近畿植物同好会 掲示板
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NHK朝ドラ『らんまん』に登場したヒルムシロ 植村 修二 投稿日: 2023年09月22日 11:16:17 No.873 【返信】

 先ほどまでNHKを見ておりました。

 NHK朝ドラ『らんまん』に続き、槇野万太郎を演じている神木隆之介さんが生出演されてたからですね。

 『らんまん』の放送は来週までとなり、以下の3冊を買ってきました。


   NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 らんまん Part1,2

  連続テレビ小説 らんまん FANBOOK 物語を彩る桜花爛漫な女性キャスターたち

 高校に勤務していた頃、部活動で演劇部の顧問をしていたこともあって、俳優さんの言葉や舞台セット、撮影の裏話など、いろいろ興味があったので、ついつい買ってしまいました。週刊文春にも、らんまんのことが載ってるようなので、今から大阪にでますので、見てみようと思います。

 Part2の70ページに、ヒルムシロのレプリカの元になった植物のことが書かれてました。

 森林管理署に許可申請し入手したのがヒルムシロではなくフトヒルムシロだったようです。その後、再び探し回り、大阪公立大学付属植物園から栽培品を入手されたことが書かれていました。

 ヒルムシロは昔は水田雑草とされていましたが、私が幼少の頃には大阪府北部では見れなかったです。最後に、ヒルムシロを見たのは水草研究会のエクスカーションが兵庫県で実施された時、水田周囲の水路で見ました。もう、20年以上前です。

 私は堺市のレッドデータ作成に協力したことがあります。その際、水田に関連する植物の多様性が急速に失われたつつあると意見を述べました。

 ウリカワやミズガヤツリなど、急激に減ってます。強力な除草剤散布で駆除されたのでしょう。ミズガヤツリ、大阪市の長居公園のハナショウブ園には、今もわりと生えています。除草剤を使ってないからでしょう。

 大阪公立大学付属植物園では11月19日(日)、近畿植物同好会の第719回観察会を実施する予定です。

 ヒルムシロの画像は、その下見の時に写しました。
 


辻本 穣 投稿日: 2023年09月22日 21:56:55 No.877
植村 様

昨年、ヒルムシロを2メートルぐらいの長さで抜き取り提供しました。
ヒルムシロは繁殖力がつよく、種子でもたくさん増えます。
園では、他の水生植物の枠にも発芽し増えるので、夏場は大変な作業になります。

らんまんでのシーンは見過ごしてしまいました。


アレチイボクサ 伊吹寛子 投稿日: 2023年09月22日 17:00:47 No.874 【返信】

今年、是非見たいと思っていた物がありました。アレチイボクサの花です。去年の11月半ば巨椋池干拓地で、枯れかけていた背の低い植物を田中光彦さんがチラッと見て「アレチイボクサや」と言われました。確かに、少し緑が残る葉の形、一つ二つ残る紫がかった花殻は、ツユクサの仲間であることを物語っていました。

1年草とのことですが、今年7月ごろに見に行くと種子からそれらしい葉が広がっていました。湿地に生えるイボクサと違って、用水に渡したコンクリートの橋の縁の、土のわずかな吹き溜まり、土の堆積は最大でも2㎝もないような所に広がっています。日を遮るものもない乾燥しきった所です。

8月に花が咲いていないかと楽しみにして見に行くと丈5㎝ぐらいに草刈りされていることが度重なったので、少し鉢に植えてベランダで育てました。これで遠くまで見に行かなくても、花の咲く一部始終を観察できると思いました。ところが天は味方してくれませんでした。9月初め、ベランダで数個の蕾を持つ花序が出て、少し紫がかり、明日は咲くと思っていると、花を見ないうちに果実になっているのです。どの花序も果実だらけです。つまり来る日も来る日も閉鎖花状態なのです。

反省しました。やはり鉢では力が出ないのだと。それで、9月14日、干拓地の様子を見に行きました。なんと背丈10㎝ほどですが、径7-8㎜の小さな可愛い薄紫の花をチラホラつけていました!「神奈川県植物誌」電子版によると仮雄蕊4個、完全な雄蕊2個とあります。花糸には毛があるとあり、確かに可愛い可憐な花を拡大すると毛もくじゃらです。また、「蒴果は球形…3裂する…種子は長さ約1.2㎜、表面には顕著なくぼみといぼ状突起がある」と記されています。なんとか種子も採取できて、見ることができました。ちなみに私が慌て者だったのか、どういう花の方の事情だったのか不明ですが、閉鎖花つづきだったベランダの背丈25㎝ほどの株も、最近になって花をつけるようになり、今夏、私が楽しみにしていたことの一つが終わりました。

アレチイボクサは上掲誌およびネットMundannia nudiflora アレチイボクサ(新称) (dti.ne.jp)によると熱帯アジア原産で、福岡県久留米市で帰化し定着していることが確認されて、 新和名をアレチイボクサとして2015年に中村巧氏により日本新産の外来種として報告されたそうです。

写真1:干拓地で生えている様子
写真2:明日は咲くかと思われた蕾の様子と、いつの間にかできていた果実
写真3:花
写真4:蒴果の裂けた後
写真5:種子


山本和子 投稿日: 2023年09月22日 21:27:20 No.875
伊吹寛子さま

アレチイボクサ、私は2010年に三重県桑名市多度町で初めて見つけました。懐かしいです。
閉鎖花のことはよく分かりませんが、花はお昼前後の数時間しか開かないのではと思います。

植物研究雑誌
ツユクサ科イボクサ属の日本新参外来種 アレチイボクサ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/90/3/90_90_3_10586/_article/-char/ja/
伊吹寛子 投稿日: 2023年09月22日 21:54:38 No.876
山本和子様

三重県では随分前から見られていたのですね。
詳細情報をありがとうございます。

閉鎖花のことは、私も「絶対、閉鎖花だった」とはよう言いませんが、
ベランダにあるのを幸い、なんとか花を見たいと頻繁に見に行きましたが、
最初のころは残念ながら花に出会えませんでした。
また色々お教えください。


NHK朝ドラ『らんまん』に登場した帰化植物 植村 修二 投稿日: 2023年09月03日 23:35:43 No.826 【返信】

 このような題名を付けると、第8週のシロツメクサTrifolium repens L.のことを思い出されると思うのですが、そのことではないです。

 先週の金曜日<2023年9月1日>放送で、帰化植物のオガサワラスズメノヒエPaspalum conjugatum Bergiusが登場していました。

 わずかな時間でしたが、特徴的な穂なので間違いないと思います。万太郎が台湾の人たちに助けられて熱病から回復した朝の場面です。

 『らんまん』では、いろんな植物が登場しますが、これはレプリカじゃなく、撮影場所の近くで、たまたまそこにあった植物を撮られたものと思います。

 となれば、この『台湾にある民家』は東京で舞台セットをつくったのではないと思います。オガサワラスズメノヒエは、その名前のとおり、東京都の小笠原には帰化していますが、東京の街中では、熱帯アメリカ原産のこの植物が生きていけないからです。

 私は、沖縄、インドネシア、台湾などでオガサワラスズメノヒエを見ていますが、どれもうまくピントがあわず、何を撮影したのかわからない画像ばかりでした。
オガサワラスズメノヒエ(Paspalum conjugatum)の分布、画像 藤井俊夫 投稿日: 2023年09月04日 12:11:29 No.831
オガサワラスズメノヒエ(Paspalum conjugatum)の分布、画像

Kew GardenのPOWO(Plants of the world online )に、解説、分布図、写真が載っています。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30011315-2/images
植物体は、大きなメヒシバで、小穂はアメリカススメノヒエのような感じか?
オガサワラスズメノヒエ 相良真佐美 投稿日: 2023年09月04日 15:42:41 No.833
>わずかな時間でしたが、特徴的な穂なので間違いないと思います。万太郎が台湾の人たちに助けられて熱病から回復した朝の場面です。

 NHKプラスで、9月1日のそのシーンを撮影しました。
  (A) 熱病から回復した時に背後に映った野草
  (B) その後一瞬、雨上がりの空に変わり、また野草が3秒間ほどアップになったシーンです。

 これからすると、(A)と(B)は別物で、(B)が、オガサワラスズメノヒエではないかと思います。
 沖縄から(B)のシーンの量なら簡単に入手できるので、台湾のイメージをだすため(B)を使ったのではないでしょうか。

 【参考】オガサワラスズメノヒエ防除試験  沖縄畜産試験報 第30号 (1992)
     http://tinyurl.com/3pxe77ra


>東京の街中では、熱帯アメリカ原産のこの植物が生きていけないからです。

 『神奈川県植物誌2018 電子版』によると、2004年10月に神奈川でも見つかっています。


【余談】
  植物の選定は、邑田仁先生ら専門家が徹底的に考証するので時間がかかるそうです。
  虎鉄に案内されて横倉山でヤッコソウと出会ったシーンは、四国霊場石碑もセットで東京大学小石川植物園で撮影されました。
  https://twitter.com/bg_utokyo/status/1689415085213757440


植村 修二 投稿日: 2023年09月05日 14:24:31 No.834
藤井俊夫さん、相良真佐美さん

 情報提供ありがとうございました。

 相良さんがアップしていただいた雨上がりの場面(B)がオガサワラスズメノヒエと思われる植物です。
NHK高知放送局からの回答 植村 修二 投稿日: 2023年09月22日 10:43:05 No.872
 私が参加して帰化植物メーリングリストに『「らんまん」に出てくるオガサワラスズメノヒエ』を投稿したところ、直接NHKに問い合わされた方から返信がありました。

 内容は、以下のとおりです(カッコ内、原文のまま)。

「〇〇様

NHK高知放送局です。


いつも「らんまん」をご覧いただきありがとうございます。
確認にお時間を頂き、お返事が遅くなり大変失礼をいたしました。

9月1日放送回で登場した〈オガサワラスズメノヒエ〉についてお問い合わせいただいた件です。 

こちらは、万太郎が台湾を訪れる場面の中で登場しました。

亜熱帯の台湾にあってもおかしくない植物として、らんまん美術スタッフが〈オガサワラスズメノヒエ〉

を探し、関東近郊の仕入れ先(造園会社)から入手が可能との事で、仕入れました。

引き続き「らんまん」をお楽しみいただけますと幸いです。



今後ともNHKをよろしくお願い申し上げます。」



 オガサワラスズメノヒエはインドネシア、沖縄などからタネを持って帰り(注:現在は手荷物で海外から植物は原則持ち込めません)、育てますとその年に開花しますが、大阪府北部では越冬できません。

 そのようなことから、「台湾で撮影したのか?」と思いましたが、業者から入手して使用されたとは驚きです!わずか数秒の場面だったのに・・・

 


科博 「つくばシダ展」まもなく開催です 相良真佐美 投稿日: 2023年09月10日 17:15:22 No.843 【返信】

9月16~ 24日、科博(つくば植物園)で「~つくばシダ展~」が開催されます。
秋葉原から、つくばエキスプレスで45分という場所で、関西からでは遠い気がしますが、
シダ植物の企画展は19年ぶりで、希少な種、最近発見された種を含む200種が公開されます。

シダ・ミュージアム ~つくばシダ展~
 期 間 2023年9月16日(土)~ 9月24日(日)※期間中休園なし 
 場 所 国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば植物園) 教育棟、研修展示館、多目的温室
 入園料 一般:320円、65歳以上:無料

 公式サイト
 https://tbg.kahaku.go.jp/event/2023/09shida/


「つくばシダ展」に行きました 相良真佐美 投稿日: 2023年09月21日 22:41:38 No.871
9月19日、茨城県の筑波実験植物園(つくば植物園)で開催中の「つくばシダ展」に行ってきました。
前日に池袋のホテルに泊まったので、池袋→日暮里→北千住(つくばエキスプレス)→つくば→(学生ばかりの)バス→植物園 というルートで9時開園にピッタリでした。

つくばシダ展では、非公開の絶滅危惧種30種などが展示してありました。新種・新産種の公開もありました。
また、筑波実験植物園では絶滅危惧種の胞子から培養して種の保存をする大きな研究室を持っています。
やはり立派な研究機関でした。形態を見て「雑種!」と判断していたアナログの時代は終わり、DNAで科学的に判断する時代になったことが分かりました。

●シビイタチシダ 一度は絶滅EXを宣告されましたが、実際には筑波実験植物園と鹿児島県の個人宅で栽培株が生存していました。それをギフベニシダとオオイタチシダの交雑種とDNAで確認し、野生絶滅種EWとなりました。現在50株以上が順調に生長しています。
https://www.kahaku.go.jp/research/researcher/my_research/botany/ebihara/imgs/ebi_vol2.pdf

●日本産シダではコバヤシカナワラビ、ハイミミガタシダ、シビイタチシダの3種だけが野生絶滅EWで、3種とも筑波実験植物園が保有しています。

●ホウライゲジゲジシダは2021年に新種記載、ムシャシダは2018年鹿児島県徳之島で見つかった日本新産種

●ノキシノブの複合体 近縁種間の交雑により、フジノキシノブ(ノキシノブ X ツクシノキシノブ)、クロノキシノブ(ノキシノブ X ナガオノキシノブ)などがDNAを用いたの最近の研究で解明されました。




カタバミの異形花柱性、種内変異、オッタチとの識別点 藤井俊夫 投稿日: 2023年09月21日 17:50:39 No.870 【返信】

カタバミの異形花柱性、種内変異、オッタチとの識別点

●カタバミの異形花柱を巡る進化生物学のレビューがありました。
渡邉謙太。2022.「異型花柱性」を巡る生態学と進化生物学の今。沖縄工業専門学校紀要。16:31-45.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nitokinawacollege/16/0/16_31/_pdf
**********************************************************
異形花柱性を持ち、自殖を避ける繁殖様式が行われるカタバミで、以下のような種内分類群が知られています。
Oxalis corniculata L. f. villosa (M.Bieb.) Goiran  カタバミ
https://mikawanoyasou.org/data/katabami.htm
Oxalis corniculata L. f. atropurpurea (Planch.) Van Houtte ex Hegi ウスアカカタバミ
https://mikawanoyasou.org/data/usuakakatabami.htm 
Oxalis corniculata L. f. plena Sakata  ホシザキカタバミ(八重咲品種) 
Oxalis corniculata L. f. rubrifolia (Makino) H.Hara  アカカタバミ
https://mikawanoyasou.org/data/akakatabami.htm
Oxalis corniculata L. var. trichocaulon H.Lév. ケカタバミ(現在は、カタバミに含まれているようです)
https://mikawanoyasou.org/data/kekatabami.htm 
Oxalis corniculata L. form. erecta Makino タチカタバミ(現在は、カタバミに含まれているようです)
https://mikawanoyasou.org/data/tatikatabami.htm

他殖による繁殖を行っているのに、上記のような変異が認められることは、両性生殖以外の、他の要因を考える必要がありそうです。
①地上送出枝による無性繁殖をする(小規模な変異が蓄積して、変化が起こる)
②配偶子による遺伝ではなく、細胞質を経由した遺伝(葉緑体の伝播のように、母系遺伝がある)

上記の要因が複雑にからみあって、様々な変異株が同所的に出現するものと考えています。
(または、環境によって発現する遺伝子が異なるかも?)

●環境が葉の色に影響を与える可能性の検証実験●(日光、土壌環境)
葉が緑色のカタバミと、葉が赤いアカカタバミを明るい日向、暗い日陰で栽培し、色の変化を見るなど。
根の発達具合も、違うかもしれません。土壌条件を変えて栽培か?(園芸用土・砂利などか)
上記の実験をすれば、遺伝的要因か環境要因かの違いが判ると思います。

カタバミ:日本から中国、東南アジア、インド周辺に分布する。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:177893-2
ムラサキカタバミ:南アメリカに分布する。
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:374833-1
**********************************************************
★オッタチとカタバミの違い
茎上に生える毛の向き、密度が違います。
カタバミ:毛は直立する。散生。
オッタチ:毛は斜上する。密生。

三河の野草を参照
https://mikawanoyasou.org/data/katabami.htm
https://mikawanoyasou.org/data/ottatikatabami.htm
三木山森林公園の写真は、開花時点の写真で、果実が稔っていないのは当たり前、この写真で果実が成熟しないと考えるのは早計と思います。
オッタチ、そのものだと考えます。


NHK連続テレビ小説『らんまん』に登場したカタバミ 植村 修二 投稿日: 2023年09月21日 14:48:04 No.865 【返信】

 NHK連続テレビ小説『らんまん』。最終回を来週に控えた今週の植物は『ムラサキカタバミ』。

 『らんまん』を全部を見ていないので間違っているかもしれませんが、これと同じ属のカタバミは2度、この番組に登場したと思います。

 たしか、第21週『ノジギク』だったと思います。寿恵子(浜辺美波)が金に困り、亡き父から譲り受けた愛読書、八犬伝全巻を質屋に入れていたが、万太郎(神木隆之介)とそれを質屋から持ち帰る途中、万太郎は道端のカタバミに話しかけるシーンがありました。

 ここに登場するカタバミの葉っぱは緑色でした。

 しかし、わたしが大阪など都市部や市街地で見てきた限り、緑の葉っぱのカタバミOxalis corniculata L. f. corniculataやウスアカカタバミOxalis corniculata L. f. atropurpurea (Planch.) Van Houtte ex Hegiは少なく、アカカタバミOxalis corniculata L. f. rubrifolia (Makino) H. Haraが多いように思います。

 特に、路面間隙という環境下では、その傾向が強いように思います。


植村 修二 投稿日: 2023年09月21日 14:53:16 No.867
 都市部、市街地で見かけたウスアカカタバミ、カタバミです。

タチカタバミとカタバミ 植村 修二 投稿日: 2023年09月21日 15:25:31 No.868
 「これはタチカタバミですか?」、近畿植物同好会の観察会、第714回観察会が猪名川河川敷(兵庫県伊丹市)、第715回観察会が兵庫県三木市の県立三木山森林公園にて、同じ質問を受けました。

 タチカタバミOxalis corniculata L. f. erecta Makinoは匍匐した茎から直立した茎の伸ばすカタバミの品種です。

 アカカタバミは匍匐性となる傾向が強いですが、ウスアカカタバミには、タチカタバミのようになる直立タイプもあります。


植村 修二 投稿日: 2023年09月21日 15:27:55 No.869
 さて、質問のカタバミです。

 まずは、第714回観察会(猪名川)でみたものは、公園の刈り込まれた低木から顔を出していました。以前、この掲示板に報告した『もぐり込み植物』状態です。この時は雨の中でうまく撮れませんでしたが、これまでも『もぐり込み植物』となるカタバミを何度も見てきました。これについては、カタバミがそういう環境で一時的にタチカタバミのようになった可能性もあると私は考えています。

 第715回観察会が兵庫県三木市の県立三木山森林公園でみたものは、果実が実ってなさそうなので、カタバミとオッタチカタバミとの雑種かもしれないです。




キレンゲショウマ 磯野久美子 投稿日: 2023年08月10日 21:18:34 No.778 【返信】

もう随分前ですが、田中光彦さんと剣山(標高1955m)に登ったことがあるという話をしていた時、キレンゲショウマは見ましたか?と聞かれ、リフトからそれらしいものは見ましたが、花は咲いていませんでしたと答えました。
あれからずっと気になっていたのですが、この8月5日にやっと念願が叶い、花を見ることができました。
しかもこの植物の学名はKirengeshoma palmata Yatabeで、命名者は朝ドラ「らんまん」の田邊教授こと矢田部教授。来週はちょうどこのキレンゲショウマの話のようで、なんてタイムリー!

5~6日の剣山(別名:太郎笈)も6日の次郎笈(標高1930m)も雨で、とりわけ5日の登りはカッパを着ていると熱中症になりそうでしたし、景色は2日間とも見事になんにも見えませんでしたし、写真もきれいに撮れませんでしたが、もうこのキレンゲショウマの花を見ることができただけで、十分満足しました。

キレンゲショウマはどこにでも生えているわけではありませんでした。大群落は主たる登山道から離れた行場近くの足場の悪い所にありました。
最初に剣山に登った時は9月で、キレンゲショウマの花期ではなかったということもあるのでしょうが、石鎚山との抱き合わせツアーだったためでしょう、剣山の方はささっとリフトで往復しただけで、この大群落のある所までは行っていなかったのだと気づきました。
改めてネットで調べてみたら、下りリフトの中腹(リフトの敷地内)にリフトの職員さんが育てたものが見事に群生していると、ヒュッテの方が書いておられ、私が初回に見たのはこれだったんだと思いました。

今回はリフトを使わず、全部歩いたので、キレンゲショウマ以外にも色々な花を見ることができました。
また、折角頂上直下で泊まったのに、満天の星も夕焼けも朝焼けも見ることができませんでしたし、なんにも見えない雨の中を一応散歩に出てはみたもののすぐに引き返して来たので、山小屋の本棚に置いてあった剣山の植物図鑑をゆっくり読む時間がありました。
登山道に沿ってずっと咲いていたのはトゲアザミ、タカネオトギリ、イヨフウロ(別名シコクフウロ)。
少し低い所にはカニコウモリの大群落やミゾホオズキ、バイケイソウ。
キレンゲショウマの群落の辺りにはナンゴククガイソウ、ギンバイソウ(ピンク色っぽい)、ヒメフウロ、キツリフネ、シコクブシ(まだほとんど蕾。紫の花は1個体しか遭遇せず)、ツルギハナウド、ゼンテイカ。
剣山山頂~次郎笈山頂ではコモノギクがポツンポツンと咲いていました。

イヨフウロの花には雨の中で遠くから見てもはっきり分かる濃紫紅色のまるで蝶の羽のような網目模様がくっきりと入っていて、パッと見た感じがハクサンフウロとは全く違いました。改めて写真を見比べてみると、ハクサンフウロはピンク色の濃淡はあるものの、どれも網目模様ではなく筋状の模様がうっすらとある程度で、イヨフウロより優しい感じに見えました。学名を見て、両者は別の種なのだと知りました。

帰りに奥祖谷の二重かずら橋に寄りました。
この「かずら」が一体何なのか気になってネットで調べると、徳島県の観光情報サイトに「高山に自生しているシラクチカズラ」と書いてあり、これは「サルナシ」の別名だと分かりました。
「サルナシ」については小さなキウイフルーツみたいな果実が生るつる植物といった程度の認識しかなかったので、こんな橋に使えるほど太く頑丈な材になるとは大変驚きました。
ウィキペディアには腐りにくいとも書いてありました。

写真撮影日 いずれも8月5日
写真6枚目は別群落。手前はツルギハナウド。


(つづき) 磯野久美子 投稿日: 2023年08月10日 21:23:11 No.779
結構な雨で、ここに載せたのが一番マシというひどい写真しか撮れていませんが、キレンゲショウマ以外に印象に残った植物の写真です。(  )内は撮影日。
1枚目 トゲアザミ(8月6日)
2枚目 ヒメフウロ(8月5日)
3枚目 上:ツルギハナウド、下:ギンバイソウ(いずれも8月5日)
4枚目 イヨフウロ(シコクフウロ)(8月5日)
5枚目 上:コモノギク、下:タカネオトギリ(いずれも8月6日)
6枚目 サルナシ(8月6日)


キレンゲショウマなど、ソハヤキ要素の植物について 藤井俊夫 投稿日: 2023年08月11日 21:54:22 No.780
●ソハヤキ要素の植物(wikipediaなどを参照)
キレンゲショウマ(紀伊半島、四国、九州:絶滅危惧II類)。矢田部良吉が命名(1890)。
  中学生ぐらいのとき、家族旅行で石鎚山へ行ったとき、見たいと思ったが、かなわなかった。
ギンバイソウ(関東以西:本州南部、四国、九州)マキシモビッチが命名(1867)。
コモノギク(近畿南部、四国)牧野富太郎が命名(1898)。
タカネオトギリ(四国、九州)牧野富太郎が命名(1898)
★上記植物は、ソハヤキ要素の植物。

●以下は、広い意味でのソハヤキ要素と考えられる
イヨフウロ(分布:本州の東海以西、四国、九州)松村任三が命名(1901)

●他の植物について。
トゲアザミ:中井猛之進が命名(1911)。ノアザミの変種で、トゲがするどい。鹿などの草食動物に対する防衛適応と考えられる。
ツルギハナウド:本田正次が命名(1943)。絶滅危惧Ib類(分布は四国に限られる)
***************************************
●ソハヤキ(襲速紀)要素関連の文献
単行本では、少し古いが、
前川文夫。1977.日本の植物区系。玉川大学出版部。があります。

●襲速紀要素:
前原勘次郎「南肥植物誌」(1931)の前書きで、小泉源一が使った言葉。
明確に定義されていないため、様々な解釈がなされています。
上記「日本の植物区系」で、定義づけられたと考えています。

●ソハヤキ型分布をする植物は、中国大陸の温帯域(雲南省周辺)を起源とする植物が多い。
堀田満。1974.「植物の分布と分化」.三省堂。p276-p27を参照。(絶版)。

●日本の固有植物についての概説
国立科学博物館(編)2011.日本の固有植物。東海大学出版会, 3800円

●ソハヤキ要素の植物
Wikipediaの「襲速紀要素」を参照。
テンニンソウ 磯野久美子 投稿日: 2023年08月18日 00:43:36 No.789
剣山の状態をよく知る人からこんな話を聞きました。
●以前、剣山は色とりどりの花々が咲き誇る花の楽園だったが、テンニンソウ(鹿忌避植物)の単純群落が増え、至る所で石灰岩の崩壊がおき、花畑は消失して荒野と化した。
●キレンゲショウマの群落規模も、鹿害による大きな土砂崩れがあって随分小さくなった。
私は大きな群落だと感激しましたが、以前はあんなものではなかった。
さらに今は防鹿ネットに囲まれて見づらくもなった。

そう言えば、先日雨の中でも目立つ大きな群落があちこちにあり、なんだろうと思いつつ、花もなくてよう調べ切れずにいたのですが、これら(写真1~6枚目)がテンニンソウだったのでしょうか。違っていたら教えて下さい。
写真1~4枚目 剣山にて8月5日撮影
写真5~6枚目 剣山にて8月6日撮影
なお、1枚目では群落中にナンゴククガイソウやキツリフネの花もわずかに見られました。
2~3枚目は群落中にカニコウモリが少し見られました。


天涯の花 磯野久美子 投稿日: 2023年09月19日 21:17:06 No.862
キレンゲショウマを一躍有名にしたという宮尾登美子の小説「天涯の花」。
剣山にキレンゲショウマを見に行く前に読んでおこうと思っていたのですが、結局帰ってからしか読めず、今日やっと読み終わりました。
しかし、読書中に小説の舞台となる剣山や次郎笈の景色や咲いていた花などが思い出され、登った後でかえってよかったかもしれないと思っている所です。
作者は体が弱くて、剣山の山頂も「気高くてお月さまの色をしているキレンゲショウマ」も実際には見ていないそうですが、「山の神秘と清浄」に子供の頃から憧れ続けて来たそうで、植物図鑑が宝物という山の花が大好きな少女を主人公とするストーリーにもぐいぐい引き込まれ、自然の美しさも厳しさも体験したかのようにうまく描かれていて、一気に読めました。
図書館に文庫本を予約したつもりが、ハードカバーの重たい本を貸してもらうことになり、やれやれと思いましたが、表紙がキレンゲショウマの花だったので、誠に勝手ながら文庫本でなくてよかったと思いました。
この表紙のキレンゲショウマ、写真かと思ったら絵とのことで、あまりに写実的で驚きました。拡大して見ると確かに絵でした。
画家の方が開花の時期に現地に足を運んで描かれた絵だそうですが、この絵のおかげで作者のイメージもぐっと拡がったのだそうです。


「天涯の花」の絵は、向きが不自然 藤井俊夫 投稿日: 2023年09月20日 14:18:32 No.863
「天蓋の花」の絵は、咲いている角度が不自然に上向きです。
キレンゲショウマの花は、うつむき加減に咲きます。
絵を50度ほど回転してみました。


「天涯の花」の表紙絵 磯野久美子 投稿日: 2023年09月20日 15:10:17 No.864
藤井様

ホントですね!
全然気づきませんでした。迂闊でした。
上向きというだけで写真ではない(真実ではない)ことが分かりますね。
私が8月10日にアップした写真でも全部下向きに咲いていますもんね。
この絵は画家の方が現地に実物を見に行って描かれたものだと「あとがき」に書いてありましたが、ひょっとすると、小説のイメージから天に向けて描きたくなったのかもしれませんね。
単なる写実的な絵ではなく、入魂の創作なのだと気づかせていただき、ありがとうございました。


京都府北部に帰化したミツバフウチョウソウ 植村 修二 投稿日: 2023年09月15日 12:22:42 No.861 【返信】

 先日、来年度の近畿植物同好会の観察会の候補地探索で、京都府北部の下見に参加しました。

 その際、京都府北部の植物相(フロラ)に詳しい澤田 徹さんが参加されました。

 この近く?でミツバフウチョウソウCleome trachysperma (Torr. et A. Gray) Pax et K. Hoffm.が見つかったらしい情報がネットにありましたので、そのことを澤田さんに話してみました。

 その後、澤田さんから「おそらくここだろう」と連絡があり、昨日<2023年9月14日>、現地に連れて行ってもらいました。

 「この辺かな?」、そう澤田さんが話して細い道を入っていくと、砂地の畑が広がっており、キレイに耕耘され、所々で乾燥した刈り取りされた雑草が燃やされていました。

 「来るのが遅かった」と思った瞬間、「この草じゃない?」と澤田さん。近寄ってみると北米からメキシコが原産のミツバフウチョウソウでした。畑の周囲を歩いてみると何株か残っていました。

 ミツバフウチョウソウは牧野図鑑に図があることから、たいぶ以前に日本に入ってきている植物です。

 この畑にしか見られないようで、どうしてここに生えるようになったか、じっくり見てみましたがわかりません、オオブタクサもこの畑に見られました。

 ここに定着した理由はハキリしています。原産地の環境とよく似ているからでしょう。


 原産地であるソノラ砂漠で撮影されたミツバフウチョウソウ
 
 https://cabezaprieta.org/plant_page.php?id=2265

 

 




新刊紹介 相良真佐美 投稿日: 2023年09月12日 17:17:17 No.858 【返信】

アマゾンに予約していた「もっと菌根の世界: 知られざる根圏のパートナーシップ」が今日到着しました。

末次健司さんがXでつぶやいていた「たくさんのふしぎ9月号の次のステップはこれ」と聞き予約していました。
陸上の植物の70~80%はアーバスキュラー菌根ということで、アーバスキュラー菌根を今までWebで調べていましたが、
途中で説明があやふやになったり、結論が飛躍したり、急に難しい言葉でごまかしたり、Webでは堂々巡りでした。

この本は、末次健司さんを始め11名のこの分野をリードする専門家の章ごとの執筆で、語句の解説など分かりやすかったです。
少しずつですが、疑問点が理解できました。最新の用語も丁寧に解説してあるので、辞書として長く使えると思いました。
前書と重なっているところもありますが、新しくツツジ型菌根も載っていました。菌根に興味のある方にお勧めです。

書 名 ‏ : ‎ もっと菌根の世界: 知られざる根圏のパートナーシップ 
著 者 ‏ : ‎ 斉藤雅典 編著
出版社 ‏ : ‎ 築地書館 (2023/9/12)
発売日 ‏ : ‎ 2023/9/12
単行本 ‏ : ‎ 352ページ
定 価 ‏ : ‎ 本体2,700円+税


「タネガシマムヨウランの仲間」は新種でした 相良真佐美 投稿日: 2023年09月14日 11:58:40 No.860
たくさんのふしぎ9月号「植物」をやめた植物たちに関して、末次健司さんから、

【この冒頭で出てくる「タネガシマムヨウランの仲間」ですが、ボルネオで普通に見られるタイプの「タネガシマムヨウラン」なのですが、
 写真の通り「タネガシマムヨウラン」そのものとは異なります。
 ということでマリアウで採取できたので2018年にAphyllorchis maliauensisと名付けて新種記載しました!】

論文は英語です ↓
https://tinyurl.com/34u6axry

論文によると2015、2018年とボルネオ島の保全地区をマレーシア・サバ大学の人たちと調査し新種Aphyllorchis maliauensisを見つけました。
和名は命名されてないのですが、現地の方に気を使って、日本産ではないので、和名は命名されなかったのかも分かりません。
学名はマリアウがはいっているので和名は「マリアウムヨウラン」とでもされたらと思いました。本では「タネガシマムヨウランの仲間」となりました。




キイレツチトリモチの原記載と植物画、ついでに、ひとはくのツチトリモチ(レプリカ) 藤井俊夫 投稿日: 2023年09月13日 12:20:33 No.859 【返信】

牧野富太郎のキイレツチトリモチ、原記載と植物画です

●キイレツチトリモチの原記載と植物画
Makino,T. 1910. Observations on the Flora of Japan. Continued from p. 252. B.M.T.24(287):291.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/24/287/24_287_290/_pdf/-char/ja
291p.に、キイレツチトリモチの植物画がある。
山口氏が牧野に標本を送った経緯にも言及しています。

●NHKのドラマ「らんまん」で、キイレツチトリモチのレプリカが使われているのは、
単に、西尾製作所にツチトリモチの型枠が無くて、キイレの型枠があったとか?
**********************************************************
ひとはくのレプリカ(照葉樹林の展示コーナー)
①左から:ギンリョウソウ(レプリカ)、アキザキヤツシロラン(実物)、ムヨウラン(実物)、背景写真は、ムヨウラン
②左から、ツチトリモチ(レプリカ)、ヤッコソウ(レプリカ)、背景写真はキイレツチトリモチ
③ツチトリモチ(レプリカ)
④フウラン(レプリカ)
⑤ナゴラン(レプリカ)
⑥ヒトツバなど(実物)

主に、宮崎から鹿児島周辺で採集したはず(1990年ごろです)
ひとはくは、1992年10月に開館。(1991年の準備室時代は展示担当で大変だった)
(RDBが編集される以前です)




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