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あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3197 )
日時: 2022年05月16日 15:47
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新
 正しい情報を偏りなく


(2022.3.28)
NEW!
Q18 あやまちを繰り返さないために? ―第1回―
A <パート1> 野生動物の怖さ
 コロナ騒動の終息に向けて、過去、現在、未来の問題点を何回かに分けてまとめていくことにします。その第1回は、新型コロナウイルスが、どこで、どうして発生したのか、そして問題点はどこにあったのかを考えます。地球上には、人類の生命を脅かすかもしれない未知のウイルスが、無数にいるとされています。新型コロナウイルスの発生源を知ることは、新たな脅威に対処するための必須要件です。

当ホームページでは、すでに2020年5月掲載の記事で以下のように報告しました。つまり新型コロナウイルスの発生には2つの説があり、ひとつは中国・雲南省の大洞窟に生息するコウモリが持っていた、とするものです。コウモリは赤や緑の光を好む性質があるため、およそ1,000キロメートルを飛び越え、大河・長江(揚子江の上流)の畔にあって光輝く湖北省武漢市の海鮮市場にやってきたというのです。

もうひとつは、武漢市にあるウイルス研究所で、コウモリが持つコロナウイルスの遺伝子改造を行っていたのではないか、という説です。研究所に勤める職員が、改造したウイルスに感染し、それが武漢市の市民に広がっていったのではないとの仮説でした。中心的役割を果たしたのは、当時57歳の女性科学者シー・ジェンリーだった、と欧米のメディアは名指しで報じていました。

以下、新たな情報に基づいて、さらなる考察を行ってみます。オーストラリアのウイルス学者エドワード・ホルムズ氏は、2002年に中国で発生した重症呼吸器感染症(SARS)の流行以降、同国内に生息する野生動物のウイルスを調べていました。メディアは彼を「ウイルス・ハンター」と呼んでいます。

SARSの流行のあと、コウモリの体内にいるウイルスが、ハクビシンやタヌキを介してヒトに感染したと報じられたことから、中国当局は表向き、市場での野生動物の売買を全面禁止にしたと宣言していました。

しばらく経った2014年、ホルムズ氏は武漢市の海鮮市場を訪れた際、ヘビ、アナグマ、ネズミ、鳥など生きたままの野生動物がカゴに入れられ食用として売られている現場を目撃し、ショックを受けました。同行した中国当局の職員に気づかれないよう、スマホでこっそり写真に撮っていたのですが、使い道もなく放置していました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、これこそ発生源を示す重要証拠と考え、写真を添えて論文を発表しました(実際の写真は参考文献7)で見ることができます ⇒画像例 https://cdn.rara.jp/dynamic/f1/16/2fc4160a6d4851a1b834be820f9af116w999_1005391982.webp )。


<パート2> 隠ぺい体質
 しかし、今となっては海鮮市場で売られていた野生動物が、どのようなウイルスを持っていたのか調べることはできません。なぜなら、中国当局がすべて撤去し隠ぺいしてしまったからです。ホルムズ氏が公表した写真もフェイクだとしています。

ホルムズ氏は、中国の張永振という研究者の要請を受け、武漢市で多発している謎の肺炎の調査に当たっていました。2019年12月26日、二人は、武漢中央病院に入院したある患者が謎の病気に特有の症状とレントゲン像を呈していたことに注目し、肺から採取したサンプルを入手しました。未知の病原体の遺伝子配列を確定することに成功したのは、年が明けた2020年1月5日でした。

早速、二人はそのデータを論文にまとめ、2020年1月7日、専門誌「ネイチャー」に投稿しました。ところが、中国側の共同研究者だった張氏は、当局から遺伝子情報の公開を禁じられていて、その禁を破ったことから彼の研究室は閉鎖されてしまうのです。

中国側には、ほかにも複数の研究者が協力していたのですが、その中心人物の肩書が軍の大佐であったことが判明し、話はややこしくなっていきます。「実はホルムズ氏は中国から研究費の助成を受けていた」と一部メディアが報じ、一方、ホルムズ氏が所属するシドニー大学は、「そのような事実はない」と否定するなどゴタゴタが続いています。


<パート3> まとめ
 そんな具合で、いまだ話は混とんとしているのですが、マレーシアと米国の研究チームが行った冷静な研究報告も含めて、ここまでの情報をまとめてみます。

新型コロナウイルスの発生源としてもっとも有力な説は、武漢市の海鮮市場、あるいは武漢市を流れる長江の下流(揚子江)にある浙江省舟山市の市場で売られていた野生動物が最初から新型コロナウイルスを持っていて、それらが複数の市民に同時多発的に感染したというものです。

当時、揚子江河口にある浙江省では、タケネズミと呼ばれる動物が食用として流行していました。「華寧兄弟」という人気のユーチューバーが流行らせたもので、最初は自家繁殖でしたが、人気に便乗して野生のタケネズミも売られていたようなのです。

これまで多くの研究者が主張してきたのは、すでに紹介したとおり雲南省の大洞窟に生息するコウモリから感染が広がったとする説です。しかし前出のホルムズ氏の分析では、コウモリの体内にいるウイルスの遺伝子配列は、新型コロナウイルスとはかなり異なっていて、直接の原因ではなさそうです。

米国のトランプが最初に主張した「武漢市のウイルス研究所で生物兵器として作られたウイルス」との説も、物語としては興味深いものの、あり得ないと思われます。なぜなら、炭素菌やサリンに代表される生物化学兵器は、戦闘現場でのみ殺傷力をもたらしますが、ウイルスはパンデミックを起こしてしまうため、使った側にも甚大な被害が及ぶからです。

いずれにしても中国当局は、武漢市の海鮮市場も、また武漢市のウイルス研究所も、発生源としては認めたくないのです。その一方で、中国の一部医師とウイルス研究者たちが、驚くべき早業で、かつ非常に高いレベルで遺伝子解析の結果や患者の病状を専門誌に発表しており、この点は称賛に値するものです。

私がまだ大学の研究室に在籍していた1980年ころのことです。同僚の一人が突然、高熱を発し、急性腎不全の状態になりました。その後、複数のスタッフが同じ症状を呈し大騒ぎとなったのですが、全国の研究施設でも同様の事例が多発していることがわかり、死者も出ていました。原因は、海外から輸入したラットなど実験動物の体内に生息するウイルスでした。鳥インフルエンザもそうですが、ウイルスの脅威は身近にあります。

次回の第2回は、人々を狂わせた「ワクチン神話」が生まれたターニングポイントを考えます。

【参考文献】
1) Holmes E, Novel 2019 coronavirus genome. https://virological.org/t/novel-2019-coronavirus-genome/319, Jan 10, 2020.
2) Wu F, et al., A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature, Feb 3, 2020.
3) Pinghui Z, Chinese laboratory that first shared coronavirus genome with world orderd to close for 'rectification', hindering its Covid-19 research. South China Morning Post, Feb 28, 2020.
4) Sun Z, et al., Potential factors influencing repeated SARS outbreaks in China. Int J Environ Res Public Health, Mar 3, 2020.
5) Andersen KG, et al., The proximal origin of SARS-CoV-2. Nature Med, Mar 17, 2020.
6) Lam T T-Y, et al., Identifying SARS-CoV-2-related coronaviruses in Malayan pangolins. Nature, Mar 26, 2020.
7) Zhang Y-Z, et al., A genomic perspective on the origin and emergence of SARS-CoV-2. Cell, Apr 16, 2020.
8) Markson S, The Covid files: how the red army oversaw coronavirus reesearch. The Daily Telegraph, May 11, 2020
9) Zimmer C, New Research points to Wuhan market as pandemic origin. New York Times, Feb 27, 2022.
10) Zimmer C, 'He goes where the fire is': a virus hunter in the Wuhan market. New York Times, Mar 21, 2022.



(2022.4.4)
NEW!
―第2回― 人々を狂わせたワクチン神話
<パート1> 製薬企業の事情
 ドイツのベンチャー企業ビオンテック社は、以前からファイザー社と共同で、インフルエンザなどのワクチン開発を新技術のmRNA法で取り組んでいました。その会社を経営する二人の技術者(夫婦)は、パンデミックが明らかになった2020年3月1日、ファイザー社の取締役に「コロナワクチンを一緒にやらないか」と持ちかけます。

オファーを受けた取締役は、獣医の資格をもち家畜用の医薬品開発を担当していた人ですが、同時に9万人の社員の生活を守る責任も負っていたことから、一瞬のためらいを感じました。いまだ誰も実用化に成功していない技術だったからです。しかし決断は早く、ビオンテック社と利益を折半するという条件で、臨床試験や販売戦略を担当することに合意しました。

早速、社用ジェットをドイツに飛ばしてmRNAワクチンのサンプルを受け取ったファイザー社スタッフは、ニューヨーク州にある同社の研究所に持ち込み、動物実験に取りかかりました。

モデルナ社のほうも、すでにmRNAワクチンの研究を進めていたことから、早くも2020年1月13日に開発に着手し、2日後には最初のサンプルが出来上がっていた、と報じられています。ウイルスの遺伝子配列をコンピュータに入力さえすれば、どんなワクチンもつくれる準備ができていたからです。

<パート2> 大統領と米軍の関与
米国食品医薬品局(FDA)ワクチン部門の責任者は、感染者が急増する中、一刻も猶予がならない事態と考え、国が資金を出し、軍が指揮を執る形で製薬企業にワクチンを作らせるという計画を考え出しました。その名はオペレーション・ワープ・スピード(光速ワープ作戦)、人気テレビドラマに出てくる言葉です。

2020年3月2日、当時のトランプ大統領は、主だった製薬企業のトップを集め、「今年の10月までに完成させるように」と指示を出しました。その年の11月には自らの再選がかかる大統領選挙を控えていたからでした。

同年5月、トランプ大統領は、オペレーション・ワープ・スピードの発足を、メディアに向けて声高らかに宣言しました。実務者の会合は、官民一体というよりも官僚と軍人が一体になったもので、FDAトップと製薬企業の担当者、それに統計学の専門家、予算担当者などが招集されました。

会合は、毎朝8時きっかりに始まっていました。米軍が得意とする「4日間リズム戦略」、つまり4日ごとにやり方を変えていくという方式(意味不明)が取られ、「少佐」と称する軍人が指示を出していました。ある参加者は、軍人の名も知らされず、「まるで軍隊で秘密作戦に従事しているようだった」と、のちに語っています。

当初、ファイザー社の計画では、ワクチン群とプラセボ群を合わせて32人のコロナ感染者が確認された時点で臨床試験をいったん終わり、まとめをすることになっていました。しかし、会合の席上、感染者数をもっと増やす必要があるとの指摘がなされました。また対象者全体の人数も少なく、黒人などマイノリティをもっと加えるようにとの指示も出されました。

同社は、この指示に従って、臨床試験の途中で計画を変更してしまいます。

<パート3> 永遠の謎
 大統領選が終わった5日後、ファイザー社の取締役は、役員会の席で臨床試験の統計担当者からのリモート報告を待っていました。「やりました! 感染者が94人いて、そのうち90人はプラセボ群からでした」。英語で90と19は発音が似ています。「いま19って言った? それとも90?」と、取締役が聞き返したほどでした。彼らはソーシャルディスタンスも忘れ、互いに抱き合って喜びを分かち合いました。

この結果は、直ちにバイデン新政権発足チームに報告されました。あと回しにされ怒り狂ったのは、政権末期のトランプでした。

さかのぼること数か月前、オペレーション・ワープ・スピードによって、政府は、ワクチンが完成したらファイザー社から1億回分を1,900億円(1ドル100円換算)で買い上げるという契約を結んでいます。開発に失敗した場合、経費がどうなるのかは明らかにされていません。一方、モデルナ社のほうは、買い取りではなく、原材料の調達や工場の拡張費用として2,500億ドルを国から受け取るという契約をしています。

トランプ前大統領が業績を焦るあまり、「ワクチン」という甘い言葉に自ら酔い、製薬企業に脅しをかけるような手段で開発を急がせた、というのが、そもそも神話が醸成される素地となったのでしょう。

その年の暮れに発表された臨床試験の報告論文で「有効率95パーセント」が報じられたわけですが、この数字に意図的な操作がなされていたのは、当ホームページで繰り返し指摘してきたとおりです※1。報告を受けた製薬企業の重役たちが歓声を上げた、という話がもし本当であれば、彼ら自身もデータの操作を知らなかったことになります。一方、これらは当事者しか知らない話ですから、作り話であった可能性も否定できないわけです。

もし製薬企業の役員たちが本当に知らなかったのだとすれば、裏で誰かがデータの操作をしていたことになります。トランプが何を指示したのか? 名も明かさない軍人が一連の計画で何をしていたのか? 臨床試験がスタートしていたにもかかわらず、途中で都合よく計画を変更するという「禁じ手」を打ってしまったことを、製薬企業はどう釈明するのか? そして、その道のプロたる製薬企業の役員たちが、出来過ぎのデータを見て何も疑問を感じなかったのか?・・・など、多くの謎が残ります。

<パート4> まとめ
 「有効率95パーセント」・・・このマジックワードが、専門家・医師たちを狂わせた「ワクチン神話」の始まりでした。

かりに製薬企業の発表したデータにねつ造がなかったとしても、この数字にはトリックが仕組まれているのも、知っておく必要があります。この数字をどのように理解しましたか? 「100人のうち95人でワクチンは有効だ」と思ったのではありませんか?

論文には、計算前の調査データは以下のようであったと記載されていました。
 ワクチン群18,198人, うち感染したのは 8人
 プラセボ群18,325人, うち感染したのは162人

プラセボ群とは、ワクチンの代わりに食塩水を打った人たちのことです。この数字を全部つかって、有効率を計算し直してみます。
 ワクチン群の感染率: 8/18198×100≒0.04(%)
 プラセボ群の感染率:162/18325×100≒0.88(%)

引き算をすると、0.84パーセントとなります。つまり「ワクチンを接種したら100人当たり1人弱の感染が予防できた」ということです。残りの99人以上は、ワクチンを打っても感染するか、あるいは感染リスクがないにもかかわらずワクチンを打って、副作用で損をするだけかもしれない、ということなのです。

一方、論文で強調された有効率95パーセントは、(1.0 - 8/162)×100と計算したものです。公認の算出法のひとつではありますが、製薬企業の宣伝に悪用されてきたという歴史があります。公表される情報には、巧妙な罠が十重二十重に仕組まれています。

次回の第3回は、「メディアのプロパガンダ」です。

【参考文献】
1) "What is Operation Warp Speed?", NIAID, Jul 1, 2020.
2) Weise E, US cuts $1.95 billion deal with Pfeizer for 100 million doses of COVID-19 vaccine. USA TODAY, Jul 22,2020.
3) LaFraniere S, et al., Politics, science and the remarkable race for a coronavirus vaccine. New York Times, Nov 30, 2020.
4) Kollewe J, From Pfeizer to Moderna: who's making billions from Covid-19 vaccines? Guardian, Mar 6, 2021.
5) Tinari S, The EMA covid-19 data leak, and what it tells us about mRNA instability. BMJ, Mar 10, 2021.

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※1
・Q10 ワクチンは本当に効いているのか?⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2173
・ファイザー社論文>治験データ画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/effect.jpg
・「有効率」の本当の意味とは⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2435



(2022.4.11)
NEW!
―第3回― メディアのプロパガンダ?
<パート1> 週刊誌、新聞、そしてテレビ
 「プロパガンダ」という言葉をよく聞くようになりました。広辞苑によれば、「特定の思想によって個人や集団に影響を与え、その行動を意図した方向に仕向けようとする宣伝活動」のことです。コロナワクチンに関するメディアの一方的な報道も、プロパガンダではないか、という疑問について今回は検証します。

2021年の初め、日本国内でもワクチン接種が始まろうとしていたころのことです。いくつかの週刊誌から意見を求められました。そのひとつは、誰でも知っている有名な週刊誌で、私のコメントは「試験期間があまりに短く、どんな副作用があるのかわかっていない」、「だから私は受けない」という主旨のものでした。

ところが、発売された週刊誌の見出しが「医師が打ちたくないわけ」という主旨のものだったことから、同記事内で技術解説を行った別の研究者から編集部あてに「自分はそんな発言をしていない」とクレームが寄せられ、また同誌に連載中の某作家が出版社に抗議文を送る、というゴタゴタに発展しました。同社は、「読者の誤解を招く恐れがあった」との理由で、ネット上のデジタル版を丸ごと削除してしまいました。

同じような出来事がもうひとつ。別の有名週刊誌から意見を求められたときのことです。ワクチンを推進する立場の識者と、副作用を懸念する私のコメントがいっしょに掲載されたのですが、発売直後、前者(推進派識者)から編集部に対し、後者(岡田)のコメントは間違っている、とのクレームがあったのです。編集部は、同記事のデジタル版を掲載する際、私のコメントだけを削除という処置をとりました。

ネット上では、この記事を読んだ読者から「ワクチンを否定するような記事を載せたのは許せない」との書き込みが相次ぎました。いわゆる炎上です。出版社に直接、抗議の声を寄せる人たちも多かったようです。

その前後、いくつかの新聞が私のコメントを記事にしてくれたのですが、しばらくして、それぞれの担当記者からメールが届き、「会社を辞めることになった」、「社内で配置転換させられた」との知らせでした。

しばらくして、ワクチンの副作用としての「心筋炎」が世間で話題になり始めたころ、NHKの記者から電話があり、コメントを求められました。解説めいたことを縷々述べたあと、「心筋炎は、無数にある副作用のひとつでしかない。頻度が少ないとの報道で終わりにしないでほしい」とつけ加えました。しばらくして、NHKニュースで「心筋炎はきわめて稀なので、ワクチンを控える理由にならない」と報じていました。

<パート2> 自己規制
 拙著『本当に大丈夫か、新型ワクチン:明かされるコロナワクチンの真実』の中で、対談相手となってくださった、科学ジャーナリストの倉澤治雄氏の言葉をここで引用します。テレビ局に役員として勤務したご経験のある方で、局内の実情について以下のように述べておられます。「日々、ワイドショーやニュースを作っている記者に、科学や医療の専門知識はありません。つまりテレビ局の記者に期待するのは最初から無理なんです」。

テレビ局には、ワクチン報道に関して政治的圧力があったりするのかという私の問いに、氏は「少なくとも、民放ではありえない」と断言しておられました。つまりNHKなら、ありそうだということです。

真実を伝えるというジャーナリズムの役割を、メディアが果たしていないのはあきらかです。しかし、その背景は意外と単純なのかもしれません。新聞社や出版社、あるいはテレビ局では、政治の圧力を受けているわけではなく、社員一人一人がワクチン神話を信じて疑わない、という異常事態に陥っているだけなのです。

ワクチン批判をテーマとして取り上げても、読者や視聴者からクレームが殺到するため、どのメディアも保身のために自己規制せざるをえなくなっている、という状況もあります。テレビのバラエティ番組では、出演者に批判的な発言は許さず、意識的にワクチン接種を勧める発言を促しているようにも見えます。あたかも視聴者に媚びを売っているかのようです。

<パート3> まとめ
 以上が、私自身の実体験を中心にまとめたメディアの裏事情です。メディアを巡る議論では、エビデンスと呼べるような客観的データが存在しないため、このような論考になってしまうことをお許しいただきます。

10年ほど前の出来事です。イタリアのある地方で弱い地震が頻発していました。6名の地震学者が「大きな地震にはならない」と予測し、テレビで安全宣言をしたのですが、その6日後、大地震が同地方を襲い、宣言を信じて逃げ遅れた300人余りが犠牲となりました。6人の科学者は過失致死罪で告発され、裁判で禁固刑の判決を受けてしまいます。のちに無罪にはなるのですが、科学者と政治との関わりについて大きな議論が巻き起こったのは言うまでもありません。しかし、簡単に答えが出る問題でもありませんでした。

一連のワクチン報道に重大な偏りがあるのはあきらかですが、日本国内に限って言えば、誰かが特定の意図をもって仕組んだことではないため、プロパガンダとも言えません。責任の所在を追及しても、意味はないでしょう。そのメカニズムを考えるとき、過去の戦争責任や現代のウクライナで起こっている悲劇など、どれとも共通点がないことに気づきます。専門家や政治家も含む大多数の国民が洗脳され、群集心理に陥ってしまったという、有史以来、前代未聞の事態がいま進行しているのです。

時が流れ、現代人よりも賢くなっているであろう後世の人たちが、この「コロナワクチン狂騒」をどのように読み解いてくれるか、聞いてみたい気がします。

次回の第4回は、「法律家の出番」です。



(2022.4.18)
NEW!
―第4回― そろそろ法律家の出番!
<パート1> 海外の事情
 今回は、ワクチンによる健康被害をどのように解決していけばよいのか考えます。行き詰った感のある現状を打破するには、最後の手段として裁判を起こすしかなさそうです。

まず米国での現状を見ておきましょう。 米国オハイオ州では、ある小児病院の従業員66人が接種を拒否して解雇され、集団訴訟を起こす準備を始めています。訴えは、「いかなる理由も認めず強要したのは、表現や宗教の自由を定めた米国憲法に反する」というものでした。

彼らの弁護人は、「解雇された従業員の復職と未払い分賃金の弁済を要求する」としています。一方の病院側は、「従業員のワクチン接種は、入院している子供たちの健康を守る最良の手段だ」と主張して譲りません。この騒動に対し、ある大学の教授は「雇用主は従業員に対し、検査を受けたりワクチンを打ったりすることを、雇用の条件とすることができる。また国が接種を勧めている以上、裁判は難航するだろう」とコメントしています。

ほかにも、米国の保険会社の従業員250人が同じ理由で解雇され、うち185人が集団訴訟を起こすなど、同様の動きが広がりをみせています。一方、私あてのメールで多いのは、解雇されたというよりは、「接種を迫られて自ら退職せざるをえなかった」、「接種を受けないと大学などで実習をさせてもらえない」、「強制されて仕方なく接種を受けたが、その後、体調が悪い」などというものです。

<パート2> 日本での裁判は?
 日本で裁判を起こすとすれば、その目的は大きく2つに大別できそうです。ひとつは、ワクチンの副作用によって死亡したり、重大な健康被害を被ったことに対する賠償の請求ですが、副作用の説明をしなかった国家責任を問うてもよいのかもしれません。もうひとつは職場や学校で接種を強制され、著しく権利を損ねられたことに対する地位の保全です。

私あてに届いたお便りの中に、「家族が健康被害を受けたため、救済を申請する証拠書類を役所に提出したところ、手続きに1年以上かかると言われた」というものがありました。こんな現状を打開するには、集団で訴訟を起こしてメディアで話題にしてもらうなど何らかの舞台設定が必要でしょう。もちろん、因果関係を証明する医学データの確保は必須条件です。

2022年3月12日付けでネット上に、ある重要な記事が写真とともに公開されました。以下は、ネット上に発表された顕微鏡写真を私がイラスト(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/spikeprotein.jpg )にしたものです。

図中、中央の丸い構造物が血管の断面です。茶色の部分が、血管の内皮細胞に残る無数の「トゲトゲ蛋白」の塊りを特殊な方法で染めたものです。青い点々は細胞の核です。その記事には、心臓の筋肉細胞などの顕微鏡写真も一緒に掲載されていて、トゲトゲ蛋白によって激しい炎症が起こっている様子が見事に映像化されています(参考文献4[URL⇒ https://www.transcend.org/tms/2022/03/covid-vaccine-injuries-the-german-pathologists-findings/ ] で実際の写真を見ることができる)。

この検査は「免疫組織染色法」といい、コロナワクチンが深刻な副作用を起こした「決定的な証拠」となるものです。病理医がいる病院であれば、どこでも簡単にできます(すべての検査材料はネットで購入できる)。ただし現状では、どの病院の医師も「コロナワクチンで重大な副作用は起こらない」と決め込んでいるため、患者の立場で要求しても拒否されてしまうに違いありません。

そこで、たとえばバイオプシー検査を受けた人は、まず弁護士に相談し、検査材料(サンプル)について「証拠保全申し立て」を行うことです。バイオプシーは、腎臓などに針を刺し、細胞の一部を取って顕微鏡で調べる検査ですが、採取したサンプルは「ホルマリン固定」という方法で処理すると長期保存が可能になります。亡くなった場合に行われる病理解剖についても同じことが言えます。

<パート3> 職場の圧力
 日本では、法律で「接種を受けるよう努めなければならない」とされているのですが、これを補足する形で「接種していない者に対して、差別、いじめ、職場や学校等における不利益な扱いは許されない」との決議も国会でなされています。したがって、職場や学校での強制は、表向き、国の方針に反し、また国民の「健康権」を定めた憲法にも反することになります。

しかし簡単にはいかないでしょう。たとえば居酒屋チェーンの経営者がワクチンの効果を信じ切っていて、「お客様の安全を守るためのやむを得ない判断だった」と主張したとします。当然、裁判官も人の子であり、ワクチンの効果を信じ切っているでしょうから、被告に同調してしまいそうです。

したがって、この目的で裁判を起こす場合も、「ワクチンの効果は限定的であること」、「パンデミックを抑える効果はないこと」、「副作用が深刻であること」を原告側が証明し、主張しなければならないのです。

<パート4> まとめ
 弁護士の多くもワクチンの効果を信じ切っているため、このような訴訟を引き受けてくれる人を探すのが、まず大変です。私に寄せられる情報の中に、「ある地方の弁護士グループが立ち上がったようだ」というのも、ときどきあるのですが、実際に裁判が始まったという話はまだ聞こえてきません。

単なる「お悩み相談」では、問題は解決しません。日本弁護士連合会は「新型コロナウイルスワクチン接種に関する提言書」を発表していますが、提言だけで世の中が変わることもありません。「行動する弁護士の先生方」が、早く名乗りを上げてくれるよう願うばかりです。

(なお、顕微鏡写真を報じた記事はまだ正式な論文になっておらず、また私が転載許諾を求めるメールをドイツの発表者に送っても返信がありませんでした。真偽に関して疑問もありますが、検査の方法は正当なものです)

次回の第5回は「新しいワクチンと治療薬は期待できるか?」です。

【参考文献】
1) Davis K, Six employees and one student of Southern California community college allege civil rights violations. San Diego Union-Tribune, Apr 9, 2022
2) Jarvis J, Class-action lawsuit filed against Akron Children's Hospital over vaccine mandate firings. News 5 Cleveland, Apr 1, 2022.
3) Spencer D, et al., Fired Blue Cross workers who refused COVID-19 vaccine mandate may file lawsuit. Fox 2 Detroit, Jan 25, 2022.
4) Covid vaccine injuries: the German pathologists' findings. Swiss Policy reaserch, Mar 12, 2022.⇒ https://www.transcend.org/tms/2022/03/covid-vaccine-injuries-the-german-pathologists-findings/

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4) Covid vaccine injuries: the German pathologists' findings. Swiss Policy reaserch, Mar 12, 2022.⇒ https://www.transcend.org/tms/2022/03/covid-vaccine-injuries-the-german-pathologists-findings/
Covidワクチン傷害:ドイツの病理学者の発見
COVIDに関する議論 - ワクチン、14 Mar 2022.
https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3089



(2022.4.25)
NEW!
―第5回― 新しいワクチンや治療薬は期待できるか?
<パート1> 海外の事情
 「最初の49週、米国では感染者が28,816人に達していた。翌年の同じ時期、感染者数はおよそ半減したが、この年、ワクチンの集団接種が始まっていた。同年、英国では、ワクチン接種はほとんど進んでいなかったが、それにもかかわらず感染者数が前年に比べ、やはり大きく減少していた。この減少が、果たしてワクチンの恩恵だったのか、それとも自然の増減だったのか、判断は困難」

この文章、実は、いまから65年ほど前、ポリオ(小児麻痺)が世界的に大流行していたころの記録です。

インフルエンザ・ワクチンの歴史も見ておきましょう。医薬品の信頼性を確認できる唯一の科学的方法が「ランダム化比較試験」であることは、当ホームページで繰り返し述べてきたとおりです。しかしインフルエンザ・ワクチンに関して、そのような調査は日本で一度も行われたことがありません。「ワクチンだから」効果があるに決まってる、という思い込みだけで接種が続けられてきたのです。

さすがに海外では、不十分ながらも調査データがあり、それらを集めて再評価をした、という研究発表が最近ありました。結論は、接種すれば感染を半分くらいに減らせる(かもしれない)ということと、重症化を防ぐ効果はいっさいないというものでした。日本で集団接種が始まってすでに60余年、今さら言われても・・・、という話なのです。

ランダム化比較試験は、ボランティアを偏りなく2群に分け、一方に本物の医薬品を、他方にプラセボ(偽薬)を割り当てて、追跡するという調査法です。誰がどちらの群に割り当てられたかは、本人にも、また医師にも内緒にし、コンピュータだけが知っているという状態で行われます。この一見、明快な調査法も、誤りの入り込む隙が無数にあり、それだけ製薬企業による隠ぺい、ねつ造の温床ともなってきました。

<パート2> 裏切られた新薬
 インフルエンザの特効薬として有名なタミフルはどうでしょうか? 米国の当局が認可したのがおよそ20年前。私もこの薬をしばしば処方してきましたが、患者さんからは「お陰様で、あのあとすぐ熱が下がりました。よく効く薬ですね!」という言葉が返ってきます。権威あるWHOやCDCも推薦していて、世界中で使われている薬です。

数年前、イタリア、オーストラリア、米国、それに英国の共同研究チームが、タミフルの試験結果を報じた論文をすべて集め、総合評価を下したという研究発表をしました。なんとかランダム化比較試験らしきものが世界中で83件行われていましたが、まともなものは23件しかなく、分析結果も、がっかりするものでした。つまり、「インフルエンザに感染すると7日間ほど発熱などの症状が続くが、タミフルを服用すると、それが6.3日に短縮される」というもので、重症化を防ぐ効果も、まったく認められませんでした。

「薬を飲んだらすぐ熱が下がった」という人は、薬を飲まなくても治る時期だったのです。WHOもCDCも、そして専門家の言うことも、あてにはなりません。

<パート3> コロナワクチンの宿命
 インフルエンザなどのワクチンは、その製造法から「不活化・・・」とも呼ばれます。文字通り、ウイルスをバラバラにして、病原菌としての活性をなくしたものという意味です。しかしコロナウイルスには、他のウイルスと決定的に異なる点があります。コロナのトゲトゲ蛋白自体が強い毒性を持っていて、致命的な副作用の元凶になっているということです。不活化してもそのまま残るため、リスクは同じなのです。

<パート4> まとめ
 感染症に限らず、どの新薬も、発売当初は製薬企業の巧みな宣伝戦略に医師が踊らされ、ヒット商品のようにもてはやされます。その後、10年以上の歳月をかけた再評価(市販後調査)がなされるようになると、最初はだれも気づかなかった副作用が浮き彫りになってきます。これは、高血圧、糖尿病、高脂血症など、あらゆる病気の治療薬で一般的に認められる事象です。

医薬品は、体内の特定の細胞、特定の部位(作用点と呼ばれる)に結びつくことによって効果が発揮されるよう設計されています。しかし、人間の体は複雑ですから、ほかにも作用点がたくさんあって、予期せぬ反応が出ることになります。これが、短い時間では見つけることができない「副作用」なのです。

これまでお寄せいただいたお便りの中で多かったのは、「試験期間があまりに短く、安心できないと思った」というご意見でした。世の中には、そう思った人と、思わなかった人がいたことになります。

いまのところ、新型コロナのワクチンや治療薬で、安心して使えるものは、ただのひとつもありません。コロナの時代も、そろそろ終わりに近づいていますので、いまさら新薬に飛びつき、副作用の被害だけが残ったという愚は避けたいものです。

次回の第6回は、「新型コロナはこれからどうなる?」です。

【参考文献】
1) Rutstein DD, How good is the polio vaccine? The Atlantic, Feb, 1957.
2) Montedori A, et al., Modified versus standard intention-to-teat reporting: are there differences in methodological quality, sponsorship, and findings in randomized trials? A cross-sectional study. Trials, 12: 58, 2011.
3) Hammond J, et al., Oral nirmatrelvir for high-risk, nonhospitalized adults with Covid-19. N Engl J Med, Apr 14, 2022.
4) Demicheli V, et al., Vaccines for preventing influenza in healthy adults (Review). Cochrane Database Syst Rev, Feb, 2018.
5) Jefferson T, et al., Oseltamivir for influenza in adults and children: systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments. BMJ, Apr 9, 2014.

****************************************************************************************************
Covidワクチン有害事象⇒元記事 https://swprs.org/covid-vaccine-adverse-events/
重篤な新型コロナウイルスワクチン有害事象の概要https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3123
   
      

(2022.5.2)
NEW!
―第6回― 新型コロナはこれからどうなる?
<パート1> 過去に流行したウイルスからわかること
 今から100年ほど前のこと、「スペイン風邪」と呼ばれる恐ろしい伝染病が大流行しました。肺炎などで死亡した人が多く、致命率10パーセント以上。世界で5千万人が命を落としたとされています。現代の人口に換算すれば1.8億人です。発生源は、スペインでなく中国との説が有力です。そのウイルスは3年後、消滅しました。

記憶に新しいのは、今から20年ほど前に流行したSARS(サーズ)です。重い肺炎を起こし、致命率がやはり10パーセントと報じられ、世界中がパニックに。原因は中国で発生したウイルスで、幸い、日本に上陸することなく、1年半ほどで終息しました。日本が流行から免れた理由は、海外からの入国者がまだ圧倒的に少ない時代だったからです。

いわゆる「普通のカゼ」は、その約3割がOC43という名のコロナウイルスによるものです。複数の研究者が、「このウイルスは130年前に世界的に大流行し、徐々に弱毒化しながら、今まで残ってきたもの」と報告しています。

<パート2> インフルエンザはなぜ季節性なのか?
 毎年、冬になるとインフルエンザが流行りますが、なぜ夏にはないのでしょうか? 米国で行われた動物実験で、インフルエンザのウイルスは、高温・多湿の環境におかれると、分裂する頻度と感染する能力が極端に低下することがわかりました。

そのため、北半球が夏になると、高温・多湿の環境におかれたウイルスは、ほとんど死滅してしまいます。その間、季節が逆の南半球では、ウイルスが元気いっぱい増殖し、人から人へと感染を繰り返します。やがて、そこも夏になると、ウイルスは死滅します。

では季節が夏から冬に変わったとき、インフルンザ・ウイルスはどこから来るのか? 答えは簡単です。北半球と南半球を行ったり来たりする旅行者が持ち込んでくるのです。スペイン風邪が大流行した当時は第一世界大戦の真っただ中で、兵隊がウイルスをばらまいていました。新型コロナには、そんな「季節性」がなく、夏にもかかる「普通のカゼ」と似ています。

<パート3> ウイルスはどう変身していくのか?
 ウイルスが分身を作る際、複製された遺伝コードに、たまたま「コピーミス」が生じることがあります。そのコピーミスによって作られたウイルスの分身では、たとえばトゲトゲ蛋白の形が少し違ったものになるかもしれません。

ほとんどのコピーミスは、些細なものですから、ウイルスにとっても、また感染した人間にとっても影響はありません。しかし、軽微なミスも、少しずつ溜まっていくうち、増殖する能力や病原性に強い影響を与えるものも出てきそうです。

ウイルスの立場になって考えてみましょう。コピーミスによって、もし病原性がすごく強くなったとすると、感染した人間は、すぐ重症になり、死亡するか、病院に隔離されてしまい、伝染を広げていくチャンスを失います。一方、伝染する力が高まれば、あっという間に多くの人間に移っていくことができますから、仲間を増やすチャンスです。

<パート4> まとめ
 専門家がよく口にするのは、「感染者が増えると地域全体で免疫力が高まり、流行は収束する」という説です。いわゆる集団免疫です。米国でわかりやすい実験が行われました。15人の健康なボランティアに風邪のコロナウイルスを感染させ、1年後に再び同じことをしました。その結果、1年後も、やはり全員が発熱などの症状を示したということです。一度の感染で免疫がついても、短期間で効力が切れてしまい、感染は繰り返すのです。

では、なぜスペイン風邪やSARSは終息したのでしょうか?

多くの研究者が指摘するのは、やはり感染予防に対する人々の理解が深まったから、ということです。「マスク着用」、「手洗い励行」、「ソーシャルディスタンシング」という3つのフレーズは、実は100年前に作られたものです。加えて、時を経るごとにウイルスの病原性が弱まり、感染力は高まっていくという、自然の摂理も働らいたでしょう。この摂理が働くのは、大流行によってウイルスの分裂が激しく繰り返された場合に限ります。

ただし、反論もあります。「エボラ、ジカ、肝炎などのウイルスは、弱毒化せずに残り続けている」という反論です。エボラの場合、感染する人が圧倒的に少ないため、自然の摂理が働きません。ジカ熱は、何年か前に南米で大流行した感染症で、蚊がウイルスを媒介します。したがって、蚊を退治できたかどうかの問題でしかありません。肝炎ウイルスは、感染力が弱いことに加え、人間の体内にずっと残る性質があるため、そのまま変わることなく社会に居座ってしまったのです。

新型コロナウイルスは、「しだいに弱毒化して落ち着いたあと、やがて普通の風邪ウイルスとして残っていく」というのが最新エビデンスに基づく考察の結論です。

次回の第7回は、「誤った統計学が世界を狂わせた?」です。

【参考文献】
1) Holmes B, Why SARS disappeared in 2003 while the coronavirus keeps on spreading. Genetic Literacy Project, Aug 17, 2020.
2) Zelazko A, How long did the flue pandemic of 1918 last? Britannica, Mar 14, 2020.
3) Bamford C, The original Sars disappeared – here’s why coronavirus won’t do the same. The Conversation, Jun 5, 2020.
4) Spanish flu: the deadliest pandemic in history. All About History, Mar 13, 2020.
5) Flu virus trots globe during off season, mixes with other viral strains. ScienceDaily, Sep 21, 2007.
6) The reason for the season: why flu strikes in winter. Harvard University The Graduate School of Arts and Sciences, Blog, Dec 1, 2014.



(2022.5.9)
NEW!
―第7回― 専門家がだまされた統計学とは
<パート1> 専門家たちの言い分
 専門家と称する人たちによるワクチンの説明が、突然、変わりました。テレビを見ていてお気づきだったでしょうか? 「ワクチンは感染を予防するものでなく、重症化を防ぐ効果があるので、受けてほしい」と。ワクチンは感染予防のためだったはずなのですが、いつの間に・・・?

この話が本当なのか検証してみましょう。何事も比べてみなければわからないものです。たとえばファイザー社が新型ワクチンを当局に申請するために行った調査は、ワクチン群をプラセボ群と比べるという(形だけは)正当なものでした。しかし数々の不正操作が行われていたのは、すでに紹介したとおりで、しかも、このスタイルの調査はその後いっさい行われていません。

<パート2> 根拠とされるデータの疑義
 「ワクチンは重症化を防ぐ」との主張の根拠になっているのは、アラビア半島のカタールで行われた調査のデータです。対象はすべてPCR検査を受けに来た人たちで、陽性と判定された人のうち「ワクチン接種を2回受けていた人」の割合を調べたものでした。

問題は、比べた相手が公平なものだったか、どうかです。年齢や性別はもちろん、持病、服薬、検査データ、食習慣、運動習慣、職業、居住地、さらには学歴など、ありとあらゆる情報を調べ、完全にそろえたグループを準備して比べなければ、ワクチンの効果だったのか、あるいは単に体質や環境による違いだったのか、区別することができません。カタールで行われたこの調査では、PCR検査で感染なしと判定された人たちが比べた相手でした。

次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/testnegative.jpg )は、重症化した人たち感染なしの人たちの接種率の違いから「ワクチンの有効率」を計算し、経時的に並べたものです。感染予防に対する有効率(青色のグラフ)は、4ヵ月目あたりから急速に低下していますが、重症化を防ぐ有効率(ピンクのグラフ)は半年くらいまで続いているように見えます。

<パート3> ウソを見抜く
 論文には、「検査を受けに来た人たち」という共通項があるため、両群は似た者同士であり、比べることに問題はない、と書いてあります。読者からの批判を予め想定した言い訳ですが、専門家と称する人たちは、このひと言に騙されてしまいました。

この説明が誤っているのは明らかです。検査で陰性だった人たちは、たとえば普段からマスクをきちんと着け、会食も控えるなど慎重派だったかもしれません。だからこそ感染せず、だからこそワクチン接種も早々に済ませていただけ、なのではないでしょうか。比べ方が公平でなければ、接種率の違いは無意味となり、有効率も間違ったものになります。

この論文には、もうひとつ重大な問題があります。性別、年齢、人種、検査を受けた動機、それに検査を受けた日の5項目だけ調べ、それらが両群でそろうよう月ごとに人数を加減していたのです。そのため、論文の記述が非常にわかりにくく、専門家が読んでも正しく理解できなかったのではないかと想像されます。

このような操作は、間違いとまで言えないものの、これまで論文不正の温床となってきました。私が行なったコンピュータ実験によれば、患者データを一人分、「なかったことにする」だけで、差がないはずのデータも「両群で統計学的に明らかな差を認めた」という話にすり替えてしまうことができます。

<パート4> まとめ
 この方法は、test-negative(検査陰性)デザインと呼ばれ、最近の流行となっています。コンピュータ上のデータを集計するだけで済むため、予算も人手もかかりません。研究者にとって業績を上げる格好のテーマであり、製薬企業にとっては、自社製品を思い通りに宣伝できる便利な手段になっています。

「ワクチンは重症化を防ぐ」との説明は間違っています。専門家をも騙してしまったこの統計学は、今後もワクチンを宣伝するための道具として使われていくものと思います。くれぐれも騙されることのないようお願いします。

次回の第8回は、「総括:コロナ社会のこれからを考える」です。

【参考文献】
1) Thomas SL, et al., Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine through 6 months. N Engl J Med, Sep 15, 2021.
2) Goldberg Y, et al., Waning immunity after the BNT162b2 vaccine in Israel. N Engl J Med, Oct 27, 2021.
3) Mizrahi B, et al., Correlation of SARS-CoV-2-breakthough infections to time-from-vaccine. Nature Commun, Nov 4, 2021.
4) Chemaitelly H, et al., Waning of BNT162b2 protection against SARS-CoV-2 infection in Qatar. N Engl J Med, Dec 9, 2021.
5) Accosi E, et al., Association between 3 doses of mRNA COVID-19 vaccine and symptomatic infection caused by the SARS-CoV-2 omicron and delta variants. JAMA, Jan 21, 2022.
   
 

(2022.5.16)
NEW!
―第8回― コロナ社会のこれからを考える
<パート1> ワクチンの総括
 新型コロナのワクチンが、どれくらい有効で、どれくらい危険なのか、改めてエビデンスをまとめておきましょう。信頼できるデータから断言できるのは、(1) 高齢者はほとんど免疫がつかない、(2) 50歳以下では抗体ができるが、2ヵ月で効果が半減する(感染率が2倍になる)、(3) 接種しても感染する、(4) 重症化は防げない、の4点です。

副作用の実態は不明ですが、論文として報告されているだけでも、以下のようなものがあります。
・血小板減少症(脳出血、性器出血、皮下出血、歯肉出血など)(倍率不明)
・心筋炎、心外膜炎、心不全(3.24倍)
・腎炎(倍率不明)
・多形滲出性紅斑(もっとも多いが倍率は不明)
・劇症型心筋炎(致命的、倍率不明)
・細菌感染症(蜂窩織炎、腎盂腎炎、肺炎など)(倍率不明)

他にも、眼疾患(強膜炎、網膜など)、虫垂炎(1.40倍)、帯状疱疹(1.43倍)など多数あり、全部合わせると、とても無視はできない数です。登録システムが日本にはなかったため、副作用で亡くなった方の人数は不明です。このことが国家としてはもっとも反省すべき点であり、国民にとっては最大の不幸でした。

<パート2> これからも、なすべきこと
 日本は、亡くなった人の数が人口当たりに換算して世界でもっとも少なく(統計が発表されている国に限る)、米国の12分の1以下です。日本人に感染が少なかった理由として、「遺伝子が違う」、「かつてコロナの大流行があった」、「結核予防のBCGを受けていた」などが識者によって語られていますが、それらを証明するエビデンスはありません。

最大の要因は、日本人の生真面目さなのでしょう。挨拶代わりにハグやキス、握手などをする習慣がないことも、感染の爆発的な流行を抑えてきた要因のひとつです。エイズの流行を予測したシミューション研究によれば、日本人は「一人当たりの性的交際相手」が圧倒的に少なく、拡大を防いだ最大要因になっていたそうで、この点も見逃せません。

着目すべきは、「ワクチン接種率の高い国ほど、感染する人が多い」というデータがあることです。なぜかと言えば、個人のレベルでは心の油断が生まれるからであり、国家のレベルでは「ワクチンパスポート」に象徴されるように、愚かな緩和策がとられてしまうからです。

やはり基本はマスクなのです。人口密集地にある我が家では、吸気口のフィルタが、いくら取り換えても1か月後には真っ黒になってしまいます。そんな地に住む私は、ウイルスばかりでなく、大気汚染から身を守るためにも昔から外出時にマスクを使ってきました。

<パート3> これから止めるべきこと
 大自然も、また人間の体も、悠久の時を経て最良のバランスを獲得し、現在に至っています。過去、人類が学んできたのは、人間の浅知恵で大自然や人体に手を加えると、必ず状況が悪化してしまうということです。コロナワクチンこそ、その典型で、ウイルスはそれに抗するよう変異を続けるようになり、終息が遅れてしまうだけです。

当ホームページの最終結論は、まず直ちにワクチン接種を止めること。もうひとつは、そろそろPCR検査も止めてよいのではないかということです。私の勤務先では、全職員が毎週PCR検査を受けてきましたが、集団感染を防ぐことができませんでした。

新型コロナに感染した高齢者は狭い部屋に10日ほど隔離されてしまうため、生活機能が著しく衰え、残りの人生を全うできなくなってしまいます。若い人が感染しても似たようなものです。無症状の感染者まで閉じ込めてしまうことに、医学的な意義を見出すことはできません。これからは発想を変えた取り組みが必要です。

<パート4> 総まとめ
 さて、『過ちを繰り返さないために』と題して、8回にわたり総括を行ってきました。世界の医学専門誌や大手メディアは、新型コロナに関する記事を大幅に減らし始めています。残る心配事は、ワクチン接種を受けた人たちが、数年後、深刻な自己免疫病を起こさないかということと、妊娠中に接種を受けたお母さんから生まれた子供に、何か重大な障害が生じていないのかの2点です。

そこで当ホームページも、しばらく更新を休止とし、情報の整理をしながら今後の展開を待つことにしました。再開は、本年9月の第一月曜日を予定しています。
   
   


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Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3422 )
日時: 2022年08月03日 10:17
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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        (2022.8.1)
        臨時情報: オミクロン株BA.5に感染したら

      誰もがBA.5に感染するリスクが高まっています。症状は、咽の
     痛み、声がれ、発熱、頭痛、腰痛、頭のもやもやが中心です。これ
     らの症状があれば、ほぼBA.5に感染したと考えられます。粗悪な
     検査キットも出回っていて、結果があてになりませんので、検査を
     してもらえる医療機関がなければ、あえて受ける必要もないでしょう。

      まずなすべきは、家族内感染の予防です。室内でも、家族全員が
     マスクをする、食事の時間を分ける、ベッドを離す、発病者に触れる
     際はプラスティック手袋をする、発病者の入浴を最後にする、などの
     対策で、感染をかなり防ぐことができます。ただし潜伏期間が短く、
     半日~3日です。したがって直ちに対策しなければなりません。5日
     間、症状がなかったら、家庭内感染はなかったと考えられます。

      発熱が続く場合、アセトアミノフェンという成分のみを含む解熱剤
     が安心で、効果的です。1日3回服用します。すぐに解熱しないこと
     もあり、3日ほど続けます。食事ができないようなときに飲んでも
     大丈夫な唯一の薬です。

      発熱後のだるさは、活性酸素などフリーラジカルという過激物質が
     体内に溜まるためで、それらを消去する「抗酸化物質」が有効です。
     もっとも多く含まれているのは生の果物です。食欲がないときは、
     果物と水分をとってください。種類は問いません。ミキサーにかける
     か、すりおろし器でジュース状にするとよいでしょう。とくにリンゴは
     皮に豊富な抗酸化物質が含まれていますので、皮のまま、すり
     おろします。

      無症状であれば、5日間ほどで他人に感染させるリスクがなくなり
     ます。発熱などが続いた場合、(初日を0日として)10日目に隔離
     は解除です。ただし最後の3日間に発熱がないことが条件です。

      当然、ここで述べた体温計、解熱剤、マスク、手袋、食料、果物
     などは、常備品としておくべきものです。解熱剤は余計な成分を含
     まない製品を購入してください。たとえば、タイレノール、ノーシン
     アセトアミノフェン錠、小児用バファリンCII、こどもパブロン座薬
     など。ネットでも買えます。

      テレビでは、BA.5感染の恐怖を煽るような報道が続いています。
     しかし、他のオミクロン株に比べて、症状が重いというエビデンスは
     ありません。感染者が桁違いに多くなっていることから(分母が大き
     く)、高熱などの症状が続く人が相対的に多くなっているだけです。
     症状が重かった場合でも、インフルエンザ程度です。入院が必要と
     なる人は、きわめて少なく、たとえ微熱や咳が1~2週間続いても、
     慌てないことです。

      ワクチンを打っていない人や高齢者が重症化するという専門家の
     説明も根拠がありません。ご高齢でワクチン未接種の方が感染し
     ても、私が診療を担当している皆さまは、すぐ回復しお元気です。
     ワクチン接種と未接種で、発熱などの症状に差はありませんが、
     もっとも重かった人は、ワクチンを3回接種していました。

  
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3543 )
日時: 2022年09月12日 10:23
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.9.5)
Q 重症化する人の体質とは?

 「ワクチンを打ったら血液中の抗体が増えた。だからワクチンは有効だ」との説明がテレビなどで繰り返しなされています。しかし、この説明は、間違っていることが証明されました。以下のアニメ(GIF画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/killer.gif )をご覧ください。


 

 重症化する人,しない人の違いが判明!

【参考文献】
1) Dolton G, et al., Emergence of immune escape at dominant SARS-CoV-2 killer T-cell epitope. Cell, Aug 4, 2022.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3544 )
日時: 2022年09月12日 10:32
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.9.12)
Q オミクロンBA.5株にワクチンは有効なのか?

 従来のワクチンがオミクロン株に有効かどうかを調べる研究が、米国で行なわれました。健康な男女27名に協力を求め、ワクチン3回接種後にできた中和抗体を血液から採取。これを従来株とオミクロン株BA.1~BA.5の各ウイルスに加え、増殖を抑えたかどうかを調べたものです。次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/BA5_antibodies.jpg )をご覧ください。
   
横軸の左端「最初の株」は、2019年の末に中国武漢市で最初に検出された新型コロナウイルスのことです。ファイザー社とモデルナ社のワクチンは、この株に合わせてメッセンジャーRNAを合成し、かつヒトの血液中に出現する中和抗体量がもっとも多くなるよう調整したものでしたから、左端のグラフが高くなるのは当然です。

これに対して、オミクロン変異株、とくに2022年に大流行しているBA.5(BA.4も性状が似ているため一緒にしてある)に対しては、ウイルスを抑える効果が極端に弱く、「最初の株」の20分の1以下しかないことがわかります。

このデータは、試験管内での実験結果を示したものに過ぎません。当ホームページ2022.9.5付の記事では、「抗体は予防効果を示す指標にならない」とも報告しました。
※:参照⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3197#3543

一方、専門家と称する人たちは「抗体こそワクチン効果を示すもの」と主張して譲りません。百歩譲ってその主張を認めるとしましょう。ではなぜ、ワクチンによって生じた抗体がオミクロン株に効いていないにもかかわらず、今なお接種を勧めているのでしょうか。

「抗体は予防効果を表わす指標ではない」、「オミクロン株に対しては、その抗体さえ効いていない」という2つの重要な事実が正しく理解されていないようです。

次週は、話題の2価ワクチンについて考えます。

【参考文献】
1) Hachmann NP, et al., Neutralization escape by SARS-CoV-2 omicron subvariants BA.2.12.1, BA.4, and BA.5. N Engl J Med, Jul 7, 2022.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3566 )
日時: 2022年09月19日 09:12
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.9.19)
Q オミクロン用のワクチンは大丈夫?

 2022年6月の下旬、「この秋に向けてコロナワクチンにオミクロン株の成分を加えるかどうかの公聴会」が、米国の食品医薬品局(FDA)で開催されました。公聴会では、モデルナ社とファイザー社が試作した新らしいワクチンの試験データが公開され、それに基づいて議論が行われました。

翌日、WHO、CDC、FDA、そしてモデルナ、ファイザー、ノババックス各社の代表による会議が招集され、従来のワクチンにオミクロン株の成分を加えることが正式決定されました。製造に当たるメーカーは表向き公募とされ、国が買い上げる条件として、従来のワクチンの成分を変えないこと、オミクロン変異株BA.4とBA.5のトゲトゲ蛋白成分を加えること、そして製造をこの秋に間に合わせることの3点が提示されたのでした。

ところが、この会議では、21名の委員のうち、賛成は19人で、2人の委員が反対票を投じていました。反対した1人は、公聴会で報告されたデータはBA.1の成分を加えただけのものであり、BA.5に置き換わってしまった現在、ナンセンスだとの意見でした。BA.1の成分だけを加えた試作品が従来のワクチンに比べ有効なのか、データを出すべきだとも主張しましたが、モデルナ社とファイザー社の担当者は「BA.4とBA.5に対する中和抗体もできる・・・」と口頭で繰り返すだけでした。

もうひとつの反対意見は、新型コロナウイルスは、どんどん変異を遂げており、新しいワクチンができた頃には、流行遅れになっているのではないか、というものでした。これから必要になるのは、ウイルスの変異を後追いするのでなく、万能のワクチンを開発するなど発想を変えた取り組みだ、というもっともな主張なのです。

結局、反対派の2人が述べた意見は無視され、いま各メーカーは、当然のごとくBA.4とBA.5の成分を加えたワクチンを開発中で、まもなく米国で認可される見込みです。

この原稿を書き始めた2022年9月12日、日本では「厚生労働省の専門部会が、オミクロン株に対応した新しいワクチンを承認」というニュースが流れました。もちろんBA.1にしか対応していないワクチンです。米国が使用を見合わせた大量の流行遅れ在庫品ということになります。

現在、感染した多くの人は重症化することなく、何もしなくても回復しています。一方、接種後10日~2ヵ月後に生ずるワクチンの副作用には、重いものが多く、その治療に私も日々翻弄され続けています。また9月12日付け当ホームページ掲載のグラフからも明らかなように、変異株がワクチンに抗して発生してきたのは自明です。ワクチン接種が続く限り、この懸念も払拭されないことになります。

2価って何?
 インフルエンザ・ワクチンは、A型とB型それぞれ2つずつ、合わせて4種類のウイルスたんぱく質(抗原)が含まれていて「4価」と呼ばれる。「価」とは抗原の数のこと。

なぜ対象が従来ワクチンを2回以上接種した人なの?
 臨床試験が「従来のワクチンを2回以上接種した人」だけにしか実施できなかったから、というのが表向きの理由。まだ1回も打っていない人は、まず従来ワクチンを2回受けなさい、ということ。なお、これまで日本政府は8億8千万回分ものワクチンの購入契約をしているという報道もあった。かりに全国民が4回ずつ打ったとしても半分は余っている計算になる・・・

モデルナ社とファイザー社の違いは?
 前者は18歳以上、後者は12歳以上が対象。理由は、臨床試験を行った対象が、たまたまそうだったから。どちらも最後の接種から2ヵ月以上(なぜか日本では5ヵ月以上)、間をあけることとしている。両者に違いはない。だから両社で特許を巡る紛争が起きている。米国の識者は、「チョコレートケーキを想像してみて。砂糖、バター、薄力粉などの材料はどれも同じ。でもチョコの量で味がちょっと違うでしょ。違いはその程度!」と解説している。

抗体が上がるらしいけど?
 抗体の値が予防効果を示すものでないことは、2022年9月5日の当ホームページで報告した通り。

【参考文献】
1) Rubin R, COVID-19 boosters this fall to include omicron antigen, but questions remain about its value. JAMA, Jul 8, 2022.
2) Gross J, U.K arrptoves covid booster vaccine that targets two variants. New York Times, Aug 15, 2022.
3) Blum D, What to know about the new booster shots. New York Times, Sep 2, 2022.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3591 )
日時: 2022年09月26日 09:01
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.9.26)
Q 全数把握、定点観測って何?

 「一家で感染したが全員、自宅療養だった。生命保険に入っていたお陰で、自宅療養でも入院給付金がもらえることがわかって、よかった!」という話を、周囲からよく聞くようになりました。

「みなし入院」と呼ばれるこの対応は、国からの要請に各生命保険会社が答えた形で始まったものです。しかし自宅療養者が全国で日に100万人を超えるようになり、保険会社も想定外の危機的状況に陥ってしまったようです。

2022年8月24日、政府は「全数把握を見直す」と、唐突に発表しました。同時に、特別措置法によって危険な感染症に指定されていた新型コロナを、インフルエンザなみの扱いする方向で検討する、というややこしい話でした。

日本政府は、法律上の扱いを変えようとしない、かたくなな態度を取り続けてきました。経団連の一翼を担う業界からの苦情に抗しきれず、しかし表向き、全数把握の問題を持ち出すことで、突然の方針転換の体裁を繕ったのではないか、と勘繰りたくなる話です。ともかく、全数把握とは一体、何なのでしょうか?

全数把握は文字通り、感染した人の数を余すところなく完全に国家が把握する方式です。たとえば過去に流行したウイルス感染症で、もっとも危険なものの一つがエボラ出血熱です。これにヒントを得たダスティン・ホフマン主演の映画「アウトブレイク」では、感染の恐怖がドラマティックに描かれていました。危険な感染症では、たった一人の患者を見逃すだけで、数え切れないほど人の命が奪われることになるため、全員のフォローが絶対条件です。

しかしオミクロン感染症は、状況がまったく違います。全数把握は、労多くして役立つ場面はありません。参考になるのはインフルエンザです。次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/teiten1.jpg )は、過去5年間のインフルエンザ感染者数の推移を示したものです。国立感染症研究所が公表している数字を元に私が作図しました。

データは、全国の約5,500の医療機関(定点)に協力を求め、1週間ごとにインフルエンザ患者の人数を報告してもらっているものです。ここで大切なことは、協力医療機関が完全に無作為に選ばれた、という点です。無作為に選んだサンプルから、全体像を推測するのは統計学の大原則だからです。これが「定点観測」と呼ばれる処理法です。

上記のグラフは全国のデータを集計したものですが、地域ごとに公表している都道府県もあります。私は、いつもインフルエンザシーズンが始まる頃になると、地域のグラフをネットで見ながら、いつ頃から、どれくらいの規模で流行が始まるのかを予測し、ワクチンの発注数量や接種開始の時期を見定めてきました。また刻々と変わる状況を職員に伝え、予防対策の徹底もはかってきました。

このデータがあれば、全国の総感染者数を以下のように求めることができます。

  (定点での感染者数÷全定点の外来患者総数)×全国の総患者延べ数

「全国の総患者延べ数」は、2014年9月に行われた全国実態調査で得られたものを用います。

次の図(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/teiten2.jpg )をご覧ください。上の図と同じものですが、赤い折れ線は2019年9月からのデータです。この年の暮、新型コロナウイルスが中国武漢市で最初に確認されました。その頃から、赤い折れ線は、インフルエンザが急増する気配を見せていました。年明け、点線のグラフようになっていくのではないかと、緊張したのを覚えています。しかし結果はご覧のとおり。コロナに対する感染対策の徹底で、インフルエンザが明らかに抑え込まれています。

実は、この図には2020年と2021年のグラフも描かれているのですが、インフルエンザにかかった人がほぼゼロであったため、横軸と重なり合って区別がつきません。

定点観測データはきわめて有用です。しかし国は、高齢者や基礎疾患のある人に限定して今後も全数把握を続ける、と発表しました。この判断は、「無作為でサンプルを集める」という統計学の大原則に反しています。

かつ感染症の流行は、「活動的な若い世代の間でまず広がり、家庭に持ち込まれ、その子供たちの学校で一気に拡大し、やがて高齢者にも伝わっていく」、という形をとるものです。百歩譲って、対象を絞ってでも全数把握を続けたいのであれば、それは高齢者でなく、若い世代のほうでしょう。人類が長年の経験と学術調査を通して学んできた、この感染症の大原則が、すっかり忘れられています。

「全数把握をやめると医療から取り残される人が出てくる」とテレビで述べていた人もいました。しかし現代医療の仕組みは、病める人を差別なく癒すように構築されてきたものであり、それはこれからも変わることがありません。こんな簡単な医療の大原則さえ理解されていないようです。

【参考文献】
1) Reicher TA, et al., The Japanese experience with vaccinating schoolchildren against influenza. N Egl J Med 344, 889-896, 2001.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3604 )
日時: 2022年10月03日 09:16
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.10.3)
Q コロナはすでに終息している?

 誰もがオミクロンに感染するリスクがある今、もし自分がかかってしまったら、仕事はいつまで休めばいいのか、どれくらい隔離が必要なのか、改めて知識を整理しておく必要があります。

ただし科学的データをもって、この点を証明するのは簡単でありません。大勢の感染者から、サンプルを日ごとに採取し、ウイルスを分離して、実際に感染を起こすかどうかを実証する必要があるからです。本記事の最後に、日本発の研究も含めて関係する文献を列挙しましたが、そのレベルに達したデータはまだありません。

それでもなお、米国疾病予防管理センター(CDC)や英国国民保健サービス(NHS)を初め、いくつかの国の政府機関が、隔離期間に関する明確なメッセージを発表しています。どれも、ほぼ同じ内容ですので、概要を以下にまとめておきます。症状が出た日をゼロ日目として数えてください。無症状の場合は、検査で陽性となった日がゼロ日目です。

1)自分が検査で陽性になり、発熱などの症状がある場合;
 6日目に隔離解除。ただし24時間以内に発熱がないこと。10日目までマスク着用

2)自分が検査で陽性になり、症状がない場合;
 6日目に隔離解除。10日目までマスク着用

3)同居の家族が陽性になり、症状がある場合;
 家族の症状が出てから5日目まで自分が無症状であれば、6日目に隔離解除

4)同居の家族が陽性になり、症状がない場合;
 陽性が確認されてから3日間、家族も自分も無症状であれば、4日目に隔離解除

5)症状が出た人と濃厚接触していた場合;
 接触後、3日間、自分が無症状であれば4日目に隔離解除

キーワードは「5日間」です。その根拠は、オミクロン株が流行の中心となった以降の経験から、「症状が出る前の1~2日間、および症状が出たあとの2~3日間に感染のほとんどが起こっている」ことがわかったからです。

注目すべきは、どの国の指針も、ワクチン接種を受けているかどうかは無関係だとしている点です。また隔離解除の条件として、検査で陰性になることを求めていません。なお3)~5)は、種々のデータに基づいて私がつけ加えたものです。

この指針は、実はインフルエンザにかかった人に対して指導されてきた、出勤や登校の禁止期間より短くなっています。

このような状況で感ずるのは、「新型コロナ」と「オミクロン」は、まったく別のウイルスだということです。新型コロナの流行はすでに終息しており、今はオミクロンという名の新らしいウイルス感染症が流行っていると考えると、諸々納得がいきます。オミクロンの致死率は、インフルエンザや新型コロナのそれより遥かに低いのです。

「コロナの特効薬とされてきた薬はどれも効果が証明できていない」、「ワクチンで感染を予防できないのは明らか」、「介護施設などで毎週行われてきたPCR検査は集団感染の予防にまったく役立たなかった」、「新規感染者数がテレビで毎日放送されるのはストレスでしかない」、・・・。

そろそろコロナの終息宣言をして、こんな大騒ぎは終わりにしてよいのではないでしょうか。

追伸: 今やコロナに関しては一億総評論家。「3.5パーセントの人々が、非暴力的な方法で本気で立ち上がると、社会が大きく変わる」。これは、斎藤幸平著『人新世の「資本論」』(集英社新書)で紹介されていた米国の政治学者の言葉です。

【参考文献】
1) Massetti GM, et al., Summary of guidance for minimizing the impact of COVID-19 on individual persons, communities, and health care systems - United States, August 2022. CDC, Aug 11, 2022.
2) Torjesen I, COVID-19: peak of viral shedding is later with omicron variant, Japanese data suggest. BMJ, Jan 13, 2022.
3) Takahashi K, et al., Duration of infectious virus shedding by SARS-CoV-2 omicron varinat-infected vaccinees. Emerging Infectious Diseases, May 2022.
4) Jefferson T, et al., Viral culture for COVID-19 infectious potential assessment - a systematic review. Clin Infect Dis, Dec 3, 2020.
5) Finnis A, When is Covid contagious? how long you are infectious and the incubation period of coronavirus explained. i, Jul 18, 2022.
6) LaFraniere, et al., Walensky, citing botched pandemic response, calls for C.D.C. reorganization. New York Times, Aug 17, 2022.
7) Zimmer C, Why omicron might stick around. New York Times, Sep 22, 2022.
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3627 )
日時: 2022年10月10日 11:28
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.10.10)
Q ワクチンでできた抗体はなぜ無効なのか?

  2022年9月5日付の当ホームページ記事『重症化しやすい人の体質』※1で、ワクチンによってできた抗体は、感染予防にほとんど無効であることを述べました。この記述に対して、「本当なのか?」、「なぜ?」という問い合わせを多数いただきましたので、改めてエビデンスをまとめることにしました。
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3511#3512 )

「マムシに咬まれたら抗血清をすぐ打たないと死ぬ!」という話が、都市伝説のように伝えられてきました。抗血清とは、マムシの毒液を馬に接種し、抗体ができたころ血液を採取して精製したものです。中和抗体の働きに期待したものですから、理にかなっているように思えます。

ところが、実際は違っていました。効果がなかなか証明されず、使わないことにしていると述べる救急専門医が多いのです。死亡率がそれほど高くなく、副作用のほうが遙かに深刻であることも、その背景にあります。

同じ発想で行なわれているのが、新型コロナ感染症の治療です。感染したあと、しばらく経った人の血液中には、ウイルスに対する抗体が含まれていることが期待できるため、それを治療に使おうというアイデアです。

ヒトの血液は、その45パーセンが、赤血球、白血球、血小板などの細胞成分で、残りの55パーセントが血漿と呼ばれ、いろいろな酵素や抗体、たんぱく質、塩分などを含む水分となっています。そこで、感染から完全に回復した人の血管に針を刺して血液循環装置につなぎ、赤血球、白血球、血小板などの成分を装置の中で分離して体内に戻していきます。この処理を行いながら、血漿だけを400mlほど集めて容器に保存するのです。当然、肝炎ウイルスなどの病原菌がいないかどうかをよく知らべます。

こうして安全性が確認された血漿を、感染した人の血管内に点滴として注入する方法が「回復者血漿療法」です。2020年の夏、トランプ前大統領が感染した折、この治療を受けたと自ら語っていました。

コロナ禍が始まって以降、この療法の効果と安全性を評価するための研究が、世界中で行なわれてきました。しかし、ほとんどが「効果なし」との結果に終わってしまったのです。マムシの抗血清や新型コロナの回復者血漿療法は、同じ発想に基づくものですが、なぜどちらも効果が証明できなかったのでしょうか?

免疫システムによって体内で作られる抗体は動物と人間で異なること、ヒト同士であっても個人差がかなり大きいことなどが、その一因と考えられています。免疫は簡単でありません。

コロナワクチンによって体内で作られる「抗体」に、話を進めます。ヒトの免疫システムは、体内に忍び込んでくる異物や微生物に対して、それぞれ異なる抗体を作り出すことができます。その限界は、1兆のさらに百万倍種類にもなることが、最近の研究でわかりました。以下の図(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/v_region.jpg )は、抗体が異物を捉える仕組みです。

ワクチン接種によって体内にトゲトゲ蛋白が注入されると、免疫システムは直ちに「抗体」を作り始めます。ただしトゲトゲ蛋白は複雑な形をしていますから、その形状、つまり「抗原」に対応した、さまざまな抗体が手あたり次第に作られます。したがって出来上がった抗体のすべてが、ウイルスの攻撃を防ぐ力を持つとは限りません。

次の動画(GIF画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/antibodies.gif )は、本物のコロナウイルスが体内に侵入したとき、ワクチンによって作られたさまざまな抗体と会合するシーンをイメージしたものです。


 
 中和抗体のウソ / ワクチンでできた抗体はなぜ無効なのか?


このようにウイルスの侵入をブロックしてくれる抗体だけが、真の「中和抗体」です。

極小の中和抗体が、大海のごとく広大な血液の流れの中で特定の「抗原(トゲトゲ蛋白の先端部分など)」と偶然に出会うのも、奇跡的としか言いようがありません。誰かが両者を導いてくれるわけではなく、ぎりぎりまで近づいたときに初めて、凹と凸がくっつき合う「分子の力」が働くにすぎないからです。つまり、トゲトゲ蛋白だけを対象にしたワクチンで作られる抗体はあまりに儚く(はかなく)、効果が極めて限定的だということなのです。

ではワクチン接種でなく、実際に感染したあとにできる抗体(自然免疫)は、どうなのでしょうか?

2021年6月10日に発表された研究によれば、新型コロナウイルスには、トゲトゲ蛋白以外にも病原性を発揮する危険な部位がいくつかあり、それらに対する免疫システムの反応も確認できた、とのことでした。

ヒトの免疫システムは極めて優れていて、それだけにメカニズムも複雑です。「殺し屋細胞」の挙動(Q9(4)参照)※1なども含め、まだ解明されていない部分がたくさんあります。少なくとも、現行のワクチンがそれに取って代わるほど単純なものでないことは確かです。
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3511#3512 )

さまざま調査データも合わせ考えると、ワクチンによって作られる抗体は「ほとんど無効」と断言できるのです。

「中和抗体が測定できます」との宣伝文句で、多くの簡易検査キットが発売されています。しかし真の中和抗体は「簡易」には測れません(Q12(9)参照)※2。「ワクチン接種後、中和抗体が△△倍に増加」などのニュースもよく耳にしますが、ワクチンメーカーの宣伝に、この言葉が悪用されています。
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3197#3544 )

【参考文献】
1) 辻本登志英, ほか, 抗毒素血清投与を行なわなかったマムシ咬傷38症例の検討. JJAAM, 28: 48-54, 2017.
2) Convalescent plasma. Cleveland Clinic, accessed: Oct 3, 2022.
3) NIH study shows no significant benefit of convalescent plasma for COVID-19 outpatients with early symptoms. NIH, Aug 21, 2021.
4) Kolata G, Uncertain results in study of convalescent serum for covid-19. New York Times, Jun 10, 2020.
5) Hicklin T, Decoding the variety of human antibodies. NIH, Feb 12, 2019.
6) Janeway CAJr, et al., "The interaction of the antibody molecule with specific antigen". in Immunology: the immune system in health and disease. 5th ed, Garland Science, New York, 2001.
7) Xia B, et al., SARS-CoV-2 envelope protein causes acute respiratory distress syndrome (ARDS)-like pathological damages and constitutes an antiviral target. Cell Res, Jun 10, 2021.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3644 )
日時: 2022年10月17日 09:18
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(2022.10.17)
Q コロナは終息に向かっているのか?

 Pandemic is over (コロナは終わった)。これは米国のバイデン大統領が、2022年9月18日のテレビ・インタビューに答えた際の発言です。もちろんコロナ禍はまだ収まっていませんので、政治的な発言であるのはあきらかです。アンダーコントロールという言葉を思い出してしまいます。

それにしても、コロナはそろそろ終わりに近づいているのではないか、という雰囲気が国内外に満ちているのは確かです。当ホームページでも、種々の根拠をもとに、「しだいに弱毒化して落ち着いたあと、やがて普通の風邪ウイルスとして残っていく」との見解を示していたところです(Q17の第6回)
(※:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2944#3141 )

新型コロナウイルスの感染が最初に中国で確認されたのは2019年12月で、その1か月後の翌2020年1月には、早くもウイルスの遺伝子配列が学術専門誌に発表されました。

各メーカーは、この発表の直後からワクチン開発に取りかかり、アストラゼネカ社は同年の6月24日から、またファイザー社とモデルナ社は同時に7月27日から、それぞれ大規模な臨床試験(治験)を開始していました。開発着手から半年も経っていません。

次の表(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/pandemicisover.jpg )は、ワクチンが登場した年(2020年)の9月から約2年間、「変異株」が現れた時期を日付け順に並べたものです。

気になるのは、オミクロン株を除くすべての変異株が、ワクチンの治験、あるいは本格的接種の開始時期に集中し、しかもその度にワクチンが効きにくくなってきた点です。オミクロン株の出現もまた、この表を見るとワクチンと関係がありそうに思えます。

ウイルスの変異は、その遺伝子に生じる偶然のコピーミスによって発生するものですが、当然、ワクチンに打ち勝ったものだけが自然淘汰で生き延びていくことになります。海外のあるメディアは、この状況を「火に油を注いだ」と表現しています。

次に着目すべきは、オミクロン株の出現まで10ヵ月ほどの空白があり、その後も1年以上、新たな変異株が現れる気配がないことです。この状況をどう考えればいいのでしょうか?

次の図(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/worldvaccination.jpg )は、全世界における日々の接種の総件数を示したグラフです。ワクチン接種が開始された2020年12月からの2年間の推移です。とくに2022年8月以降は、急速に件数が減少しています。今後、もし(オミクロン対応)ワクチンの接種が再び増えるようなことになれば、新たな変異株が出現するリスクも高まるのではないでしょうか。

一方、世界中の研究者のほとんどは、「ワクチンを打っていない人が集団で感染したときに変異株は発生しやすい」と主張しています。しかしワクチンを打っても打たなくても感染する率に変わりはなく、症状にも違いがないため、この説明は根拠を欠いています。

およそ100年前の1918年2月に発生したスペイン風邪は、ワクチンのない時代でしたが、マスク、手洗い、ソーシャルディスタンシングの徹底により3年間で終息しました。

ウイルス感染症の行く末を予測できる理論はないため、その答えは誰にもわかりません。しかし、ワクチン接種を中止さえすれば、「新型コロナはしだいに弱毒化して落ち着いたあと、やがて普通の風邪ウイルスとして残っていく」というのが、データに基づいた私の論考の結論です。皆様は、これらの情報をどう読み解くでしょうか。

【参考文献】
1) Sabes A, President Biden declares that the COVID-19 pandemic 'is over' weeks before the midterm elections. Fox News, Sep 18, 2022.
2) Madhi SA, et al. Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 covid-19 vaccine against the B.1.351 variant. N Engl J Med, Mar 16, 2021.
3) Polack FP, et al., Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA covid-19 vaccine. N Engl J Med, Dec 31, 2020.
4) Baden LR, et al., Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 vaccine. N Engl J Med, Feb 4, 2021.
5) Harris R, COVID-19 could add fuel to evolution of coronavirus mutations. npr, Feb 20, 2021.
6) Kennedy DA, et al., Why the evolution of vaccine resistance is less of a concern than the evolution of drug resistance. PNAS, Dec 18, 2018..
7) Fan Y, et al., SARS-CoV-2 omicron variant: recent progress and future perspectives. Signal Transduct Target Ther, Apr 28, 2022.


Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3665 )
日時: 2022年10月24日 08:44
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.10.24)
Q 両親の接種は本当に赤ちゃんに影響しないのか?

 かつて、ワクチン担当大臣が「ワクチンで不妊になるというのはデマです」と語っていました。産科婦人科系の複数の学会が、「母体や赤ちゃんに重篤な合併症が発生したという報告はなく、妊婦さんもワクチンを接種することができます」という声明を発表したのも、同じ頃でした。

この問題に関しては、当ホームページでも、「専門誌に掲載された論文に捏造があり、これらの発言の根拠となった情報は信用できない」との記事を掲載したことがあります(Q15(4))。つまり捏造されたデータを修正して計算し直すと、「妊娠20週以内のコロナワクチン接種で、流産の可能性が8倍以上も高まる」という結論に変わるというものでした。
(※:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2114#2911 )

2022年9月、米国の専門誌に新たなデータが2つ発表されました。そのひとつは、妊娠・出産に関するもので、ワクチンを接種したあと、体外受精(胚移植)を受けた女性3,052人が、そのあと妊娠を継続できたかどうか知らべたものでした。

ワクチン接種後から体外受精実施までの日数でグループを分けて比べたところ、以下のようになりました。
 _________________________________
  日数で分けた群   人数 妊娠が継続できた割合 接種なし群との比
 _________________________________
   30日以内    35    34.3%     0.61
   30~60日   58    36.2%     0.63
   61~90日  105    51.4%     0.96
   91日以上   469    56.3% (61日以上として計算)
 _________________________________
   接種なし   2385    60.3%     1.00
 _________________________________


たとえば表の最上段は、「接種後30日以内」に体外受精を受けたのは35人で、そのうち34.3%だけが妊娠を継続できた、という意味です。右端の「接種なし群との比」は、接種をせずに体外受精を受けた人たちが妊娠を継続できた割合を1.00とみなした場合の比率ですが、複雑な統計処理を施してあるため、単純な割り算にはなっていません。

赤字で示した数字0.96は、「61日以上を1つの群」にまとめ、「妊娠が継続できた割合」を接種なしのグループと比べたものですが、統計学上、差はないと判定される結果でした。これより上の段は「有意差あり」だったことから、つまりワクチンを接種してから60日以内は、体外受精の施術を受けないほうがいいという結論なのです。

もうひとつの研究発表は、母乳に関するものでした。出産後、6ヵ月以内にコロナワクチンを接種した母親11人に協力を求め、接種の1時間後から5日目までの間、母乳をできるだけ繰り返し取り分けてもらいました。

合計131回分の母乳を分析したところ、5人の母親から提供された母乳のうち、接種45時間以内のサンプルから、「ワクチン由来のメッセンジャーRNA」が検出されたのです。

「抗体」が母乳から検出されたという報告は以前ありましたが、メッセンジャーRNAそのものが検出されたという報告は世界初です。

コロナワクチンは妊娠・出産・育児にいっさい影響しないというのが、世界中の専門家の主張でした。しかし2つの最新研究によって、ワクチン接種が胎児や乳児に与える悪影響が、否定できなくなってきました。

従来の情報を鵜呑みにせず、絶えず疑う目を持ち続ける必要がありそうです。

【参考文献】
1) Shi W, et al., Association between time interval from COVID-19 vaccination to in vitro fertilization and pregnancy rate after fresh embryo transfer. JAMA Netw Open, Oct 14, 2022.
2) Shandley LM, et al., In vitro fertilization outcomes after inactivated COVID-19 vaccine. JAMA Netw Open, Oct 14, 2022
3) Hanna N, et al., Detection of mesenger RNA COVID-19 vaccines in human breast milk. JAMA Pediatr, Sep 26, 2022.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3687 )
日時: 2022年10月31日 11:07
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

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(2022.10.31)
Q インフルエンザとコロナの同時流行をどう考える?

 「今年はインフルエンザの大流行が考えられ、感染する人が両方合わせて△△万人と想定される。だから、もっとワクチン接種を!」と、脅迫めいた報道が繰り返されています。本当でしょうか?

報道の根拠は、今年、南半球でインフルエンザが大流行したから、ということのようです。南半球の冬に流行したインフルエンザ・ウイルスが、旅行者によって北半球に持ち込まれる、という説明は、すでに当ホームページでも報告したとおりで(Q17-第6回)、この点は正解です。
(※:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2324#3142 )

オーストラリア政府の公式発表によれば、まず同国での過去5年間のデータに比べると、感染した人は多かったが、重症化した人は、むしろ少なくなっていた、とのことです。しかし過去5年間のうち、2年間はコロナ禍の真っ最中でインフルエンザの流行はありませんでしたから、それと比べて「今年は多かった」とする解釈は間違っています。

ある米国の専門家は、「コロナ禍によりインフルエンザが流行せず、人々に自然免疫がつかなかった。かつコロナに対する感染予防もずさんになってきているので、この冬は、大変なことになる」と述べていました。ただし、これは1年前の話で、大変なことにならなかったのは、ご存知のとおりです。

2021~2022年のシーズン、米国でインフルエンザの小規模な流行があり、A香港型と呼ばれるタイプによるものでした。インフルエンザ・ウイルスにも、トゲトゲ蛋白のような構造物があり、その変異の組合せで呼び名が決められるため、香港型はH3N2が正式名です。米国での流行は、だらだらと続き、数千人が重症化して入院したと報じられていました。従来では、ありえない流行パターンでした。

コロナに対する予防策をまったく講じていなかった国でも、インフルエンザは流行しなかったという事実もあり、よくわからないことばかりなのです。長年、インフルエンザ・ウイルスの追跡調査を行なってきた専門家は、「ウイルスの行動は予測不能」とコメントしています。別の専門家は「インフルエンザ・ウイルスはファンキーだ」と言ったとか。ファンキーは、「かっこいい」ではなく、「汚い奴」というのが元の意味です。

さてコロナとインフルエンザが一緒に流行することがあるのか、考えてみましょう。

2022年の初め、インフルエンザが影を潜めた頃にオミクロン株が出てきたことから、両者には互いに反発する力が働くのではないか、とする説が現れ、SNS上で話題になっています。しかし、本当にそんなことがあるのか、あるとすればなぜか、など真相はまったく不明です。

2つの感染症に対する賢明な態度は、流行がどうあれ「予防する方法」と「罹ってしまったらどうずるか」をまとめておくことに尽きます。

幸い、南半球で流行したウイルスはH3N2型で、以前から日本で製造されてきたワクチンにもその抗原が含まれているため、大丈夫ということになります。ただし、その有効率は2019年の調査で39パーセントしかありませんでした。かつ高齢者ほど効き目が悪いのは、どのワクチンでも同じことです。

かりに有効であったとしても、注射の1ヵ月後から効き始めて、せいぜい2~3ヵ月の間です。10月に接種を済ませた人は、流行期には、すでに効力が切れていることになります。

インフルエンザは、コロナに対する感染予防対策でほぼ抑え込むことができました。つまり、感染対策の手を抜かないことが、インフルエンザ予防の原則なのです(私は、ずっと昔から、インフルエンザ・シーズンになるとマスクを2重に着けて外出していました)。

では、かりに両者が同時に流行したとして、発熱などの症状があったら、どうすればいいのでしょうか。それぞれに抗原検査法がありますので、医療機関を受診して両方の検査を受ければ、診断は確定します。

そこで理解しておきたいのは、当ホームページで繰り返し述べてきたように、どちらであっても、症状と治療がほぼ同じだということです。

インフルエンザには「タミフル」という特効薬(?)があります。しかし重症化を防ぐ効果はいっさいなく、ただ症状を17時間(約半日)短かくできるだけの薬であることが証明されています。副作用で肝臓を悪くする人もいます。つまり、あえて服用する必要もない薬なのです。一方、新型コロナのほうも、安心して使える薬は、今のところありません。

高熱があって辛いとき、無理して医療機関に行っても体力を消耗し、かつ混みあう待合室で別の感染症を移されてしまうだけです。このように考えてくると、医療機関に行って検査を受ける意味はなく、解熱剤(アセトアミノフェン)を使い、十分な水分と果物をとりながら自宅で静養を続けるのが、もっとも賢明な対応ということになります。

【参考文献】
1) Australian influenza surveilance report. Australian Government Department of Health and Aged Care, Oct 9, 2022.
2) Rubin R, The dreaded twindemic of influenza and Covid-19 has not yet materialized - might this be the year? JAMA, Oct 18, 2022.
3) Butler D, Tamiflu report comes under fire. Nature, Apr 24, 2021.
4) Ali ST, et al., Prediction of upcoming global infection burden of influenza seasons after relaxation of public health and social measures during the COVID-19 pandemic: a modeling study. Lancet, Nov, 2022.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3707 )
日時: 2022年11月07日 09:35
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(2022.11.7)
Q 日本の学会で発表された「ワクチンの副作用」とは?

 コロナワクチンの副作用で悩んでいる人がたくさんいます。中には肉親が接種後、突然、亡くなったという人も少なくありません。多くの方は、医師に相談しても「因果関係なし」と突き放され、ひとりで悩みを抱えています。不幸な目に遭っているのは自分だけ? と孤独を感じている人も少なくないようです。

当ホームページを見ていただいている方から情報提供があり、『全国有志医師の会』なる人たちが、さまざまな学会で口述発表された「コロナワクチン副作用」に関する報告例を集めていることがわかりました。2021年12月~2022年9月の間に発表されたものです。早速、数えてみると、全部で276件もの研究発表がなされていることがわかりました。

通常、口述発表される研究では、短くまとめた要旨(抄録)が事前に提出され、抄録集として会員に配布、あるいはネット掲載されます。しかし残念ながら、ほとんどの抄録は非公開になっていて、第三者は見ることができません。

そこで、「抄録がネット上に公開されていて」、「検索が可能で」、かつ「発表者がワクチン接種による自己免疫病であることを強く疑っている」という報告例をまとめてみることにしました。したがって全体像を表わすものではなく、あくまで事実の一端とお考え下さい。

その結果、16件の発表を確認することができましたが、うち3件は接種直後のいわゆる「副反応」をまとめたもので、発熱や腫れ、じんましんなどの頻度を集計しただけのものでした。

次の表(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/gakkaihoukoku.jpg )は、残る13件の発表をまとめたものです。腎臓病がもっとも多く、以前、拙著で述べた懸念が現実のものとなってきたように感じます。

死亡例については、抄録非公開の発表も含めタイトル中に「死亡」または「剖検(病理解剖のこと)」という文字を含む発表を、改めて数えたところ、全部で7件の報告がありました。どれもタイトルしか見ることができませんでしたので、死亡者の実数は不明です。

副作用で苦しんでいる方々には、少なくとも自分一人でないことを知っていただけたものと思います。同時に、医師たちの間に理解が広がり始めていることがわかり、先が見えてきた感じがします。

国内には無数とも言える学会組織があり、ほとんど会員制になっているため、会員でない人には、発表されたという事実さえ知る機会がありません。それにもかかわらず、貴重な情報を収集してくださった「有志会の医師たち」のご努力には、心からの敬意を表するものです。

なお、当ホームページで集計の対象にした抄録は、すべてここに参考文献として明記すべきですが、件数が非常に多いことと、全国有志医師の会のホームページから参照ができるため、省略させていただきました。

コロナ関連の研究発表は、全国民の命に関わる重大事ですから、誰でもネット上で閲覧できるようにしてほしいものです。全国にある学会組織の意識改革を望みます。

【参考文献】
1) 日本におけるコロナワクチンと疾患の関連報告.全国有志医師の会,アクセス日2022.11.7.


**************************************************************************************************
・全国有志医師の会⇒ https://vmed.jp/

・日本国内においてコロナワクチン接種後、急に発症し、医学学会で報告された疾患(2021年12月~2022年9月)⇒ https://vmed.jp/gakkai/

・同上 学会発表20220926_公開用シートのみ.xlsx⇒ https://docs.google.com/spreadsheets/d/1WcRrCkr50YLPv1COmwxhoJnT41sM19VO/edit#gid=2110630560

・これは、尿中に検出されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質が、腎臓のウイルス感染ではなく、濾過異常の直接的な結果であることを示唆している。⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2114#2492


Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3729 )
日時: 2022年11月14日 09:03
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.11.14)
Q 子供や赤ちゃんの接種はどう考えればいいのか?

 新型コロワクチン接種の対象年齢がどんどん引き下げられています。成人における副作用の実態が明らかになり、オミクロン変異株の弱毒化も進んできた今、幼小児にまでなぜ接種が必要なのか、副作用は大丈夫なのかと疑問や不安を抱く人が多くなっています。幼小児の接種を、政府がやっきになって勧めている根拠はどこにあるのか、考えてみます。

まずファイザー社ワクチンです。5歳から11歳を対象にした調査が行われており、3編の論文が発表されています。しかし、どれも「後ろ向き調査」(当ホームページQ7(7)参照)でしかなく、著しく信頼性に欠けるものとなっています。効果と安全性に関して信頼できるデータが公表されないまま、米国政府の認可を得てしまっています。
(※:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2808 )

一方、モデルナ社ワクチンのほうは、前向き試験(ランダム化比較試験;脚注参照)が行なわれていて、2編の論文が発表されています。次の表(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/children.jpg )は、その2つの論文で示されたデータを、私がまとめたものです。「6ヵ月から23ヵ月」、「2歳から5歳」、「6歳から11歳」の3グループにわけて臨床試験が行われていましたので、それぞれを左から順に記述してあります。

細かな数字に興味のない方は、「有効率」を示す赤字の部分だけをご覧ください。新型コロナワクチンについて行われた最初の前向き調査で、あの有名な「有効率95%」という数字が発表されたのをご記憶と思います。まず、それと比べてみてください。

この表の出処(2つの論文)は、なかなか複雑怪奇で、何回も繰り返し読まないと内容が理解できないような書き方になっていました。

私の経験によれば、臨床試験の結果が明確だった場合、発表論文の記述も簡単明瞭で一目で結果がわかるようになっているものです。複雑な書き方をしている理由は、ただひとつ。製薬企業にとって不都合な結果になってしまったとき、わざとわかりにくくして世間の目を欺くためなのです。どちらの場合も、いわゆるゴーストライターが原稿を書いていますので、どっちもどっちなのですが・・・。

さて、上の表で「6-11歳」の有効率が「記載なし」となっています。出処となった論文には、「接種を1回行ったあとの有効率が88.0%」だったことが強調されていました。

なぜ1回目の結果だけを強調しているのかについては、「2回目接種後は、ワクチン群もプラセボ群も感染した子供が少なく、また参加者の協力が得られず調査を早々に切り上げざるをえず、分析ができなかった」としています。さらに、「この調査は、副作用を調べるために計画されたものであり、この点で憂慮すべき問題は見つからなかった。有効率を調べるのが目的ではない・・・」とも。

この2つの論文には、 副作用がわずか28日間しか調べられておらず、また 著者欄に連ねられた30名ほどの名前のうち、およそ半数がモデルナの社員になっているなど、気になる点がほかにも多々あります。

従来の倫理・規範に従えば、発売元の企業の社員が学術論文の著者欄に名を連ねるなど、ありえないことでした。コロナの時代になり、学問の世界が無法地帯と化しています。

同表からわかる、もうひとつ大切なことは、オミクロン変異株BA.1やデルタ変異株を対象にして調べた結果であり、BA.4やBA.5変異株ではなかった点です。

つまり、日本政府がワクチン接種の根拠とする「子供や赤ちゃんに対する効果と安全性を保証するデータ」は、存在しないのです。

脚注: ランダム化比較試験とは、大勢のボランティアを集め、病歴や生活状況などあらゆる背景を調べて、それらが均等になるようにコンピュータで2群に分け、一方に本物の薬を、他方に偽薬(プラセボ)を投与するという方法。数年~10年をかけて追跡し、結果を見届ける。エビデンスを探る唯一の方法であり、2群の背景が完全に等しくなっていることが最重要。しかし上記2論文では、その記述がいっさいなされていない。また本物とプラセボのどちらが割り当てられているかを、本人にも医師にも知られないようにすることも鉄則。上記論文では、途中で本人たちに知らせたとしている(理由は不明)。

【参考文献】
1) Creech CB, et al., Evaluation of mRNA-1273 Covid-19 vaccine in children 6 to 11 years of age. N Engl J Med, May 11, 2022.
2) Anderson EJ, et al., Evaluation of mRNA-1273 vaccine in children 6 months to 5 years of age. N Engl J Med, Oct 19, 2022.
3) Walter EB, et al., Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 vaccine in children 5 to 11 years of age. N Engl J Med, Nov 9, 2021.
4) Cohen-Stavi CJ, et al., BNT162b2 vaccine effectiveness against omicron in children 5 to 11 years of age. N Engl J Med, Jun 29, 2022.
5) Tan SHX, et al., Effectiveness of BNT162b2 vaccine against omicron in children 5 to 11 years of age. N Engl J Med, Jul 20, 2022.
6) Sacco C, et al., Effectiveness of BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infection and severe COVID-19 in children aged 5-11 years in Italy: a retrospective analysis of January-April, 2022. Lancet Jun 30, 2022.
7) Dorabawila V, et al., Effectiveness of the BNT162b2 vaccine among children 5-11 and 12-17 years in New York after the emergence of the omicron variant. medRxiv, Feb 28, 2022.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3744 )
日時: 2022年11月21日 09:24
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(2022.11.21)
Q ワクチン被害で裁判を起こせるか?

ICANという名の組織
 米国にICANという名の組織があります。Informed Consent Action Networkの略号で、「患者の知る権利を守る会」という主旨のようです。ネット百科事典のウイキペディアによれば、「2016年に設立された米国の予防接種反対グループのひとつで、誤った情報を広め、世間を混乱させている」とのことです。

当ホームページは、いわゆるフェイクニュースに対する注意喚起も、目的のひとつとしてきました。それにもかかわらず、この組織の活動を取り上げることにしたのは、英国の伝統ある「報道および情報提供企業」のロイター社が報じた、ある記事が、今後の展開を考える上でヒントになると感じたからです。

だれでもOK!スマホ登録システム
 米国には、ワクチン接種で受けた副作用を、いつでも誰でもスマホから登録できるというシステムがあります。登録すると、その後の健康状態を確認するためのアンケートが1年間、送られてくるようになっていて、v-safeと名づけられています。対象はファイザー社、モデルナ社、それにジョンソン&ジョンソン社製のワクチンに限られています。

情報を管理しているのは米国疾病予防管理センター(CDC)ですが、ある団体からの情報公開請求を受けて、このデータを2022年9月末までに公開する約束をしていました。しかし、約束は果たされないままとなっていました。

この請求をしたのがICANでした。裁判所の命令を受けたCDCは、しぶしぶ(?)データをICANに差し出した、というロイターニュースだったのです。

そのデータを集計したところ「登録者が782,913人いて、そのうちの7.7パーセントの人が、軽症・重症を含めて何らかの医療を必要としていた」ことがわった、というのです。CDCはコメントを拒否していますが、「接種後1週間以内の副反応は1~3パーセントに過ぎない」と記者の質問に答えています。

これに対してICAN側は、重大な副作用は接種のあと1週間以上してから出てくるものであり、CDCの言い分はおかしい、と反論しています。またICANの弁護士は、「これで裁判に持ち込むことができると確信した」とも語っているのです。

11月21日現在、なぜかCDCはv-safeの生データをまだ一般公開しておらず、真相は確認できないままの状態となっています。

被害者は裁判は起こせるか?
 当ホームページでは、Q1において「ワクチンと法律」に関する世界の話題をシリーズで紹介したところです。その際、「米国内の時限の法律により、少なくとも2024年までは国やメーカーを相手に損害賠償を求めることはできないこと」、「サラリーマンは、勤務先で接種を強要されても、それが雇用条件とされている場合は裁判を起こしても却下されること」などの説明を行いました。
(※:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index.html#Q1 )

2018年、米国のニューヨーク州で麻疹(はしか)が流行したことから、当局は一部地域の学童に対してワクチン接種を義務づけることにしました。この決定に対し、宗教上の権利を定めた憲法に反するとして、父母から異議申し立てがなされたのですが、裁判所は審理することなく却下してしまいました。

ところが2022年11月9日、突然、裁判所はこの申し立ての審理を開始することにしたと発表しました。背景に何があったのかはわかりませんが、世論の変化によるものだとすれば、一歩前進したことになるのですが・・・。

裁判に必要な証拠
 もうひとつ話題があります。ドイツの研究者が、新型コロナワクチン接種後に死亡した18人について病理解剖を行った結果を報告してくれました。論文で示されたのは以下の諸点でした。

 ・男女の割合は同じで、年齢は32~91歳
 ・接種後から死亡に至るまでの時間は、数分~14日
 ・肉眼で認められたのは、脳出血、心筋症、脳静脈洞の血栓、広範な脳出血など
 ・顕微鏡では、喉の粘膜の浮腫、アレルギー細胞の集積などが認められる
 ・ワクチンとの因果関係は十分に想像されるが、断定は難しい
 ・アナフィラキシーは複雑で、病理解剖だけで因果関係を断定するのは難しい

この論文の著者は、ワクチンが原因で死亡したと考えられる場合、少なくとも徹底した病理解剖を行うべきであり、加えて免疫・アレルギー関連のさまざまな化学的検査も必須だとしています。

この論文で残念だったことがあります。接種直後のアナフィラキシー反応と、数日以降に起こる自己免疫病が、まったく異なるものであるにもかかわらず、その区別がなされていなかったことです。そのため、当ホームページで繰り返し指摘してきた「細胞中のトゲトゲ蛋白の存在証明」(免疫組織染色)が行われていなかったのです。

病理解剖のあと、体の組織や細胞を特殊な液体(ホルマリン)で処理すると、長期の保存が可能になります。そのようなサンプルからでもこの分析は可能ですから、被害に遭った人は、とにかく保存を依頼しておくことです。

因果関係を証明することができるかもしれない、もう一つの技術は「糖鎖」の分析です。これは、細胞やたんぱく質の表面に生えている、うぶ毛のような構造物で、免疫システムが自分自身と侵入者(ウイルスなど)を見分けるための誘導灯のような役目を果たしています。次の図(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/lawsuit_proof.jpg )は私が発見した、ある糖鎖の形です(分析法は文献6に詳述)。

トゲトゲ蛋白は、この糖鎖を傷つけてしまうのです。すると、自分自身の細胞やたんぱく質が免疫システムによって敵とみなされ、攻撃されるようになってしまいます。これが一連の自己免疫病の始まりです。

したがって、糖鎖に異常が生じていることを示せれば、ワクチンとの因果関係を証明することができるかもしれません。ただし特殊技術のため、この分野の研究者を探し出し、理解と協力を求める必要があります。

まとめ
 ドイツからの論文には、「自分の娘の死は予防接種のせいと、有名新聞の取材に答えた母親が、SNS上で攻撃され、ウソつき呼ばわりされた」という逸話も紹介されていました。病理解剖により娘の死因の一端が明らかになり、母親の汚名挽回もできたのだそうです。

ワクチン被害の解決には多くの難問が立ちはだかっていますが、一歩一歩前進していくしかありません。

【参考文献】
1) Greene J, New data is out on COVID vaccine injury claims. what's to make of it? Reuters, Oct 13,2022.
2) Informed Consent Action Network. accessed Nov 14,2022.
3) Sigalos M, You can't sue Pfeizer or Moderna if you have severe Covid vaccine side effects. the goverment likely won't compensate you for damages either. CNBC, Dec 23,2020.
4) Kalmbacher C, Federal appeals court revives religion-based lawsuit over measles vaccine mandate for students in heavly Hasidic New York county. Law & Crime, Nov 9, 2022.
5) Schneider J, et al., Postmortem investigation of fatalities following vaccination with COVID-19 vaccines. Int J Legal Med, Sep 30, 2021.
6) Okada M, Sugar chain structure of apoliporotein B-100 and its role in oxidation. bioRxiv, May 31, 2022.
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3761 )
日時: 2022年11月28日 09:18
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(2022.11.28)
Q 人間はどのように感染症を克服してきたのか?

 ペストという伝染病の名前を聞いたことがあるでしょうか。原因はペスト菌という細菌で、ネズミなどに取りつくノミが媒介します。

致死率が100パーセントとも言われ、激しい皮下出血のために全身が黒ずんだ状態で死亡することから、黒死病とも呼ばれてきたものです。なぜかヨーロッパで流行を繰り返してきました。14世紀には、その大流行があり、正確な記録は残っていませんが、中世ヨーロッパに住む人の半数が死亡したとも伝えられています。

WHOの世界統計によれば、最近の6年間で3,000人強の感染者がいて、500人ほどの死者が出ています。日本では1926年以降、確認されていません。

2022年10月19日、米国の研究者チームは、「多くの生物が集団で死ぬような事態が生じたとき、それにに打ち勝った遺伝子をもつ個体が生き残り、次の世代に受け継ついでいるはず」との仮説のもと、大規模な調査を行い結果を発表しました。

研究対象に選んだのは、なんとロンドンのお墓に埋葬されている318体の遺骨で、11世紀から15世紀の頃に埋葬されたことが、放射性炭素年代測定法などの諸技術で確認された人たちでした。

その遺伝子を徹底的に分析した上で、黒死病の大流行があった時代の前後に生きた人たちの間で何か違いが生じていなかったかを調べました。その結果、大流行が終わったあとの時代の人々の遺伝子には、免疫に関係した数百ヵ所で変異がみつかりました。

さて、ここで人間の遺伝子が変異する仕組みについて、簡単に触れておきましょう。遺伝子は、世代を重ねるごとに刻々と変化を遂げていくものです。そうでなければ、人間も含めた生物は進化できないことになってしまいます。

その変異には、2つの異なるタイプがあります。ひとつは、まったくランダムに起こっている変異で、生き物にとってプラスにもマイナスにもならないもので、「遺伝的浮動」と呼ばれています。もう一つは、「環境に適した変異をきたしたものが生き残っていく」という、ご存知、自然淘汰です。

話を戻します。問題は、遺骨からみつかった数百ヵ所の変異が、遺伝的浮動なのか、自然淘汰なのかです。黒死病に対する自然淘汰が働いたのであれば、大流行した前後の世代で、各個体に共通する変異が認められ、一方、それ以前、あるいはそれ以後の時代の人々にバラバラに生じていた変異は遺伝的浮動ということになります。

彼らは、その後、デンマークでも同様の調査を行い、コンピュータ解析により両者で一致した4つの変異が自然淘汰によるもので、その遺伝子をもつ人が「黒死病に強い体質」を獲得していた、と断定しました。理由もおおよそ解明され、ウイルスや細菌が体内に侵入した際に、これら遺伝子がある種のたんぱく質を作り、免疫システムに警報を鳴らすから、ということでした。

さて、ここまで新型コロナウイルスとは関係のない話を繰り広げてきましたが、もうご想像はついたものと思います。これだけ世間を騒がせたコロナ禍でしたから、われわれ人類、とくに感染して生き残った人々の遺伝子にも、何か有益な変化が起こっていたのかもしれません。

一方、幸いにして、濃厚接触があったにもかかわれず感染を免れた人たちの遺伝子にも、過去に大流行したかもしれないコロナウイルスに打ち勝つ遺伝子変異をすでにもっていた可能性があります。

ただし黒死病の研究から言えるのは、大勢の「子をなす世代」が特定の感染症で死亡した場合に、生き残った人たちの遺伝子の好ましい変化が次の世代に受け継がれていく可能性があるということです。しかし世間を騒がせた新型コロナウイルス感染症では、報じられている死亡率が黒死病に比べて遙かに小さく、しかも多くは高齢者で、老衰や誤嚥性肺炎が直接死因であったなど、状況はかなり異なっています。

したがってコロナ禍を経験した次の世代に、遺伝子がどう変わっているかは想像の域を出ませんが、少なくとも人類と微生物は共存共栄をなしてきたわけでなく、まさに死闘の歴史だったことがわかります。そして、これからも・・・。

【参考文献】
1) Klunk J, et al., Evolution of immune genes is associated with the Black Death. Nature, Oct 19, 2022.
2) Zimmer C, How the 'Black Death' left its genetic mark on future generations. New York Times, Oct 19, 2022.


(2022.11.28)
 国産初の新型コロナ治療薬ゾコーバについて、裏側事情を「Q4 治療薬はいつできるのか?」に追記しました(前行の薬品名または目次Q4をクリックするとアクセスできます)。
(※:新型コロナ治療薬ゾコーバについて⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ41 )
(※:新型コロナ治療薬ゾコーバについて⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2913#3764 )



Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3782 )
日時: 2022年12月05日 09:56
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.12.5)
Q 悪どいウイルスの正体, 見たり

 新型コロナウイルスの「悪者ぶり」が、かなり詳細にわかってきました。そこで、世界中のウイルスの研究者やグラフィクスの専門家たちが発表した最新情報を、以下の動画(GIF画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/corona_lifecycle.gif )にまとめてみました。わかりやすさを優先するため、あえて詳細を省略した部分もあり、逆に、まだよくわかっていない点は、私が想像を巡らして作成しました。



悪どい新型コロナウイルスの正体


かつて地球上に存在した、どんな微生物よりもずる賢い性質をもったウイルスであるかが、おわかりいただけたものと思います。

ご自分が科学者になったつもりで、この悪魔のような存在を退治するにはどんな薬を創ればいいのか、想像を巡らしながら、ぜひもう一度、動画をご覧ください。

ただし、どんな薬も思わぬ部位に作用する可能性があり、ときに死に至るような重大な事態(副作用)が生じるかもしれません。何が起こるかは、大勢の人が使ってみて初めてわかることであり、事前の予測は不可能です。人間の体はあまりに複雑だからです。そのこともお忘れなく。

【参考文献】
1) Scudellari M, How the coronavirus infects our cells, Scientists are unpicking SARS-CoV-2's life cycle. Science, July 29, 2021.
   
   
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