近畿植物同好会 掲示板
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草紅葉 相良真佐美 投稿日: 2024年02月12日 21:05:02 No.1102 【返信】

2月になって、茨木市の安威川河川敷の一部の100mぐらい長さの所だけ草紅葉になっています。他の所は赤くなっていません。
チガヤの紅葉はここでよく見かけるのですが、葉の形が違います。
夏の間はクサイかなと思っていましたが、じっくり見るとコウガイゼキショウの仲間に見えました。
ただ、この地域は3か月おきに草刈りがあり、なかなか野草が大きくなれません。また草丈も低いです。

あいにく、イネ科やカヤツリグサ科の図鑑はあるのですが、イグサ科は持っていないので、日本の野生植物などで調べましたが、簡単な説明しかありませんでした。
花序はコウガイゼキショウより少ないので、アオコウガイゼキショウではと思い調べました。

ネットにアオコウガイゼキショウの詳しい説明と画像があり、撮影しました。
●三河の植物観察には、「茎は直立し、円筒形、中空。茎が乾燥すると細かい点状の突起が見える。」
https://mikawanoyasou.org/data/aokougaizekishou.htm

●西宮の湿生・水生植物 Fig.12には、「 葉は単管質で明瞭な隔壁があり、隔壁は株元に向かってたわむ。」
http://plants.minibird.jp/hydrophytes/plants/shissei/a_gyou/aokougaiZekishou/aokougaiZekishou.html

また、神奈川県植物誌 2018 には、409ページに図もありました。

生育環境や分布からも、アオコウガイゼキショウではないかと思われます。
しっかりと地下茎を張っていたので、また刈り取られますが、夏に確認したいと思います。


ハリコウガイゼキショウではないでしょうか? 藤井俊夫 投稿日: 2024年02月15日 15:38:44 No.1106
花序の拡大写真で、花被片の先端が針状になっているので、ハリコウガイゼキショウ(Juncus wallichianus)ではないでしょうか。
神奈川県植物誌の「アオコウガイゼキショウ:Juncus papillosus」の図では、花被片の先が針状に突出していません。
また、ハリの花被片は果実と同じくらいか少し短い程度。
アオの花被片は果実の半分程度(神奈川県植物誌の図を参照)になります。

現状で標本を作製し、夏以降に成熟した果実で、果実と花被片の長さおよび花被片先端が針状に伸びるのか確認してください。
開花時と、果実時で花被片の先端がどう変化するのか、および果実と花被片の長さの変化を検討する必要があります。
図鑑に掲載されている解剖図や拡大図は、最も特徴を表している時期の図になります。
成熟時と未成熟時で外部形態が変化することを考慮に入れ、未熟時と成熟時の形態形質を比較する必要があります。

追伸
3月3日のKONCに大和川下流域の植物相についてポスター発表を予定(これから準備だ)
10日には篠山で春植物(節分草)についての講演を頼まれている。
去年2月末に撮影していてよかった。
掲示板に投稿していたはず(top pageの検索機能で探してください)
相良真佐美 投稿日: 2024年02月15日 17:21:06 No.1107
藤井 様

 ハリコウガイゼキショウの方でしたか。貴重なご指摘ありがとうございます。
 年に数回刈り取られる環境での異常なストレスのかかった不自然な花序で、同定に不安を持っていました。
 それで、根が付いたままで採集し、自宅で栽培準備を始めています。
 これならストレスがなく、正常な花序や果実ができると思っています。
 夏を過ぎれば、確認して、また報告します。
栽培結果 相良真佐美 投稿日: 2024年05月16日 23:32:41 No.1235
安威川河川敷のイグサ属を自宅で2月26日から栽培し、5月15日、成熟途上ですが果実ができましたので名前を調べました。
参考にしたのは、原色日本植物図鑑 草本編[Ⅲ](保育社 1961)で、PLATE 45の図の不要な所を除いて引用しました。

頭花はほとんど2~3花でした。図鑑で調べると、2花なのはアオコウガイゼキショウで、安威川河川敷のイグサ属はアオコウガイゼキショウと思います。
アオコウガイゼキショウは、学名Juncus papillosusの種小名papillosusは「乳頭状の」で、葉や茎の表面に小粒状突起が出ることが特徴で名前の由来です。
この乳頭状突起は気孔であり規則的に並びます(改訂新版 日本の野生植物 1 より)。
顕微鏡で拡大すると、葉に規則的な白い突起が並んでいました。さらに拡大してみると気孔が見えました。
以前、「緑のサクラの花弁の裏の気孔」の撮影で困っていた時に、この掲示板で三浦励一さんからスンプ法を教えていただき、その方法でも撮影しました。

なお、以下の「西宮の湿生・水生植物」のサイトに詳しくまとめられ、非常に参考になりました。
●アオコウガイゼキショウ
 http://plants.minibird.jp/hydrophytes/plants/shissei/a_gyou/aokougaiZekishou/aokougaiZekishou.html
●ハリコウガイゼキショウ
 http://plants.minibird.jp/hydrophytes/plants/shissei/ha_gyou/hariKougaiZekishou/hariKougaiZekishou.html
 




ギボウシ属の5新種1新亜種 磯野久美子 投稿日: 2024年05月13日 23:35:20 No.1233 【返信】

今回は自慢話です。可愛い後輩の自慢です(^^)
私は高校までずっと小さな女子校にいました。家族的なとても良い学校です。
去年の6月(創立月)、卒業25年目の人と50年目の人(私たちの学年)のお祝いの席で、久々にお会いした生物の恩師が25学年下のBotanistを紹介して下さいました。当日、猛烈多忙な彼女は欠席でしたが。
今年も6月を前に同窓会誌が先日届き、卒業生の「ご活躍」コーナーに、彼女がなんと新種を発見した話が載っていて、やった~♪と思って、即、ネットで調べたら、なんと合計6つも見つけたと分かり、めちゃくちゃ嬉しくて、紹介して下さった共通の生物の恩師と大喜びしました。
詳細は下記サイトでご覧ください。

彼女は2016年頃からギボウシの原種にはまっていたそうで、四国中のいろんなところにあるものを探して、その中で、図鑑に当てはまらないものがあるなあ、よくわからないなあ、と思っていたそうです。2020年になって、植物分類学の権威、九州大学名誉教授の矢原徹一先生が訪ねて来られて、最新のDNA検査法が発明されたから日本の植物の総点検をしています、まずは要検討の分類群からやっています、ギボウシで変なのありませんか?と言われたそうです。
いろいろまわっていたので、もうマップはできあがっていて、開花期も全部わかっていたので、こことここに変なやつあります、とお教えしたら、それが全部新種・新亜種だったそうです。
彼女は謙虚なので、このような学名と和名を命名する機会に恵まれたのも「たまたま」とか「ラッキーなことに」とか言うのですが、やっぱりBotanistは足なんだなあと私はいたく感動致しました。
詳しいことは分かりませんが、常々見ていないと、変だなとか気づかないと思いますので、すごいことだと思います。

https://youtu.be/kIBkIeH9nCc
https://qou.jp/archives/7215
(ここからPhytoKeysに掲載された論文にもアクセスできます。)
https://www.sci.kyushu-u.ac.jp/koho/topics/topics_240105.html
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/715421
https://www.env.go.jp/press/press_02590.html
新種候補植物図鑑速報版1および2 植村 修二 投稿日: 2024年05月14日 14:58:09 No.1234
 磯野さんの投稿に、

 「九州大学名誉教授の矢原徹一先生が最新のDNA検査法が発明されたから日本の植物の総点検をしています」と書いてありました。

 最近、私が入っているメーリングリストで知って購入したのが以下の本です。

 矢原徹一ほか2024:新種候補植物図鑑速報版1 および2(各2200円)

 ペーパー版がアマゾンで販売されています。まだ続けて出版されるでしょう。1および2にはギボウシはまだ載っていません。セントウソウが1種ではなく8種に、ヤブニンジンが1種から4種に、アケボノソウが4亜種に分化・・・知らなかったことばかりでした。


六甲高山植物園 植村 修二 投稿日: 2024年05月13日 18:03:40 No.1230 【返信】

 2024年5月12日、森和男氏の『牧野富太郎特別講演』を聞きに、六甲高山植物園を訪れました。

 春の花の最盛期を過ぎ、雨も降ってきましたので来園者は少なく、ゆっくり世界の山野草を観察することができました。

 午後の森氏のお話で、ここのハイマツは植栽樹としては日本最大級であるとのことを知りました。また、関東の山野草愛好家は日本に自生するものにこだわったのに対し、関西の愛好家は、積極的に海外より山野草を導入したことから、六甲高山植物園において、国際色豊かな高山植物園になったとのことです。

 以下は、当日、見られた日本原産の山野草類です。わが国に自生する種は、この時期、白い花が圧倒的に多かったです。


六甲高山植物園 日本原産の山野草 植村 修二 投稿日: 2024年05月13日 18:14:43 No.1231
 ミツカシワはスギナのじゅうたんの中から顔を出し、開花していました。賛否両論あるでしょうが、私はこの方が自然な感じでいいと思いました。

 ミヤマオダマキ、クリンソウは数少ない白以外の花色。
 

 キレンゲショウマはたくさん群生しており、周囲にも実生由来の株が生えていました。意外に逞しい植物みたいですね。8月には開花しているかも。


六甲高山植物園 外国から持ち込んだ山野草 植村 修二 投稿日: 2024年05月13日 18:22:47 No.1232
 外国から持ち込んだ山野草です。

 種によっては、名札から離れて生育しています。その種を知らないと間違って覚えてしまうかもしれないから、よく周囲を見ておく必要があります。私には、植え返えをせずに、そのままにしてあるのが自然でいいと思います。

 外国産の山野草は、この時期もカラフルです。

 おそらく山野草に混じってきたのか、ヒメスイバなどの帰化植物も抜かれず、一緒に育っていました。




暖冬とセンダングサ類の越冬 植村 修二 投稿日: 2024年05月10日 18:06:14 No.1227 【返信】

 2023年〜2024年の冬(12月〜2月)は暖冬傾向で、気温は全国的に例年よりも高くなったようです。

 その影響なのか、今まで越冬できなかった植物が越冬し、普通、秋咲きになる植物が今の時期に開花しているものがあります。

 コセンダングサは一年草なのですが、これまでも越冬して翌年の春に開花している個体をしばしば見かけております。

 一方、コシロノセンダングサ(大阪府産)やオオバナノセンダングサ(石垣島産、宮古島産)は、自宅栽培で見ている限り、秋に開花した株が越冬することはこれまでありませんでした。しかし、今年は今、越冬株が盛んに開花しています。

 なお、枯死の状況は、コセンダングサやコシロノセンダングサは気温が低下するにつれて徐々に弱っていき、やがて乾燥して枯死するのに対して、オオバナノセンダングサは12月に入っても色は紫がかったりもしますが緑の葉をつけ、寒い日に突然、低温障害で葉がしおれ、その後枯死します。

 画像を種類別に3回にわけて投稿いたします。以下はオオバナノセンダングサです。一緒に写っているバルカンノウルシから5月に咲いていることがわかると思います。オオバナノセンダングサは越冬すると、葉が単葉になる傾向が強く表れ、サイズも少し小さくなります。


コシロノセンダングサの越冬株 植村 修二 投稿日: 2024年05月10日 18:09:44 No.1228
 コシロノセンダングサの越冬株も、オオバナノセンダングサのように、越冬すると、葉が単葉になる傾向が強く表れ、サイズも少し小さくなります。

コセンダングサの越冬株 植村 修二 投稿日: 2024年05月10日 18:28:26 No.1229
 コセンダングサの越冬株では、小葉のきょ歯が目立ち、サイズも小さくなり、花を見なければ別種のようになります。



ヤサカフウロ 相良真佐美 投稿日: 2024年05月03日 14:56:31 No.1215 【返信】

4月25日に水無瀬渓谷に行った後、島本町尺代にヤサカフウロが咲いているという情報をいただきました。
5月2日に、「尺代の道沿い」という情報だけでしたが、初耳なのでネットで特徴を調べ、ぐるりと回ってみました。
そうすると、道沿いにびっしりヤサカフウロが生えていました。花の色や大きさはピッタリです。葯の色も黄色です。
ヒメフウロは赤い葯で、一部には黄色い葯もあるそうですが、葉の形がヒメフウロと違います。

このヤサカフウロの詳しい情報提供を今日呼び掛けると、「近畿植物同好会会誌第35号、2012」p11-13にあると回答が来ました。
またご親切に、そのコピーも送ってもらいました。豊原稔さんの執筆でした。

 ●会誌第35号(2012年1月) 豊原 稔 「大阪府下に帰化したヤサカフウロGeranium purpureum Viliars」

とあり、詳しく島本町尺代で見つけた経緯が載っていました。地図もあり、5月2日に見てきたこととピッタリ合っていました。
記事では、「10数mの群生」とありますが、最初見つけた株から最後の株まで記録し、帰ってグーグルマップで距離を測りました。
すると群生の範囲は450m(途中生育していない個所もあります)でした。10数年経って大きく広がったことになります。
今、撮影した写真を整理していますが、珍しい変化も分かりました。またまとめて報告します。


ヤサカフウロ-2 相良真佐美 投稿日: 2024年05月03日 18:11:09 No.1216
ヤサカフウロの葯が黄色か調べていると、葯が10個のはずが、5個の物がそこそこ見つかりました。

「改訂新版 日本の野生植物 3 」(平凡社 2016)でフウロソウ科の検索表の雄蕊は、
  ■オランダフウロ属 (Erodium) 雄蕊は内外2輪に並び、外輪の5個には葯がない。
  ■フウロソウ属 (Geranium)  雄蕊は内外2輪に並び、ともに完全で稔性のある葯をつける。
ヤサカフウロは Geranium purpureum Viliars ですからフウロソウ属です。

ところが、フウロソウ属の解説文では「雄蕊は10個、すべて稔性をもつか、ごくまれに5個が仮雄蕊となる」と記述されています。
 
この「ごくまれ」に遭遇したようです。しかしごくまれにしては、10%ぐらい見つかります。
これは、まだ初夏の最初で、特に川上側は生長が遅いです。もう少し経てば「完全で稔性のある葯をつける」かも分かりません。
もう少し時間をかけて観察したいと思います。


本当に「ヤサカフウロ」でしょうか? 藤井俊夫 投稿日: 2024年05月06日 18:06:02 No.1218
本当に「ヤサカフウロ」でしょうか?

Flora of Chinaのヒメフウロのイラストと、Hye-Won KIM et al.(2019)のイラストを比較してください。
掲示板のGeraniumの画像は、葉が4深裂(5裂片に分かれる)しています。
*********************************************************************
●ヒメフウロ(Geranium robrtitanum)
Flora of Chinaでは、以下の記述があった。
Stamens 10, in 2 whorls, outer ones opposite to petals, inner ones alternating with petals, all with anthers or very rarely (in G. pusillum) 5 reduced to staminodes.
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=113475
雄蕊は10個、外輪は花弁と向かい合って配列、内輪は交互に配列。非常にまれではあるが、5本に退化し、仮雄蕊になる(G.pusillum)。

●ヤサカフウロ(Geranium purpreum)
以下の論文に詳しいイラストが載っています。
Hye-Won KIM, Eun-Mi SUN, Su-Young JUNG and Dong Chan SO. 2019。
Geranium purpureum Vill: A new casual alien plant in South Korea. Korean Journal of Plant Taxonomy 49(3):209-214。
https://www.researchgate.net/publication/336020314_
*********************************************************************
●葉身の分裂様式
Kim(2019)の図2-Fで、(ヤサカフウロ)葉心基部の拡大図があります。これによれば、3裂片に深裂した後、さらに5裂状になっています。
Flora of China(2008)の図(ヒメフウロ)では、掲示板の写真と同じ、分裂様式を示しています。

●葉の裂片先端の形状
ヒメフウロ(G.robrtitanum)の図の、葉の裂片の先端は鋭形です。
ヤサカフウロ(Geranium purpureum)の図の、葉の裂片の先端は鈍形です。

●葉の形質比較
G.robrtitanum(ヒメフウロ):葉は5深裂。裂片の先端は鋭形。
G.purpreum(ヤサカフウロ):葉は3深裂から5裂に移行。裂片の先端は鈍形。

●萼片の毛の状態
ヤサカフウロ:Plant Biodiversity of South-Western Morocco
あらい毛が萼片上に散生。茎上の毛は萼上の毛よりも長い?
https://www.teline.fr/en/photos/geraniaceae/geranium-purpureum
New Zealand
https://www.nzpcn.org.nz/flora/species/geranium-purpureum/

ヒメフウロ:Foto di piante spontanee, erbe selvatiche e arbusti della flora mediterranea.
長毛と短毛が生える。茎上の毛は萼の毛よりも短い?
https://www.piante-spontanee.it/specie/geranium-robertianum
https://www.francini-mycologie.fr/BOTANIQUE/Geranium_robertianum.html
**********************************************
掲示板の写真:葉は5深裂。裂片の先端は鋭形。萼裂片の毛はヒメフウロに似ている。
ヒメフウロとすれば、雄蕊は5本で、仮雄蕊があります。


以上の形質を見ると、とても当該植物がヤサカフウロとは思えません。
ヒメフウロは、最近各地で園芸からの逸出と思われる個体が報告されています。
名古屋大博物館の西田研究室site
https://www.num.nagoya-u.ac.jp/outline/staff/nishida/laboratory/research/research1_2.html
論文
https://www.num.nagoya-u.ac.jp/outline/staff/nishida/laboratory/research/apg62_23p79-87.pdf

海外から侵入した植物は、日本の種類と同じ種でも、違う形質を示すことがあります。
ヒメフウロについても、葯の色や、葉の裂片、茎上の毛の状態など、海外の文献を参照して、種内変異を抑えるべきだと思います。
海外のヒメフウロには雄蕊が5本から10本と、変化する系統があるかもしれません。
ヒメフウロの葯の色はピンクからオレンジ、黄色と様々な系統があるらしい。葯の色、その他の形質で亜種や変種が記載されています。
Undehisced anthers pink, orange or purple (occasionally dull yellow in late flowers)
RICHARD J. TOFTS。2004.Geranium robertianum L.Journal of Ecology. Volume92:Pages 537-555。
https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.0022-0477.2004.00892.x
****************************************
日本のGeranium属

属の解説で、
「雄蕊は5本ずつ、1-3輪」:平凡社(旧版:日本の野生植物)
「雄蕊は逆2重で、10、まれに15本」:保育社
「雄蕊は10個。完全::大井:日本植物誌
「雄蕊は10本で、どれも葯を持つ::神奈川県植物誌1988

在来のGeraniumの雄蕊本数
ヒメフウロ:雄蕊(5)
ゲンノショウコ:雄蕊(10)
ハクサンフウロ:雄蕊(10)
イチゲフウロ:雄蕊(10)
コミツバフウロ:雄蕊(10)
エゾフウロ:雄蕊(10)
イブキフウロ:雄蕊(10)
イヨフウロ:雄蕊(10)
アサマフウロ:雄蕊(10)
タチフウロ:雄蕊(10)
ビッチュウフウロ:雄蕊(10)
植村 修二 投稿日: 2024年05月07日 16:34:42 No.1221
相良真佐美さま、藤井俊夫さまへ。

 相良さんが投稿された植物はヤサカフウロと思います。藤井さんがおっしゃるとおり、島本町のものは葉の切込みが深く、裂片が細く、自宅栽培のヤサカフウロとは違ってますが・・・
 
 フウロソウ属は、茎の上部に着く葉になるほど、種の特徴が分かりにくくなります。
 
 参考までに、自宅栽培のヤサカフウロ、ヒメフウロ(ただし生育不良)の画像、いい出来じゃないですが、先ほど撮影したものを載せます。


ヤサカフウロとヒメフウロの識別点(萼片の毛の状態) 藤井俊夫 投稿日: 2024年05月08日 09:44:35 No.1222
相良さま、植村さま                藤井

葉の形状は種内変異が大きく、Geranium属の同定の決め手にならないことに納得しました。
相良さんの写真で、全景を拡大すると、萼片に細かい毛が生えているので、ヤサカフウロ(Geranium purpureum)になると思います。

以下のsiteに区別点(花の図)が載っています。
Downloading Fig 4 from "Geranium purpureum Vill: A new casual alien plant in South Korea". Korean Journal of Plant Taxonomy 49(3):209-214。
https://www.researchgate.net/figure/Size-of-flowers-and-hairs-on-the-calyx-A-Geranium-purpureum-B-G-robertianum_fig4_336020314
Fig.4. : Aが、ヤサカ; Bが、ヒメ。
以下のsiteも。
https://e-kjpt.org/m/journal/view.php?number=4925
相良真佐美 投稿日: 2024年05月08日 14:50:29 No.1223
昨日(5月7日)、ヤサカフウロの確認のために、島本町尺代の豊原稔さんが同定された会誌第35号の場所に行きました。

そして、生育範囲を調べるために、道沿いに見つけた最初と最後の位置のGPSデータを使ってグーグルマップで測りました。
今回は、5月2日よりも念入りに調べました。また、山側だけでなく川側も調べました。その結果、山側700m、川側580mに広がっていました。

まず花の径ですが、6~10mmでした。ヒメフウロは15mmですから、半分ぐらい小さいです。
花は最初1株につき1つずつ葯の色と、葯の個数を調べて行きました。
途中で、葯が5個の花を見つけ、その株にしぼって徹底的に調べると、その株の残りの花はすべて葯が10個でした。
つまり、株ごとに葯の個数が変わるのではありませんでした。
葯の数が株単位で5個か10個と違うという思い込みが間違いでした。その後はランダムに数えて行きました。

結果は120本(母数を増やせばもっと正確なのですが、撮影は300枚しました)の花を調べ、葯はすべて黄色。
葯が5個のは4本でした。5月2日の5個の葯は10%ほどではなく、母数が120本では3.3%でした。

この花の変異は、雌しべでも見られました。
フウロソウ属は雄性先熟で、普通、雄しべが先に成熟し、枯れた後に雌しべが活動して自家受粉を防いでいます。
しかし、120本の内の数本ほどが、雄しべが枯れていないのに雌しべが熟しているのが、見つかりました。初見です。

■今回分かったこと
 花径は、6~10mmでヒメフウロの半分ぐらい。葯は全て黄色。
 雄しべは全て10本、葯は10個。ただし、葯が5個のものと仮雄蕊が5本のものが、まれに現れる。
 葉の形状は鳥足状で、3〜5裂し、裂片は更に羽状に深裂する。茎の上の方の葉は先端が鋭くなり、茎の下の葉は先端が丸くなる。

へばりついて観察していると、地元の人が「なんも珍しないわ~、これヤサカフウロゆうねん」と言って去っていきました。


ヤサカフウロの受粉 相良真佐美 投稿日: 2024年05月10日 10:42:10 No.1225
5月7日に採集したヤサカフウロの受粉を顕微鏡撮影しました。
10個の葯の撮影を試しましたが、熟している葯は振動で外れやすく撮影できませんでした。また、葯の成熟に差があるようです。
役目が終わった葯は、自分の雌しべの邪魔にならないようにすぐに外れるのかも分かりません。
自家受粉のも見つけました。遺伝的多様性の面では不利ですが、受粉の成功率は格段に高いです。
自家受粉発生率は分かりません。本やネットで答えはすぐでしょうが、足を運んで現物で調べるのが楽しいのです。


自家受粉について 藤井俊夫 投稿日: 2024年05月10日 13:32:49 No.1226
相良様                  藤井

写真からだけでは、自家受粉、他家受粉の区別は不可能なはずです。
自家受粉による結実率は、厳密には、葯の切除実験、人工授粉実験、袋掛け実験などの結実率を測定したうえで算出できるものです。
このような厳密な実験をする労力を考えれば、よほど有用な(農作物、園芸植物など)植物でないと、研究されないのが実情です。
例:アーモンド、ヘーゼルナッツ、サクランボ、オリーブなどの自家不和合性植物などがよく研究されている。

●参考
Lovett Doust and Lovett Doust. 1988. Plant Reproductive Ecology. Oxford Univ. Press.
種生物学会(編)2000.花生態学の最前線。文一総合出版。3000円。

花粉1個で、親子鑑定をする方法があります。
Isagi,Y. 2011. Significance of Single-Pollen Genotypying in Ecological Research.
in Isagi,Y Suyama,Y.(eds) Single-Pollen Genotyping. Ecological Research Monographs. Springer, Tokyo.
*********************************************************************
以下のsiteにヤサカとヒメの雑種が報告されています。
(ヨーロッパでも、最近まで2種あることが十分認識されていないようです)
●Manual of the Alien Plants of Belgium
https://alienplantsbelgium.myspecies.info/content/geranium-purpureum
★今後、日本在来のヒメと外来のヒメ(園芸植物からの逸出)、八坂の交雑が心配です。

●ヤサカの分布図
Grobal Biodiversity Information Facilities
https://www.gbif.org/species/2890541
Euro-Med PlantBase
https://europlusmed.org/cdm_dataportal/taxon/d23d8a45-a7f5-4c4d-a83b-a90e8dbb4d48

●ヒメの分布図
Grobal Biodiversity Information Facilities
https://www.gbif.org/species/2890668
Euro-Med PlantBase
https://europlusmed.org/cdm_dataportal/taxon/a295af7a-ece8-4555-b7c1-adc2a8179e14


ニリンソウとイチリンソウ 植村 修二 投稿日: 2024年05月07日 13:56:14 No.1220 【返信】

 最近、朝外出する際、服選びに悩んだことはありませんか? 朝は寒く、昼は暑い、一日の気温差が大きい日が何日かありましたよね、

 先日、NHK教育の「趣味どきっ!」道草さんぽ・低山で紹介された春の山野草、ニリンソウを見てきました。この日も朝は寒く、登り始めると汗ばむくらいでした。前日の電話で「ニリンソウ、イチリンソウ、キレイに咲いてますよ」と連絡してくださいました。しかし、生育地に着くと、画像のような状態、イチリンソウはしっかりしていますが、ニリンソウは地面に伏すようにしおれていました。土は湿っていましたので、水切れではないようです。おそらく、昼間の暑さについていけなかったのでしょう。

 「趣味どきっ!」道草さんぽ・低山で、最後に、佐久間一行さんがニリンソウが今回の一番お気に入りの植物としてスケッチして最後に発表されましたね。

追記 

 「趣味どきっ!」道草さんぽで、街中を歩き、人の踏まれない場所のツメクサとして紹介されたのはキヌイトツメクサのようです。                               




水無瀬渓谷のジャニンジン 相良真佐美 投稿日: 2024年04月27日 13:56:43 No.1204 【返信】

4月2日に安威川ダムを見に行った時、メンバーがエドヒガンのそばでジャニンジンを見つけました。
メンバーらは「昔は京都や北摂で当たり前にあったのに、最近はほとんど見かけず珍しい」と話題になりました。

その内の一人が「記憶にある標本は丸い葉のイメージなので違和感がある」とのことでした。
後日、その人に島根大学のサイトのジャニンジンを教えてもらいました。
 島根大学の標本のサイト http://tayousei.life.shimane-u.ac.jp/harbarium/zoom.php?pht=12KAG0470351234
Cardamine impatiens L.とされたのは確かに葉は丸いです。ただラベルに、志賀隆さんがnotと追記されていていました。

それから、安威川ダムのエドヒガンの谷に数回行きましたが、タネツケバナは見かけるのですがジャニンジンは見つかりませんでした。
そのことをメンバーに伝えると、メンバー3人の方からジャニンジンの特徴である「裂片が茎を抱いている写真」を送っていただきました。
これを同定の参考にしたらいいとのことでした。
「京都の野草図鑑」(京都新聞社 1985)、「検索入門 野草図鑑⑥」(保育社 1984)でも同様に書いてありました。
また、大阪府島本町の水無瀬渓谷には昔はたくさんあったとの情報もあり、水無瀬渓谷に行くことにしました。

4月25日に行った島本町の水無瀬渓谷は、確かに自然豊かな所で、せせらぎが高槻市の川久保渓谷や金剛山の伏見林道の雰囲気でした。
乙女の滝まで歩いて、ぽつりぽつりとジャニンジンが現れました。やっと確認できました。

【注意】落石などの危険があり、乙女の滝から先は立入禁止となっています。(2021年12月16日更新)
    島本町ホームページ https://www.town.shimamoto.lg.jp/site/kankou/1426.html

帰り道で大きなテントウムシも見つけました。ハラグロオオテントウと思います。
 町田市の生き物図鑑 https://www.machidashi.net/insect/haraguro.html
 
遠くの山には初夏の風物詩のツブラジイの金色のモクモクが現れてきました。
島本町は大阪府自然環境保全地域でツブラジイなどの保護でも有名です。
 


ミズタビラコとコシジタビラコ 相良真佐美 投稿日: 2024年04月29日 17:01:06 No.1209
水無瀬渓谷では、ミズタビラコも一斉に開花を始めました。

今日、詳しい方からミズタビラコによく似たコシジタビラコという「分果の背面に環状の付属体がある」も混生していると教えていただきました。
この「背面」という意味が分かりにくいのですが、「花さんぽ」さんのサイトに分かりやすい説明がありました。
  「HiroKen 花さんぽ」のサイト https://tinyurl.com/55t5mydr
 
4月25日のはまだ若いミズタビラコだったので、在庫画像から分果の付属体を調べてみました。
調べた島本町の隣の高槻市川久保渓谷のものは、付属体がなかったので、普通のミズタビラコのようです。
5月下旬には分果もでき始めるので、そのころ再度確認に行きたいと思います。
  


相良真佐美 投稿日: 2024年04月29日 18:02:09 No.1210
大本花明山植物園の津軽俊介さんの論文に、苦労してミズタビラコとコシジタビラコを同定したエピソードが載っていました。
ミズタビラコやコシジタビラコと同定した70点の標本を見直し、同定至難な花期の標本は22点見つかったそうです。

 分類 2008 年第 8 巻第 2 号 112ページ~114ページ
 標本に学ぶ 津軽俊介(大本花明山植物園) 
 「思い込みによる誤同定の問題 ミズタビラコとコシジタビラコ」
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/8/2/8_KJ00005013327/_pdf/-char/en
5月2日の島本町の植物 相良真佐美 投稿日: 2024年05月05日 20:19:52 No.1217
5月2日の島本町のツブラジイは、4月25日から一週間経過しましたが、さらに開花が盛んになってきました。真下から花を見ました。
また、島本町は広い範囲でモウソウチクの竹林がありますが、タケは太く、洛西にも劣らず直径14cmぐらいのが、普通に生えています。
JR島本駅付近の車止め(ボラード)も、名物のタケノコの形をしています。街ぐるみでモウソウチクを応援しているようです。
水無瀬渓谷や尺代には、ヤブタビラコ、ウシハコベ、ニシノオオタネツケバナ、ヤブジラミ、カキドオシ、オカタツナミソウなどが咲いていました。




ヤマトチャルメルソウとクマガイソウ 磯野久美子 投稿日: 2024年04月25日 00:05:38 No.1203 【返信】

4月20日、北畠氏館跡庭園(三重県津市美杉町上多気)にてヤマトチャルメルソウと遭遇しました。
日本三大武将庭園の一つという由緒ある庭園の中にある、16世紀に造られたという「米字池」と呼ばれる複雑に湾曲した形の池の小さな滝口の所に咲いていました。
つい先日ミカワチャルメルソウとコチャルメルソウを見たばかりなので、これらとは色や葉の形など姿が違うことがよく分かりました。

また、この滝口の傍にはヤマルリソウの群落があり、その中に2株、クマガイソウが大きな蕾をつけていました。クマガイソウは実物を初めて見たので、プリーツの入った大きな扇のような葉に感動しました。
武家の庭園なので、熊谷直実に思いを馳せて誰かが植えたものかもしれないなあと思いましたが、この庭園がある北畠神社の宮司さんのお話では、植えたという話は聞いたことがないので自生ではないかと思うとのことでした。毎年同じところに咲くそうです。

写真
1枚目:ヤマトチャルメルソウ
2枚目:ヤマトチャルメルソウ(ピンク色の丸の中)とヤマルリソウ(黄色の丸の中)
3枚目:ヤマトチャルメルソウの花(右の写真は百均マクロで撮影)
4枚目:クマガイソウ
5枚目上:クマガイソウの蕾
5枚目下:クマガイソウ周辺の様子。クマガイソウの周りはヤマルリソウの群落。ここは2枚目の写真の左側。この写真右側の延長線上にヤマトチャルメルソウの咲く滝口がある。
6枚目:北畠氏館跡庭園の米字池


ムサシアブミ、ニオイタチツボスミレ、オキナグサ 磯野久美子 投稿日: 2024年05月01日 00:10:05 No.1212
4月20日、北畠氏館跡庭園を見た後、霧山城址へ登りました。
まだ色々な桜が咲いている新緑の山は気持ちよく、見晴らしも良かったです。
ムロウテンナンショウが沢山ありましたが、ムサシアブミも見ることができました。
足元には実生の小さなスギやマツ、ヒメウズ、種子ができているヤマネコノメソウ、山頂への道の両側にはまるで盆栽のように鹿がかじったツツジ類が並んでいました。
日当たりの良い山頂付近では、ニオイタチツボスミレが色鮮やかに咲いていました。
ニオイタチツボツミレについては、紫と白のコントラストの強い華やかな色合いの花であることは大変印象に残りましたが、残念ながら、香りが私にはほとんど感じられませんでした。少し調べてみると、どうもこの香りは時間や天候によって強さが異なったりするようで、香りの全くない個体もあるようです。また、個人の感覚の差もあるとか。次に遭遇した時にはぜひその芳香を感じてみたいものです。

ところで、下山後通った山深い集落に、庭一面にオキナグサが咲いているおうちがありました。土地の人のお話では、以前はこの辺りにはオキナグサが沢山自生していたそうで、このお庭も移植したものがどんどん増えたのだそうです。しかし、今はもう自生のものは全く見られないとのことでした。

写真
1枚目:ムサシアブミ
2枚目:鹿がかじったツツジ類
3枚目:ニオイタチツボスミレ
4~6枚目:オキナグサ


クマガイソウ 相良真佐美 投稿日: 2024年05月01日 11:23:18 No.1213
磯野様

 >クマガイソウは実物を初めて見たので、プリーツの入った大きな扇のような葉に感動しました。

豊能町のクマガイソウは、保全のため大々的に公開されていませんでしたが、保護管理がうまくいっているのか、新聞で公開されました。

 産経新聞 2024/4/24 20:00 絶滅危惧種のクマガイソウが群生する大阪・豊能町で200株以上が開花
 https://www.sankei.com/article/20240424-YIFM265O7FMZNFBV7QPCMJNHFI/

添付画像は昨年4月27日の、保護柵の中のクマガイソウです。初谷渓谷には、クマガイソウの説明看板もあります。
自生していたのを初谷に移植した経緯は、産経新聞に載っています。
新聞には「大型連休中は楽しめる見込み。」とありますが、5月4日では、そろそろ萎みだしていたのもありました。

初谷渓谷は、その他楽しい生き物に巡り合えます。特に珍しい野鳥撮影に最適です。オオキツネノカミソリも初夏に開花です。


Re:クマガイソウ 磯野久美子 投稿日: 2024年05月01日 15:23:11 No.1214
相良様

情報、ありがとうございます。
初谷にこんなに沢山のクマガイソウがあるとは知りませんでした。
なんかスゴイですね!


オダマキ属(Aquilegia)と、ヒメウズ属(Semiaquilegia)の違い 藤井俊夫 投稿日: 2024年04月28日 11:45:05 No.1207 【返信】

オダマキ属(Aquilegia)と、ヒメウズ属(Semiaquilegia)の違い
Flora of Chinaより
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=10757

32 (31) Sepals white; stamens 8--14; style 1/6--1/5 as long as ovary・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Semiaquilegia
+ Sepals blue or purple; stamens numerous; style ca. 1/2 as long as to longer than ovary. (33): ・・・・・・・・・・・Urophysa、 Aquilegia

萼片は白色、雄蕊は8-14;雌蕊の長さは子房の1/6から1/5・・・・・・・・・・・・・・・・20:ヒメウズ属
萼片は青から紫、雄蕊は多数、雌蕊の長さは子房の1/2以上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Urophysa、オダマキ属

ヒメウズ(Semiaquiregia)属は、中国、朝鮮半島、日本に、1種が分布。
オダマキ属は、北半球の温帯域に70種が分布。

注:Urophysa、2種が中国に分布。中国固有か?:萼片、花弁、雌蕊の長さの比が違うという。
*********************************************
以下の文献が見つかった
Deng-Feng Xie et al. 2021.A Combined Morphological and Molecular Evolutionary Analysis of Karst-Environment Adaptation for the Genus Urophysa (Ranunculaceae).
Front. Plant Sci., 10 June 2021. Sec. Plant Systematics and Evolution. Volume 12.
https://doi.org/10.3389/fpls.2021.667988
https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.3389/fpls.2021.667988/full
●abstractより。
Both molecular and morphological evidences indicated that Urophysa species evolved complex strategies for adapting to hostile karst environments
分子生物学的、形態学的に判明した事象は、Urophysaが植物の生育に不利なカルスト(石灰岩質)の環境に適応して複雑な適応進化を行ったとある。
(結局、よくわかっていないのではないか?:単なる矮性化の極端な例ではないのか?。これで属を分けるのか?)
*********************************************
Aquiregia(70種)から、Semiaquiregia(1種), Urophysa(2種)を分ける必要や、明確な違いがよくわからない。
Semiaquiregia, Urophysaを認める立場だと、どちらも東アジア固有属となり、属レベルで絶滅危惧の評価が必要になるのでは?
ヒメウズは、日本では雑草だ!!
(Semiaquilegia属は、牧野富太郎の記載)
Semiaquilegia Makino:First published in Bot. Mag. (Tokyo) 16: 119 (1902)

蛇足
刺身に使う、ワサビは、以前は日本固有属とされていた(Wasabia japonica).花序軸に葉(苞葉か?)が有るか無いかでEutremaと区別されていた。
Wasabia:ワサビ、ユリワサビ、オオユリワサビの3種が日本に分布。
平凡社の旧版:日本の野生植物までは、Wasabiaを使っている。
Wasabia: Matsum.First published in Bot. Mag. (Tokyo) 13: 71 (1899)松村任三がWasabia属を記載している。

ヒメウズは、最近では、Eutrema japonicumとされ、約7種が北半球に広く分布する属とされる。
(改訂版:日本の野生植物は、Eutremaを採用している)
ワサビ属(Wasabia)も、Eutremaに統合されている。
Eutremaの和名は、ワサビ属としているので、新旧の概念の違いが混乱を招く可能性がある。
学名の出典や採用した図鑑を明記しないと、ややこしくなる。
*********************************************
昨日は、大阪自然史博で50周年記念シンポがあった。

●長居植物園・自然史博物館 50周年記念シンポジウム~植物園・博物館のある街づくり~
YOU TUBEで、見逃し配信をやってます。
https://www.youtube.com/watch?v=3eKfL22zllo
すいません、一部訂正です(●の部分) 藤井俊夫 投稿日: 2024年04月28日 11:53:37 No.1208
ヒメウズは、最近では、Eutrema japonicumとされ、約7種が北半球に広く分布する属とされる。●(Eutrema japonicumをSemiaquilegia adoxosoidesに訂正)
(改訂版:日本の野生植物は、Eutremaを採用している●Semiaqilegiaに訂正)

●狭義のワサビ属(Wasabia)も、Eutrema(●広義のワサビ属)に統合されている。

Eutremaの和名は、ワサビ属としているので、新旧の概念の違いが混乱を招く可能性がある。
学名の出典や採用した図鑑を明記しないと、ややこしくなる。
*********************************************
Re:オダマキ属(Aquilegia)と、ヒメウズ属(Semiaquilegia)の違い 磯野久美子 投稿日: 2024年04月30日 08:53:48 No.1211
藤井様

いつも最新の情報をありがとうございます。
また、色々な視点をお示しいただき、大変勉強になりました。


NHK教育の「趣味どきっ!」で、以下の番組が再放送されます。道草さんぽ 藤井俊夫 投稿日: 2024年04月10日 13:35:12 No.1174 【返信】

●道草さんぽ・春 (2)植物園さんぽ(再放送)
4月16日(火) 午後0:15 〜 午後0:45

●道草さんぽ・春 (3)街中さんぽ
4月16日(火) 午後9:30 〜 午後10:00

2023年4月の再放送です
https://www.nhk.jp/p/syumidoki/ts/5N8N91PYV7/schedule/

昨日、何気なくNHK教育をつけると、第2回目の再放送をやっていました。
多田多恵子が小石川植物園で解説を行っていました。
道草さんぽ・春 (2)植物園さんぽ
毎週火曜日の午後9時半からー。再放送は一週間後の昼にある。全9回あるらしい?

見逃し配信
https://www.nhk.jp/p/syumidoki/ts/5N8N91PYV7/episode/te/24G9J7WR9J/
Re:道草さんぽ 磯野久美子 投稿日: 2024年04月14日 21:18:39 No.1190
去年の放送もおそらくその前の放送も全部じゃないかもしれませんが見ましたし、今年もまた同じ放送を見ていますが、テキストまで買ったりはしていませんでした。
しかし、先程本屋さんで目に留まり、パラパラめくってみたら、すごいてんこ盛りで楽しくて、思わず買ってしまいました!
あとはこの番組で使っている百均マクロがあれば良いだろうなあと思うのですが、これ、最初の放送の時に探しましたが、うちの周りのどこの百均でも「もう置いてません」と言われました。残念です。
百均マクロがダイソーの通販で売っています。 藤井俊夫 投稿日: 2024年04月18日 12:44:08 No.1193
商品名:スマートフォン・レンズセット
https://jp.daisonet.com/products/4549131890549

ダイソーの百均売り場で探してはどうでしょうか?
店舗検索
https://www.daiso-sangyo.co.jp/shop

スマホで、二次元バーコードを読み取って、在庫検索ができる。
https://www.daiso-sangyo.co.jp/app

通販で、スマホマクロレンズで検索すれば多数出てきます。
2000円から3000円のものばかりです。

通販siteごと(価格が異なる)で、接写の比較したsite
https://photobook.ikuji-park.com/sp-macro-lens.html
やっぱり、2000円以上の価格帯が、きれいに撮影できるようです。

追伸
 以前、20倍のルーペを使ってみたことがあるが、うまくいかなかった。
ランキング 1位~100位 相良真佐美 投稿日: 2024年04月18日 13:18:40 No.1194
「スマホ用マクロレンズ」のランキング 1位~100位というのがあります。価格はバラバラです。
 このランキングを信頼してもいいかどうかも分かりませんし、本当に使い物になるどうかは全く分かりません。

 ●YAHOOショッピッグ https://tinyurl.com/d6ye4cub
  
Re:百均マクロ 磯野久美子 投稿日: 2024年04月18日 14:53:21 No.1195
藤井様、相良様

情報、ありがとうございます🍀
ダイソーの東京エリアの店舗にはあると分かりましたので、大阪でもあるかもしれません。また、探してみます。
私のスマホは安物でカメラの性能自体がよろしくないので、高価なレンズはもったいないと思って、今まで買わずに来ました。
百均で見つかればラッキーです。
Re:百均マクロ 磯野久美子 投稿日: 2024年04月18日 22:13:40 No.1196
ありがとうございます!
おかげ様でゲットできました。
普段の行動範囲内のダイソー3店に電話で聞いたら、どの店にもありました!
ありがたい事に取り置きもしてくれました。
試してみたら、なかなか良いです。
価値ある110円だと思います。

ヒメウズの花が果実になったので、写してみました。
(4月18日撮影)
写真1:スマホでそのまま撮影
写真2:百均マクロを取り付けて撮影


Re:百均マクロ 磯野久美子 投稿日: 2024年04月19日 08:52:25 No.1198
昨夜室内で撮ったヒメウズの同じ果実を、今朝室外で少し下側から写してみました。

相良真佐美 投稿日: 2024年04月20日 09:30:51 No.1199
ヒメウズ(姫烏頭)はトリカブト類の塊根を思わせることから名前が付きました。
トリカブト類の塊根は漢方薬で利用され、母根の部分を烏頭(ウズ)、子根の部分を附子(ブシ)と呼び、それぞれ効能が違います。
ヒメウズ1種からなる単型属のヒメウズ属です。(日本の野生植物2)

果実は袋果で2~4個で、トリカブト属に似ています。同じキンポウゲ科のカワチブシとイブキトリカブトの写真です。

【注意!】伊吹山の登山情報
 2023年7月12日の大雨により、米原市上野口からの伊吹山登山道が大規模に崩壊しました。
 麓から伊吹山の入山は禁止されており、季節やルートにかかわらず、上野口側の麓からの登山は現在できません。
 伊吹山ドライブウェイの方は無事で、冬季閉鎖が終わり2024年4月20日(土曜日)午前8時から開通です。


Re:ヒメウズ 磯野久美子 投稿日: 2024年04月27日 17:46:01 No.1205
相良様

ヒメウズの説明、ありがとうございます。
ヒメウズについては、近植にもまだ入っていない随分前に、鞍馬の神社で初めて遭遇し、とても小さいのに、オダマキそっくりの花のその造形美に大変驚き、以来、特別な気持ちを抱いている植物の一つです。
ヒメウズ属ということですが、Wikipediaによるとオダマキ属に含めることもあるようで、なんとなくちょっと嬉しいです。
Re:道草さんぽ・春(4)低山さんぽ 磯野久美子 投稿日: 2024年04月27日 18:03:27 No.1206
「道草さんぽ・春(4)低山さんぽ」(4月23日放送)でコチャルメルソウが出て来ました。
講師の多田多恵子さんのお気に入りの花だそうで、「すてきな花」と仰ってました。
魚の骨のような花弁は、夜に訪れるキノコバエがとまる足場になるそうで、口が長くないキノコバエは魚の骨を足場にすると丁度うまくごはんが食べれるとのことでした。
藤井さんが紹介して下さったモノグラフにも同様の写真が載っていましたが、その著者、奥山先生の撮られたキノコバエがとまっている写真も放送で見る事ができました。

なお、「(4)低山さんぽ」は4月30日(火)午後0:15~0:40に再放送があります。


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