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耐震設計 ⇒ 許容応力度設計とは。その欠点とは。 ( No.260 )
日時: 2017年11月24日 10:39
名前: 小心者 [ 返信 ]
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1.~20
この許容応力度設計は、どこから生まれたのでしょうか。

・1920年(T9年)市街地建築物法施行規則(T9年内務省令第37号)において、構造設計法として許容応力度設計法が採用され、自重と積載荷重による鉛直力にたいする構造強度を要求。ただし、この時点で地震力に関する規定は設けられていない。
・1923年(T12年)9月1日 - 大正関東地震(関東大震災)発生。
・1924年(T13年) - 市街地建築物法施行規則改正。許容応力度設計において、材料の安全率を3倍とし、地震力は水平震度0.1を要求
・1950年(S25年)11月23日 - 市街地建築物法廃止、建築基準法施行(旧耐震)。具体的な耐震基準は建築基準法施行令(S25年政令338号)に規定された。許容応力度設計における地震力を水平震度0.2に引き上げた
・1968年(S43年)5月16日 - 1968年十勝沖地震発生。
・1971年(S46年)6月17日 - 建築基準法施行令改正。十勝沖地震の被害を踏まえ、RC造の帯筋の基準を強化した。
・1978年(S53年)6月12日 - 宮城県沖地震発生。
・1981年(S56年)6月1日 - 建築基準法施行令改正(新耐震)。一次設計、二次設計の概念が導入された。
・1995年(H7年)1月17日 - 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)発生。
・2000年(H12年)6月1日 - 建築基準法及び同施行令改正。性能規定の概念が導入され、構造計算法として従来の許容応力度等計算に加え、限界耐力計算法が認められる。

この許容応力度設計はわかりやすく、構造設計者にとっては便利な設計法ですが、この設計法には欠点はないのでしょうか。
許容応力度設計に欠点があるとすれば、建物の耐震設計は、どのように考えるべきなのでしょうか。


〔静的震度法〕

許容応力度設計のもともとの考え方は、静的震度法という耐震設計法から生まれました。

静的震度法は、建物重量(W)の何割かの重さ(kW)が水平力(つまり地震力)として作用するというものです。

この割合(k)を水平震度と呼んでいます。

建物重量(W)は建物の質量(m)と重力加速度(g)の積で与えられます。

言い換えれば、建物の質量は建物重量を重力加速度で割ったものです。

慣性力は質量(m)と加速度(a)の積ですから、水平外力(P)は、P=a/g × Wで表されます。

ここで、k=a/gとおくと、P=kWとなります。つまり、水平震度は、重力加速度に対する建物の最大応答加速度の比を表しています



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Re: 耐震設計 ⇒ 許容応力度設計とは。その欠点とは。 ( No.261 )
日時: 2017年11月24日 10:42
名前: 小心者 [ 返信 ]
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2.〔関東大地震の地震力〕


関東大地震(大正12年、1923)では、地動の最大加速度が0.3Gであると言われています(実際の計測記録はなく、当時の偉い学者が決めたということのようですが)。

そうすると、水平震度は、k=0.3ということになります。



Re: 耐震設計 ⇒ 許容応力度設計とは。その欠点とは。 ( No.263 )
日時: 2017年11月24日 10:44
名前: 小心者 [ 返信 ]
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3.〔材料の破壊強度〕


従って、関東大震災の地動の最大加速度を0.3Gと考え、この極めて大きい地震動に対して、建物の主要構造部材は、その破壊強度を超えないように設計してやれば良いということになります。



Re: 耐震設計 ⇒ 許容応力度設計とは。その欠点とは。 ( No.264 )
日時: 2017年11月24日 10:46
名前: 小心者 [ 返信 ]
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4.〔しかし、関東大地震級の地震はめったに襲来しないので、〕


関東大震災のような非常に大きな地震は頻繁には起きません。そこで、比較的頻繁に起きるであろう地震動を関東大地震動の3分の1と考えて、設計することにしました。

つまり3分の1の大きさの地震動に対して、主要部材の応力は、その破壊強度の3分の1を超えないように設計すればよいことになります

関東大地震動の3分の1の大きさは、水平震度では0.1になります。これは後に、0.2に引き上げられました(1950年建築基準法施行(旧耐震)にて)。また、現在では、水平震度のことを標準層せん断力係数と呼んでいます。



Re: 耐震設計 ⇒ 許容応力度設計とは。その欠点とは。 ( No.265 )
日時: 2017年11月24日 10:49
名前: 小心者 [ 返信 ]
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5.〔材料の許容応力度〕


一方、破壊強度の3分の1の応力度のことを許容応力度と呼んでいます(現在の許容応力度は法令や規準書で細かく決められています)。

すなわち、許容応力度設計とは、部材(はりや柱)の(最大曲げモーメントや最大せん断力を生じる)危険断面での最大応力度が材料の許容応力度を超えないように設計するという手法なのです。



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