投稿画像
投稿者:組長
《ゲイリー・クーパー扮する保安官が4人の無法者にたった1人で立ち向かう姿をリアルな描写で描き、1953年・第25回アカデミー賞で主演男優賞など4部門を受賞した傑作西部劇。 ジョン・W・カニンガムの短編小説を基に「戦場にかける橋」のカール・フォアマンが脚色を手がけ、「地上より永遠に」などの名匠フレッド・ジンネマンがメガホンをとった。 1870年、西部の小さな町ハドリービル。 保安官ウィルは結婚を機に退職し、町を出ようと考えていた。 そんな彼の元に、かつて逮捕した無法者ミラーが釈放され、仲間を引き連れて復讐にやって来るという急報が届く。 ウィルは町の人々に加勢を頼むが、誰もがミラーを恐れ協力を拒否。 ウィルはたった1人で4人を相手に戦うことを決意する。 ヒロイン役には当時ほぼ無名だったグレイス・ケリーが抜てきされ、一躍注目を集めた。》 映画館では初見です。 いわゆる娯楽西部劇の対極に位置する作品で、西部劇ファンには不評ですが、映画ファンは大絶賛の作品です。 西部劇の形を借りた、社会派劇です。 なぜ、誰も保安官に協力しないのか。 ・恐怖・怯懦 ・力不足 ・家族 この辺りは普通です。 しかし、それだけじゃないのが本作の凄いところです。 ・暴力反対 ・保安官の仕事 ・悪党支配のときのほうが儲かる ・町の評判下落 ・長いものには巻かれる ということで、町から追放する結論になります。 正義のために戦うというのは、庶民には迷惑でもあるのです。 でも、それではだめだというのが、米映画だったはずです。 そんな米国(=ハドリービル)への痛烈な批判です。 救いのないラストが衝撃的です。 こんな終わり方の西部劇はなかったのです。 「赤狩り」真っ只中の本作は、アカデミー作品賞はとれませんでした。 受賞したのは「地上最大のショウ」で、アカデミー賞の汚点といわれております。 もうひとつ、本作はリアルタイム映画の稀有な傑作でもあります。 映画の時間の経過が、上映時間とほとんど一致しているわけです。 ちょうどその時間に公開した映画館もあったようです。 粋な計らいですね。 グレイス・ケリーが超絶綺麗です。 実は、町民が協力しなかったのは、ゲイリー・クーパーへの嫉妬だったりして。 ゲイリー・クーパーは身体もボロボロで、本作は起死回生の一作でした。 見事アカデミー賞を受賞しましたが、あの脂汗は演技じゃなかったそうです。 全く無駄のない、見事な作品です。 1952年。84分。大阪ステーションシティシネマ。3.7。
投稿記事
画像を拡大