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手をつないだりはなしたり

1: KZ:2024/03/24 15:39 No.466
本日の『東京歌壇/俳壇』から    (東京新聞)

☆相槌をうってくれてる友人の甘栗をむくすごい手さばき
           杉並区  石川真琴

⚫︎あるある(笑)  でもこういう人が 案外しっかり話を聞いてくれてたりするんですよね
皮剥き名人のすごさが目に見えるようです。

☆野良猫の頭の骨の小さきを知った右手が魚をさばく
           新座市  睦月くらげ

⚫︎愛翫したり捌いたり… ひとの右手はいそがしい。輪廻のようにいそがしい。

☆寝返りもうてない妻が明日退院介護離職がはりつく寒夜
           東大和市  温泉川清志

⚫︎そんな状態で患者を寒い家に追い返す… この国の医療制度の明らかな欠陥でしょう
なんとかせい 岸田っ!

☆ためらいなく眠りたいとき抱きしめる夏のたたみのにおいの犬を
           町田市  薄暑なつ

⚫︎下の句 のの字の連発がみごとな効果
 ぎゅっと抱きしめるのは どんなやさしい犬なのでしょうか

☆「おじいちゃんの餃子が好き」と言われれば半日がかりで百個に励む
            相模原市  関口實

⚫︎よくわかります  ついついじじばか発揮  なんですね
 とても美味しい餃子なのでしょう  明日は少し腕が張っているかも(笑)

☆草を取る私の傍に尉鶲(じょうびたき)一人でないよと何時迄もいる
            厚木市  花上尚江

⚫︎こぼれた草の実を鳥さんも食べたいのでしょうか
庭でずっと一緒に仕事をする 優しい光景です

………

☆嬬恋の光集めし馬上盃あふれる想ひ戻す術なし
            涌井ひろみ  『友は司書』(ふらんす堂刊)から

⚫︎日本武尊伝説を借りた強烈なロマンティシズム  下の句  そこにあふれる想いは 尋常を超えて切ない

☆精霊を娶(めと)ってみればみな微熱
            高橋比呂子  『風果』 (現代俳句協会刊)から

⚫︎ピーターパンみたいに楽しい句ですが…  ほんとはどんな恋も どこか微熱みたいなものかもしれませんね

………

☆山笑う手をつないだりはなしたり
            堺市  土居健悟

⚫︎明るい芽吹きのなかで ついたり離れたりする二つのこころ   

※山笑う
《「臥遊録」の「春山淡冶 (たんや) として笑うが如し」から》春の山の草木が一斉に若芽を吹いて、明るい感じになるようすをいう。《季 春》「故郷やどちらを見ても—・ふ/子規」       
(デジタル大辞泉)

☆震はせる鳥は見えねど梅の花
             東京都大島町  大村森美

⚫︎隠れた小さな子が しっかりと蜜を吸っているんですよね  
 これぞ春

☆亡き妻の魔法の杖を突けば春
             杉並区  土方けんじ

⚫︎この世に春さえも呼び起こす魔法の杖 
 さすが天の奥さんの力(パワー)

☆バス停のすぐ近くまで野焼跡
             川崎市多摩区  久保田秀司

⚫︎こんな所まで という新鮮な驚き  黒い焦げ跡 春近し

☆たんぽぽに搾乳(さくにゅう)の乳ほとばしる
             茅ヶ崎市  清水呑舟

⚫︎世は春めいて 乳の出も滑らかになるのでしょうか
 柔らかな若葉に 真っ白な乳の流れ

☆春嵐車道でレゲエ踊る人
             横須賀市  尾崎ひろこ

⚫︎さすが横須賀!  強い春風が通りを吹き抜けて 
 こころも身体もたまらずに跳ね動く  歩道を超えて跳ね動く

☆うららかに鼻毛伸ばして老いにけり
             神奈川県大和市   今関十三里

⚫︎うららかに と平明に呟く心境がいいですね
 かように 悠々と歳を取りたいものですが(笑)

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