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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.8.7) Q 最近の気になるニュース3題? A <品質に重大な差?> コロナワクチンに関係する情報は、そろそろ出つくした感もありますが、それでもなお耳を疑う実態がまだまだ隠されているようです。当ホームページあての情報提供も多く、いくつかをまとめました。 「以前から危惧されていた不安」を、デンマークの科学者たちが証明してくれました(文献1)。デンマークでは、米国と同じような「ワクチン副作用報告システム」があり、誰でも匿名で投稿できるようになっています。着目すべきは、ワクチンの製造単位ごとに割り当てられる製造ロット番号がいっしょに登録されていたことです。 ワクチンに限らず医薬品は、1回の工程でまとめて大量に製造します。そのため、途中で何か問題があれば、そのロットから小分けにされる商品のすべてに悪影響が及んでしまうことになります。 < イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/vaccinelot.jpg > デンマークは総人口が約580万人で、千葉県や兵庫県とほぼ同じです。国民の約8割が1回以上の接種を受けたとされ、2020年12月27日からの約1年間で、13,655人から延べ43,496件の副作用報告がありました。 同国では52種類のロットが使われていましたが、分析の結果、ある特定のロットのワクチンを接種した人に、異常に高い割合で副作用が生じていることが判明したのです。そのロットは、デンマークで使われた全ワクチンの4.22パーセントを占めるものでした。 日本でも、特定のロットのワクチンに金属片が混入していることがわかり、テレビなどでも一時、報じられましたが、いつの間にかニュースは封じられてしまいました。コロナワクチンは、研究開発の段階も、臨床試験も、国の審査も、「ずさん」の極みでしたが、その上、製造工程までも「安全性」が後回しにされていたのです。 <見逃されてきた副作用?> 2つめの話題は、ワクチンの副作用として有名になった「心筋炎と心膜炎」についてです。 心筋炎は、ウイルス感染や免疫異常によって心臓の筋肉に炎症が起こった状態であり、多くは数週間で治るとされています。胸の痛み、不整脈などの症状があります。心膜炎のほうも似ています。心臓を包む膜に起こる炎症で、息苦しさや胸の圧迫感などがあり、深呼吸で症状が悪化するという特徴もあります。 どちらも正確な統計が日本にはなく、実態がよくわかっていなかったのですが、コロナワクチン接種後の副作用として多発していることがわかり、改めて注目を集めた形です。 診断は必ずしも簡単でなく、心電図や心エコー検査、CT・MRIなどの検査が必要となります。ワクチン接種後の発生頻度を調べた研究では、多くが「心電図に異常があった場合」という定義で集計が行われてきました。米国疾病予防管理センター(CDC)は、それらのデータをまとめて、10万人当たり1人(0.001%)程度の発生頻度と公表しています。 スイスの研究者たちは、大学病院に勤務する職員4493人に協力を求め、777人にワクチンを接種し、3日後に採血を行ってトロポニンTと呼ばれる物質を測定しました(文献2)。残りの職員には、ワクチンを打っていない状態で同じ検査を行い、数値を比較したのです。 集計の結果、ワクチン接種した人たちは、接種していない人に比べてあきらかにトロポニンT値が高く、2.8パーセントに異常値が認められました。異常値は、女性に比較的多く、平均年齢が46歳でした。 トロポニンTは心臓の筋肉成分の一部で、損傷があると血液中に滲みだしてくるという物質ですから、ワクチン接種後、心臓にあきらかなダメージがあったことになります。異常値を示した人たちが、その後、どうなったかは不明ですが、心筋炎と診断された人の2割は、不治の病とされる「心筋症」に移行するという統計もあり(文献3)、心配事がまたひとつ増えたことになります。 <いまさら、国産ワクチン?> 3つめの話題は国産ワクチンです。第一三共株式会社は、『2023年1月に製造販売承認申請を行っていたが、8月2日、国産初のmRNAワクチンとして承認を取得した』と、記者発表しました(文献4)。ただし起源株(武漢株?)の1価ワクチンであり、追加接種用であることから、国のワクチン接種プランに従って発売はしない、との内容でした。 このややこしい発表については、奇しくも当ホームページの先週の記事で「ワクチンビジネス裏事情」※1を詳しく解説したところであり、再度、ご参照いただければ理解が進むものと思います。同社は、今年中には新しい変異株XBB.1に対応したワクチンを製造し、供給したいとしています。 (※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4206#4219 ) このワクチンについては、正式な論文がまだ発表されていません。申請直前に報じられた情報によれば、検討対象は、2回の接種を済ませた約5000人の健康成人で、半年以上経過していることを条件に、試作品の接種を行いました(文献5)。血液中の中和抗体を調べたところ、「既存のワクチンに劣らない」数値が確認できた、との内容でした。 製薬企業は、常に新しい薬を研究・開発し、従来の薬より優れていることを自慢したいはずです。それにもかかわらず、臨床試験で期待したほどのデータがえられなかったとき、「既存の薬に劣らない効果を認めた」という表現を使うのが定番となっています。 中和抗体は、当ホームページQ7(8)で紹介※2したとおり、免疫機能のごく一部でしかなく、これをもってワクチンの効果を示したことにはなりません。「感染を実際に予防し、副作用もなかった」ことを証明してくれなければ、実用化したとは言えないでしょう。 (※2:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ7 のQ7(8)を参照) (※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3628 ) ポストコロナのいまになってワクチンを開発するのであれば、せめてメッセンジャーRNAタイプではない、将来に備えた新技術を研究してほしいものです。 【参考文献】 1) Schmeling M, et al., Batch-dependent safety ofthe BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine. Eur J Clin Invest, Apr 13, 2023. 2) Buergin N, et al., Sex-specific differences in myocardial injury incidence after COVID-19 mRNA-1273 booster vaccination. Eur J Heart Fail, 2023. 3) The link between myocarditis and cardiomyopathy. Myocarditis Foundation, 2023. 4) 株式会社第一三共, Press Release, Aug 2, 2023. 5) Daiichi Sankyo's Covid-19 vaccine trial meets primary endpoint. Clinical Trials Arena, Nov 15, 2022.        
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