醉いどれ天使(邦画) 1948年 邦画年間興行収入ランキング *邦画ランキングは興行収入10億円以上
ヤミ市の近くの小さな病院。院長は愛想は無いが貧乏人ばかり診察する飲んべえの男。そこへ、眼をギラギラさせた若者が、銃弾の傷の手当てのために現れた……
監督 黒澤明 代表作 『羅生門』『生きる』『七人の侍』
脚本 植草圭之助、黒澤明
音楽 早坂文雄 代表作 『羅生門』『雨月物語』『七人の侍』
主演 志村喬(真田) 代表作 『生きる』『七人の侍』『ゴジラ』
上映時間 98分
登場人物
真田: 町医者。
松永: 若いやくざ。(三船敏郎) 代表作 『銀嶺の果て』『隠し砦の三悪人』『用心棒』
奈々江: 松永の恋人。(木暮実千代) 代表作 『青い山脈』『源氏物語(1951)』『祇園囃子』
岡田: 松永の兄貴分。(山本礼三郎) 代表作 『侍ニッポン』『人生劇場』『あにいもうと』
【起】
第二次世界大戦の敗戦直後。
駅前のヤミ市の付近では、水はけが悪く、小さな沼地になった場所があります。
そこは水がよどんでおり、清潔ではありませんでした。夏場にはボウフラが湧きそうです。
駅近くにある小さな医院「眞田病院」は、眞田がひとりで診察しています。
眞田は腕の確かな医者ですが、いつも酔っぱらっていました。
朴訥でつっけんどんなのですが、患者の気持ちを第一義に考えるよい医者です。
美代という女性を、ある事情があってかくまっています。
眞田のところへある夜、松永という若い痩せた男がやってきました。
ドアに手を挟まれた、釘が出ていたのだと訴える松永ですが、眞田はそれが銃創だとすぐに分かります。
消毒して銃弾を摘出した眞田は、松永が金を持っていそうだと思うと、大金を請求します。
「無駄飯を食う奴から、ぼるのだ」と、眞田は松永に正面切って答えました。
松永と話をした眞田は、松永が妙な咳をしているので、警戒を促します。
松永は自身の咳を、風邪のせいだと思っていました。
眞田は、肺病だと注意します。
眞田病院のような小さなところでは、肺病の検査は無理なので、駅の近くの大きな病院でレントゲンを撮ってみろと、眞田は松永に言いました。
松永は悪態をつきながら去りますが、交代に入ってきた女性、美代のことが気になります。
翌日。
沼のなかに足を入れて遊ぶ子どもたちを見た眞田は、「チブスになるぞ」と注意します。(チブス…腸チフス。チフス菌の感染症)を引き止めて眞田は注意喚起をし、子どもたちを追い払いました。
眞田は、昨日やってきた松永のことが気にかかっています。酒屋のおやじに話しかけた眞田は、松永がいそうな場所を聞きました。
「表通り」という情報を得て、眞田は行きます。
【承】
ダンスホールでは、松永が愛人の奈々江と踊っています。
そこへ眞田が顔を出しました。
昨日、眞田の「肺に穴が開いている」発言を聞いて怒った松永は、診察代金を支払わずに病院を去っていました。
松永が代金のことを話題にしますが、眞田は「お代はいいから、話がしたい。飲みたい」と松永に言います。
松永は眞田を連れて、別の店へ連れて行きました。
眞田は松永に、昨日と同じことを言います。
「松永は結核菌に侵されており、おそらく肺病であるだろう、嘘と思うなら、レントゲンを撮ってみろ」
昨日と同じことを、眞田は松永に言いました。
眞田は本気で、松永のことを心配しているのですが、眞田の医院ではレントゲンの検査ができないのです。
松永が信じないので、眞田はぷりぷり怒りながら帰宅しました。…いえ、信じないというより、松永は病気が怖くて信じたくないのです。
眞田は美代に、松永のことを話します。
眞田の見立てでは、松永はまだ凝り固まった悪人ではなく、立ち直ることが可能でした。
そして立ち直らせたいと眞田は思っているのです。
そのことを話した眞田は、美代に、岡田のことを話題にします。
岡田の出所が近づいていました。眞田は心配します。
眞田と美代と婆やで食事をしているときに、美代が「岡田に会おうかと考えている」と言い出します。
それを聞いた眞田は、怒りました。
…美代は岡田の情婦で、かつて岡田に利用されてひどい目に遭わされていました。
そのことに触れた眞田は、絶対に会うなと言います。
怒った眞田は、飛び回る蚊にも怒りました。
(蚊が媒介する病気が多いので、医師である眞田は蚊を嫌っている)
【転】
眞田のところへ、セーラー服の少女が診察に来ます。
17歳の少女は眞田のいう通りに養生し、結核だったのですが、快方に向かっていました。
素直に言うことを聞くこの患者のことを、眞田も目を細めて見ています。
少女は眞田に、もし全快したら、あんみつをおごってくれと約束を求めました。眞田は応じます。
少女と入れ違いで、松永がやってきました。
眞田は松永に、少女が結核患者だが、病気であることを受け止めて治療を受けており、松永よりもよほど勇気があると話します。
むっとした松永は、眞田を殴って去りました。
雨の中、傘もささずに去る松永を見て、眞田は、熱があるだろうにと心配します。
翌日。
往来を歩く眞田を見て、車で通りかかった高浜医師が声をかけます。
高浜医師は、南町に病院を構えていました。
眞田を車に乗せた高浜は、先日、松永が診察に来たことを話します。
松永は高浜の病院で、レントゲンを撮ったそうです。
そのフィルムを持たせて帰らせたことを、高浜は話しました。
高浜の話を聞いた眞田は、前の日に松永が来たのはそのためだったのだと気づきます。
ダンスホールへ顔を出した眞田は、松永に病院へ来いと言い、去っていきました。
その夜、松永は泥酔して病院へやってきます。
眞田はレントゲンを見せろと言いますが、松永は「破った」と言ってそのまま眠り込みました。
松永の懐に、レントゲンのフィルムがありました。眞田は見ます。
泥酔しながらも、どこか酔い切れていなかった松永は、不安げに「治るか?」と質問しました。
「治る」と断言した眞田は、「その代わり、俺の言う通りにするんだぞ」と言い聞かせます。
それを聞きながら、松永は眠りました。
【結】
街で下手な曲を弾く男からギターを取り上げると、上手な演奏をする男がいます。
岡田です、岡田が出所してきたのです。
岡田は4~5年前に喧嘩をし、相手の顔を切って刑務所に入っていました。
岡田はこの界隈では札付きのワルでした。
小料理屋のぎんのところで飲んだ岡田は、松永に声をかけます。
一緒に飲もうと言いますが、松永は眞田の言うことを聞いて、断酒していました。断ります。
松永は眞田の言いつけどおりに、酒を断って養生しています。
愛人の奈々江は、松永がすっかり真面目になっているのを見て、快く思いませんでした。
面白くないと感じた奈々江は、松永から岡田に乗り換えます。
喀血した松永が、眞田のところへ運ばれました。
診察した眞田は適切に処置をし、松永にやさしいことばをかけます。
喀血して寝込んだ眞田を疎んじた奈々江は、松永を見限りました。
松永は眞田の診療所で寝泊まりします。
松永が弱体化したのを感じた岡田は、松永の仕切っている場所を横取りしようと考えます。
松永は親分のところへ行きますが、親分が自分を見限り、自分を利用しようとしていると知って、ショックを受けます。
杯を交わした親分と人情で結びついていると思っていたのに、親分は自分を手駒のひとつと考えていたと知り、松永は裏社会に幻滅しました。
ナイフを持った松永は、奈々江の部屋にいる岡田を襲います。
しかし血を吐いて倒れて形勢が逆転し、松永は岡田とペンキまみれになりながら戦い、刺されました。亡くなります。
松永が医院でおとなしく寝ていると思っている眞田は、その頃、市場で松永のために卵を買って帰ります…。
…後日。
松永は亡くなりました。岡田は逮捕され、刑務所に入ります。
小料理屋のぎんは、松永に思いを寄せていました。
眞田の家にやってきたぎんは、松永が足を洗うつもりだったのだと告げますが、眞田は「それでも直らないのがヤクザなのだ」といいます。
そこへ結核が全快した少女がやってきました。
少女はあんみつをおごってくれと眞田に言い、眞田は喜んで応じます。
理性が大事だと言った少女は、理性こそが病に打ち勝つのだと言いながら、眞田と街へ歩いていきました。
The End_hmhm
第22回キネマ旬報ベスト・テン 第1位
みんなの評価 3.9/5.0
最高 (^0^)
間髪入れず、立て続けに二回見た映画はこれが初めて。その位、痺れた。
最低 ( ` 3´)
ひっでえつまんねえ話だなと思いながら見てたけど最後30秒がよかった
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