映画同好会
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ビヨンド・ユートピア 脱北
組長 投稿日:2024年01月16日 14:15 No.553
《脱北を試みる家族の死と隣り合わせの旅に密着したドキュメンタリー。
これまで1000人以上の脱北者を支援してきた韓国のキム・ソンウン牧師は、幼児2人と老婆を含む5人家族の脱北を手伝うことに。
キム牧師による指揮の下、各地に身を潜める50人以上のブローカーが連携し、中国、ベトナム、ラオス、タイを経由して亡命先の韓国を目指す、移動距離1万2000キロメートルにもおよぶ決死の脱出作戦が展開される。
撮影は制作陣のほか地下ネットワークの人々によって行われ、一部の詳細は関係者の安全のため伏せられている。
世界に北朝鮮の実態と祖国への思いを伝え続ける脱北者の人権活動家イ・ヒョンソをはじめ、数多くの脱北者やその支援者たちも登場。
「シティ・オブ・ジョイ 世界を変える真実の声」のマドレーヌ・ギャビンが監督を務めた。
2023年サンダンス映画祭にてシークレット作品として上映され、USドキュメンタリー部門の観客賞を受賞。》

脱北はフィクションでは描かれています。
また、脱北者のインタビューもあります。
でも、脱北行を追ったドキュメンタリーは初めてです。

どうやって撮影した、できたのか。
彼らに撮影班が同行しています。
それとスマホや隠しカメラ。

ここに撮影された映像は実に生々しいものです。
80歳を超える老婆と女の子2人と両親の5人。
ジャングルの道なき道を何時間も歩きます。

ブローカーは決して善意ではなく、あくまで金儲けです。
つまり、いつ裏切るかわかりません。
一応、ルートはできているんですけど。

もう一人の脱北者は母が依頼した息子。
こちらは電話のみ。

凡百のサスペンスよりそらドキドキします。
そこに北朝鮮の歴史や実態が挿入されます。
本作は米映画ですので、北朝鮮を悪く描くバイアスがないとは言えませんが、嘘はないでしょう。
何ともはやな国であり、国際社会がどうしようもできないもどかしさが増幅されます。

本作が公開されているということは、脱北が成功したということです。
それはいいのですが、もし撮影班が同行したことにより失敗していれば、責任の所在はどうなるのか、という問題があります。
映画評論家の松崎健夫氏が指摘しておられました。
確かにこれは問題です。
というか、ドキュメンタリーすべてに言えることだと思います。

当事者でない第三者が介入することで、思わぬ方向へ進展してしまったらどうするのか。
いい方に行けばいいのですがね。
そこがドキュメンタリー作品の微妙なところです。

さて、本作はアカデミー賞も有力だと言われております。
北朝鮮とはこんな国だと知るべき作品であることには間違いありません。

一人でも多くの人が観るべき作品でしょう。

2023年。115分。TOHOシネマズなんば。4.1。




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