居酒屋超七
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ネタバレありで、感想を書きましょう。
支店長 投稿日:2023年03月31日 21:30 No.182
シン・仮面ライダーの魅力はそのオリジナルにリスペクトしたデザイン。ジャンプ、キックの美しさ。ちりばめられた小ネタの数々。浜辺演じるルリ子の美しさ。ラストに畳みかける、(とってつけたような)二人の名前。漫画を踏襲した2号が1号と会話しながらのライディング。感動的な余韻に浸れたラストクレジットのテレビ版主題歌のメドレー。

全体的に貧相な絵作り、金がかかっていないスケール感。この辺りが批判されているみたいですが、そもそも東京東映のロケセットは貧相だったのだから、原典リスペクトですから瑕疵とは言えないでしょう。

そもそも池松と柄本が役者として素晴らしいのは認めます。二人とも名演だと思います。ですが、ヒーロー役者としては役不足です。ルッキズムと批判されるかもしれませんが、無条件に子供が憧れるカッコイイお兄さんかというと違うと思う。ヒーローを柄本はきっちりと演じていますが、客観的に正義の味方に見えません。まして、池松は全く見えません。

ショッカー戦闘シーンのスプラッタ描写は所詮仮面ライダーの世界における活劇は(改造)人間同士の殺し合いでしかないということを見せて、本郷の背負う業を表現したのですが、映画のテンポを優先したために、右から左へとあっさりと解消されてしまいました。本郷の戦う理由がすっきりとは描かれなかったと思います。

仮面ライダーそのもののデザインやアクションは素晴らしい称賛しましたが、デザインやアクションだけならばTHE FIRSTやTHE NEXTもよかったですよ。役者の演技力は本作に劣るかもしれないけれども見た目は勝ってます。それぞれ脚本は当時の流行であるメロドラマ、Jホラーを積極的に取り入れてしまったために仮面ライダーではなくなっていたという欠点がありました。

本作最大の欠点は仮面ライダーが正義の味方に見えないのです。ライダーたちの戦いが、ショッカーの内ゲバにしか見えないのです。「人のいないところでロケしている=資金がない」これは原典リスペクトでよいのですが、決定的なのは一般人が出ていないということです。一般人を護って戦うのがヒーローというものです。シン・ウルトラマンで最も上がるシーンは対ザラブ戦。ヒロイン(相棒)を救うウルトラマンの姿に感動するわけです。2022年の「ザ・バットマン」は暗い映画でしたが、あのバットマンにはあったのに本作にはないのです。正体がばれようとも、電車の乗客を救ったスパイダーマン2の心意気が本作にはないのです。