掲示板/ロイヤルシャトー長泉(BBS/Royal Chateau Nagaizumi of DAIWA HOUSE and DAIWA LIFENEXT) > 記事観覧
あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4274 )
日時: 2023年10月09日 10:23
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
これまでの記事

『あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3197

『あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(2)』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3801

『あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(3)』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4054

『あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(4)』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4208
   
   
1
▼ページの最下部に移動
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4275 )
日時: 2023年10月09日 10:25
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.10.9)
Q インフルエンザはなぜ夏に流行したのか、ワクチンどうする?

 今週は、このテーマを中心にまとめましたが、別に2つの話題「テレビ放映のお知らせ」「ノーベル賞雑感」も最後に付記しています。

(1)インフルエンザが夏に流行した理由

今年(2023年)の夏、過去に例を見ないほどインフルエンザが流行しました。まず、その理由を分析してみることにします。

すでに当ホームページで報告したように(Q6(5)と(7) ※1)、インフルエンザウイルスは南半球で冬を過ごし、春を迎えると、ほとんどが死滅します。一方、北半球が冬に向かうころ、生き残った一部のウイルスが旅行者によって日本を含む国々に持ち込まれ、流行を引き起こします。
(※1:(5)(7)記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ6 の(5)と(7)を参照)
(※1:(5)a記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2259#2413 )
(※1:(5)b記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2259#2529 )
(※1:(7) 記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3689#3690 )

次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/influenza.jpg )は、南半球オーストラリアにおけるインフルエンザの発生件数を示したものです(文献1)。コロナ禍以前の2017年のグラフ(青線)からわかるように、以前は現地が冬の8~9月を中心に流行が認められていました。ところが、新型コロナウイルスが世界的に広がり始めた2019~2020年ころから、この形がだらだらと崩れ始め、ピークが左(現地の秋のほう)に移ってきているのです。2023年にはピーク(赤線)が5~6月ころになっています。
 
米国では、昨年(2022年)1年間、だらだらとしたインフルエンザの流行が続き、ウイルスの専門家も「理由はわからない」とコメントしていました。少なくとも南半球の出来事が影響を与えていることは確かなようです。また、専門家と称する人たちが述べているような「しばらく流行がなく集団免疫が低下したから」との理由では、説明が困難です。

ここ数年間、南半球でインフルエンザウイルスの生態に何が起こっていたかは不明です。

日本に限って、夏にインフルエンザが流行した理由については思い当たる節もあります。発熱、咽頭痛、咳などをともなう風邪は1年中、認められるものです。真夏も例外ではありません。そのため病院では、夏に発熱に来院した患者さんにインフルエンザの検査を行うことは、ほとんどありませんでした。私の経験でも、桜の花が咲き始めるころになるとインフルエンザのシーズンはほぼ終わりですから、検査キットも片づけてしまっていました。

2023年は、6月の初旬に「高校の学園祭でインフルエンザ集団感染」とのニュースが大々的に報じられました。それ以降、検査を希望する人が急増してきたという印象があります。過去、6月くらいまでインフルエンザの流行が続いていた年もありましたから、検査をやればやるほど、いままで気づかなかった感染者が統計にカウントされることになります。つまり、昔から夏にも流行があったかもしれない、ということなのです。


(2)インフルエンザのワクチンはどうする?

インフルエンザウイルスは、表面のたんぱく質の性状からA型(H1N1)、A型(H3N2)、B型などに分けられます(文献2)。ほとんどは弱毒性ですが、ときに大きな変異が生じ、季節と関係なく大流行することもあります。1918年のスペイン風邪や2009年の新型インフルエンザはその代表で、強毒性でした。

インフルエンザワクチンの製造には1年近くかかりますから、いま流行しているウイルスに合わせて作ることはできません。前年の情報を元にするしかないのですが、過去数年、南半球で流行してきたウイルスはA型(H1N1)が8割、残りがB型となってます。ただし米国での調査によれば、新型インフルンザウイルスの変異がすでに3種類見つかっており、もしこれらが流行すれば、ワクチンはいくら接種しても無駄ということになります。

それよりも懸念すべきは、当ホームページで繰り返し警告を行ってきた抗原原罪によるリスクです(当ホームページ2023年8月14日の記事参照 ※2)。つまりワクチン接種を繰り返すことにより、免疫機能が疲弊したり、変異ウイルスやタイプの似たウイルスに対する免疫がつかなくなってしまうという重大問題が生じるのです。
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4208#4226 )

インフルエンザワクチンについては、信頼できるランダム化比較試験がほとんど行われてきませんでした。稀有な例とも言えるある調査では、A型、B型、新型の3種類の抗原を含むワクチン(3価ワクチン)を接種してもインフルエンザを防ぐことができず、それどころか、インフルエンザ以外の風邪ウイルスに感染してしまう割合が格段に高くなっていたと報告されています(文献3)。

一方、インフルエンザワクチンの有用性を報じた研究は、すべて後ろ向き調査でしかなく、信用ができません(文献4)。

ワクチンと免疫機能との関係が改めてあきらかになったいま、mRNAワクチンに限らず、昔からあったワクチンも含めて、繰り返しの接種が生体に重大な悪影響を及ぼすと考えなければなりません。(私事ですが、この事実を知って怖くなり、昨年から自分自身へのインフルエンザワクチン接種はやめています)

【参考文献】
1) Australian influenza surveillance report. Australian Goverment Department of Health and Aged Care, No. 12, 2023.
2) Influenza activity in the United States during the 2022-23 season and composition of the 2023-24 influenza vaccine. CDC, Sep 28, 2023.
3) Sundaram ME, et al., Influenza vaccination is not associated with detection of noninfluenza respiratory viruses in seasonal studies of influenza vaccine effectiveness. Cin Infect Dis, Jun 6, 2012.
4) Cowling BJ, et al., Increased risk of noininfluenza respiratory virus infections associated with receipt of inactivated influenza vaccine. Clin Infect Dis, Mar 15, 2012.



《テレビ放映のお知らせ》
 2023年10月8日(日)13:30、関西・読売テレビの人気番組『そこまで言って委員会NP』で、コロナワクチンに関する話題が取り上げられました。同番組公式ホームページ(URL⇒ https://www.ytv.co.jp/mydo/iinkai/iinkai-423-231008.html )に「見逃し配信」があります。同テレビ局の許可をえて、サイト名(青文字の部分)をクリックすると誰でも視聴できるようにしました。当ホームページの記述が少しだけ引用されています(録画の55分ころから。個人情報の入力画面は×印をクリックするとスキップできます)。


《ノーベル賞雑感》
 当ホームページでは以前、週替わりでコラムを掲載していました。そのうち、2021年10月6日掲載のコラムを以下に再掲しました。国内では多くの人たちが2回目の接種を終えたころで、同年のノーベル賞受賞者の発表があった直後に書いたものです。(2021.10.6掲載コラム⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/nobelcolum.jpg

本年(2023年)の受賞のニュースに接したご感想、また読売テレビの番組を視聴してのご意見などをお寄せください。

****************************************************************************************************


そこまで言って委員会NP(2023年10月8日放送)
「コロナ禍からの再生」編は55分57秒からです



Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4277 )
日時: 2023年10月16日 10:49
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.10.16)
Q オミクロン感染に薬は必要か?

 新型コロナウイルス感染症の治療薬について、続々と新しいデータが出てきています。今週は、国内で推奨されている飲み薬を中心に最新情報をまとめました。


ゾコーバの疑惑

国産初の新型コロナウイルス感染症の飲み薬がエンシトレルビル(商品名ゾコーバ)です。2022年11月22日、厚生労働省は、この薬を緊急承認したと発表しました。緊急承認とは、通常の制度から外れて、期限と条件つきで認めるものです。テレビのニュースでも大々的に取り上げられたことから、コロナに感染した患者さんが「処方してほしい」と求めることも多くなっています。

国の審査報告書によれば、この薬を服用した人は、5つの症状が回復するまでの時間が、プラセボに比べて24時間ほど早かったとのことです(文献1)。5つの症状とは「倦怠感または疲労感」、「熱っぽさまたは発熱」、「鼻水または鼻づまり」、「喉の痛み」、それに「咳」です。しかし報告書をよく見ると、統計学的な有意差にはなっていませんでした。

ゾコーバの治験データを報じた英文論文は、3つあります(文献2~4)。しかし、対象者の人数が、国の審査報告書に記載されていた値を大幅に下回っていて、都合の良いデータを報告しただけのものでした。それにもかかわらず、その1つには「症状の回復には有意差がなく、ウイルス量が少しだけ減少していた」と記載されていました。

このことが、あとでゴタゴタを引き起こすことになります。2022年9月2日、日本感染症学会と日本化学療法学会という2つの学会が、連名でゾコーバ錠の早期承認を求める提言書を厚生労働大臣に提出しました(文献5)。そこには「ウイルス量が早く減少することは、臨床症状の改善を早めます」と書いていありました。

この文章が公表された9月2日の時点で、上述した3つの論文はまだ公表されていませんでした。つまり、製薬会社とその協力者しか知らないはずの企業秘密を、提言書を執筆した人たちは事前に知っていたことになります。つまり企業側からみれば秘密漏えい、国民に対しては利益相反があったのです。この文章に対して、ネット上で非難が殺到したのは言うまでもありません。

日本政府がもっとも力を入れているのがこの薬で、すでに200万人分を製薬会社に発注したと報じられています。しかし効果は証明されておらず、かつ長期的な副作用が不明なのです。


パクソロビドの醜聞

新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際、自分自身の複製を作るための酵素が必要です。実は、この酵素はウイルス自身が持っているのですが、その酵素をブロックする飲み薬が2つあります。ひとつが前述したゾコーバで、もうひとつがファイザー社のパクソロビドです。

2022年6月14日、ファイザー社は「この薬は効果が余りにも高く、あきらかな副作用もなく、このままランダム化比較試験を続けるのはしのびなく、試験を中止することにした」との文章を誇らしげに発表しました。これは、薬の臨床試験を途中で打ち切るときに語られる定番のセリフですが、追跡調査を長く続けるとボロが出ることがわかっているときに使われます。

この薬には、多数の懸念が指摘されています。酵素をブロックする薬ですから、ヒトが体内に持っている「薬物を分解する酵素」まで止めてしまいます。そのため、一緒に服用してはいけない薬が降圧剤など無数にあり、うっかり他の薬といっしょに飲むと、命にかかわる事態も起きかねません。しかも臨床試験では、なぜかコロナワクチンを接種していない人たちだけが対象でしたから、接種した人たちが飲んで大丈夫なのかという懸念もあります。

ランダム化比較試験のデータから、パクソロビドは重症化または死亡のリスクを89パーセント低減させると計算され、その値が宣伝に利用されています(文献6)。この信じがたいほど高い値が本当なのか、検証が必要です。

2022年4月に発表された論文は、約2,000人を対象にしたランダム化比較試験の結果を報じたもので、以下がそのデータです。

            パクソロビド服用群  プラセボ服用群
 総 数          389人        385人
 重症化または死亡       3人         27人

このデータから以下の計算を行ったようです。

 (1 - (3 / 389) ÷ (27 / 385)) ×100 = 89.0 (%)

ところが、ファイザー社とは関わりがないカナダの研究者グループが2023年10月2日に発表した論文には、まったく異なる結果が示されていました(文献7)。7千人ほどの人たちをさまざまな年代、男女、体質などにわけて調べたところ、効果にばらつきが大きく、あるグループでは効果があり、別のグループでは効果なしという結果だったのです。ちなみに、ほとんどの対象者はコロナワクチンを打っていました。

このように、調査ごとに矛盾した結果になる場合、「最終的に無効だった」という決着になるのは、歴史が教えてくれるところです。

半年後、ファイザー社は治験の最終論文を発表しましたが、著者欄に記載された10人はすべて同社の社員でした(文献8)。


  
ゾコーバとパクソロビド、さらにラゲブリオ(元GIF動画⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/molunupiravir.gif )


危ない飲み薬、ラゲブリオ

2021年12月24日、モルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)が国内で認可されました。年が明けると、国は大々的にこの薬のPRを始め、連日、テレビでその名が連呼されるようになりました。当時、この薬は国が買い上げていて、医療機関が申請すれば無償で配布されるという形になっていました。

ちょうど、そのころ、国内では感染者数が爆発的に増え始めていました。私が勤務していた高齢者施設でも、感染が急速に広がっていたのですが、感染した高齢者の家族から「感染したのはお前の管理が悪いからだ。テレビで宣伝している、あの特効薬をすぐ使え!」とのきつい言葉が私に向けられました。

コロナ感染を見落とした医師が告訴されるというニュースも重なり、私も何人かの高齢者に、この薬を処方せざるをえない状況になりました。この薬は飲んでも飲まなくても、症状に差はないというのが当時の印象でしたが、処方をしてしまったことについては、いまも懺悔の日々です。

なぜなのか? それは、この薬が新型コロナウイルスの遺伝子配列を組み換えてしまい、深刻な問題を引き起こすからです。大げさに言えば、人類の存亡にかかわるリスクが2つあることがわかっているのです。

まずラゲブリオの働きを見ておきましょう。新型コロナウイルスの遺伝子はRNAでできており、
 アデニン
 グアニン
 シトシン
 ウラシル
と呼ばれる4つの物質が遺伝情報を記録しています。ラゲブリオは、そのうちのシトシンとウラシルに似た形をしている物質です(文献9)。正確に言えば似て非なるものです。ウイルスは、自身の複製を作る際、ヒトの細胞内に存在する4つの物質を勝手に流用するのですが、シトシンとウラシルの代わりにラブゲリオを組み込んでしまうことになります。

ところが、この物質はシトシンとウラシルの両方に似ているため、ウイルスが複製を作る際、区別がつきません。そのため遺伝情報としての役割が破たんしてしまい、ウイルスは生き残ることができなくなる・・・、というストーリーなのです。

そのために起こる危機のひとつは、ウイルスのRNAが改変されるだけでなく、ホストのDNAにも組込まれてしまうことです(文献10)。もうひとつは、ラゲブリオで変異を遂げたまま、死滅せずに生き残った一部のコロナウイルスが、体外に飛びだし他人に感染してしまったことです(文献11, 12)。


まとめ

新型コロナ感染症で安心して飲める薬は、ひとつもありません。インフルエンザよりも弱毒化しているオミクロン株に対しては、普通の風邪薬に勝るものなし!

重症化する割合でいえば、オミクロンよりインフルエンザのほうが高いのですが、特効薬とされてきたタミフルも、データのねつ造があり、実はほとんど効き目のない薬だったことが判明しています。米国政府機関のホームページには、昔から、次のようなメッセージが国民向けに掲示されています。「インフルエンザに特別な治療は不要。家で休養すること、他人に移さないように!」と、・・・コロナも同じです。

(そのほかの薬については、当ホームページQ4をご参照ください ※1
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ4 )

【参考文献】
1) ゾコーバ錠125mg_塩野義製薬株式会社_審査報告書(3). Nov 15, 2022.
2) Mukae H, et al., A randomized phase 2/3 study of ensitrelvir, a novel oral SARS-CoV-2 3C-like protease inhibitor, in Japaneses patients with mild-to-modrarete COVID-19 or asymptomatic SARS-CoV-2 infection: results of the phase 2a part. Antimicrob Agents Chemother, Sep 13, 2022.
3) Mukae H, et al., Efficacy and safety of ensitrelvir in patients with mild-to-moderate coronavirus disease 2019: the phase 2b part of a randomized, placebo-controlled, phase 2/3 study. Clin Infect Dis, Dec 7, 2022.
4) Yotsuyanagi H, et al., A phase 2/3 study of S-217622 in participants with SARS-CoV-2 infection (phase 3 part). Medicine, Feb 22, 2023.
5) 四柳宏, 松本哲哉, 「新型コロナウイルス感染症における喫緊の課題と解決策に関する提言」. Sep 2, 2022.
6) Pfizer's novel COVID-19 oral antiviral treatment candidate reduced risk of hospitalization or death by 89% in interim analysis of phase 2/3 EPIC-HR study, Pfizer, Nov 5, 2021.
7) Dormuth CR, et al., Nirmatrelvir-ritonavir and COVID-19 mortality and hospitalization among patients with vulnerability to COVID-19 complications. JAMA Netw Open, Oct 2, 2023.
8) Hammond J, et al., Oral nirmatrelvir for high-risk, nonhospitalized adults with Covid-19. N Engl J Med, Apr 14, 2022.
9) Kabinger F, et al., Mechanism of molnupiravir-induced SARS-CoV-2 mutagenesis. Nat Struct, Sep, 2021.
10) Muwller B, Merk's Covid pill might pose risks for pregnant women. New York Times, Dec 13, 2021.
11) Sanderson T, et al., A molnupiravir-associated mutational signature in global SARS-CoV-2 genomes. Nature, Sep 25, 2023.
12) Harris E, Changes in SARS-CoV-2 sequence linked with antiviral use. JAMA, Oct 4, 2023

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4279 )
日時: 2023年10月23日 08:43
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.10.23)
Q 最近の話題を考える?

 ワクチン禍に対する理解を深めるため、今週は3つの話題を取り上げ、深掘りしてみることにしました。各話題は相互に関係ありませんが、今後の展開を考える上で参考になりそうです。


偽りの地震予測

なぜ国は、新型コロナウイルスのワクチンをかたくなまでに推奨し、真実に気づかぬふりをしてきたのでしょうか? 最新刊の『南海トラフ地震の真実』(小沢慧一著、東京新聞)に、そのヒントを見出すことができます。

「南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70~80%」と発表されています。この本は、関係者の生々しい証言や緻密な資料調査に基づいて、政府委員会の杜撰(ずさん)な実態を告発したものです。地震予測は、実は根拠のないものだったというのが結論です。以下、著作権に触れない範囲で、ワクチン禍に似ている部分をまとめてみます。

地震予知関連の委員会は、権威ある専門家によって構成されます。専門家も人の子、国の委員会に名を連ねるだけで権威もさらに高まり、当然のごとく国や企業からの研究費も集まることになります。地震が予測できるようになるのであれば研究費の額も半端ではありません。名誉とお金の両方がえられるのですから、委員の座に固執することになります。

そんな状況で、官僚や政治家の意向が伝えられれば、反対意見を述べることもできず・・・、という負の連鎖に陥っていく、というのです。

「地震の予測」という言葉を、「ワクチンの推進」にそっくり置き換えるだけで、この本はワクチン禍の実態を暴いているようにも読めます。そんな取材をしてくれるジャーナリストが現れるといいのですが。


スペイン風邪の教訓

次の話題は、1918年に大流行したスペイン風邪です。地球上全人口の1.3~3.0パーセントが死亡したとされる悲劇でした(新型コロナの死者は全人口の0.09パーセント)。原因はインフルエンザの変異株で、ウイルスの発生源はスペインでなく、中国だったとの説が有力です。

スペイン風邪で死亡した369人の遺骨を分析したという研究論文が発表されました(文献1,2)。それによると、感染して死亡する割合は年齢・性別に関係なく、すべての人に平等だったのだそうです。ただし極端に栄養不良だった人だけは、死亡率も高かったようです。

日本では「基礎疾患のある人は要注意!」と連呼され、持病のある高齢者を不安にさせてきました。この主張が統計学的に間違いであることは、当ホームページでも繰り返し述べてきたとおりです。

 social distancing(シャルディスタンス)
 mask wearing(マスク着用)
 hand washing(手洗い)

この3つの掛け声も、実はスペイン風邪が流行したときに作られたものです。ワクチンもウイルスの薬も、抗生物質さえない時代だったにもかかわらず、3年で流行が終息したのは、この3つが果たす役割が大きかったと分析されています。

やはりマスクに対する反発は当時も強く、タバコを吸うための大きな穴をマスクの真ん中にあけて抵抗する人もいたそうです。人々の気持ちは100年経っても変わりません。文献3 (リンク⇒ https://www.theatlantic.com/photo/2020/07/photos-influenza-masks-1918/614272/ ) に興味深い写真の数々が掲載されていましたので、(法令順守をモットーとする当ホームページですが)このサイトに限り無断でリンクを設定しました。青文字の部分をクリックしてご覧ください。


新型コロナウイルスは人工物?

日本人研究者が、「オミクロン株は人工的に造られたもの」と主張する論文を発表しました(文献4)。

ウイルスの遺伝子配列の解析結果を登録できるサイトが、世界には多数あります。あるサイト(GISAID)では、2023年10月現在、新型コロナウイルスだけで1600万件を超える遺伝子配列が登録されています。変異株と呼ぶかどうかは別にして、新型コロナウイルスには軽微な変異が無数に生じているということです。

この論文は、「多数のオミクロン株の遺伝子配列を順に並べていくと、初期の武漢株の配列が少しずつ規則的に挿入されてきたように見える。あまりに不自然であり、誰かが試行錯誤でウイルスを改造して、野に放ったのではないか」と、主張しているのです。武漢株とは、最初に中国で発見された新型コロナウイルスのことです。

論文にはいくつかの論拠が述べられていますが、以下(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/miyazawapaper.jpg )はそのひとつである図について、私のイメージをイラストにしたものです。第三者と思われる人が解説しているユーチューブ動画もあり、理解を助けてくれます(文献5)。各行は、それぞれオミクロン株のウイルスで、カラーの各点が遺伝子(正しくはアミノ酸)の配列を意味しています。

イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/miyazawapaper.jpg  

この図と説明文には、以下のような疑問があります。

ウイルスの変異は、偶然、かつどの部位にも起こりうるものです。そのため、ウイルスの遺伝子配列を手あたり次第に調べていけば、武漢株の配列がたまたま残っているものはいくらでも見つかりそうです。それらを選んで並べれば、このような図になるのではないでしょうか。

つまり、「オミクロン株は誰かが意図して造り出したもの」とする解釈には、論理の飛躍があり、もっと丁寧な説明が求められるところです。

【参考文献】
1) Wissler A, et al., Frailty and survival in the 1918 influenza pandemic. Proc Natl Acad Sci USA, Oct 9, 2023.
2) Kolata G, Skeletons of 1918 flu victims reveal clues about who was likely to die. New York Times, Oct 9, 2023.
3) Taylor A, The influenza masks of 1918. Atlantic, Jul 16, 2020.
4) Tanaka A, et al., Unnaturalness in the evolution process of the SARS-CoV-2 variants and the possibility of deliberate. Zenodo, Aug 15, 2023.
5) NPO邦人言論責任保証協会、田中・宮沢論文解説(オミクロン株起源), youtube, 登録日不明.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4283 )
日時: 2023年10月30日 09:19
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.10.30)
Q コロナワクチンで神経麻痺?

 コロナワクチンの副作用で顔面神経の麻痺が起こることが、以前から知られていました。その詳細を報じた論文が相次いで発表されましたので、まとめてみました。

この症状は、200年ほど前、スコットランドの解剖学者ベルによって発見されたことから、ベル麻痺とも呼ばれています。顔面の片側の運動神経が突然、マヒして片方の眼が閉じられなくなる、片方の眉が垂れ下がる、顔が歪んで見えるなどの変化が出ることから、本人や家族が容易に気づくことになります。

イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/bellpalsy.jpg       

顔面神経は、脳から出て顔面骨の細いトンネルを通って表情筋に広がっています。このトンネル内に、何らかの原因でむくみが生じ、神経が圧迫されるために起こるのがこの病気です。直接の原因はいまだ不明で、ヘルペスやインフルエンザなどのウイルス感染がきっかけになるとも言われていますが、恐らく特定の原因があるわけではなく、さまざまな状況で発症するものと考えられます。また顔面骨のトンネルが生まれつき狭い、という体質の人もいますから、個人差もあるはずです。

症状は、2~3週間で改善し始め、3~4ヵ月後にほぼ完治しますが、3割ほどの人は何らかの変化が長く残るとされています。治療は、プレドニゾロンという薬が有効です。そのほかの薬や運動療法、電気刺激療法などによる治療も試みられていますが、効果は証明されていません(文献1,2)。文献2には、実際の患者さんの顔写真が掲載されています。

コロナワクチン接種との関係については、多数の論文が発表されており、それらを厳選して17編に絞った上で、まとめを行ったレポートがあります(文献3)。それによると、以下のようなことが判明しています。

 ・接種後1~48日の間に発症する
 ・顔面の左側に比較的多い
 ・すべての年齢層に認められ、男女の差はない
 ・ほとんどがファイザー社かモデルナ社のワクチン接種後に起こっている

さて、問題は本当にワクチン接種と因果関係があるのかです。真相を究めるにはランダム化比較試験しかないことは、繰り返し述べてきたとおりです。しかし、mRNA型のワクチンについて行われたランダム化比較試験は、ワクチンを製造している製薬企業ごとに1編ずつしかなく、その中でも、ベル麻痺に言及した論文は、ファイザー社とモデルナ社の各1編しかありません。

両論文のデータをまとめたところ、プラセボ群に比べてベル麻痺の発症率は3.57倍も高くなっていました(文献4)。その他の論文も含めると、インフルエンザや髄膜炎などのワクチンでベル麻痺の増加は証明されていないこと、このように高い値はコロナワクチンにしか認められないこと、そしてその発生率は自然の発生率と比べて1.5~7倍も高いという結論になります(文献5~7)。

米国食品医薬品局(FDA)は、日本の厚生労働省と同様、すべての副作用を「ワクチンとの因果関係なし」と決めつけてきた役所ですが、一時、「ベル麻痺とワクチン接種の因果関係は認められない」としていた公式文章の文言を、のちに削除しました。つまり因果関係は認めるという立場に変わったのです。

ベル麻痺は、心筋炎と並んでコロナワクチン接種後に確かに増加することが確認されたことになります。接種後、かなり時間が経ってから発症していますから、自己免疫病と同じメカニズムが働いていると推測されます。

気がかりなのは、ずっと昔からあった病気ですから、たとえ病院を受診してこの病名をつけられたとしても、コロナワクチンとの関係は言下に否定されてしまっていたであろうことです。コロナワクチンの悲劇を表わす真実が、統計データとして記録されないまま、永遠に埋もれてしまうのかもしれません。


【暮らしのヒント】
 前々回(2023.10.16)の当ホームページで、オミクロン株やインフルエンザに特効薬はなく、感染してもあえて薬はいらないという報告をしました。それにしても、新型コロナとインフルエンザ、それに普通の夏風邪も加わって、体調を崩す人が非常に多くなっています。テレビが煽るせいもあって、そのような人たちが医療機関に殺到しているのです。
 どの医療機関でも、発熱者に対しては粗末な小部屋や路地、玄関先などで診療が行われています。そのような場所での診察は、高熱を出している人にとって、ただただ辛い時間となり、病状を悪化させているだけのように見えます。インフルエンザやオミクロン株の感染症では、高熱が3~5日ほど出たり、咳が数週間も続いたりするものです。
 発熱や咳、鼻水、下痢などの症状は、病原体を滅菌し、あるいは早く体外に排除するための大切な生体反応です。このような症状は、薬で止めてしまうのではなく、体を休めること、水分と栄養を少しでも摂ること、抗酸化物が豊富な果物をとることなどが治療の原則ですが、つらい症状には市販薬が大いに役立ちます。家のくすり箱に、以下の市販薬を備えておくだけで、ほとんどの場合、医療機関に行かずにすむはずです。

 ・解熱鎮痛剤:アセトアミノフェンだけを成分とする商品(胃に負担がない。体温38℃以上で飲む)
 ・総合胃腸薬:制酸剤、消化酵素、ロートエキスを含む商品(胃痛、嘔気、下痢などに有効)
 ・咳止め:  ブロムヘキシンやL-カルボシステインを含む商品、あるいは龍角散などの生薬
 ・のどの薬: 塩水でうがいするのがベスト、市販品ではヴイックスメディケイテッドドロプなど

 くすり箱には、ほかに体温計とパルスオキシメータも入れておきましょう。呼吸が苦しいとき、あるいはパルスオキシメータの測定値が92パーセントを下回る状態が続く場合は受診が必要です。

【参考文献】
1) Murthy JK, Bell's palsy: treatment guidelines. Ann Indian Acad Neur, Jul, 2011.
2) Obermann M, et al., Bell's palsy following COVID-19 vaccination with high CSF antibody response. Neurol Sci, Jul 29, 2021.
3) Shahsavarinia K, et al., Bell's palsy and COVID-19 vaccination: a systematic review. Med J Islam Repub Iran, Jul 30, 2022.
4) Rafati A, et al., Association of SARS-CoV-2 vaccination or infection with Bell palsy, a systematic review and meta-analysis. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg, Apr 27, 2023.
5) Ozonoff A, et al., Bell's palsy and SARS-CoV-2 vaccines. Lancet Infect Dis, Feb 24, 2021.
6) Cirillo N, et al., Bell's palsy and SARS-CoV-2 vaccines - an unfolding story. Lancet Infect Dis, May 28, 2021.
7) Wan EYF, Bell's palsy following vaccination with mRNA (BNT162b2) and inactivated (CoronaVac) SARS-CoV-2 vaccines: a case series and nested case-control study. Lancet Infect Dis, Aug 16, 2021.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4286 )
日時: 2023年11月06日 07:56
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.11.6)
Q トゲトゲ蛋白を分解する方法! 発見?

 「体内のトゲトゲ蛋白を解毒する方法はありませんか?」という、悲痛な叫びにも似たお便りが、当ホームページにたくさん届いています。今週は、「もしかしたら、これがそうかも」という話題を取り上げました。

それは、納豆がトゲトゲ蛋白を分解するという話です。いまから35年ほど前、納豆に含まれるナットウキナーゼという成分が体にいいというニュースが全国的に流れたのをご記憶でしょうか。専門家の間でも話題になったのですが、いつの間にか忘れ去られていたものです。

2022年、日本の研究者が「スパイク蛋白を分解する物質」というタイトルの論文を発表していました(文献1)。培養細胞にトゲトゲ蛋白の遺伝子を入れ、この蛋白を作らせたあと、ナットウキナーゼを加えて様子を観察しました。すると、わずかな量を加えただけで、2時間後、トゲトゲ蛋白は完全に分解されてしまったというのです。ナットウキナーゼは一種の蛋白分解酵素ですから、ありえる話です。(文献の存在をお知らせくださった方に感謝します)

ただし、この実験には弱点がいくつかあります。ナットウキナーゼは、トゲトゲ蛋白だけでなく、細胞内のさまざまなたんぱく質も分解していたことと、ナットウキナーゼ以外の物質でもトゲトゲ蛋白は分解できるのではないか、という疑問に答えていなかったことです。

一方、このナットウキナーゼについては、国内外で膨大な研究がなされてきています。特筆すべきは、飛騨高山で行われた調査です(文献2)。3万人近くの男女に対して、その食生活とともに、年齢、性別、身長、体重、病歴、さらに喫煙、飲酒、運動などの生活習慣から学歴に至るまで、背景因子を徹底的に調べた上で、16年間も追跡したという力の入った調査でした。

わかったのは、ただひとつ。納豆を習慣的に食べている人は、心臓病や脳卒中で死亡する人が25パーセントも低かったことです。日本発の研究データでエビデンスと呼べるものは、これまでほとんどありませんでしたが、これこそ国際的にも最上級レベルの研究だったと言えそうです。

ナットウキナーゼは、血栓を分解する作用があり、ほかにも血液が固まるのを防ぎ、血圧を下げ、動脈硬化症を予防する、など多彩な働きがあります(文献3)。LDLコレステロールを下げるスタチン系という薬と同等の作用もあり、さらにはアルツハイマー型認知症で有名になったアミロイドベータを分解することも証明されています(文献4)。

しかも、副作用がまったくないという不思議な物質なのです。サプリや食品は、口から摂取したあと消化液で分解されてしまうのが普通です。しかしナットウキナーゼは、胃酸で分解されずに、腸から吸収されます。温度やpHの変化に強く、長期の保存も可能です。

海外では、「腐ったチーズのよう」とか、「匂いがきつく、ネバネバして気持ち悪い」と論文中に書かれるなど納豆の評価が低く、そのため成分を粉末にして植物性カプセルで包んだものが製品として販売されています。その効果は、米国食品医薬品局(FDA)も一部、承認ずみです。

では、納豆をどれくらい食べればいいのでしょうか? 文献2には明記されていませんが、解説記事によれば、1週間に50グラム(大きめの1人用1パック)以上とのことです(文献5)。

新型コロナウイルス感染症にも、またワクチンの副作用にも特効薬はないことを当ホームページで報告してきましたが、もしかするとナットウキナーゼが有力かもしれません。高額な医薬品は、ほとんどの臨床試験が製薬企業のお金で行われていますが、薄利多売の納豆業界が陰で糸をひいてる可能性はなく、研究データの信頼度も高いと思われるのです。

【参考文献】
1) Tanikawa T, et al., Degradative effect of nattokinase on spike proten of SARS-CoV-2. Molecules, Aug 24, 2022.
2) Nagata C, et al., Dietary soy and natto intake and cardiovacular disease mortality in Japanese adults: the Takayama study. Am J Clin Nutr, Dec 7, 2016.
3) Weng Y, et al., Nattokinase: an oral antithombotic agent for the prevention of cardiovascular disease. Int J Mol Sci, Feb 28, 2017.
4) Chen H, et al., Nattokinase: a promiising alternative in prevention and treatment of cardiovascular diseases. Biomark Insights, May 23, 2018.
5) 大西淳子, 納豆、週1パック、循環器疾患の死亡リスク下がる?, 日経新聞「NIKKEI STYLE」, Feb 4, 2017.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4288 )
日時: 2023年11月13日 08:54
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.11.13)
Q いまの常識、後世の非常識?

 ユーチューブなどの動画サイトが、コロナワクチンに反対する記事や動画を削除してきたのは、広く知られているところです。なぜ削除するのかという問いに対して動画サイトの運営会社は、「WHOが決めたことに反対する行為は認められないから」と答えています(文献1)。

この方針がさらにエスカレートしました。2023年11月5日付け朝日新聞によれば、「根拠のないがん治療の動画」もユーチューブが削除することにしたとのこと。「ニンニクやビタミンCでがんが治る」、「抗がん剤は命を縮める」など誤った動画が人々を惑わせ、治療の機会を奪っているのではないか、というのです。

がんは、フリーラジカルと呼ばれる過酸化物が発生原因のひとつになっています。そのため抗酸化物質が予防に有効なのですが、ビタミンCやニンニクに含まれるビタミンB1はその代表です(文献2)。つまり、ユーチューブが削除した情報も、あながち間違いとは言えないのです。

一方、抗がん剤にはいろいろな種類があり、昔から使われてきたのが「化学療法剤」です。臨床試験は、どれも対象者数が極端に少なく、ランダム化比較試験にもなっていないなど、信憑性に乏しいものばかりでした。「化学療法剤が命を縮める」というデータもありました。実際、分子標的薬など新しい治療法の研究が進んできたこともあり、米国などでは昔ながらの抗がん剤はほとんど使われなくなってきています(文献3)。

さて、「昔は常識だったことが今では非常識」という事例がたくさんあるものです。しかし、その判断は簡単でなく、正解にたどり着くまでに長い時間の流れが必要でした。

医学も例外でなく、長い年月をかけた学問論争を経て、正しい方向に収束していくという歴史を辿ってきました。たとえばタバコの害についての論争がそうです。タバコが肺がんの原因であることは、いまでは疑いようのない事実ですが、過去、大騒動があったのです。

紙巻きタバコが世界中に広まったのは昭和の初期。タバコ産業は、ハリウッドのスターたちに大金を渡し、映画の中でカッコよく吸って見せるよう依頼していました。大スターだったゲーリー・クーパーもそのひとりでした。

それどころか当時の米国では、タバコ産業が医師たちにお金を払い、「タバコは健康に良く、喉のイガイガを癒す効果もある」などと語らせていたのです(文献4)。米国医師会誌(略称JAMA)は、当ホームページでもときどき引用している専門誌ですが、1933年からおよそ20年間にわたり、そんなタバコ広告を堂々と載せていました。

その後、タバコについて無数の研究が行われましたが、「害がある」と結論した論文と「因果関係はない」とした論文が相半ばし、決着がつかない状態が長く続きました。

国内でも、日本たばこ産業株式会社(JT)を訴えた裁判があり、激しいバトルが繰り広げられていました(文献5)。被告JT側の証人となったある病理医は、「タバコが原因というなら動物実験などで証明してほしい」、「単に可能性ということであって、原因という意味ではない」、「確証がない以上、タバコをやめたほうがいいなどと国民に説明すべきでない」と述べていたのです。

タバコ論争が決着するまでに、実に70年余の歳月を要しました。

その他の主だった事例を次表にまとめました。

表 (画像)⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/oldmedicie.jpg

これらのエピソードを知るにつけ、「いまは常識でも、のちの世には非常識」となる出来事も、たくさんありそうな気がしてきます。とくに現在のコロナワクチン禍は、全人類の将来にかかわる重大事です。現代人にとって、ユーチューブ動画の削除問題も含め、「常識と思い込んでいたことの間違い」に気づくのは簡単なはずです。そうでなければ、過去の失敗から何も学ばなかったことになります。

【参考文献】
1) YouTube to remove all anti-vaccine misinformation. BBC News, Sep 29, 2021.
2) Pisoschi AM, et al., Antioxidant, anti-inflammatory and immunomodulatory roles of vitamins in COVID-19 therapy. Eur J Med Chem, Feb 4, 2022.
3) Kolata G, Cancer without chemotherapy: 'a totally different world', New York Times, Oct 4, 2021.
4) Bayratar M, More doctors smoke Camels than any other cigarette! TRT World, 2023.
5) Iida K, et al., Learning from Philip Morris: Japan Tobacco's strategies regarding evidence of tobacco harms as revealed in internal documents for the American tobacco industry. Lancet 363: 1820-1824, 2004.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4291 )
日時: 2023年11月20日 09:05
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.11.20)
Q 新薬開発に潜む社会病理?

 怪しげな開発経緯をたどった新型コロナワクチンが、なぜこれほどまで専門家と称する人たちに熱狂的に迎えられてしまったのか。『アルツハイマー病研究、失敗の構造』(カール・ヘラップ著、梶山あゆみ訳、みすず書房)という本も参考に、背景をまとめてみました。

2023年9月25日、アルツハイマー病の新薬が国内で認可されました。製薬企業のホームページには、「毒性の強いアミロイドベータをブロックし、脳内から除去して認知機能の低下を遅らせる、世界で唯一の薬」と説明されています。このニュースがテレビで報じられた折、「待ち望んでいた薬です」「これで認知症の治療が大きく変わる」との専門医のコメントもいっしょに紹介されていました。

この薬のランダム化比較試験について報じた論文によれば、認知症テスト(18点満点)を用い、症状の進行が1年半でどれくらい抑えられたかが評価されました(文献1)。結果は、この薬を使った人たちのほうで、プラセボ群より、わずか0.45点だけ進行が抑えられたというものでした。この結果に対し、「効果があったと言っても、家族も気づかないほど微々たるものであり、この薬の開発は失敗だったのではないか」との批判が殺到したのです(文献2)。

アルツハイマー病は、誰もが知っている病気です。進行すると、食事をしたこともすぐ忘れ、家族の顔も分からなくなり、ときに暴力的になるなどの症状が認められるようになります。脳に「アミロイドベータ」なる物質が溜まって起きる病気だとされてきたことから、着目されたのが、この異常物質を消し去る薬を作れないか、ということでした。

アミロイドベータ原因説が広まったきっかけは、1999年に米国の研究者がネイチャー誌に発表した論文でした。ラットを使った動物実験の結果があまりに明快であったため、世界中の研究者をとりこにしてしまったのです。しかしラットと人間は、同じではありませんでした。

実際、アミロイドベータを抑える薬も続々と開発されてきたのですが、いずれもうまくいっていません(文献3)。アミロイドベータをいくら抑えても、認知症の進行を止めることはできていなかったのです。

では、なぜ世界中の研究者と製薬企業が「アミロイドベータ原因説」にこだわり続けてきたのでしょうか。

新薬を発見したり、合成したりする基礎研究は大学などの研究者が担い、有望と判断される物質が見つかれば、ベンチャー企業の手に渡り、磨きがかけられます。その成果は、製薬企業によってそっくり買い上げられ、大規模臨床試験が始まる、という図式が定着しています。新型コロナワクチンの開発も、そうでした。

問題は、その背景にあります。流行のテーマにそって研究を行っている大学には、予算執行の権限を持つ行政機関も研究費を集中的に配分するようになります。その結果、名声を博した研究者は製薬企業から注目され、顧問として迎えられます。そして彼らのアドバイスで自信を深めた製薬企業は、大枚をはたいて大規模臨床試験にのめり込んでいったのではないか、というのが冒頭に紹介した本の主張です。

この本の著者は、自身がアミロイドベータ原因説に反対する立場の研究者でもあることから、その主張を全面的に認めるわけにはいきませんが、私がこれまで調査してきた情報と符号する部分をまとめれば、以下(※画像)のようになります。

(※画像)https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/alzheimer.jpg

さて、新型コロナワクチンの問題にも似たような構造が背景にありそうです。ご意見をぜひお寄せください。

【参考文献】
1) van Dyck CH, et al., Lecanemab in early Alzheimer's disease. N Engl J Med, Jan 5, 2023.
2) Belluck P, New federal decisions make Alzheimer's drug leqembi widely accessible. New York Times, Jul 6, 2023.
3) Rubin R, Who should-and can-get lecanemab, the new Alzheimer disease drug? JAMA, Sep 27, 2023.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4293 )
日時: 2023年11月27日 09:28
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.11.27)
Q 新型コロナワクチンで得た莫大な利益?

 コロナ禍にあって、陰で巨額のお金が動いていたであろうことは、容易に想像できるところです。メッセンジャーRNAワクチンの開発にかかわるお金の流れを、米国の研究者グループが徹底的に調べ、その結果を発表しました(文献1)。

米国政府は、ファイザー社とモデルナ社に、研究のための費用として2,530億円を以前から投資していました。加えて、コロナ禍になってから2022年3月までの約3年間、mRNAワクチンの開発、治験、製造、買い上げの費用として、総額3兆3千億円(1ドル=110円換算)を両社に支払っていたことがわかりました。この間、民間投資もあり、全体像は把握できなかったとのことです。

新型コロナワクチンの開発には、4つの先端技術の開発支援が必要だったとされていました。4つの技術とは、「脂質微粒子膜」、「mRNAの改造」、「トゲトゲ蛋白の遺伝子解析」、それに「臨床試験」です。しかし製薬企業は、これらの研究開発に、莫大な研究費を本当に必要としていたのでしょうか?

まず「脂質微粒子膜」の合成技術についてです。当ホームページのQ18(第4回)※1で図解したとおり、その作り方は昔から知られていたものであり、バイオの研究用キットとして市販もされていました。ノーベル賞受賞者ワイズマンとカリコ両氏の論文にも、「脂質微粒子膜は昔からあった方法に従って合成し、細胞への取り込みは市販の実験キットを用い説明書に従って行った」と書いてあります(文献2,3)。
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#PQ18 の第4回を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3708#3890 )

2つめの「mRNAの改造法」もすでに完成していた技術であり、また「トゲトゲ蛋白の遺伝子配列」も、新型コロナ感染症の発生直後、完全な情報が中国から論文として発表されていました。一方、モデルナ社では、新型コロナウイルスが蔓延する数年前にmRNAワクチンを作る技術を完成させており、ワクチンの元となる物質(抗原)の遺伝子配列をコンピュータに入力すればよいだけになっていたのです。

モデルナ社のバンセルCEOは、2019年末、スイス出張中に中国武漢市がロックダウンとなったことを知り、直ちに自社の研究室に連絡しました。連絡を受けた女性技術者ハミルトン・ベネット氏は「遺伝子配列がわかったら、すぐに取りかかるわ!」と返答。中国からの論文が発表された25日後には、ワクチンの試作品が完成していたと報じられています。

mRNAワクチンの研究をすでに終えていた製薬企業にとって、残されていた仕事は大規模臨床試験と、大量生産をするための工場作りだけでした。

最終的に、新型コロナワクチン1回分の製造原価は110~330円ほどだった、というのが専門家の試算です(文献4)。一方、両社は、米国政府の買い上げに対して1回分12,100円を請求していました。

では、ファイザー社とモデル社はどれくらいの利益を得ていたのでしょうか?

米国の別の研究者は、2社のコロナワクチン売上げ総額が11兆円で、純利益も6兆円を超えていたはずだとしています(文献5)。モデルナ社のCEOはインタビューに、「ワクチンの価値を考えれば妥当な額」と答えています。

次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/revenue.jpg )は、コロナ禍直前の2019年における巨大製薬企業の総売上げベストテンを3年後の2022年と比べたものです。なおモデルナ社は、2022年の総売上げ額が190億ドルとなり、初めて18位にラックインしています。

これまで両社は、自社株の不適切な売却(文献6)、治験担当医師の利益相反(文献7)、治験データのねつ造(文献8)など、数々の問題が指摘されてきました。ワクチンの副作用で苦しむ人が世界中に大勢いる現状にあって(たとえ救われた命があったとしても)、ビジネスは自由だからと納得してしまってよい話なのでしょうか?

【参考文献】
1) Lalani HS, et al., US public investment in development of mRNA covid-19 vaccines: retrospective cohort study. BMJ 380: e073747, 2023.
2) Laczko D, et al., A single immunization with nucleoside-modified mRNA vaccines elicits strong cellular and humoral immune responses against SRAS-CoV-2 in mice. Immunity, Oct 13, 2020.
3) Maier MA, et al., Biodegradable lipids enabling rapidly eliminated lipid nanoparticles for systemic delivery of RNAi therapeutics. Mol Ther, Jun 25, 2013.
4) Light DW, et al., The cost of coronavirus vaccines and their pricing. J R Soc Med, Nov 3, 2021.
5) Roy V, Financing covid-19 mRNA vaccines. BMJ, Mar 1, 2023.
6) Pfizer CEO made $5.6 million stock sale on same day as COVID-19 vaccine update. Reiters, Nov 12, 2020.
7) Becker C, Relationships between academic medicine leaders and industry - time for another look? JAMA, Nov 10.2020.
8) Thacker PD, Covid-19: researcher blows the whistle on data integrity issues in Pfeizer's vaccine trial. BMJ, Nov 2, 2021.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4296 )
日時: 2023年12月04日 10:17
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.12.4)
Q 『ワクチンで死者が9割減っていた』との報道は本当か?

 「もし全員がワクチンを受けていたら」、あるいは「もし接種が2週間早く始まっていたら」と仮定すると、新型コロナの感染者や死者が格段に減っていたはず、と結論する論文が発表され、多くの新聞が表題に記したような記事を掲載しました。

同じテーマを扱った論文は他にも複数あり、どれもコンピュータ・シミュレーションによるものでした(文献1~5)。「死者が大幅に減っていたはず」との主張が正しいのか、検証してみました。

まずコンピュータ・シミュレーションがどのようなものか、復習です。

次の図(GIF動画⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/newinfectionsimulation.gif )は、私が作った数式をコンピュータにインプットし、計算結果をグラフにしたものです(以前の当ホームページでも紹介)。目的は、もし海外からの感染者が増えると仮定すると、国内で爆発的な流行が起こることを示すためでした。海外からの感染者が1日1人のとき、実測値(棒グラフ)と計算で求めた値(点線)がうまく一致しています。以下、順に5人、10人、・・・と仮定した場合の結果です。このような実験が「コンピュータ・シミュレーション」と呼ばれるものです。
  
さて、全国紙にも取り上げられた最新の研究論文の結論は、以下のようなものでした(文献5)。

 ・もしワクチンがなかったと仮定すると、死者は364,000人になっていた。
  これは、ワクチンのお陰で死者数が97パーセント減少したことを意味する
 (NHKのホームページによれば、当時の死者数は18,354人)

シミュレーションは、2021年2月17日~同年11月30日の感染とワクチン接種状況に関するデータに基づいて行われたものでした。前者はHER-SYS(ハーシス)、また後者はVRSという厚生労働省の登録システムから取得したものです。HER-SYSから得られる感染情報は「誰が」、「いつ」、「どんな症状」だったかなどです。VRSには年齢、性別、ワクチンの接種日と回数などが登録されています。加えて、人々の行動を示すGPSデータも組み込まれました。

シミュレーションには多くの仮定が設定されましたが、とくに重要なのはワクチンの有効率です。有効率は「ワクチンを接種していた人」と「接種していなかった人」における死亡率の違いから求めていて、(年齢により異なり)38.0~88.6%だったとしています(文献5,6)。

この数値が正しいのかどうか検算する必要がありますが、厚生労働省のデータが非公開のため叶いません(文献7)。幸い、1編の委員会報告書からその一端を垣間見ることができるため、以下(※1)に一部を書き出してみました(文献8より一部改変)。

(※1)HER-SYSデータの集計結果(2021年6月中の国内報告総数)表画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/effectiveness.jpg   

この時期はワクチン接種が始まったばかりで「2回接種」の人数が極端に少ないため、「ワクチン未接種」と「1回接種」の人数だけを比べてみます。有効率は、一般的に

  (1-(接種者のオッズ/未接種者のオッズ))×100

と計算されます(文献9)。ところがこのデータでは、「未接種」よりも「1回接種」のオッズのほうが大きくなっています。つまり、このワクチンは有効どころか、むしろ死亡リスクを高めてしまうというデータになっているのです。

対象期間が、論文のそれと少し異なるため(論文では9ヵ月半、上表は同じ期間の1ヵ月分)、直接的な比較はできません。しかし、同じ日本国民でありながら対象となった人たちが異なるだけで、有効率はまったく別ものになってしまうことがわかります。

コンピュータ・シミュレーションには、本質的に2つの限界があります。ひとつは、実際に観測されたデータ(感染者数の実測値など)を模擬するだけの数式は、いくらでも作れるため、それが真実を表わしているかどうかの保証がないことです。

もうひとつの限界は、「仮定」をいろいろ設定しなければならず、それ次第で結果が大きく変わってしまうことです。

たとえば「有効率」は、「ワクチン接種をたまたま受けた人たち」と「受けなかった人たち」の死亡率から仮定したものでした。その元データは「後ろ向き調査」で得られたものであり、真実を表わしていないことは当ホームページ(2023.9.4付 ※2)でも繰り返し述べたとおりです。
(※2:記事⇒https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4208#4244 )

コンピュータ・シミュレーションで得られた結論は、正しいことの証明も、また間違っていることの証明もできません。新聞に掲載された記事は、重大な誤解を招いたのではないでしょうか。

【参考文献】
1) Sacco C, et al., Estimating averted COVID-19 cases, hospitalizations, intensive care unit admissions and deaths by COVID-19 vaccination, Italy, January-September 2021. Euro Surveill, Nov 25, 2021.
2) Mesle MM, et al., Estimating number of deaths directly averted in people 60 years and older as a result of COVID-19 vaccination in the WHO European Region, Dencember 2020 to Novemnber 2021. Euro Surveill, Nov 25, 2021.
3) Gavish N, et al., Population-level implications of the Israeli booster campaign to curtail COVID-19 resurgence. Sci Transl Med, Apr 12, 2022.
4) Kayano T, et al., Number of averted COVID-19 cases and deaths attributable to reduced risk in vaccinated individuals in Japan. Lancet Reg Health West Pac, Aug 11, 2022.
5) Kayano T, et al., Evaluating the COVID-19 vaccination program in Japan, 2021 using the counterfactorial reproduction number. Sci Rep, Oct 18, 2023.
6) Ko YK, et al., Age-dependent effects of COVID-19 vaccine and healcare burden on COVID-19 deaths, Tokyo, Japan. Emerg Infect Dis, Jul 12, 2022.
7) 林正洋, COVID-19 HER-SYSデータ利活用推進手法の提案及びダミーデータLOD. Linked Open DataチャレンジJapan 2022受賞作品, Nov 28, 2022.
8) 厚生労働省, 資料2-5 HER-SYSデータに基づく報告. 第47回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月11日開催).
9) Jackson M, et al., The test-negative design for estimating influenza vaccine effectiveness. Vaccine, Apr 19, 2013.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4298 )
日時: 2023年12月11日 09:35
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.12.11)
Q ワクチン副作用の実情とは?

 副作用で長期にわたり苦しんでいる人が少なくありません。そんな実情の一端をご紹介します。

ある女性の場合

関西在住のAさん(42歳)は、突然、激しいめまいに襲われました。実は3週間ほど前、一大決心をして新型コロナワクチンの1回目接種を受け、何ごともなくホッとしていたところだったのです。すぐに病院へ行き、さまざまな心臓の検査を受けましたが、どれも異常はありません。次に神経内科のある病院を探し、脳のMRI検査などをしてもらいました。しかし、やはり異常は見つかりませんでした。

どの病院でも、医師からは「何も問題がないので、2回目のワクチン接種を必ず受けるように」と言われたそうです。しかし、あまりの辛さに2回目の接種は受けないことに決めました。今度は耳鼻科を受診しましたが、同じことが繰り返されるばかりでした。この間、9種類の薬が処方されています。

しばらくしたある日、皮膚がかゆいことに気づきました。胸にポツポツと赤い斑点があります。Aさんは、もしかしてワクチンの影響ではないのかと、考えるようになりました。皮膚科では白癬菌や疥癬の検査がありましたが、どれも陰性だったため、塗り薬が処方されただけでした。しかし、めまいとかゆみはしだいに悪化。やがて両足に力が入らず、歩くことも辛くなってきました。

最後の頼みは大学病院です。紹介を書いてもらいましたが、場所は県外でした。自力で移動することができないため、高額の料金を支払ってタクシーで行くしかありませんでした。

大学病院の診察室に入ると、いきなり医師から「ワクチンの副作用は接種してから2、3日以内に起こるもの。どこも悪くないから、これで診察は終わり」と高圧的に告げられたのです。この先どうすればいいのかわからなくなり、家にとじこもるばかりの日々を過ごしています

「タイムマシンで、幸せだったあのころに戻りたい」というのがAさんの願いです。


ある男性の場合

東北地方のある都市に住むBさん(52歳)は、ワクチン接種を受けた1か月後、足首が脹れていることに気づきました。整形外科でレントゲンを撮ってもらったところ、変形性関節症との診断でした。

しばらくすると、太ももが痛く、足を挙げようとすると違和感を覚えるようになりました。病院で受けたMRIなどの検査は、すべて異常なしでした。しかし、症状はしだいに悪化し、エスカレータを踏み外したりするようになり、横になって過ごす日が多くなっていきました。

ネットでいろいろ調べているうち、「ワクチン副作用外来」と表示したクリニックが郊外にあることがわかりました。早速、受診しましたが、毎日のように点滴が行われ、漢方などの薬も次々に処方されました。いくら通っても効果がなく、むしろ症状は悪化していることを伝えたところ、医師の態度が急変。「もう当院で診れないから」と告げられたのです。結局、5つ以上の医療機関を受診しましたが、何も解決しませんでした。

ある日、Bさんは予防接種健康被害救済制度なるものがあることを知りました。しかし市役所の窓口では、膨大な書類や証明書が必要であることと、手続きに1年から1年半以上かかることが告げられました。

イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/documents.jpg 

そのころには、歩けないばかりか、体を起こすこともままならず、書類を記入することさえ難しくなっていました。職を失い、貯金も底をつきそうになっています。ワクチン被害の相談窓口を探し出し、手当たりしだいに電話をかけましたが、どこも話を聞いて終わってしまうだけでした。

Bさんは、「命の危険を感じている。誰か助けて!」と訴えています。

(以上は、当ホームページに寄せられた多数のお便りを編集したものです。特定の人を指してはいませんが、個々のエピソードはお便りのままとお考え下さい)


まとめ

「自分の周りにワクチンで不幸になった人はいない。みんな騒ぎ過ぎでは!」というコメントがSNSに掲載されていました。しかし、ここで紹介したような実情があるのも、また確かです。残念ながら、ワクチンの副作用を証明する方法も、また否定する方法もまだありません。未知の困難に対処する人々の知恵と思いやりが、いま問われています。
   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4300 )
日時: 2023年12月18日 09:38
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.12.18)
Q 流行の後遺症治療法にご注意?

 「ワクチンの副作用」や「コロナの後遺症」で辛い思いをしている人たちにとって、最後の頼みが漢方、あるいは民間療法となっています。しかし、問題もいろいろありそうです。

幹細胞治療

未認可の医療として行われているもののひとつに、幹細胞治療とエクソソーム治療があります。幹細胞は、自分自身の脂肪組織や骨髄から、あるいは赤ちゃんの臍帯血から抽出したもので、さまざまな細胞に成長していく能力を有したものです。病気で傷んだ組織を修復してくれる作用が期待されているのですが、いまのところワクチンの副作用に対しても、またコロナの後遺症に対しても正式な研究発表はありません。

エクソソームについては、当ホームページのQ18(第一回)※1で、アニメで説明したとおりです。簡単に言えば、どの細胞からも放出される「破片のような微粒子」で、サイトカイン(ホルモン様物質)や遺伝子断片を含んでいるものもあります。新型コロナ感染症など、さまざまな病気の治療に実験的に使われていますが、やはり確かなデータはありません(文献1)。
(※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#PQ18 の第一回を参照)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3801#3836 )

米国やメキシコを中心に、この2種類の治療法をビジネスとして展開する企業が一時期、1,500社を超えていたとのこと。最初のころはコロナの感染を予防できることをうたい、そのうちに同じ製品でありながら、眼病や原因不明の痛みに有効など、宣伝文句が変わっていき、一旦倒産した会社が社名を替えて再登場するなど、無軌道なビジネスが横行している、と訴えている研究者もいます(文献2)。

最大の問題は、製造方法がずさんで細菌などが混入している製品があることです。そのため感染症を起こしたり、副作用で失明した人がいるとも報じられています(文献3)。未承認の製品であることから、医師側に副作用の報告義務もなく、実際の健康被害は甚大な数に昇っているのではないかとの意見もあります。

このような発想に基づいた製品は、ほかにもいろいろあります。たとえばプラセンタ(胎盤)から抽出した成分を筋肉に注射するという方法が日本でも行われています。当然、自分の体から出たものではありませんから、リスクも高い可能性があります。


漢方薬

次に漢方についてです。中国の伝統医療(中医)を参考に、日本で独自に発展してきた医療が漢方です。西洋医学とは異なり、症状や病気の一つ一つに処方されるわけではなく、体の状態を「陰証・陽証」や「虚・実」、「気・血・水」、「六経分類」などの物差しで判定し、漢方処方が選ばれます。したがって、漢方に対する深い知識と技量が求められるのですが、病院で安易に処方されてしまう風潮もあるようです。

イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/kanpou.jpg         

漢方薬を処方した患者さんからは、「お陰様でなんとなく良くなってきました」という言葉が返ってくることがあります。しかし個人の感想ではなく、やはり重視すべきは統計学的根拠(エビデンス)があるかどうかです。以下、ワクチンの副作用とコロナの後遺症に限定し、漢方の効果について検証します。

問題は、漢方薬に関して大規模なランダム化比較試験がほとんど行われてこなかったことです。何故なら、漢方薬には以下のような宿命的な難しさがあるからです。

1 複雑な色と味を有する漢方薬では、味も見た目もそっくりなプラセボが作れない
2 体の調子をはかる物差しが複雑で客観性に乏しいため、厳密な統計処理が難しい
3 種類が多く、組合せが膨大となるため、個々の処方に対する大規模調査ができない
4 理論的根拠が乏しいため、臨床試験の結果を解釈するのが難しい

4番目の問題点については、こんなデータもあります。鍼治療のいわゆるツボは150箇所以上あるとされていますが、米国のある調査団が本場中国の代表的な鍼専門院2ヵ所で聞き取りを行ったところ、同じ目的でもツボの選び方が施術者によって大きく異なることがわかったそうです(文献6)。つまり鍼治療や漢方薬のように経験則に基づく医療は、客観性に乏しいということなのです。

そんな困難にもめげず、漢方薬を「普通の風邪薬」と比べたランダム化比較試験がいくつか行われています。しかし結果は、症状を改善する効果において、両者に差がなかったというものでした(文献4,5)。

漢方は、人々の不安を解消する医療として広く認められている存在ですが、効果と副作用が正しく評価されているかという観点では、まだ課題がたくさん残されていることになります。

今後、自然の回復力を妨げない確かな治療法の研究発表があれば、当ホームページで順次、取り上げていくつもりです。一方、「コロイダルシルバー(銀の極微粒子を含んだスプレー)」、「オゾン療法(血液クレンジング)」、「エッセンシャルオイル(精油)」、「ハーブ茶」など不確かな民間療法が続々登場してきていますので(文献2)、くれぐれもご注意を。

【参考文献】
1) Rezabakhsh A, et al., Application of exosomes for the alleviation of COVID-19-related pathologies. Cell Biochem Funct, May 19, 2022.
2) Turner L, et al., Businesses marketing purported stem cell treatments and exoxome therapies for COVID-19: an analysis of direct-to-consumer online advertising clams. Stem Cell Rep, Nov 14, 2023.
3) Eastman Q, Study shows business selling unapproved stem cell treatments have turned to long COVID. JAMA, Nov 29, 2023.
4) Okabayashi S, et al., Non-superiority of Kakkonto, a Japanaese herbal midicine, to a representative multiple cold medicine with respect to anti-aggravation effects on the common cold: a radomized contrlled trial. Intern Med, 53: 949-956, 2014.
5) Takayama S, et al., Multicenter, randomiozed controlled trial of traditional Japanese medicine, kakkonto with shosaikotokakikyosekko, for mild and moderate coronavirus disease patients. Front Pharmacol, Nov 9, 2022.
6) Napadow V, et al., A systematic study of a acupucutre practice: acupoint usage in an outpatient setting in Beijing, China. Complement Ther Med, Dec 2004.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4302 )
日時: 2023年12月25日 09:34
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2023.12.25)
Q&A コロナワクチン国家賠償請求訴訟 始まる?

コロナワクチン接種のあと重い健康障害が残り、あるいは死亡したことについて、国と製薬企業を相手に裁判を起こした、という事例が2件あります。今週から数回にわたり、その概要をお伝えします。以下は、訴訟を担当する弁護士事務所の許可を得て、すでに公表されている情報をまとめたものです(文献1)。

まず今回は、九州の裁判所に提出された訴状についてです。訴えたのは、ファイザー社製の新型コロナワクチンを接種し、22日後に死亡した男性A(享年56歳)の親族Bでした。

男性Aには、いくつかの既往症がありましたが、医師からは問題なしと判定され、第1回目の接種が行われました。その後の3日間、体調不良と高熱が続きクリニックを受診。呼吸も苦しい状態でしたが、自宅で様子をみるよう勧められました。接種9日目、再度受診し、コロナの抗原検査が陽性であることを告げられました。

その折、症状が重かったことから、保健所の介入で入院となりました。入院3日後(接種12日目)、エクモ治療(人工肺のこと)が必要と判断され、転院。転院10日後(接種22日目)に死亡した、と記録されています。

しかし親族Bには、2つの病院からも、また行政からも連絡がなく、病理解剖もなされず、親族の同意なく火葬が行われました。

死亡してから11日が経った日、自宅の賃貸人の関係者を通じて、男性Aの実父に死亡の事実が初めて伝えられました。実父は入院中であったため、親族Bが役所に問合せたところ、死亡の事実が伝えれ、遺骨を取りに来るようにと言われました。役所に出向いたところ、死亡についての簡単な説明と火葬料の請求話などが淡々と続くだけで、Bは腹立ちを覚えたと記してます。

死亡の真相をどうしても知りたいと考えたBは、改めて市役所の窓口を訪れましたが、「ワクチンの種類や接種場所は個人情報なので答えられない。あれこれ詮索すると今後、あなたにとって不都合なことになりますよ」と言われたとのこと。

訴状は、国とファイザー株式会社、および接種に関わった市町村を被告とする形で提出されました。その要旨は以下のようなものとなっています。

 ・未知のワクチンでありながら安全性の検証がまったくなされないまま、自画自賛
  によって拙速に特例承認がなされたこと
 ・ワクチン接種を積極的に推進してきた内閣総理大臣、厚生労働大臣、コロナ特命
  担当大臣、ワクチン接種推進担当大臣など政府要職にあった人々、また感染症
  対策分科会長などが説明責任を果たしてこなかったこと
 ・ワクチンによって作られたスパイク蛋白が血管内皮細胞に損傷を与えている知見
  が無視されていること
 ・本ワクチンによって作られた抗体だけでは感染予防効果がなく、重症化予防効果
  もないことがデータで示されている
 ・専門知識のない接種担当医師が、重大な有害事象を問診で予防できるはずがない
  こと

<イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/shouso.jpg          

この訴えに対して、国側から「請求を棄却するように」との主旨の反論(答弁書)が裁判所に提出されました。そこには次のような記述がなされていました。

 ・このワクチンは臨床試験により有効性・安全性が確認され審議会の議論をへて
  承認されたものである
 ・臨床試験で確認された有効性は、感染そのものを防ぐ予防効果や症状が出ても
  重症にならないようにする重症化予防効果ではなく、発症予防効果に基づいて
  確認されている(意味不明―この文のみ原文のまま)
 ・特例承認などの違法性、またはワクチン接種と死亡との訴訟法上の因果関係に
  ついて、立証責任が国側にあると主張するのであれば、今後の裁判で争う
 ・本人は接種9日目に新型コロナウイルスに感染していた

なお、2つめはわかりにくい文章ですが、ファイザー社が行った唯一のランダム化比較試験の論文データを指していると思われます。

以上が1つめの訴訟にいたる経緯を簡単にまとめたものですが、実際には膨大な内容の書類が交わされています。2023年12月25日現在、まだ書類のやり取りがなされているだけで、それ以上の進展はないようです。次回は、2つめの訴訟について報告の予定です。

【参考文献】
1) 『ワクチン薬害救済基金 特設サイト』, 木原功仁哉法律事務所,
   https://kiharalaw.jp/vaccine-drug-relief-fund/

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4304 )
日時: 2024年01月01日 10:41
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2024.1.1)
Q&A コロナワクチン国家賠償請求訴訟 第二報?

今回は、2つ目の訴訟について、担当弁護士事務所の許諾をえて概要をまとめました。コロナワクチン接種後、副作用による重い健康被害に遭った女性Y(41歳)とその夫が、国と製薬企業、それに接種を担った地方自治体(市)を訴えたという事例です(文献1)。


経 過

原告の女性Yは、不整脈などを指摘されたこともあり、直前まで打つかどうか迷っていました。しかし接種会場で、問診担当の医師から心臓に異常があるなら、むしろ打った方がよいと告げられました。すると、これを横で聞いていた誘導係の女性からも、「打ったほうがいいわよ」と言われ、逃げられなくなったと感じたそうです。結局、その日、ファイザー社製ワクチンの接種を左腕に受けました。

接種して間もなく、体中に麻酔薬が流れるような感覚に襲われ、呼吸が苦しくなり倒れ込みました。血圧も低下してきましたが、医師の判断で救急車を呼ぶことはありませんでした。しばらく横になっていると、会場が閉まるからと帰宅を促されました。帰り際、医師から「申し訳ありませんでした」との言葉が女性Yにかけられた、とのことです。

帰路、あまりに症状が辛く、県の担当窓口に問い合わせたところ、すぐに救急車を呼ぶようにとの指示がありました。そのまま接種会場に戻り、救急外来に搬送となりました。診察の結果は、ワクチン接種後の副作用の疑いがあるというものでした。

接種2日目、発熱、動悸、息切れなどが続き、左側の上半身のしびれなども出てきたため、再び救急病院を受診。そこでも、ワクチン副作用の疑いと診断されています。

その後の2ヵ月間、左眼の充血、左半身の痛み、さらに強い頭痛、しびれ、動悸、歩行障害、めまいなどが続き、寝たきりを余儀なくされるほどだったとのことです。接種76日目に心臓の専門科を受診した際には、「検査データに異常はないが、ワクチン副作用の可能性があり、心膜や心筋に炎症があってもおかしくない」と言われています。

動悸や息切れの症状は、その後も続き、キッチンに30分以上立っていられず、ゆるい坂道を少し歩いただけで苦しくなるほどでした。さらに左顔面のまぶたや唇が垂れ下がるなどの症状(ベル麻痺の症状;筆者注)も加わっていました。

<イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/sesshukaijou.jpg >    

提 訴

女性Yは予防接種健康被害の救済申請を行いましたが、認定されるまでに2年近くもかかり、しかも申請書に記載した初期の頃の症状に限り医療費が支払われ、その後に現れた麻痺などは対象外であることもわかりました

思い余った女性Yは、弁護士に相談し、国とファイザー株式会社、それに集団接種会場を設けた市に対して、総額6千万円を超える賠償を求める裁判を起こすことにしました。この人の願いは、「ワクチンを打つ前の元気だった体を返してほしい」というものです。

訴状には、1例目とほぼ同じ主張が、盛り込まれました。つまり国に対しては、本ワクチンの安全性が証明されていないにもかかわらず、特例承認がなされたこと、ワクチン接種を勧めてきた政府、専門委員などが説明責任を果たしてこなかったこと、スパイク蛋白や脂質微粒子が自己免疫力を低下させ帯状疱疹などを増加させていること、ワクチンには感染予防効果も重症化予防効果も証明されていないこと、などです。

ファイザー社に対しては、国との免責契約が無効であり、同社の責任は免れないとの主張が明記されました。またワクチン接種を担当した市に対して、以下のような重大な過失があったと主張しています。

 ・具合が悪くなったあと、会場で横にさせただけで、何の処置もせず帰宅させた
 ・救急搬送を要する状態であったにもかかわらず、行わなかった
 ・有害事象が発生した際に講ずる医療的処置の体制を、事前に確立していなかった

原告の弁護士が提出した訴状に対し、国は14人もの代理人の名を連ね、「検討中」と記した書類を裁判所に提出。ファイザー社は、「当社が義務を負うという主張については争う」と言明しました。また接種会場を設けた市側は、接種したのが左右どちらの腕か不明であること、現場の医師らは専門的知識に基づいて適切に対応したこと、などを記した反論(答弁書)を裁判所に提出しました。

この訴訟については、原告と担当弁護士が記者会見を行い、その模様が2023年9月20日、NHK大相撲中継の途中、全国ニュースの時間帯に報じられました。NHKがワクチン被害による訴訟を全国ニュースで取り上げたのは、これが初めてでした。

(本記事は2023年9月25日に掲載した内容※1の詳報です)
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4206#4259

【参考文献】
1) 『ワクチン薬害救済基金 特設サイト』, 木原功仁哉法律事務所, https://kiharalaw.jp/vaccine-drug-relief-fund/

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4307 )
日時: 2024年01月08日 10:08
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2024.1.8)
Q&A コロナワクチン健康被害訴訟では何が争われるのか?

2つの国家賠償請求訴訟について、前々回と前回の記事で概要を報告しました。すでに原告の訴えを全否定する国側の姿勢もあきらかとなっていて前途多難です。その背景も踏まえて、コロナワクチン裁判では何が争われるのか、何で争うべきなのかを改めて考えてみることにします。

これまで当ホームページでは、皮膚、心臓、腎臓、肺、血管などの組織に対する免疫組織染色(2023年9月18日の当ホームページ記事(※1)参照)が、ワクチンとの因果関係を示す決定的な証拠になるはずと、繰り返し述べてきました。しかし、そのためには生検や病理解剖などが行われて、組織の一部が保存されている必要がありますが、この条件を満たす事例はほとんどないことがわかってきました。
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4206#4255 )

では、接種した腕の側の半身に症状が認められた場合、因果関係を示す論拠となるでしょうか? 国家賠償請求の訴状のひとつには、接種したと同じ左半身にさまざまな症状が現れたと記されていました。これに対し、ワクチン接種会場を運営した地方自治体(市)は、裁判所に提出した答弁書の中で、「接種したのが左右どちらの腕か不明である」とあえて記しています。市側は何を言いたかったのでしょうか。

そこで、ワクチンを接種した側に副作用が起きやすいのかどうかを検証してみることにします。たとえばベル麻痺の症状は、ワクチンの副作用としても広く認識されていて、左右いずれかの顔面に生じるものですが、接種した腕と同じ側に多いかどうかは報告データがなく、残念ながら不明です。昔から左側に多いことも知られていましたので、たとえ左腕に接種したあと同側の顔面にベル麻痺が生じても、ワクチンのせいとは言えないことになります。

帯状疱疹も、その外見から左右差があきらかな病気であり、接種後の副作用のひとつであることも知られています。世界の統計によれば、右利きの人が約9割だそうですから、利き腕と反対の左側に接種している人が多いはずですが、ワクチン接種後の帯状疱疹をまとめた論文によれば、左側と右側の発生数はほぼ同じでした(文献1)。

つまり、接種した側にベル麻痺や帯状疱疹、あるいは眼症状などを認めたことをもってワクチンの副作用であるとする主張は、被告側(国など)の証人からみれば、簡単に反論ができてしまいそうです。

では今後、裁判を有利に進めるための絶対条件は何なのでしょうか?

残された論点のひとつは、新型コロナワクチンを評価した数々の学術論文に認められた分析法の誤りとデータの不正操作です。この点にこそ、国家を相手とする裁判の意義があるのではないでしょうか。

国も専門家も、後ろ向き調査、とくに「テスト・ネガティブ分析の結果」を正しいものと信じて疑いません。この分析法は、コロナの検査を受けて「陽性になった人たち」と「陰性だった人たち」の接種歴を比べるという単純なものですが、著しく信頼性を欠くことは2023年9月4日の当ホームページ(※2)で指摘したとおりです。
(※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4206#4243 )

そして、この誤解こそが、ワクチンを信奉する「世論」を形作っています。当ホームページあてに届いたお便りの中に、「チャットGPTにワクチンの意義を聞いてみた」という興味深いものがありました。以下は、2023年3月6日の当ホームページ(※3)でも紹介したAIの回答ですが、そんな世論をまさに反映したものとなっています。
(※3:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#Pt2 の(2023.3.6)Q 討論:ワクチン問題はどう決着させればよいのか? を参照)
(※3:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3708#4016 )

<イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/AI_GPT.jpg

当然、裁判官もこんな世論につられて、判決を下してしまうに違いありません。

論文データの不正や後ろ向き調査の欠陥を世に問うために必要な知識は、難しい数学の問題でなければ、医学の問題でもありません。よく考えれば誰にでもわかるはずの、この簡単な話を、人々の感性にどう訴え、誤りを正していくのか、という知恵くらべになるのではないでしょうか。

加えて、ワクチンを接種した人たちほど感染しやすかったという厳然たる事実があることも、争点として忘れることはできません(文献2,3)。

【参考文献】
1) Desai HD, et al., Can SARS-CoV-2 vaccine increase the risk of reactivation of varicella zoster? a systematic review. J Cosmet Dermatol 20: 3350-3361, 2021.
2) Subramanian SV, et al., Increases in COVID-19 are unrelated to levels of vaccination across 68 countries and 2947 counties in the United States. Eur J Epidemiol, Sep 30, 2021.
3) COVID-19 & Winter Statistical Report. Public Health Scotland, Feb 16, 2022.

   
   
Re: あやまちを繰り返さないために ー 新型コロナのエビデンスより ー(5) ( No.4313 )
日時: 2024年01月15日 09:31
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析
 正しい情報を偏りなく


今週の新情報

(2024.1.15)
Q&A 長引くワクチン副作用の正体がわかってきた?

「コロナワクチンの副作用による症状が、かなり長引くことがある」との見解が科学専門誌『サイエンス』に掲載された論文で示されました(文献1)。コロナ後遺症は英語でLong Covidと称されますが、これに倣ってLong Vaxと呼ぶ専門家もいる、ということです。Vaxはワクチンの略称です。

このような論文が一流の専門誌に掲載されるのは初めてのことですから、関連情報を探ってみました。

米国のある専門家は、「これまで医師たちは、ワクチン接種後に何らかの症状や病気の発症を認めたとしても、患者が1,2人しかいなかったため「単なる偶然」と考えてきた。しかし患者数が10人、20人と増えるにつれ、そうも言っていられなくなってきている。火のないところに煙は立たない」と同誌のインタビューに答えています。

同論文によれば、Long Vaxの特徴は、症状が接種後数日から数週間経って現れること、細い神経線維が炎症を起こしているため、ズキズキとした疼き、刺されるような痛み、焼けるような感覚などがあることです。また、血圧上昇、倦怠感、頭がもやもやするなどの症状を伴うことが多く、ときには立ち上がったときに脈拍数が急増する体位性頻拍症候群が認められます。

副作用のメカニズムについては、新たな理論もあります。ワクチンによって体内で過剰に作られた抗体が、異物とみなされ、抗体の抗体ができてしまうという新説です。一種の自己免疫反応と言えますが、これが細胞表面にあるACE2という名の酵素と結合して、結果的に血圧や脈拍変動を悪化させるのではないかというのです。その結果、生じる症状が体位性頻拍症候群であり、高血圧です。

ちなみにACE2はさまざまな細胞の表面にあり、血圧上昇を抑えたり、炎症を鎮める重要な役割を担っていますが、新型コロナウイルスのスパイク蛋白(トゲトゲ蛋白)が体内で最初に結合する部位として有名になりました(文献2)。そして前述した「細い神経線維」の表面には、このACE2が多数存在していることもわかってきました。

このように副作用のメカニズムにも新たな視点が加わり、治療法も一歩前進するのではないかとの期待が高まっています。ただし一連の症状は、すでに当ホームページでも報告してきた「ワクチン後遺症」にもよく似ています。その区別は、どうすればよいのでしょうか?

まず新型コロナウイルスの構造についておさらいです。ウイルスの本体であるRNAは、4種類の蛋白質に囲まれています。以下の図(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/nprotein.jpg )は、その概要です。

ポイントとなるのはN蛋白です。RNAを畳み込んで遺伝子を保護するという役割の蛋白質ですが、mRNAワクチンの接種によって体内で作られることはありません。

幸い、S蛋白とN蛋白に対する抗体が人工的に作られていて、ネットでも購入できるようになっています。この2つが手に入れば、2023年9月18日付の当ホームページ記事(※1)で示した原理により、2種類の蛋白が体内に存在するかどうかを検査することができます。
(※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4206#4255 )

検査の結果、もし両方ともプラスであれば、過去、新型コロナウイルスに感染していたことになり、またS蛋白だけがプラスで、N蛋白がマイナスであれば、感染はなくワクチン接種後であることの証明になる、というわけです。

ただし国内では、すでに8割を超える人がコロナワクチンを1回以上接種していて、しかも無症状で気づかなかった人も含めると非常に多くの人が新型コロナウイルスに感染してしまっています。そのため、「ワクチンの副作用」と「感染の後遺症」の違いを研究しようとしても、適切な該当者を探し出すのが困難になっているという問題もあります。

それにもめげず、ワクチンの副作用と感染の後遺症のいずれかと診断された500人を集め、いくつかの治療法を試みるという臨床試験が始まっています(文献1)。その成果は、発表がありしだい当ホームページで報告の予定です。

【参考文献】
1) Vogel G, et al., Rare link between coronavirus vaccines and long Covid-like illness starts to gain acceptance. Science, Jul 3, 2023.
2) Sriram K, et al., What is the ACE2 receptor? ASBMB Today, May 16, 2020.

【付 録】
 北海道放送報道部 道警ヤジ排除問題取材班 著 『ヤジと民主主義』(ころから社、2022年)は、「おかしいことはおかしいと言う」というジャーナリズム精神が全編を貫く啓もう書で、コロナワクチン問題にも共通する背景が感じられます。同書には、重要証言者が2021年12月、間質性肺炎で亡くなったという、気になる記述もありました。この時期は、ほとんどの国民が1回目か2回目のコロナワクチン接種を受け終わったころであり、間質性肺炎という病気も代表的な副作用のひとつだからです。

   
   
1
▲ページの最上部に移動
タイトル
お名前
削除キー( ※記事を後から削除する際に使用します )
コメント
画像


文字色
Powered by Rara掲示板