映画同好会
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真昼の決闘
組長 投稿日:2021年08月29日 11:34 No.163
《ゲイリー・クーパー扮する保安官が4人の無法者にたった1人で立ち向かう姿をリアルな描写で描き、1953年・第25回アカデミー賞で主演男優賞など4部門を受賞した傑作西部劇。
ジョン・W・カニンガムの短編小説を基に「戦場にかける橋」のカール・フォアマンが脚色を手がけ、「地上より永遠に」などの名匠フレッド・ジンネマンがメガホンをとった。
1870年、西部の小さな町ハドリービル。
保安官ウィルは結婚を機に退職し、町を出ようと考えていた。
そんな彼の元に、かつて逮捕した無法者ミラーが釈放され、仲間を引き連れて復讐にやって来るという急報が届く。
ウィルは町の人々に加勢を頼むが、誰もがミラーを恐れ協力を拒否。
ウィルはたった1人で4人を相手に戦うことを決意する。
ヒロイン役には当時ほぼ無名だったグレイス・ケリーが抜てきされ、一躍注目を集めた。》

映画館では初見です。

いわゆる娯楽西部劇の対極に位置する作品で、西部劇ファンには不評ですが、映画ファンは大絶賛の作品です。
西部劇の形を借りた、社会派劇です。

なぜ、誰も保安官に協力しないのか。

・恐怖・怯懦
・力不足
・家族
この辺りは普通です。

しかし、それだけじゃないのが本作の凄いところです。
・暴力反対
・保安官の仕事
・悪党支配のときのほうが儲かる
・町の評判下落
・長いものには巻かれる

ということで、町から追放する結論になります。

正義のために戦うというのは、庶民には迷惑でもあるのです。
でも、それではだめだというのが、米映画だったはずです。
そんな米国(=ハドリービル)への痛烈な批判です。
救いのないラストが衝撃的です。
こんな終わり方の西部劇はなかったのです。

「赤狩り」真っ只中の本作は、アカデミー作品賞はとれませんでした。
受賞したのは「地上最大のショウ」で、アカデミー賞の汚点といわれております。

もうひとつ、本作はリアルタイム映画の稀有な傑作でもあります。
映画の時間の経過が、上映時間とほとんど一致しているわけです。
ちょうどその時間に公開した映画館もあったようです。
粋な計らいですね。

グレイス・ケリーが超絶綺麗です。
実は、町民が協力しなかったのは、ゲイリー・クーパーへの嫉妬だったりして。

ゲイリー・クーパーは身体もボロボロで、本作は起死回生の一作でした。
見事アカデミー賞を受賞しましたが、あの脂汗は演技じゃなかったそうです。

全く無駄のない、見事な作品です。

1952年。84分。大阪ステーションシティシネマ。3.7。




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