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今週の『東京歌壇/俳壇』から (東京新聞)
☆いざというときにわたしを守るため白い白い炎を抱いている
大阪府八尾市 瀬戸口祐子
⚫︎青春の一時期 たいていの人は胸にしっかり抱いていたことでしょう レモンのような香りの炎
☆眠い日のゴミ捨て場にはクラゲたちああ海まではすごく遠いな
川崎市 山田香ふみ
⚫︎眠たい朝のおぼろな詠嘆
まるでクラゲみたいな白い袋たちよ でも海まではずいぶん遠いなあと
☆お花見のシートを片付けているときあなたが歌った鼻歌のこと
世田谷区 森本有
⚫︎彼か彼女か さて花の下で何を口ずさんだのでしょう
そのメロディが 今も耳元に残っているんですね
☆時として生死の意識あやふやで明け方母と話した気がする
川口市 むらさめ恵
⚫︎夢うつつ 明け方の不思議な会話
でもお母さんと話せて それは得だったのかもしれません
☆読書時に最も馴染むBGM はブルックナーだと最近気付く
上尾市 清水昇一
⚫︎わかるような気がします 悠揚迫らぬ静謐 ということでしょうか。 でもやがて熱い高みがやってきて 本は静かに置かれるかもしれませんね
☆鳥が運べる種から発芽ののらぼう菜勝手に美味な菜花に育つ
相模原市 関口實
⚫︎いいですねえ のらぼう菜 勝手に育つ 美味しく育つ(おひたしに 天ぷらに)。
鳥が運んできた素晴らしい自然の循環よ
※ のらぼう‐な【のらぼう菜】
アブラナ科の野菜。東京西郊・埼玉などで栽培される。春に収穫され、葉や茎をおひたし・天ぷらなどにする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
☆貴重なる四年に一度の「肉の日」に肉買い忘れ油揚げ食べる
武蔵野市 田島千代
⚫︎このたくまざるユーモアを見よ!
いいじゃないですか日本人 そんじょそこらの肉よりも 閏には伝統のこんこん様であります(笑)
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☆猫の仔の貌引つつりて鳴きにけり
☆踏み当てし落葉隠れの根瘤かな
中川純一 『雪道の交叉』 (朔出版刊)から
⚫︎しわしわのちび猫 たしかにそんなひっつり顔で鳴きますねえ
⚫︎根コブを踏んでおいおいと 秋の杣道気をつけて
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☆寒桜優しき人は苦手なり
大阪市都島区 口竹
⚫︎寒中に凛と咲く やさしい言葉はかえってつらいのだと
☆このうそはついていいうそ風光る
堺市 土居健悟
⚫︎春風そよぐ明るい日に
さてそれは どんなうそなのでしょう あるいは実は それこそがまことなのでしょうか
☆かけ蕎麦に菜の花添うる蕎麦屋かな
越谷市 小田毬藻
⚫︎いいそば屋さんですね 器にも季節が溢れているし
☆海苔以外準備万端海苔炙る
相模原市 遠藤健人
⚫︎さあいくぞ 海苔あぶれ と
気合が入って 美味しいものがもう目の前に
パリッと手巻きでしょうか なんだかお相伴したい宴ですね(笑)
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