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ゴッドファーザー
フランシス・フォード・コッポラ 投稿日:2018年10月05日 18:37 No.61


ゴッドファーザー(米国) 1972年 全米興行収入ランキング1位

1947年マフィアのドン、ヴィトー・コルレオーネの屋敷内で末娘コニーの結婚式が行われた。コルレオーネ家の一族、「ファミリー」と呼ばれるマフィアの組織の面々ら総勢数百人が会す壮大な挙式だった。邸内の、ブラインドが下ろされた書斎で、タキシード姿の右胸に血のような真っ赤な薔薇を刺したヴィトーが、訪ねてきた友人の嘆願に耳を傾けていた。自分をすがってくる者には愛と権力、知力で十分に報じた。それがゴッドファーザー(名付け親)としての義務、尊厳であった。対立するブルーノ・タッタリアの息のかかった麻薬の売人ソロッツォが取引の話を持ちかけてきた。ヴィトーは丁重に断ったが、やがてソロッツォは暗殺計画を企てる…。第二次大戦から復員したマイケルは父親の暗殺未遂に強い憤りと怒りを憶え、マフィア社会に身を投じていくのだった…

監督 フランシス・フォード・コッポラ
脚本 マリオ・プーゾ 、フランシス・フォード・コッポラ
音楽 ニーノ・ロータ
主演 マーロン・ブランド(ドン・ヴィトー・コルレオーネ)
原作 マリオ・プーゾ『ゴッドファーザー』


登場人物

ドン・ヴィトー・コルレオーネ: 1891年、シチリア生まれ。イタリア系ギャング・マフィアのコルレオーネ家の家長。
ソニー: ヴィトー・コルレオーネの長男。少々短気な性格故に暴力沙汰が絶えず、女癖が悪い。
フレド: ヴィトー・コルレオーネの次男。性根は優しいが、気が弱く胆力に欠ける。
マイケル: ヴィトー・コルレオーネの三男。大学を中退して海兵隊に従軍、第二次世界大戦の英雄として復員した。
コニー: ヴィトー・コルレオーネの末娘。兄ソニーの紹介でカルロ・リッツィと知り合い、彼と恋仲になる。
トム・ヘイゲン: コルレオーネ家専属の弁護士。両親を失い孤児となっていたところをソニーに連れて来られ、以来コルレオーネ家で成長した。
ケイ・アダムス: マイケルのダートマス大学での学友でありガールフレンド。

ルカ・ブラージ: コルレオーネ家の殺し屋。脅しや仕事には容赦はない。頭の回転は良くない。
クレメンザ: ファミリー古参の幹部で忠臣。
ポーリー: クレメンザの右腕の幹部候補。
テッシオ: ファミリー古参の幹部。
カルロ: コニーの夫。男前だが放蕩的な性格から信頼されず、ファミリーの中枢の仕事に関わることは許されていない。

トマシーノ: シチリアマフィアのドンでヴィトーの友人。

タッタリア: タッタリア・ファミリーのドン。ニューヨーク五大ファミリーの一角。
ソロッツォ: 麻薬密売人。コルレオーネ一家に麻薬ビジネスへの協力を持ち掛ける。
マクラスキー警部: ニューヨーク市警の汚職警官。ソロッツォと結託している。
バルジーニ: ニューヨーク五大ファミリーの一つであるバルジーニ・ファミリーのドン。

モー・グリーン: ラスベガスでカジノ・ホテルを経営するユダヤ人。


【起】
1945年、アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク。

イタリア系アメリカ人のドン・ヴィトー・コルレオーネの屋敷では、娘のコニーの結婚式が盛大に執り行われていました。
屋敷の中の書斎では、花嫁の父であるヴィトー・コルレオーネが、やってきた人たちの話を聞いています。

ヴィトー・コルレオーネは、その地域一帯を仕切るボスでした。名付け親(ゴッドファーザー)として、みんなに親しまれています。
表向きはオリーブ油の輸入会社を経営するヴィトーは、もう1つの顔を持っていました。
それは、裏社会でニューヨークを取り仕切る、マフィアのボスというものです。

葬儀屋のボナセーラがヴィトーに、娘を襲った惨劇を訴えます。
娘が若者たちにドライブに連れて行かれ、暴行を受けました。娘は顎を砕かれる重傷を負ったのですが、男たちの判決は懲役3年で、執行猶予の身です。
ボナセーラは「娘の仇を討ってほしい。殺してほしい」とヴィトーに訴えますが、ヴィトーはボナセーラがずっと自分と疎遠にしていたことを指摘しました。
ボナセーラは金で解決しようとしますが、それもヴィトーは気に入りません。
「友情もなく、ゴッドファーザーとも呼ばず」「君が友達として来るならば(受けよう)」と答えました。
ボナセーラが謝罪をすると、ヴィトーは快くボナセーラの頼みを受けます。しかし何かあった折には、頼りにすると添えました。
ボナセーラの娘に乱暴を働いた若者への報復は、クレメンザに割り振ります。
ヴィトーはその後も、人々の頼みごとを聞いていました。

三男のマイケルは、恋人のケイを連れて式に現れます。
ケイは、マイケルの家の事情を知らずにいました。
有名な歌手のジョニーがカリフォルニアから駆け付けて、式典で歌を披露するのを見たケイは、コルレオーネ家のことを知りたがります。
マイケルは「ジョニーは2年前に契約のトラブルを起こした。ジョニーが1万ドルで解決しようとするのを、父がルカを連れて出かけると、1時間でことを納めた。しかも、たった1000ドルで解決した」と言い、案に裏稼業であることを示唆します。

ケイが今まで知らなかったのには、マイケルが父の仕事に、一切関わっていなかったからです。
長男・ソニー、次男・フレドは組織の幹部ですし、トムは相談役をしていますが、マイケルだけは「堅気」でした。
マイケルにだけは、表の世界で過ごしてもらいたいと、ヴィトーは強く望んでいます。

ジョニーは歌を披露した後、ヴィトーのところへ行って嘆きました。
ジョニーは出たい映画があるのですが、ウォルツ監督に嫌われていて出演できないと言います。
ヴィトーはジョニーにビンタをすると、叱咤激励し、「ちゃんと食べてよく休めば、役につける」と暗に任せろという示唆をしました。
トムに映画監督の件を任せます。

その後ヴィトーは娘のコニーと、ダンスをしました。
出席した人たちは、それをみんな笑顔で見守ります。
最後にファミリーで記念撮影をしました。

【承】
カリフォルニア州。
ウォルツ・インターナショナル映画会社のウォルツ監督のところに、トムが交渉に行きました。
作品にジョニーを出せとトムが言いますが、ウォルツ監督は撥ねつけます。
役柄だけをみると、ジョニーは適役でした。
ところがジョニーは、ウォルツ監督が5年も抱えた金の卵の女優にちょっかいを出して、女優を駄目にしていたのです。それでウォルツ監督は怒っていました。
トムは黙って監督の言い分を聞いて、去ります。

翌朝。
ウォルツ監督がベッドで目覚めると、シーツが血まみれでした。
足元に愛馬の首が転がっており、ウォルツ監督は絶叫します。
その後、ジョニーは役職を手にしました。


1947年。
麻薬を商売にする男・ソロッツォが、ニューヨークで勢力の強いヴィトーに声をかけます。
ソロッツォはシチリアでヘロインを精製し、稼いでいました。またタッタリア・ファミリーが背後にいます。
ヴィトーは政治家や政界に、多くのツテがありました。ソロッツォは有利にことを運ぶためにヴィトーを仲間に引き入れようと考えましたが、麻薬を嫌うヴィトーは断ります。

同時にヴィトーは部下のルカに、タッタリア・ファミリーを調べろと命令しました。
ルカはタッタリア・ファミリーのところへ行きますが、ソロッツォと机に向かって話をしている最中、ナイフでてのひらを刺され、首を絞められて殺されます。


クリスマスの時期。
ヴィトーの外出の際、トムはタッタリア・ファミリーに足止めを食らいます。
護衛のポーリは、体調が悪いと言いました。
ヴィトーがひとりで果物屋を見ている時に、襲撃に遭って撃たれます。
(ポーリは体調不良を言い訳にして、車に先に戻った。つまり襲撃を知っていた、スパイである可能性が高いことを意味している)

ヴィトーは一命を取り留めましたが、重傷を負って病院に担ぎ込まれます。
マイケルは恋人のケイとデートしている時に、街頭のスタンドで売られている新聞記事を見て、父が襲撃されたことを知りました。慌てて公衆電話から、自宅へ電話を入れます。
重傷だと聞いたマイケルは、帰宅しました。

足止めされたトムは、タッタリア側から「ソニーと手を打ちたい(和解したい)」という申し出を持ち帰ります。長男のソニーは父と異なり、麻薬に対して前向きでした。
その後タッタリア側は、ヴィトーが死んでいないことを知ります。

コルレオーネ家の玄関先に魚が置かれました。暗にヴィトーの部下のルカが殺され、海の底に沈めたことを示しています。
長男のソニーが父のヴィトーの代理を務めますが、ソニーは抗争をする気です。
裏切ったと思しきポーリは、ロコが許した振りをして、途中で処刑しました。

マイケルは父の病院へ行きますが、なぜか無人になっているのをいぶかしみます。
見張りの者や病院の人たちもいないのを見たマイケルは、父が狙われていると感じました。
すぐに自宅へ連絡を入れて、護衛を寄越すよう命じます。
たまたまやってきた女性看護師を招き、一緒にベッドを移動させて病室を替えるよう頼みます。
見舞いに来たパン屋のエンツォにも頼み、マイケルと共に病院の前に立って、銃を持っている振りをさせました。
怪しい車が病院へやってきましたが、マイケルとエンツォの人影があるのを見て去ります。
しばらくするとコルレオーネ家の護衛がやってきました。


長男のソニーが、タッタリアの二代目を殺しました。ソニーの軽挙妄動をトムが怒りますが、すでに遅い状態です。
刑事たちは、タッタリア側に買収されていました。マクラスキー警部がその筆頭です。

【転】
形勢がよくないと感じたソロッツォは、マクラスキー警部立ち会いのもと、コルレオーネ家のなかで唯一堅気であるマイケルに、交渉に来るよう命じます。
マイケルはその場を利用して、ソロッツォへの復讐を考えました。
ボディチェックされることは必至なので、大至急、交渉の場に銃を隠しておくように指示します。

マクラスキー警部の部下から知らせが入り、交渉の場所が『ルイズ』のレストランだと判明しました。
マイケルはクレメンザに銃を隠しておくよう指示し、トムはマスコミ操作を練ります。
迎えの車に乗ったマイケルは、予想した通り、車中でボディチェックを受けました。
さらに車は尾行をまくため、一旦ニュージャージー州へ行くと見せかけ、Uターンします。
『ルイズ』のレストランへ行ったマイケルは、トイレに立ち、銃を手に入れるとソロッツォとマクラスキー警部を銃殺し、その場をすばやく立ち去りました。

当初は「警官殺し」という見出しが躍りますが、トムのマスコミ操作が功を奏し、やがて「警部が麻薬組織と関係」という暴露がなされ、次第に警察側を糾弾する動きが始まります。
その後も抗争は3か月に及びました。


ソロッツォを射殺したマイケルは、父の故郷であるイタリア・シチリア島へ身を寄せます。
マイケルはその土地で、美しい女性・アポロニアにひとめぼれをしました。
(ケイを愛している気持ちに変わりはないが、ほとぼりが冷めるまで島で潜伏を余儀なくされたマイケルは、最低でも1年はその土地にいなければならないと言われていた。
いつアメリカに戻れるか分からないマイケルは、ケイと結婚できるかどうかすら分からない。
そのため、一度はケイへの思いをあきらめたのだと思われる)

アポロニアのほうも、マイケルにひとめぼれをします。
父親に結婚したい旨を申し入れたマイケルは、アポロニアと順調な交際を重ね、すぐに結婚しました。
アポロニアとの結婚生活は、しかし長くは続きません。
ファブリツィオの裏切りにより仕掛けられた自動車の爆弾で、アポロニアは亡くなりました。
短い結婚生活ですが、アポロニアの存在はマイケルにとって、強い印象を残します。


その頃ニューヨークでも、事態は激動していました。
結婚した妹・コニーが、夫のカルロに暴力を振るわれます。
長男のソニーがカルロに怒り、「今度妹を殴ったら殺す」とカルロを殴りました。
コニーは妊婦でしたが、カルロは容赦なく暴力を振るいます。
(カルロはコニーと結婚したが、ファミリーの要となる仕事を任されなかった。それがカルロにとって、最も不満だったと思われる。
単に不仲で暴力を振るうだけだったのだが、「今度妹を殴ったら殺す」=「ソニーが来る」を逆手に取り、裏切りに走らせた)

暴力を振るわれたコニーは、兄のソニーに助けを求めました。
怒ったソニーはトムを置いてすぐに出かけ(短気だから)、料金所で狙われて蜂の巣にされます。
父のドンは長男の死を嘆き、これ以上犠牲者を出すまいと考えました。
退院して静養中だったドンは、5大ファミリーを招集するよう命じます。
葬儀屋のボナセーラに電話をしたヴィトーは、息子・ソニーの死体を綺麗にしてくれと頼みました。


ニューヨークの5大ファミリーが顔をそろえます。
ドン・バルジーニ、ブロンクスのカーメン・クネオ、ブルックリンのフィリップ・タッタリア、スタテン島のビクター・ストラキ、それとドンの5人です。
他地域の諸兄も呼んだヴィトーは、メンバーの前でタッタリアと和解したい旨を告げました。

【結】
ヴィトーが政治家を抱き込んでいる不満をタッタリアが口にし、ドンは条件付きで保護を与えます。
その代わりにヴィトーは、ソロッツォの殺害に関わった三男・マイケルの安全を、強調しました。事故だろうが何だろうが、もしマイケルが不慮の死を遂げるようなことがあれば、自分は絶対に許さないと豪語します。
こうして、タッタリアとヴィトーは和解しました。

ヴィトーはタッタリアが小物だと見抜きます。
裏で糸を引いている人物がいると気付いたヴィトーは、黒幕がドン・バルジーニだと当たりをつけました。


ヴィトーとタッタリアが和解したことで、マイケルはアメリカに呼び戻されます。

マイケルはヴィトーの手伝いをしながら、恋人・ケイに会いに行き、結婚してくれとプロポーズしました。
1年以上も音信不通であったことを恨みながら、ケイは申し出を受けます。


…半年後。
マイケルはヴィトーの跡を継いで、ボスになりました。
ドンは、三男のマイケルにだけは継がせたくないと思っていただけに、胸中は複雑です。
(次男のフレドは残念ながら、ボスになるだけの器ではない)
マイケルは拠点をニューヨークから、ネバダ州南部のラスベガスへ移そうと考えました。
ラスベガスではカジノが盛んで、その収益を狙ったのです。

マイケルは、ラスベガスのカジノ・ホテルを経営しているモー・グリーンに眼をつけました。
マイケルはわざとモー・グリーンに無理難題を吹っ掛け、怒ったモー・グリーンはフレドを殴ります。
(殴らせることも計算のうちだった)


引退したヴィトーは、マイケルの息子・アンソニーの成長を見守るよき祖父でした。
3歳になった孫・マイケルを見守りながら、ヴィトーはマイケルに「お前には、させたくなかった」と洩らします。
これからの時代、裏社会で幅をきかせるのではなく、表に出て人を操るべきだと言ったヴィトーは、マイケルに知事や議員になってほしかったと言いました。
ヴィトーはマイケルに「バルジーニとの会見の話を持ってくる奴は、裏切り者だ」とアドバイスします。

その後、ヴィトーは孫のアンソニーを庭の一角のトマト畑で遊ばせている最中に、心筋梗塞で倒れて他界します。
(日本風で言うと「畳の上で死ぬ」感じ。抗争などで死ぬわけではない、穏やかな死)
ドンの葬儀は派手に行なわれました。

父親が他界したマイケルは、その席で「バルジーニが会談を望んでいる」と聞かされます。
その話を持ってきたのは、幹部のテシオでした。父・ヴィトーから「話を持ってくる奴が裏切り者」と聞かされていたマイケルは、テシオが裏切り者だと気付きます。


コニーの息子の洗礼式の日、マイケルは大胆な暗殺計画を決行しました。他の4大ファミリーを一斉に叩く戦法です。
タッタリアは愛人と一緒のベッドで、バルジーニは散髪中に、クレオは回転扉に閉じ込められ、ストラキはエレベーター内で銃撃されました。
モー・グリーンも暗殺されました。

マイケルは、姉のコニーの夫・カルロも殺します。
バルジーニにそそのかされて、カルロは長男・ソニーを売っていました。そのためです。
コニーがマイケルの元を訪れて、夫のカルロを殺したことを責めました。

妻・ケイはその場に居合わせ、「本当なの?」とあとで聞きます。
かつての誠実で真面目なマイケルが、マフィアのボスとしての威厳を身につけつつあることに、ケイは戸惑いと絶望を抱いていました。
マイケルは「仕事に口を出すな!」と怒りますが、自分を抑えて「今回だけ答えてやる」と付け足します。
「本当にカルロを殺したの?」というケイの質問に、マイケルは「ノー」と答えました。
(嘘をついた)
ケイはその言葉を聞いて、喜びます。

乾杯をしようと思ったケイは、台所へ移動して酒の支度を始めました。
しかしその間にマイケルの元へ、困りごとの相談にきた客が現れます。
書斎への扉が閉められるのを、ケイはただ黙って見つめるしかありませんでした…。

The End _hmhm_

第45回アカデミー賞 作品賞、主演男優賞、脚色賞を受賞。


Re: ゴッドファーザー フランシス・フォード・コッポラ 投稿日:2018年10月05日 22:56 No.62


米国マフィア

マフィアの起源は、中世シチリアのガベロットと呼ばれる農地管理人である。彼らは農地を守るため武装し、また農民を搾取しつつ大地主ら政治的支配者と密接な関係を結んでいった。19世紀から恐喝や暴力により勢力を拡大し、一部は19世紀末より20世紀初頭にアメリカ合衆国に移民し、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコなど大都市部を中心に勢力を拡大した。

全米の中で6番目の人口を誇り人口の全体の5.4%を占めているのはイタリア系移民である。最もイタリアからの移民が多かった時期は伊が統一された1905年頃で、入国してきたイタリア移民は殆どが貧しい南部イタリアの出身であった。

彼らはニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニアなどの大都市集中して住み、多数派の民族集団に属する傾向が強かった。最も集中する都市はニューヨーク州であり人口は約280万人を超え、この数は民族集団としては最大数のものである。

イタリア人移民の特色の1つは米へは永住ではなく、労働し賃金がたまると帰国する「渡り鳥」と呼ばれる出稼ぎ労働者であった事である。 彼らは当時、貧しい上にカトリックであったため、先着の北、西のプロテスタント系移民からもウォプやマカロニと呼ばれ蔑まれ差別と反感の対象にされていた。

もう1つの特色は教育に対する伊人の考え方にある。彼らは「学校で得る知識よりも実際に社会にでて習得する知識の方がより有効である」といった価値観を持ち、子供に積極的に教育を受けさせようとはしなかったのである。この結果、伊移民の職業的特徴は白人エスニック集団の中でも最もブルーカラーに偏り、専門職,技術職の最も少ない民族集団となるのである。

当時、彼らが米へ移民してきた背景には、母国における貧困問題があった。統一当時イタリアは特に産業がなく貧困状態から抜け出せずいた南部に対し援助のための資本を持っておらず逆に国家予算の重荷を貧農に負担させ状況を悪化させていた。それに加え人口増加も拍車をかけていた。

しかし、受け入れる側の姿勢がないと移民というものは成立しない。 つまり受入国である米でも短期的に稼げる肉体労働の職が数多く紹介され移民が働きやすい環境にあったのだ。そしてその多くが建築産業であった。

この理由のひとつは「パドローネ」と呼ばれるボスの存在がある。英語に堪能でなく、又米の生活習慣に慣れていない伊人にとって通訳や雇用者との 仲介役を行ってくれるボスは無くてはならないない存在であり、生き残るには彼に頼るしか方法が無かったのである。彼の斡旋する仕事は「つるはしとシャベル」(pick and shovel)と呼ばれ、低賃金重労働であり、その上斡旋料をとられるため労働者には痛む腕と背中しか残らないといった状況だった。しかし1900年から1914年頃に州政府がパドローネを頼っての移民の入国に制限を加えたため、パドローネ制度は衰退していく事になる。移民の多くはこのような斡旋業者を通して渡米していたが仕事を実際に得る上で特に重要な役割を担っていたのは近縁、遠縁の親族、同じ村や地方出身の同郷人ネットワークであった。

特に親族や同郷人のつては移民に生活の基盤となる住居を提供するなど物質的、精神面での大きな支えとなった。このように移民する上で大きな役割を果たしたものは家族(ファミリア)であり、その家族中心の個人的コミュニティが根強い存在であり、彼らは世代を越えその独自の社会を築きあげ相互扶助の精神を芽生えさせていった。同郷組織と大家族制度に基づく連帯意識と団結といった特徴をもつ彼らのコミュニティはリトル・イタリアとして知られ、現在でも各都市において存在しイタリア系アメリカ人の心の拠り所であり重要な文化的要素にもなっている。イタリア人にとって大家族による結合とその利益を守る事こそが重大なルールでありファミリアを保つ秩序でもあったのである。

そのファミリーの特色が生きている集団の1つにアル・カポネ一家などのギャングやマフィアなどがあり、彼らは禁酒法時代に様々な酒の密造、密売などの違法行為を組織的犯罪として繰り返し暗黒街に勢力を伸ばし富を築いた。そのため伊人と犯罪のイメージは非常に結びつきが激しく、現在でもマフィア系アメリカ人であるという印象は払拭されてはいない。




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