THE SUIMYAKU > 記事閲覧

のらぼう菜

1: KZ:2024/03/31 14:51 No.468
今週の『東京歌壇/俳壇』から   (東京新聞)

☆いざというときにわたしを守るため白い白い炎を抱いている
            大阪府八尾市  瀬戸口祐子

⚫︎青春の一時期 たいていの人は胸にしっかり抱いていたことでしょう  レモンのような香りの炎

☆眠い日のゴミ捨て場にはクラゲたちああ海まではすごく遠いな
            川崎市  山田香ふみ

⚫︎眠たい朝のおぼろな詠嘆  
 まるでクラゲみたいな白い袋たちよ  でも海まではずいぶん遠いなあと

☆お花見のシートを片付けているときあなたが歌った鼻歌のこと
            世田谷区  森本有

⚫︎彼か彼女か さて花の下で何を口ずさんだのでしょう
 そのメロディが 今も耳元に残っているんですね

☆時として生死の意識あやふやで明け方母と話した気がする
            川口市  むらさめ恵

⚫︎夢うつつ 明け方の不思議な会話  
 でもお母さんと話せて それは得だったのかもしれません

☆読書時に最も馴染むBGM はブルックナーだと最近気付く
            上尾市  清水昇一

⚫︎わかるような気がします  悠揚迫らぬ静謐 ということでしょうか。  でもやがて熱い高みがやってきて 本は静かに置かれるかもしれませんね

☆鳥が運べる種から発芽ののらぼう菜勝手に美味な菜花に育つ
            相模原市  関口實

⚫︎いいですねえ のらぼう菜   勝手に育つ 美味しく育つ(おひたしに 天ぷらに)。  
 鳥が運んできた素晴らしい自然の循環よ

※ のらぼう‐な【のらぼう菜】
アブラナ科の野菜。東京西郊・埼玉などで栽培される。春に収穫され、葉や茎をおひたし・天ぷらなどにする。
               出典:デジタル大辞泉(小学館)

☆貴重なる四年に一度の「肉の日」に肉買い忘れ油揚げ食べる
            武蔵野市  田島千代

⚫︎このたくまざるユーモアを見よ!
いいじゃないですか日本人  そんじょそこらの肉よりも 閏には伝統のこんこん様であります(笑)

………

☆猫の仔の貌引つつりて鳴きにけり
☆踏み当てし落葉隠れの根瘤かな
            中川純一  『雪道の交叉』 (朔出版刊)から

⚫︎しわしわのちび猫 たしかにそんなひっつり顔で鳴きますねえ
⚫︎根コブを踏んでおいおいと 秋の杣道気をつけて

………

☆寒桜優しき人は苦手なり
            大阪市都島区  口竹

⚫︎寒中に凛と咲く  やさしい言葉はかえってつらいのだと

☆このうそはついていいうそ風光る
            堺市  土居健悟

⚫︎春風そよぐ明るい日に  
 さてそれは どんなうそなのでしょう  あるいは実は それこそがまことなのでしょうか

☆かけ蕎麦に菜の花添うる蕎麦屋かな
            越谷市  小田毬藻

⚫︎いいそば屋さんですね  器にも季節が溢れているし

☆海苔以外準備万端海苔炙る
            相模原市  遠藤健人

⚫︎さあいくぞ 海苔あぶれ と
 気合が入って 美味しいものがもう目の前に
 パリッと手巻きでしょうか  なんだかお相伴したい宴ですね(笑)

………

 


Powered by Rara掲示板