ゴム動力模型飛行機掲示板


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ゴム動力機の垂直尾翼の大きさの影響
滝 敏美 投稿日:2023年06月14日 13:03 No.289 【Home】
ゴム動力機の垂直尾翼の大きさを変えたら飛び方がどう変わるかを,飛行試験と解析で検討してみました.

対象とした機体の写真を示します.翼幅340mm,主翼面積24520mm^2,全備重量 14gf の機体です.#18輪ゴム15本,直径150mmのプロペラが動力です.
垂直尾翼容積 Vv = 0.075(大)と0.064(小)の2種類で比較しました.

飛行試験では,垂直尾翼(大)で飛ばしてから,垂直尾翼を切りとっていきました.
「ダウンスラスト(プロペラ中心と機体重心を結ぶ線を基準)はわずかにダウン,サイドスラスト無しで固定し,垂直尾翼後縁にガーニーフラップをつけて調整する」というわたしの方法を使って調整しました.

飛行試験結果:
垂直尾翼(大)で調整した場合,らせんを描くように上昇するようになりました.(ガーニーフラップを右側につけ,右旋回滑空するようにして調整)
垂直尾翼(小)で調整した場合,あまり旋回しないで上昇するようになりました.(直進滑空)

解析の結果をグラフで示します.
解析でも,垂直尾翼(大)ではらせん上昇,垂直尾翼(小)ではわずかな旋回上昇となっており,実験と整合しています.

Youtubeでは,ライトプレーンがらせん上昇をしているのをよく見かけます.これは垂直尾翼が大きいからでしょう.
湘南模型飛行機研究所のA-40Suを作って飛ばしましたが,これはらせん上昇をしませんでした.Vv = 0.063 と垂直尾翼が小さいからだと思います.

上反角とのからみもありますので,一概には言えないと思いますが,傾向としてはこのように言えるのではないでしょうか.


滝 敏美 投稿日:2023年06月15日 14:55 No.290 【Home】
垂直尾翼大のケースで,条件を少し変えて,らせん上昇がわかりやすい例を計算しました.
軌跡と機体の姿勢も描くようにしました.
到達高度は実際よりも高く計算されていると思いますが,上昇のようすは実際の飛行と近いような気がします.


松本@GPF 投稿日:2023年06月24日 16:05 No.291 【Home】
垂直尾翼が過大なら螺旋不安定、過小ならダッチロールになる訳ですが今回はその中間の安全領域の話です。
https://rara.jp/rubbermodel/page184
のスレッドで紹介した通りライトプレーンの適正垂直尾翼容積比は0.033程度ですから比較対象の垂直尾翼容積比が0.075と0.064はどちらも過大と思われます。
もう一つの質問は滝さんの機体でプロペラシャフトとモーター軸(動力ゴムの先端から後端までの直線)は何度で交差していますか?この角度が大きいとトルク伝達ロスが発生する可能性があります。


滝 敏美 投稿日:2023年06月26日 14:13 No.292 【Home】
松本様

コメントありがとうございます.
垂直尾翼容積が過大のようにみえますが,らせん不安定になっていないことは渦格子法の解析で確認してあります.上反角が大きいため垂直尾翼容積もそれに合わせて大きくなっていると考えています.

プロペラシャフトとゴムの角度は添付の写真に示すように約10度です.トルクの角度だけによるロスは約2%ですが,まさつが発生するので,もう少しロスは大きいと思います.

参考のために,機体重心とプロペラ中心を結んだ線を基準にしたダウンスラストも写真に示します.約4度です.
この設定で,主翼左舷の後縁下側にガーニーフラップをつけて(左エルロン下げとし),垂直尾翼後縁右側にガーニーフラップをつけて(右ラダーをとって)飛ばしました.ゴムはTAN SS 3.2mm幅4条の260回巻きです.この設定で,ほぼ真っ直ぐ上昇し,右旋回で滑空しました.
左エルロン下げとするのは,ゴムのトルク(左ロール)の一部を打ち消すためです.
この設定は解析で見つけました.
おもしろいことに,発進角度を上にする(角度70度)とうまく上昇するのですが,角度が浅いと上昇せず,右旋回し,最後は地面に激突します.これも解析どおりです.


滝 敏美 投稿日:2023年07月03日 12:10 No.293 【Home】
真っ直ぐ上昇する場合の動画を撮影しました.ゴムは#210輪ゴム×7本で,4条を使用しました.
TAN Super Sports を使用すると,高度は2倍くらいになります.


ダウンロードR#2 ( .mp4 / 4.6MB )
松本@GPF 投稿日:2023年07月09日 22:21 No.294 【Home】
「角度が浅いと上昇せず、右旋回し、最後は地面に激突します。」←これは明らかにスパイラルダイブ、通常は螺旋不安定の機体で起こる動きです。
スパイラルダイブの動作は
(外乱などで)左翼上げ→右前方に横滑り(上反角効果による右翼上げが不足で横滑り継続)→垂直尾翼に揚力発生し右回頭→左翼の速度増、揚力増で左翼上げ→更に右前方に横滑り
の繰り返しによる発散ループです。
滝さんの機体では計算上は螺旋不安定ではなくても垂直尾翼のガーニーフラップで「垂直尾翼に揚力発生し右回頭」が促進され、さらに左主翼のガーニーフラップで「左翼上げ」が促進され、これらが主翼の上反角効果を凌駕してスパイラルダイブに入っていると推定されます。
垂直尾翼のガーニーフラップと左主翼のガーニーフラップによる飛行調整は異例です。サイドスラストやダウンスラストによる飛行調整が普通です。その場合はスパイラルダイブの促進要因は存在しないので低い角度で発進しても正常な上昇姿勢に入るはずです。「ライトプレーンがらせん上昇をしているのをよく見かる」のはサイドスラスト調整の結果でしょう。
いずれにしても過大な垂直尾翼サイズは安定度を損なわない範囲でも重量増と抵抗増を伴うので無益です。
どこまで垂直尾翼をへらせるかの安全な確認方法を紹介します。写真の様に仮の首翼をつけてみるのです。どのくらいのサイズの首翼ならダッチロールに入るかを見極めます。間歇的な翼のわずかな上下動がダッチロールの始まりです。小さいサイズの首翼の低効率を考慮し、その時に首翼モーメントに相当する垂直尾翼の面積を減じたのち、ダッチロールロール回避のため5%面積増を行ったのが適正垂直尾翼サイズの様です。




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