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『大西民子全歌集』(沖積舎86/3) 愉しい本棚 投稿日: 2020年02月02日 10:13:09 No.764

 ☆☆☆
〇「形成」に在って知的・幻想的にうたいつづける歌人の40年余にわたる未刊歌集「風水」を含む全7冊・3903首を収録の大冊。
〇大西 民子(おおにし たみこ、1924年(大正13年)5月8日 - 1994年(平成6年)1月5日)は、昭和期の日本の歌人である。本名は菅野 民子(かんの たみこ)。日常の風景をあらわした短歌で知られる。

〇経歴
1924年(大正13年)5月8日、岩手県盛岡市八幡町に、父・菅野佐介、母・カネの三姉妹の次女として生まれる。

盛岡市立城南尋常小学校、岩手県立盛岡高等女学校(現岩手県立盛岡第二高等学校)を経て、奈良女子高等師範学校(現奈良女子大学)へ進む。石川啄木に憧れ、在学中に前川佐美雄の短歌指導を受ける。卒業後、岩手県立釜石高等女学校(現岩手県立釜石南高等学校)の教諭となり、終戦を迎えた。1947年(昭和22年)結婚、男児を早死産し半年あまり病床にあった。

1949年(昭和24年)埼玉県大宮市(現・さいたま市)に居を移し、埼玉県教育局職員(地方公務員)となる。このころ木俣修に入門、のち「形成」創刊に参加、編集等に携わる。1956年(昭和31年)、第一歌集『まぼろしの椅子』を刊行、以後、『不文の掟』『無数の耳』『花溢れゐき』と続く。10年間別居中の夫と協議離婚。1972年(昭和47年)には同居していた妹、佐代子の急死により身寄りのすべてを失う。1973年(昭和48年)、『雲の地図』を刊行。以後『野分の章』『風水』『印度の果実』『風の曼陀羅』を刊行する。

1983年(昭和58年)、木俣修の死去に遭い、「形成」の継続発行に尽力し、10年後解散する。路頭にまよう会員を気遣い、病をおして、1993年(平成5年)波濤短歌会を持田勝穂と共に結成、「波濤」創刊号を発刊するがその直後の1994年(平成6年)1月5日、自宅にて死去。享年69。遺歌集『光たばねて』が刊行される。

2000年(平成12年)、大西を顕彰して波濤短歌会が「大西民子賞」、大宮市が「現代短歌新人賞」を創設する。

評価
日常のささやかな事象を取り上げ、自らの思いを込めてゆく作風で知られる。何気ない場面から、不穏な雰囲気をつかみ取る作歌スタイルを指して、小高賢は「まるで推理小説を読むよう」と評している[2]。孤独と心傷を流麗な言葉によって歌いあげつつ、生と美の豊かさを追求した[3]。

第一歌集『まぼろしの椅子』は夫との生活の破綻をモチーフとする。知と情の狭間にある女性の生き方を表現した歌集であり、歌壇に広く反響を読んだ[4]。特にこの歌集に収録された代表作「かたはらに置くまぼろしの椅子……がれて待つ夜もなし今は」は、「家庭を裏切った夫を待ち続ける若い妻」の哀切を表現し、多くの読者の共感を得た。この一首により大西は歌壇で広く知られる歌人となり、また、この一首が大西のイメージを定着化させてしまった。その点を踏まえ、長年の友人であった馬場あき子は大西短歌のテーマとして、「不運の予感」「故郷喪失」「流亡の相」「欠落した部分への関心」「生きてゆく上のさまざまな不安」を挙げている。

第二歌集『不文の掟』は、夫が去った後の孤独と内的葛藤をモチーフとする[6]と同時に、想像力を駆使した幻想の世界を展開させ、その幻視性は第三歌集『無数の耳』へと続く。日常生活において小さな欠落を発見することに大西は関心を向けるが、それらの歌は、あらゆる存在を危うくする不安の要因が無数に潜んでいることを読者に訴えかける[7]。また、第五歌集『雲の地図』では唯一の肉親である妹を失っての悲嘆を昇華させた[8]。13年間を同居した最愛の妹の急逝に遭い、哀切な直情を短歌とした[9]。その後、大西の歌世界における孤独感はより一層強まる。内面の悲しみを直視した世界を展開させ、迢空賞を受賞した第七歌集『風水』に結実する。

第七歌集『風水』は単独歌集ではなく、昭和56年に刊行された『大西民子全歌集』に未刊歌集として収録された。公務員として男性優位社会の中で生きる女性のひりひりした神経や苦しさを捉えるなど、独自の視点をさらに深めている。また、失うものの無くなった天涯孤独の生の在り方を再確認することで、歌の中にゆとりのような豊饒さが生じている。これは、「欠落への関心」をテーマとしてきた大西の新展開でもあった。それに伴い、幻視の手法においてもより一層の現実感が生じている。

〇受賞歴
1965年(昭和40年) - 「季冬日々」により短歌研究賞受賞。
1982年(昭和57年) - 『風水』により迢空賞受賞。
1988年(昭和63年) - 埼玉県岩槻市浄国寺境内に歌碑建立。
「一本の木となりてあれゆさぶりて……のを風と呼ぶべく」を刻む。
1992年(平成4年) - 『風の曼陀羅』により第7回詩歌文学館賞受賞。11月に紫綬褒章受章。
2000年(平成12年) - さいたま市氷川の杜文化館の庭内に歌碑建立。碑歌は
「かたはらに置くまぼろしの椅子……がれて待つ夜もなし今は」
〇著書
『まぼろしの椅子 大西民子歌集』新典書房 1956 形成短歌新書 のち短歌新聞社文庫
『不文の掟 歌集』四季書房 1960 形成叢刊 のち現代短歌社文庫
『歌集 無数の耳』短歌研究社、1966
『花溢れゐき 大西民子歌集』短歌研究社 1971 形成叢刊
『雲の地図 大西民子歌集』短歌新聞社 1975 形成叢刊
『石の船 自選歌集 大西民子歌集』短歌新聞社 1975 現代歌人叢書
『野分の章 大西民子歌集』牧羊社 1978 形成叢刊
『大西民子全歌集』沖積舎 1981
『海の記憶 大西民子歌集』沖積舎 1981
『歌集 風水』沖積舎、1986
『印度の果実 大西民子歌集』短歌新聞社 1986 現代短歌全集
『現代短歌入門自解100歌選 大西民子集』牧羊社 1986
『歌集 風の曼荼羅』短歌研究社 1991
『添削教室』短歌新聞社 1992
『光たばねて 大西民子歌集』波濤短歌会編集 短歌新聞社 1998
〇関連書籍
沢口芙美『大西民子の歌』雁書館 1992 現代歌人の世界
原山喜亥編『青みさす雪のあけぼの 大西民子の歌と人生』さきたま出版会 1995
北沢郁子『回想の大西民子』砂子屋書房 1997
有本倶子『評伝大西民子』短歌新聞社 2000


『戦後代表詩選1.2』鮎川信夫/大岡信/北川透(思潮社06/6.9) 愉しい本棚 投稿日: 2020年02月01日 18:48:09 No.763

 ☆☆☆
〇戦後詩を主導してきた3人の詩人、詩論家が、討議を重ねて選んだ代表詩選。未来に手渡す戦後詩の名篇がこれだ。巻末に鮎川信夫の急逝の直前に行われた記念碑的討議を収載。

目次
鮎川信夫
黒田三郎
中桐雅夫
三好豊一郎
田村隆一
北村太郎
石原吉郎
吉本隆明
木原孝
衣更着信〔ほか〕

〇著者
鮎川信夫
1920年東京生まれ。田村隆一らと「荒地」を創刊。精神の架橋工作としての戦後詩を、詩と理論の両面で体現し、以後、現代詩を主導しつづけた。86年没

大岡信
1931年静岡県生まれ。谷川俊太郎らと「感受性の祝祭」の世代を代表する。詩人として古典文学論や美術評論をはじめ芸術全般に踏み込み、さらに国際的な連詩の試みや、「折々のうた」など幅広い活動を展開

北川透]
1935年愛知県生まれ。詩と批評誌「あんかるわ」を62年から90年まで主宰。現代詩から文学思想、政治思想に相わたる先鋭な論陣をはる。詩の現在を問いつづける詩論家として類例のない広がりと一貫性をもつ 


『近現代詩歌』池澤夏樹/穂村弘/小沢実選(河出書房16/9) 愉しい本棚 投稿日: 2020年02月01日 18:41:05 No.762

 ☆☆☆☆
〇萩原朔太郎、安西冬衛、谷川俊太郎等、詩人四十一人の作品を収録する「詩」(池澤夏樹・選)、北原白秋、塚本邦雄、馬場あき子等、歌人五十人の作品を収録し鑑賞を加える「短歌」(穂村弘・選)、井月、高濱虚子、攝津幸彦等、俳人五十人の作品を収録し口語訳と鑑賞を加える「俳句」(小澤實・選)。新たに西洋から導入された近代詩、和歌から一新した短歌、連句から独立した俳句…明治以降、変革を経ながら多様に展開してきた詩歌の世界を一望する。
〇目次
詩 池澤夏樹選(島崎藤村―初恋/小諸なる古城のほとり;伊良子清白―漂泊;高村光太郎―樹下の二人 ほか)
短歌 穂村弘選(正岡子規;佐佐木信綱;与謝野鉄幹 ほか)
俳句 小澤實選(井月;内藤鳴雪;村上鬼城 ほか)
〇池澤夏樹
1945年北海道生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか受賞多数

穂村弘
1962年北海道生まれ。歌人。2008年『短歌の友人』で伊藤整文学賞、「楽しい一日」で短歌研究賞受賞

小澤實
1956年長野県生まれ。俳人。2000年「澤」を創刊・主宰。06年『瞬間』により読売文学賞詩歌俳句賞、08年『俳句のはじまる場所』で俳人協会評論賞受賞


『今ひとたびの戦後日本映画』川本 三郎(岩波現代文庫07/7) 愉しい本棚 投稿日: 2020年02月01日 18:32:32 No.761

 ☆☆☆☆
〇日本映画が最も輝いていた時代、忘れ難き場面の意味を読み解く。
〇目次
戦争未亡人と死者
田中絹代と戦争未亡人
三船敏郎と復員兵
帰ってきた男たち―復員兵を描く映画
ゴジラはなぜ「暗い」のか
「僕たちの力ではどうしようもない」―今井正監督『また逢う日まで』
戦後を生ききれなかった男と女―成瀬巳喜男監督『浮雲』
貧乏の好きな成瀬巳喜男
母の力―杉村春子から飯田蝶子まで
私が棄てた母親―『日本の悲劇』の望月優子
口笛吹いておいらは元気―清水宏監督『蜂の巣の子供たち』
白いブラウスの似合う女の先生
「働く子ども」のけなげさ―美空ひばりの『悲しき口笛』ほか
恋する妹、美空ひばり
穏やかな父―笠智衆
肉体が輝くとき―京マチ子の豊満
愉しい民主主義―『青い山脈』の明るさ

〇川本三郎
評論家。1944年東京に生まれる。68年、東京大学法学部卒業。91年『大正幻影』(新潮社/ちくま文庫)でサントリー学芸賞、97年『荷風と東京』(都市出版)で読売文学賞、2003年『林芙美子の昭和』(新書館)で毎日出版文化賞受賞。映画批評家としての活躍も著名


『二十世紀の音楽/吉田秀和全集3』(白水社76/4第3刷) 愉しい本棚 投稿日: 2020年01月31日 16:38:19 No.760

 ☆☆☆
〇紀伊国屋書店
 現代作曲家論を軸に、現代音楽についての考察を収める。

〇目次
現代音楽を考える
二十世紀の音楽
武満徹
二十世紀音楽研究所にふれながら
新音楽への視野
近代的管理の欠如と現代日本の芸術について
サイバネティックとチャンス・オペレーション
伝統的発想法と芸術
ストラヴィンスキーの人と音楽
ヘンツェ『第二ピアノ協奏曲』
松下真一『シンフォニア・サンガ』
高橋アキのピアノ
科学・技術時代と音楽

〇白水社
当代随一の評論家、吉田秀和の批評的業績の全貌をテーマに即して集大成する。第1期として1974年までの著作を全10巻で新装復刊。
【全巻内容】1).モーツァルト・ベートーヴェン 2).主題と変奏 3).20世紀の音楽 4).現代の演奏 5).指揮者について 6).ピアニストについて 7).名曲300選 8).音楽と旅 9).音楽展望 10).エセー



 ☆☆☆☆
〇ファクトチェックとは、首相、閣僚、与野党議員、官僚らが国会などで行った発言について、各種資料から事実関係を確認し、正しいかどうかを評価するもの。トランプ政権下の米国メディアで盛んになった、ジャーナリズムの新しい手法である。本書は、日本の政治を対象に、本格的な「ファクトチェック」を実施。第二次安倍政権発足後のさまざまな発言を100の項目別に整理し、○、△、×で判定。何が「嘘」で、何がフェイクなのかを明らかにした。平成末期の日本政治を記録する、貴重な資料である。

目次
第1章 森友・加計学園問題(△ 安倍晋三首相(2017年2月17日)
× 佐川宣寿財務省理財局長(2017年2月24日) ほか)
第2章 アベノミクス(○ 安倍晋三首相(2018年3月9日)
× 民主・海江田万里代表(2013年4月17日) ほか)
第3章 安全保障法則(× 安倍晋三首相(2014年7月1日)
× 安倍晋三首相(2016年9月29日) ほか)
第4章 憲法・人権・民主主義(△ 安倍晋三首相(2018年2月5日)
△ 安倍晋三首相(2017年5月9日) ほか)
第5章 官房長官会見(× 菅義偉官房長官(2017年5月17日午後)
× 菅義偉官房長官(2017年7月4日午前/2017年9月26日午前) ほか)

〇著者等紹介
南彰[ミナミアキラ]
1979年生まれ。2008年から朝日新聞東京政治部、大阪社会部で政治取材を担当。政治家らの発言のファクトチェックに取り組む。2018年秋より新聞労連に出向し、中央執行委員長をつとめる

望月衣塑子[モチズキイソコ]
1975年生まれ。東京新聞社会部記者。2017年、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞



 ☆☆☆
〇子どもや孫のこと、なつかしい友人のこと、老人ホームや死やお墓のこと…。長年連れ添った夫婦でも、考え方や感じ方はこんなにも違う! 85歳の中村メイコと87歳の神津善行が、かわるがわるに日常を綴る。


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