映画同好会
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    室町無頼 組長 投稿日: 2025年02月11日 20:54 No.703 【返信

    《垣根涼介の時代小説を大泉洋主演で実写映画化した戦国アクション。
    「22年目の告白 私が殺人犯です」の入江悠が監督・脚本を手がけ、日本の歴史において初めて武士階級として一揆を起こした室町時代の人物・蓮田兵衛の知られざる戦いをドラマチックに描く。
    1461年、応仁の乱前夜の京。
    大飢饉と疫病によって路上には無数の死体が積み重なり、人身売買や奴隷労働も横行していた。
    しかし時の権力者は無能で、享楽の日々を過ごすばかり。
    そんな中、己の腕と才覚だけで混沌の世を生きる自由人・蓮田兵衛はひそかに倒幕と世直しを画策し、立ち上がる時を狙っていた。
    一方、並外れた武術の才能を秘めながらも天涯孤独で夢も希望もない日々を過ごしていた青年・才蔵は、兵衛に見出されて鍛えられ、彼の手下となる。
    やがて兵衛のもとに集った無頼たちは、巨大な権力に向けて暴動を仕掛ける。
    そんな彼らの前に、兵衛のかつての悪友・骨皮道賢率いる幕府軍が立ちはだかる。
    大泉が本格的な殺陣・アクションに初挑戦し、剣の達人である蓮田兵衛を熱演。
    アイドルグループ「なにわ男子」の長尾謙杜が才蔵、堤真一が骨皮道賢を演じるほか、柄本明、北村一輝、松本若菜が共演。》

    もう少し面白いかなと思っていましたが、どうもしっくりしませんでした。

    出だしの死体の山、ひたすら虐待される庶民たち。
    この目を覆うばかりの描写に製作者の本気が観られたのですが。

    登場人物たちの背景が描かれていません。
    主要人物3人のモチベーションは何か。
    何を目指すのか。

    殺陣はまずまずなのです。
    そこはいいのですが、何のために戦い何を求めるのか。
    はっきりとした目的がわからないので、感情移入が困難でした。

    実際の主役は大泉洋でなく、長尾謙杜でしょう。
    彼のアクションはいいのですが、セリフ回しはどうもねえ。
    松本若菜はきれいなのですが、立ち位置がよくわかりません。

    ラストの一揆がクライマックスなのですが、目的が証文の破棄ですか。
    このシーンがどうもセット感が強くて残念でした。
    北村一輝が悪役を引き受けていますが、彼だけでは弱いです。
    将軍も登場するのですが、要らんです。

    せっかく製作費をかけた大作なのですが,もったいない。
    劇半をマカロニウエスタン風にしているのもいかがかなあ。
    それなら娯楽映画に特化したほうがよかったのに。

    2024年。135分。イオンシネマ高の原。3.8。



    《クリスマスの時季をある学校で過ごさなければならなくなった人々。
    その悲喜こもごもを描いた秀作コメディ。
    第96回アカデミー賞の助演女優賞をデヴァイン・ジョイ・ランドルフが受賞。
    「サイドウェイ」「ファミリー・ツリー」などで知られる名手アレクサンダー・ペイン監督が、またも現代人たちの心の機微に迫った、笑いあり感動ありの秀作。
    クリスマスの時季をともに過ごす大人や若者は、それまで知らなかった互いの一面に触れるうち、自身の人生を見つめ直していく。
    ペイン監督が登場人物たちに注ぐ温かい視線に静かな感動を誘われる。
    ランドルフに加え、主人公の教師役で同年のアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた実力派俳優ポール・ジアマッティ、若手のドミニク・セッサがにじませる愛すべき人間味も見ものだ。》

    時代は1970年。
    オープニングのロゴ等がその時代を表しています。
    お話もその時代だからこういう展開になるのでしょうか。

    12月17日から14日間の物語。
    2週間を二人で過ごすうちにお互いの心が通じ、二人の過去が明らかになったり。
    教師は教師の心に目覚め、生徒は生徒で心を開いていきます。

    今までにもあった、生徒と教師の話の一本です。
    よくあるプロットですが、やっぱりいいです。
    先生と生徒の関係はこうでなくてはいけません。

    周りの親や校長がダメな大人で。
    本作は、観客の言いたいことは口に出しません。
    間接的に表現しているのがいいです。
    声高にしゃべらないのが心地良いです。
    日本映画と違うところです。

    子供の成長の邪魔をしないこと、それが大人の務めです。
    自分の幸せだけを考えないで。

    2023年。133分。WOWOW。4.1。


    夜明けのすべて 組長 投稿日: 2025年02月08日 21:46 No.701 【返信

    《「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督が瀬尾まいこの同名小説を鮮やかに映画化。
    主役の男女を松村北斗と上白石萌音が絶妙な距離感で好演したユニークですがすがしい傑作。
    片や、PMS(月経前症候群)で月に1度イライラが抑えられなくなる藤沢さん。
    他方、彼女と職場の同僚となった山添くんはパニック障害があり、ともに生きづらい日常を送る毎日。
    そんな2人が互いに支え合い、特別な絆を結んでいくさまを、三宅監督が繊細なタッチでみずみずしく活写。
    NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では夫婦役で共演した松村と上白石が、本作では絶妙な距離感で同志のような関係を結ぶ一組の男女を好演し、恋愛映画とはまたひと味異なる、ユニークで新鮮な傑作がここに誕生した。》

    キネマ旬報ベストテン第1位。

    確かに悪い嫌な作品ではありませんが、しんどいです。
    やっぱり、病気ものは苦手です。

    悪人は出て来ないので観やすいですし、優しいです。
    でも、二人の症状が時々出来するので、そこは観ていてつらいです。

    周りの人々がやさしく温かく見守っているので救われますが。
    恋人でもなく、友達いや病気でいる同志のような存在。

    この距離感が本作の要になります。
    でも描き方は実に淡々とし、日常生活を綴ります。

    ちょっとずつ症状が改善していったかなというところで終わります。
    まあ仕方ないですが、何かこれはといったものが欲しかったので少し残念です。

    第一位の作品は、どうもいつもあまり楽しくないです。
    いい娯楽映画が少ないのでしょうがありませんが。

    2024年。119分。WOWOW。4.0。


    カラオケ行こ! 組長 投稿日: 2025年02月08日 21:30 No.700 【返信

    《変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やまの人気コミックを、綾野剛主演で実写映画化。
    中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われる。
    戸惑う聡実に、狂児は歌のレッスンをしてほしいと依頼。
    組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。
    狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。
    嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていくが……。
    綾野が狂児を演じ、聡実役にはオーディションで選ばれた新星・齋藤潤を抜てき。
    「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘監督がメガホンをとり、テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の野木亜紀子が脚本を手がける。》

    唄が下手なヤクザがうまくなっていく話かと思っていましたが、そうではありませんでした。
    中学生にも「合唱祭」があるのですが、それも重要ではありません。
    じゃあテーマは何かといえば、中学生とヤクザの交流、ある種友情と成長物語です。

    もちろんコメディですので、リアリティはありません。
    カラオケでの練習風景もありますが、綾野剛が音痴だというわけでもありません。
    そこをもう少し描いたほうがよかったかもしれません。

    舞台は大阪ですが、特にその意味もありません。
    一応、大阪弁ではありますが。

    綾野剛はさすがの存在感です。
    それに比して、新人の齋藤潤はやはり少し弱い。

    クライマックスをわざと外しています。
    まあそれでもいいのですが、やはりいささか物足りません。
    少なくとも、結果ぐらい見せてほしかったです。

    2024年。107分。日本映画専門チャンネル。4.0。


    勇敢な市民 組長 投稿日: 2025年02月05日 19:15 No.699 【返信

    《韓国の人気WEB漫画を原作に、元女子ボクシング王者の非正規教師と凶暴な生徒のバトルを活写したアクションコメディ。
    ソ・シミンは非正規雇用の教師として、ある高校に赴任するが、そこはセレブの息子である男子生徒ハン・スガンの暴力に支配されていた。
    正規雇用を望むシミンはトラブルを避けようと見て見ぬふりをするが、いじめの標的となった生徒とその家族にまで及ぶ暴力の実態を知り、立ちあがることを決意する。
    実はシミンは元ボクシング王者にして、数々の格闘技をマスターした最強のファイターだった。
    猫のマスクで正体を隠したシミンと学園の支配者スガンの戦いは、学園全体を巻き込むバトルへと発展していく。
    ドラマ「哲仁王后 俺がクイーン!?」のシン・ヘソンが主人公のシミン、ドラマ「D.P. 脱走兵追跡官」のイ・ジュニョンが学園を支配する生徒スガンを演じ、パク・ジョンウ、パク・ヒョックォン、チャ・チョンファが共演。
    「ユア・マイ・サンシャイン」のパク・ジンピョ監督がメガホンをとった。》

    2月例会お疲れさまでした。

    解説にコメディとありますが、笑えるシーンはあまりないです。
    イジメのシーンが結構きついです。
    ここらあたりが韓国映画の特徴ではあります。

    ただ本作は、勧善懲悪がはっきりしており、悪役への情状酌量はありません。
    そこが徹底的にやっつけてくれという、観客の要望を満たすカタルシスを生みます。
    そして、ラストの一対一の闘いが大団円になるわけです。
    こういう終わり方の作品が最近あまりないです。
    スカッとさせるラストでした。

    少し注文を付けるとすれば、ファイティングシーンの画面の揺れです。
    ここはしっかり固定カメラで撮ってほしいです。
    せっかくのアクションがもったいない。

    「市民」が「シミン」にかかっています。
    日本語の駄洒落じゃなくて、韓国語もそうみたいです。

    韓国の学校も日本と同じ、あるいはそれ以上に乱れているみたいです。
    シン・ヘソンがそんなに美人じゃないのもいい。
    漫画はかなり美人ですけど。

    2023年。112分。大阪ステーションシティシネマ。3.7。




    怪物 組長 投稿日: 2025年02月02日 21:50 No.698 【返信

    《「万引き家族」でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督が、映画「花束みたいな恋をした」やテレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」などで人気の脚本家・坂元裕二によるオリジナル脚本で描くヒューマンドラマ。
    音楽は、「ラストエンペラー」で日本人初のアカデミー作曲賞を受賞し、2023年3月に他界した作曲家・坂本龍一が手がけた。
    大きな湖のある郊外の町。
    息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。
    そんなある日、学校でケンカが起きる。
    それはよくある子ども同士のケンカのように見えたが、当人たちの主張は食い違い、それが次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していく。
    そしてある嵐の朝、子どもたちがこつ然と姿を消してしまう。
    「怪物」とは何か、登場人物それぞれの視線を通した「怪物」探しの果てに訪れる結末を、是枝裕和×坂元裕二×坂本龍一という日本を代表するクリエイターのコラボレーションで描く。
    中心となる2人の少年を演じる黒川想矢と柊木陽太のほか、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子ら豪華実力派キャストがそろった。
    2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され脚本賞を受賞。
    また、LGBTやクィアを扱った映画を対象に贈られるクィア・パルム賞も受賞している。》

    評判作でしたが、どうも見る気がなくて。
    結論から言えば、やっぱりなあでした。
    素直に観ることができない作品でした。

    教師の暴力、いじめの話、いや実は違う。
    ではどれが真実なのか。
    母親の視点、教師の視点、子供たちの視点。

    時間軸をバラバラにし、視点を変えて描かれていきます。
    でも、どれが真実なのか。
    夢なのか、想像なのか、真実か。

    結局はっきりしないまま終わってしまいました。
    勝手に解釈しなさいって。
    そら、他人の心なんて誰にも分らんです。
    それが子供であっても、親であっても、教師であっても。

    どうももやもやでした。

    2023年。126分。アマゾンプライム。4.1。


    あしたの少女 組長 投稿日: 2025年02月02日 21:34 No.697 【返信

    《「私の少女」のチョン・ジュリ監督とペ・ドゥナが再タッグを組み、2017年に韓国で起こった実在の事件をモチーフに、ごく普通の少女が過酷な労働環境に疲れ果て自死へと追い込まれていく姿をリアルに描いた社会派ドラマ。
    高校生のソヒは、担任教師から大手通信会社の下請けであるコールセンターを紹介され、実習生として働き始める。
    しかし会社は従業員同士の競争を煽り、契約書で保証されているはずの成果給も支払おうとしない。
    そんなある日、ソヒは指導役の若い男性が自死したことにショックを受け、神経をすり減らしていく。
    やがて、ソヒは真冬の貯水池で遺体となって発見される。
    捜査を開始した刑事ユジンはソヒを死に追いやった会社の労働環境を調べ、根深い問題をはらんだ真実に迫っていく。
    ペ・ドゥナが刑事ユジンを演じ、少女ソヒ役には新進女優キム・シウンを抜てき。
    2022年・第23回東京フィルメックスのコンペティション部門で審査員特別賞を受賞。》

    本作は、韓国での高校からの就職制度への告発です。
    実習生として会社に行くのですが、そのまま就職するみたいです。
    ただし、実習生から搾取しどんどん取り換えてしまいます。

    この職場風景の描写が怖ろしい。
    契約延長がノルマ、電話応対がノルマ。
    残業代も能力給も払われない。

    で、彼女が退場してから、主人公が変わります。
    果たして警察がここまで踏み込むかどうかはいささか疑問ですが、観客の怒りを代弁するにはまあ仕方ないですけど。
    ペ・ドゥナ刑事の存在感はさすがです。

    本作の後、労働法が改正されたようです。
    しかし、酷いです。
    みんな大学を目指すのもむべなるかな。

    結局みんな上が上がと責任転嫁。
    大人たちが若者をおもちゃにしています。
    ほんと腹立ちました。

    ところで、高校生たち普通にお酒を飲んでますけど、いいの。
    数えで19歳からOKみたいです。

    途中から主人公が変わる構成ですけど、謎解きがない分ちょっともったいない。
    観客の怒りを鎮めるにはいいですけど。

    2022年。138分。アマゾンプライム。3.9。


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