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新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー (2) ( No.2913 )
日時: 2022年03月07日 11:22
名前: はっちん [ 返信 ]
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これまでの記事

『新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー』⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212
   
   
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Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー (2) ( No.2915 )
日時: 2022年03月07日 11:24
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/
岡田正彦 Masahiko Okada, MD, PhD
新潟大学名誉教授(医学博士)
新型コロナのエビデンスhttps://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ )メッセージ2022.3.7 より


(2022.3.7)
NEW!
(8) 病院で行われている標準治療とは
 新型コロナウイルスに感染して入院した人が、どのような治療を受けているのかを調べた、という興味深い論文が日本から発表されました。対象となったのは、すでに1,056人もの感染者を収容した実績のある大きな病院1ヵ所で、患者の年齢は平均50歳、男性が63パーセント、女性が37パーセントでした。

使われていた薬は、すべて当ホームページQ4(4)参照⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212#2832 で示したものばかりです。多い順に、デキサメタゾン(ホルモン剤)が18.9パーセント、ロナプリーブ点滴薬(抗体カクテル)が7.8パーセント、そしてアクテラム点滴薬(炎症物質阻害剤)が1.5パーセントの人に、それぞれ使われていました。レムデシビルが使われた人はいませんでした。

論文を書いた医師たちの関心事のひとつは、「抗生物質がどれくらい使われているか」でした。この薬は、細菌感染に使われるもので、コロナのようなウイルス感染に対する直接的な効果はありません。調査の結果、同病院に搬送されてくる前からすでに抗生物質が使われていた人が9.9パーセントだったのに対して、入院後は1.7パーセントに留まっていることがわかりました。ウイルス感染と同時に細菌感染が起こることもありえますから、抗生物質の使用が必ずしも間違いと言えませんが、この点でも適切な判断がなされていたようです。

この病院では、最新のエビデンスに従った適切な薬剤選択がなされていたことになります。あくまで特定の病院内での調査結果であり、ほかの医療機関でどのような治療がなされているのかはわかりません。全国どこでも賢明な選択が行われていることを願うばかりです。

【参考文献】
1) Komagamine J, et al., Evaluation of antimicrobial drug use and concurrent infections during hospitalization of patients with COVID-19 in Japan. JAMA Network Open, Feb 18, 2022.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー (2) ( No.3522 )
日時: 2022年09月05日 14:37
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/
岡田正彦 Masahiko Okada, MD, PhD
新潟大学名誉教授(医学博士)
新型コロナのエビデンスhttps://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ )> Q4 治療薬はいつできるのか?⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index.html#Q4 より


(2022.9.5改訂)
(1) イベルメクチン
 イベルメクチンという薬に望みを託している人は少なくありません。。日本人が発見しノーベル賞受賞となった薬で、寄生虫を駆除する作用があり、ヒトよりも家畜用として広く使われてきました。

この薬を評価したという論文が、たくさん発表されてきました。新薬などに注目が集まるたび、それを評価した論文が大量に発表されるのは世の常ですが、中には薬を売り込むための宣伝にすぎず、ねつ造に近いものもあったりします。そこで登場したのが「メタ(超)分析」という研究方法です。関係する論文を手あたり次第に集め、ずさんなものを排除した上で、総合評価をくだすものです。

イベルメクチンに関しては、2021年8月8日現在で7つのメタ分析論文が発表されています。しかし、30年以上にわたって論文不正の調査研究を行ってきた私が、すべてに目を通して感じたのは、以下のような疑念の数々でした。

・正式な論文、つまり専門家の審査を受けたのは2編しかない
・分析対象となったデータの多くが未発表
・2つのグループを公平に設定し、実薬とプラセボを割り当てて行われた試験が少ない
・そのようにして行われた試験でさえ、対象者が24~400人ときわめて少ない
・「死亡率を62パーセントも下げた」など、結論が不自然
・臨床試験を実施した地域が開発途上国に集中している

「開発途上国で臨床試験が行われた」ことに関しては、言及すべき歴史があります。2012年、ファイザー社がナイジェリアの子供たちに対し、親の承諾をえることなくモルモットのように抗生剤新薬の臨床試験を行い、同国の裁判所から賠償金を請求されたという事件があったことです。

このような状況の背景にあるのは常に論文不正であり、医学を混乱させる元凶となってきたのは、歴史が教えてくれるところです。2021年8月、科学専門誌「ネイチャー」に、この問題を告発した記事が掲載されました。内容は私の考察をはるかに超えるものでした。

イベルメクチンに関する全論文を子細に分析したところ、ねつ造や盗作のオンパレードであり、対象者がどんな人たちだったのかを検証することさえできない、ずさんさなものだった、というのです。主だった論文の共著者にインタビューしたところ、「不正はなかったと信ずるが、元データは見せられていない」と答えていたそうです。

その後、唯一の科学的評価法である「ランダム化比較試験」が2つ行われ、いずれもイベルメクチンは効果なしとの判定が下されました。

以上から、最終結論はイベルメクチンを新型コロナ感染症の治療に使ってはならないということになります。

【参考文献】
1) Lopez-Medina E, et al., Effect of ivermectin on time to resolution of symptoms among adults with mild COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Mar 4, 2021.
2) FDA, Why you should not use ivermection to treat or prevent COVID-19. on line.
3) Wadvalla B-A, Covid-19: ivermectin's politicisations is a warning sign for doctors. BMJ, Apr 1, 2021.
4) Bryant A, et al., Invermectin for prevention and treatment of COVOD-19 infection: a systemic review, meta-analysis, and trial sequential analysis to inform clinical guidelines. Am J Ther, Jun 21, 2021.
5) Reardon S, Flawed ivermectin preprint highlights challenges of COVID drug studies. Nature, Aug 2, 2021.
6) Lim SCL, et al., Efficacy of ivermectin treatment on disease progression among adults with mild to moderate COVID-19 and comorbities, the I-TECH randomized clinical trial. JAMA Intern Med, Feb 18,2022.
7) Reis G, et al., Effect of early treatment with ivermectin among patients with covid-19. N Emgl J Med, Mar 30, 2022.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー (2) ( No.3523 )
日時: 2022年09月05日 14:53
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/
岡田正彦 Masahiko Okada, MD, PhD
新潟大学名誉教授(医学博士)
新型コロナのエビデンス( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ )> Q4 治療薬はいつできるのか?⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index.html#Q4 より


(2022.9.5改訂)
(6) 新薬の総合評価
 新薬の評価結果が続々と発表されています。以下、2022年2月28日現在の最新情報をまとめました。評価がやや辛めになっていますが、ほとんどの論文が製薬企業の社員が書いたものとなっていて、信頼性に問題がある点も考慮した結果です。



    名 称           エビデンス       米国認可 日本
--------------------------------------------------------------------------------------
[ウイルスの増殖を抑える]
  レムデシビル      最初からもっとも広く使われている  ○   ○
               効果はほぼ否定されている
  モルヌピラビル     初の錠剤、メルク社製        ○   ○
               DNAを組み換えるリスクあり
  パクソロビド      錠剤の第2弾、ファイザー社製    ○   ○
               併用すると危険な薬が多数あり   ○   ○
  ソコーバ(S-217622)   錠剤の第3弾、塩野義社製      ×   ×
               効果が証明できず、承認見送り
  アビガン        インフルエンザ治療薬、効果は否定的 ○   ○
               日本の製薬企業が開発した
[ウイルスをブロックする]
  組み換えACE-2   トゲトゲ蛋白をブロック、効果不明  ×   ×
  イベルメクチン     広く使われているが、効果はランダム △   △
               化比較試験で完全に否定された
  オレアンドリン     強力な毒物で危険          ×   ×
  ロピナビル、リトナビル エイズの薬、効果は否定的      ×   ×
  クロロキン       マラリアの薬、効果は完全に否定   △   △
[抗体治療薬]
  バブラニブマブ・エテセビマブ  抗体カクテル、使用は限定的     ○   ×
  ロナプリーブ(REGEN-COV) 抗体カクテル            ○   ○
               点滴または皮下注射
  ソトロビマブ      単一抗体、軽症~中等症に有効?   ○   ○
  エバシェルド(AZD7442) アストラゼネカ社製          ○   ○
               感染予防効果が半年続くが、重症化
               予防は、製薬企業の調査で効果あり、
               それ例外の調査で効果なしとの結論
                オミクロン株には効果なし
[その他]
  回復者血漿療法     日本でも治験中、効果は否定的    ○   ○
  インターフェロン    治験中、効果は不明         △   △
  デキサメタゾン     昔からあるホルモン剤        ○   ○
               重症者での有効性が確立(6mg/日)
  アクテラム(トシリズマブ)  過剰な炎症物質(IL-6)をブロック    △   △
               2つの臨床試験で効果なしの判定
  アジスロマイシン    昔からある抗生物質の1つ      ○   △
               効果は否定的               
--------------------------------------------------------------------------------------
右列の「米国認可」は、制限つきとか迅速承認とか複雑な仕組みなのですが、とにかく何らかの形で米国政府がお墨付きを与えたという意味です。右端の「日本」は、健康保険の対象になっているか、あるいは政治判断で税金から料金が支払われることになったものと解釈してください。△は、他の病気では保険が効くが、コロナではダメということです。

ウイルス感染症の治療には、3つの段階があります。最初は体内に侵入したウイルスが細胞内に入り込まないようにする段階、次が細胞内でウイルスが増殖しないようにする段階、そして最後はウイルスが暴れ回ったあと体内で炎症物質と消炎物質が入り乱れて収拾がつかなくなった段階です。最初の段階で働くのが抗体カクテル、次の段階ではレムデシビルやモルノピラビルなどの薬、最後はウイルスと無関係に起死回生の働きをするデキサメタゾンなどのホルモン剤です。

ここまで、第一段階で有効性が確認されていた唯一の治療法が、抗体カクテルのロナプリーブ(米国リジェネロン社)でした。しかし、残念ながらオミクロン株には効かないことがわかりました。

国内で緊急使用が認められた2つの飲み薬(第二段階で働く)については、製薬企業が自分で評価したデータしかなく、しかも有効率だけが強調されていて、重大な副作用が懸念されているにもかかわらず、それらがいっさい伏せられたままとなっています。

いまのところ、細胞内へのウイルスの侵入を阻止したり、重症化を予防したりできる薬で、安心して使えるものはひとつもないと考えてよいでしょう。

【参考文献】
1) Wu KJ, et al., Coronavirus drug and treatment tracker. New York Times, Oct 7, 2021.
2) Spinner CD, et al., Effect of remdesivir vs standard care on clinical status at 11 days in patiens with moderate COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Aug 21, 2020.
3) The COVID STEROID 2 Trial Group, Effect of 12 mg vs 6 mg of dexamethasone on the number of days alive without life support in adults with COVID-19 and severe hypoxia, The COVID STEROID 2 Randomized Trial. JAMA, Oct 21, 2021.
4) Temple C, et al., Toxic effects from ivermectin use associated with prevention and treatment of Covid-19. N Engl J Med, Oct 20, 2021.
5) Robbins R, Pfizer says its antiviral pill is highly effective in treatng Covid. New York Times, Nov 5, 2021.
6) Writing Committee for the REMAP-CAP Investigators, Effect of convalescent plasma on organ support-free days in critically ill patients with COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Oct 4, 2021.
7) Takashita E, et al., Efficacy of antibodies and antiviral drugs against Covid-19 omicron variant. N Engl J Med, Jan 22, 2022.
8) RECOVERY Collaborative Group, Casirivimab and imdevimab in patients admitted to hospital with COVID-19 (RECOVERY): a randomised, controlled, open-label, platform trial. Lancet, Feb 12, 2022.
9) Hermine O, et al., Effect of tocilizumab vs usual care in adults hospitalized with COVID-19 and moderate or severe pneumonia, a randomised clinical trial. JAMA Intern Med, May 3, 2021.
10) Authors not mentioned, Tixagevimab and cilgavimab (Evusheld) for pre-exposure prophylaxis of COVID-19. JAMA, Jan 25, 2022.
11) Young C, et al., Tocilizumab in treatment for patients with COVID-19. JAMA Intern Med, Apr 5, 2021.
12) Arbel R, et al., Nirmatrelvir use and severe Covid-19 outcomes during the omicron surge. N Engl J Med, Aug 24, 2022.
13) Levin MJ, et al., Intramuscular AZD7422 (tixagevimab-cilgavimab) for prevention of Covid-19. N Engl J Med. Apr 20, 2022.
14) ACTIV-3-Therapeutics for Inpatients with COVID-19 (TICO) Study Group, Tixagevimab-cilgavimab for treatment of patients hospitalised with COVID-19: a randomised, double-blind, phase 3 trial. Lancet Respir Med, Jul 8, 2022.
15) Montgomery H, et al., Efficacy and safety of intramuscular administration of tixagemab-cilgavimab for early outpatient treatment of COVID-19 (TACKLE): a phase 3, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Respir Med, Jun 7, 2022.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー (2) ( No.3763 )
日時: 2022年11月28日 09:55
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/
岡田正彦 Masahiko Okada, MD, PhD
新潟大学名誉教授(医学博士)
新型コロナのエビデンス( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ )> Q4 治療薬はいつできるのか?⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index.html#Q4 より


(2022.10.31改訂)
(7) 新薬の総合評価
 新薬の評価結果が続々と発表されています。以下、2022年2月28日現在の最新情報をまとめました。評価がやや辛めになっていますが、ほとんどの論文が製薬企業の社員が書いたものとなっていて、信頼性に問題がある点も考慮した結果です。

    名 称           エビデンス       米国認可 日本
--------------------------------------------------------------------------------------
[ウイルスの増殖を抑える]
  レムデシビル      最初からもっとも広く使われている  ○   ○
               効果はほぼ否定されている
  モルヌピラビル     初の錠剤、メルク社製        ○   ○
               DNAを組み換えるリスクあり
  パクソロビド      錠剤の第2弾、ファイザー社製    ○   ○
               併用すると危険な薬が多数あり   ○   ○
  ゾコーバ(S-217622)   錠剤の第3弾、塩野義社製      ×   ○
               データ不備で審査が却下されている
  アビガン        インフルエンザ治療薬、効果は否定的 ○   ○
               日本の製薬企業が開発した
[ウイルスをブロックする]
  組み換えACE-2   トゲトゲ蛋白をブロック、効果不明  ×   ×
  イベルメクチン     広く使われているが、効果はランダム △   △
               化比較試験で完全に否定された
  オレアンドリン     強力な毒物で危険          ×   ×
  ロピナビル、リトナビル エイズの薬、効果は否定的      ×   ×
  クロロキン       マラリアの薬、効果は完全に否定   △   △
[抗体治療薬]
  バブラニブマブ・エテセビマブ  抗体カクテル、使用は限定的     ○   ×
  ロナプリーブ(REGEN-COV) 抗体カクテル            ○   ○
               点滴または皮下注射
  ソトロビマブ      単一抗体、軽症~中等症に有効?   ○   ○
  エバシェルド(AZD7442) アストラゼネカ社製          ○   ○
               感染予防効果が半年続くが、重症化
               予防は、製薬企業の調査で効果あり、
               それ例外の調査で効果なしとの結論
                オミクロン株には効果なし
  トシリツマブ      関節リウマチの薬、中外製薬     ○   ○
               効果は疑問
[その他]
  回復者血漿療法     日本でも治験中、効果は否定的    ○   ○
  インターフェロン    治験中、効果は不明         △   △
  デキサメタゾン     昔からあるホルモン剤        ○   ○
               重症者での有効性が確立(6mg/日)
  アクテラム(トシリズマブ)  過剰な炎症物質(IL-6)をブロック    △   △
               2つの臨床試験で効果なしの判定
  アジスロマイシン    昔からある抗生物質の1つ      ○   △
               効果は否定的
  バリシチニブ      関節リウマチの薬、イーライリリー社 ○   ○
               効果は疑問                
--------------------------------------------------------------------------------------
右列の「米国認可」は、制限つきとか迅速承認とか複雑な仕組みなのですが、とにかく何らかの形で米国政府がお墨付きを与えたという意味です。右端の「日本」は、健康保険の対象になっているか、あるいは政治判断で税金から料金が支払われることになったものと解釈してください。△は、他の病気では保険が効くが、コロナではダメということです。

ウイルス感染症の治療には、3つの段階があります。最初は体内に侵入したウイルスが細胞内に入り込まないようにする段階、次が細胞内でウイルスが増殖しないようにする段階、そして最後はウイルスが暴れ回ったあと体内で炎症物質と消炎物質が入り乱れて収拾がつかなくなった段階です。最初の段階で働くのが抗体カクテル、次の段階ではレムデシビルやモルノピラビルなどの薬、最後はウイルスと無関係に起死回生の働きをするデキサメタゾンなどのホルモン剤です。

ここまで、第一段階で有効性が確認されていた唯一の治療法が、抗体カクテルのロナプリーブ(米国リジェネロン社)でした。しかし、残念ながらオミクロン株には効かないことがわかりました。

国内で緊急使用が認められた2つの飲み薬(第二段階で働く)については、製薬企業が自分で評価したデータしかなく、しかも有効率だけが強調されていて、重大な副作用が懸念されているにもかかわらず、それらがいっさい伏せられたままとなっています。

いまのところ、細胞内へのウイルスの侵入を阻止したり、重症化を予防したりできる薬で、安心して使えるものはひとつもないと考えてよいでしょう。

【参考文献】
1) Wu KJ, et al., Coronavirus drug and treatment tracker. New York Times, Oct 7, 2021.
2) Spinner CD, et al., Effect of remdesivir vs standard care on clinical status at 11 days in patiens with moderate COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Aug 21, 2020.
3) The COVID STEROID 2 Trial Group, Effect of 12 mg vs 6 mg of dexamethasone on the number of days alive without life support in adults with COVID-19 and severe hypoxia, The COVID STEROID 2 Randomized Trial. JAMA, Oct 21, 2021.
4) Temple C, et al., Toxic effects from ivermectin use associated with prevention and treatment of Covid-19. N Engl J Med, Oct 20, 2021.
5) Robbins R, Pfizer says its antiviral pill is highly effective in treatng Covid. New York Times, Nov 5, 2021.
6) Writing Committee for the REMAP-CAP Investigators, Effect of convalescent plasma on organ support-free days in critically ill patients with COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Oct 4, 2021.
7) Takashita E, et al., Efficacy of antibodies and antiviral drugs against Covid-19 omicron variant. N Engl J Med, Jan 22, 2022.
8) RECOVERY Collaborative Group, Casirivimab and imdevimab in patients admitted to hospital with COVID-19 (RECOVERY): a randomised, controlled, open-label, platform trial. Lancet, Feb 12, 2022.
9) Hermine O, et al., Effect of tocilizumab vs usual care in adults hospitalized with COVID-19 and moderate or severe pneumonia, a randomised clinical trial. JAMA Intern Med, May 3, 2021.
10) Authors not mentioned, Tixagevimab and cilgavimab (Evusheld) for pre-exposure prophylaxis of COVID-19. JAMA, Jan 25, 2022.
11) Young C, et al., Tocilizumab in treatment for patients with COVID-19. JAMA Intern Med, Apr 5, 2021.
12) Arbel R, et al., Nirmatrelvir use and severe Covid-19 outcomes during the omicron surge. N Engl J Med, Aug 24, 2022.
13) Levin MJ, et al., Intramuscular AZD7422 (tixagevimab-cilgavimab) for prevention of Covid-19. N Engl J Med. Apr 20, 2022.
14) ACTIV-3-Therapeutics for Inpatients with COVID-19 (TICO) Study Group, Tixagevimab-cilgavimab for treatment of patients hospitalised with COVID-19: a randomised, double-blind, phase 3 trial. Lancet Respir Med, Jul 8, 2022.
15) Montgomery H, et al., Efficacy and safety of intramuscular administration of tixagemab-cilgavimab for early outpatient treatment of COVID-19 (TACKLE): a phase 3, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Respir Med, Jun 7, 2022.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー (2) ( No.3764 )
日時: 2022年11月28日 10:02
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/
岡田正彦 Masahiko Okada, MD, PhD
新潟大学名誉教授(医学博士)
新型コロナのエビデンスhttps://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ )> Q4 治療薬はいつできるのか?⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index.html#Q4 より


(2022.11.28)
(1) 国産初の飲み薬ゾコーバの正体
 国産初のコロナの飲み薬が緊急承認されました。1年間の期限付きです。原理は、すでに使われているアストラゼネカ社製のパクソロビドとほぼ同じで、ウイルスが分裂する際に必要な酵素をブロックする薬です。当ホームページでも、このあとの(7)で、開発コードS-217622の名称で掲載していたものです。
(※:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2913#3763 )

純粋の日本製ということで期待が集まっています。薬が作用する仕組みもよくわかっていて、発明の経緯が立派な論文として発表されています。しかし、その臨床試験は疑問だらけなのです。

臨床試験の結果をまとめた論文が1つだけあり、2022年9月13日に発表されていました。調査は2021年9月28日から2022年1月1日の間に行われました。対象は、新型コロナウイルスに感染して無症状、軽症、または中等症だった男女計43名(年齢12~69歳)で、低用量群(125mg)、高用量群(250mg)、そしてプラセボ群の3つにランダムに分けられました。わかったことは以下の3点でした。

 ・無症状の人も含まれているため、症状の回復効果は不明
 ・体内のウイルス量がゼロになるまでの日数
    低用量群  61.3時間
    高用量群  62.7時間
    プラセボ群 111.1時間
 ・何らかの副作用があった人
    低用量群  11名
    高用量群  6名
    プラセボ群 9名

問題は、対象者がわずか43名でしかなかったこと、無症状者が含まれていたため症状の回復効果がわからなかったこと、無症状や軽症者に薬を飲ませる意義がわからないこと、など数え上げればきりがありません。

新薬が世の中に登場したとき、もっとも着目すべきは副作用です。極めて短い期間(最大21日)の調査であったにもかかわらず、血液検査のビリルビン値や中性脂肪値が上昇し、大切な善玉コレステロール値が低下したと記載されていました。このような副作用がある薬はめったにありません。

最大の問題点は、健康に生きていくために必要な他の酵素もブロックしてしまう可能性があることです。そのため重大な副作用も懸念され、大規模かつ長期にわたる追跡調査が不可欠です。メーカーのホームページには、「この論文のあとに臨床試験が追加された」と記載されており、確かにテレビのニュースでも新たなデータが報じられていました。しかし、いくら探してもそのようなデータが論文として公表された形跡がありません。

私自身、新薬開発に携わったことはありませんが、新しい臨床検査法をいくつか開発し、認可を受けるため膨大な資料を携えて役所を日参した経験があります。その際の必須条件は、臨床試験のデータが「印刷された論文」として公表されていることでした。

もしこの薬の緊急承認が、非公開のデータにもとずいて密室でなされたのだとすれば、国民の信頼を裏切る行為です。

【参考文献】
1) Unoh Y, et al., Discovery of S-217622, a noncovalent oral SARS-CoV-2 3CL protease inhibitor clinical candidate for treating COVID-19. J Med Chem, Mar 30, 2022.
2) Mukae H, et al., A radomized phase 2/3 study of ensitrelvir, a novel oral SARS-CoV-2 3C-like protease inhibitor, in Japanese patients with mild-to-moderate COVID-19 or asymptomatic SARS-CoV-2 infection: results of the phase 2a part. Antimicrob Agents Chemother, Sept 13, 2022.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー (2) ( No.3783 )
日時: 2022年12月05日 10:18
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新
 正しい情報を偏りなく


(2022.12.5)
Q 悪どいウイルスの正体, 見たり

 新型コロナウイルスの「悪者ぶり」が、かなり詳細にわかってきました。そこで、世界中のウイルスの研究者やグラフィクスの専門家たちが発表した最新情報を、以下の動画(GIF画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/corona_lifecycle.gif )にまとめてみました。わかりやすさを優先するため、あえて詳細を省略した部分もあり、逆に、まだよくわかっていない点は、私が想像を巡らして作成しました。



悪どい新型コロナウイルスの正体


かつて地球上に存在した、どんな微生物よりもずる賢い性質をもったウイルスであるかが、おわかりいただけたものと思います。

ご自分が科学者になったつもりで、この悪魔のような存在を退治するにはどんな薬を創ればいいのか、想像を巡らしながら、ぜひもう一度、動画をご覧ください。

ただし、どんな薬も思わぬ部位に作用する可能性があり、ときに死に至るような重大な事態(副作用)が生じるかもしれません。何が起こるかは、大勢の人が使ってみて初めてわかることであり、事前の予測は不可能です。人間の体はあまりに複雑だからです。そのこともお忘れなく。

【参考文献】
1) Scudellari M, How the coronavirus infects our cells, Scientists are unpicking SARS-CoV-2's life cycle. Science, July 29, 2021.


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