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今週の『東京歌壇/俳壇』から (東京新聞)
☆旧姓のままで呼んでといわれたりシナモンラテの湯気あわく立つ
練馬区 奥山いずみ
⚫︎ごくふつうになりましたね 旧姓による呼称も。街なかのラテの香りと同致するくらいに。
☆それぞれの信じ続けたしゃっくりの止め方を子に伝える夕餉
北区 土居文恵
⚫︎あれこれとだいぶ違うんだけれども… こうして愛の伝統は繋がっていくんですね。
止まらない幼時のしゃっくり 時には跳ね上がったりもして 苦しかったですね!
☆ひとりでは飲みきれないと言いながらトマトジュースを箱で買う祖母
八王子市 吉村のぞみ
⚫︎その安心感を 今おばあちゃんは購っているんでしょうね いろんな苦労(心労)をされてきた日々
☆誰も見ぬ日記を律儀に綴るのは生きているから明日があるから
相模原市 関口實
⚫︎なるほど! 結句の力強さに納得します。
私などは いつでも三日坊主で来てしまったので
☆雪の日にもらった手紙を読み返すわずかに息を止めたい朝に
金沢市 塩本抄
⚫︎とても微妙な良い歌ですね 降る雪も 読み返す大切な手紙も 小さく詰めた息とても
それでも雪の朝は明るくて 空気は新鮮
☆偽蟻(ギギ)たちは手の節々へ巣を掘って休職明けに引き出しを引く
つくば市 そのべせい
⚫︎まるで蟻もどきが巣食うような…そんな症状が感じられるわけですね たぶん想像以上に こうした心身の諸症状は社会に拡がっている気がします。壊れかけた私たちの社会に。
☆捕まると悟った刹那すこしだけ胴ふくらます蜘蛛のただしさ
千葉市 芍薬
⚫︎刹那をめぐる微細な観察力と 大胆な表現力と。
☆競馬場直行バスを待つてをり耳に五円貨嵌めたる男
川口市 高橋まさお
⚫︎何に使うのか ふと考えてしまう耳穴の五円貨 もしかして 男のゲン担ぎ?
………
☆我が庭に蜘蛛が巣作り棲み付くは十年振りかコロナのお蔭
奥村晃作 『蜘蛛の歌』 第19歌集
⚫︎もうしばらくすると アフター・コロナの諸現象がさまざまに報告されてくる気がします。
我々には見えない連環が この世界には未だたくさんあるのでしょうから
……
☆五本指靴下履いてさらに足袋
小平市 中澤清
⚫︎間違って? あるいはそれほどに寒くて?
やがて私もやりそうな気がしますけれども(笑)
☆春が来てジーンズがぱつぱつである
堺市 土居健悟
⚫︎堺の常連さん いばって報告してるとこがいいですね(笑) ときどき街でも見かけます、犯人は巣ごもり中のお餅か 美味しいお酒だったでしょうか
☆太梁(ふとはり)の雄々しく曲る冬館
藤沢市 青木敏行
⚫︎黒光りして天にうねる太梁 長い命をはらむ木の凄みに おもわず吸い寄せられるような気がします。
☆日脚伸ぶオウムに礼を言はす店
横須賀市 丹羽利一
⚫︎明るい春の予感とオウムの奇体なご挨拶 不思議に同致して 季節の動くさまが身近になったというのである。
アリガトゴザイマシタ❗️
………
『ノンちゃん雲に乗る』