投稿者:KZ
本日の『東京歌壇/俳壇』から (東京新聞)
☆相槌をうってくれてる友人の甘栗をむくすごい手さばき
杉並区 石川真琴
⚫︎あるある(笑) でもこういう人が 案外しっかり話を聞いてくれてたりするんですよね
皮剥き名人のすごさが目に見えるようです。
☆野良猫の頭の骨の小さきを知った右手が魚をさばく
新座市 睦月くらげ
⚫︎愛翫したり捌いたり… ひとの右手はいそがしい。輪廻のようにいそがしい。
☆寝返りもうてない妻が明日退院介護離職がはりつく寒夜
東大和市 温泉川清志
⚫︎そんな状態で患者を寒い家に追い返す… この国の医療制度の明らかな欠陥でしょう
なんとかせい 岸田っ!
☆ためらいなく眠りたいとき抱きしめる夏のたたみのにおいの犬を
町田市 薄暑なつ
⚫︎下の句 のの字の連発がみごとな効果
ぎゅっと抱きしめるのは どんなやさしい犬なのでしょうか
☆「おじいちゃんの餃子が好き」と言われれば半日がかりで百個に励む
相模原市 関口實
⚫︎よくわかります ついついじじばか発揮 なんですね
とても美味しい餃子なのでしょう 明日は少し腕が張っているかも(笑)
☆草を取る私の傍に尉鶲(じょうびたき)一人でないよと何時迄もいる
厚木市 花上尚江
⚫︎こぼれた草の実を鳥さんも食べたいのでしょうか
庭でずっと一緒に仕事をする 優しい光景です
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☆嬬恋の光集めし馬上盃あふれる想ひ戻す術なし
涌井ひろみ 『友は司書』(ふらんす堂刊)から
⚫︎日本武尊伝説を借りた強烈なロマンティシズム 下の句 そこにあふれる想いは 尋常を超えて切ない
☆精霊を娶(めと)ってみればみな微熱
高橋比呂子 『風果』 (現代俳句協会刊)から
⚫︎ピーターパンみたいに楽しい句ですが… ほんとはどんな恋も どこか微熱みたいなものかもしれませんね
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☆山笑う手をつないだりはなしたり
堺市 土居健悟
⚫︎明るい芽吹きのなかで ついたり離れたりする二つのこころ
※山笑う
《「臥遊録」の「春山淡冶 (たんや) として笑うが如し」から》春の山の草木が一斉に若芽を吹いて、明るい感じになるようすをいう。《季 春》「故郷やどちらを見ても—・ふ/子規」
(デジタル大辞泉)
☆震はせる鳥は見えねど梅の花
東京都大島町 大村森美
⚫︎隠れた小さな子が しっかりと蜜を吸っているんですよね
これぞ春
☆亡き妻の魔法の杖を突けば春
杉並区 土方けんじ
⚫︎この世に春さえも呼び起こす魔法の杖
さすが天の奥さんの力(パワー)
☆バス停のすぐ近くまで野焼跡
川崎市多摩区 久保田秀司
⚫︎こんな所まで という新鮮な驚き 黒い焦げ跡 春近し
☆たんぽぽに搾乳(さくにゅう)の乳ほとばしる
茅ヶ崎市 清水呑舟
⚫︎世は春めいて 乳の出も滑らかになるのでしょうか
柔らかな若葉に 真っ白な乳の流れ
☆春嵐車道でレゲエ踊る人
横須賀市 尾崎ひろこ
⚫︎さすが横須賀! 強い春風が通りを吹き抜けて
こころも身体もたまらずに跳ね動く 歩道を超えて跳ね動く
☆うららかに鼻毛伸ばして老いにけり
神奈川県大和市 今関十三里
⚫︎うららかに と平明に呟く心境がいいですね
かように 悠々と歳を取りたいものですが(笑)
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