近畿植物同好会 掲示板
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「植物学雑誌」第1巻第1号 相良真佐美 投稿日: 2023年06月15日 11:40:41 No.701 【返信】

「らんまん」で話題になった本物が公開されています。添付画像はその引用です。

東大植物学教室発行の「植物学雑誌」第1巻第1号 (「PDF形式でダウンロード」をクリックすると見られます)
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jplantres1887/1/1/_contents/-char/ja

牧野富太郎 日本産ひるむしろ属
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/1/1/1_1_2/_pdf/-char/en


相良真佐美 投稿日: 2023年06月20日 20:07:44 No.717
角野康郎先生発行の「水辺通信No.4」(2023.6.20)の4ページに
実際の論文に掲載されているのは、ササエビモ(左)とヒロハノエビモ(右)の図とのことでした。
添付画像は、4ページの一部を引用させていただきました。


ササエビモの図と学名について 藤井俊夫 投稿日: 2023年06月21日 13:17:28 No.718
左図:ササエビモ(Potamogeton lucidus L.)
右図:ヒロハノエビモ(Potamogeton perfoliatus)

ここで、ヒロハノエビモに着いては問題なく和名と学名が対応しています。

★左図のササエビモの図と、学名、和名の対応が混乱を招くことになります。
図は、現在では標準和名「ササエビモ(学名:Potamogeton × nitens Weber)」となっており、
エゾノヒルムシロ(P.gramineus L.)とヒロハノエビモ(P.perfoliatus)の雑種とされています。
以下のsite参照
https://waterplants.web.fc2.com/zufu_hirumusiro2.html

●牧野は、「日本産ひるむしろ属」(1887:植物学雑誌(略称:JJB).1(1):2-8)で、ササエビモの学名を
「P.lucidus」としていますが、これは「P.lucens L. (First published in Sp. Pl.: 126 (1753))」の間違いで、和名は「ガシャモク【広義の】」になります。

●ササエビモの学名は「Potamogeton × nitens Weber」(Plant working list)と「Potamogeton nipponicus」(日本のレッドデータ検索システム)、「Potamogeton gramineus 」日本の水生植物)、などが混在しています。
以下のsite参照
http://www.theplantlist.org/tpl1.1/record/kew-308647
https://waterplants.web.fc2.com/zufu_hirumusiro2.html
http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=06050055146
おそらく、Y-listで採用している「P. × nitens Weber」が正名だと思います。

まとめ:
牧野の「日本産ひるむしろ属」について
図は、ササエビモ(エゾノヒルムシロと、ヒロハノエビモの雑種)を描いている。
学名は、ユーラシア大陸に広く分布する広義のガシャモクを指しており、図と学名の対応関係が間違っています。
(POWOの以下のsite、distributionを参照)
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:208858-2

ややこしい、植物分類学は文献学だと揶揄される所以だと思います。


六甲と京都の植物園 磯野久美子 投稿日: 2023年06月20日 00:39:48 No.716 【返信】

6月17日、六甲高山植物園で森和男さんの園内ガイドに参加しました。みっちり1時間、テンポの良い楽しいお話を聞かせていただきました。今も変わらず大変精力的に活動されておられるようで、すごいなあと思いました。
園内の至る所でコアジサイが満開で、どこを歩いていてもいい香りが漂っているような感じがとてもよかったです。コアジサイはどんどん殖えるけど、いざ栽培するとなると難しいのだそうです。
ほかには、一面のピンクが遠目に美しいコシジシモツケソウ、美ヶ原で群生しているのを見て感動したキバナノヤマオダマキ、そしてウツギの白い花が沢山咲いていてきれいでした。ヤマオダマキも咲いていましたが、ここでも美ヶ原と同様キバナノヤマオダマキより少ないでした。
タカネマツムシソウ、ヒマラヤの青いケシ、イブキジャコウソウ、タカネナデシコ(北アルプスで見たのはもっと紅色が濃いでした)、イブキトラノオ、ゼンテイカなども満開でした。中国料理ではゼンテイカを乾燥させたものを金針菜として使うとのこと。
エーデルワイスやコマクサも咲いていました。コマクサはその昔、御岳百草丸などに使うために採りつくされてなくなって行ったんだそうです。今はもう配合されていないとのこと。実はこの日もザックの中に御岳百草丸を入れていたので、このお話はヘエエと思って聞きました。
コケモモやチングルマが実をつけ、シチダンカ、オオナルコユリ、ニワフジ、バイカツツジ、チョウジソウ、ノハナショウブ、ハマナス(白花)、シロウマアサツキ、ハコネコメツツジ、開園当初に保津川から持ってきたというサツキ(白花)などいろんな花が咲いていて楽しいでした。一面のクリンソウもほとんどが実になっていましたが、一部花もまだ残っていました。ショップ前のエゴノキは地面におびただしい数の花が落ちていましたが、見上げるとまだ木にも沢山咲いていて上を見ても下を見てもきれいでした。
ヒオウギアヤメの花やシキンカラマツの蕾も見ました。これらはうちにも森さんが受賞講演の時に配布してくださったタネから成長したものがありますが、今年はどちらも花は無理かもしれないと思っていた所なので、アラッ!と思いました。
ヤクシマシャクナゲもあり、毛でふかふかの葉っぱを触り、早くも懐かしく思いました。終わりかけの白い花が少し残っていました。
クガイソウ、エンコウソウ、ハンカイソウが咲き始めていました。
アリマウマノスズクサも園内に生えていて、西出口で展示もされていましたが、今年は花芽が少ないとのこと。ここにはムジナモも展示されていました。母校で在籍したクラブの会誌名が「むじなも」だったのでスルーはできず。

森さんは牧野富太郎の資料も沢山お持ちで、今、開園90周年記念で開催されている「牧野の足あと~神戸で見つける博士と植物~」展で色々公開して下さっていました。
今回の展示資料は森さんや「ひとはく」などが所蔵する珍しいものが多いそうで、東京の牧野記念庭園の方も見に来られたそうです。
この中で印象に残った言葉が二つありました。
一つは、牧野さんの号「牧野結網」にもなり、牧野さんの生涯の指針となったというこの言葉です。「古人云うあり 淵に臨んで魚を羨まんよりは、退いて網を結ぶに如かず」。牧野さんが常に知恵を絞って行動されていたことがよく分かりました。
もう一つは、昭和6年の正月に詠んだ「七十はわが身に嬉し羊年 未だ未だ未だにと 未来ある成り 七十はなお人間の花盛り 結び良き果を これよりぞ待つ」。これは森さん所蔵の書で、森さんの気持ちも代弁するもののようにも思いました。ここには「結網学人 牧野富太郎」と署名されていました。
あと、年賀状にも「ぴょんぴょんと飛ぶ兎さんやれまてと 九十のお爺いきせき走る」(1951年)とか「百歳に尚路遠く、雲霞」(93歳)とか書かれていて、高齢になっても元気に活動されていた様子が伺われました。
森さんは牧野富太郎の実態をよくご存じなので、朝ドラの設定には頭が混乱させられると笑っておられましたが、浜辺のおねえさん(妻役の浜辺美波さんのことですね)みたいに着物がよく似あう人はいないとも仰っていました(^^)

2年前、京都府立植物園の面積縮小に反対の署名運動があり、近植でも3月の総会の時に署名する機会があったそうですが、私は総会を欠席したため、7月に田中光彦さんが署名の書類を郵送して下さいました。植物園のみならず、植物園に隣接する母校のグランドにアリーナが建つかもしれないという話もあったので、署名をして、直接森さんに提出しました。
この時、森さんは沢山の資料とともにお礼のお返事を下さいましたので、せっかくお目にかかれたので、園内ガイドが終わったあとにご挨拶したら、即、「ありがとうございました!」と言われました。植物園の面積縮小の話は府にお金がないために回避されることになったとのことです。この話はこの6月に決まったばかりだそうで、署名集めをお願いした人にはその旨お知らせされたそうです。あとまだアリーナの件は残っているようですが、おそらくこちらも…。

写真
1枚目コシジシモツケソウ
2枚目こんなクリンソウがありました。キメラでしょうか。
3枚目エーデルワイス(ドロミテとかヨーロッパの東の方のは丈が10cm位。これは20cm位あるので西の方のものとのこと。)
4枚目タカネマツムシソウ(8月までに咲くのがタカネマツムシソウで、8月以降に咲くのがマツムシソウとのこと)
5枚目オオナルコユリ(ホントに大きな花で、ビックリしました)
6枚目アリマウマノスズクサ、葉裏がビロードのように毛が沢山生えているヤクシマシャクナゲ、バイカツツジ、タカネナデシコ




京都にレウコスポラ・マルチフィダがありました 高原秀明 投稿日: 2023年06月17日 18:52:34 No.713 【返信】

昨年の10月に宇治川大橋の歩道にキクモに似た不明な草に気が付き、ネットで尋ねたところ「Leucospora multifida」と教えていただきました。
該種についてはネット上に下記の報告があり、2020/6/23に東京で発見されていました。
 https://hitakijo19.exblog.jp/31252553/
写真1枚目は今日の撮影で、その他は昨年10月3~13日の写真です。


伊吹寛子 投稿日: 2023年06月17日 19:06:59 No.714
あら?!
前にツイッターなどで拝見して、実は私も今日、自転車で見に行ってきました!
まだ小さいのが多かったですが、とても繁殖力が強そうですね。
オオバコ科とのことで、仰られますようにキクモ(あるいはコキクモ)を思い出させます。
2015年の近植掲示板に向島のキクモを投稿されたのも高原様ですし、
珍しい物を見つけられるのは、さすが高原様と思いました。
相良真佐美 投稿日: 2023年06月17日 22:46:35 No.715
Leucospora multifida(レウコスポラ・ムルティフィダ)は「北米の植物相」サイトに記載がありますね。

http://floranorthamerica.org/Leucospora_multifida


芦生研究林のコケ 相良真佐美 投稿日: 2023年06月16日 17:07:55 No.712 【返信】

南丹市の京都大学芦生研究林にはコケ植物も豊富です。6月10日、絶えず水の流れる岩壁でミズゴケ科ホソベリミズゴケを見ました。
日本のミスゴケ類は北方系が多いのですが、なぜかこの種は南方系で珍しく、京都府では準絶滅危惧種です。

京都府レッドデータブック(2015)  ホソベリミズゴケ
https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/moss0101.html

ミズゴケの仲間は、茎から伸びる開出枝と、茎に沿って下に伸びる下垂枝があるのが特徴です。
茎につく茎葉と枝につく枝葉は形が違います。普通、茎葉の形で同定するのですが、取り出すのが難しいので開出枝の枝葉で検鏡しました。
細胞は、光合成のための葉緑体が入っている葉緑細胞と、水分を貯蔵する透明細胞があります。
透明細胞にたっぷり水を貯め込むのでスポンジのような用途で使われます。

その他、トロッコ線路に沿ってツルチョウチンゴケがずっと連なっていました。
大型のコケとしてオオカサゴケ、コウヤノマンネングサ、ヒノキゴケなどもありました。

◆◆芦生研究林見学ツアーの紹介◆◆

芦生研究林への一般の方の入場は、一部のルートのみ許可されています。
https://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/ashiu/use/visit/

より広範囲なルートは一般社団法人「芦生もりびと協会」の認定ガイドによるツアーガイドがあります。
https://ashiu-moribito.jp/

芦生の森ネイチャーガイドトレッキングツアーでは、
JR園部駅送迎つきハイキング【園部駅発着ツアー】●参加費16,500円(税込)などもあります。
https://miyama-kajika.com/tours/ashiu/




ヒメコウホネ 山本和子 投稿日: 2023年06月16日 17:06:17 No.711 【返信】

東海型のヒメコウホネ(狭義のヒメコウホネ)を探しに三重県南部に行って参りました。
思ったより難儀でした。というのもあると思っていた河川は改修工事でヒメコウホネは絶滅したようです。
そこは諦めてもう一つの場所で探そうと思いましたが、情報を得てから行ったのであまり迷わずに済みました。
用水路のようなところと、周辺の湿地化したようなところに点々と生えているのが確認出来ました。
抽水葉の長さは大きいもので13cm、幅12㎝、花径は3cm前後(目測です)、生育地は浅い用水路や湿地状のところです。
お陰様で四日市市の池のサイコクヒメコウホネとの違いがよく分かりました。




芦生研究林の自然 相良真佐美 投稿日: 2023年06月11日 23:18:33 No.693 【返信】

6月10日、京都大学芦生研究林(旧名・京大芦生演習林)に行きました。梅雨の合間で天気には恵まれました。
芦生研究林は福井県と滋賀県に接する京都府北東部に位置し、冬期は2mの積雪があります。
今回は珍しいコケの観察に行ったのですが、初夏になって、たくさんの開花に出会いました。

ウツギの白い花が並ぶ中で、目立ったのが、由良川沿いに白い花を咲かせたオオバアサガラの群生でした。
とても見ごたえがあり、広く皆にPRしたらどうかと思いました。
しかし、帰宅してYouTubeで知ったのですが、シカがオオバアサガラだけを食べないので芦生の豊かな植物相が崩れつつあるということも知りました。

石原林長のシカの食害とオオバアサガラ、「クマハギ」というツキノワグマが樹木の皮を剥ぐ被害などの説明
 (YouTube フィールド科学教育研究センター「野外実習」より頭出し) 
https://youtu.be/xiANpO0Gwis?t=675

柴田班長の「シカよけのネットも冬期は積雪で破壊されるため、外す手間がいる」とか、いろいろ困難を抱えている現状を知りました。


芦生研究林の自然(2) 相良真佐美 投稿日: 2023年06月12日 13:28:17 No.695
オカタツナミソウ 普通のオカタツナミソウの半分ほどの草丈で、石の間でひっそりと生育しています。
         YouTubeの石原林長のスミレの話のように、背丈が伸びるとシカに食べられてしまうようです。
ナツトウダイ   シカ不嗜好性植物でちらほらと見かけます。
         同じく不嗜好性植物のオオバノイノモトソウも河原付近では広範囲に広がっています。
コアジサイ    6日前の六甲高山植物園では蕾でしたが、ここでは開花していました。
         普通のアジサイと違い、甘い香りがします。
         
2008年の柵の設置の結果、シカは1平方km当り2~3頭に減少し、過密から普通状態に解消されましたが、森の回復にはまだまだです。
その他、初夏の植物の花や果実です。


芦生演習林のシカの影響を調べた報告 藤井俊夫 投稿日: 2023年06月12日 16:08:26 No.696
芦生演習林のシカの影響と林床植物相の1989年から2007年までの変化についての報告が出てきました。
藤井伸二。2010.芦生研究林枕谷におけるシカ摂食にともなう林床開花植物相の変化。保全生態学研究。15:3-15.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hozen/15/1/15_KJ00006393623/_pdf
表2.の上から2行目に、オオバアサガラがある。
由良川とは異なる場所だが、当時はそれほど目立った存在ではなかった可能性があります。

2枚目の芦生研究林の林道に生えているシダは、鹿の不嗜好植物である、イワヒメワラビです。
奈良の春日山原始林や、若草山でも繁茂しています。
オオバアサガラ群生地の下草も、イワヒメワラビです。


★ついでに、気になった植物
オトコヨウゾメは、コバノガマズミ?
私の抱いているオトコヨウゾメのイメージと異なっています。

オトコヨウゾメは、茎、葉などが、ほぼ無毛のはず。
写真の個体には、茎、葉の脈上、果柄などに、明らかに微毛が密生しています。
オトコヨウゾメの鋸歯は、もう少し粗い傾向があると思います。
果柄も、オトコヨウゾメなら細く、果実が成熟するころには枝垂れます。
総花柄、小花柄も、もっと長くなるはずです。
また、オトコヨウゾメにしては、果序当たりの果実数が多すぎます。
オトコヨウゾメは、10個以下が普通のはず。

以下のsiteの写真を参照。
●mirusiru.jp
神奈川県南部「湘南・鎌倉・三浦半島」の花暦を少しずつまとめています。
https://mirusiru.jp/nature/flower/otokoyouzome
訂正 相良真佐美 投稿日: 2023年06月12日 18:01:21 No.697
藤井先生
オトコヨウゾメとした件ですが、葉柄が赤くなく、果実数がちょっと多いので、コバノガマズミかとも思っていました。
おっしゃる通りに訂正させていただきます。
ご指摘をどうもありがとうございました。


アシウスギ 相良真佐美 投稿日: 2023年06月15日 09:26:57 No.700
「アシウ」の名を持つ植物は、アシウテンナンショウ、アシウスギ、アシウアザミなどがあります。
その中の、アシウスギを観察しました。アシウスギはスギの変種で、積雪に強く日本海側でウラスギとも呼ばれています。
スギを母種として、遺伝子的に、太平洋側、日本海側、日本海側(北東北)、屋久島の4種のグループが知られています。
https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/bulletin/446/documents/446-3.pdf

アシウスギは、しなやかな感じで、葉の開く角度が狭く、枝が垂れて地面につくと無性芽ができて新しい株になります。
トロッコ道沿いに、植栽されたアシウスギが並び、初夏で新緑の新芽がまぶしいくらいでした。積雪によって根曲がりのもありました。
6月14日、神戸市北区の谷上の普通のスギを、比較のために撮影し採集しました。葉の開く角度がやはりスギは広いです。比較画像も添付します。

余談ですが、スギは Cryptomeria japonica (L.f.) D.Don 、変種アシウスギは Cryptomeria japonica (L.f.) D.Don var. radicans Nakai です。
この Nakai という命名者は、中井猛之進博士(明治〜昭和期の植物分類学者)で「植物研究雑誌」17巻(1941)にアシウスギを変種として命名記載しています。その時の

  【植物ヲ学ブ者ハ一度ハ京大芦生演習林ヲ見ルベシ】という文章が芦生の植物相の豊かさを有名にしました。

ただ、実際に芦生に滞在されたのは3日間だそうです。※渡辺弘之著「芦生原生林今昔物語」(2021あっぷる出版社)より


芦生のとなり 磯野久美子 投稿日: 2023年06月15日 12:06:14 No.702
相良様

芦生は学生時代に何度か合宿した所なので、懐かしい思い出がいっぱいです。なんにも知らないので、ただ先輩たちについて歩くだけでしたが、今思い返せば、贅沢な時間であったと思います。
ところで、京都大学の芦生研究林と京都府立大学の久多演習林とは分水嶺をはさんで隣接していて、2017年秋に初めて案内してもらう機会があり、ウラスギやオオバアサガラなどその時に聞いた話を旧掲示板に投稿し、そのあと室内例会でもお話させていただいたことを思い出しました。また2018年春にも再訪しています。
ご参考になるかどうか分かりませんが、当時の投稿記事を再掲致します。
(PDFで保存した旧掲示板の必要部分だけキャプチャで切り取ったので、ちゃんと文字が読めたらよいのですが…。写真は元の写真を載せました。)


芦生のとなり(つづき) 磯野久美子 投稿日: 2023年06月15日 12:12:06 No.704
2018年春の分も再掲します。

アシウと名の着く植物(原記載など) 藤井俊夫 投稿日: 2023年06月15日 13:36:10 No.705
●アシウスギについて
スギ集団の遺伝的構造

以下の書籍で、地域集団の遺伝構造について述べられています(図あり)。
この結果を新たなSNP解析という、精度の高い手法で解析した論文だと思います。
スギの生育特性(多雪環境に適応した匍匐枝が発達するウラスギ、匍匐枝が出ないオモテスギ、屋久島のヤクスギ)による違いが核DNAレベルで識別できるという論文です。

出典
津村義彦・陶山佳久(編)2015。地図でわかる樹木の種苗移動ガイドライン。文一総合出版。5500円。

radicant:根をつける。ラテン語のradicantemから派生したとされる。
*********************************************************************
●アシウスギ(原記載)JJB.17(5):277p.(1941)
中井猛之進。1941。植物ヲ学ブモノハ一度ハ京大ノ、芦生演習林ヲ見ルベシ。植物学研究雑誌。17(5):273-283.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/17/5/17_17_5_2518/_pdf/-char/ja

●アシウテンナンショウ
ヒロハテンナンショウ(Arisaema ovale Nakai var. sadoense (Nakai) J.Murata)の基本変種とされる。
仏炎苞が紫褐色で、花序が大型のものをアシウテンナンショウ(Arisaema ovale Nakai var. ovale)と呼ぶ。
仏炎苞の色や、付属体の太さも個体変異があり、ヒロハとの区別が困難です。
日本海側の多雪環境に適応した生態的な一型と考えたほうが良いと思います。

ヒロハテンナンショウ(2n=26,39,52,65)。複数の倍数体が知られている。
ヒロハテンナンショウは北海道から日本海側を中心に九州北部まで分布する。
邑田仁。2011.原色植物分類図鑑:日本のテンナンショウ。北隆館。16000円。

●アシウテンナンショウ(原記載)BMT.49(583):423(1935)
Nakai,T.1935.Notulae ad Plantas Japoniae & Koreae XLVI。Botanical Magazine, Tokyo.BMT.49(583):417-424。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/49/583/49_583_417/_pdf/-char/ja
*********************************************************************
●アシウアザミ
Cirsium ashiuense S.Yokoy. et T.Shimizu
原記載
横山俊一・山下水緒・清水建美。1996.北陸地方およびその近隣地方のアザミ属植物の分類学的研究(2)。アシウアザミー京都府芦生産の一新種。
植物地理・分類研究。44(1-2).19-24。
https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=49262&item_no=1&page_id=13&block_id=21

●科博の「日本のアザミ」
https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/azami/index.html
https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/azami/detail.html?no=5
日本のアザミは、亜種、変種を数えると、150種ぐらいあるらしい。
門田裕一。2012.アシウアザミとジャクエツアザミ(新称) (植物地理分類学会61 周年によせて)
植物地理分類60:5-10。2012。
https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=21&item_id=47148&item_no=1
藤井注:アザミ属(Circium)は、押し葉標本では、種の識別が非常に困難なグループだと思います。
検索表を見ても、根出葉の有無や、開花時の頭花の向き、総苞片の反り返り、粘着性、頭花の大きさ、形状など、標本からでは識別困難な形質が並んでいる。
Cirsiumは、世界に300種あるといわれる。
植物ヲ学ブモノハ… 磯野久美子 投稿日: 2023年06月16日 00:57:35 No.710
藤井様

「植物ヲ学ブモノハ一度ハ京大ノ芦生演習林ヲ見ルベシ」、原文を教えていただき、ありがとうございました。
読み物としても大変面白くて一気に読みました。
ちょっと調べないと分からない漢字もありましたが、正直な思いが語るように書いてあって分かりやすく、関東の方が大変な思いをして遠路はるばる芦生まで来られたくだりなどはユーモラスに書かれていて、あまりに面白くて声を出して笑ってしまいました。
私たちはいつも京都バスの広河原のバス停から山道を何時間かかけて歩いて行きました。
一度、絶対に休めない月曜の昼イチの実験に間に合うように、同じ学科で同学年の3人だけ先に、広河原ではなく、歩く距離が少なくてバス通りの方に出るルートで帰ったのですが、バス停にたどりつくまでに山の中で大雨に会い、安物のビニルのカッパしか持ってなかった貧乏学生は3人ともびしょぬれになって、実験が終わった後にやっと学校に着いたという苦い経験があります。でも、先生も芦生から帰って来たと言うと、嬉しそうに話を聞いて理解を示して下さり、おとがめもありませんでした。昔話ですね。
ひょっとすると今は交通の便も良くなっているのかもしれませんが、私はやっぱり芦生はどこから行っても遠いと思っているので、この論文をお書きになった1941年頃に関東からいらしたのは本当に大変だったと思います。


シラキ 伊吹寛子 投稿日: 2023年06月15日 16:09:43 No.706 【返信】

2023年6月14日、神戸市立森林植物園に至る山田道で、シラキに花序が何本も立っているのが見えました。「まだ蕾。これから咲くん違う?」とか「雌雄異株や」とか色んな声が聞こえる中、カメラで覗いて見ますと、ナニヤラそうでもない姿です。 良く見ると花柱のような物も見え、どうなっているのか知りたいと、一生懸命ピントを合わせてシャッターを切りました。

結局、長く穂状に立っているのは雄花で、そばに2-3本突き立っていて花柱が見えるのが雌花と思い、帰宅後調べました。平凡社「日本の野生植物」(1989)によると、雌花には長さ約7㎜の柄があり…花柱は3個で基部は合着…蒴果は…花柱が宿存する」。また、雄花は「萼は皿状、雄蕊は2-3個」とありました。他にネット(https://matsue-hana.com/hana/siraki.html)に「雌花は受粉すると果柄が伸びる」とありました。

そのことから私が見たのは受粉して子房が膨らみ柄の伸びた雌花と穂状の雄花と分かり、雌花の先端の3裂する花柱は、蒴果になっても残存するのだと知りました。雄花の萼が皿状であること、雄蕊が2-3個というのは、このことかと思える状態は写真に辛うじて見える気がしますが、もう少し早い時期に、また見て確認できればと思います。

雨の多い時期、流れも増水して橋?代りの物も壊れていて渡るのも容易ではなく苦労しましたが、キノコやコケには歓迎すべき時期なのでしょう。 大木に両者の、そしてノキシノブも割り込んでの饗宴が見られました。コケはヒメコクサゴケという名前だそうです。

写真1:シラキに立つ花序
写真2:下が雄花の皿状の萼でしょうか?
写真3:雄花花序 雄蕊が見えるかと思いますが、遠くからの写真で良く分かりません。
写真4:キノコとコケの饗宴
写真5:ヒメコクサゴケ


トウダイグサ科の花の構造 藤井俊夫 投稿日: 2023年06月15日 17:06:54 No.707
以下のsiteにトウダイグサ科の基本的な花の構造が載っています。

続・樹の散歩道→トウダイグサ科の仲間は、やはり宇宙からやってきた植物なのか
http://kinomemocho.com/sanpo_Euphorbiaceae.html
ノウルシの杯状花序 (「日本の野生植物(平凡社)」より)
の、図を参照。

左の「花時の杯状花序」の図で、めしべが1個の花に当たり、3個突き出た雄蕊も、それぞれ独立した3個の花です。
杯に隠れている3個の雄蕊も独立した花になります(ヤヤコシイ)。
全体で、雌花(1個)、雄花(6個)の花序を形成しています。
これが基本で、雌花だけになった花序、雄花だけになった花序、両方の花が着いた花序が、総花序柄に着くことになり、複雑な構造になります。

右の図で、飛び出た雄花の中央付近に関節(節)があります。
このような関節が、全ての雄蕊、雌蕊にあります。
これを根拠に、トウダイグサ科の花は複数の雄蕊(雄花)、雌蕊(雌花)が集まった花序とされています。

ここで、杯状花序の「壷状(杯状)部分」が浅く、平たくなった花序が「シラキ」にあると考えればよいと思います。
「杯状花序」という専門用語がある前提で、「萼が皿状」になるという表現にしたものと考えられます。
正式には「杯状花序の苞が杯状花序の周囲に水平に、せり出す」などのような表現になると思います。
これでは、何のことかさっぱりわからないし、長文になるので、「苞」を「萼」に、「杯状」を「皿状」にして、端的に表現したものと考えられます。

福岡教育大の植物形態学も参照
ナンキンハゼ(以前は、シラキと同属にされていた)
https://staff.fukuoka-edu.ac.jp/fukuhara/keitai/nankinhaze.html
果実(成熟した雌花)の下に、関節(小さな苞が着いていた跡)が良くわかる。
果実の(雌性先熟、雄性先熟)図にも、わざわざ関節部分の突起を書いている。
伊吹寛子 投稿日: 2023年06月15日 17:15:31 No.708
藤井先生
たくさん資料を、そしてお教え下さり、ありがとうございます。
シラキを調べてトウダイグサ科と知り(そんなことも恥ずかしながら知りませんでした)身構えました。とても難しそうです。
それに図鑑で調べていた時に、しきりに「関節」という他の植物ではあまり見ない(と思う)言葉が出てくるので、ますます迷路に入っていく思いでした。
勉強させていただきます。
ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
伊吹寛子 投稿日: 2023年06月15日 21:49:12 No.709
藤井俊夫先生
資料を読ませていただいて、やっとシラキの花の構造が分かりました!
ありがとうございました。


アリマウマノスズクサ 磯野久美子 投稿日: 2023年06月12日 23:45:55 No.699 【返信】

6月10日、神戸市立森林植物園に行きましたら、入口の目につく所で、花をつけたアリマウマノスズクサの鉢が展示されていました。
5月20日に伊勢朝熊山で見たイセノウマノスズクサとは全然違うことがよく分かり、ラッキーでした。

同園では丁度アジサイの催しが始まったところでした。標高が町中より少し高いので(~440m)、まだ蕾のものが多いでしたが、咲く時期が早いコアジサイやシチダンカはもうきれいに咲いていました。私はアジサイの中ではコアジサイが一番好きなので、嬉しかったです。コアジサイは装飾花もなく地味だと言われますが、楚々としたいい感じの花だと思いますし、葉の形も子供が描くようなギザギザが可愛いし、何より山道でこのいい香りをかぐと元気が出ます。
園内では、オオヤマレンゲの花やモリアオガエルの卵塊も見ることができました。

写真
1~5枚目 アリマウマノスズクサ
6枚目   オオヤマレンゲ




屋久島について(思い出など、いろいろ) 藤井俊夫 投稿日: 2023年06月10日 14:50:10 No.688 【返信】

屋久島に行ったのは、世界自然遺産遺産になる前の1984年でした。
当時、大学の研究室で環境庁の委託調査があるので、手伝いとしてついて行った。
あんまり役に立たなかったけど、これで植物生態学(特に個体群生態学)をやってみようという、きっかけになりました。

屋久島の第一印象は、あまりにも多くの植物が何故、同じ環境で共存できるのかという疑問でした。
まず、個々の種の生活史を明らかにし、どのように共存できるのかメカニズムを探ろうと思いました。
いまだに、個々の種の生活史(繁殖生態:種子発芽から開花結実、種子分散)さえ、わからないことだらけです。
送受粉のメカニズムや、種子散布、埋土種子の寿命、種子発芽から、稚樹、繁殖段階に達する時の各クラス(例:樹木で胸高直径ごとに1年ごとの死亡率を算出するなど)での死亡率。
これを春日山原始林でクロバイを対象に種生態学的研究を始めました。
当時、世界的に森林の更新過程の新たなメカニズムとして、Gap Dynamics(森林に台風などの攪乱によって開いた空き地から世代交代が起こるというもの)が注目を集めていました。
また草本植物を対象として一つの種の中での生活史を明らかにする研究(カタクリなどが有名)が、木本植物へと拡大する時期に当たりました。

●世界自然遺産(1993年に、日本で最初の登録地として、白神山地と屋久島が同時に指定される)
https://www.env.g:屋久島の植物(九州森林管理局):固有植物78種、分布南限種200種以上。
https://www.rinya.maff.go.jp/kyusyu/yakusima/sekaiisan/syokubutu.html
「年に400日、雨が降る」と言われるぐらい、雨が多い。(あなぐると)
https://set333.net/2022/03/yakusima/
雨雲が海からやってきて、屋久島にあたると雨が降る(雲が雨を連れてくる)。
土壌が貧弱なこと、シカの食害が多いことなどから、矮性植物が多く見られる。
また、渓流に適応した渓流植物も多い(ホソバハグマ、ヤクシマスミレなど)
「人2万、猿2万、鹿2万」ともいわれるぐらい、野生動物が多い。(屋久島トレッキング・観光情報ガイド)
https://www.yakushima-info.com/
近年は、鹿が増えすぎて貴重な植物が絶滅の危機にさらされている。

●屋久島:洋上アルプス
亜熱帯から冷温帯の植物が標高差に応じて見られる。
屋久杉:地元では樹齢千年以上の杉を「屋久杉」と呼び、江戸時代以降に植えた千年以下の杉を「小杉」と呼んで区別している。

●屋久杉の受難
江戸時代、薩摩藩が幕府に献上する税金として屋久杉に目を付けたのが儒学者、泊如竹であった。
通説では1640年に屋久杉の伐採を藩に献策し、「神から許しを得た」と島民を説得。
当時、島民は「神が宿る」と信じる山奥の杉の伐採をためらったという。
本格的な伐採が始まったことで貧しかった島民が救われ、「屋久聖人」の名で今に伝わる。
(朝日新聞digital:離島編3 屋久島 藩の財政支えた屋久杉)
http://www.asahi.com/area/kagoshima/articles/MTW20180213470490008.html

●屋久島のコケ関係(文献)
岩田和鷹。2018.屋久島(鹿児島県)における蘚苔類の垂直分布・Naturalistae 22: 73-84。
http://www1.ous.ac.jp/garden/kenkyuhoukoku/22/Naturalistae-2018feb-73-84.pdf
秋山弘之・横山勇人・田中敦司・古木達郎・山口富美夫(2013).
多様な環境を有する島嶼における蘚苔類の種多様性調査-32km長距離ベルトトランゼクト法を活用した屋久島での事例-.
人と自然 Humans and Nature 24: 21-23.
https://www.hitohaku.jp/publication/r-bulletin/No24_03-1.pdf

●屋久島調査の記録(覚え書き)
1984年7月から8月(2週間:屋久杉調査補助。大川林道から花山歩道)
1986年8月(1週間:宮之浦岳登山:淀川登山口から、鹿之沢小屋で一泊し、栗生方面に下山)
1987年12月(1週間:リンゴツバキ調査。泊川などの海岸)
1989年6月(1週間:リンゴツバキ調査。西部林道などの海岸。卒論のテーマ)
 ※:世界自然遺産になる前(交通および宿泊など、何から何まで不便だったが、のんびりしていて良かった)
2022年12月(4日間:ヤマラッキョウ調査。湯泊登山道が崩壊して、たどり着けず)

栗生海岸で拾ったオカヤドカリ(プラスチックのキャップを住処にしていた。国の天然記念物指定なので、翌日リリースした。2022年12月2日)
https://ja.wikipedia.org/wiki/オカヤドカリ
多分、ムラサキオカヤドカリです
海洋と生物:26(1):83-89. Research Article* 朝倉 彰「ヤドカリ類の分類学、最近の話題-オカヤドカリ科」(品切れ)
http://www.seibutsukenkyusha.com/publications/aquabiology/aquabiology_2004.html

追伸
今日は、奈良公園から、春日大社の裏山(御蓋山)、春日山原始林、若草山まで、駆け足で回ってきました。
クリンソウが健在でした。トウゴクサバノオ、ヒメバライチゴ、オオハンゲ、カギカズラなど。
ルリセンチコガネもいっぱいいた。
月日亭から坂草山にのぼる遊歩道にフウランの着いていたアカガシの大木(20年ぐらい前か?)があったが、枯れていた。
たぶん、根本が腐っていて枯れたようです。

写真は2022年12月に屋久島・栗生の海岸で拾ったオカヤドカリ(プラスチックのキャップを住処にしている)
天然記念物なので、翌日、元の場所に置いてきました。
多分、ムラサキオカヤドカリです。
添付の文献、参照。


ダウンロードオカヤドカリ分類 ( .pdf / 8.2MB )
磯野久美子 投稿日: 2023年06月12日 22:55:58 No.698
藤井様

藤井さんの研究テーマが学生の頃にいらっしゃった屋久島で見つかったというお話やその時代のお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。一人の研究者の方の誕生というのか生い立ちというのか、そういったことを知る機会はあまりないので、何て言ったらよいのか分かりませんが、感動しました。
また、屋久島についての資料も沢山ありがとうございます!
これらの中には現地で聞いた話も少なからずあり、一文字もメモって来れなかった私には、色々思い出すよすがともなります。ありがたいです。

プラスチックのキャップを宿にしたヤドカリの写真は大変興味深く拝見しました。
巻貝とは形が違うので、抜けやすいんじゃないかなと心配になったり、でも、具合が悪いならまた別の宿を探せばいいことだし、貝殻より軽いだろうし、意外と本人は気に入っているのかもしれないとか思ったりもしましたが、少しネットを見て、プラスチック容器に入って出られなくなったヤドカリも存在すること、さらにプラスチックについてはヤドカリに対しても環境ホルモンの影響やマイクロプラスチックの問題があることを知り、これはやっぱり大変な問題なんだと思い直しました。
私ができることとして、これからもせめてきちんと分別してゴミを出すことは続けようと思います。
小さい頃、夜店で大きなタライの中に大量のヤドカリを入れて売っていました。これがオカヤドカリであったかどうかは分かりませんが、それを買ってもらって帰ったことまでは覚えています。でもそのあとどうなったのか記憶がありません…。
小学生~中学生の頃、暑中見舞いには必ずなぜかヤドカリの絵を描き添えていたのを思い出しました。


サイコクヒメコウホネ? 山本和子 投稿日: 2023年06月10日 15:46:06 No.689 【返信】

三重県四日市市の池のヒメコウホネとされているものを撮りに行きました。
図鑑で調べるとサイコクヒメコウホネの特徴に近いと思います。
この池のものは葉が大きく葉の縁が波打っていることから、コウホネと何か?の雑種起源だと思われますが私には難しくて分かりません。
解明される日が来るのを待つことにしたいと思います。
志摩市に狭義のヒメコウホネが生育する川があるようなので、近い内に探しに行きたいと思っています。

スイレン科 コウホネ属
参考:平凡社 「改訂新版・日本の野生植物」 1  P.47

和名:ヒメコウホネ
学名:Nuphar subintegerrima (Casp.) Makino
花期:6~10月
花径:2~3.5cm
分布:本(東海地方) (日本固有)
全体に小型で、水上葉は水面から抽出するか浮葉となり、円形、
長さ4~17cm、幅4~15㎝。花は黄色、柱頭盤は黄色または橙色。

和名:コウホネ
学名:Nuphar japonica DC.
花期:6~10月
花径:4~6cm
分布:北(西南部~九 (日本固有?)
水上葉は浅い水深では水面から鋭角に抽出し、狭卵形から
長楕円形。葉の縁は波打つ。長さ20~52cm、幅10~26cm。
花は黄色だが、萼片は花後、緑色が強くなる。

和名:サイコクヒメコウホネ
学名:Nuphar saikokuensis Shiga et Kadono
花期:6~10月
花径:3~4cm
分布:中部以西 (日本固有)
水上葉は水面から抽出するか浮葉となり、広卵形から狭卵形。
長さ10~30cm、幅7~20cm、裏面には僅かに毛が生える。
花は黄色、柱頭盤は黄色。コウホネとヒメコウホネ、
オグラコウホネの3種による複雑な交雑によって起源したと
考えられている。長い間、東海地方に分布するヒメコウホネに
含められていたが、ここでは別種として取り扱った。

和名:オグラコウホネ
学名:Nuphar oguraensis Miki
花期:7~11月
花径:2~3cm
分布:本(中部以西)、九 (朝鮮半島)
水上葉はふつう水面に浮いて浮葉となり、広卵形。長さ9~19cm、
幅8~15㎝、裏面に毛がある。葉柄の断面は中空。花は黄色。


サイコクヒメコウホネです 藤井俊夫 投稿日: 2023年06月10日 16:42:36 No.690
四日市で撮影された写真は、サイコクヒメコウホネです。
ヒメは葉が円形で小さい。
コウホネは葉が写真のような形状だが水上に抽出する葉が多数あるはず。
写真の抽水葉は、直立せず、だらしなく(頼りなく)垂れている。
コウホネだと、葉の先端が上を向いて突き上げるような状態です。

志賀さんの「河骨愛→コウホネの話」に、典型的な東海型ヒメコウホネの写真が載っています。
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~shiga/
コウホネの話→ヒメコウホネ、
      →ヒメコウホネの分類学的問題点
      →ヒメコウホネが危ない(その1,その2)
葉は(抽水葉、浮葉、沈水葉ともに、ほぼ円形です)
スイレンと間違えそうになる。

産地を挙げるのは、あまりよくないのですが、過去の採集地はすでに埋め立てなどで消失しているようです。
現状の確認が急務と思います。
以下、サイエンスミュージアムネットの標本情報などから。
19800906
北牟婁郡海山町船津 太田沼(すでに干拓された後か?)
20020913
度会郡南伊勢町押淵(用水路?:すでに改修された後か?)

RDBに関する問い合わせは、ひとはくのホームページの「問い合わせフォーム」から連絡してください。
以下のsiteの一番下にあります。【藤井宛】指名してください。
https://www.hitohaku.jp/
山本和子 投稿日: 2023年06月10日 19:59:13 No.692
藤井俊夫様

四日市市のヒメコウホネとされているものは狭義のヒメコウホネではなく、西日本型のヒメコウホネ(サイコクヒメコウホネ)でいいようですね。「コウホネの話」を拝見させて頂き納得いたしました。ありがとうございました。

三重県レッドデータブック(2015)P.564、ヒメコウホネは絶滅危惧Ⅱ類(VU)、既知の生育地点数は10未満、県内では四日市市、伊賀市、志摩市数か所、南伊勢町で記録があるとされています。北牟婁郡海山町はもう絶滅?度会郡南伊勢町の押渕周辺はシダの観察でよく行きましたが、ヒメコウホネの記録があるのが同じ場所なのかどうかは分かりません。


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