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円弧翼機の上昇
松本@GPF
投稿日:2023年01月05日 22:24
No.167
【Home】
昨年末30日に撮影した3本の動画です。
機体は
https://rara.jp/rubbermodel/page151
で紹介した主翼展開スパン30cmの円弧翼ライトプレーン。
この最初の動画では機体は上昇の途中から主翼を左右に上下させるダッチロールを起こしているのが観察できます。
ダッチロールは横安定(上反角の働き)に対して方向安定(垂直尾翼の働き)が不足している時起こります。
その対策として尾翼を整形して有効垂直尾翼面積を大きくしました。実際には尾翼の両端を結んでいるミシン糸を短くして翼の高さを4cmから5cmに増やしました。
その結果の飛行が2番目の動画です:
上昇の途中に失速して大きく高度を失っています。
これはV字翼と同じく有効垂直尾翼の長さの増加と同長だけ有効水平尾翼長が短縮して主翼と水平尾翼のバランスが崩れ、主翼の頭上げモーメントが尾翼の頭下げモーメントを越えてしまったためです。
その対策として重心位置を前進させて主翼のモーメントアームを短くして主翼の頭上げモーメントを低減、主翼と水平尾翼のバランスを回復しました。
実際に行ったのは主翼の後退です。飛行が正常になるまで数回のテスト飛行主翼後退を繰り返しました。
その結果が最後の動画です。
最後まで急上昇です。
この調整状態の機体写真を添付しました。
なお各動画で最後に急降下しているのは働力飛行終了時にゴム後端を外してデサマにしているからです。
次ページには調整の理屈を図示すると予定です。
松本@GPF
投稿日:2023年01月15日 20:44
No.168
【Home】
https://rara.jp/rubbermodel/page160
で紹介した通りV字翼には水平尾翼の働きと垂直尾翼の働きがありますが、円弧翼も同様です。
前ページの主翼、動画1と動画2の場合の円弧尾翼の実行水平尾翼幅と実効垂直尾翼幅を計算したのが最初の図です(計算方法は別途説明します)。
計算結果で動画1と動画2の場合の円弧尾翼の実行水平尾翼幅と実効垂直尾翼幅を図示したのが真ん中の図。
動画1の場合は実効的な垂直尾翼の高さは2.35cmで高さ不足、これがダッチロールの原因でした。
ダッチロール解消を狙って円弧尾翼の高さを増したのがこの図の右、実効垂直尾翼の高さは3.56cmに増加-これでダッチロールは解消ですが、実効水平尾翼幅は1.33cmから10.9cmに減少しています。水平尾翼の実行面積の減少により縦安定=主翼頭上げモーメントと水平尾翼の頭下げモーメントのバランスが崩れ、頭上げ過剰になってしまいました。これが動画2の失速の原因です。
最後の図は失速対策の様子です。主翼を1cmほど後退させ、これにより主翼上の重心位置が前進し主翼の頭上げモーメントはほぼ10%減少(Lx2.65cm→Lx2.4cm)して頭上げ失速が解消しました。なお尾翼の頭下げモーメントも減少していますが、その量はわずかです。
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