2024年11月30日更新
いなげや株式の買取価格決定の申立て
1.はじめに
はじめに本買取請求の要約を述べます
本件は「イオン」とその連結子会社である「U.S.M.H」による「いなげや」の買収案件であり、二段階買収の形態をとっています。
第一段階では「イオン」がTOBにより「いなげや」の株式の過半数を取得。
第二段階では「いなげや」の少数株主をスクイーズアウトする。
というものです。
スクイーズアウトを行うには以下の四つの方法があります。
株式併合
株式交換
全部取得条項付種類株式
特別支配株主の株式等売渡請求
本件の場合は株式交換を用いています。交換する株式は公開買付者である「イオン」の株式ではなく「イオン」の連結子会社である「U.S.M.H」の株式としました。
また先行するTOBでは、1,610円がTOB価格でしたが、後述「6.買付け等の価格が 普通株式1株につき、1,610円となった経緯」で示すように同種の公開買付け事例におけるプレミアム水準と比較しても同程度のプレミアムが付されている価格でした。TOB実施時「イオン」「U.S.M.H」「いなげや」は開示文書に以下のように述べています。
「本経営統合の実行に際しては、当社において、東京証券取引所の有価証券上場規程における「支配株主との重要な取引等に係る遵守事項」に従って、本経営統合にあたって実行する取引が、少数株主にとって不利益なものではないことに関し、公開買付者との間に利害関係を有しない者による意見の入手と必要かつ十分な適時開示が求められることになります。このため、公開買付者においては、本公開買付けの成立後、本経営統合を実行する場合でも、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様にとって、本公開買付けに応募した当社の株主の皆様と比較して不利益な取引を実施することは意図していないとのことで、当社においても同様に意図しておりません。そのため、本公開買付けの成立後、本経営統合を実行する場合には、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)及び本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様の利益にも配慮して本経営統合の具体的な手法及び条件等を検討し、今後、公開買付者、当社及びU.S.M.Hとの間で協議の上で決定する予定です。」
しかし実際には、株式交換比率の決定にTOB価格を全く反映させずに、プレミアム無しの交換比率でした。
私はこのような株式交換に反対ですので、私の持ち株を先のTOB価格である1,610円で買い取って貰うことを要求します。
2.企業買収のルールからの逸脱
経済産業省が2019年6月28日に公表した「公正なM&Aの在り方に関する指針」には、
「公開買付け後にスクイーズ・アウトを行なう場合の価格は、特段の事情がない限り、公開買付価格と同一の価格を基準とするとともに、その旨を開示書類等において明らかにしておくこと。」と記載されています。
「いなげや」はこのルールに従うように開示しておきながら、実際にはこのルール及び開示事項を守らず、公開買付価格を反映せずに株式交換比率を決定しました。
3.TOB後に株式交換によりスクイーズ・アウトをした事例
「いなげや」におけるスクイーズ・アウトはTOB価格を考慮しないで株式交換比率を決めていますが、通例に従えば割当交付する株式の市場価値がTOB価格に等しくなるように株式交換比率を決めるべき案件です。具体的には「いなげや」株式の1株当たりの株式価値をTOB価格と同じ1,610円として、「U.S.M.H」株式の価値は東京証券取引所での相当期間の株価の平均を元にして算出し、それらを基にして株式交換比率を決定するのが通例です。
実際に類似案件ではそのような方法で株式交換比率を決定しています。直近の実例を以下に示します。
2024年10月9日に開示された「株式会社GLホールディングスによる株式会社CDGの株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」と題する文書は、TOB実施後に株式交換によりスクイーズ・アウトする旨を公表したものです。
CLハールディングスは2024年8月9日から同年9月24日までにCDGの普通株式を対象とする公開買付けを実施し所有割合が92.26%になりました。そして2024年10月9日にスクイーズ・アウトの手段としてCDGの普通株式1株に対して、CLハールディングスの普通株式1.72株を割当交付する株式交換を行うことを発表しました。
交換比率を決める際には、CDG 普通株式1株当たりの価値を先行したTOBでのTOB価格である1,680円を基準とし、市場株価基準法を用いました。この算定の概要は以下の様に記載されていました。
「SBI 証券は、本株式交換に先立って行われた本公開買付けの事実、諸条件、結果等を分析した上で、CLホールディングスについては、同社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価法を用いて算定を行いました。市場株価法においては、2024年10月8日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における1ヵ月間、3ヵ月間及び6ヵ月間の各期間の終値の単純平均株価を採用しております。 また、CDG 普通株式1株当たりの価値の算定については、本公開買付価格が決定・公表された2024年8月8日以降に、CDGの財務状況及び事業予測等に重要な影響を与える可能性のある事象はない旨をCDG に確認を行った上で、CDG普通株式1株当たりの株式価値に重要な影響を与える可能性のある事象は発生していないことから、本公開買付価格(1株につき、金1,680円)と同一の1,680円を採用して算定を行いました。 上記の評価に基づく、CLホールディングス普通株式1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の算定結果は、1.34~1.74と算定されております。 SBI 証券は、株式交換比率算定書の作成にあたり、両社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提とし、その正確性及び完全性に関して独自の検証は11 行っておらず、その義務及び責任を負うものではありません。また、両社及びその関係会社の資産及び負債に関して、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。
一方、アイ・アール ジャパンは、本株式交換に先立って行われた本公開買付けの事実、諸条件、結果等を分析した上で、CLホールディングスについては、同社が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価平均法を算定手法として用いて、株式価値の算定を行いました。 CDGについては、本公開買付価格が決定・公表された2024 年8月8日以降に、CDG普通株式1株当たりの株式価値に重要な影響を与える可能性のある事象は発生していないことから、本公開買付価格(1株につき、金1,680円)と同一の1,680 円を採用して算定を行いました。上記の評価に基づく、CLホールディングス普通株式1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の算定結果は、1.34~1.74と算定されております。アイ・アール ジャパンは、株式交換比率の算定に際して、CLホールディングス及びCDGから提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を使用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っておりません。また、CLホールディングス及びCDG並びにその子会社・関連会社の資産及び負債(偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。」
4.支配会社が被支配会社を株式交換で完全子会社にする場合の通例
TOBを先行させない企業買収の場合でも、支配株主である上場会社が株式交換の方法によりその上場子会社の完全子会社化を行う場合には2~3割のプレミアムを付すのが通例となっています。いなげやの場合は株式交換の対象株式が「イオン」の株式では無く、その連結子会社である「U.S.M.H」となっている点に違いがあるものの、同様に2~3割のプレミアムを付すべき案件です。
プレミアムの付した価格の決定方法は、先のTOBにおける買付け価格の決定と同じになるので、株式買取価格は1,610円となります。
直近の類似案件としては「大東建託株式会社によるハウスコム株式会社の 完全子会社化」があります。ハウスコム株式に対して大東建託株式を0.08株割り当てるものです。2024年10月29日のハウスコムの終値は1014円、大東建託の終値は16,660円。ハウスコム1株に割り当てられる大東建託の価値は1332.8円で、(1332.8円―1014円)/1014円=31.4%のプレミアムが付されました。
5.最高裁決定に準拠した株式取得価格(ジュピターテレコム株式取得価格決定申立事件の最高裁決定、楽天対TBS株式買取価格決定申立事件の最高裁決定)
ジュピターテレコム株式取得価格決定申立事件の最高裁決定の裁判要旨は以下の通りです。
「株式会社の株式の相当数を保有する株主が当該株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,独立した第三者委員会や専門家の意見を聴くなど当該株主又は当該株式会社と少数株主との間の利益相反関係の存在により意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられ,公開買付けに応募しなかった株主の保有する上記株式も公開買付けに係る買付け等の価格と同額で取得する旨が明示されているなど一般に公正と認められる手続により上記公開買付けが行われ,その後に当該株式会社が上記買付け等の価格と同額で全部取得条項付種類株式を取得した場合には,上記取引の基礎となった事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情がない限り,裁判所は,上記株式の取得価格を上記公開買付けにおける買付け等の価格と同額とするのが相当である。」
本件の場合スクイーズ・アウトの手法が以下の3つの点で異なる
(1)「全部取得条項付種類株式」ではなく「株式交換」を使っていること。
(2)株式交換に使う株式が公開買付けを行った「イオン」の株式ではなくイオンの連結子会社である「U.S.M.H」であること。
しかし以上の相違点を考慮しても、株式取得価格の決定においてはこの最高裁決定で述べられている方針が当てはまる。すなわち株式取得価格は公開買付けにおける買付け等の価格と同額の1,610円とするのが相当である。
また1,610円が相当である具体的な理由を以下に付け加える。
(1)反対株主に「公正な価格」での株式の買取りを請求する権利が付与された趣旨は,吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為を株主総会の多数決により可能とする反面,それに反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに,退出を選択した株主には,吸収合併等がされなかったとした場合と経済的に同等の状況を確保し,さらに,吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生ずる場合には,上記株主に対してもこれを適切に分配し得るものとすることにより,上記株主の利益を一定の範囲で保障することにある。(最高裁決定文から抜粋)
(2)この1,610円という価格は、後述6で示す通り、「イオン」と[いなげや]が互いに繰り返し交渉して導き出した価格である。吸収合併等のシナジーその他の企業価値の増加を適切に分配した価格と判断できる。
(3)また後述7で示す通り[いなげや]は「本公開買付価格には一定の合理性があるものと考えております。」と述べて、1,610円の価格が妥当なものと認めている。
(4)本公開買付価格が決定・公表された2023年4月25日から私が買取請求権を行使した日までに「いなげや」普通株式1株当たりの株式価値に重要な影響を与える可能性のある事象は発生していない。
6.買付け等の価格が 普通株式1株につき、1,610円となった経緯。
※「いなげや」が公表した2023年10月6日付「イオン株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」と題する文書からの抜粋。ただし「当社」を「いなげや」に、「公開買付者」を「イオン」に置換しています。
2023年8月31日
「イオン」は、本公開買付価格については、2023年6月上旬から2023年7月下旬まで実施したデュー・ディリジェンスや当社の経営陣との面談の結果、本公開買付けの目的、本公開買付けに対する応募の見通し及び「いなげや」株式の市場価格の動向を総合的に考慮し、2023年8月31日に「いなげや」に対して、本公開買付価格を1,600円(提案日の前営業日である2023年8月30日の東京証券取引所プライム市場における「いなげや」株式の終値1,502 円に対して 6.52%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。)のプレミアムを加えた価格。以下「8月 31 日付提案価格」といいます。)とする提案を行ったとのことです。
2023年9月8日
これに対して、「イオン」は、2023年9月8日に、「いなげや」から、8月31 日付提案価格は、「いなげや」株式を適切に評価した価格であると考えられるものの、「いなげや」の株主の皆様に「いなげや」株式のより一層の売却機会を提供する観点から、本公開買付価格について、過去の「いなげや」株式の株価推移及び本合意書締結日以降の「いなげや」株式の株価推移に鑑み、本合意書締結日(2023 年4月25 日)を基準日とする過去1ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値(1,275 円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)及び1,246 円)のいずれに対しても、プレミアムが30%超となる1,660円(要請日の前営業日である2023年9月7日の東京証券取引所プライム市場における「いなげや」株式の終値1,542 円に対して 7.65%のプレミアムを加えた価格)とすることを検討するよう要請を受けたとのことです。
2023年9月11日
「イオン」は、当該要請を受けて検討を行ったものの、8月 31日付提案価格は、デュー・ディリジェンスや「いなげや」の経営陣との面談を通じて得られた各種情報を総合的に分析して慎重に検討を行い算出した金額であり、当社の株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での「いなげや」株式の合理的な売却機会を提供できるものと考えられたことから、2023年9月11日に、本公開買付価格を8月31日付提案価格と同額の1,600円(提案日の前営業日である2023年9月8日の東京証券取引所プライム市場における「いなげや」株式の終値1,536 円に対して 4.17%のプレミアムを加えた価格)とする提案を行ったとのことです。
2023年9月22日
これに対して、「イオン」は、「いなげや」から、2023 年9月22日に、8月31日付提案価格について改めて慎重な検討を行った結果として、当社株式の売却を希望する株主の皆様に対して、より一層の売却機会を提供する観点から、本公開買付価格を再度1,660円(要請日の前営業日である2023 年9月 21 日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,478円に対して12.31%のプレミアムを加えた価格)とする、8月31日付提案価格からの増額について検討するよう要請を受けたとのことです。
2023年9月25日
「イオン」は、「いなげや」からの再要請を受けて検討を行い、2023 年9月25日に、「いなげや」に対して、本公開買付価格を本合意書締結日(2023年4月25日)を基準日とする過去12ヶ月間の終値単純平均値1,235円に対してプレミアムが30%超となる1,610円(提案日の前営業日である2023年9月22日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,468円に対して 9.67%のプレミアムを加えた価格)とする提案を行ったとのことです。
2023年9月27日
その結果、「イオン」は、2023年9月27日に、「いなげや」より、当該提案価格を前提に検討を進める旨の回答を受領したとのことです。
2023年10月6日
以上の経緯を踏まえ、「イオン」は、2023年10月6日、本公開買付価格を1,610円として本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
7.本公開買付価格1,610円に対する「いなげや」側の評価
TOBの実施時に「いなげや」は「本公開買付価格には一定の合理性があるものと考えております。」と開示文書に述べて、公開買付価格1,610円が妥当であることを表明しています。
その表明の部分を以下に抜粋する。
本公開買付価格については、2023年10月6日付で野村證券から取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)に照らせば、市場株価平均法及び類似会社比較法に基づく算定結果のレンジの上限額を上回るとともに、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの中央値を上回るものであり(詳細は下記「(3)算定に関する事項」の「② 算定の概要」をご参照ください。)、加えて、本公開買付価格である1,610円は、2023年4月25日付プレスリリースの公表前の取引である2023年4月25日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値1,307円に対して 23.18%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値 1,275 円に対して 26.27%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値1,295円に対して24.32%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値1,246円に対して29.21%のプレミアムが付された価格であり、本公開買付けと同種の公開買付け事例におけるプレミアム水準と比較しても同程度のプレミアムが付されていることから、本公開買付価格には一定の合理性があるものと考えております。(「イオン株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」11頁の下から13行目)
8.買収の詳しい経緯(「イオン」「いなげや」「U.S.M.H」が公表した文書から抜粋)
(1)2023年4月25日「イオン」「いなげや」「U.S.M.H」は連名して「イオン株式会社、株式会社いなげや、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社による 「関東における1兆円のSM構想」実現のための経営統合に向けた基本合意書の締結についてのお知らせ」と題する文書を公表された。
前書きとして以下の様に記載されていた。
「イオン株式会社(本社:千葉県千葉市、取締役兼代表執行役社長:吉田 昭夫、以下、「イオン」)、株式会社いなげや(本社:東京都立川市、代表取締役社長:本杉 吉員、以下、「いなげや」)及びユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:藤田 元宏、以下、「U.S.M.H」)は、今後更なる競争激化が見込まれる首都圏地域において、スピード感をもってお客さまのニーズに応え続け、地域社会と共生し、ともに成長、地域の持続可能な未来を築いていくためには、すでに提携関係にあるイオンといなげやの関係を強化し、いなげやがイオンの連結子会社としてイオングループに参画するとともに、U.S.M.Hといなげやの経営統合を実現し、U.S.M.Hとともに「関東における1兆円のSM構想」を進めることが最適であると判断し、本日、本基本合意書(以下、「本合意書」)の締結を決定し、本合意書を締結いたしましたのでお知らせします。」
いなげやとU.S.M.Hの統合の方法については以下の様に記載されていた。
以下の事項を基本方針とするU.S.M.Hによるいなげやとの経営統合(以下、「本経営統合」)を、2024年11月を目途として実現するべく、本合意の締結後速やかに協議を開始いたします。なお、現在いなげやはイオンが 17.01%を保有する関連会社であり、U.S.M.Hはイオンが 53.59%(含む間接保有)を保有する連結子会社となっております。また、本経営統合が成立した場合、いなげやは東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる見込です。」
「U.S.M.Hといなげやは提携関係になく、シナジー最大化に向けて十分な協議の時間を確保するため、本経営統合の実現を2024年11月を目途として協議を進めてまいりますが、本経営統合の実現に向けた最初の段階として、すでに提携関係にあるイオンといなげやの資本業務関係を更に強化し、イオングループのデジタル、商品、人財、決済インフラ等のアセットをいなげやが活用する事で速やかにシナジーを発揮できると判断し、イオンは2023 年11月を目途に、いなげやの議決権の51%に相当する数の株式を取得の上限として、いなげやの株式を取得し、いなげやを連結子会社とするための手続を実施する予定です。 なお、具体的な手法及び条件等については今後協議の上決定することとし、決定次第、速やかにお知らせいたします。」
(2)2023年10月6日「イオン株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」と題する文書を「いなげや」が公表しました。
イオンが公開買付けによっていなげやの議決権の51%に相当する数の株式を取得の上限として当社株式を取得することにより、いなげやをイオンの連結子会社とするというものでした。文書には以下のような説明されました。
「当社は、公開買付者より、本公開買付けの概要につき、以下の説明を受けております。 公開買付者は、本日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社の普通株式7,899,000 株(所有割合:17.01%)を直接所有する筆頭株主であり、公開買付者の連結子会社であるU.S.M.Hの完全子会社であるカスミを通じた間接所有分(所有株式数:96,000 株、所有割合:0.21%)(注1)と合わせて当社株式 7,995,000 株(所有割合:17.22%)を所有することにより当社を持分法適用関連会社としております。 (注1)公開買付者は、カスミより、その所有する当社株式(所有株式数:96,000 株、所有割合:0.21%。以下「不応募株式」といいます。)の全てについて、本公開買付けに応募しない意向であることを確認しているとのことです。 公開買付者、当社及びU.S.M.Hは、2023 年4月 25 日付「イオン株式会社、株式会社いなげや、2 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社による「関東における1兆円のSM構想」実現のための経営統合に向けた基本合意書の締結についてのお知らせ」(以下「2023 年4月 25日付プレスリリース」といいます。)において公表のとおり、公開買付者が当社の議決権の51%に相当する数の株式を取得の上限として当社株式を取得することにより当社を公開買付者の連結子会社とした上で、U.S.M.Hと当社との間の経営統合(当社をU.S.M.Hの完全子会社とすることを意味するものとします。以下「本経営統合」といいます。)に関する協議を開始することを前提に、同日、各社において、「関東における1兆円のSM構想」実現のための経営統合に向けた基本合意書(以下「本合意書」といいます。)の締結を決定し、本合意書を締結いたしました。 当社とU.S.M.Hは、本合意書締結時点で提携関係にないことから、本経営統合によるシナジー最大化に向けて十分な協議の時間を確保するため、本経営統合を2024年11月を目途として実現するべく協議を進めることとし、他方、すでに提携関係にある公開買付者と当社は、資本業務関係を更に強化し、公開買付者グループ(「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に定義します。)のデジタル、商品、人財、決済インフラ等のアセットを当社が活用することで速やかにシナジーを発揮できると判断し、今般、公開買付者は、2023年10月6日、本経営統合の実現に向けた最初の段階として、当社を公開買付者の連結子会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)として、東京証券取引所プライム市場に上場している当社株式を、本公開買付けにより取得することを決定したとのことです。なお、公開買付者、当社及びU.S.M.Hは、本合意書において、本経営統合を2024年11月を目途として実現するべく協議を行うことを合意しておりますが、本経営統合を実行するか否か、本経営統合を実行する場合における本経営統合の具体的な手法及び条件等については、いずれも、今後、公開買付者、当社及びU.S.M.Hが協議の上で決定する予定であり、本日現在において未定です。 本公開買付けは、本合意書に従って公開買付者が当社の議決権の 51%に相当する数の株式を取得の上限として当社株式を取得することにより当社を公開買付者の連結子会社とすることを目的とするものであること、及び本公開買付け成立後も引き続き当社株式の上場を維持する方針であることから、本公開買付け成立後の公開買付者の間接所有分を含めた所有割合が過半数となるよう、買付予定数の上限を、本基準株式数(46,435,952株)に100分の51を乗じた株式数の1単元(100株)未満に係る数を切り上げた株式数(23,682,400 株)から、公開買付者が所有する当社株式(7,899,000 株)及び不応募株式(96,000 株)を控除した株式数である 15,687,400 株(所有割合:33.78%)としたとのことです。そのため、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の上限(15,687,400 株)を超える場合は、その超える部分の全部又は一部の買付け等を行わないものとし、法第27条の13第5項及び府令第32条に規定するあん分比例の方式により、株券等の買付け等に係る受渡しその他の決済を行うとのことです。他方、本公開買付けにより売却を希望される当社の株主の皆様に適切な売却機会を提供するとともに、仮に本公開買付けにより当社の連結子会社化に必要な当社株式の数の応募が集まらなかったとしても、本合意書に従って公開買付者が当社の議決権の 51%に相当する数の株式を取得の上限として当社株式を取得することにより当社を公開買付者の連結子会社とするためには、本公開買付けにより公開買付者の所有割合を少しでも高めておくことが望ましいと判断したことから、買付予定数の下限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の上限(15,687,400 株)以下の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。なお、本公開買付けにより公開買付者が当社の議決権の過半数を取得するに至らなかった場合には、公開買付者は、当社の連結子会社化を達成できる方法を再検討する予定とのことです。その具体的な方法については、市場動向に照らし、市場内取得等を含め、当社との間で協議することを予定しているとのことですが、本日現在において、その協議の時期及び具体的な方法のいずれについても未定とのことです。本公開買付け後の当社株式の取得予定については、下記「(5)本公開買付け後の株券等の追加取得予定」をご参照ください。なお、本公開買付けは当社株式の上場廃止を企図するものではなく、公開買付者及び当社は、本公開買付け成立後も当社株式の上場を維持する方針ですが、公開買付者、当社及びU.S.M.Hは、本合意書において当社を公開買付者の連結子会社とした上で、本経営統合を2024年11月を目途として実現するべく協議を行うことを合意しており、本経営統合が成立した場合、当社株式は東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる見込みです。本経営統合を実行するか否か、本経営統合を実行する場合における本経営統合の具体的な手法及び条件等については、いずれも、今後、公開買付者、当社及びU.S.M.Hとの間で協議の上で決定する予定であり、本日現在において未定とのことです。もっとも、本合意書では、公開買付者が当社の議決権の 51%に相当する数の株式を取得の上限として当社株式を取得することにより当社を公開買付者の連結子会社とすることを合意しているため、本公開買付けにおいては、公開買付者の間接所有分を含めた当社株式の所有割合が 51%となるように買付予定数の上限を設けており、また、本公開買付けにより当社の連結子会社化に必要な当社株式の数の応募が集まらなかった場合でも、公開買付者が当社の議決権の 51%に相当する数を超える当社株式を本公開買付け後に取得する予定はないことから、本公開買付け成立後の公開買付者の間接所有分を含めた当社株式の所有割合が 51%を超えることはないとのことです。このため、本経営統合の実行のために、例えば、U.S.M.Hと当社との株式交換の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。)第309 条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされるため、特別決議の成立には、公開買付者以外の当社の株主の皆様のご賛同をいただく必要があるとのことです。また、本経営統合の実行に際しては、当社において、東京証券取引所の有価証券上場規程における「支配株主との重要な取引等に係る遵守事項」に従って、本経営統合にあたって実行する取引が、少数株主にとって不利益なものではないことに関し、公開買付者との間に利害関係を有しない者による意見の入手と必要かつ十分な適時開示が求められることになります。このため、公開買付者においては、本公開買付けの成立後、本経営統合を実行する場合でも、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様にとって、本公開買付けに応募した当社の株主の皆様と比較して不利益な取引を実施することは意図していないとのことで、当社においても同様に意図しておりません。そのため、本公開買付けの成立後、本経営統合を実行する場合には、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)及び本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様の利益にも配慮して本経営統合の具体的な手法及び条件等を検討し、今後、公開買付者、当社及びU.S.M.Hとの間で協議の上で決定する予定です。
(3)2024年4月18日「イオン」「いなげや」「U.S.M.H」は連名して「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社による 株式会社いなげやの完全子会社化に関する株式交換契約及び経営統合契約締結、 これに伴うユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社における 子会社の異動、並びに株式会社いなげやにおける親会社及び主要株主である筆頭株主の異動 に関するお知らせ」と題する文書を公表しました。
「いなげや」と「U.S.M.H」との間で株式交換を行うという内容で具体的方法は以下の様に述べられました。
本株式交換の方式
本株式交換は、U.S.M.Hを株式交換完全親会社、いなげやを株式交換完全子会社とする株式交換です。本株式交換は、U.S.M.Hにおいては 2024 年5月24 日に開催予定の定時株主総会、いなげやにおいては2024年6月26日に開催予定の定時株主総会の決議による本株式交換契約の承認を受けた上で、2024年11月30日を効力発生日として行われる予定です。
本株式交換に係る割当ての内容
いなげや株式1株に対して、U.S.M.H株式1.46株を割当交付いたします。
参考文書(全てweb上にアップされています。)
1.「イオン株式会社、株式会社いなげや、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社による「関東における1兆円のSM構想」実現のための経営統合に向けた基本合意書の締結についてのお知らせ」と題する文書
2.「イオン株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」と題する文書
3.「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社による 株式会社いなげやの完全子会社化に関する株式交換契約及び経営統合契約締結、これに伴うユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社における子会社の異動、並びに株式会社いなげやにおける親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」と題する文書
4.「公正なM&Aの在り方に関する指針」と題する文書
5.「平成28年(許)第4号ないし第20号 株式取得価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成28年7月1日 第一小法廷決定」と題する決定文。
所謂「ジュピターテレコム株式取得価格決定申立事件の最高裁決定」
6.「平成22(許)30株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成23年4月19日最高裁判所第三小法廷決定」と題する文書
所謂「楽天対TBS株式買取価格決定申立事件の最高裁決定」
7.「株式会社CLホールディングスによる株式会社CDGの株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」と題する文書。
8.大東建託株式会社によるハウスコム株式会社の完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ。
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