞の中央にパピラ(乳頭状突起)を1個確認しました。

その他、樹幹着生蘚類の御三家の、サヤゴケ、ヒナノハイゴケ、タチヒダゴケやミノゴケ、フルノコゴケ、カラヤスデゴケなど、つたない案内にも熱心に観察していただき、楽しい一日を過ごしました。


伊吹寛子 投稿日: 2023年03月20日 07:01:54 No.495
相良さんの万博公園でのコケ観察会に参加させていただいた一人です。色んなコケにご案内いただき、新しい世界の扉が開かれた思いでした。相良さんの画像にあるように、コバノチョウチンゴケの新芽が本当にきれいで、木々の下を鮮やかな薄緑で蔽う様に、サクラだけでなく、こんな春の楽しみ方もあるのだと感動しました。また、コバノチョウチンゴケの蒴が早春の日差しの中で輝く様は、小さな無数の提灯に火が灯ったようで、正に壮観でした。コバノチョウチンゴケについては雄花盤にも、思わず現れた細工物のような姿に魅了されました。

近所に公園があり、一般的なコケであれば色々出会えますので、そこでも探してみるとコツボゴケなど幾つかのコケの雄花盤に出会うことができましたが、やはりコバノチョウチンゴケが特に目を引きました。その後、他の場所でコスギゴケの雄花盤にも出会い、ちょっと「大阪のおばちゃん(おじちゃん?)」的ですが、この二つに今は魅了されています。いつかコスギゴケの雄花盤も正面から撮りたいと思っています。

植物を良く知らない初心者の私がこの歳で今更コケに興味を持つなんて?と我ながら思いますし、コケには必須の顕微鏡の世界からは程遠いのですが、大昔に聞いたフレーズ「楽しいことは良いことだ」でいきたいと思っています。

画像1 コバノチョウチンゴケの雄花盤 
画像2 コスギゴケの雄花盤




タンチョウソウ 植村 修二 投稿日: 2023年03月18日 16:55:29 No.484 【返信】

 私が勤めています大阪府豊中市の豊島(てしま)公園にある「花とみどりの相談所」入り口には、時々珍しい花が展示されます。

 今ちょうど花が咲いている中国東北部から挑戦にかけて分布するタンチョウソウMukdenia rossii (Oliv.) Koidz.です。イワヤツデという名前もあります。

 花が先に咲き、ちょっと遅れて葉が伸びてきます。花茎はまっすぐに伸び、上の方で枝分かれし小さな白っぽい花をたくさんつけます。1つひとつの花は、がくと花弁とが重なっていて、花びらが10枚ほどあるように見えます。

 私はタンチョウソウという名前が好きです。

 名前の由来はいろいろで、「蕾の段階で頭部がタンチョウヅルの頭のように赤い色をしていることのようです」という説があります。もしそうなら、名前を付けた人の着眼点がとても素晴らしいと思います。


タンチョウソウの名前について 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月18日 18:02:42 No.486
●百度百科で、別名が「丹頂草」でした。
槭叶草又名丹顶草。
https://baike.baidu.com/item/%E6%A7%AD%E5%8F%B6%E8%8D%89/3553731?fromModule=lemma-qiyi_sense-lemma
「槭叶草」は、カエデに似た草の意。
中国東南部、および朝鮮半島の高山帯に分布する(Korea, Manchuria)。1属1種の単型属。

●百度百科で、リンゴ(Malus pumila)が「丹顶」でした。またバラの花が赤い品種も「丹顶」でした。
これから頭の赤いタンチョウヅルも、「丹顶鹤 [dān dǐng hè]」です。

●タンチョウソウ
秋に葉が赤く紅葉するので、日本語に訳せば、「林檎の草」という意味になります。
(追伸:語源を暴いてしまって後悔しています。日本のタンチョウヅルのイメージのままのほうが良いと思います)
英語では「Red-Leafed Mukudenia」
植村 修二 投稿日: 2023年03月19日 16:54:05 No.493
藤井俊夫さんへ。

 いつも丁寧なコメントいただきありがとうございます。


Hedera(キヅタ、セイヨウキヅタ)の葉による識別は可能か? 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月17日 20:47:27 No.479 【返信】

Hedera(キヅタ、セイヨウキヅタ)の葉による識別は可能か?
先日の室内例会の折に聞かれました。

●問題点
1。ヨーロッパの植物なので、手元に図鑑がない。
2.検討すべき標本がない(正確に同定された)
3.野生種を専門とする立場なので、園芸種は守備範囲外
4.園芸種については、植物園の緑の相談所に問い合わせるべき
あまり、愚痴を並べてもしょうがないので、可能な範囲で調べてみました。

まず、心当たりのwebsiteをしらみつぶしに調べる。
1ケ月ぐらいかかる。

1.Flora of Chinaなどで、世界に何種類ぐらいあり、種の識別点は何かなど、基本的情報を集める。
http://www.efloras.org/

2.The Plant List (formaly Plants Working List)で、accepted nameを調べる
http://www.theplantlist.org/

3.片っ端から、学名をPOWOに入力して、分布などの基本情報を調べる。
https://powo.science.kew.org/

4.Euro+Med PlantBaseで、分布など、詳しい情報を調べる。
https://www.europlusmed.org/

5.Hederaについては、葉の形質による区別点は見つからなかった。
  自分で、標本を集めて、比較することになる。
  ★注意点:園芸種の場合、挿し木や、株分けによる増殖が普通なので、集めた複数の標本が同一個体に由来する可能性がある。
   個体内の変異しか見ておらず、その種の変異をとらえていない可能性がることに注意する。

とりあえず、野外で在来と考えられるキヅタ(Hedera rhombea)、壁面緑化からセイヨウキヅタ(Hedera helix)、歩道沿いの植栽からカナリーキヅタ(Hedera Canariensis)と思われる植物を採集して比較する。

葉の裏面の毛の状態(顕微鏡レベルです。20倍のルーペで、何とかわかる程度)
1.キヅタ:葉裏に星状毛が散生
2.セイヨウキヅタ:葉裏全面に鱗状の小さな毛が散生
3.カナリーキヅタ:ほぼ無毛(葉脈上に、突起状の毛がある。葉脈の分枝部分に多く見られる)

これを裏付けるためには、正確に同定されたセイヨウキヅタ、カナリーキヅタ、キヅタの標本を取り寄せて、比較検討する必要があります(各々100枚ぐらいづつを比較する)。
以上の手順を踏めば、葉による識別ができると考えます。以上。
植村 修二 投稿日: 2023年03月18日 08:04:25 No.480
藤井俊夫さま

 いつも、興味深い話題提供ありがとうございます。

 この仲間の外来種は、私が見てきた限りでは、逸出というよりは植栽されたものが放置され、残って生育を続けている感じです。

 ただ、セイヨウキヅタHedera helix L.もカナリーキヅタH. algeriensis Rantonnet ex C.Morrenも結実している個体を確認しており、今後、鳥による長距離分散で野生化していく可能性があります。

 なお、カナリーキヅタは以下の文献だったと思うのですが、これまで使ってきた学名Hedera canariensis Willd.は誤同定で、この種はまれに栽培されるとされています。

Hugh McAllister・Rosalyn Marshall2017:Hedera The complete guide,Royal Horticultural Society.

カナリーキヅタH. algeriensis
 https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:90646-1/images

Hedera canariensis
 https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:90665-1/images
木村雅行 投稿日: 2023年03月18日 22:52:09 No.489
藤井 さま

いろいろと調べていただきありがとうございます。
市街地近郊での調査や観察会で「外形が在来のキヅタに似た外来キヅタ」が気になり、先生なら区別点など何かご存じかなと思ってお尋ねさせていただいたものです。

もっと多くの比較が必要だと思いますが、私が観察したもの写真を添付します。

在来のキヅタと思われるものは葉裏や葉柄の毛は幅があり鱗片状です。
外来のキヅタと思われるものは葉裏や葉柄の毛は細く針状です。


植村 修二 投稿日: 2023年03月19日 09:51:14 No.490
木村雅行さま、藤井俊夫さまへ

 先に紹介したHugh McAllister・Rosalyn Marshall(2017)『Hedera The complete guide』によると、在来種のキヅタと外来種のセイヨウキヅタは、ある程度、葉の裏面にある毛の形態で区別できそうです。

 木村雅行さん、藤井俊夫さんが観察されてますが、この本で、キヅタは鱗片状毛(scale-lika hairs)、セイヨウキヅタは星状毛(Stellate hairs)とされています。

 以下は、同書に掲載されているヘデラ類の葉裏にある毛の走査型電子顕微鏡画像(SEM)です。

 ただ、カナリーキヅタH. algeriensisとHedera canariensisはともに鱗片状毛で、これで見分けるのは難しそうです。




春が来た(ユキワリイチゲなどが開花) 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月12日 09:11:47 No.473 【返信】

昨日(3月11日)、陽気に誘われて六甲山系の東側周辺で、植物観察です(暑かった)。

ユキワリイチゲ:神戸層群の礫土壌に生育していた。
ツメレンゲのロゼット葉:冬は、小さくて直径1-2cm。
マンサク:先月、大阪自然史の植物園案内でシナマンサクが咲いていた。
新ためて両種の違いを認識した(花の大きさ、毛の状態が違う)。
POWOを参照。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:430687-1
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:430683-1

Hamamelisは、ハーバード大学教授のA.Grayが提唱した「第三期周北極要素」(東アジアと北アメリカ東部に隔離分布する植物群)のひとつ。
下記報告を参照。
小林武栄。1997.氷河時代と森林。水利科学.41(5):1-12.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suirikagaku/41/5/41_1/_pdf/-char/ja

追伸
今日は、総会と金剛山の講演会がある。


森林植物園のユキワリイチゲほか 磯野久美子 投稿日: 2023年03月18日 20:59:16 No.488
3月11日、藤井さんが六甲山系の東側にいらっしゃった頃、私は西側の神戸市立森林植物園にいました。
「春来祭」を開催中で、色々な春の妖精たちが咲かせてありましたが、圧倒的な量で一面に咲いていたのはユキワリイチゲでした。職員の方のお話でもユキワリイチゲがどんどん勢力を増して広がって行っているとのことでした。
ほかに咲いていた妖精たちは、セリバオウレン、フクジュソウ、スハマソウ、コチャルメルソウで、わずかにバイカオウレンも咲いていました。
セツブンソウはもう咲き終わっていて葉だけ。カタクリは蕾はいくつか見られましたが、開花していたのはまだ1つだけでした。(園の「森のたより」3月17日号によるとカタクリが開花したようです。)

園内には先日八丈島で教えてもらったばかりのハチジョウキブシが咲いていました。
ロウバイの仲間やコショウノキが良い香りを放ち、アセビが満開でした。ツバキの仲間も咲いていました。ミツマタはまだほとんど蕾で、たまに1つ2つ咲いている程度でした。アジサイは「スプリング・エンジェル」という名前のものが咲いていました。

谷上駅から山田道を歩いて行ったので、途中、ウグイスカグラの仲間が咲いていたり、ネコノメソウの仲間とも遭遇したりして、植物園に到着するまでにも春を感じました。

植物園のビジターセンターの2階では、シモバシラの写真展が開催されていました。霜華はまだ見たことがなく、この森林植物園で見られると分かったので、またいつの日か寒い時期の早朝に来て実物を見てみたいと思いました。
たまたま今年の1月に東京在住の友だちがシモバシラで有名だという高尾山で撮った写真を送ってくれたことで初めて霜華の存在を知り、きれいだなあと思っていたので、偶然でしたが、写真展も見ることができてよかったです。

写真
1枚目 ユキワリイチゲ
2枚目 スハマソウ
3枚目 セリバオウレン、バイカオウレン
4枚目 ハチジョウキブシ、コショウノキ
5枚目 フクジュソウ、コチャルメルソウ、山田道で見たネコノメソウの仲間
6枚目 山田道で見たウグイスカグラの仲間




モンステラの果実 磯野久美子 投稿日: 2023年03月10日 00:55:26 No.470 【返信】

3月3~5日、八丈島を歩いて来ました。
たまたまモンステラ(おそらくMonstera deliciosaサトイモ科)の果実が1つ落ちていました。
現地ガイドさんの話によると、これは買うと1つ2~3千円もする高級フルーツだそうで、八丈島では、栽培しているわけではないが、いつでも採れるので、島民は落ちていたら拾って帰るのだそうです。
なので、どうぞお持ち帰り下さいと言ってくれましたが、私以外誰も欲しがらないので、有難く頂戴して帰りました。
数日そのまま放っておくと、皮がボロっと剥がれる、皮が剥がれたら食べられるとのこと。
バナナみたいなパイナップルみたいなトウモロコシみたいなフルーツで、桃のような甘みがあるという話だったので、楽しみにしていたら、9日夕方、仕事から帰るとホントに皮がボロっと剥がれ落ちていたので、食べてみました。
トロピカルな感じで甘くて美味しい♪
ただ一つ、ガイドさんが胃がチクチクするかも、と言っていたのが気になって調べたら、サトイモ科あるあるでシュウ酸カルシウム(針状結晶)が災いをもたらすのだと分かりました。熟していてもチクチクが感じられる場合もあるようなので、とりあえず少なくとも自然に皮が剥がれるまで熟すのを待つことにします。そうすると、ちょっとずつしか食べられませんので、しばらく楽しめそうです。
八丈島、色々面白いでした。

写真
1枚目
3月5日果実が生っている様子(八丈植物公園)
2枚目
3月5日拾った果実
3~5枚目
3月9日皮が剥がれた所
6枚目
3月9日皮を取り除き、取り出した可食部


シュウ酸カルシウム 磯野久美子 投稿日: 2023年03月10日 12:04:36 No.471
シュウ酸カルシウムを調べていたら、2月に国立科学博物館で終わったばかりで、この3月18日からは大阪自然史博物館でも開催される特別展「毒」でも、外敵から身を守るための毒ということで紹介されていたことが分かりました。

以下、本展についてのネット情報より
≪シュウ酸カルシウム≫
サトイモ科植物の細胞にはシュウ酸カルシウムー水和物の針状結晶がたくさん含まれている。
食べるとこれがロの中などに刺さって炎症を起こす。
また、この結晶はタンパク質分解酵素と共存することにより耐虫害効果が高まる。
この結晶は、植物体内でしか生成されず、現在のところ人工的に合成することはできない。
≪植物の毒のいろいろ≫
植物はタンニン、シュウ酸カルシウム、アルカロイドや精油成分などさまざまな毒性のある防御物質を生産して植物を食べる外敵から身を守っている。
これらの防御物質は植物の成長、生殖や発生などとは関係がない物質で、ニ次代謝産物と呼ばれる。

因みに、毒劇法ではシュウ酸カルシウムは劇物に指定されていると知りました。
遠い昔にヘビ毒を実験に使ったことも思い出しました。
「毒」展、楽しみです。
野菜のシュウ酸カルシウム含有量などについて 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月10日 17:04:05 No.472
●山中英明・久能昌朗・塩見一雄・菊池武昭。1983.酵素法による食品中のシュウ酸の定量。食衛誌. Vol..24, No.5.454-458.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/24/5/24_5_454/_pdf/-char/ja
野菜の中では、ホウレンソウがダントツに高い。植物の種類によってシュウ酸カルシウムの構造が変わり、この構造によって舌に焼けつくような痛みを感じると考えられている。

●サトイモのシュウ酸カルシウムについての報文
村上賢治・植田京子。2007.サトイモ(Colocasia esculenta Schott)の組織中シュウ酸カルシウム結晶密度における品種間差異。
岡山大学農学部学術報告 Vol。 96,25-28.
https://core.ac.uk/download/pdf/12546159.pdf
結論
サトイモの葉柄や球茎の食味(えぐ味)は,組織のシュウ酸カルシウム結晶を含む細胞密度と関連し,シュウ酸塩濃度とは関連していないことが示された.

藤井注:
水溶性のシュウ酸塩、結晶のシュウ酸カルシウムで、体内での作用が異なります。
シュウ酸カルシウム結晶は尿結石の原因として考えられています。針状の結晶になり、この構造が舌に刺さって痛くなるらしい。
ホウレンソウは、煮炊きすることでシュウ酸塩が水に溶けだすため、大量に摂取しなければ、問題にならないと考えられています。

●日本医療機能評価機構:Mindsガイドライン ライブラリ
CQ29:シュウ酸はどのような食物に多く含まれるか?また、シュウ酸の接種について工夫すべきことはあるか?
https://minds.jcqhc.or.jp/n/cq/D0003085

●新潟臨港病院:尿路結石の予防について
https://ngt-rinkohc.jp/rinko/column/576/

●日本植物生理学会の、みんなの広場「植物Q&A」に、コンニャク芋の場合の「シュウ酸カルシウム」濃度が載っていました。
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=5265
こんにゃく芋のシュウ酸カルシウムの無毒化について

●コンニャク芋の濃度:78mg/100g(組織)
 コンニャク(製品)の濃度:20mg/100g(75%のシュウ酸カルシウムが除かれている)
★藤井注
 食品分析表などのシュウ酸カルシウム濃度は、生野菜の濃度が記載されているはずです。
 調理後に、コンニャクのように7-8割が水やゆで汁に溶出することを考慮しないと、いけないと思います。

二次代謝産物:(Wikipediaより)
生物の細胞成長、発生、生殖には直接的には関与していない有機化合物である。
一次代謝産物とは異なり、二次代謝産物の欠如は、即時の死に至らないが、生物の生存や繁殖力に、長期的な不利益をもたらすことがある。
●草食動物による摂食を回避する
1.化学的防衛:毒を産生すること(二次代謝産物)
2.物理的防衛:トゲや鎧、表皮を固くするなど、組織の硬化。

追伸
3年ほど前(コロナの広がる前)、滋賀県の食品衛生局だったかな。毒草の話をしてくれと頼まれました。
にわか仕込みで、食中毒になりやすい毒草の御三家を話した記憶があります。
1.ニリンソウと、トリカブトの若葉
2.ギボウシと、バイケイソウの若葉
3.ギョウジャニンニクとイヌサフランの若葉
※花壇に、一緒に植えていると間違うので、要注意。
モンステラの果実および種子について 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月12日 18:28:14 No.474
モンステラの果実および種子について

磯野様

ホウライショウ:Monstera deliciosa
CCDB (Chromosome Counts Database)
http://ccdb.tau.ac.il/search/
によると、染色体数は 24、50、56,58、60、70が報告されています。

50以上は、正確に染色体数を測定するのは困難と思われるので、誤差を考えて、基本数は、n=8と考えられます。
3n=24、4n=32、5n=40、6n=48、7n=56、8n=64、9n=72
3倍体、6倍体、7倍体、8倍体、9倍体の可能性が考えられます。
奇数倍数性が報告されています。
多分、奇数倍数性の系統を園芸的に増殖しているものと思います。
従って、果実は途中まで成長するが、種子がほとんど熟していないものと考えられます。
園芸上は、株分けによる繁殖が主になると思います。

(写真は、以下のsiteから転載)
https://www.hort.net/lists/aroid-l/sep07/msg00122.html


モンステラの栽培 磯野久美子 投稿日: 2023年03月12日 21:22:24 No.475
藤井様

早速、種子の写真をありがとうございます!

ホウライショウという和名を教えていただいたので、ウィキペディアの「ホウライショウ」を覗いてみたら、果実は食用になるが、果実採取を目的とする商業的な栽培は行われていないと書いてありました。
その理由は、果実の成熟に時間が掛かりすぎること(開花から果実の成熟までに1年を要するとのこと)と、果肉に繊維質が多すぎるためと、人によってはえぐみを強く感じるので薦められないとの声もあるためと書いてありました。
今日試食して下さった方々は大丈夫でしたでしょうか。
石垣島の通販サイトで、超レア、お一人様1個、4800円で売っていましたが、完売御礼、次回未定となっていましたので、採れた時だけ販売しているということでしょうか。

八丈島でも果実の栽培はしていないとのことでしたが、どこにでもあるという話でしたので、野外で自生的に生育しているものを観葉植物や切り葉として出荷しているのかもしれません。
あるいは、切り葉を出荷するためにフェニックス・ロベレニーを整然と栽培している畑はあちこちで見かけましたので、気づかなかっただけで、モンステラもそのように畑で栽培しているのかもしれません。
いずれにしても通常は種子ができなくても全然問題ないということですよね。

ところで、ネットサーフィンをしていたら、モンステラマニアのためのサイトが出て来ました。
モンステラはモンスターを意味するとかで、奇怪な姿が魅力なのだそうです。そのサイトでは、大量生産品とは異なり、穴が異様に多いとか斑入りとか、1点もののようなより奇怪なモンステラを実生から選別したりもしていることを強調していました。
こういう時に種子が役立つのですね。6倍体とか8倍体とかの個体なら種子ができることもあるのでしょう。
ちょっと値段を見たら7万円とか8万円とかのもありました。時間をかけて手間をかけて生み出される1品なので、高いのですね。
植村 修二 投稿日: 2023年03月18日 10:44:18 No.481
磯野久美子さん、藤井俊夫さんへ。

 モンステラの投稿記事、興味深く読ませていただきました。いつも、亀レスでごめんなさい。

 我が家にも20年以上育てているモンステラがありますが、まだ花が咲かないですね。

 ずっと以前に勤務していました大阪府立園芸高等学校には植物園にあるような大温室があって、数々の熱帯植物が育てられていました。

 今自宅にあるモンステラは私が大阪府立農芸高等学校へ異動になった時、温室担当の技師さんに分けていただいた挿し芽苗が大きくなったものなのです。長いこと慣れ親しんできた植物たちと別れるのはさすがに辛かったです。そんな気持ちを分かってくれたのでしょう。うれしかった!

 モンステラは花が蕾から開花する際、発熱すると先輩の先生から聞いて、園芸高等学校の大温室で確認してみたのですが、あまり良くわからなかった経験があります。

 ネット検索すると、同じサトイモ科のザゼンソウも開花する際、自ら発熱し、極寒の環境下で花を咲かせるようです。

 No.4: 発熱する植物!? -ザゼンソウの不思議-(筑波大学山岳科学センター菅平高原実感所)
 https://www.sugadaira.tsukuba.ac.jp/column/201005column.html

 シュウ酸は、農芸高校で食品化学を担当するようになって、よく実験に使った薬品でした。果物に含まれる有機酸の量を調べる時に使用する水酸化ナトリウム溶液の正確な濃度を中和滴定で求める時にシュウ酸溶液を使います。酸と塩基とを過不足なく反応させる化学反応が中和反応で、中和反応で水と一緒に生じるのが塩(えん)です。この中和反応によって未知試料の酸あるいは塩基の濃度を測定する手法が中和滴定です。

 実験した生徒から提出されたレポートに「なぜシュウ酸じゃないといけないのですか?ほかの酸でもいいじゃん。シュウ酸は2価だから計算めんどくさい」と書いてあったので、「液体の酸は扱いにくいが粉末ならやりやすい、安くて純度の高い試薬が買える」と答えて返したもののちょっと自信がなかったので、ヤフウ知恵袋に質問したところ、当量やら~やら難しい専門用語がある回答がベストアンサーで、全然わからなかったことがありました。

 以下の画像は今日撮影した我が家のモンステラとシュウ酸溶液を使った中和滴定の様子1枚です。


発熱! 磯野久美子 投稿日: 2023年03月18日 11:36:29 No.482
植村様

レス、ありがとうございます!
兎より亀の方がありがたいかもです(^^;

ザゼンソウが発熱する話は聞いたことがありますが、寒い所に住んでいるからだと思っていました。
暑い地域に住むモンステラも発熱するとはビックリです。
同じ科とは言え、植物って面白いですね!

ところで、私は教育実習(高校の化学)をさせてもらった時、1クラス何十人もいる生徒たちに実験をさせるのは本当に大変だと思いました。
もう何の実験をさせたのかも忘れてしまいましたが、万一、生徒が怪我したり、火傷したりしたらどうしようとハラハラし通しでした。
何事もなく楽しく終われてホッとしましたが、なかなか目が届く人数でもなく、化学実験をされる先生方には本当に頭が下がります。
ショクダイオオコンニャクも発熱します 藤井俊夫 投稿日: 2023年03月18日 16:42:39 No.483
磯野様

●ショクダイオオコンニャク開花時の発熱について
Taketoの京都ブログ(2021.07.17)
https://kyoto-taketo.com/2021/07/17/plante-125/
39.2℃に達したとあります。(花の模式図写真のすぐ下に記述)

●東京大学大学院 農学生命科学研究科 プレスリリース(2010/12/07)
世界最大級の花ショクダイオオコンニャクが放つ特異臭気成分を特定
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2010/20101207-1.html

●ショクダイオオコンニャクの訪花昆虫
リケラボのsiteで、筑波実験植物園の説明に載っていました(2020.05。15)
https://www.rikelab.jp/post/3114.html
地表性昆虫のシデムシの仲間です(写真が載っている)。
アカモンオオモモブトシデムシ(Diamesus osculans)は、西表島から南に分布している。

●日本のシデムシは羽が退化しているが、熱帯のシデムシは、どうなんだろう?
茎を這い上がるとは思えないので、後翅が発達しているかもしれない?

●甲虫の種多様化要因の新説~飛翔能力の退化が種分化を促進(2012年2月1日)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2011/120201_1
後翅をもっているシデムシの写真が載っていました。

藤井注:
最近(この10年ほどで)、世界各地の植物園で栽培されるようになった。
多分、絶滅危惧種の系統保存(危険分散)だと思います。
(ぜひとも栽培個体から種子繁殖を行ってほしいと思います)

●1991年に、小石川植物園で初めて開花(日本初)しました。
丁度、上野(学芸員資格試験)に行っていたので、見たかったけど次の用事(都立大の牧野標本庫で、標本の閲覧)があったので、見れなかった苦い記憶があります。
後で聞くと、すごい来園者が押し寄せて、入場制限があったとか。
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/42/3/features/02.html
(2010年7月22日の記事)
腐臭の拡散 磯野久美子 投稿日: 2023年03月18日 20:37:48 No.487
藤井様

早速、ありがとうございます!
そうでした、ショクダイオオコンニャクも臭かったのでした。
ザゼンソウも臭い。
寒い所に住んでいるから温かくしてハエをおびき寄せているのかと単純に思っていましたが、寒かろうが暑かろうが、来てほしい虫を誘う腐臭を外へ放つために発熱しているのですね!
頭の中が整理されてスッキリしました。
ということは、モンステラの花も臭いのでしょうね…。
どうせなら良い香りを放ってくれたらいいのに、と思いますが、それでは他の植物と競合してしまうからあえて腐臭に近づく虫を選んでいるということでしょうか。
サトイモ科、恐るべし!

ところで、鹿沢インフォメーションセンターのサイトhttp://www.kazawa.jp/fieldnote/2018-04-14-01-45-59にこんなことが書かれていました。
ザゼンソウは発熱温度が一定で発熱期間が長いのだそうです。
腐臭を外に拡散するだけなら発熱温度を一定にする必要はないとのことで、これは冷涼な環境への適応と関わりがあるとのことです。
気温が低い時でも受精しやすい状態にしたり、訪花昆虫の活性が低い時期に開花するので受粉機会を得るためには発熱期間を長くせざるを得なくなったのだそうです。


「金剛山の自然と植物」のライブ配信 相良真佐美 投稿日: 2023年03月13日 12:23:33 No.476 【返信】

大阪市立自然史博物館から、3月12日の近畿植物同好会公開講演会「金剛山の自然と植物」の【ハイブリッド形式】のライブ配信がされました。

全編は3時間45分で、以下のサイトから閲覧できます。
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo


個別テーマの「頭出し」は以下です。

●山住「金剛山の昔と今」
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo?t=356

●織田「金剛山のスゲ属植物」
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo?t=1649

●植村「金剛山で見つけた外来植物」
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo?t=3970

●神山「ちはや園地と植物」
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo?t=6013

●相良「金剛山の自然-5年間の記録から140種」
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo?t=7892

●山住「金剛山の注目すべき植物から」
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo?t=10634

●梅原「博物館の標本整理から気づいたこと」
https://youtu.be/hxp-aNiWxSo?t=11786
H-matsumoto 投稿日: 2023年03月13日 19:15:38 No.477
相良様
 頭出しありがとうございます。
前半zoomでリアルタイム、後半はアーカイブで見せていただきました。
140種ありがとうございます。
山の植物は知らないものだらけでした。
子供の頃、宮城県に住んでいたので、近所のお寺の裏山に普通にカタクリがさいていたので子供から見てきれいな花が咲く植物はわかるのですが

 植村先生の後任の山岳部の顧問に情報提供したら、
偶然、今日は山岳部で金剛山に行っていました!と報告がありました(笑)
H-matsumoto 投稿日: 2023年03月13日 20:00:56 No.478
訂正
 zoomでなくてYouTubeライヴでしたね!


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