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うどんを食うて

1: KZ:2024/01/14 14:43 No.432
今日の『東京歌壇/俳壇』から  (東京新聞)


☆幾千のドアの向こうにひらくドア不眠の夜にとり残されて
             札幌市  鈴木精良

⚫︎不眠の焦燥  他人にはわからないつらいドアなんですよね  いっそ朝まで起きちゃいましょうか
(取り残されるのは ほんとは死の恐怖に近いのかもしれない)

☆口にはりつく髪を避け冬の海、一度来たかったんだとわらう
             川崎市  黒須佑季

⚫︎寒風の吹きつける真冬の海  もう泣き笑いかな 
でも どこか可愛い光景ですね

☆流暢に弱音を話すきみといてまだ浅瀬だと気づいてしまう
             八王子市  吉村のぞみ

⚫︎そうか  ほんとの弱さなら もっと小さな(深い)声で打ちあけるだろうなあと
こころの〈機微〉を詠う秀歌

☆路地裏の夜をはじいて傘のなか通りに出るまで無言でつづく
             町田市  薄暑なつ

⚫︎今週はこの演歌を添えたいと思います
 追悼 八代亜紀

https://www.uta-net.com/movie/3446/

☆線路越しの公園の公孫樹輝けりあちらは今日は光の国だ
             中野区  もろ・はこび

⚫︎こちらはまだ影の中でしょうか  線路向こうの光の国が 際立って浮かんで来ます

☆古希近し免許更新最後かもせめて写真は明るいシャツで
             八王子市  長岡博之

⚫︎勢いのある下の句がいいですね 
 どうぞ素敵なシャツできめてください

………

☆目に見えぬ星を心にクリスマス
             北名古屋市  月城龍二

⚫︎どんな飾りつけより ほんとうの星はそこにあるのでしょうね

☆干大根みなが貧しき頃のあり
             松戸市  早坂哲夫

⚫︎弁当のおかずが沢庵と梅干しだけだった という懐かしい時代ですね   でも腹が減って、どか弁のタクアン 美味しかったですね

☆声かけず妻は外出(そとで)す日向ぼこ
              下妻市  神郡貢

⚫︎残されてひとり縁側で という句でしょうか  まあこれはこれで ポカポカしてよろしいかとも

☆ボロ市や明日無き老いも買い叩く
              東大和市  温泉川清志

⚫︎売り買いの 阿吽のせめぎ合いが また楽しいんでしょうね  この際老若は問わず ですね

☆注連(しめ)作る父の手藁の匂いけり
              東久留米市  高橋澄子

⚫︎注連縄作りの手仕事も藁の匂いも 今は遠くなりました。  でも暖かくて思わず眠くなるような ほんとに良い匂いでした。


☆ポインセチアとポテトサンドとハムサンド
              渋谷区  羽生邑子

⚫︎これに美味しい紅茶があれば 他にはなにもいらない!
時代は変わる  連れて人々の暮らしも想いも遷る。
以前なら ここに詩が生まれるとはとても思えなかったはずですね

☆小春日をうどんを食うて別れけり
              国立市  加藤正文

⚫︎小春日 うどん 小さな別れ   ニュアンスが一気通貫して しぶい良い句が生まれました。 そばでもパスタでもない ここはうどんのさようならなんですね

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今は仙台の郊外に住む畏友(旭雲氏)の書です。先日送られて来ました。
 
心を論ずるに酒一樽

⚫︎飲み過ぎに注意 と返信する予定です(笑)

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