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あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4208 )
日時: 2023年07月03日 08:42
名前: はっちん [ 返信 ]
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これまでの記事

『あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3197

『あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(2)』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3801

『あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(3)』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4054
   
   
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Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4209 )
日時: 2023年07月03日 08:45
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2023.7.3)
Q 海外の動向から今後の展開を占う?

 ドイツ在住の邦人の方から、お便りが届きました。ドイツでは、コロナワクチンによる健康被害をメディアが続々と報じるようになってきたとのこと。副作用については口をいっさい閉ざし、ひたすらワクチン接種をあおってきたメディアが、手のひらを返したような態度をとるようになり、信頼度もガタ落ち・・・との内容でした。合わせて、ワクチンの副作用に対する訴訟の動きも進んでいるのだそうです。

コロナワクチンによる健康被害を、個人が裁判所に持ち込んだという事例は、世界中を見渡してもほとんどなかったのですが、通信社ロイターは、ある女性が、ドイツで初めてビオンテック社を訴える裁判を起こしたという話題を報じています(文献1)。ファイザー社が販売する新型コロナワクチンを開発した会社ですが、ドイツでは販売元にもなっています。
(イラスト1⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/lawsuit.jpg )

裁判を起こした女性は、名前を伏せた上で、161,500ドル(約2千万円)の損害賠償を求めています。女性の弁護士によれば、彼女は接種後、上半身の痛み、食事がうまく呑み込めない、強い疲労感、睡眠障害などの症状が続いている、と訴えているそうです。一方の会社側は、このワクチンはリスクより効果が上回ることが立証されており、争う余地もないとコメントしています。

問題は、ワクチンメーカーが国家と交わした契約上、訴訟や損害賠償に伴ういっさいの責任を免除されることなっているため、かりに原告が勝訴したとしても、誰がお金を支払うのかはっきりしていないことです。

原告の弁護を勤める事務所は、同様の訴えがすでに200件ほど届いており、また別の法律事務所も100件ほどを担当することが決まっていて、ドイツ国内の訴訟はすべて自分たちがまとめることになるだろう、と取材に答えています。

さらにイタリアでも同様の動きが確認されているとロイターは報じています。欧州では、ワクチン禍を風化させないための行動を、人々がとり始めたようです。


次は米国の話題です。2024年に行われる米国大統領選にロバート・F・ケネディ・ジュニア(69歳)氏が名乗りをあげました。以前からワクチン反対を主張してきた人ですが、父親がケネディ元大統領の実弟で、1968年に行われた民主党の大統領候補者指名キャンペーンの最中、凶弾に倒れた人でした。
(イラスト2⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/kennedy.jpg )

米国のメディアは、同氏の人物像を以下のように報じています(文献2)。ハーバード大学を卒業したあと弁護士の資格を取得し、環境汚染の告発に身を投じるなど、熱心な活動家として知られていました。ワクチンに反対するようになったきっかけのひとつは、自閉症の子供をもつ母親から、ワクチンとの関係を示唆する膨大な学術資料を持ち込まれたことのようです。

2005年には、米国の大衆誌に「三種混合ワクチンなどに含まれる防腐剤が一種の有機水銀で、小児自閉症の原因になっている」と主張する論文を掲載しました。ただし、この記事は、根拠がないとの理由で後に削除されています。

つまりコロナワクチンだけでなく、すべてのワクチンに反対するという立場なのです。このような人たちは、昔から英語でanti-vaxxerと呼ばれ、反社会的行為と位置づけられてきました。

ちなみに、この記事を載せたのはニューヨークタイムズ紙でしたが、かなり強固なワクチン推進路線を貫き、反対する人たちの意見をことごとくフェイクだと決めつけてきた新聞です。「ワクチンパスポートなど、ひとたび受け取れば、あなたたちは国家の奴隷になったようなもの!」と息まくケネディ・ジュニアに対し、30歳の頃にヘロイン所持で逮捕されたことがあるとか、妻が不幸な死を遂げているなどとゴシップを書き立て、変わり者であることを印象づける内容となっていました。

当ホームページでも何回か紹介しましたが、米国にはワクチン接種後の体調不良をスマホで報告できるシステム(VAERS)※1が以前からあります。TIMES誌は、このシステムとケネディ・ジュニアとの関わりについての記事を掲載しています(文献3)。
(※1:Covidワクチン有害事象⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3123 元記事⇒ https://swprs.org/covid-vaccine-adverse-events/ )

ケネディ・ジュニアは、VAERSで得られた情報から「コロナワクチン接種後に死亡例が増えている」と主張していました。これに対して同記事は、「VAERSで集められた情報は、自主申告であることから、不正確で、不完全で、医学的に検証されておらず、単なる偶然でしかないものもあり、そんな結論は出せない」と反論するとともに、同氏の人格を全否定するような文章を連ねたものとなっていました。

しかし、VAERSのデータは、多くの研究者に利用され、コロナワクチンの副作用は軽微で明らかな増加も認められないとの主張の根拠にされてきました。政府機関も、それらの研究論文を引用して、ワクチン政策を推進してきたはずなのです。

厳しい批判にさらされているケネディ・ジュニア氏にとって大統領への道は険しそうですが、もし選ばれたとしたら、いったいどんな展開が待っているのでしょうか?

【参考文献】
1) Burger L, et al., BioNTech faces first German lawsuit over allegend COVID vaccine side effects. Reuters, Jun 12, 2023.
2) Nagourney A, A Kennedy Jr's crusade against Covid vaccines anguishes family and friends. New York Times, Mar 1, 2022.
3) Nirenberg E, at al., Robert F Kennedy Jr. is dead wrong about vaccines. Time, Jun 22, 2023.

   
   


Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4213 )
日時: 2023年07月10日 10:09
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2023.7.10)
Q いつまで続くのか、不毛な議論?

 コロナワクチン接種後に発生する副作用のひとつとして、心筋炎が広く知られています。しかし、ワクチンとの因果関係を認めた論文は、(少なくとも一流とされる)専門誌にほとんど掲載されておらず、例外が2023年5月22日付け当ホームページ※1で解説したイスラエルのデータでした。
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4037#4191 )

そのイスラエルの発表のあと、米国の研究者グループが発表した論文に意外な結論が記されていたことがわかりましたので、概要をまとめました(文献1)。まず従来のデータと比較するため、厚生労働省発表の「ワクチン接種後の死亡者数グラフ」を以下の左側に再掲しました。ワクチン接種の当日から30日目までの死亡者数を棒グラフ①(⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/death_interval_revised.jpg )で示したものでした。

棒グラフの実際の数値は、「0日目が71人」、「1日目が209人」、「2日目が150人」、「3日目が123人」、・・・(以下、省略)となっています。右側の図は、この数値をもとに、

 「71」, 「 71+209」, 「 71+209+150」, 「71+209+150+123」, ・・・

という計算を行って縦軸の値を求め、、折れ線グラフ(積み重ねグラフ)②(⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/sesshugosibou_ruiseki.jpg )にしたものです。

もし心筋症がワクチン接種と無関係で、常に一定の割合で発生しているのであれば、このグラフは右肩上がりの直線になるはずです。もともと多い病気でもありませんから、その直線の傾きも緩やかなものになるでしょう。
 ①棒グラフ⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/death_interval_revised.jpg
 ②折れ線グラフ⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/sesshugosibou_ruiseki.jpg

さて、新たな研究論文には、米国で稼働しているワクチン副作用報告システム「VAERS」のデータを分析した結果が記載されていました。

2017~2019年の統計による心筋症の発生率に比べ、あきらかに多くなっていたと結論しているのです(男性で12~49歳、女性で12~29歳のみ)。ワクチンは、ファイザー社製とモデルナ社製に限定しています。コロナ禍前の発生率と比べて統計処理していますので、従来の研究発表に比べれば説得力があります。

その要点を積み重ねグラフでまとめると以下のようになります(論文に記されているデータから私が作図③(⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/VAERS_carditis.jpg ))。
 ③「VAERS」に基づくグラフ⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/VAERS_carditis.jpg
 
ただし問題もあります。このVAERSは、医師だけでなく誰でもネット経由で投稿できるのが特徴ですが、その分、不確かさがあります。また心筋症の診断は簡単でなく、さまざまな検査を行って確定できるものであることから、コロナ禍前の統計値が実態を表していない可能性もあります。そのため、「VAERSのデータから心筋症が増えていることの証明はできない」との批判コメントも投稿されていました(文献2)。

この論文で気になることが、まだあります。著者として26人が名を連ねているのですが、そこに米国疾病予防管理センター(CDC)と米国食品医薬品局(FDA)の2つの政府機関に所属する研究者が含まれていることです。「コロナワクチン接種は妊娠経過に悪影響を与えない」と断言し、のちに抗議が殺到し、ねつ造も指摘された論文(文献3)を書いたことで知られる人の名もありました。

コロナワクチン接種を推進する立場だったはずの人たちが、何の自己批判もないまま、手の平を返したような研究論文を唐突に発表したというわけです。いずれにしろ、「この結論が正しい」と広く認識されるようであれば、前週に報告したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏の主張も、あながち間違いではなかったことになります。

コロナワクチンの安全性を巡り混迷が深まっただけなのか、あるいは議論が正しい方向に向かい始めたのか釈然としませんが、不毛な議論はそろそろ終わりにしたいものです。

【参考文献】
1) Oster ME, et al., Myocarditis cases reported after mRNA-based COVID-19 vaccination in the US from December 2020 to August 2021. JAMA, Mar 21, 2022.
2) Weiss SR, Myocarditis cases after mRNA-based COVID-19 vaccination in the US. JAMA, May 24/31, 2022,
3) Shimabukuro TT, et al., Preliminary findings of mRNA Covid-19 vaccine safety in pregnant persons. N Engl J Med, Jun 17, 2021.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4215 )
日時: 2023年07月17日 10:43
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2023.7.17)
Q ウイルス感染症の流行を予知できる意外な方法?

 すでに遠い記憶となりつつありますが、国内で最初の新型コロナウイルス感染症例が認められたのが2020年1月24日で、4月7日には1日の新規感染者数が365人となり、7都道府県に初の緊急事態宣言が出されていました。その少し前の3月、オーストリア・チロル地方の人気スキー場で、観光客・スキーヤー6,000人以上がコロナに集団感染し、欧州各地にウイルスを拡散させるきっかけになったという事件?がありました(文献1)。

そのとき、人知れず、ある重要な調査が行われていました。ヒトに感染したウイルスは、尿や便、唾液などと共に体外に排出されます。そこに含まれるウイルスは、やがて生活排水として、下水道を流れていくことになります。オーストリアの研究者と行政担当者は、下水道を流れる排水を定期的に採取し、新型コロナウイルスの有無をモニタリングすることにしたのです。

目的は、大規模な集団感染があったあと、再流行があるのか、あるいはウイルスに変異が起こっていないかどうかを監視することでした。

チロル地方のスキー場で集団感染が起こったころは、世界的に検査体制がまだ不十分で、感染者数の正確な把握もできていませんでした。しかし同年の3月、すでにオーストリア全体で第1波がかなりの規模で起こっていたことが、排水モニタリングで確認できていたと報告しています(文献2)。

実は、このような方法は数十年前から知られていて、たとえばオランダでは、下水道を流れる各種ウイルスを監視するシステムを、昔から国全体で構築していました。注目すべきは、新型コロナウイルスの検査体制が世界的に確立され、新規感染者数の把握も正確になって以降、排水モニタリングで得られたウイルス量の消長パターンが、実測値とぴたり一致していたことです。

次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/wastewater.jpg )は、文献2を参考に私が描いたイメージ・イラストです。グレーの棒グラフはPCRで確認された新規感染者数で、赤い折れ線が排水モニタリングで得られたデータを模しています。

ただし問題もあります。mRNAは非常に壊れやすいため分析が難しいことに加えて、生活排水を処理する仕組みが地域によって異なっていて、必ずしも実態を正確に表していないかもしれないことです。少なくとも、「排水をくみ上げて検査試薬加えるだけ」で済むような簡単な話ではないということです。

欧州の取り組みに少し遅れて、排水のモニタリングに取り組んでいるのが米国です(文献3)。2020年にシステムの構築を開始し、いまでは全米総人口の40パーセントに相当する生活排水をカバーしています。また、米国内に到着する国際線航空機のトイレ排水を調べることで、水際対策に応用できないかという検討も行われています。

デズニ―ランド・ワールド・リゾートで有名な米国フロリダ州オレンジ郡では、ヒトでオミクロン株が診断されよりも前に、排水モニタリングで存在が確認されていた、とも報告されています。

気になるのは、生活排水に含まれるウイルスに、感染性はないのかということです。この点についても、すでに詳細な検討がなされていて、新型コロナウイルスの場合、条件によって数日間は生きている(感染性がある)ことがわかっています(文献4)。しかし排水処理の方式が確立している日本国内で、そこから感染が起こることは考えにくく、事例の報告もありません。

このたびのコロナ禍で人類が得た教訓は、事件が起こってから慌ててワクチンや薬を創っても、安全性の確認がとれず、むしろ禍を拡大してしまうだけ、というものでした。

この先も、人類は微生物の脅威にさらされ続けていくため、先手必勝の要となる排水モニタリングの仕組みを、国内でも早急に整備していく必要があるでしょう。一部の地域で試みも始まっているようですが、多額の費用と人手を要することから、国を挙げての取り組みが望まれます。

【参考文献】
1) Hruby D, How an Austrian ski resort helped coronavirus spread across Europe. CNN, Mar 24, 2020.
2) Vogel G, Signals from the Sewer, measuring virus levels in wastewater can help track the pandemic. but how useful is that? Science, Mar 11, 2022.
3) Anthes E, As Covid emergency ends, surveillance shifts to the sewers. New York Times, May 11, 2023.
4) Bogler A, et al., Rethinking wastewater risks and monitoring in light of the COVID-19 pandemic. Nat Sustain 3: 981-990, 2020.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4217 )
日時: 2023年07月24日 09:56
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2023.7.24)
Q ポストコロナ時代の体調不良に対処する方法とは?

 「コロナ後遺症は本当に存在するのか?」という疑問があることについて、以前、当ホームページで考察しました。しかしポストコロナのときを迎えた今、さまざまな体調不良に悩む人が少なくないことは確かです。そこで、コロナ後遺症や慢性疲労症候群、あるいはワクチンの副作用などをとくに区別せずに、長引く体調不良にどう対処すればよいのかを、最新情報からまとめました。

症状の多様性については、すでに2023年6月12日付の当ホームページ(記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4054#4201 )で述べたとおりですが、中には病気を新たに発症したという人もいます。心臓病、脳卒中、腎臓病、間質性肺炎、起立性(または体位性)頻脈症候群、眼疾患、鼻炎などが代表的で、その人にとっては初めてとなる病気です。そのため、特定の症状が長引く場合は、まず病院で胸部エックス線や心電図、血液検査など一般的な検査を受けるか、あるいは眼科、耳鼻科などを受診したほうがよいでしょう。

それで病名がはっきりしなかったり、「異常なし」と言われたら、専門的な検査に進むことになります。健康保険で可能な検査としては、単球(血液中の細胞成分)の増加、血液中コルチゾール(ホルモンの一種)の低下、血清フェリチン(鉄分を蓄えるたんぱく質)の増加などが認められれば、「長引く体調不良」の傍証になるかもしれません(文献1)。

ワクチンが免疫機能を破壊する仕組みについて、当ホームページのQ18(記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#PQ18 )で解説しましたが、そこに登場したさまざまな炎症物質(Il-1β、IL-6、TNF、INFβなど)が異常値を示しているとの研究発表も少なくありません。しかし、それらの特殊検査の結果が原因解明や治療に役立つことはなく、高額な支払いを求められるだけ損かもしれません。実際、クリニックで法外な料金を請求されたと、怒りのお便りも届いています。

長引く体調不良の人を対象にした研究では、さまざまな抗体の値が高くなっていたとするデータも多いのですが、やはり治療に結びつくものではないことが、あきらかになっています(文献1)。

腸内細菌の乱れが関与しているという説もあります。腸の粘膜にコロナウイルスやワクチン接種でできたトゲトゲ蛋白(スパイク蛋白)の受け皿(受容体)が多いためですが、対処法はまだわかっていません。

では、「長引く体調不良」に対して、どう対処すればよいのかです。以下、注目を集めている対処法をいくつか取り上げて、評価を加えました。

<起立性頻脈症候群>
 急に立ち上がったりしたときに心臓がどきどきして、脈拍数が2倍くらい(120回/分ほど)に増加する人がいます。自律神経の障害によるもので、頻脈を抑える薬(β遮断薬など)が有効とされていますが、血圧が下がり過ぎてしまうという問題点も指摘されています(文献1)。

<コルチゾールの低下>
 血液中のホルモンのひとつコルチゾ-ルが極端に低い人がいる、との報告も複数ありますが(文献2)、同系統のホルモン剤を使って補っても、症状は改善しなかったとのことです。

<頭のもやもや・認知機能の低下>
 脳の中に霧がかかったような感じがすると訴える人が多く、ブレイン・フォグ(脳の霧)とも呼ばれています。このような症状に対し、磁気で脳を刺激するTMS(経頭蓋磁気刺激法)が使われ、話題になっています。脳梗塞でマヒが残った人の治療に使われてきた装置なのですが、効果が十分に証明されていないことに加え、脳に与える副作用もよくわからないままとなっています(文献3)。「長引く体調不良」にも応用されていますが、効果が証明されているとは言い難い状態です(文献4)。

<自分でできる養生>
 自分一人で行える健康回復法もいろいろ研究されています。日々の運動習慣が、コロナ感染症からの回復を早めることが以前からわかっていました。大規模な学術調査も行われていて、適度の運動習慣がある人は症状が軽くすんでいた、と報告されています(文献5)。適度な運動量とは、「たとえば早歩きを1日30分、週に4回くらい行うこと」と報告されています。

興味深いのは「鼻うがい」です。具体的な方法はネットに多数の動画が公開されていますので、参考にしてください。500ミリリットルの水に小さじ1杯の食塩を加えたものを、鼻うがい専用容器に入れて使います。
鼻うがいの方法 (イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/hanaugai.jpg )

鼻うがいは、鼻腔粘膜に残る過剰な免疫反応が、多くの症状を悪化させているのではないか、との発想に基づくもので、新型コロナ感染症の重症化を予防することが多くの研究で立証されています(文献6)。「長引く体調不良」に対しても有効かどうかは、まだわかりませんが、多くの医師が推奨していることと、人畜無害で副作用の心配がないことがポイントです。試してみる価値はありそうです。

ホルモンの1つであるコルチゾールが低下すると、血圧や血糖値が下がったり、脱力感や頭がぼ~とするなどの症状が出てきます。また血液中の塩分量が減少してしまうため(低ナトリウム血症)、塩分を多めに摂取するよう勧めている研究者もいます。

体調不良の原因のひとつが、フリーラジカルという異常物質の蓄積です。この物質は、放射線や紫外線、あるいは炎症や睡眠不足によって生ずるもので、疲労の原因物質としても知られています。幸い、野菜や果物には、フリーラジカルを消去する抗酸化物質が豊富に含まれています。

したがって、長引く体調不良を改善する確かな方法は、睡眠を十分にとり、生の野菜と果物を食べ、気分転換も兼ねた軽い運動をすることです。ただし、強い疲労感が残っている人は運動が逆効果になりますので、体調への配慮も必要です。

【参考文献】
1) Davis HE, et al., Long COVID: major findings, mechanisms and recommendations. Nat Rev Microbiol 21: 133-146, Mar, 2023.
2) Klein J, et al., Distinguishing features of Long COVID identified through immune profiling. medRxiv, Aug 10, 2022.
3) Kim W-J, et al., Repetitive transcranial magnetic stimulation for management of post-stroke impairments: an overview of systematic reviews. J Rehabil Med, Dec 18, 2019.
4) Noda Y, et al., Real world research on transcranial magnetic stimulation treatment strategies for neuropsychiatric symptoms with long-COVID in Japan. Asian J Psychiatr, Dec 28, 2022.
5) Ezzatvar Y, et al., Physical activity and risk of infection, severity and mortality of COVID-19: a systematic review and non-linear dose-response meta-analysis of data from 1 853 610 adults. BMJ, Aug 22, 2022.
6) Wang T, et al., Efficacy of nasal irrigation and oral rinse with sodium bicarbonate solution on virus clearance for COVID-19 patients. Front Public Health, Mar 15, 2023.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4220 )
日時: 2023年07月31日 12:28
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2023.7.31)
Q 今後、コロナのワクチンはどう考えればよいのか?

 「最初の2回のコロナワクチンを打っていない人は、なぜオミクロン株のワクチンを受けられないのですか?」とのご質問が届きました。今回は、この問題にまつわる話題を取り上げます。

厚生労働省のホームページには、次のような説明があります。「従来の1価ワクチンによる初回(1回目と2回目)接種を終えた方を対象に、オミクロン株対応2価ワクチンによる追加接種を実施しています。・・・・・接種が受けられる期間は令和6年(2024年)3月31日まで。」

1価のワクチンとは、2019年の暮れに中国武漢市で最初に流行した新型コロナウイルス(武漢株)の遺伝子配列を元に、製造されたワクチンのことです。対象となるウイルス(抗原)が一種類だけなので、1価と呼ばれています。

理由は、「1回目と2回目を終えた人だけを対象にした臨床試験しか行われていないから」というものです。厚生労働省が挙げている臨床試験は2つあり、どちらも米国で行われたものでした。臨床試験の対象者を選ぶに当たり、ワクチン未接種の人が少なかったことと、1価のワクチンも販売を続けたいから(あるいは在庫がダブついていたから)というメーカーの思惑もあったかもしれません。

しかし、その米国では、国の機関である米国食品医薬品局(FDA)が、「1価のワクチンは使用停止し、すべて回収する。この処置は、ワクチン接種の際の混乱を避け、ミスが起こらないようにするため」と、明言しているのです。

では、1価ワクチンと2価ワクチンには、どんな違いがあるのでしょうか。 2価ワクチンには、1価ワクチンの成分もそのまま含まれていますので、基本的な違いはありません。したがって、1価ワクチンを先に受けていなければ2価ワクチンは受けられないという説明には、医学的根拠がないことになります。

実は、2価ワクチンにも2つの種類が存在していました。旧聞に属しますが、オミクロンの流行には、BA.1とBA.2、それにBA.4とBA.5とがありましたが、ファイザー社とモデルナ社がオミクロン株対応のワクチンを試作しFDAに申請したころには、前者の流行がちょうど終わりかけていました。そこで専門家会議は、両メーカーに対し、BA.4とBA.5に対応したワクチンに作り直すよう指示したのです。

当時、日本政府が慌てて発注した2価ワクチンは、実はこの流行遅れのほうだった、という逸話を、以前の当ホームページで紹介※1しました。さらに言えば、BA.4、BA.5変異株の流行もすでに終息し、いまはXBBなど、さらに新しい変異株が主流になっています。
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ12 の(10)オミクロン用のワクチンは大丈夫? を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3197#3566 )

1価ワクチンと2価ワクチンの効果の違いを具合的に検証した研究が、いくつかあります(文献3,4)。それらによると、新型コロナウイルスの各変異株に対する効果(中和抗体の産生や免疫細胞の反応)に、まったく違いがないことがわかっています。2価ワクチンにはオミクロン株の成分も入っているにもかかわらず、同株に対する効果が1価ワクチンを打った場合と同じだったのです。

次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/bivalent.jpg )は、2種類のワクチンをそれぞれ打つ前と打ったあとで、中和抗体がどうなったかを比較したものです。グラフ上は、2価ワクチンを打ったあとの抗体価が少し強くなっているようにも見えますが、個人差も大きく、統計計算で有意差なしと判定されています。

2種類のワクチンで差が出なかった理由もあきらかになっています。

2023年1月9日付の当ホームページでも紹介した「敗者は抹殺せよ」理論※2にしたがって、先に接種したワクチン(抗原)の情報が、免疫細胞に強力に記憶されます。一方、あとで、形状がわずかに異なるだけの抗原(オミクロン株ワクチン)に遭遇すると、免疫反応が起きないようにブレーキがかかる仕組みになっているからなのです(文献5)。「似たような抗体が無数にできて混乱しないようにするため」の仕組みではないか、というのが私の推論です。
(※2:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#PQ18 の第3回 敗者は抹殺せよ! を参照)
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3708#3873 )

以上、専門的な話題が続きましたが、今後、コロナワクチンをどう考えていけばよいのかを以下にまとめました。

 (1) 1価ワクチンによる初回接種は、令和6年(2024年)3月31日まで受けること
   ができるが、市町村から郵送される接種券とマイナンバーカードなどが必要

 (2) 1価ワクチンと2価ワクチンはどちらも効果が同じであり、両方打つ意味はない

 (3) ワクチン接種よりも、実際に感染した人のほうが免疫がつきやすく、その後の
   予防効果が少しだけある

 (4) それにもかかわらず、一度感染した人も再び感染しているという実態がある

 (5) 当ホームページで紹介してきた数々のエビデンスから、どのワクチンも効果が
   証明されておらず、かつ副作用も深刻であることがわかっている

 (6) したがって、どのコロナワクチンも、またいかなる場合であっても、あらためて
   打つ理由は見いだせない

【参考文献】
1) COVID-19 bivalent vaccines. FDA, May 30, 2023.
2) Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccines. FDA, Jul 14, 2023.
3) Wang Q, et al., Antibody responses to Omicron BA.4/BA.5 bivalent mRNA vaccine booster shot. bioRxiv, Oct 24,2022.
4) Ai-ris Y, et al. Immunogenicity of the BA.5 bivalent mRNA vaccine boosters. bioRxiv, Oct 25, 2022.
5) Offit PA, Bivalent Covid-19 vaccines - a cautionary tale. N Engl J Med, Feb 9, 2023.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4223 )
日時: 2023年08月07日 09:11
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

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(2023.8.7)
Q 最近の気になるニュース3題?

 <品質に重大な差?>
コロナワクチンに関係する情報は、そろそろ出つくした感もありますが、それでもなお耳を疑う実態がまだまだ隠されているようです。当ホームページあての情報提供も多く、いくつかをまとめました。

「以前から危惧されていた不安」を、デンマークの科学者たちが証明してくれました(文献1)。デンマークでは、米国と同じような「ワクチン副作用報告システム」があり、誰でも匿名で投稿できるようになっています。着目すべきは、ワクチンの製造単位ごとに割り当てられる製造ロット番号がいっしょに登録されていたことです。

ワクチンに限らず医薬品は、1回の工程でまとめて大量に製造します。そのため、途中で何か問題があれば、そのロットから小分けにされる商品のすべてに悪影響が及んでしまうことになります。
< イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/vaccinelot.jpg >

デンマークは総人口が約580万人で、千葉県や兵庫県とほぼ同じです。国民の約8割が1回以上の接種を受けたとされ、2020年12月27日からの約1年間で、13,655人から延べ43,496件の副作用報告がありました。

同国では52種類のロットが使われていましたが、分析の結果、ある特定のロットのワクチンを接種した人に、異常に高い割合で副作用が生じていることが判明したのです。そのロットは、デンマークで使われた全ワクチンの4.22パーセントを占めるものでした。

日本でも、特定のロットのワクチンに金属片が混入していることがわかり、テレビなどでも一時、報じられましたが、いつの間にかニュースは封じられてしまいました。コロナワクチンは、研究開発の段階も、臨床試験も、国の審査も、「ずさん」の極みでしたが、その上、製造工程までも「安全性」が後回しにされていたのです。


<見逃されてきた副作用?>
2つめの話題は、ワクチンの副作用として有名になった「心筋炎と心膜炎」についてです。

心筋炎は、ウイルス感染や免疫異常によって心臓の筋肉に炎症が起こった状態であり、多くは数週間で治るとされています。胸の痛み、不整脈などの症状があります。心膜炎のほうも似ています。心臓を包む膜に起こる炎症で、息苦しさや胸の圧迫感などがあり、深呼吸で症状が悪化するという特徴もあります。

どちらも正確な統計が日本にはなく、実態がよくわかっていなかったのですが、コロナワクチン接種後の副作用として多発していることがわかり、改めて注目を集めた形です。

診断は必ずしも簡単でなく、心電図や心エコー検査、CT・MRIなどの検査が必要となります。ワクチン接種後の発生頻度を調べた研究では、多くが「心電図に異常があった場合」という定義で集計が行われてきました。米国疾病予防管理センター(CDC)は、それらのデータをまとめて、10万人当たり1人(0.001%)程度の発生頻度と公表しています。

スイスの研究者たちは、大学病院に勤務する職員4493人に協力を求め、777人にワクチンを接種し、3日後に採血を行ってトロポニンTと呼ばれる物質を測定しました(文献2)。残りの職員には、ワクチンを打っていない状態で同じ検査を行い、数値を比較したのです。

集計の結果、ワクチン接種した人たちは、接種していない人に比べてあきらかにトロポニンT値が高く、2.8パーセントに異常値が認められました。異常値は、女性に比較的多く、平均年齢が46歳でした。

トロポニンTは心臓の筋肉成分の一部で、損傷があると血液中に滲みだしてくるという物質ですから、ワクチン接種後、心臓にあきらかなダメージがあったことになります。異常値を示した人たちが、その後、どうなったかは不明ですが、心筋炎と診断された人の2割は、不治の病とされる「心筋症」に移行するという統計もあり(文献3)、心配事がまたひとつ増えたことになります。


<いまさら、国産ワクチン?>
3つめの話題は国産ワクチンです。第一三共株式会社は、『2023年1月に製造販売承認申請を行っていたが、8月2日、国産初のmRNAワクチンとして承認を取得した』と、記者発表しました(文献4)。ただし起源株(武漢株?)の1価ワクチンであり、追加接種用であることから、国のワクチン接種プランに従って発売はしない、との内容でした。

このややこしい発表については、奇しくも当ホームページの先週の記事で「ワクチンビジネス裏事情」※1を詳しく解説したところであり、再度、ご参照いただければ理解が進むものと思います。同社は、今年中には新しい変異株XBB.1に対応したワクチンを製造し、供給したいとしています。
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4206#4219 )

このワクチンについては、正式な論文がまだ発表されていません。申請直前に報じられた情報によれば、検討対象は、2回の接種を済ませた約5000人の健康成人で、半年以上経過していることを条件に、試作品の接種を行いました(文献5)。血液中の中和抗体を調べたところ、「既存のワクチンに劣らない」数値が確認できた、との内容でした。

製薬企業は、常に新しい薬を研究・開発し、従来の薬より優れていることを自慢したいはずです。それにもかかわらず、臨床試験で期待したほどのデータがえられなかったとき、「既存の薬に劣らない効果を認めた」という表現を使うのが定番となっています。

中和抗体は、当ホームページQ7(8)で紹介※2したとおり、免疫機能のごく一部でしかなく、これをもってワクチンの効果を示したことにはなりません。「感染を実際に予防し、副作用もなかった」ことを証明してくれなければ、実用化したとは言えないでしょう。
(※2:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ7 のQ7(8)を参照)
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3628 )

ポストコロナのいまになってワクチンを開発するのであれば、せめてメッセンジャーRNAタイプではない、将来に備えた新技術を研究してほしいものです。

【参考文献】
1) Schmeling M, et al., Batch-dependent safety ofthe BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine. Eur J Clin Invest, Apr 13, 2023.
2) Buergin N, et al., Sex-specific differences in myocardial injury incidence after COVID-19 mRNA-1273 booster vaccination. Eur J Heart Fail, 2023.
3) The link between myocarditis and cardiomyopathy. Myocarditis Foundation, 2023.
4) 株式会社第一三共, Press Release, Aug 2, 2023.
5) Daiichi Sankyo's Covid-19 vaccine trial meets primary endpoint. Clinical Trials Arena, Nov 15, 2022.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4226 )
日時: 2023年08月14日 10:11
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2023.8.14)
Q 繰り返しのワクチン接種が危険なわけ?

 当ホームページでは、コロナワクチンの危険性について、統計データから免疫理論まで、あらゆる側面から考察を重ねてきました。しかし、ある理論の重大性がずっと気になっていました。

その理論とは、当ホームページのQ18(第3回、2023年1月9日)で紹介※1したもので、「以前の免疫の記憶が似て非なる新たな抗原に対する抗体産生を妨げる」という説です。抗原原罪説という名称でも語られています。これまでの研究から、以下のような事実が判明しており、その理由がこの理論で説明できるのではないかと考えられているのです(文献1)。
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#PQ18 の第3回を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3708#3873 )

 ・夏カゼの原因となるコロナウイルスは以前から存在していたが、それに感染した
  ことがある人のうち、約2割は新型コロナウイルスに対する中和抗体ができない

 ・抗原の種類を増やした新しい「9価の子宮頸がんワクチン」は、以前から使われて
  いた5価ワクチンをすでに接種している人に打っても効かない

 ・デング熱(4類感染症)には4つのタイプがあるが、その1つに感染した人が別の
  タイプに感染すると、中和抗体が効かないばかりか、むしろ重症化する(抗体依存
  性感染増強と呼ばれる現象:後述)

 ・2009年に流行したインフルエンザ(H1N1型)に感染して死亡した人の多くは、
  以前、別のインフルエンザ(H2N2型)が世界的に大流行したころ生まれていた

しかし、抗原原罪説は、まだメカニズムがよくわかっていないこともあり、当ホームページでもうまく説明できないままとなっていました。ところが、私が脳の研究を行っていたころ側抑制という神経回路に傾注していたことを、ある日、突然、思い出したのです。

当時の論文には、以下のようなパターン(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/machband.jpg )とともに、側抑制の巧みな仕組みが示されていました(文献2)。それぞれ明るさが異なる5つの四角形を左から、ただ並べたものです。各四角形の中は濃淡なく、それぞれ完全に均一なのですが、矢印で示した境界の辺りが、少しだけ明るくなって見えませんか!?

ヒトの視覚を司る神経細胞は、外界の光を感ずると、その信号を大脳に伝えます。このとき、多数の神経細胞が反応するため、脳は2次元のパターンとして認識できることになるのですが、各形状の境界付近は、明暗の異なる光信号が錯綜するため、少しだけぼやけてしまいます。

脳の神経細胞はそれぞれにある細胞とつながっていて、強い信号を受け取ると、抑制をかける信号を送るようになっています。たとえて言えば、ピンボケの写真を修正するため、コントラストを強調する画像処理を行っているようなものです。この仕組みが側抑制です。

この「明暗の異なるパターン」を見ている、あなたの脳内では、リアルタイムで側抑制が行われているため、明るさの異なる境界域で錯覚が生じてしまいます。

さて、このような仕組みは、神経細胞に限らず、体内のいたるところで見出すことができ、ヒトが健康に生きていくための基本原理ともなっています。免疫システムも、その例外ではありませんでした。抗原原罪説もその原理に従ったものだったのです(文献1)。以下の動画(GIF動画⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/originalsin.gif )に、その仕組みをまとめました。



抗原原罪説の仕組み(側抑制)


免疫システムでは、神経細胞のように直接つながったネットワークこそありませんが、免疫細胞が分泌する物質が信号を伝える枠割を果たしています。その様子が、まさに側抑制でした。

この免疫の仕組みは、当ホームページが取り上げてきた「新型コロナワクチン」に限らず、どのワクチンにも根源的な矛盾が潜んでいるという重大なメッセージとなっています。たとえば新型コロナウイルスの変異に合わせて、少しずつ異なるワクチンを作って接種を繰り返していくと、効果が相殺されてしまうのです。

それどころか、抗体依存性感染増強(ADE;当ホームページQ7(3)参照※2)と呼ばれる、危険な反応を引き起こす抗体ができてしまう可能性も過去のデータは示しています(ただし、そのメカニズムは側抑制だけで説明できない)。
(※2:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ7 の(3)を参照)
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2142#2161 )

免疫の記憶は、メモリーT細胞と呼ばれる別の免疫細胞によって補強され、5~75年の長きにわたり残存します(文献3)。つまり、ずっと昔の出来事が関与してくるため、この先、思いもよらぬ形で健康被害が起こってくるかもしれません。

ワクチン神話は、根本的から見直す必要が出てきました。

【備 考】
この理論は不明な点がまだ多く、動画には私の推論も含まれています。ひとつだけはっきりしてきたのは、側抑制をかける信号のひとつが「活性化誘導シチジンデアミナーゼ」という酵素だという点です。この酵素は、側にあるB細胞のDNAを書き換えてしまうという働きをします。
 なお、ウイルスなどの断片を異物(抗原)として認識する仕組みについては、わかりやすさを優先して省略した部分もあります。

【参考文献】
1) Brown EL, et al., Original antigenic sin: the downside of immunological memory and implications for COVID-19. mSphere, Mar 10, 2021.
2) Bailey R, What is lateral inhibition? definition and examples. Science Tech Math, Jun 29, 2019.
3) Kunzli M, et al., CD4+T cell memory. Nat Immunol, May 8, 2023.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4230 )
日時: 2023年08月21日 09:05
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

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(2023.8.21)
Q 免疫の大原則を知れば問題点も見えてくる?

 コロナ禍の時代を経て、図らずも免疫分野の研究が進み、問題点も浮き彫りになってきました。

当ホームページでは、研究成果が発表される折々に概要を紹介してきましたが、情報はいつも断片的で、不明な点が多く、相互の関係もわかりにくいものでした。そこで今回は、これまでに報告してきた断片的な情報を整理し、「免疫システムの大原則」としてまとめることにしました。

新型コロナウイルスに対するワクチン接種が、なぜ無効で、なぜ危険なのかを改めて理解するための基礎知識となるはずです。なお、以下の説明で用いている動画は、これまで当ホームページで掲載してきた動画に改良を加えたものとなっています。

まず、「中和抗体に対する重大な誤解」を解いておかなければなりません。抗体とは、ウイルスや細菌などの微生物に感染した際、体内で作られる免疫物質のことです。

微生物は、免疫細胞に取り込まれると、ばらばらに分解されるのですが、その破片のひとつひとつが複雑な形をしているため、抗体もそれぞれに対応して作られます。たとえば新型コロナウイルスに感染したときも、1種類ではなく多彩な抗体ができることになるのです。そのうち、本物のウイルスと培養細胞を使って、実験的にウイルスの侵入をブロックすることが確かめられたものだけが「中和抗体」と呼ばれます。

ポイントを動画で解説しましたので、以下の青文字の部分をクリックしてください。画面左上の←印をクリックすると、この頁に戻ることができます。
 → 中和抗体には、期待されているほどの効果がない!! ⇒GIF動画( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/antibodies2.gif )

では、ウイルスの増殖を阻止し、重症化を防いでくれる主役は何なのでしょうか? 次の動画は、その仕組みを説明したものです。
 → ウイルスを破壊し重症化を防ぐのは、殺し屋細胞の仕事!! ⇒GIF動画( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/killer2.gif )

着目すべきは、殺し屋細胞の働きにワクチン接種が関係していないことです。殺し屋細胞の機能を測ることが難しいこともあり、個人差をもたらしている理由は、まだよくわかっていません。

さて、新型コロナワクチンの接種を繰り返した人たちのほうで、むしろ感染する人の割合が高いことが、多くの研究で示されてきました。なぜワクチンは効かなかったのか? そのメカニズムを次の動画で示しました。
 → 繰り返しのワクチン接種が無意味なワケ!! ⇒GIF動画( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/originalsin2.gif )

動画の最後に「抗体の中には危険なものもある」と述べていますが、その仕組みを解き明かしたのが次の動画です。
 → ワクチンで作られた過剰な抗体は、ときに危険な存在となる!! ⇒GIF動画( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ade2.gif )

以上の大原則により、前回の当ホームページ記事で報告したような数々の不利益がなぜ起こったのかを明確に説明できるのです。


 ―総まとめ―

当ホームページでは、メッセンジャーRNAを利用したワクチン自体の危険性と、お金に翻弄された人々の欺瞞について、厳選した情報をもとに報告を行ってきました。以下はその要点です。

 ・メッセンジャーRNAを包む膜に毒性の強い物質が含まれている
 ・再生されるトゲトゲ蛋白は自己免疫病を引き起こしている
 ・トゲトゲ蛋白の配列に、狂牛病原因物質に酷似した遺伝子が含まれている
 ・ワクチンを精製する工程の不備から、がん遺伝子が混入していた
 ・製薬企業が発表した論文にはデータのねつ造があった
 ・後ろ向き調査という偽りの分析法によって得られたデータで、ワクチンの
  誇大な宣伝がなされてきた

これらの現実とともに、免疫システムの大原則を知るにつけ、新型コロナのワクチンを擁護できるような理由は何ひとつないことがわかってきます。

それにもかかわらず、官民をあげてワクチン接種が推奨されてきたわけですが、その背景にいかなるメカニズムが働いていたのでしょうか。

【参考文献】
1) Sawant J, et al., A review: understanding molecular mechanisms of antibody-dependent enhancement in viral infections. Vaccines, Jul 14, 2023.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4238 )
日時: 2023年08月28日 09:43
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2023.8.28)
Q 感染しても無症状の人の体質とは?

 「風邪を一度もひいたことがない!」、「熱が出るってどんな感じかわからない?」、「食中毒になったことがない!」と言い張る人に出会うことがまれにあり、どのような遺伝子を持っているのかと、以前から興味津々でした。

新型コロナに感染した人の調査から、5人に1人は無症状であったことと、その理由が遺伝子の違いにあることが判明しました(文献1)。研究成果を発表したのは、米国、オーストラリアなどの研究者チームで、骨髄バンクに登録した約30,000人を対象に、ある遺伝子の配列を調べた上で、コロナ感染の有無と症状を、スマホを使って確認したというものです。

最終的に新型コロナの検査が陽性で、かつコロナワクチンを接種していない約1,500人が分析対象となりました。分析した遺伝子は、「細胞内に侵入したウイルスなどの断片を捕捉して細胞表面に提示する役割の物質」で、当ホームページでも繰り返し紹介してきたものです。

この物質はヒト白血球抗原と名づけられていますが、その略号であるHLAを用いて、説明を続けます。HLAの形状を決める遺伝子は個人差が大きく、無数ともいえるバリエーションが存在します。さまざまな細胞に存在していますが、とくに免疫細胞や内皮細胞での働きが重要です(文献2)。

細胞表面に提示した異物の情報を知らせる相手は、以下の図(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/HLAallele.jpg )のとおり、あの「殺し屋細胞」です。

分析の結果は、米国と英国の2つの異なる骨髄バンクの登録者でも確認され、信頼性は高いと研究者たちは述べています。内容はいささか複雑なものでしたが、わかりやすくまとめると以下のようになります(文献3)。

 ・無症状だった人たちの20%がHLA-B*15:01という特定のタイプのHLA遺伝子を
  持っていたが、症状があった人では9%に留まっていた

 ・この遺伝子を両親から受け継いだ人は、無症状であった割合が(まったく持って
  いない人に比べて)8倍も高かった

 ・この遺伝子を持っている人は、殺し屋細胞の機能が強力だった

特定のタイプのHLA遺伝子を持っている人では、殺し屋細胞がより強力に機能しているという結論なのですが、そのメカニズムはまだ解明されていません。

新型コロナウイルスに感染しても、2割の人はまったく無症状であり、その理由が遺伝子の違いにある、という新発見がなされたことになります。

【余 談】
  HLAには、ほかにもさまざまな働きがあります。たとえば匂いの信号を伝えていることから、男女がパートナーを選ぶ際、互いを魅了し引き寄せる因子になっているかもしれない、とする研究報告もあります(文献4)。

【参考文献】
1) Augusto DG, et al., A common allele of HLA is associated with asymptomatic SARS-CoV-2 infection. Nature, Aug 3, 2023.
2) Yarzabek B, et al., Variations in HLA-B cell surface expression, half-life and extracellular antigen receptivity. eLIFE, Jul 10, 2018.
3) Abbasi J, A genetic explanation for why some people had asymptomatic COVID-19. JAMA, Aug 2, 2023.
4) Brennan PA, et al., Mammalian social odours: attraction and individual recognition. Phil Trans R Soc B, Nov 8, 2006.

   
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4244 )
日時: 2023年09月04日 12:06
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

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(2023.9.4)
Q 流行りの統計分析法に意義あり?

 ワクチンも含めた医療行為の正当性を証明する唯一の方法は、すでに当ホームページでも繰り返し紹介してきたランダム化比較試験※1です。協力者を大勢集め、同意書をとった上で、偏りなく2つのグループにわけ、本人にわからないようにして、一方に本物を、他方にはプラセボを使い、長い年月にわたって追跡し、結果を見届けるというものです。
〔※1:ランダム化比較試験とは、大勢のボランティアを集め、病歴や生活状況などあらゆる背景を調べて、それらが均等になるようにコンピュータで2群に分け、一方に本物の薬を、他方に偽薬(プラセボ)を投与するという方法。数年~10年をかけて追跡し、結果を見届ける。エビデンスを探る唯一の方法であり、2群の背景が完全に等しくなっていることが最重要。また本物とプラセボのどちらが割り当てられているかを、本人にも医師にも知られないようにすることも鉄則。〕
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ7 の(1)を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2372#2377 )

ところが、「新型コロナワクチンは有効だった」との分析結果を報じた論文の大部分では、ランダム化比較試験ではなく、テスト‐ネガティブ分析なる方法が使われていたのです。今回は、これがどんな方法なのか、正しいものなのかを考えてみることにします。

簡単に言えば、「検査を受けに来て陽性となった人たちのワクチン接種歴を調べ、陰性だった人たちのそれと比べてみよう」という方法です。

まず、この方法を用いた代表的な論文を2つ取り上げて、それそれの結論をまとめてみます。そのひとつは、肺炎や呼吸苦などで入院した50歳以上の米国人31,698名を分析したものでした(文献1)。そのうち、コロナの検査で陽性となり入院するに至ったのは4,055人、体調不良で入院したにもかかわらず検査で陰性だったのは27,643人でした。それぞれの群でワクチンを1回以上打っていた人の割合は、以下のとおりでした。

【報告例1】
 陽性の群 →  4,055人、うちワクチン接種  360名 ( 8.9%
 陰性の群 → 27,643人、うちワクチン接種10,932名 (40.0%

つまりコロナに感染した群では、ワクチンを打っていた人が圧倒的に少なかった、という結論なのです。

もうひとつは、米国の政府機関である疾病予防管理センター(CDC)がワクチン接種を推進する根拠としてきたデータです(文献2)。対象は、発熱などの症状で入院した65歳以上の患者417名でした。ファイザー社かモデルナ社のワクチンを1回以上打っていた人は、以下のとおりだったということです。

【報告例2】
 陽性の群 → 187名、うちワクチン接種者19名 (10%
 陰性の群 → 230名、うちワクチン接種者62名 (27%

この2つの調査データは、どちらも米国人が対象で、しかも入院患者に限定しています。また、ワクチンを打ってから2週間以内の人を対象から除外したり、年齢や性別、居住地域などを調べて2群間(陽性と陰性の群)で違いが生じないよう処理するなど、一応、気を使った分析がなされていた点も共通しています。

それにもかかわらず、「報告例1で8.9%対40.0%」、「報告例2では10%対27%」と、陽性群と陰性群における接種率の割合に、大きな違いが出てしまっているのはなぜなのでしょうか?。

ここで、テスト‐ネガティブ法がどのような方法なのか、動画(GIF動画⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/testnegative.gif )で見ておくことにしましょう。相反する仮想のキャラクター8人に登場してもらい、分析がどのように行われるのかをシミュレーションしたものです。



テスト‐ネガティブ法とはどのような方法なのか


一方、テストーネガティブ分析の結果を、真っ向から否定するデータもたくさんあります。たとえばスコットランド保健省のレポートでは、以下のような事実が示されています(文献3)。

同地方では、2022年の初めのある一週間、ワクチン接種を受けた人と受けなかった人が、およそ同数の百万人ずつでした。ところが、未接種者でコロナに感染した人は人口十万人当たり341人であったのに対し、接種した人たちでは550名となっていました。つまり接種した人たちのほうが1.6倍も多く感染していたのです。

この事実に対してスコットランド当局者は、(当ホームページQ7(6)※2とQ12(5)※3でも報告したとおり)次のようなコメントを直ちに発表していました。
(※2:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ7 の(6)を参照)
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2808 )
(※3:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ12 の(5)を参照)
(※3:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2809#2916 )

『このデータは、条件がそろっていないグループを比べただけであり、ワクチンの効果を否定するものではなく、誤った解釈をしないように。以下は、比べていけない理由である。
 ・接種した人たちは、健康に関心が強く、コロナの検査も積極的に受けたはず
 ・接種した人たちは、何らかの理由で感染リスクが高く、接種に積極的だったかも
 ・接種した人たちは、安心して自由に動き回り、感染リスクが高まっていたかも
 ・未接種者は、とっくに感染していて調査期間中に自然免疫ができていたのかも』

当局のこのコメントこそが、背景をそろえていない2つの群を比べることの危険性を、図らずも言い当てているのではないでしょうか?

この指摘に加えて、テスト‐ネガティブ分析で気になる点を以下にまとめておきます(文献4,5,6)。

 ・ 対象者の居住地によって、ワクチン接種を強制する雰囲気に差はなかったのか
 ・ 接種を受けた際、マスクや手洗いなどの指導も受けていたのではないか
 ・ 同じ条件で行われた複数の分析結果に、なぜ何倍もの違いが生じていたのか
 ・ スコットランドを初めとする多くの実態調査が示すように、ワクチン接種者の
   ほうで感染が多くなっていた事実をどう説明するのか


テスト‐ネガティブ分析は、ワクチン問題の根幹にかかわる最重要テーマです。専門家たちは、「検査を受けに来た人たち」という共通項があるので、比べることに問題はないとしているのですが、このような主張と、どう対峙していけばよいのか、ご意見をお寄せください。

【備 考】
文献1-3は、実際にはさまざまな分析結果をまとめて報じたものとなっています。結論も複雑なため、関係する部分だけを本文で取り上げました。
 なお当ホームページで使用している動画について、「途中で止められるようにしてほしい」とのご要望が届いています。動画はパワーポイントのgifファイルで作成していますが、途中で止めることができません。便法をご存知のかたはお知らせください。

【参考文献】
1) Thompson MG, et al., Effectiveness of Covid-19 vaccines in amubulatory and inpatient care settings. N Engl J Med, Oct 7, 2021.
2) Tenforde MW, et al., Effectiveness of Pfizer-BionNTech and Moderna vaccines against COVID-19 among hospitalized adults aged >= 65 years - United States, January-March 2021. MMWR, May 7, 2021.
3) Public Health Scotland COVID-19 & Winter Statistical Report. Feb 16, 2022.
4) Cowling BJ, et al., Increased risk of noninfluenza respiratory virus infections associated with receipt of inactivated influenza vaccine. Jun 15, 2012.
5) Meester R, et al., The test-negative design: opportunities, limitations and biases. J Eval Clin Pract, May 25, 2023.
6) Graham S, et al., Bias assessment of a test-negative design study of COVID-19 vaccine effectiveness used in national policymaking. Nat Commun, Jul 21, 2023.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4248 )
日時: 2023年09月04日 19:42
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
↑前頁の記事
『(2023.9.4) Q 流行りの統計分析法に意義あり?
【報告例2】の補足資料

(文献2)入院中の65歳以上の成人における新型コロナウイルス感染症に対するファイザー・ビオンテックとモデルナのワクチンの有効性 — 米国、2021年1月~3月https://www-cdc-gov.translate.goog/mmwr/volumes/70/wr/mm7018e1.htm?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc


【抜粋】
2021年1月1日から3月26日までに、489人の患者が参加資格を得たが、そのうち72人(15%)は以下の理由で除外された:30人が発症後10日以上でSARS-CoV-2検査を受け、19人が入院14日以上発症から数日後、8人が入院後に新型コロナウイルス感染症に似た症状を発症し、3人がヤンセン製新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種を受け、12人はワクチン接種の検証が不完全であった。最終分析に含まれた患者417人(症例患者187人、対照230人を含む)のうち、症例患者と対照の年齢中央値は73歳、48%が女性、17%が非ヒスパニック系黒人、6%がヒスパニック系(人種を問わず)、48% が過去 1 年間に 1 回以上の入院を経験し、4% が入院前に長期介護施設で暮らしていました(表)。患者187人のうち、19人(10%)は発症の14日以上前にファイザー・ビオンテックまたはモデルナのワクチンを少なくとも1回接種していた(部分的にワクチン接種を受けた18人[10%]とワクチン接種を受けた1人[0.5%]を含む)完全ワクチン接種を受けた者)と、検査陰性対照230人62人(27%)(部分ワクチン接種者44人[19%]、完全ワクチン接種者18人[8%]を含む)と比較した。ファイザー・ビオンテックとモデルナのワクチンの接種率は同様でした(1回以上のワクチン接種を受けた人では、それぞれ53%と47%)。Pfizer-BioNTech または Moderna ワクチンを使用した完全ワクチン接種の調整後 VE は 94% (95% CI = 49% ~ 99%)、部分ワクチン接種の調整後 VE は 64% (95% CI = 28% ~ 82%) でした (図)。発症前 14 日以内に 2 回接種の COVID-19 ワクチンシリーズの初回接種を受けた場合、有意な影響はありませんでした (調整後 VE = 3%、95% CI = −94% ~ 51%)。
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4250 )
日時: 2023年09月11日 09:55
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2023.9.11)
Q コロナワクチンは薬害か?

 「新型コロナワクチンは薬害だ!」とする意見が以前からありました。今回は、薬害とは何なのか、コロナワクチンとの関わりはどうなのかを考えます。


薬害の歴史

 薬の害との戦いは、200年前に遡ります(文献1)。当時、皮膚や唇にできるヘルペスの治療に、ヒ素や水銀が用いられていました。特効薬と考えられていましたから、たとえ症状が悪化しても治療は続けられたのですが、あるとき、治療を途中で止めると、たちまち症状が改善することに気づいた医師がいて、その経過が医学専門誌に報告されました。

しかし論文を発表した医師は、あまり早く中止すると症状がむしろ悪化してしまうので、使い方を工夫する必要がある、ともコメントしていたのです。いまでは、ヒ素や水銀が猛毒で、触るだけでも危険であることは広く知られています。統計計算もランダム化比較試験も、まだ存在しなかった時代の話です。

しかし現代社会においても、程度の差こそあれ、同じようなことが連綿と続くがごとく、繰り返されています。そこでまず、いわゆる薬害とされ、裁判に発展した事例を拾い出し、表(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/yakugai.jpg )にまとめてみました。


ある薬害事件の顛末

 この表の中から、私の身近で起こった出来事のひとつ「スモン訴訟」を取り上げて、事件の概要を紹介します(文献2)。

1950年代、下痢などの症状に続けて、足のしびれ、運動麻痺、眼の異常などの症状が次々に生じるという、奇病が増えていました。ウイルスが原因との学説も流れ、一時、患者が社会的差別を受けるという事態に発展したりもしました。その後、患者の舌から採取したサンプルに、胃腸薬の成分キノホルムが検出され、内服薬に疑いが向けられるようになりました。キノホルムは、当時、多くの胃腸薬に配合されるなど期待の成分でした。

その頃、新潟大学の故椿忠雄教授は、患者の症状と服薬歴を詳細に調べ、キノホルムが直接の原因であることを統計学的に突きとめたのです。薬の副作用によって生じた、この症状群は亜急性脊髄視神経症とのちに名づけられ、英語名の頭文字からSMON(スモン)と呼ばれるようになりました。

この事件の前後、サリドマイド事件もあり、行政も大きく動くことになります。薬事法と呼ばれる法律が改訂されたのです。新薬の承認基準が厳格になり、発売後も再審査が求められ、さらに副作用が疑われた場合に行政が使用を緊急停止できることになりました。


薬害の定義

 さて薬害とは何なのか、ここで改めて考えてみることにします。この言葉については、ネット上にさまざまな解説がなされています。たとえば、

 「適正に使っていれば避けられた健康被害のうち、社会問題化したもの」
 「不適切な医療行政の関与が疑われたもの」
 「適正使用しても避けられない医薬品による健康被害」
 「医薬品の有害情報を加害者側が故意または過失で軽視・無視したことによる人災」
 「単なる投薬ミスは含まない」

などです。つまり、明確な定義は存在しないものの、薬害とは、企業の不誠実、行政の不作為があり、適正使用しても避けられず、社会問題化した健康被害ということになりそうです。

英語には、薬害を直接的に表す言葉がありません。たとえば米国で行われてきた医薬品に関する訴訟のほとんどは、「製薬企業が、効果と副作用についての情報をねつ造したり、隠したりしたために健康被害を受けたもの」となっています。上述した定義に従えば、このような訴訟も薬害の範疇に入ることになりますが、米国では訴訟の件数があまりに多く、日常化してしまっているためニュースにもならないという感じなのです。

当然、米国政府も、法律を改正するなど一応の対応はしています(文献3)。しかし、許認可を担う食品医薬品局(FDA)は、運営費の多くを申請者、つまり製薬企業から受け取る手数料でまかなう仕組みになっているため、利益相反(企業の利益と国民の利益がぶつかっている状態)に陥っていて信用できない組織、という批判が昔から繰り返されています(文献4)。

なおワクチンに関する米国政府の対応や法律問題については、当ホームページQ1(5)※1で解説してあります。
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ1 の(5)を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2259#2727 )


薬害の結末

 国内における薬害訴訟の結末はさまざまです。判決の前に原告と被告が和解したもの、国は無罪で製薬企業が有罪となったもの、厚生労働省の担当者が有罪となったもの、原告の主張がまったく認められなかったものなどです。

かつて、「アリナミン批判」なる出来事がありました(文献5)。東京大学のある研究者が、1950年代に発売開始されたアリナミンに、有効性を示すエビデンスがまったくなく、かつ過剰摂取で健康被害が起こる、と警鐘を鳴らしたことから始まった出来事です。

主張の根拠は、国内の先陣を切って行われたランダム化比較試験※2のデータでした。アリナミンの主成分であるビタミンB1には疲労回復などの作用がないことや、ビタミンB1の欠乏で起こる脚気が現代社会ではほとんどないことに加えて、繰り返しの服用でアナフィラキシー・ショックなども起こりうること、など多くの問題点が指摘されたのです。

アリナミンには薬店で買える一般薬と、病院で用いる専門医薬品とがありますが、成分はほぼ同じです。一般薬のほうは、いまでも薬店で買えますが、専門医薬品のほうは健康保険での使用が厳しく制限され、ほとんど使われなくなりました。訴訟になることはありませんでしたが、一人の研究者の情熱が行政を動かしたのです。

しかし当時の権威者たちがランダム化比較試験の実施に反対するなど、その道のりは険しく、「異論を認めない空気を作っていたのは、大学の教授など社会的に権威と認められている人たちではなかったか」と、この研究者は述懐していたそうです。

翻って、歴史上、類を見ない困難が予想されるコロナワクチン訴訟には、どんな展開が待っているのでしょうか。

【蛇 足】
スモンの疫学調査を行った教授の講義を受け、のちに研究の手伝いもすることになった私にとって、スモン訴訟は疫学・統計学の意義を学ぶ好機となり、かつ薬害という言葉が脳裏に刻まれる出来事でした。


【参考文献】
1) Avorn J, Two centuries of assessing drug risks. N Engl J Med, Jul 19, 2012.
2) 土井脩, スモン事件, 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス, 47(8): 598-599, 2016.
3) Dabrowska A, et al., Prescription Drug User Act (PDUFA): 2017 Reauthorization as PDUFA VI. Congressional Research Service, Jun 8, 2017.
4) マーシャ・エンジェル, 『ビッグ・ファーマ 製薬企業の真実』. 篠原出版新社, 2005.
5) 松枝亜希子, 1960-70年代の保健薬批判―高橋晄正らの批判を中心に―, Core ethics, vol. 9, 2013.



****************************************************************************************************
※2:ランダム化比較試験とは、大勢のボランティアを集め、病歴や生活状況などあらゆる背景を調べて、それらが均等になるようにコンピュータで2群に分け、一方に本物の薬を、他方に偽薬(プラセボ)を投与するという方法。数年~10年をかけて追跡し、結果を見届ける。エビデンスを探る唯一の方法であり、2群の背景が完全に等しくなっていることが最重要。また本物とプラセボのどちらが割り当てられているかを、本人にも医師にも知られないようにすることも鉄則。
(※2:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ7 の(1)を参照)
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2372#2377 )

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4256 )
日時: 2023年09月18日 10:44
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

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(2023.9.18)
Q 病理解剖を行っても因果関係の証明はできない?

 新型コロナのワクチン接種を受けたあと、不幸にして亡くなられた人は、決して少なくありません。ワクチンと死亡との因果関係を証明してほしいとは、多くの人々の願いです。今回は、亡くなった人に対して行われる病理解剖が、因果関係の証明に有効なのかどうかを考えます。

病理解剖は、医学の発展を目的として、病気の原因や進行状態を調べるために行われるもので、主治医の判断により遺族の同意を得て行われるのが一般的です。ほかに司法解剖と行政解剖という言葉もありますが、国によって定義も異なるため、本文ではとくに区別せず、まとめて病理解剖と呼ぶことにします。


報告例の紹介

 新型コロナのワクチン接種が始まったばかりの2021年9月、早くもこのテーマに取り組んだ論文が、ドイツから発表されていました(文献1;当ホームページQ1(7)※1でも紹介)。ファイザー社、モデルナ社ほか全4社のワクチンを接種後に死亡した18例のデータが記されています。
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ1 の(7)を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3708#3743 )

うちファイザー社とモデルナ社のワクチン接種者は8名でしたが、いずれも因果関係の証明はできなかったと結論しています。1名は心筋炎が死亡原因と判定されましたが、やはりワクチンとの関係は証明できないと結論しています。さらにワクチン接種後、1日以内に発生するアナフィラキシーについても、死因に結びつく証拠は得られなかったとのことでした。

同じころ、ドイツから、もう一つの論文発表がありました(文献2)。ファイザー社ワクチンの接種を受けたあと死亡した3名についての報告でしたが、やはり結論は同じでした。

2022年の初頭、シンガポールでワクチン接種後に死亡した33例の病理解剖データが発表されています(文献3)。対象は、ファイザー社かモデルナ社のワクチン接種を受けてから3日以内に死亡した人たちで、まず全員に対し、死亡後にCT検査が施行されました。その後、担当の病理医は画像や臨床データを調べた上で、検視官と協議し、病理解剖を行うかどうかを決めたとのことです。結果的に33名中の28名に病理解剖が行われました。

血液サンプルを分析した結果では、炎症やアレルギー反応を示した例もあれば、そうでない例もあって、一定の傾向は認められなかったこと、そして死因が心筋梗塞、肺炎、脳血管障害、極端な肥満などによるものであって、ワクチン接種との直接的な関係は証明できなかった、との記述が繰り返されていました。「すでに重い病気を有している人たちであり、ワクチン接種は、単なる偶然だったのではないか」とさえ述べています。

この論文発表には、いろいろな疑義があります。まず病理解剖を行うかどうかや、どのような分析を行うのかなどが、すべて担当者の主観に委ねられていて、データに統一性がなく、著しく信頼性を欠くものだったことです。とくに気になるのは、論文を書いた医師がシンガポールの政府機関に勤務する人たちであり、「ワクチン接種をためらう人たちを安心させることが大切」と論文中に言明していたことです。

一方、国内でも病理解剖例の報告がなされています(文献4,5)。論文は、確認できた範囲で2つあり、合わせて5例のデータが公開されていますが、いずれも因果関係は証明できていません。うち1例は新型コロナの血液検査も行われ、抗体価の著しい上昇が認められていました。これは、比較的、最近になってコロナの感染があったことを意味しますので、いくら詳細に調べても、ワクチンの影響を判定することは、当然、できません。

唯一、核心に迫った論文があります(文献6)。これもドイツからの報告ですが、ワクチン接種後、心臓に不調をきたした15名に対して、カテーテル検査に合わせて心臓組織の一部を採取したという内容です。15例中の9例で心臓の細胞内にトゲトゲ蛋白(スパイク蛋白)を認めたとし、実際の顕微鏡写真も掲載しています。


トゲトゲ蛋白の映像化

 トゲトゲ蛋白は、あまりに小さく顕微鏡でも見ることができません。そこで、ある特殊な方法でトゲトゲ蛋白に染料を付着させ、顕微鏡で観察すると、トゲトゲ蛋白の有無を間接的に確認することができます(免疫組織化学染色)。次の図(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/immunohist.jpg )は、この手順をイラストで示したものです。検査に使う材料は、すべてネットで購入できるものばかりで、大きな病院の臨床検査技師やバイオ系の大学院生などであれば、誰でも簡単にできる程度のものとなっています。

次の写真(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/histopatho.jpg )は、トゲトゲ蛋白ではありませんが、以前、私が細胞内の異常物質をこの方法で処理し、顕微鏡カメラで撮影したものです。

この簡単、かつ重要な分析法が、これまでの「病理解剖の報告例」では、なぜかいっさい行われてきませんでした。これでは、せっかくの病理解剖も役に立ちません。トゲトゲ蛋白の存在証明は、心臓に限ることなく、腎臓、肺、脳などあらゆる臓器の細胞や血管で行うことが必須要件なのです。

この分析は、病理解剖に限らず、病院で検査として受けるバイオプシー(生検)で採取したサンプルでも行うことができます。もしパラフィン包埋と呼ばれる方法でサンプルが保存されていれば、ずっとあとになってからでも分析が可能ですから、被害に遭われバイオプシーを受けた方は、ぜひ主治医に保存を依頼しておいてください。

【参考文献】
1) Schneider J, et al., Postmortem investigation of fatalities following vaccination with COVID-19 vaccines. Int J Legal Med, Sep 30, 2021.
2) Edler C, et al., Deaths associated with newly launched SARS-CoV-2 vaccination (Comirnaty). Leg Med, Apr 17, 2021.
3) Yeo A, et al., Post COVIC-19 vaccine deaths - Singapore's early experience. Forensic Sci Int, Jan 19, 2022.
4) Baumeier C, et al., Intramyocardial inflammation after COVID-19 vaccination: an endomyocardial biopsy-proven case series. Int J Mol Sci, Jun 22, 2022.
5) Murata K, et al., Four cases of cytokine storm after COVID-19 vaccination: case report. Front Immunol, Aug 15, 2022.
6) Nushida H, et al., A case of fatal multi-organ inflammation following COVID-19 vaccination. Leg Med, Mar 20, 2023.

【参 考】 免疫組織化学染色で2つのステップを必要とする理由:
 抗体と呼ばれるたんぱく質は無数に存在します。幸い、どの抗体にも骨格となる共通構造があり、その部分を「抗原」として認識できる「抗体」を人工的に作ることができます。それぞれ、前者は「一次抗体」、一次抗体の抗体は「二次抗体」と呼ばれます。
 色素をくっつけた二次抗体は、いわば万能試薬であり、どの検査室にも、どこの実験室でも頻繁に使用するため、必ず常備されています。かつて私の実験室の引き出しにも、この試薬の入った小瓶がゴロゴロありました。大量生産されていますから、安価なのです。また色素の代わりに蛍光物質を使うなど、メーカーのアイデアが詰まった商品ともなっています。
 一方、たとえばトゲトゲ蛋白のように、この世に新たに出現した抗原に対する一次抗体は、大変な手間と費用をかけて自分で作るしかありません。幸い、新型コロナウイルスが蔓延した直後、米国のある検査試薬メーカーがこれを製造し、研究者向けにネット販売を開始してくれました。世界初ですから、最初は値段も高額でしたが、これさえ手に入れば、あとは図示したとおり、引き出しに入っている試薬で間に合います。
 通常、1個の抗原には複数個の抗体が結合します。たとえば、その割合が1対10だとすると、ステップ2ではそのさらに10倍ですから、合計100倍も鮮やかな染色ができることになります。これが、極小物質を見つけるために必要な、もうひとつの理由となっています。



****************************************************************************************************
【関連記事】
Covidワクチン傷害:ドイツの病理学者の発見 > Covidワクチン傷害に関する新しい病理組織学的洞察(元記事⇒ https://www.transcend.org/tms/2022/03/covid-vaccine-injuries-the-german-pathologists-findings/
 COVIDに関する議論 - ワクチン、14 Mar 2022
 顕微鏡画像:以下の顕微鏡画像は、ドイツの病理学者によって撮影された。青い点はlmphocite浸潤(すなわち炎症)を示し、茶色染色はワクチン誘発スパイクタンパク質である。記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3089 を参照


新型コロナウイルスワクチン接種後に致死的な多臓器炎症を起こした一例(元記事⇒ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10027302/
 2023 年 3 月 20 日にオンラインで公開。 PMCID: PMC10027302 PMID: 36990036


Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4260 )
日時: 2023年09月25日 09:32
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2023.9.25)
Q 国と製薬企業を相手に起こした訴訟?

 新型コロナのワクチンで被害に遭った人やその家族が、国や製薬企業に対して訴訟を起こすという動きがいくつか出てきました。今回は、その概要をまとめました。

イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/sojou.jpg    

2023年9月20日(水)、NHK大相撲中継の途中、夕方5時の全国ニュースで、

 『”コロナワクチン接種で生活に支障” 国や製薬企業などを提訴』

との報道が、突然なされました。同じ内容の記事がネットにも掲載されされています(文献1)。訴えを起こした女性は、東京地方裁判所に提出された訴状で、次のように主張しています。

「ワクチン接種が、どうきなどの症状の原因となった可能性が否定できない。ことし5月に国の健康被害救済制度の認定を受けたが、手続きに2年近くもかかり、また認定された以外の症状も出ている。つらい日々に対する慰謝料を請求すべきだと考えた」。

つまり国の救済制度では不十分だったことから、国と製薬企業、さらには集団接種を行った自治体にまで責任を問うものだったようです。このニュースがNHKの全国放送で報道されたことも含めて、コロナワクチンによる健康被害を考える上で大きな出来事でした。

この訴訟を進めている弁護士グループは、すでに別の訴訟も起こしています。2023年5月23日、NHK北九州が、『新型コロナワクチン接種後に男性死亡 遺族が国などを提訴』と報じていました(文献2)。福岡地方裁判所小倉支部に提出された訴状には、国がワクチンの安全性を確認しないまま特例承認を行ったことや、病理解剖を行わず、また遺族に知らせることなく火葬が行われた、などと述べられています。

詳細は、この訴訟を担当している弁護士事務所が開設している以下のサイトで、確認することができます(同事務所の許可を得てリンクを設定)。

 福岡地方裁判所小倉支部での裁判についてhttps://voice.charity/events/515

2023年2月2日には、京都大学の名誉教授が、国に対して情報開示請求訴訟を起こしています。遡る2021年、同氏が厚生労働省に対し「ワクチンの購入契約書、およびワクチンに関する有害事象の全データ」を開示請求したところ、以下のような拒否回答があったとのことです。

購入契約書の開示について:
 「公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位、正当な利益を害する恐れがある」

有害事象の開示について: 
 「そのようなデータを保有しておりません」

国などの公的機関が保有する文章は、所定の書類を作成して手数料300円とともに提出すれば、誰でも開示請求をすることができます。しかし、それで相手が開示を拒否をすれば、裁判を起こすしかありません。同名誉教授も、そうすることにしたという話のようなのです。この出来事については、新聞やテレビなどの大手メディアが報じることは、いっさいありませんでした。

集団訴訟を起こすことになるだろうと、記者会見で発表した人たちもいます(文献3)。遺族会を結成し、予防接種による健康被害の救済制度で補えない部分を裁判を通して国などに要求する、としているのです。この遺族会には、父親とおばをワクチン接種で相次いで亡くしたという女性も加わっているとのことです。

国を相手に裁判を起こし、最終的に国家が謝罪したり、金銭で償うことになったという事例は、過去、多数ありました。しかし新型コロナのワクチン接種にともなう諸問題は、簡単でありません。直接的な健康被害や死亡だけでなく、ある人は心理的に追い詰められ、ある人は職を失ったりと有形無形で、かつ多種多様です。実証できない被害も多く、のちの世の総理大臣に謝罪されたとしても、心が晴れることはないでしょう。

訴えるべき相手は誰なのでしょうか? 「ワクチンを拙速に承認し国民の生命を危険にさらした」として政治家個人を殺人罪などで告訴した人もいるようです。

専門家と称する人たちに嫌悪感を抱く人も少なくありません。10数年前、イタリアのある地方で小さな地震が群発していました。これを受けて、6人の地震学者が協議し、「大きな地震が来る予兆ではない」との談話を発表しました。その6日後、その地方を大地震がおそい、専門家の話を信じて避難しなかった300人ほどが犠牲になりました。

遺族たちは地震学者を告訴。裁判では、過失致死罪による懲役6年の実刑判決が6人にくだされました(この逸話は、当ホームページQ17(第3回)※1で紹介)。その後の控訴審で、「専門家の発言と地震による死亡とは因果関係が認められない」、「地震学者たちの判断は当時としては適切だった」との理由でいったん無罪となるのですが、まだ最終決着はついていません(文献4)。
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ17 の(第3回)を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3088 )

科学者・専門家の言動も、ときに裁判の対象になりうることを世に示した出来事でした。

NHKのホームページには、『「コロナワクチン接種後に死亡」の解説デマに注意』との記事がいまだに掲載されてます。訴訟は、メディアまでも対象にすべきなのかなど、ますます悩ましい問題となっています。

【参考文献】
1) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230920/k10014201241000.html
2) https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20230523/5020013417.html
3) ワクチン接種後死亡 遺族救済へ会結成 弁護士ら発表. あなたの静岡新聞, Sep 18, 2023.⇒ https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1139466.html
4) Scientists cleared of quake deaths. Nature, Nov 13, 2014.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4) ( No.4264 )
日時: 2023年10月02日 10:49
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

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(2023.10.2)
Q 後遺症はワクチンを打ってない人に多い?

 2023年9月中旬、厚生労働省は、国内3市町村で行ってきたコロナ後遺症の調査結果を公開したと、各メディアが報じました(文献1,2)。見出しこそ「コロナ後遺症、成人11~23%に」などでしたが、とくに「後遺症があったと答えた人の割合は、ワクチンを接種した人たちのほうで低かった」との発表もなされたことに対し、「本当か?」との声が多く聞かれ、当ホームページあてにもお便りが届きました。

いったい、どんな調査だったのか、背景を探ってみました。

その調査データは、厚生労働省のホームページで公表されています(文献3)。対象となったのは大阪府八尾市、東京都品川区、および札幌市の住民でしたが、多くの人を対象にワクチン接種との関係を調べていたのは、品川区だけであったため、以下、同地区のデータに限定して、考察を行うことにします。

データは、厚生労働省が50億円を投じて開発したシステムHER-SYSからでした。このシステムには、医療機関や保健所が、感染者を認めた場合に入力する建前となっていましたが、にわか作りであったことから、入力が大変で、度重なる改良を経てもなお不評のまま、2023年9月末で運用終了となったものです。入力されているデータが信頼できるものだったのかが、まず気になります。

品川区での調査は、2022年7~8月に行われました。強毒性のデルタ株にかわって、弱毒性のオミクロン株が主流になった時期で、対象は感染した8,099人(20~69歳)の男女です。

対象者には、ネット経由でアンケート調査が行われました。「感染が確認されてから3ヵ月経った時点で、少なくとも2ヵ月以上続いていた症状」を後遺症と定義し、症状の有無が調べられました。この定義は世界保健機関(WHO)に従ったものですが、ほかにも様々な定義があり、結果も異なるものになる可能性があります。

ワクチンの接種記録は、VRSと名づけられたシステムから取得しました。これは、市町村がまず住民の基本情報を登録し、各接種会場で接種券のコードをタブレット入力するという方法で構築されてきたものです。

結果は、「後遺症なしの割合は、ワクチンを3回以上接種したほうの人たちで明らかに小さいというものでした(オッズ比で0.75: 詳細は脚注参照)。

イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/sinagawa.jpg   

さて、この調査結果は正しいでしょうか?

まず、比べた2つのグループは「ワクチンを打っていた人たち」と「打っていなかった人たち」です。つまり事前に、背景を揃えてグループ分けしたわけではなく、本人の気持ちや周囲の圧力、接種会場が近かったかなどの違いで、たまたまわかれただけです。したがって、まったく異質のグループですから、そもそも比べることが間違っています。

アンケートに答える際も、「いまの体調は?」と問われれば、誰でも「そういえば・・」と、忘れていた症状まで思い出して答えてしまうのではないでしょうか。とくにワクチンの効果がテレビなどで過剰に宣伝されてきましたから、打っていない人が感染すれば不安にかられ、つい過敏に反応してしまいそうです。

「最近、疲れる」、「体がだるい」、「よく眠れない」、「記憶力が衰えてる」などの字句がならんだアンケートに回答を求められれば、誰でも、たくさん丸印をつけてしまうことでしょう。その昔、新聞にこんな記事が載っていました。小学生に「困っていることは?」というアンケート調査をしたところ、ほとんどの児童が「最近、疲れる」と答えていたそうです。アンケートは、誘導尋問になってしまいがちです。

海外で行われた厳密な比較調査では、感染した人としなかった人で症状の割合に有意差がなかったという結論になっていました(2023年5月8日付の当ホームページで紹介※1)(文献4,5)。つらい症状で悩んでいる人が多いのは確かですが、コロナのせいばかりではない、ということなのです。
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4054#4172 )

そもそもコロナの後遺症自体が捉えどころのないものである上に、厚生労働省が発表したデータは、分析法も正しくありません。「後遺症があったと答えた人の割合は、ワクチンを接種した人たちのほうで低かった」との結論は、あきらかな間違いです。正確に言えば、正しさが証明されていないということですが、過去、同じ方法で行われた研究の多くが間違った答えを出し、人々の信頼を裏切ってきたのも事実です。


【参考文献】
1) 新型コロナ19万人余調査、成人1~2割「後遺症」か 厚労省研究班. NHK, Sep 23, 2023.
2)コロナ後遺症 成人11~23%、小児は6%、接種済みだと少ない傾向. 朝日新聞, Sep 19, 2023.
3)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状について(現状、研究報告、今後の厚生労働省の対応). 厚生労働省, (掲載日不明).
4) Selvakumar J, et al., Prevalence and characteristics associated with post-COVID-19 conditon among nonhospitatlized adolescents and young adults. JAMA Netw Open, Mar 30, 2023.
5) Matta J, et al., Association of self-reported COVID-19 infection and SARS-CoV-2 serology test results with persistent physical symptoms among French adults during the COVID-19 pandemic. JAMA Intern Med, Jan 1, 2022.

【脚 注】 オッズ比の求め方
 公表された品川区のデータは以下のようになっていますが、分析には、いささか複雑な計算がなされていました(文献3)。
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          後遺症あり   後遺症なし 後遺症の割合 接種なしとの比較 補正後の値
                                 (オッズ比)
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  接種なし      110人    671人   111/671 = 0.16   1.0    1.00
  接種1回       11人     45人    11/ 45 = 0.24   1.5    1.45
  接種2回      245人    1567人  245/1567 = 0.16    1.0    0.99
  接種3回以上    675人    5556人  675/5556 = 0.12    0.75    0.75
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 まず、それぞれの行に対して、以下の計算を順次、行います。
  「後遺症ありの人数」 ÷ 「後遺症なしの人数」
この計算結果が、もし1.0より大きければ、後遺症のあった人が、なかった人より多かったことになります。次に、接種をしなかった人たちと比べるため、2~4行目の値を、それぞれ赤字で示した1行目の値(0.16)で割り算します。この計算でえられる値はオッズ比と呼ばれます。
 このような直感的にわかりにくい計算を、なぜわざわざするのかと言えば、背景因子の影響を取り除くための計算法(ロジスティク回帰分析)を利用することができるからです(2023年6月5日付の当ホームページ参照※2)。厚生労働省の報告書には、「性別」と「年齢」の2つの背景因子の影響を取り除く処理を行ったと記述されています。その結果が、上の表の右端に示した値です。単純な割り算でえたオッズ比と微妙に異なっているのは、2つの背景因子の影響が引き算されているためですが、だからと言って、2つのグループの背景因子が揃ったことにはなりません。
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4054#4199 )

   
   
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