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今週の『東京歌壇/俳壇』から (東京新聞)
☆水仙の花瓶のみずは濁るけど、だいじょうぶ、ここは怒ったりしない国
杉並区 田中耀
⚫︎ほめ言葉ととりたいのですが…。
小さきものへの愛が まだ生きている国なのだと
☆微睡と現実をゆきつもどりつし猫が死ぬのを待つ木曜日
杉並区 半澤泉
⚫︎いずれ来るその時 わかってはいても やはりつらい別れですね。 まどろみとうつつの中で… そういう長いさよならが かつて私にもありました。
☆下り坂、ライトをつけて、自転車で どうも私が流れ星です
川崎市 山田香ふみ
⚫︎長い坂道で いっきょに流れ星になる… 爽やかで愉しい下の句の滑走に乾杯❗️
☆ふゆの夜の管制官が空港にならべる星座を君と見ている
八王子市 内山佑樹
⚫︎凍て付く真冬の空港で。でもそれだから 星座はなお輝く 忘れられない夜になる
☆まず、そっとあなたは栞紐を放つ ねぐらの龍を起こすみたいに
宇都宮市 霧島あきら
⚫︎パワフルな龍…それはどんな本なんでしょうね
ページを開く小さなときめき、胸さわぎ 読書の醍醐味
☆両腕に娘を二人ぶら下げて父が重機となる日曜日
横浜市 友常甘酢
⚫︎それはたしかに重そうだけど、 だいじょうぶ 日曜日のお父さん重機はとても嬉しそうです
☆剣道を習い始めし子のためにユーチューブで見る袴の着方
北区 土居文恵
⚫︎初々しい剣士誕生のとき 今度はお母さんが嬉しそうな歌
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☆髪切つて五感全き夏に入る
能美茅柴 『悠紬』 から
⚫︎どこからの風もしっかりと感じられる さあ夏の準備はできたぞと。
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☆年賀状今も心に棲む人へ
牛久市 中村榮子
⚫︎美しい句ですね 小さな熾のように今も心に棲む人へ 思いを送る (やはりsns では できないことなんでしょうね)
☆掌の座り心地や寒卵
横浜市 山田知明
⚫︎心地よく掌に収まる卵だなと。さてそうなると 卵の方も居心地を楽しんでいるようなのです。不思議な両者のあわい
私は かつて好きだったモーリス・メルロ=ポンティの認識論(セザンヌ論 『眼と精神』など)を思い出しました。見る・見られるという関係の中で やがて人はその実存に気づく。形式的な主語は影を潜め 世界は意味に満ちた織物となってゆく。
☆乗って来た箒で魔女が落葉掃く
武蔵野市 相坂康
⚫︎世のアニメ好きには たまらない句なのでは。こんなふうに落ち葉を掃除してくれたら どんなに楽ちんなことでしょう!
☆来年は赤が好きかも日記買う
国立市 水面叩
⚫︎さぞやきれいな赤(表紙)なんでしょうね 手にするだけでワクワクするような
鮮やかな 良い年になるといいですね
☆熱燗の熱さが顔に乗り移る
甲府市 村田一広
⚫︎凍えて辿り着いた居酒屋で ようやくありついた一献 真冬の呑助には忘れられない熱さが 喉元をゆっくりと過ぎてゆく
☆カムヒヤと犬呼ぶ男大晦日(おおみそか)
江東区 媚庵
⚫︎特別な気分の日にふと出会った犬と男 その呼び声まで なんだか特別に聞こえる不思議
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