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BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #3 (2022.8.19) 久留米大学医学部免疫学講座 主任教授 溝口充志 ( No.3473 )
日時: 2022年08月23日 13:32
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ 久留米大学医学部免疫学講座 https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/corona.html


 おなかの免疫から考える、新型コロナウイルスに打ち勝つための独り言

                 未来を見据え

   「免疫を理解し、新型コロナウイルスを正しく恐れるために」


 最新版(97版、2022年 8月20日更新)はこちらのPDFをダウンロードしてください。
  ⇒ https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/20220820.pdf

 免疫の基本についてはこちらの動画をご覧ください。
  ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=F5sSkhXwvj4

 医療系の学生さん用の補足資料はこちらのPDFもダウンロード下さい。
  ⇒ https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/20201228STU.pdf
   
   
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Re: BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #3 (2022.8.19) 久留米大学医学部免疫学講座 主任教授  ( No.3474 )
日時: 2022年08月23日 13:38
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ 久留米大学医学部免疫学講座 https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/corona.html

[97版に追記分]
BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #3 (2022年8月19日)
政府が2022年8月17日に「第7波収束前に新型コロナウイルス感染者の全数把握を見直す」方針を示されました。全数把握が廃止されれば、感染症法上2類相当との整合性もなくなり、新型コロナウイルスも季節性インフルエンザと同様に扱われ、昔の生活が取り戻せる日も近いと期待をよせています。また、全数把握を廃止しても、新型コロナウイルス感染による入院者数の把握、特に「軽症者(重症化リスクが高い方に対する予防入院)」、「中等症(入院でしか受けれない治療を受けられている方)」、「重症者」に分類した人数把握は、新型コロナウイルス流行時の社会的影響を判断するために今後も重要となると思います。よって、これに関し幾つか気になる点があるので私見を述べさせて頂きます。

曖昧なコロナ死者規準が恐怖を煽る
中日新聞の2022年8月16日の報道によると、愛知県の大村秀章知事が「第7派(BA.5株)で、新型コロナウイルスの直接原因で死亡した人は県内にはいない」と言われたようです。そして、「新型コロナウイルス感染症の重症者数、死者数、公表方法などの見直し」を要請されています。科学的判断にもとづいた適切な要請と個人的には信じています。事実、2022年2月1日の読売新聞においても、前田遼太郎記者が「山梨県では新型コロナウイルス感染による重症者がゼロにも関わらず、死亡者が6人もいた」事に疑問を抱かれ調査されています。結果、厚生労働省の担当者から「現在の死者数の増加は、コロナが原因で亡くなった人が増えていることを必ずしも意味しない」との見解を得られています。2020年6月18日からは、死因が老衰や他の病気だったとしても、事前の検査や亡くなった後の検査で陽性が判明すれば「コロナ死者」として扱われているようです。https://www.yomiuri.co.jp/national/20220131-OYT1T50245/

2022年8月18日時点の新型コロナウイルスによる累積死者数は36,001人です。これまで7回の波(流行)を経験しているため、「1回の流行あたりの平均死者数は5,143人」の計算になります。季節性インフルエンザ感染が直接原因として亡くなられる方は、2019年度は3,325人です。しかし、新型コロナウイルスで現在用いられている死者の基準(感染により持病が悪化して亡くなられた方も含む)を使うと、季節性インフルエンザでも死者数は10,000人以上になります。「1回の流行あたりの季節性インフルエンザの死者数は10,000人以上」で、新型コロナウイルスよりも多い計算になります。しかし、約2か月という短期間で、このように多くの死者を出す季節性インフルエンザでさえ日本の医療体制はビクともしていないのが紛れもない事実です。

最も怖かったアルファ株に比べてBA.5株は?
日本における「アルファ株」、「デルタ株」、「オミクロン株(BA.2株)」、「現在流行中のBA.5株」の日本の感染状況を整理してみました。(画像⇒ https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/20220820.fld/image004.png
パンデミック早期は感染予防対策が評価され、報道に頻回に取り上げられていた「韓国」、「台湾」、「ニュージーランド」、「オーストリア」でさえ、感染者数は既に日本を遥かに超えています。「感染拡大を一時的に抑制できても、感染力の増した変異株により、いつかは感染爆発を起こす」という避けられない現実を世界が教えてくれています。(委細は「BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #2(2022年8月8日)」の「避けられない現実」を参照下さい⇒記事 https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/ )。事実、感染力の増したBA.5株により、日本でも2022年8月18日に、過去最多となる255,534人の新規感染者を認めています。しかし、重症化の予防効果が高いワクチンの3回目接種、さらにBA.5株の弱毒化により重症者は少なく抑えられています。感染して入院された人数から計算した、厚生労働省基準の重症者数(人工呼吸器が装着されていなくても集中治療室で治療を受けた方は重症に含まれる)でさえ「アルファ株で1.92%」、「デルタ株で1.04%」、「オミクロン株BA.2株では0.2%」、「BA.5株では0.03%」です。「アルファ株」では、入院された50人に1人が重症化されており、ニューヨークやロンドンでは野戦病院を設置しなくてはならない事態に陥っています。一方、デルタ株では重症化率は1.04%とアルファ株に比べて半減しており、このころから欧米諸国では医療逼迫は認められなくなっています。さらに、重症化率はオミクロンBA.2株では0.2%とアルファ株より10倍近くも低くなり、BA.5株では0.03%と「64倍」も低くなっています。つまり、BA.5株では、入院された1万人のうち僅か3人しか重症化されていない計算になります。つまり、1万人中9,997人もの感染者が「万が一の用心のために入院」されているのかもしれません。この状況が続けば人為的医療崩壊を起こす危険性が高くなるため、適正かつ厳格な入院基準が早急に必要と思います。
   
   
Re: BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #3 (2022.8.19) 久留米大学医学部免疫学講座 主任教授  ( No.3475 )
日時: 2022年08月23日 13:41
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ 久留米大学医学部免疫学講座 https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/corona.html

集中治療室の医療従事者に感謝
医療現場で重要となるのは「(1)感染者のうち何%に実際の入院治療が必要となり、(2)そのうち何%の方が重症化され、(3)重症者の何%の方が亡くなる」という予測値です。日本では、感染者数予測のための数理解析は、アタルにせよハズレルにせよ、よく目にします。しかし、入院経過に関する数理解析は行われていないのかもしれません。日本において、現時点で正確に言えるのは(3)だけです。日本集中治療学会のホームページによると、2022年8月18日時点で、人工呼吸器(ECMOを含む)を装着された重症者の救命率は80.4%と世界最高です。命を守る最後の砦として活躍して下さっている集中治療室の医療従事者が、忙しいにも関わらずデータを「日本ECMOネット(https://crisis.ecmonet.jp)」に集積され、本当に感謝の言葉しかありません。また、集中治療室は「3次救急病院」、つまり大学病院や基幹大病院に設置されているため、頑張っても収入が変わらない勤務医の方がほとんどです。医師として自己犠牲もいとわない「仁」の精神に心より敬意を払います。また、ECMOネットで公開される人工呼吸器(ECMOを含む)を装着された重症者数と、多くの自治体で発表されている重症者数に矛盾はないと思います。しかし、神奈川県や東京都のように「人工呼吸器(ECMOを含む)を装着された重症者数」と「自治体発表の重症者数」に10倍以上の差を認める自治体があるのも事実です(委細は「BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #2 (2022年8月8日)」の「適正評価のための重症者・入院基準の厳格化」を参照下さい)。よって、「人工呼吸器(ECMOを含む)を装着された重症者数」と「自治体発表の重症者数」のギャップは、アルファ株では1.97倍であったのに対して、BA.5株では3.65倍と増えています。重症者数が政府方針決定に大きな役割を担うため、適正かつ厳格な重症化基準の導入が必要かもしれません。または、ECMOネットで毎日アップデートされている「人工呼吸器(ECMOを含む)を装着された重症者数」を重症者数変動の指標に用いるのも、世界的にみて妥当かもしれません。

1次救急と2次救急の現状
医療現場は集中治療室などの「3次救急」、鼻などから酸素吸入が必要な感染者の入院治療にあたる「2次救急」、さらに外来で治療を行う発熱外来などの「1次救急」に分類されます。世界で認められた医療崩壊や医療逼迫は「命を守る最後の砦である3次救急の逼迫」により起こっています。1次救急や2次救急の逼迫で医療崩壊を起こせば、医療大国と呼ばれた日本の名声が地に落ちるのは明白です。しかし、BA.5株では3次救急の逼迫は認めていないにも関わらず、適切な入院基準の欠失により2次救急の逼迫が認められています。BA.5株感染で入院されたかたのうち0.03%しか重症化しないのに、現在の基準での「むやみやたらな入院」を継続すれば、2次救急の医療崩壊の危険性は更に高まります。厳格かつ適正な入院基準の「待ったなしの導入」が必要と思います。また、BA.5株では多くの感染者が出るうえ、2類相当の分類のため受診できる発熱外来も限られ、1次救急の医療崩壊を起こす危険性も出てきます。全ての医療機関で受診できるようにするためにも、新型コロナウイルスを季節性インフルエンザと同様に早急に扱う必要があると思います。また、入院に至っても10,000人中3人しか重症化していないのもBA.5株の現実です。よって、「治療が必要ない方の受診による医療崩壊」を防ぐために、「日本感染症学会」、「日本救急医学会」、「日本プライマリ・ケア連合学会」、「日本臨床救急医学会」の4学会が2022年8月2日に共同で緊急声明を出されています。(受診基準提言⇒ https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/20220809.fld/image006.png )
1次救急の医療崩壊を防ぐためにも、「65歳未満で基礎疾患や妊娠がない方」は、熱が出たからと、直ちに発熱外来を受診するのではなく、4学会の提言に従い市販薬で症状を抑えながら2~3日は自宅で様子を見られる事をお勧めします。(委細は「BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #2 (2022年8月8日)の「抑うつ」を参照下さい」。殆どの方は、翌々日には熱も37.5℃以下に下がってくると思います。ただし、発熱があると脱水に陥り易くなります。水分補給には心がけて下さい。また、免疫細胞の活力源は、グルコースを腸内細菌が代謝して作り出す「アデノシン3リン酸」です。糖尿病などで糖分制限が指示されている方を除き、ダイエットのため甘い物を控えていた方は、熱がでた今こそお召し上がりください。ただし、アデノシン3リン酸を免疫細胞に効率よく摂りこませるためには軽い運動が必要です。外出は勿論できませんので、デザートを食べた後は、テレビをみながら室内での足踏みをお勧めします。また、免疫力を維持するために十分な睡眠をとられ、間違ってもお酒は飲まないで下さい。(委細は「(5) 免疫力強化法は?」の「糖分と適度な運動」を参照下さい⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3352#3371
   
   
Re: BA.5オミクロン株を受け入れるための私見 #3 (2022.8.19) 久留米大学医学部免疫学講座 主任教授  ( No.3476 )
日時: 2022年08月23日 13:46
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元記事⇒ 久留米大学医学部免疫学講座 https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/corona.html

定性抗原検査の長所と短所
定性抗原検査キットが通信販売で購入可能になり、発熱などのある方に無料で配布されている自治体も多くあります。様々な目的で使用されるため、定性抗原検査キットの長所と短所を簡潔に整理してみました。

(必ず使用方法の確認をお願いします): 定性抗原検査の長所は、「安価」で15分と言う「短時間で結果」が出て、さらに「特殊な技術が不要」で、誰でも簡単に行えます。簡単にできるのですが、初めて使う方は間違ってしまう場合もあります。検査キットの使用方法はビデオ等で丁寧に説明されているので、必ず使用する検査キットを製造する会社のホームページでご確認下さい。

(偽陰性がある事を理解して下さい): 完璧な検査は無く、必ず「偽陰性」が問題となります。感度が高いPCR検査でさえ、約10人に1人は偽陰性、つまり感染していても陰性の結果が出ます。定性抗原検査はPCRより更に感度が落ちます。PCR検査と比べて感度が下がる度合いは、各検査キットにより異なり約85%から約95%です。つまり、感染していても、10人に1人から2人が見逃される可能性があります。各社の抗原検査キットの感度は厚生労働省のホームページに示されているのでご確認下さい。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11331.html
よって、抗原検査やPCR検査は、症状がある方に「診断目的」で用いるのが原則です。もし、自分が感染していない事を示す目的で抗原検査を用いる場合は、最低でも2回行う必要があります。また、4学会が提言されたように、65歳未満で基礎疾患や妊娠中でない方は、症状があっても自宅療養による経過観察が推奨されています。つまり、自分で行った抗原検査で陽性となっても、不安を募りながら自宅待機を余儀なくされる結果となってしまいます。会社から欠勤のための陽性証明が必要なければ、症状がでたら新型コロナウイルス感染と思い、検査はせず自宅で2~3日様子を見られる事をお勧めします。また、感染者が爆発的に増えている期間は、会社側も陽性証明書無しでも欠勤を認める柔軟な対応も必要かもしれません。

(FOCUSED PROTECTIONのための重点的検査): 新型コロナウイルスの重症者や死者は高齢者に集中しますが、その中でも介護が必要な「臨床的フレイルスコアが中等度以上」の高齢者に集中します(委細は「BA.2株を含めた個人的意見のまとめ #2 (2022年2月24日)」の「重症化に影響を与える主要因」を参照下さい⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3352#3357 )。よって、予防目的で抗原検査を行う場合は、FOCUSED PROTECTION に徹して「特別養護老人ホーム」などフレイルスコアが高い高齢者が多い施設の職員に対して隔日で継続して行う、更なる重点的抗原検査の活用が必要なのかもしれません。

(悪質な検査キットに用心して下さい): これまでも摘発されているように、需要が増えると精度が担保されていない悪質な検査キットが流通しはじめます。よって、厚生労働省が警告を発せられているように、「研究用」と記された抗原検査キットは絶対に使用しないで下さい。2022年8月18日時点で48種類の定性抗原検査キットが厚生労働省から承認を得ています。(画像⇒ https://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/20220820.fld/image005.png )
必要になった場合、これらの承認済み検査キットを用いるのが無難です。
   
   
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