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新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2212 )
日時: 2021年08月21日 11:50
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

 テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新
 正しい情報を偏りなく


Q4 治療薬はいつできるのか?
A この1年間、さまざまな薬が「新型コロナにも効く」のではないかと報じられ、消えていきました。代表はレムデシベルですが、その後、効果は完全に否定されています。

イベルメクチン
 いま世間の期待を集めているのはイベルメクチンという薬です。日本人が発見しノーベル賞受賞となった薬で、寄生虫を駆除する作用があり、ヒトよりも家畜用として広く使われてきました。

この薬を評価した、という論文が続々と発表されています。新薬などに注目が集まるたび、それを評価した論文が大量に発表されるのは世の常ですが、中には薬を売り込むための宣伝にすぎず、ねつ造に近いものもあったりします。そこで登場したのが「メタ(超)分析」という研究方法です。関係する論文を手あたり次第に集め、ずさんなものを排除した上で、総合評価をくだすものです。

イベルメクチンに関しては、8月8日現在で7つのメタ分析論文が発表されています。しかし、30年以上にわたって論文不正の調査研究を行ってきた私が、すべてに目を通してして感じたのは、以下のような疑念の数々でした。

・正式な論文、つまり専門家の審査を受けたのは2編しかない
・分析対象となったデータの多くが未発表
・2つのグループを公平に設定し、実薬とプラセボを割り当てて行われた試験が少ない
・そのようにして行われた試験でさえ、対象者が24~400人ときわめて少ない
・「死亡率を62パーセントも下げた」など、結論が不自然
・臨床試験を実施した地域が開発途上国に集中している

「開発途上国で臨床試験が行われた」ことに関しては、言及すべき歴史があります。2012年、ファイザー社がナイジェリアの子供たちに対し、親の承諾をえることなくモルモットのように抗生剤新薬の臨床試験を行い、同国の裁判所から賠償金を請求されたという事件があったことです。

このような状況の背景にあるのは常に論文不正であり、医学を混乱させる元凶となってきたのは、歴史が教えてくれるところです。8月に入り、科学専門誌「ネイチャー」に、この問題を告発した記事が掲載されました。内容は、私の考察をはるかに超えるものでした。

イベルメクチンに関する全論文を子細に分析したところ、ねつ造や盗作のオンパレードであり、対象者がどんな人たちだったのかを検証することさえできない、ずさんさなものだった、というのです。主だった論文の共著者にインタビューしたところ、「不正はなかったと信ずるが、元データは見せられていない」と答えていたそうです。

以上から私の結論は、イベルメクチンの有効性を示すエビデンスはいまのところ存在しない、です。

NEW!
イベルメクチン研究の信頼性
 学術論文が専門誌に掲載されるまでには、Q0で説明したとおり、その道のトップクラスの専門家による審査(査読と呼ばれる)が行われます。論文を発表したい研究者にとっては、非常に厳しい関門で、データの集め方、分析の仕方から文章の書き方にいたるまで、すべてにわたるものです。ときには人間性を否定するような指摘もなされ、私自身も、さんざん泣かされてきました。

medRxivという名の海外サイトがあります。2019年、米国の非営利組織が立ち上げたもので、査読を受けていない自主投稿の学術論文を掲載しています。コロナ関連の論文掲載も急増しているようです

中でも、イベルメクチンに関する2つの論文が話題です。ひとつは、アフリカ諸国で新型コロナの感染者が少ない理由について分析したものです。アフリカには、昔から回旋糸状虫による病気が多く失明の原因となっていましたが、これを撲滅するWHOプロジェクトにより、患者が多い国の住民に限定したイベルメクチンの無料配布がなされてきました。

そのことに着目した、ある研究者グループが、イベルメクチン供与を受けた31の国と受けなかった22の国を比べたのです。しかし、確かに前者で感染者は少なかったものの、死亡率がむしろ大きいなど、不審な点が目立ちます。後ろ向き調査(Q11-1参照)であり、そもそも設定が間違っています。

もう一つは、イスラエルで行われた調査の結果を報じたもので、公平に2つのグループを設定し、プラセボとの違いを調べたものです。ここまでは立派なのですが、対象が89人しかいないことに加え、統計処理の仕方に重大な誤りがありました。

推測ですが、どちらの論文も専門誌に投稿したものの、査読で掲載を拒絶されたものではないでしょうか?

やはりイベルメクチンは、効果も安全性も証明できていないのです。服用はお勧めしません

いま誰もが有効と認める唯一の治療薬は、重症になった人にだけ用いられるデキサメタゾンです。ウイルスの増殖を止める薬ではなく、手がつけられなくなった激しい炎症を抑える一種のホルモン剤です。ヒトの体内でも作られているホルモンですから、理に適っているわけです。

NEW!
抗体カクテル
 もうひとつ、「理に適っている」という振れ込みで登場したのが、話題の「抗体カクテル」です。まず、次の動画( https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/spike_receptor_gif.gif )をご覧ください。以前、Q17で提示したものですが、内容をバージョンアップしました。

その薬は、トゲトゲ蛋白がヒトの細胞の受け皿と結合しないようブロックする、人工の中和抗体です。2種類を作って混ぜたので、カクテルです。抗体は、ホルモンと同じで元々体の中にもあるものですから、安全、かつ理に適っているわけです。

しかし、理屈は優れていても、本当に効くのか、副作用はないのか、などの疑問に答えてくれなければ、安心して使えません。幸い、臨床試験の結果を報じた8月4日付の最新論文で概要がわかりました。

試験の目的は、「家族内感染が防げるか?」と「ウイルスの増殖を防げるか?」の2つで、まさに誰もが期待して止まなかった薬の効果です。対象は、家族の1人が感染していて、他に感染者がいない、という条件を満たした家庭に限られました。まだ感染していない総勢1,505人です。この人たちを無作為に2群にわけ、一方には抗体カクテルを、他方にはプラセボ(生理的食塩水)を注射しました。

こんな難しい設定で臨床試験を行った研究者たちには脱帽です。論文の結論は、抗体カクテルが、家庭内感染の割合を66.4パーセント下げた(抗体カクテル群4.8%:プラセボ群14.2%)、というものでした。また体内のウイルス量が下がったことから、症状が出た人の割合が81.4パーセントも下がっていました。何らかの副作用が出た割合も、プラセボ群と同じだったとのことです。

この薬は、米国のベンチャー企業が開発し、REGEN-COVという商品名で世界的製薬企業のロッシュが販売を行っているものですが、早くも昨年12月に論文の第一報が出されていました。日本では、中外製薬がライセンス契約を行い、世界で最初に国の認可を受けたところです。8月19日現在、この論文に対する批判もまだありません。

価格は未定ですが、従来の同系統の薬から推測すれば、最低でも1回分数万円、あのオプジーボは最初73万円でした。米国では、対象を絞って無料にすることを決めています。また点滴で使う薬のため、病院内でしか使えないという制約もあります。

気になる点は、ほかにもいろいろあります。まず、これを掲載したのが、ファイザー社ワクチンに関する、あの疑惑だらけの論文(Q13参照)を載せた専門誌だったことです。実際、論文の執筆者は36人でしたが、うち26人が当の製薬企業の社員でした。

新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則があります。
・製薬企業が関わった論文には必ず忖度や不正がある!
・良すぎるデータは疑え!
・新薬にはすぐ飛びつくな!

【参考文献】
1) 岡田正彦, ビジネスジャーナル『歪められたエビデンス:正しい健康法はこれだ!』, on line.( https://biz-journal.jp/category/series/masahiko-okada-medical )
2) Spinner CD, et al., Effect of remdesivir vs standard care on clinical status at 11 days in patiens with moderate COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA. Aug 21, 2020.
3) López-Medina E, et al., Effect of ivermectin on time to resolution of symptoms among adults with mild COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Mar 4, 2021.
4) FDA, Why you should not use ivermection to treat or prevent COVID-19. on line.
5) Mandavill A, The C.D.C.'s new leader follows the science. Is that enough? Jun 10, 2021.
6) Kaplan S, F.D.A. still lacks a permanent chief, desoite pressing, weighty problems. New York TImes, Jun 12, 2021.
7) Caricchio R, et al., Effect of canakinumab vs placebo on survival without invasive mechanical ventilation in patients hospitalized with severe COVID-19, a randomized clinial trial. JAMA, Jul 20, 2021.
8) RECOVERY Collaborative Group, Tocilizumab in patients admitted to hospital COVID-19 (RECOVERY): a randomised, controlled, open-label, platform trial. Lancet, May 1, 2021. 2021.
9) Yang C, et al., Tocilizumab in COVID-19 therapy: who benefits, and how? Lancet, Jul 24, 2021.
10) Wadvalla B-A, Covid-19: ivermectin's politicisations isas warning sign for doctors. BMJ, Apr 1, 2021.
11) Bryant A, et al., Invermectin for prevention and treatment of COVOD-19 infection: a systemic review, meta-analysis, and trial sequential analysis to inform clinical guidelines. Am J Ther, Jun 21, 2021.
12) Reardon S, Flawed ivermectin preperint highlights challenges of COVID drug studies. Nature , Aug 2, 2021.
13) O'Brien MP, et al., Subcutaneous REGEN-COV antibody combination to prevent Covid-19. N Engl J Med, Aug 4, 2021.
14) Weinreich DM, REGN-COV2, a neutralizing antibody cocktail, in outpatients with Covid-19. N Engl J Med, Dec 18, 2020.


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Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2296 )
日時: 2021年09月09日 09:20
名前: はっちん [ 返信 ]
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岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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Q13 なぜ医師はワクチンについて正しい知識を持てないのか?
A 冒頭で紹介したyoutube( https://youtu.be/WEM2xoyz900 )で、多かった感想のひとつが、これでした。以下、その理由を箇条書きで説明します。この考察は、私が30年ほどの歳月をかけて集めた国内外の確かな資料、および自身の体験に基づくものです。

1. 医師は、医学部を卒業したあと附属病院で研鑽を積む。しかし、そこは製薬企業からの莫大な寄付金が集まる場所であり、若手の指導に当たる教授、準教授、医局長などの肩書を持つ人たちは、常に製薬企業に忖度せざるをえない状況となっている。

2. そこで指導を受けた若い医師たちは、製薬企業からもたらされる情報で洗脳を受けた状態で市中病院に就職し、あるいは自身のクリニックを開設し、同じ発想で医療を実践していくことになる。

3. 市中病院やクリニックでは、MRと呼ばれる製薬企業の営業マンから新薬の情報や論文のコピーをもらい、勉強したように気にさせられてしまう。病院内で開催される勉強会で、製薬企業のMRが講師を務めることもしばしば。

4. ほとんどの医師は、医師免許のほかに専門医の資格を取得していくが、その資格を継続するには、定期的に開催される学会主催の講演会などに参加しなければならない。講演会では大学教授など有名医師が演壇に立つが、彼らは製薬企業から高額な謝礼と旅費を受け取り、豪華なホテルでの宿泊が約束されている。もちろん研究費と称する寄付金も受け取っている。

5. つまり医師たちの耳には、製薬企業に不利な情報はいっさい入ってこない仕組みが出来上がっている。医師たちは「製薬企業の手のひらで踊らされている」と言っても過言ではないだろう。

6. では正しい情報はどこにあるのか。これは、海外で日々発表される膨大な論文を読みこんでいくしかないが、当然、英文で書かれており、しかも高度な統計学が駆使された内容であるため、簡単に理解することはできない。

7. というよりも学術論文には、巨大製薬企業が雇った数学のプロによる巧みな修飾が施されていて、医師たちはその罠から逃れることができないのである。『歪められた現代医療のエビデンス⇒ https://biz-journal.jp/2017/08/post_20220.html 』に、その一端を記した。

【参考文献】
1) Becker C, Relationships between academic medicine leaders and industry - time for another look? JAMA, Nov 10, 2020.
2) Justice department annouces largest health care fraud settlement in its history - Pfizer to pay $2.3 billion for fraudulent marketing. The United States Department of Justice, Sept 2, 2009.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2359 )
日時: 2021年09月21日 19:58
名前: はっちん [ 返信 ]
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岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2021.9.21)
NEW!
ファイザー社の新論文は意味不明
 9月15日付けでファイザー社は重要な論文を発表しました。なぜ重要かと言えば、「ワクチン接種後6ヵ月間の効果と安全性」というタイトルだったからです。概要は以下のとおりです。
・1回接種の11日目から2回接種直前までの有効率は91.7%
・2回接種後7日目から2ヵ月以内の有効率は96.2%
・2回接種後2ヵ月目から4ヵ月未満の有効率は90.1%
・2回接種後4ヵ月目から4か月以上の有効率は83.7%

死亡は、ワクチン接種群が15人、プラセボ(生理食塩水)接種群が14人で、ワクチンを打ったほうが高めという結果でした(両群の総人数は、ほぼ同数)。

数字ばかり見ていると頭が痛くなってしまいますから、この論文の意味するところを考えてみます。

まず気になるのは、執筆者の過半数が製薬企業(ファイザー社とモデルナ社)の所属だったことです。これは普通、ありえないことで、当ホームページQ4「抗体カクテル」※1で述べたごとく重大問題なのです。
【※1⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212

有効率について立派な数字が並んでいますが、論文のタイトルに「6ヵ月」と謳っておきながら、本文では「4ヵ月以上」としか書いてありません。公平であるべき2つのグループ(ワクチン群とプラセボ群)をどのように定めたのかも書いてありません。前項※2で紹介した論文と同様に、脱落例に関する記載もありません。もしかしたら、6ヵ月経たないうちに、誰もいなくなっていたのではないかと疑りたくなります。
【※2⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2173

「プラセボ群に割り当てられた人たちには、ワクチンを接種して観察を続けた」と、意味不明の記述が多く、何回読み返しても理解できません。

学術論文では、冒頭に必ず「要約」があります。そこだけ読めば、結論がわかるようになっているのですが、「当社のワクチンには、6ヵ月の間に徐々に効果は低下するものの、感染を予防する高い効果と安全性が認められた」と書かれていました。

これらは、意図的にデータをわかりにくく粉飾し、一部の結果だけを強調するために、よく使われる手段です。  

【参考文献】
1) Thomas SJ, et al., Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine through 6 months. N Engl J Med, Sep 15, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2370 )
日時: 2021年09月24日 10:34
名前: はっちん [ 返信 ]
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岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2021.9.24)
NEW!
むしろ死亡率が高まるという証拠
 ファイザー社の新論文には、もう一つ重大な疑義があります。ワクチン接種群の死者数15人、プラセボ接種群の死者数14人だったと報告されているのは、前項で説明したとおりです。ところが感染した人を対象にして死亡率を計算してみると、
  ワクチン群→ 19パーセント
  プラセボ群→ 1.6パーセント

となります。つまり、ワクチンを接種したあとに感染した人は、未接種の人に比べ死亡する割合が圧倒的に高くなっていたのです。このことは、論文にはいっさい触れられていませんでした。

ワクチン群とプラセボ群の2つのグループは、完全に公平に分けられていなければ比べる価値がありません。なぜなら、住んでいる地域、生活習慣、職業、健康に対する知識レベルなどに、もし大きな違いがあれば、それだけで感染率の差は決まってしまうからです。

一方、感染した人たちだけを対象にすれば、その病気の真の「死亡率」がわかり、ワクチンの影響も比較できることになります。

コロナワクチンの世界では、何でもありのアウトローがまかり通っているようです。「ワクチンは重症化を防ぐ」との主張は、あきらかな間違いです。


(2021.9.25改訂)
読者から情報提供があり、「専門誌によっては正規の論文投稿に先立って審査なしのサイトへ掲載することを認めている」とのことでした。そこで以下の記述は削除とすることにしました。ただし私としては、以下のような行為は、誤った情報を世間に対し2重に喧伝することになるため、許しがたい行為と考えます。そのため、あえて削除の形をとりつつ公開を継続することにしました。

この論文の疑義は、さらにもうひとつ。medRxivという名の謎めいたサイトがあり、審査なしで大量の論文を載せているのですが、同社は7月28日づけでそこにも論文を発表していました。内容は、前項で紹介した「意味不明の論文」とほぼ同じでした。

これは「二重投稿」と呼ばれ、学問の世界では決して許されないことです。なぜなら、学術論文とは、世界で最初の発明・発見を報じる唯一無二の存在であり、報告者には栄誉が与えられ、読者たる研究者たちにとっては学問を進展させる礎となるものだからです。論文を投稿した日付けは、永遠に歴史に刻まれます。

ある専門誌の編集長を、私が勤めていたときの話です。投稿された論文が、すでに他の専門誌に掲載されたものであることを偶然、発見しました。直ちに「原稿返却」の判断を下すとともに、投稿者には以後の投稿を禁止する旨の通知をしました。それが世界の規範だからです。


【参考文献】
1) Thomas SJ, et al., Six month safety and efficact of the BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine. medRxiv, Jul 28, 2021.

****************************************************************************************************
1)のURL⇒ https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2110345
【一部抜粋】
目が見えないプラセボ対照期間中、BNT162b2群の参加者15名、プラセボ群の14人が死亡した。・・・
・・・
評価可能な以前の感染の証拠を有しているか認めずに44,486人の参加者のうち、Covid-19の症例は81人のワクチンレシピエントと873人のプラセボレシピエントで観察され、ワクチンの有効性91.1%(95%CI、88.8〜93.0)に相当する。


Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2376 )
日時: 2021年09月25日 09:37
名前: はっちん [ 返信 ]
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岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2021.9.25)
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(1) 専門家が示すデータに騙されないための心得帳

【性質の異なる集団は比べられない】
 「死亡者の8割はワクチン未接種」など、人心を惑わす報道が続いています。これは、ワクチン接種を「自分の意思で受けた人」と「受けなかった人」を比べてみたら、という話です。このような比較は正しいでしょうか。

この2つのグループは公平に分けられたものではありません。たとえば接種を受けた人たちの多くが年長者で、もともと健康に関心があり、日頃から感染予防もしっかり行っていたかもしれません。一方、受けなかった人たちは、その逆だったかもしれません。あくまで、たとえ話です。

もしそうだとすれば、ワクチン未接種の人たちの死亡率が大きくなっても、不思議ではありません。このような方法は「後ろ向き調査」、あるいは「観察研究」などと呼ばれ、コンピュータ内のデータを単純に計算するだけですむため、手軽で費用もかからず、昔からよく用いられてきました。医師たちがテレビで語る「最近はワクチンの有効性を示すデータが続々・・・」は、すべて、この種のデータのことです。

しかし、ときに意図的な誘導が可能であり、また常に誤った結論を出してしまうことから、医学を混乱させる原因ともなってきたのです。後ろ向き調査のデータは、科学的根拠になりません。

【昔と今は比べられない】
 「以前は高齢者の死亡が多かったが、いまはワクチンのお陰で少なくなった」というのは、どうでしょうか? いまは高齢者施設に勤務するすべての従業員に対して毎週、PCR検査が行われるようになり、施設での集団感染が激減しています。つま「以前」と「いま」では、社会情勢が異なるため、単純に数字だけを比較することはできないのです。

【比べなければ意味がない】
 「○○薬を使ってみたら、たちまち症状改善!」と、テレビのニュースで医師が語っていました。病気の多くは自然に治るものです。もし治らないなら、いまごろ人類は滅亡していたことでしょう。何もしなくても治りかけている人に薬を投与すれば、いかにもその薬が効いたようにみえます。しかし、使わなくても治っていたのでは、ありませんか?「使った人」と「使わなかった人」を比べなければ、意味がありませんよ。

【気のせいではないですか?】
 昔の話です。パン屑を丸めて「血圧の新薬」とウソをつき、何人かに飲ませたところ、全員の血圧が下がった、という実験をした研究者がいました。心と体は、つながっていることを見事に示した実験でした。本物とそっくりに似せて作った「薬もどき」をプラセボと言いますが、そのプラセボ自体に意外と効果があるのです。これを称して「プラセボ効果」と言います。騙されないようにしましょう。
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2411 )
日時: 2021年10月04日 10:24
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(2021.10.4)
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消された証人たち
ファイザー社が昨年12月31日に発表した「あの論文」の最後に、こんなことが書いてありました。「この調査研究は2年間にわたり続ける予定である。しかし、このワクチンが正式に認可されたあとは、倫理上の問題から、プラセボ(生理食塩水)注射群の観察をそのまま続けるのは許されないだろう」。

これは、製薬企業がスポンサーになって新製品の臨床試験を行う際、都合の良い結果が得られた時点で調査を打ち切るための口上として、しばしば用いられてきたものでです。「この新薬が有効であることがわかったいま、このままプラセボ投与を続けるは、倫理的に許されないと判断した」と。

しかし実際には、第三者がより長期にわたって臨床試験を行ったら、新薬とプラセボの差がなくなってしまった、という場合がほとんどなのです。中には、新薬がプラセボより劣っていることが暴露されたケースさえありました。医薬品の効果と副作用を長期にわたって追跡し検証するためには、プラセボ群に割り当てられた人々の健康状態と比べる必要があります。

もしプラセボ群がなかったとしたらどうでしょうか。かりに何年か経ったあと、新薬を使った群で、がんになった人が多くなっていたとします。しかし比べる相手がありませんから、「全員が年をとって、がんが増えただけ」という言い訳を許してしまうことになります。

さて、問題はここからです。前項※1でファイザー社が発表した続報を紹介した際、そこに「プラセボ群に割り当てられた人たちには、ワクチンを接種した」など意味不明の記載があると述べました。その後、論文をもう一度読んでみて、その意味するところがわかりました。
【※1⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212#2359

これは、物言わぬ証言者たちを消し去ってしまうことが目的だったのです。

【参考文献】
1) Polack FP, et al., Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 caccine. N Engl J Med, Dec 31,2020.
2) Thomas SJ, et al., Safety and efficacy of the BNT172b2 mRNA Covid-19 vaccine through 6 months. N Engl J Med, Sep 15, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2426 )
日時: 2021年10月07日 08:57
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(2021.10.7)
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実用的な飲み薬は完成したのか?
 ウイルスに感染したとき、時間が経つごとに治療の仕方が替わっていきます。つまり「発熱などの症状が出たばかりのころ」、「軽い肺炎になった時期」、そして「重症になったとき」です。誰もが望むのは、最初の段階で治して重症化しないように、ということでしょう。

最初の段階で大切なのは、ウイルスが増殖しないようにすることです。インフルエンザの薬「タミフル」は、まさに、その要求を満たすために開発されたものでした。ついに新型コロナでも、そんな期待に応える飲み薬が登場しました。名前は「ミョルニル」。変な名前ですが、神話に登場するカミナリ神がもつハンマーのことだそうです。作ったのは巨大製薬企業のメルクで、コロナワクチンの開発に失敗した会社です。

治験は、感染者775人に対して行われ、薬を服用した人たちで重症化したのは7%、プラセボでは14%だったということです。効果はなんと2倍。「あまりに効き目が良く、プラセボ群に投与しないのは倫理的に許されないと判断し、治験を途中で終了した」と会社は発表しています。服用は、発症または検査で陽性となってから24時間以内でなければなりません。ちなみにタミフルは48時間以内です。

申請はこれからですが、迅速承認をえて、年内には供給を開始できる見込みだとか。この薬の利点は、抗体治療薬より安いことと、点滴の必要がないことで、欠点は服用のタイミングを見きわめるのが難しいことです。

ここで、新薬が登場したときの心構えを、もう一度あげておきましょう。
・製薬企業が関わった論文には必ず忖度や不正がある!
・良すぎるデータは疑え!
・新薬にはすぐ飛びつくな!

【参考文献】
1) Robbins R, Merk says it has the first antiviral pill found to be effective against Covid. New York Times, Oct 1, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2467 )
日時: 2021年10月18日 09:50
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2021.10.18)
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抗体カクテル療法は実用的なのか?
 訪問診療で「抗体カクテル療法」を行った場合の費用や人員についての検証実験が、米国で行われました。対象は、コロナに感染して、在宅療養となった144名です。

男女は同数くらいで、年齢層では65歳以上とそれ以下の人がほぼ同数でした。抗体カクテル療法は点滴が必要ですから、訪問診療で行うにはいろいろ課題があります。検証実験では、看護師3名がチームを組み、各家を訪問して治療を行うべき人を選別しました。現場に医師はおらず、リモートで指示を受けるという形を取っています。日本で行われている試みでは、医師が各自宅を訪問して治療を行っているため、対象者も限定されてしまいます。

スタッフにかかわる人件費などの諸費用は、平均で1週間当たり1,250ドル(約137,500円)と計算されました、薬剤費は国の保険制度によって異なりますので省略しますが、日本では当面、無償となっています。しかし1回分の販売価格が31万円と公表されたことから、今後は費用が重大課題となりそうです。

点滴を行ったあと、2週間にわたり健康状態の追跡調査が行われました。その結果、8人(5.6%)に症状の悪化が認められ、平均3.3日の入院となりましたが、重症化した人はいませんでした。

ただし、この研究は、抗体カクテル療法の効果を調べるのが目的ではなかったため、「ランダム化比較試験(公平に2群に分けて比較を行う臨床試験)」ではありませんでした。したがって、この8人の入院が、薬の効果がなかったことによるものか、あるいは薬の副作用で症状が悪化したためなのかはわかりません。

【参考文献】
1) Malani AN, et al., Administration of monoclonal antibody for COVID-19 in patient homes. JAMA Open, Oct 14, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2527 )
日時: 2021年11月08日 09:10
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2021.11.8)
NEW!(*印の部分が新情報、および訂正です)
(4) 続々登場する新薬の評価とは?
 「新しい治療薬が認可!」とのニュースをしばしば目にするようになりました。あまりに種類が多く、しかも難しい内容ですから、ついていくのも大変です。そこで、主だった新薬を順次、本項でまとめていくことにします。

    名 称           エビデンス       米国認可 日本
-----------------------------------------------------------------------------------------------
[ウイルスの増殖を抑える]
  レムデシビル      広く使われているが、効果は否定的  ○   ○
  モルヌピラビル     前項で述べたミョルニル、初の錠剤  ×   ×
 *             11月4日、英国が世界で初めて承認
  アビガン        インフルエンザ治療薬で根拠は乏しい ○   ○
               日本の製薬企業が開発した
  PF-07321332 ファイザー社が開発し、治験中    ○   ×
[ウイルスをブロックする]
  組み換えACE-2   トゲトゲ蛋白をブロック、効果不明  ×   ×
 *イベルメクチン     良く使われているが効果は否定的   △   △
 *             けいれんなど重い副作用の報告あり
  オレアンドリン     強力な毒物で危険          ×   ×
  ロピナビル、リトナビル エイズの薬、効果は否定的      ×   ×
  クロロキン       マラリアの薬、効果は完全に否定   △   △
[抗体治療薬]
  バブラニブマブ・エテセビマブ  抗体カクテル、使用は限定的     ○   ×
  REGEN-COV   抗体カクテル、現在のところ最有力  ○   ○
               前項に詳しい説明あり※
 *ソトロビマブ      単一抗体、軽症~中等症に有効、点滴 ○   ○
  AZD7442     アストラゼネカが汚名挽回で開発   ○   ×
               バイデン政権は同社がお嫌い?
[その他]
  回復者血漿療法     効果は否定的、日本でも試験中    ○   ○
  インターフェロン    治験中、効果は不明         △   △
  デキサメタゾン     昔からあるホルモン剤、       ○   ○
 *             重症者での有効性が確立(6mg/日)
  サイトカイン阻害薬   過剰な各種炎症物質(サイトカイン) ○   ×
               をブロック、効果は否定的
  アジスロマイシン    昔からある抗生物質の1つで、    ○   △
               効果は否定的
-----------------------------------------------------------------------------------------------                                     
*トランプ元大統領が昨年夏に感染した際、REGEN-COV、レムデシビル、デキサメタゾン、回復者血漿を無理やり主治医に使わせた。おそらく、どれも必要はなかったと思われる。

右列の「米国認可」は、制限つきとか迅速承認とか複雑な仕組みなのですが、とにかく何らかの形で米国政府がお墨付きを与えたという意味です。右端の「日本」は、健康保険の対象になっているか、あるいは政治判断で税金から料金が支払われることになったものと解釈してください。△は、他の病気では保険が効くが、コロナではダメということです。

効果と服用作用の面から考えて有望かもしれないのは、赤字[太字]で示した薬です。一方、名前がよく知られている割に、効果が実証されず、かつ副作用の懸念があるのはレムデシベルとイベルメクチンです。その根拠は前の項で説明※したとおりです。
【※⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212

どれが有望なのかを考えるには、それぞれの薬が効く仕組みなども知る必要があります。詳細をホームページで記すには限度もあり、別途、書籍のような形でまとめる予定にしています。

【参考文献】
1) Wu KJ, et al., Coronavirus drug and treatment tracker. New York Times, Oct 7, 2021.
2) Spinner CD, et al., Effect of remdesivir vs standard care on clinical status at 11 days in patiens with moderate COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA. Aug 21, 2020.
3) The COVID STEROID 2 Trial Group, Effect of 12 mg vs 6 mg of dexamethasone on the number of days alive without life support in adults with COVID-19 and severe hypoxia, The COVID STEROID 2 Randomized Trial. JAMA, Oct 21, 2021.
4) Temple C, et al., Toxic effects from ivermectin use associated with prevention and treatment of Covid-19. N Engl J Med, Oct 20, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2550 )
日時: 2021年11月15日 10:30
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2021.11.15)
NEW!(*印の部分が新情報、および改訂です)
(4) 続々登場する新薬の評価とは?
 「新しい治療薬が認可!」とのニュースをしばしば目にするようになりました。あまりに種類が多く、しかも難しい内容ですから、ついていくのも大変です。そこで、主だった新薬を順次、本項でまとめていくことにします。

    名 称           エビデンス       米国認可 日本
-----------------------------------------------------------------------------------------------
[ウイルスの増殖を抑える]
  レムデシビル      広く使われているが、効果は否定的  ○   ○
  モルヌピラビル     前項で述べたミョルニル、初の錠剤  ×   ×
 *             メルク、英国で承認、効果に疑問
 *パクソロビド      錠剤の第2弾、ファイザー自画自賛  ×   ×
               発症後3日以内に服用の要あり   ×   ×
               5日間で30錠服用、価格77,000円
               メルク社と激しい売り込みバトル
  アビガン        インフルエンザ治療薬、効果は否定的 ○   ○
               日本の製薬企業が開発した
[ウイルスをブロックする]
  組み換えACE-2   トゲトゲ蛋白をブロック、効果不明  ×   ×
  イベルメクチン     広く使われているが効果は否定的   △   △
               けいれんなど重い副作用の報告あり
  オレアンドリン     強力な毒物で危険          ×   ×
  ロピナビル、リトナビル エイズの薬、効果は否定的      ×   ×
  クロロキン       マラリアの薬、効果は完全に否定   △   △
[抗体治療薬]
  バブラニブマブ・エテセビマブ  抗体カクテル、使用は限定的     ○   ×
  REGEN-COV   抗体カクテル、現在のところ最有力  ○   ○
               前項に詳しい説明あり※
  ソトロビマブ      単一抗体、軽症~中等症に有効、点滴 ○   ○
  AZD7442     アストラゼネカが汚名挽回で開発   ○   ×
               バイデン政権は同社がお嫌い?
[その他]
 *回復者血漿療法     効果は認められず、日本でも試験中  ○   ○
  インターフェロン    治験中、効果は不明         △   △
  デキサメタゾン     昔からあるホルモン剤、       ○   ○
               重症者での有効性が確立(6mg/日)
  サイトカイン阻害薬   過剰な各種炎症物質(サイトカイン) ○   ×
               をブロック、効果は否定的
  アジスロマイシン    昔からある抗生物質の1つで、    ○   △
               効果は否定的
-----------------------------------------------------------------------------------------------                                     
*トランプ元大統領が昨年夏に感染した際、REGEN-COV、レムデシビル、デキサメタゾン、回復者血漿を無理やり主治医に使わせた。おそらく、どれも必要はなかったと思われる。

右列の「米国認可」は、制限つきとか迅速承認とか複雑な仕組みなのですが、とにかく何らかの形で米国政府がお墨付きを与えたという意味です。右端の「日本」は、健康保険の対象になっているか、あるいは政治判断で税金から料金が支払われることになったものと解釈してください。△は、他の病気では保険が効くが、コロナではダメということです。

効果と服用作用の面から考えて有望かもしれないのは、赤字[太字]で示した薬です。一方、名前がよく知られている割に、効果が実証されず、かつ副作用の懸念があるのはレムデシベルとイベルメクチンです。その根拠は前の項で説明※したとおりです。
【※⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212

どれが有望なのかを考えるには、それぞれの薬が効く仕組みなども知る必要があります。詳細をホームページで記すには限度もあり、別途、書籍のような形でまとめる予定にしています。

【参考文献】
1) Wu KJ, et al., Coronavirus drug and treatment tracker. New York Times, Oct 7, 2021.
2) Spinner CD, et al., Effect of remdesivir vs standard care on clinical status at 11 days in patiens with moderate COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA. Aug 21, 2020.
3) The COVID STEROID 2 Trial Group, Effect of 12 mg vs 6 mg of dexamethasone on the number of days alive without life support in adults with COVID-19 and severe hypoxia, The COVID STEROID 2 Randomized Trial. JAMA, Oct 21, 2021.
4) Temple C, et al., Toxic effects from ivermectin use associated with prevention and treatment of Covid-19. N Engl J Med, Oct 20, 2021.
5) Robbins R, Pfizer says its antiviral pill is highly effective in treatng Covid. New York Times, Nov 5, 2021.
6) Writing Committee for the REMAP-CAP Investigators, Effect of cobvalescent plasma on organ support-free days in critically ill patients with COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Oct 4, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2633 )
日時: 2021年12月13日 09:23
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2021.12.13)
NEW!
(6) 国産ワクチンを評価する
 遺伝子ワクチンは嫌だけれど、国産ワクチンには期待を寄せている、という人が多いようです。そこで最新の情報と、冷静な評価をまとめてみました。(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/domestic.jpg

国産だからといって安全とは限りません。すべての製品に共通している問題は、最終的に体内で生ずるのがトゲトゲ蛋白であるという点です。インフルエンザワクチンが安全なのは、作り方ではなく、危険なトゲトゲ蛋白がない、という点にあります。不活化ワクチンと呼ばれていることから、安全神話が生まれ、誤解が生じているように思われます。

主成分の運び屋にも気になる点があります。ファイザー社やモデルナ社のワクチンは「脂質微粒子」という石鹸の泡粒のような膜に包まれて血液中を運ばれていきます。しかし、この成分自体が体内で炎症を起こすことが実験的に知られています。したがって運び屋の作り方によっては、もっと副作用が高まる可能性もあります。

もうひとつ問題があります。トゲトゲ蛋白はあまりに小さく、それだけでは免疫反応が起こりません。そのため反応を促進する特殊な物質をいっしょに混ぜておく必要があります。アジュバントと総称されるそれらの物質は、しかし企業秘密となっていて、情報公開がなされていないのです。

これら懸念がすべて払拭され、われわれが安心して接種を受けられるようになる唯一の条件が、年余にわたる臨床試験と使用実績です。ほかの項でも述べましたが、そのために必要な月日は最低でも10年です。

【参考文献】
1) Ndeupen S, et al., The mRNA-LNP platform's lipid nanoparticle component used in preclinical vaccine studies is highly inflammatory. iScience, Dec 17, 2021.
2) Felberbaum RS, The baculovirus expression vector system: a commercial manufacturing platform for viral vaccines and gene therapy vectors. Biotechnol J 10: 702-714, 2015.

**************************************************************************************************

アジュバント(参照⇒ https://answers.ten-navi.com/dictionary/cat04/644/
アジュバントとは、薬物による効果を高めたり補助したりする目的で併用される物質・成分の総称。 抗原抗体反応を活性化させる非特異的免疫賦活剤、あるいは、がん治療で行われる補助治療自体を指すこともある。ラテン語の「adjuvare(助ける)」に由来する。

■非特異的免疫賦活剤(抗原性補強剤)としてのアジュバント

非特異的免疫賦活剤(抗原性補強剤)を抗原と一緒に投与することにより、細胞の免疫反応を高める効果を持つ。
たとえば、ワクチンには毒性を弱めた病原体(抗原)が含まれており、これを体内に注入することで抗体が作られ、感染症に対する免疫ができる。体内での免疫応答を増強したり、抗原を長時間留まらせたりする目的で抗原とともに投与される物質をアジュバントという。

疾患に応じて抗原は変わるため、免疫反応の効果を高めるアジュバントも変化する。時には、特定の抗原にのみ作用するアジュバントが創り出されることもある〔例:ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに対して特異的な作用を持つAS04〕。

非特異的免疫賦活剤の主な作用は以下のようなものである。

【主な作用】
・抗原を吸着し、抗原提示細胞への取り込み作用を高める
・抗原を局所に長時間留める効果を持ち、抗原刺激を長時間持続させる
・免疫担当細胞であるT細胞やB細胞を活性化させる

ただ、どのような作用を持っているかはアジュバントの種類によって異なり、作用機序が不明なものも多い。

■がん患者に対して行われる補助治療としてのアジュバント

がん患者に対して行われる、補助治療法の総称。アジュバント療法と呼ばれる。手術後や放射線療法後の再発防止の目的で行われる、化学療法やホルモン療法などを指す。
また、時として補助治療が手術・放射線治療前に行われることがある。その場合はネオアジュバント療法と呼ばれる。



Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2653 )
日時: 2021年12月20日 23:07
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2021.12.20)
NEW!
(3) 偽りの飲み薬(全面改訂)
 政府は、新型コロナのワクチンや治療薬の施策に前のめりとなっています。とくに米国メルク社が開発した飲み薬「モルヌピラビル」が話題で、新聞各紙は、世界最初の飲み薬として年内にも特例承認されること、および160万人分を調達する契約を同社と結んだことを報じています。重症化率を30パーセント下げる効果があった、というのが根拠のようです。

しかし世界では、この薬の賛否を巡る激しい応酬が行われている最中なのです。と言っても、この薬を支持する意見は、ほぼメルク社の経営陣と同社専属の研究者からに限られています。

否定的な見解を示している大多数の研究者たちは、主に2つの理由を挙げています。ひとつは、効果に重大な疑問があるということです。プラセボと比較した臨床試験が2つあり、一方が762人を対象にして5月から8月初旬に、他方は646人を対象に8月から10月初旬にそれぞれ行われたものでした。

ところが、前者の調査で、モルヌピラビルを飲んだ人たちがプラセボに比べて重症化する割合が半減したと結論されたにもかかわらず、後者では効果がまったく認められなかったのです。企業側は「理由はわからない」とコメントしていますが、政府委員のひとりは「後者の臨床試験が行われた時期はデルタ株が全盛だった」とし、この薬は変異株に効かないようだと述べています。

もっと遙かに重大な懸念は、この薬が「ウイルスのRNAを書き換えて死滅させる」という働きをすることから、ヒトのDNAにも組み込まれてしまうのではないかということです。

米国ノースカロライナ大学の研究者は、試験管内で、ハムスターの細胞にモルヌピラビルを32日間加えたところ、DNAに組み込みが起こっていたと報告しています。これに対し企業側は、「同じ条件で、げっ歯類で実験を行ったがDNAへの組み込みは認められなかった。人間では5日間服用するだけなので問題ない」とコメントしました。

研究者の多くは、その原理から考えて、ヒトのDNAへの組み込みが起こる可能性は高いと考えています。メルク社に対し「げっ歯類で行った実験のデータ」を論文にして公表すべしと迫っていますが、いまのところ応じる気配はありません。

この薬は、ウイルスのRNAのコピーが作られるとき、つまりウイルスが分裂する際、無意味な人工コードを組み込むように設計されており、もし、それがヒトのDNAにも起こるようなら、がんの発生や胎児への重大な影響を心配しなければならないことになります。

【参考文献(すべて新しい論文と差し替え)】
1) Kabinger F, et al., Mechanism of molnupiravir-induced SARS-CoV-2 mutagenesis. Nat Struct Mol Biol 28: 740-746, 2021.
2) Eastman Q, Molecular picture of how antiviral drug molnupiravir works. The Emory Health Science Research Blog, Sep 8,2021.
3) Kozlov M, Merck's COVID pill loses its lustre: what that means for the pandemic. Nature, Dec 13, 2021.
4) Muwller B, Merck's Covid pill might pose risks for pregnant women. New Yor Times, Dec 13, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2758 )
日時: 2022年01月24日 09:53
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.1.24)
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(6) ファイザー社の飲み薬は大丈夫か?
 2022年1月18日、ファイザー社は、自社のホームページで、「お知らせ:コロナの錠剤『パクソロビド』がオミクロン株に対し有効であることを、試験管内の実験で見事に証明しました」との文章を掲載しました。その直前の12月22日、米国食品医薬品局(FDA)は緊急使用許可を出しています。この薬は大丈夫なのでしょうか?

新型コロナウイルスは、一本のひも状になった遺伝子情報(RNA)を持っているだけで、それ以外の高度な仕掛けはいっさいありません。そのひも状の遺伝子情報には、トゲトゲ蛋白のほかにも、ウイルス自身が生きていくための必須の酵素などを作るためのコードも含まれています。

ファイザー社の薬は、その酵素のひとつをブロックするように設計されたものです。そのためウイルスは増殖することができず、生き残れないはずだというのです。

実はこの薬(パクソロビド)は、一種類だけでは効果が弱く、昔から使われてきたエイズ(HIV)の薬といっしょに服用するようになっています。しかし、エイズの薬は他の薬との相互作用がきつく、エイズの治療経験がない医師はよく勉強してから使ってほしい、と米国の国立衛生研究所が注意を喚起しています。

どういうことかと言うと、酵素をブロックする作用があるため、ヒトの体内にある大切な「薬物を代謝する酵素」まで止めてしまうからです。いっしょに服用してはいけない薬は無数にあるのですが、たとえば降圧剤の一部、鎮痛解熱剤、抗がん剤、ワーファリン等などです。

この薬が優れているのか、いないのか、現時点で結論をくだすのは困難です。そこで以下、これまでの情報を「評価できる点」と「疑わしい点」とにわけてまとめました。

〈評価できる点〉
 培養細胞と本物の新型コロナウイルスを使った実験が行われていて、その結果が非常に詳しく、かつ詳細な学術論文として発表されています。論文の数も多いのですが、すべてファイザー社の社員が書いたものとなっています。印象深いのは、論文の記載が、まるで学校の教科書のように、平易な英語で丁寧に書かれていることです。この一事から推測できるのは、論文が宣伝用パンフレットとして使えるよう、専門のライター(ゴーストライター)に執筆が依頼されただろうということです。

もうひとつ印象的なのは、実験のレベルが高いことです。同社には、大勢の優秀な研究者が雇用されていて、基礎研究を大学などに頼る必要がないようです。

本物の新型コロナウイルスの各変異株をすべて集め、実験を行っているのですが、このような実験は「レベル4」と呼ばれる超厳密な感染防御が施された専用施設で行わなければなりません。同社は、そのような設備も備えていることになります。余談ですが、新型コロナウイルスをまき散らしたのではないかと噂される中国武漢市のウイルス研究所では、簡易な「レベル2」の設備で遺伝子組み換えの実験が行われていたと、米国メディアが報じています。

〈疑わしい点〉
 臨床試験は、2022年1月24日現在、まだ終わっていません。それにもかかわらず同社のホームページには、「重症化を89%防ぐ」との掲示がなされているのです。試験が行われたのは昨年の夏で、まだオミクロン株がなかった時期のデータということになります。感染して入院にいたった人(日本では重症化と称される)は、この薬を使ったグループで389人中3人、プラセボ群で385人中27人だったとのこと。

つまり、臨床試験がまだ終わっていないにも関わらず、少数の臨床データで米国政府に認可を求めたことになります。しかもオミクロン株に対する臨床試験が行われていないにも拘わらず、試験管内の実験データを理由に、オミクロン株にも有効だと主張しているのです。一緒に服用してはいけない薬もあまりに多く、危険な副作用が起こりうることを考えると、果たして臨床現場で適切な判断ができるのか気になります。

【参考文献】
1) Pfizer shares in vitro efficay of novel COVID-19 oral treatment Paxloid against omicron variant. Pfizer, Jan 20, 2022.
2) Pfizer's novel COVID-19 oral antiviral treatment candidate reduced risk of hospitalization or death by 89% in interim analysis 2/3 EPIC-HR study. Pfizer, Nov 5,2021.
3) The COVID-19 treatment guidelines panel's statemant on potential drug-drug interactions between ritonavir-boosted nirmatrelvir (Paxlovid) and concomitant medications. NIH, Dec 30, 2021.
4) Owen DR, et al., An oral SARS-CoV-2 Mpro inhibitor clinical candidate for the treatment of COVID-19. Science, Dec 24, 2021.
5) Rai DK, et al., Nirmatrelvir, an orally active Mpro inhibitor, is a potent inhibitor of SARS-CoV-2 variants of concern. bioRxiv, Jan 19, 2022.
6) Greasley SE, et al., Structural basis for nirmatrelvir in vitro efficacy against the omicron variant of SARS-CoV-2. bixRxiv, Jan 19, 2022.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2784 )
日時: 2022年01月31日 11:52
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.1.31)
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(2) 医師たちが騙されたもう一つの理由
 世界の巨大製薬企業は、これまで数々の論文不正を犯してきました。とくにコロナの時代になってからは、いっそう目に余る状況となり、当ホームページでも証拠となる事例をいくつか紹介してきたところです。しかし・・・、世界を見渡しても、そんな視点で真実の検証を行っている研究者やジャーナリストはほとんどいませんでした。

新年が明けた2022年1月19日、頼もしい味方が現れました。すでに他の項でも紹介したことがある英国医学専門誌の副編集長たちグループが、告発文を発表してくれたのです。

内容をひと言でいえば、新型コロナのワクチンと治療薬に関する論文を書いているのは、すべて製薬企業の社員であり、しかも統計分析を行った元のデータがいっさい公開されていないことに対する批判でした。

論文に疑惑もあり(製薬企業にとって)不都合なデータが隠されているのではないか、と述べているのです。さまざま立場の人が製薬企業に生データの公開を求めていますが、いまのところすべて拒否されています。たとえばファイザー社に対してワクチンの治験データを請求したところ、治験が最終的に終わってから2年後、つまり2025年5月まで公開できないとの回答だったそうです。

モデルナ社の回答は、治験が終わればすぐに公開できるだろう、というものでした。公式発表によれば、その日時は2022年10月27日です。アストラゼネカ社の回答は、2021年12年31日以降、第III相試験(最後の臨床試験)のデータをリクエストがあれば開示するということでした。とっくに過ぎていますが、同社のホームページには、請求後、準備に1年くらいかかるかもしれないと、訳のわからないことが書いてあります。

新型コロナのワクチンほど「全人類の健康に悪影響を及ぼした医薬品」は、前代未聞です。当然のごとく素朴な疑問、ねつ造疑惑などが相次いでいる中、臨床試験でえられたすべてのデータを公開すべきことは、誰が考えても当然のことです。中心となっている3つの製薬企業(ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社)は、口裏合わせをしたかのように開示拒否しているのです。

その昔、製薬企業が裁判所の命令で報告書を公開したことがあったのですが、数万ページにも及ぶもので解読不能だったそうです。子供じみた意地悪ですね。そんな過去もあり、真実を求めて製薬企業との戦いに挑む医師はほとんどいない、・・・というよりも大部分の医師たちは無関心を決め込んでいるのが現状です。

告発論文を投稿した著者たちの次の言葉は、まさに「疑いを抱く、すべての人々の気持ち」を代弁しています。「世界の製薬企業は過去にも同じ罪を犯してきた。その代表的な例がインフルエンザの特効薬タミフルだ。ほとんど効果がないにもかかわらず、論文になっていないデータを宣伝に使い、数少ない論文もすべて製薬企業の社員が作ったもので、しかもゴーストライターに書かせたものだった。そして今また、コロナビジネスで巨万の富を独占している・・・・」と。(論文の存在をお知らせいただいた方に感謝します)

【参考文献】
1) Doshi P, et al., Covid-19 vaccines and treatments: we must have raw data now. BMJ, Jan 19, 2022.
2) AstraZeneca Clinical trials website. https://astrazenecagrouptrials.pharmacm.com/ST/Submission/disclosure
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2832 )
日時: 2022年02月14日 09:50
名前: はっちん [ 返信 ]
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岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2022.1.24 改訂)
NEW!
(4) 新薬の総合評価:全面改訂
 新薬の評価結果が続々と発表されています。以下、2022年2月14日現在の最新情報をまとめました。評価が辛めになっていますが、ほとんどの論文が製薬企業の社員が書いたものとなっていて、信頼性に問題がある点も考慮した結果です。今回、改訂した箇所には*印をつけてあります。

    名 称           エビデンス       米国認可 日本
-----------------------------------------------------------------------------------------------
[ウイルスの増殖を抑える]
 *レムデシビル      最初からもっとも広く使われている  ○   ○
               ウイルス量が減少せず効果に疑問
 *モルヌピラビル     初の錠剤、メルク社製        ○   ○
               DNAを組み換えるリスクあり
 *パクソロビド      錠剤の第2弾、ファイザー社製    ○   ○
               発症後5日以内に服用の要あり   ○   ○
               5日間で30錠服用、価格77,000円
               薬物代謝酵素を障害するリスクあり
 *S-217622        錠剤の第3弾、塩野義社製       ×   ×
               発表論文なく詳細不明
  アビガン        インフルエンザ治療薬、効果は否定的 ○   ○
               日本の製薬企業が開発した
[ウイルスをブロックする]
  組み換えACE-2   トゲトゲ蛋白をブロック、効果不明  ×   ×
 *イベルメクチン     広く使われているが効果は否定的   △   △
               ランダム化比較試験が現在進行中
  オレアンドリン     強力な毒物で危険          ×   ×
  ロピナビル、リトナビル エイズの薬、効果は否定的      ×   ×
  クロロキン       マラリアの薬、効果は完全に否定   △   △
[抗体治療薬]
  バブラニブマブ・エテセビマブ  抗体カクテル、使用は限定的     ○   ×
 *ロナプリーブ(REGEN-COV)  抗体カクテル、オミクロンに効果なし  ○   ○
               点滴または皮下注射
  ソトロビマブ      単一抗体、軽症~中等症に有効?   ○   ○
 *エブシェルド(AZD7442) アストラゼネカ社製           ○   ×
               オミクロン株に効果なし
[その他]
  回復者血漿療法     日本でも治験中、効果は否定的    ○   ○
  インターフェロン    治験中、効果は不明         △   △
  デキサメタゾン     昔からあるホルモン剤        ○   ○
               重症者での有効性が確立(6mg/日)
 *アクテラム(トシリズマブ)  過剰な炎症物質(IL-6)をブロック     △   △
               2つの臨床試験で効果なしの判定
  アジスロマイシン    昔からある抗生物質の1つ      ○   △
               効果は否定的               .
-----------------------------------------------------------------------------------------------

右列の「米国認可」は、制限つきとか迅速承認とか複雑な仕組みなのですが、とにかく何らかの形で米国政府がお墨付きを与えたという意味です。右端の「日本」は、健康保険の対象になっているか、あるいは政治判断で税金から料金が支払われることになったものと解釈してください。△は、他の病気では保険が効くが、コロナではダメということです。

*ウイルス感染症の治療には、3つの段階があります。最初は体内に侵入したウイルスが細胞内に入り込まないようにする段階、次が細胞内でウイルスが増殖しないようにする段階、そして最後はウイルスが暴れ回ったあと体内で炎症物質と消炎物質が入り乱れて収拾がつかなくなった段階です。最初の段階で働くのが抗体カクテル、次の段階ではレムデシビルやモルノピラビルなどの薬、最後はウイルスと無関係に起死回生の働きをするデキサメタゾンなどのホルモン剤です。

*ここまで、第一段階で有効性が確認されていた唯一の治療法が、抗体カクテルのロナプリーブ(米国リジェネロン社)でした。しかし、残念ながらオミクロン株には効かないことがわかりました。

*国内で緊急使用が認められた2つの飲み薬(第二段階で働く)については、製薬企業が自分で評価したデータしかなく、しかも有効率だけが強調されていて、重大な副作用が懸念されているにもかかわらず、それらがいっさい伏せられたままとなっています。

*いまのところ、細胞内へのウイルスの侵入を阻止したり、重症化を予防したりできる薬はひとつも存在しないことになります。

【参考文献】
1) Wu KJ, et al., Coronavirus drug and treatment tracker. New York Times, Oct 7, 2021.
2) Spinner CD, et al., Effect of remdesivir vs standard care on clinical status at 11 days in patiens with moderate COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA. Aug 21, 2020.
3) The COVID STEROID 2 Trial Group, Effect of 12 mg vs 6 mg of dexamethasone on the number of days alive without life support in adults with COVID-19 and severe hypoxia, The COVID STEROID 2 Randomized Trial. JAMA, Oct 21, 2021.
4) Temple C, et al., Toxic effects from ivermectin use associated with prevention and treatment of Covid-19. N Engl J Med, Oct 20, 2021.
5) Robbins R, Pfizer says its antiviral pill is highly effective in treatng Covid. New York Times, Nov 5, 2021.
6) Writing Committee for the REMAP-CAP Investigators, Effect of cobvalescent plasma on organ support-free days in critically ill patients with COVID-19, a randomized clinical trial. JAMA, Oct 4, 2021.
*7) Takashita E, et al., Efficacy of antibodies and antiviral drugs against Covid-19 omicron variant. N Engl J Med, Jna 22, 2022.
*8) RECOVERY Collaborative Group, Casirivimab and imdevimab in patients admitted to hospital with COVID-19 (RECOVERY): a randomised, controlled, open-label, platform trial. Lancet, Feb 12, 2022.
*9) Hermine O, et al., Effect of tocilizumab vs usual care in adults hospitalized with COVID-19 and moderate or severe pneumonia, a randomised clinical trial. JAMA Intern Med, May 3, 2021.
*10) Authors not mentioned, Tixagevimab and cilgavimab (Evusheld) for pre-exposure prophylaxis of COVID-19. JAMA, Jan 25, 2022.
*11) Young C, et al., Tocilizumab in treatment for patients with COVID-19. JAMA Intern Med, Apr 5, 2021.
   
   
Re: 新薬が世に登場したとき、その信頼性を判断する際の鉄則 ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2833 )
日時: 2022年02月14日 10:18
名前: はっちん [ 返信 ]
[ 削除 ]
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2022.2.4)
NEW!
(5) 治療薬レムデシビルを再評価したら(この項、差し換え)
 「レムデシビル」という薬をご存知でしょうか? コロナ禍になって最初に世界中のメディアが特効薬として報じた薬です。当時のトランプ大統領が、ホワイトハウスに製薬企業のトップを集めたあと、記者会見で口にした名称でもあります。トランプには初耳だったようで、演説原稿に書かれたスペルを読めずに四苦八苦していました。その夏、彼が感染して軍病院に入院した折、主治医団がこの薬を使ったと語っていました。

レムデシビルは、コロナウイルスが分裂する際、RNAの間に忍び込んでウイルスを死滅させるという働きをします。この薬については、これまで膨大な数の臨床試験が行われてきましたが、その多くは「効果なし」との判定を下したものでした。それらの論文の信憑性を私なりに検討した結論が、上表の以前からの記載内容でした。

2022年1月27日、この薬を改めて評価した論文が発表されました。臨床試験の対象になったのは、12歳以上で、重症化の危険因子をひとつ以上もっている感染者です。そのうち同意の得られた567人を均等に2つのグループにわけ、一方にレムデシビルを、他方にプラセボ(偽薬)をそれぞれ使いました。

わかったことは2つありました。入院治療が必要になった人の割合でみると、プラセボ群が5.3パーセントだったのに対し、レムデシビル群では0.7パーセントに下がっていて、あきらかな効果が認められました。この差を1,000人当たりの人数に換算すると、レムデシビル群のほうが47人少なくなるという計算になります。

ところが、体内のウイルスを調べて比べたところ、両群で差が認められなかったのです。この点は、過去に行われた多くの調査でも指摘されていて、「これでは他人に感染させてしまうリスクは改善されない」と批判されていました。ウイルス量が減らないにもかかわらず、重症化率が小さくなった理由はわかっていません。

この薬は、最低でも3日間の点滴が必要です。したがって普通は、病院で受けることになりますが、点滴が必要なほかの薬と比べると、一部の抗体カクテルでウイルス量も減らせる効果がすでに示されており、レムデシビルの出番はないことになります。また国内で1人分の価格が25万円(投与量によって異なる)もすることから、経済面でもメリットはありません(現在、国内では特例として無料で受けられる)。

この薬に対する私の評価は、以前と変わりなく「効果に疑問あり」のまま、ということになります。

【参考文献】
1) Heil EL, et al., The Goldilocks time for remdesivir - is any indication just right?
2) Gottlieb RL, et al., Early remdesivir to prevent progression to severe Covid-19 in outpatients. N Engl J Med, Jan 27, 2022.
   
   
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