ぽつんと囲炉裏端


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触覚
つくば・あべ 投稿日:2022年09月08日 08:59 No.216
 今回は触角です。
 相対成長から観るオオアリ属の触角がテーマです。多型種の触角柄節長を掘っていきます。
 昆虫の触角=アンテナは、触角機能だけでなく、嗅覚、味覚を捉えていると言われています。円柱状の表面に感覚器官が剥き出し状態で付いているなので、匂いの方向が分かるだろうとの事です。フェロモンという生理活性物質が発達した世界ですから、行動には重要な器官と言えるでしょう。蛾類や甲虫類の特徴的な触角は、それだけでその種の生活を想像させます。
 蟻の触角は柄節が長く、鞭節と明確に分かれているのが特徴です。
 触角先端の数節を棍棒部といい、他の鞭節よりも発達している種が多いのです。触角つんつんで、積極的に触れる部分なので、鞭節の中でも特に感覚器官として発達しているのでしょう。
 蟻の分類では、「頭蓋指数」頭幅/頭長×100と「柄節指数」触角柄節長/頭幅×100が重要だと「アリ類データベース」に緒方さんが書いています。同定方法で、「柄節長が……と比べて……」という文面はよく出て来ますが、指数として記載された内容の文章は読んだことがありません。日本語の書籍、文献類では見ませんね。「THE ANT」を久し振りに見てみようかなあ。読むではないところがちょっとなあ……。あ、かりんちゃんに長期貸し出しして詳しくなってもらうのも手だな。
 余談ですが、頭蓋指数では頭長が分母に来ます。ですからグラフ化する時は、横軸に頭長を置きます。わたしは、どうもこれに馴染めません。よって、横軸が頭幅だったり頭長だったりとごっちゃになっている場合があります。動物学用語でしょうから、ヒトなどの哺乳類での研究由来なのでしょうかねえ。
 さて、この触角柄節には、感覚機能は有りません。簡単に言えば、ただの棒です。感覚器官を自分の頭部から離すためにあると言えましょう。多型の蟻種では「小型個体でも大型個体と同等の機能がある探査器官がある方が便利、都合が良い」と思いませんか。私個人は、現在そんな結論に至っています。


菓凛糖 投稿日:2022年10月05日 13:50 No.239
「たな」への宿題承りました。
たなは超絶出不精といいますか引っ込み思案なのでよ~~~~く言っておきます。


スラダケ 投稿日:2022年09月11日 20:06 No.227 【Home】
「~」は面白いですね。2型だとしても途中緩やかに下がるものでしょうか。
オオアリのグラフは以前にも頂いたと思いますが、ナワヨツとヤマヨツが重なっていないことを再認識しました。オオアリの同定が苦手なので参考にしたいです。折角なのでホソウメマツも入れてみたいですね。


ふじひろ 投稿日:2022年09月11日 14:04 No.226
触角柄節長と頭長とが相関の関係にあるのは面白いですね。
これだけ見事ですと、数式で表すことができそうですね。面白い結果がでると思います。


いるまえかわ 投稿日:2022年09月08日 22:45 No.224
明日ゆっくり読みます。

つくば・あべ 投稿日:2022年09月08日 09:06 No.221
 最後に、柄節指数をグラフ化してみました。
 この際なので、3種類です。グラフは、縦軸は触角柄節長指数(触角柄節長/頭幅×100)で、横軸は左が頭長、中央が胸長、そして右は縦軸が「触角柄節長/頭長×100」横軸は頭長です。拵えただけで、内容検討はしていません。載せただけです。
 でも、綺麗なグラフですねえ。ね、分かり易い、美しいグラフって、良いでしょう。
 頭長比のグラフも拵えてみようかなっと。今回は、こんなところです。


つくば・あべ 投稿日:2022年09月08日 09:05 No.220
 そして、面白いのがウメマツオオアリ亜属です。
 グラフは、縦軸が全て触角柄節長で、横軸は左のグラフから頭幅、頭長、胸長です。
 何とも理解困難な分布をしています。「横一」ではなく「~」に見えるのですよ。
 測定コロニーを増やして、行動観察をして検討する必要があります。ウメマツオオアリは、巣口に門番を置いていて、門番個体は触角を外に出してゆらゆらさせています。この行動と関係がある気がしています。でも「~」は何でしょうねえ。頭幅分布は連続していますが、2型なのかもしれません。
 ウメマツオオアリ亜属は、観察している人も、飼育している人も少ないから、皆さんは馴染みが薄いでしょうね。


つくば・あべ 投稿日:2022年09月08日 09:03 No.219
 オオアリ亜属とミカドオオアリだけのグラフです。
 グラフは両方とも、縦軸が触角柄節長で、横軸は頭長です。
 左がオオアリ亜属で、赤ムネアカオオアリ、黒クロオオアリ、緑ケブカクロオオアリです。
 右は、赤ムネアカオオアリ、青ミカドオオアリです。
 オオアリ亜属3種は、若干の差はありそうですが、小型個体ではほぼ同じで、大型個体は離れそうな気がします。更なるデータが欲しいですねえ。大規模コロニーの標本が欲しいものです。採餌活動個体だけを採集しようかなあ。ねえ、こうやん。
 弓状というか、弧状というか、Rがあるというか。直線の複合ではなく、連続していますので曲線状ですね。各種とも大型個体群では、触角柄節長がほぼ同じになっているようです。ミカドオオアリは、その傾向が顕著です。
 コロニー内で個体数がごく少ない大型個体ですね。グラフでは、横軸が等間隔に並んでいるので、グラフ左の方の1目盛と右の方の1目盛では、意味が違います。10と11の差と50と51の差では、同じ1の違いでも10%差と2%差といえば理解出来るでしょう。こういったグラフを観る時の注意点です。


つくば・あべ 投稿日:2022年09月08日 09:02 No.218
 次は、オオアリ属です。どんと4亜属11種です。
 グラフは、縦軸が全て触角柄節長で、横軸は左から頭幅、頭長、胸長です。
 上から、赤ムネアカオオアリ、黒クロオオアリ、緑ケブカクロオオアリ、青ミカドオオアリ、灰ケブカツヤオオアリ、紫ヨツボシオオアリ、茶クサオオアリ、青ナワヨツボシオオアリ、黒ウメマツオオアリ、緑ヤマヨツボシオオアリ、赤イトウオオアリです。
 ケブカクロオオアリとクサオオアリは大規模コロニーではないので、大型個体がありません。ああ、クロオオアリも欲しい。こうなると、アメイロオオアリ亜属も欲しいよね。
 どの種も小型個体は頭長よりも触角柄節長が長く、大型個体は頭長よりも触角柄節長が短いことが分かります。種によって微妙に違いますね。
 全体で若干の曲線が見えて、そこから右横に向かう分布が見えます。ウメマツオオアリ亜属よりもヨツボシオオアリの触角が長いイメージはなかったですねえ。
 胸長のグラフは、さらに面白いですねえ。どうゆう視点で総括するか悩むところです。ゆるい曲線が見えますねえ。これが基礎でしょう。体長がオオアリ属全体の触角柄節長に関与していそうです。
 柄節だけでなく鞭節も測定してみましたが、無理でした。私の技術では、曲がった状態の鞭節を真っ直ぐにすることは出来ません。乾燥すると分解しやすくなる。乾燥させないと触角を取り外すのが手間が掛かる。伸ばしても離すと戻る。こんなジレンマですね。何か小道具を拵えて嵌め込めば可能かも知れません。でも、そこまでして鞭節を測定する必要性は、今の私にはありません。


つくば・あべ 投稿日:2022年09月08日 09:00 No.217
 はい、今回も単型の蟻種から始めます。単純だからです。
 私が測定した単型はフタフシ亜科ばかりです。基本的に、野外観察をしている蟻種とその近い種を測定しているからです。正確にはヤマアリ亜科の単型種クサアリ亜属を測定してあるのですが、これは勿体ぶって出しません。ケアリに手を出したら公開します。いえ、単に種名がはっきりしないからです。
 グラフは、フタフシアリ亜科3属です。上から、赤がアシナガアリ、緑がヤマトアシナガアリ、黒がモリクシケアリ、青がハラクシケアリ、茶がクロナガアリです。
 縦軸が全て触角柄節長で、横軸は左のグラフから頭幅、頭長、胸長です。考察のためにY=Xの腺を入れています。
 普段の部位長比較では、頭幅を基礎数値にします。頭幅分布の棒グラフを頭に浮かべながら眺めるからです。よって、横軸が頭幅のグラフばかりです。
 でも触角柄節長に関しては、頭の幅よりも長さを比較したいですよね。そして、胸長は体長の代わりになる部位長となります。それで、今回は3枚を並べました。
 左の頭幅では4つのグループになっています。アシナガアリは、肢だけでなく触角柄節も長いのですねえ。地中営巣なのにねえ。肢の長さと関係があるのでしょうか。気になってきましたね。こんな風に観察の幅が広がります。
 中央の頭長では、3つのグループになり、アシナガアリ属では頭長よりも触角柄節長が長く、クシケアリとクロナガアリでは短いことが分かります。右の胸長では、ほぼ2つのグループになっています。考察は、自分で行なってください。特に「たなくん」は宿題です。




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