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ぱつぱつである

1: KZ:2024/02/25 15:09 No.455
今週の『東京歌壇/俳壇』から   (東京新聞)

☆旧姓のままで呼んでといわれたりシナモンラテの湯気あわく立つ
            練馬区  奥山いずみ

⚫︎ごくふつうになりましたね 旧姓による呼称も。街なかのラテの香りと同致するくらいに。

☆それぞれの信じ続けたしゃっくりの止め方を子に伝える夕餉
            北区  土居文恵

⚫︎あれこれとだいぶ違うんだけれども… こうして愛の伝統は繋がっていくんですね。
止まらない幼時のしゃっくり 時には跳ね上がったりもして 苦しかったですね!

☆ひとりでは飲みきれないと言いながらトマトジュースを箱で買う祖母
            八王子市  吉村のぞみ

⚫︎その安心感を 今おばあちゃんは購っているんでしょうね  いろんな苦労(心労)をされてきた日々

☆誰も見ぬ日記を律儀に綴るのは生きているから明日があるから
            相模原市  関口實

⚫︎なるほど! 結句の力強さに納得します。
 私などは いつでも三日坊主で来てしまったので

☆雪の日にもらった手紙を読み返すわずかに息を止めたい朝に
            金沢市  塩本抄

⚫︎とても微妙な良い歌ですね  降る雪も 読み返す大切な手紙も 小さく詰めた息とても
それでも雪の朝は明るくて 空気は新鮮

☆偽蟻(ギギ)たちは手の節々へ巣を掘って休職明けに引き出しを引く
            つくば市  そのべせい

⚫︎まるで蟻もどきが巣食うような…そんな症状が感じられるわけですね  たぶん想像以上に こうした心身の諸症状は社会に拡がっている気がします。壊れかけた私たちの社会に。

☆捕まると悟った刹那すこしだけ胴ふくらます蜘蛛のただしさ
            千葉市  芍薬

⚫︎刹那をめぐる微細な観察力と 大胆な表現力と。

☆競馬場直行バスを待つてをり耳に五円貨嵌めたる男
            川口市  高橋まさお

⚫︎何に使うのか ふと考えてしまう耳穴の五円貨  もしかして 男のゲン担ぎ?

………

☆我が庭に蜘蛛が巣作り棲み付くは十年振りかコロナのお蔭
            奥村晃作  『蜘蛛の歌』  第19歌集

⚫︎もうしばらくすると アフター・コロナの諸現象がさまざまに報告されてくる気がします。
我々には見えない連環が この世界には未だたくさんあるのでしょうから

……

☆五本指靴下履いてさらに足袋
             小平市  中澤清

⚫︎間違って? あるいはそれほどに寒くて?
 やがて私もやりそうな気がしますけれども(笑)

☆春が来てジーンズがぱつぱつである
             堺市  土居健悟

⚫︎堺の常連さん いばって報告してるとこがいいですね(笑)  ときどき街でも見かけます、犯人は巣ごもり中のお餅か 美味しいお酒だったでしょうか

☆太梁(ふとはり)の雄々しく曲る冬館
             藤沢市  青木敏行

⚫︎黒光りして天にうねる太梁  長い命をはらむ木の凄みに おもわず吸い寄せられるような気がします。

☆日脚伸ぶオウムに礼を言はす店
             横須賀市  丹羽利一

⚫︎明るい春の予感とオウムの奇体なご挨拶  不思議に同致して 季節の動くさまが身近になったというのである。
アリガトゴザイマシタ❗️ 

………


『ノンちゃん雲に乗る』


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