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周回遅れの生成AI知識 4期生 うすい 投稿日: 2023年06月28日 18:55:55 No.263 【返信】

文部科学省がまとめた、小中高校向けの生成AIのガイドラインの原案が明らかになりました。政府は、これを元に7月初旬にも公表する方針です。

利用が適切な場面としては、
・グループの考えをまとめる活動の途中で足りない視点を見つけ議論を深めるために使う
・高度なプログラミングを行う上で適切に用いる
・英会話の相手として使うこと
などとしています。
利用が不適切な場面として、
・生成AIの性質や限界について学習せずに使用する
・詩や俳句の創作、美術など生徒の感性や独創性を発揮させたい場面で最初から安易に使わせる
・定期考査や小テストなど学習評価に関わる場面で使わせる
などを挙げています。また、
・夏休みの読書感想文や日記
・コンクールへ作品応募などで、
生成AIを使ったにもかかわらず、自分で作成したとして提出することは不正行為であり、自分のためにならないと十分に指導する必要があるとしています。

また、生成AIの急速な普及が進む中で政府は、各省庁が分野ごとに作成してきた利活用のガイドラインについて、開発者や利用者が参照しやすくするため、年内の統合を目指して具体的な作業を進めていくとしています。



国富論』再訪(66) 二村 重博 投稿日: 2023年06月27日 18:04:58 No.262 【返信】

 『国富論』(63)第5編 第2章 第2節 第2項(2010年6月13日)

 第5編は「主権者または国の収入」を問題とし、第2章では「社会の一般財政収入の源泉」を取り上げ、その中で第2節として「税」を問題にしています。そして、前回は第1項として「地代と家賃に対する税金」を取り上げましたが、今回は第2項として資本からの税金を問題にします。

 第2項―利益、つまり資本から生じる収入に対する税金 (Article Ⅱ Taxes upon profit, or upon the Revenue arising from Stock) 

 資本から生じる収入である利益は次のようになります。
   利益 = 利子 + 余剰部分
 スミスは、「利益のうちこの余剰部分 (surplus part) は明らかに、直接の課税対象にならない。この部分は資本を使うリスクと手間に対する報酬であり、しかもほとんどの場合に、ごく適度な報酬にすぎない」(437頁)とし、利益全体に比例する税金を直接に課せられた場合、(1)利益率を引き上げるか、(2)利子の部分に税金を転嫁して利子支払いを減らすか、であると言っています。
 (1)の場合、資本が農業資本として土地の耕作に使われる場合は、地代を減らすしかなく税金は最終的には地主が負担しますが、資本が商業か製造業の資本として使われる場合は、商品価格を引き上げることになるので、税金は最終的には消費者が負担する、と言っています。
 (2)の場合、資本の利子は、「土地の地代と同様に、資本を使うリスクと手間のすべてに対する報酬を完全に差し引いた後に残る純収入である」(438頁)から、土地の地代と同じように直接の課税対象として適しているように思われますが、土地の地代と比較して課税対象としては適切でない二つの要因があります。
 一つの要因は、土地の場合は各人の所有する土地の面積と価値は秘密にできませんが、資本の場合は秘密にすることができるのと、資本の総額はいつも変動していることです。
 他の要因は、土地は動かすことができませんが、資本は簡単に動かせるという点です。厄介な税金をかけられれば、資本を他国に移すことになるので、その資本で維持された産業は打撃を受けます。「資本の逃避をもたらす税金をかければ、主権者の収入の源泉も社会の収入の源泉もともに枯渇していく要因になる」(439頁)のです。
 したがって、資本からの収入に税金を課そうとしたどの国も、大まかで、恣意的な推定に頼らざるを得ない、とコメントしています。

 イギリスでは、土地、住宅、資本に土地税が課せられていますが、「資本はおそらく、実際の価値のせいぜい50分の1ほどで評価されているにすぎない」(440頁)と言っています。この土地税は資本の総額に比例はしますが、資本の利子に対して課税するものです。
 また、ハンブルクやスイスの各州のように納税を宣誓して納める場合、16世紀末のオランダでスペイン王国の支配から脱した時の一度限りの50分の1税の例を挙げ、その国の事情によっていろいろな形態があることに触れています。

 特定業種の利益に対する税金 (Taxes upon the Profit of particular Employments)

 「いくつかの国では、資本の利益に対する特別の税金として、商業のうち特定業種に使われた資本の利益を、あるいは農業に使われた資本の利益を課税の対象にしている」(443頁)として、いくつかの例を挙げています。

 イギリスでは、商業のうち特定業種として、行商人に対する税、貸し馬車や貸し駕籠に対する税、ビールや蒸留酒の小売り免許に対して居酒屋が支払う税があるとしています。そして、この税は商品価格に上乗せされるので消費者が負担することになると言っています。また、この税が商人の事業規模に比例するものならば問題はないが、事業規模に関係なく一定額を支払うものならば、大商人に有利になり独占を形成する可能性があることを指摘しています。

 フランスの例として、土地保有権の種類に関係なく地主から土地を借りている農民の推定利益を対象とした、動産タイユ (personal taille) を挙げています。農民は耕作に使っている資本を推定され、それによって課税されるので、過大に課税されることを恐れて貧乏を装うようになります。この結果生産量が減少することになりますので、「動産タイユがさまざまな点で農業の障害になり、その結果、どの国でも富の主要な源泉が枯渇する要因になる」(448頁)と批判しています。

 また、北アメリカの南部と西インド諸島での黒人一人当たりに一定額毎年課税される人頭税 (poll-taxes) についても触れ、「奴隷に対する人頭税は、自由人に対する人頭税とはまったく性格が違う。自由人に対する人頭税は本人が支払うが、奴隷に対する人頭税を支払うのは本人ではない」(448頁)とコメントしています。

 オランダの召使にかけられる税は、資本ではなく支出に対する税である、としています。

 第1項と第2項への付録―土地、住宅、資本の価値に対する税 (Appendix to Articles Ⅰand Ⅱ Taxes upon the capital Value of Land, Houses, and Stock)

 資産に対する税金は、資産の価値の一部を納付させるのでなく、資産から生じる収入の一部を納付させようとするものですが、所有者が変わるときに資産価値の一部を納付させる場合もあります。
 遺産の場合や土地・住宅などの不動産の場合は、所有権の移転は秘密にできないので直接に課税できます。しかし、資金の貸借で資本や動産を移転する場合は秘密にできるので直接に課税することは困難です。そのため印紙税 (stump-duties) と登記税 (duties of registration) の二つの方法で間接的に課税されていると言っています。つまり、「第一は、返済義務を規定した債務証書に印紙税を納めた用紙か羊皮紙を使うよう義務づけ、印紙税を納めていない場合には債務証書を無効にする方法である。第二は、公開か非公開の登記を義務づけ、登記に一定の税をかけて、登記していない場合には債務証書を無効にする方法である」(450頁)というものです。

 スミスは、相続税については、古代ローマの事例とそれと同じ種類のオランダの相続税について、また、封建法 (feudal law) の下での相続税と土地譲渡に対する税金、それと関連するスイスのいくつかの州での土地譲渡税について触れています。

 また、印紙税と登記税については、イギリス、オランダ、フランスの場合を述べています。そして、この印紙税と登記税は新しく発明されたものですが、1世紀余りのうちにヨーロッパのどの国でも使われるようになり、「国民から税金を引き出す方法ほど、政府が他国から素早く学ぶものはないようだ」(453頁)と言っています。

 さらに税金の負担に関しては、相続税の場合は譲渡された人が直接負担しますが、土地の売買に対する税は売り手の負担になる、と言っています。土地の所有権をつけない新築住宅の場合は買い手の負担になり、中古住宅の場合は売り手の負担になる、と言っています。さらに、敷地地代を生み出す土地の売買は売り手の負担、債務証書や債務契約に対する印紙税と登録税は借り手の負担、訴訟に対する同様の税金は訴訟当事者の負担になると言っています。

 スミスは、「担保権をはじめ、不動産に対する各種の権利の登記は、貸し手と買い手に大きな保証を与えるので、社会にとってきわめて役立つものである」(455頁)と言っています。
 さらに、トランプやサイコロ、新聞や雑誌の印紙税やビール、ワイン、蒸留酒の小売り免許状にかかる印紙税は最終的には消費者が負担しますが、「これらの税は同じ名前で呼ばれているし、資産の移転にかかる前述の印紙税の場合と同じ役人によって、同じ方法で徴収されているが、性格がまったく違い、支払いの源泉もまったく違っている」(455頁)とコメントしています。



ロシア、内輪揉め。 5期生 ひろせ 投稿日: 2023年06月25日 19:18:28 No.260 【返信】

 ロシアのウクライナ侵攻は未だ収束しませんが、最近はウクライナが反撃を開始したとの報道が見られます。
 現地に行ったり、関係者から直接話を聞けるわけでもないので、報道を元に推測するしかないのですが、
この2〜3日で驚くべき報道が行われています。
 ロシアの民兵組織ワグネルがモスクワに向かって侵攻し始めた、というもの。内紛内乱ではないか。
 どうなることかと注目していたところ、ワグネルはモスクワへの侵攻をやめた、とのこと。ベラルーシの大統領がワグネルを説得し、流血を避けた、とのこと。
 そして、ロシアは、ワグネルに反乱の罪を問わないと表明した、とのこと。
 これが事実だとすると、ロシアの国家体制の弱体化は予想以上と考えられます。
 これをきっかけにウクライナとは停戦して、然るべき交渉で侵攻を終結してほしいものだと願っています。戦争をして得をするのは武器輸出国か、地政学的なバランスを睨んで覇権を拡大しようと考えている国家くらいのもの。
 いずれにしても、将来の戦禍の火種につながりかねません。

 子どもの頃の「遊星仮面」というアニメの主題歌、「戦争をやめろ!地球に危機がやってくる!」という歌詞を突如思い出しました。江崎グリコ提供で、「鉄人28号」や「遊星少年パピイ」の後継番組でした。

 今日は2か月ぶりに散髪。
 私が行く理髪店の南側にホテルオークラ京都があり、桂小五郎像があります。
 クルマに給油したら、ずっと1リットルあたり@158円だったものが@161円に値上がりしていました、20リットルで60円の値上がりですが、なんとなく圧力を感じます。
 しかし、物価が順当に上がらなければ私たちの賃金が上がるはずもない。
 他方、有効求人倍率が上昇していて、高校新卒者については4倍を超えていますし、土木分野では15倍を超えるという。最近、高校関係者とも会いましたが、中学生の進路希望の観点から職業科の設置定員がかなり偏在している様子が伺えました。高校も経営がありますから仕方がないのでしょうけど、将来の日本を担うブルーカラーの確保はかなり困難になっています。



5期生 ひろせ 投稿日: 2023年06月26日 22:58:47 No.261
 今日は、仕事の帰りに整形外科に立ち寄りました。腰痛防止のため、よくロキソニンテープを貼っています。
 その整形外科は、「御花畑」(小松帯刀邸)跡のすぐ近くにあります。
 残念ながら、今日は西郷どんや龍馬の姿はありませんでした。笑。
 昨日会った?桂小五郎も薩長同盟の談判には加わっていたはずですね。

 近所に、応仁の乱勃発の地である御霊神社があるのもおもしろいですね。





周回遅れの生成AI知識 4期生 うすい 投稿日: 2023年06月21日 18:23:34 No.259 【返信】

錆び付いた頭を刺激するために、著作権を巡る動きなどのニュースを拾ってみました。

コミュニケーションロボットに興味がありますが、CHATGDTの搭載で会話能力向上が期待出来そうです。宿題のAI回答の丸写し禁止記事は、殆ど本を写した卒論を提出した身にとって耳の痛い話です。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が、オープンAIなどの開発事業者と、生成AIの学習用コンテンツでのニュース記事利用の対価支払いについて交渉していると報じられました。
FTによると、交渉がまとまれば生成AIによる記事利用の指針となる可能性があるとのこと。

アメリカ音楽界のグラミー賞の主催団体は、生成AIに関連する新たなルールを発表しました。
新しいルールは、
「受賞の対象となるのは、人間のクリエーターのみであり人間の作者を含まない作品はいかなる部門でも対象外とする」
「現時点では、AIによる音声や演奏が含まれる作品の提出も受け付けるものの、賞は人間のみに与えられる。作詞作曲などの分野では大部分が人間による楽曲でなければならない」としています。

東京都教育委員会は、児童や生徒が夏休みの宿題での生成AIの使用について注意喚起を促す通知を都立学校に出しました。
夏休みの宿題を出す際には、生成AIの回答をコピーして、そのまま提出させないことやレポートを課題として出す際には生成AIに頼らず、授業中に教員が説明した内容を踏まえて書くよう注意喚起することが必要だとしています。
具体的に注意を促す例として、日記や読書感想文のほか、プログラミング、校内コンテスト用のポスターの作成などを挙げています。

シャープは、コミュニケーションロボット「ロボホン」向けに、OpenAI社のChatGPTを活用した新アプリケーション「お話作ろう」の提供を6月29日より開始。
また、現在開発を進めているChatGPTを用いた対話アプリケーションの体験モニターも同時に募集。



国富論』再訪(65) 二村 重博 投稿日: 2023年06月20日 17:18:34 No.258 【返信】

 『国富論』(62)第5編 第2章 第2節 第1項(2010年6月6日)

 第1項―地代と家賃に対する税金 (Article Ⅰ Taxes upon Rent)

 その1―地代に対する税金 (Taxes upon the Rent of Land)

 スミスは、土地の地代に税を課す方法には二つあり、「第一は、ある基準にしたがって各地区の地代の評価額を定め、その後は評価額を変更しない方法である。第二は、土地の実際の地代が変わるたびに課税額が変わり、農業が発達すれば高くなり、衰退すれば低くなるようにする方法である」(416頁)と言っています。

 第一の評価額を固定して課税する方法としては、イギリスの土地税を挙げて、当初の評価額が公平であってもその後の農業の発達によって年数がたてば不公平になりますが、納税者には便利で、税の徴収費用は少なくて済み、土地の改良が妨げられることもない点を指摘しています。しかし、イギリスの場合評価額が決まった後に、地域が繁栄して地代が上昇していることと、銀の価値がほとんど変わっていないので、地主に有利に主権者に不利になっていると言っています。

 第二の地代の変動に連動する方法は、フランスの重農主義者が最も公平であるとしているものであるとし、ベネツィアの地代に十分の一の税金が課せられる例を挙げています。そしてこの種の税では、地主に評価の手間がかかり、また課税の経費もかさむことになりますが、制度を工夫すれば、「これらの経費は合計してもごくわずかとみられ、この種の税金で容易に得られる税収よりはるかに少ない財政収入しか確保できない多数の税金と比較すれば、徴税にかかる経費は、はるかに少ない」(421~422頁)とコメントしています。
 この変動制の土地税に反対する重要な論拠は、土地改良の意欲が妨げられるということにあります。これに対してスミスは、土地改良に投じられた経費が回収されるまでは改良前の土地の評価額で課税し、主権者が地主や農業経営者の関心を高めるようにすればよいと言い、そのためには、「地主と農業経営者が各自のやり方で、各自の判断にしたがって、自己利益を追求できるようにすべきだ。それぞれの努力の報酬を十分に得られるとの保障を最大限に与えるべきだ。そして、国内の全地域にわたって安全で容易な陸運と水運を確立するとともに、他国への輸出の自由を最大限に確保することで、国内の生産物のすべてに広範囲な市場を切り開くべきである」(422~423頁)とし、「この種の土地税であれば、政府が注意するまでもなく自然に社会の状況に適したものになり、状況がどう変化しても、同じように公正で公平なものになるだろう」(423頁)と言っています。
 さらに、借地契約の登記という簡単な方法ではなく、全土のすべてを測量し評価したプロイセン、ボヘミア、サルディニア、ミラノ公国の例を挙げ、「長期的にみて納税者にとって、問題解消に役立つ以上に厄介で苛立つものになるだろう」(425頁)と言っています。

 その2―地代ではなく土地生産物に比例する税金 (Taxes which are proportioned, not to the Rent, but to the Produce of Land)

 「土地生産物に対する税金は、実際には地代に対する税金である。直接には農業経営者が納税する場合でも、最終的には地主が負担する」(425~426頁)もので、教会に支払う十分の一税 (church tythe) があります。
 十分の一税は、地代に対して不公平な税金となることが多いので、地主の土地改良と、農業経営者の経費のかかる作物の栽培を妨げる要因になります。
 アジアの多数の国では、地代ではなく土地生産物に比例する土地税を主な財源にしています。そのため主権者は土地の改良と耕作に関心を持ち、道路と運河の建設と維持に熱心ですが、教会の十分の一税は、教会区の狭い分野に分割されるので、アジアの主権者のような関心は持てないと言っています。

 この税金は、現物で徴収する場合と金銭で徴収する場合があります。
 「財政収入を現物で得ている場合、徴税官の怠慢や不正による損失がきわめて大きくなり、国民から徴収された税のうち、国庫に入る部分の比率はごく低くなるだろう」(428頁)と批判しています。
 金銭で徴収する場合は、市場価格に基づく場合と金銭価格は一定とする固定評価の場合があります。税収は、前者の場合は土地生産物に対する比率は一定ですが、後者の場合はこの比率は変化することになります。

 その3―家賃に対する税金 (Taxes upon the Rent of Houses)

 ここでの家賃は、「家賃は二つの部分に分けることができ、一方は家屋賃料 (building rent) と呼ぶのが適切であり、他方は通常、敷地地代 (ground rent) と呼ばれている」(429頁)というものです。
 家屋賃料は、家屋の建設に費やした資本の利子または利益なので、家屋賃料には、他に貸し付けたときに得られると同等な利子と、家屋を修繕し維持していける金額が含まれていなければなりません。したがって、通常の市場金利に左右されることになります。「家賃全体のうち、この適正な利益の確保に必要な金額を上回る部分は、自然に敷地地代になる」(430頁)と言っています。敷地地代は都市では高く農村では低くなります。

 家賃に対する税金は、一部は住宅の居住者が負担し、一部は地主が負担することになります。しかし、税の負担が居住者と地主の間に最終的にどのように分割されるかは簡単には確認できない、と言っています。

 家賃は土地の地代に似ていますが、基本的に違うのは、土地の地代は生産的に土地を利用することで支払うことができますが、家賃に対する税金のうち居住者が負担する部分は、居住者の労働の賃金か、資本の利益か、土地の地代による収入から支払われることになります。したがって家賃は、「収入の三つの源泉のうち一つから支払われるのではなく、三つの源泉から区別なく支払われる税金の一種であり、あらゆる面で、他の消費財にかかる税金と同じ性格を持っている」(432頁)ことになります。
 またスミスは、居住者のいない住宅は税金をかけるべきではないと言い、所有者が居住している住宅に対しては、「建設に要したはずの経費に基づいてではなく、貸した場合に得られただろう家賃を適切な裁定で評価した結果に基づいて課税すべきである」(433頁)と言っています。

 さらに、敷地地代は、住宅の家賃より、また農地の地代より課税対象としては適切であると言っています。敷地地代に税金をかけても住宅の家賃は上昇しませんし、それから悪影響を受ける産業もありませんし、政府による保護があるから得られるものなので、「国の適切な統治によって得られた収入なのだから、特別に課税し、他の収入の大部分より高い比率で政府を支える資金を負担させるのは、まったく理に適っている」(434頁)からです。

 ところでイングランドでは、各住宅の実際の家賃を正確に確認することは困難だと考え、まず暖炉の数によって税額を決める暖炉税が用いられましたが、これは名誉革命後に廃止されました。その後、窓の数によって税額を変える窓税が作られました。都市よりも窓の多いより貧しい農村の住宅を考えると、金持ちより貧乏人のほうが税金の負担が重くなる可能性があるので、「この種の税金は、前述の(前回の『国富論』61参照)四原則のうち第一の原則に完全に違反している。ただし、他の三つの原則には大きく違反しているとは思えない」(437頁)とコメントしています。



周回遅れの生成AI知識 4期生 うすい 投稿日: 2023年06月16日 04:50:19 No.257 【返信】

ChatGPT以降、生成AIのニュースが数多く発信されています。この掲示板でも、ひろせさんが繰り返し書き込んでくれていますが、錆び付いた頭はなかなか新しいモノを受け付けてくれせん。

そんな中、手塚プロダクションのクリエーターとマンガ「ブラック・ジャック」を学習したAIが、共同で新作を制作して今秋にマンガ誌「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)に掲載、発売する計画を発表しました。
興味ある分野での生成AIの利活用は、きっと周回遅れの知識を挽回する機会となってくれる?と信じています。

海外では、欧州議会はAIの開発や運用を規制する法案を採択しました。

AIの学習のために使われる大量のデータのうち著作権で保護されたデータを取り込んだ場合は開示を義務付けることや生成AIを使った画像や文章であることを明示することも求めています。
また、政府が交通違反や公的料金の支払いなどの行動データをAIで分析して市民をスコアリングすることや警察などによる法執行のために公共空間で顔認証技術をリアルタイムで用いることなどを禁止しています。

日本でも、対話型AI「ChatGPT」の教育現場でのガイドラインについて夏前を目標に取りまとめる方針で、夏休みの宿題の読書感想文や自由実験での生成AIの使用方法などがどのようになるのか愉しみです。



『国富論』再訪(64) 二村 重博 投稿日: 2023年06月13日 21:08:53 No.256 【返信】

 『国富論』(61)第5編 第2章 第1節、第2節(2010年5月29日)

 第2章 社会の一般財政収入の源泉 (Of the Sources of the Central or Public Revenue of the Society)

 スミスは、政府の経費の財源として、主権者か国が保有する財源からの収入と国民の収入からの財政収入に分けて説明しています。

 第1節 主権者または国が保有する財源 (Part Ⅰ Of the Funds or Sources of Revenue which may peculiarly belong to the Sovereign or Commonwealth)

 先ず主権者または国が保有する財源は、資本か土地になります。
 (1)国が保有する資本からの収入
 遊牧民族の時代には、財政収入の主な部分は家畜の乳と繁殖によっていました。その後のハンブルクのような小規模な共和国では、ワインと薬の販売のような商業活動で財政収入を確保したり、ハンブルク、ベネツィア、アムステルダムのように国営銀行による利益で収入を得ていた場合もあります。また郵便事業もありました。
 国王が営利事業に関与した場合、「国王の代理人は雇い主に無限の富があると考え、買い値に注意せず、売り値に注意しないし、商品の輸送費にも注意を払わない」(407頁)ので成功することは希でした。また、貿易商人と主権者では性格が違う立場になり、「イングランド東インド会社は、貿易商人の精神があるために最悪の主権者になっていると同時に、主権者の精神があるために貿易商人としても失敗を重ねているようだ」(407頁)と言っています。
 また、金・銀(貨幣)を外国政府か自国民に貸し付けて、利子による収入を財政収入の一部にしているスイスのベルン州、ハンブルク、ペンシルベニア植民地政府の例を挙げています。そして、資本と信用は不安定なものなので財政収入の主要な源泉としては適切ではなく、「遊牧の段階を超えて社会が発展した大国では、政府が財政収入の主要な部分を資本と信用という源泉から得ていた例はないようだ」(409頁)と言っています。

 (2)国が保有する土地からの収入
 「土地は財政収入の源泉として、もっと安定し、恒久的な性格をもっている。このため、国有地の地代が、遊牧の段階を超えて社会が発展した大国の多くで財政収入の主要な源泉になってきた」(409頁)として、古代のギリシャとイタリアの共和国やヨーロッパの昔の王国の例を挙げています。
 しかし、文明が発達してくると、住宅の家賃を含む土地の地代だけでは政府の経費を賄うことが出来なくなってきました。「現在のヨーロッパの文明国には、財政収入のうちかなりの部分を国有地の地代によって得ている国はない」(412頁)が、ヨーロッパの大君主国では広大な直轄地がありますので、「直轄地が売却されて民有地になれば、何年かの後には十分に改良され耕作されるようになるだろう。土地の生産物が増え、国民の収入と消費が増え、人口が増加する。そして国民の収入と消費が増えるとともに、関税と物品税として得られる財政収入が、かならず増加していく」(412頁)として、直轄地を民間に分配した方が社会の利益になると言っています。

 「したがって、主権者か国が保有する二つの財源である国有の資本と土地は、文明が発達した王国が必要とする支出を賄うには不適切だし不十分である。支出の大部分は各種の税金で賄われなければならない」(413頁)として、国民が各自の収入の一部を拠出する税の問題に入ることになります。

 第2節 税 (Part Ⅱ Of Taxes)

 民間人の収入は、最終的には、土地の地代、資本の利益、労働の賃金からなります。この節では、これらの三つの源泉から支払われる税金と三種類の収入のすべてから支払われる税金について説明することになりますが、スミスはそれらの個々の税金に入る前に、税金全般について以下の4つの原則 (maxims) を挙げています。

 「第一に、すべての国の国民は、政府を支えるために、各人の能力にできるかぎり比例して、つまり各人が国の保護のもとで得ている収入にできるかぎり比例して、税金を負担するべきである」(414頁)という原則で、この原則が守られていれば公平であり、守られていなければ不公平 (the equality or inequality of taxation) であると言っています。

 「第二に、各人が支払う義務を負う税金は、恣意的であってはならず、確定したものにするべきである。支払いの時期、支払い方法、支払い額のすべてが納税者に、そしてすべての国民に明確で分かりやすくなっていなければならない」(414頁)という原則で、これが満たされないと徴税人に支配されるようになり、徴税人の気分によって税が重くなったり賄賂が出てくる可能性があると言っています。

 「第三に、どの種類の税金も、支払いの時期と方法がともに、納税者にとって便利である可能性が高いものにするべきである」(414~415頁)という原則です。

 「第四に、どの種類の税金も、国民から支払われるか国民の受け取りを減らして徴収する金額と、国庫に入る金額との差ができるかぎり小さくなるように設計するべきである」(415頁)という原則で、この国庫に入る金額との差が大きくなる場合は、次の4つがあると言っています。(1) 課税のために多くの役人が必要になり、納税額のかなりの部分が役人の給与に使われたり、役人が要求する賄賂が追加の税金になるとき、(2) 多くの人を維持し雇用する業種で、税金のため事業が行いにくくなって産業の障害になるとき、(3) とくに高い税金や関税は、脱税や密輸を誘い脱税や密輸をした人に刑罰を科して没落させることになるが、そのような人が資本を使うことで得られただろう利益を無くするとき、(4) 徴税人がたびたび訪問して不愉快な検査をするために、納税者が不必要な手間、苛立ち、抑圧を被るとき、です。スミスは、「以上の4点のどれかがあれば、国民が負担する税金は、主権者が受け取るものよりも重くなる」(416頁)と言っています。



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