映画同好会
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幻滅 組長 投稿日: 2024年02月04日 21:31:51 No.559 【返信】

《19世紀のフランスを代表する文豪H・D・バルザックの原作を今日的な視点からダイナミックに映画化し、第47回セザール賞で作品賞ほか最多7部門を受賞した風刺群像劇。
19世紀前半、詩人として成功することを夢見てパリへと上京したものの、現実の冷酷さをまざまざと思い知った一青年。
そんな彼が、嘘を真実にすり替えるテクニックを自らも学びながら必死に世の中を渡り歩いていくさまを、「偉大なるマルグリット」のX・ジャノリ監督が、バルザックの原作をもとに、フェイクニュースに満ちあふれた現代のメディア社会と重ね合わせながらテンポよく活写。
「Summer of  85」のB・ヴォワザンが主演を務めるほか、C・ドゥ・フランス、X・ドランら、共演陣も豪華多彩。》

中学の時に河出書房グリーン版世界文学全集で原作を読みました。
面白かった印象はありますが、あまり覚えていません。
覚えているのはただ一つ。

<世の中は金がすべてじゃー。>

リュシアンは詩人を目指し、印刷業界へ。
ここの大物(演:ジェラール・ドパルデュー)が文盲。
儲かるものしか売りません。

女優と恋仲になり、演劇と関わります。
成功はサクラを支配する男と新聞記者の評次第。
女優の力量なんか二の次です。

そして、そのお金は貴族たちからのものです。
真面目に生きてもダメ、流されるまま生きていくしかありません。
それも、上流階級の連中の遊び道具でしかありません。

田舎の若者がパリに出ての栄光と挫折です。
これがテンポがよくてなかなかに面白く描かれています。
バルザックの映画ってあまり観たことないですね。

「美しき諍い女」はヘアヌードが話題になっただけでした。
長尺の割には見入ってしまいましたけど。
彼の原作自体あまり文庫化されていず、「人間喜劇」は全部は翻訳されていないと思います。
本作も文庫にはありません。
抄訳が集英社文庫「バルザック」にあるくらいです。

久しぶりに彼の作品を読んでみたくなりました。

2021年。149分。WOWOW。3.8。


オオカミ狩り 組長 投稿日: 2024年02月03日 19:15:35 No.558 【返信】

《死ぬか。殺すか。行き先は、地獄。
極悪犯罪者たちを移送する貨物船内で血みどろの死闘が始まるさまを、徹底した暴力描写満載で描いた話題の韓国製バイオレンスアクション。
海外に逃亡した極悪犯罪者たちを本国の韓国へ送還すべく、護送官たちも同乗した貨物船が、厳重警戒の下、ソウルへ向けて出港。
しかしその途上、恐れていた反乱が船内で発生。
さらには恐るべき<怪人>が覚醒したことにより、地獄のバトルロワイヤルが開幕することに。
「メタモルフォーゼ/変身」のキム・ホンソン監督が、全編にわたって容赦のない暴力・流血描写を披露。
韓国の劇場公開で初登場興収No.1のヒットを記録したほか、海外の映画祭で数多くの映画賞に輝いた。
主演は「パイプライン」のソ・イングク。》

R15+です。
ストーリーや背景はどうでもよくて、とにかく大量の血がドバドバ。
そんなに血が出ないでしょう、人間の体は。
知らんけど。

囚人と刑事たちの戦いかと思いきや、えー、そういう展開。
これはもう、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」か。
ことほどさようにトンデモ映画です。

とはいえ、ここまで振り切ったら観ていて楽しいのは困ったことです。
そして、彼あるいは彼女は生き残るかと思う常識は、簡単に覆ります。
イケメンや美女は生き残ってほしいんですけど。

最後に生き残ったのは、その理由があるのがいいです。
偶然じゃないのです。
それは良かったんですが、本作もまた続編に含みを持たせてます。
一応、ちゃんと終わりましょうよ。

それと「京城クリーチャー」と同じく、日本軍の悪行が裏にあります。
まあいいですけど、本気にする人が増えるのはいやではあります。
さほどくどくはないですけど。

というわけで、スプラッターに耐性のある方は結構楽しめます。

2022年。122分。WOWOW。3.7。


ゴールデンカムイ 組長 投稿日: 2024年02月03日 18:55:01 No.557 【返信】

《明治末期の北海道を舞台にアイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトルの大ヒット漫画を実写映画化。
日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一。
ある目的のため一獲千金を狙う彼は、北海道の山奥で砂金採りに明け暮れていた。
そんなある日、杉元はアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。
金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を暗号にした刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させた。
金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシリパに救われる。
彼女は金塊を奪った男に父親を殺されており、その仇を討つため杉元と行動をともにすることに。
一方、大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長・土方歳三も、それぞれ金塊の行方を追っていた。
「キングダム」シリーズの山崎賢人が杉元、「彼女が好きなものは」の山田杏奈がアシリパを演じ、眞栄田郷敦、工藤阿須加、玉木宏、舘ひろしら豪華キャストが個性豊かなキャラクターたちを演じる。
監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭。》

出だし最高。
二〇三高地の戦い、日露戦争の描写から一気に引き込まれます。
こういうのを観るとうれしくて仕方ないです。
日本映画です、最高です。

お話はテンポよく進みます。
CGによる羆やエゾオオカミ、完璧。
アクションもお見事、ちょっとスローモーション多めですが。

確かに漫画っぽいキャラクターや展開もありますが、俳優陣がぴったりはまっていて素晴らしい。
そして、アイヌ民族へのリスペクトが心地いいです。
食事のシーンが多いのもなんかいいです。
ただ少しグロいですけど。

主役が危機に陥ると必ず助けの手が伸びる、この繰り返しがねえ。
まあ仕方ないことではありますが。
漫画の実写化のレベルが確実に上がってきました。
「るろうに剣心」あたりからですかね。

ただ本作も「キングダム」同様、先は長いです。
山崎賢人も大変ですな。
この一作だけでの評価は難しいですが、「キングダム」に追い付き追い越しして欲しいものです。

エンドクレジット後、次作以降の出演者たちが登場します。
続編前提、ヒット確信。
いい度胸です、WOWOW。

2024年。128分。TOHOシネマズ梅田。4.0。


哀れなるものたち 組長 投稿日: 2024年01月31日 21:30:49 No.556 【返信】

《「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化。
2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞ほか計11部門にノミネートされた。
不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。
「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。
大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。
プロデューサーも務めるストーンが純粋無垢で自由奔放な主人公ベラを熱演し、天才外科医ゴッドウィンをウィレム・デフォー、弁護士ダンカンをマーク・ラファロが演じる。
「女王陛下のお気に入り」「クルエラ」のトニー・マクナマラが脚本を担当。》

エマ・ストーン、どうしちゃったんでしょう。
体当たり演技とは聞いていましたが、見事にぶっ飛んでいました。
何の衒いもなく、全くNGなし。
といって、エロさはあまり感じません。
これはもう熱演、怪演、名(?)演。
こういう役を演じるとアカデミー賞を受賞しがちです。

18禁でモザイクなし。
男性性器ももろだしです。
少々グロです。

さて物語です。
一応ロンドンから始まるのですが、ウィレム・デフォーは口から風船を出すし、変な乗り物があったり。
つまりこれは別世界で、ファンタジーなのです。

ですから、展開も変だし、実際の景色はなく、すべてセット撮影です。
モノクロがカラーになるのは、彼女の冒険の始まり。
映像も魚眼レンズを多用したり、広角になったり。
音楽もかなり変です。

テーマはコナンの逆バージョン。
世の常識を全く知らない無垢な心、大人が一から知識を得て、感情を持つとどうなっていくか。
といって、普通に描いていく監督じゃないので、少し覚悟を持って鑑賞しましょう。

フランケンシュタイン博士とその怪物の設定も逆で、博士が異相で怪物が美女です。
女性の権利発揚もうかがえます。

ラストはちょっとどうかな。
わかりやすいですけど、やや拍子抜け。

とにかく、何ともトンデモ映画でした。
でも、あっという間でした。
これがアカデミー賞か。

2023年。141分。TOHOシネマズなんば。4.1。


ゴジラ-1.0/C 組長 投稿日: 2024年01月24日 21:54:12 No.555 【返信】

《山崎貴監督が手がけた「ゴジラ-1.0」のモノクロ映像版。
タイトルの読みは「ゴジラマイナスワン/マイナスカラー」。
特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品であり、日本製作の実写版ゴジラ映画として通算30作目となる節目の作品として生み出された「ゴジラ-1.0」。
2023年11月に公開された日本はもとより、同年12月にはアメリカでも公開され、全米歴代邦画実写作品の興行収入1位を記録するなど大ヒットを記録した同作の映像をモノクロ化。
山崎監督が目指した「怖いゴジラ」の原点ともいえる1954年の第1作「ゴジラ」を彷彿させる世界観を体感することができる。》

これで4回目、内容については省略します。
カラー版との違いは、東宝のロゴマークがカラーから白黒に変化するところぐらいです。
1作目のロゴを踏襲したのかな。

モノクロになったので、よりVFXの精細さが強調されます。
アラが目立たないのです。
画面の情報量が減るので、今まで見えていないところも見えます。
ただし、想像力も必要ですが。

何故でしょう、古い時代の映画にはモノクロが似合います。
たぶん、自分自身が経験していない世界は、カラーで想像できないのかな。
カラーの夢もあまり観ませんし。

ですから、モノクロのほうがよりリアルに感じます。
矛盾ではありますが、モノクロのカラー化はあまり評判は良くありません。
不思議ですね。

鑑賞の回を重ねるにつれて、映画のテンポが早く感じます。
あっという間に終わってしまいました。

何度観ても飽きません。
悪人が出て来ず、まあハッピーエンドで観やすいですし。

こういう試みが増えてきました。
「マッドマックス 怒りのデスロード」や「パラサイト 半地下の家族」もそうです。
残虐性も抑えられます。
モノクロ再評価、いいですね。
古い名画もどんどん上映してください。

2024年。125分。大阪ステーションシティシネマ。4.2。


博奕打ち 総長賭博 組長 投稿日: 2024年01月21日 20:32:21 No.554 【返信】

《鶴田浩二主演の「博奕打ち」シリーズ第4作で、同シリーズ中の白眉というにとどまらず、数々の作品が量産された東映任侠映画史上の最高傑作との呼び声も高い屈指の名作。
本シリーズの演出を今回初めて手がけた山下耕作監督が、名脚本家・笠原和夫が書き上げたギリシャ悲劇のように凝縮された運命劇を格調高く映画化。
親分の跡目争いを契機に敵味方に二分されることになった身内同士が、血で血を洗う壮絶な死闘を繰り広げて屍の山を築いていく様子を、間然するところのない演出で見事に描き切り、圧巻のドラマを構築。
公開時に、あの三島由紀夫をして「これは何の誇張もなしに“名画”だと思った」と言わしめ、それまで世間で冷遇視されていた任侠映画への評価を一変させることになった。》

噂には聞いていましたが、未見でありました。
ヤクザ映画は苦手ですので。

題名はあんまり内容とはリンクしておりません。
身内同士が殺し合うという悲劇で、全く救いがありません。

とにかく面白い展開でした。
よくある跡目争いかと思いきや、予想を超える展開になっていきます。
誰も幸せにならないという、確かにギリシャ悲劇のようです。

鶴田浩二、若山富三郎の義兄弟、跡目を継ぐ名和宏もいい役でした。
悪役がちょび髭の金子信雄、憎々しいですがちょっと軽いかな。
女性にも矜持が描かれ、容赦ありません。

「任侠道か……そんなもん俺にはねえ……俺は、ただの、ケチな人殺しなんだ……」

「仁義なき戦い」に通じるリアリズムでした。
全く美化していないのがすごいです。

さすが傑作の名に恥じない作品でした。

1968年。95分。日本映画専門チャンネル。4.0。


ビヨンド・ユートピア 脱北 組長 投稿日: 2024年01月16日 14:15:38 No.553 【返信】

《脱北を試みる家族の死と隣り合わせの旅に密着したドキュメンタリー。
これまで1000人以上の脱北者を支援してきた韓国のキム・ソンウン牧師は、幼児2人と老婆を含む5人家族の脱北を手伝うことに。
キム牧師による指揮の下、各地に身を潜める50人以上のブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す、移動距離1万2000キロメートルにもおよぶ決死の脱出作戦が展開される。
撮影は制作陣のほか地下ネットワークの人々によって行われ、一部の詳細は関係者の安全のため伏せられている。
世界に北朝鮮の実態と祖国への思いを伝え続ける脱北者の人権活動家イ・ヒョンソをはじめ、数多くの脱北者やその支援者たちも登場。
「シティ・オブ・ジョイ 世界を変える真実の声」のマドレーヌ・ギャビンが監督を務めた。
2023年サンダンス映画祭にてシークレット作品として上映され、USドキュメンタリー部門の観客賞を受賞。》

脱北はフィクションでは描かれています。
また、脱北者のインタビューもあります。
でも、脱北行を追ったドキュメンタリーは初めてです。

どうやって撮影した、できたのか。
彼らに撮影班が同行しています。
それとスマホや隠しカメラ。

ここに撮影された映像は実に生々しいものです。
80歳を超える老婆と女の子2人と両親の5人。
ジャングルの道なき道を何時間も歩きます。

ブローカーは決して善意ではなく、あくまで金儲けです。
つまり、いつ裏切るかわかりません。
一応、ルートはできているんですけど。

もう一人の脱北者は母が依頼した息子。
こちらは電話のみ。

凡百のサスペンスよりそらドキドキします。
そこに北朝鮮の歴史や実態が挿入されます。
本作は米映画ですので、北朝鮮を悪く描くバイアスがないとは言えませんが、嘘はないでしょう。
何ともはやな国であり、国際社会がどうしようもできないもどかしさが増幅されます。

本作が公開されているということは、脱北が成功したということです。
それはいいのですが、もし撮影班が同行したことにより失敗していれば、責任の所在はどうなるのか、という問題があります。
映画評論家の松崎健夫氏が指摘しておられました。
確かにこれは問題です。
というか、ドキュメンタリーすべてに言えることだと思います。

当事者でない第三者が介入することで、思わぬ方向へ進展してしまったらどうするのか。
いい方に行けばいいのですがね。
そこがドキュメンタリー作品の微妙なところです。

さて、本作はアカデミー賞も有力だと言われております。
北朝鮮とはこんな国だと知るべき作品であることには間違いありません。

一人でも多くの人が観るべき作品でしょう。

2023年。115分。TOHOシネマズなんば。4.1。


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