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変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2307 )
日時: 2021年09月10日 17:04
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(5) 変異ウイルスは本当に危険なのか?

 → 難しいのは、変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのかです。たとえば、大勢の若者がスポーツ観戦などで大騒ぎをして、たまたまその中に変異ウイルスの感染者が1人いたため100人くらいに感染が広がったとします。単純に統計をとれば、この変異ウイルスは感染力が強い、ということにされてしまうでしょう。

つまり多様で、予測不能な人間の行動様式が絡み合っているため、ウイルスの性質だけをわけて求めることができないのです。

たとえば200匹くらいのネズミを用意して公平に2つのグループにわけ、それぞれを大きなカゴに閉じ込めた場面を想像してください。その一方に、変異ウイルスを感染させたネズミを、もう一つには従来型ウイルスを感染させたネズミを、それぞれ1匹ずつ入れます。1週間後くらい経ったら、すべてのネズミを解剖して、何匹に感染が起こっていたかを調べる、という方法なら、少しはましなデータが得られそうです。ただし実験者も、感染してしまうかもしれません。

現在、テレビなどで報じられる感染力や致死率は、どれも信頼性に欠けているように思われます。それでも、世界中の研究者たちがあの手、この手で実験や予測をしてくれたデータがありますので、次の表(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/variant.jpg )にまとめてみました。この表は適宜、改訂※しています
記載の画像⇒リンクから参照してください。】

ここで、デルタ変異ウイルスについての最新情報です。と言っても、世界中で感染者が急増している最中のため、研究者も右往左往してしまっており、まだ正確なことは、ほとんんどわかっていないのが現状です。

それでも、確度が高く、国内で報じられていない情報がいくつかありますので、以下に8月9日現在の状況をまとめておきます。
 ・感染力は1.5倍から2倍くらい強いかもしれない
 ・致死率(病原性)の違いについては、諸説あり、まだよくわからない
 ・12歳以下の子供が、とくに罹りやすいかもしれない
 ・ほかのウイルスと異なり、暑い季節ほど感染が拡大する傾向がある
 ・ファイザー社、モデルナ社ワクチンの効果は、最初の変異ウイルス(イギリス株)に
  対する効果とほぼ同じで、数パーセントしか違わない

【参考文献】
1) Wu F, et al., A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature, Mar 12, 2020.
2) Corum J, et al., Coronavirus variants and mutations. New York Times, Jun 4, 2021.
3) Anthes E, Covid's lambda variant: worth watching, but no cause for alarm. New York Times, Jul 8, 2021.
4) Bernal JL, et al., Effectiveness of Covid-19 vaccines against the B.1.617.2 (delta) variant. New Engl J Med, Jul 31, 2021.
5) Anthes E, The delta variant is sending more children to the hospital. Are they sicker, too? New York Times, Aug 9, 2021.
   
   
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Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2308 )
日時: 2021年09月10日 17:23
名前: はっちん [ 返信 ]
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新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/

岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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Q8 変異ウイルスはどこで生まれたのか?
A インフルエンザではタミフルという特効薬があります。この薬が効かない変異ウイルスが蔓延しているのですが、実はその原因が「日本人がタミフルを乱用したため」と諸外国から非難を受けています。

コロナワクチンの効果に関する調査が盛んですが、多くは「効果が高い」ように見せかけるためのメーカー主導で行われているものです。5月20日、それらとは一線を画す、かなり厳格な調査が南アフリカで行われました。同国は、アストラゼナカ社ワクチンの治験が最初に、かつ濃密に行われたところです。

調査では、アストラゼネカ社ワクチンが、同国で発生した変異株に有効かどうかが検証されました。結論は、同社のワクチンは変異株に対して有効性がまったくないというものでした。

この結論から考えられることはただひとつしかありません。「南アフリカで変異ウイルスが発生したのは、同国で集中的に使われたワクチンが原因だった」ということです。私の当初の懸念が現実のものとなってしまいました。

日本でワクチン接種が集団で行われたあと、もしそこでクラスターが発生したりすると、そのときこそウイルスにとって、ワクチンに負けない変異を遂げるチャンスとなります。ワクチン接種を受けた人たちには、ウイルスを変異させないよう最大限の注意を払う、つまり自身が絶対感染しないという責任が生じたのです。

「集団接種が行われた町には怖くて行けない」、「職員の全員が接種を受けた病院は嫌だ」、「一家全員が接種を受けた親戚とは縁を切りたい」・・・。今後、そんなことを考える人が出てきてもおかしくはありません。

【参考文献】
1) Tracking coronavirus vaccinations around the world. New York Times, May 26, 2021.
2) Madhi SA, et al., Efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 Covid-19 vaccine against the B.1.351 variant. N Engl J Med, May 20, 2021.



Q9 ウイルスはどのように変異するのか?
A 数年前、ダーウインの進化論の現代語訳が『種の起源(上下巻)』という邦題で出版されました。それを読んで、進化論の奥深さに触れると同時に、この説を否定する声が高まっていることも知りました。

否定意見というのは、たとえば「キリンの首が長いのは、高い木になっている実を食べることができ生存競争に打ち勝ったから、というのであれば地球上の生き物はすべて首が長くなっているはず」といったツッコミです。しかし自然淘汰説が根本から間違いなのではなく、生物の種ごとに何か固有の力も一緒に働いてきた、ということではないでしょうか。

そう考えると、ウイルスが変異を遂げてきた理由もわかってきます。インフルエンザ・ウイルスがよく研究されていてますので、これで見ていきましょう。まず、ウイルスの変異には以下の3つの様式があります。
・遺伝情報1個単位の突然変異
・まとまった遺伝情報の大幅な組み換え
・性質が異なるウイルスに同時感染した場合の相互組み換え

この順番に変異は大きくなり、ときに困ったことが起こります。以前、大きな問題となった新型インフルエンザや鳥インフルエンザは最後のタイプで発生したと考えられています。

人間のDNAは、ファスナーのように2本で1組のひも状となっています。その片方に変異が生じると、部分的に壊れたファスナーのように凹凸が生じるため、酵素がそれを見つけ自動的に修復するようになっています。

しかし、コロナもインフルエンザも1本のRNAしか持たないため、自動修復機能が効きません。そのため、絶えずランダムに生じている突然変異がそのまま残り、溜まってっていくことになります。

そこで自然淘汰が働き、ワクチン接種による中和抗体、あるいはタミフルのような 特効薬から逃れることができた変異を有するウイルスだけが生き残って いく、ということではないかと推測されるのです。

以上の考察から、ウイルスの変異を促す要因はあきらかです。「感染が濃厚に発生している」か、あるいは「ワクチン接種が大集団で密に行われている」ことですが、私の推測では、ほぼ100%が後者です。日本固有の変異ウイルスも、そろそろ出てきているはずです。

【参考文献】
1) Antigenic drift vs antigenic shift. Immunology & Microbilogy, Oct 25, 2018.
2) How the flu virus can change: "drift" and "shift". CDC, Oct 15, 2019.
   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2309 )
日時: 2021年09月10日 17:25
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210910/k10013252381000.html?utm_int=word_contents_list-items_001&word_result=新型コロナ 国内感染者数


新型コロナ 国内で「イータ株」18人感染 国内で感染判明は初
2021年9月10日 6時08分 NHK

厚生労働省は、去年12月以降、国内の検疫所で新型コロナウイルスの検査を受けて陽性となった18人が、WHO=世界保健機関が「注目すべき変異株」に指定する「イータ株」に感染していたと明らかにしました。国内で感染が判明したのは初めてです。

「イータ株」は去年12月にイギリスで最初に確認され、WHOは、ことし3月、感染力やワクチンの効果に影響を与える可能性などがある「VOI=注目すべき変異株」に指定しました。

厚生労働省は、去年12月から9月3日までに国内に到着した人のうち、検疫の検査で陽性となった人の検体を国立感染症研究所で遺伝子解析した結果、合わせて18人がイータ株に感染していたと公表しました。

国内でイータ株への感染が判明したのは初めてです。

新型コロナウイルスの遺伝子配列を登録するウェブサイトによりますと、イータ株は、欧米を中心に70か国以上で感染が報告されています。

注目すべき変異株には、南米を中心に感染が広がっている「ラムダ株」や、南米やヨーロッパで報告されている「ミュー株」、インドで見つかった「カッパ株」など合わせて5種類が指定されていて厚生労働省が監視を続けています。

*********************************************************************************************

オリパラの開催により、これら5種類のVOI(注目すべき変異株)は既に日本国内に、それらすべてが入ってしまっている可能性もあります。
今度こそ、本気で取り組むラストチャンスかも知れません。

   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2593 )
日時: 2021年11月29日 11:44
名前: はっちん [ 返信 ]
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岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2021.11.29)
NEW!
(3) 変異ウイルス一覧_全面改訂
 → 難しいのは、変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのかです。たとえば、大勢の若者がスポーツ観戦などで大騒ぎをして、たまたまその中に変異ウイルスの感染者が1人いたため100人くらいに感染が広がったとします。単純に統計をとれば、この変異ウイルスは感染力が強い、ということにされてしまうでしょう。

つまり多様で、予測不能な人間の行動様式が絡み合っているため、ウイルスの性質だけをわけて求めることができないのです。

たとえば200匹くらいのネズミを用意して公平に2つのグループにわけ、それぞれを大きなカゴに閉じ込めた場面を想像してください。その一方に、変異ウイルスを感染させたネズミを、もう一つには従来型ウイルスを感染させたネズミを、それぞれ1匹ずつ入れます。1週間後くらい経ったら、すべてのネズミを解剖して、何匹に感染が起こっていたかを調べる、という方法なら、少しはましなデータが得られそうです。

方法はともかく、そんな困難を乗り越えて世界中の研究者たちが実験や予測をしてくれたデータがありますので、それらを次の表(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/variant.jpg )にまとめてみました。この表は適宜、改訂※しています。【※ 記載の画像⇒リンクから参照してください。】
左端の「WHOの新呼称」とは、「ブラジル株、イギリス株、・・・」などの呼び方をして、その地域に汚名を着せることにならないようにとの配慮から考えだされたもので、ギリシャ文字を順に使っています。赤い印が新しい情報です。注目ポイントのひとつは、「ニュー」と「クサイ」の2つが飛ばされてしまっていることです。

ここで、デルタ変異ウイルスについての最新情報(8月26日現在)をまとめておきます。
 ・感染力は2倍以上、強い
 ・致死率(病原性)は他の変異ウイルスより強いが、正確なところはわからない
 ・12歳以下の子供が、とくに罹りやすいかもしれない
 ・ほかのウイルスと異なり、暑い季節ほど感染が拡大する傾向がある
 ・ファイザー社、モデルナ社ワクチンの効果は、最初の変異ウイルス(イギリス株)
  に対する効果とほぼ同じ

2021年11月26日、WHOは、新しい変異株オミクロンが南アフリカで発見されたと発表しました。テレビは、「感染力と病原性が強く、ワクチンも効きにくいようだ」と報じています。

しかし、この変異ウイルスによる感染者数がきわめて少なく、かつ一部の地域に限られているため、分析がほどんどなされていません。米国の専門家も、「まだ何も判断できない状態だ」と口々に語っています。

このような騒動は、コロナ禍が始まってから、何回も繰り返されてきました。研究者は、何かを発見して発表することが手柄になりますから、ついつい大げさに語ってしまうものです。そうでなければメディアも取り上げてくれません。有名になったデルタ株でさえ、上で述べたように、まだわかっていないことばかりなのです。

新しい「変異ウイルス」が役に立つとすれば、世界各地、とくに日本国内にどのようなルートで入り込んでくるのか、感染者の動きが明確に追跡できることです。もし、このウイルスが羽田空港から入国した人から広がったとすれば、空港検疫が甘かったことになります。もし米軍基地の周辺から広がったとすれば、日米地位協定に甘さがあったことになります。つまり第6波、第7波を防ぐための重要なツールになるということです。

変異ウイルスの話題は、ともすればワクチン接種を推進する宣伝に使われたりしかねません。張り切っているのはワクチンメーカーです。メッセンジャーRNAタイプのワクチンは、変異ウイルスに合わせて簡単に作り替えることができるからです。表の下から2行目にあるように、WHOの信頼度も地に落ちています。メディア報道に振り回されることなく、事態の推移を冷静に見守っていきたいものです。

【参考文献】
1) Wu F, et al., A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature, Mar 12, 2020.
2) Corum J, et al., Coronavirus variants and mutations. New York Times, Jun 4, 2021.
3) Anthes E, Covid's lambda variant: worth watching, but no cause for alarm. New York Times, Jul 8, 2021.
4) Bernal JL, et al., Effectiveness of Covid-19 vaccines against the B.1.617.2 (delta) variant. New Engl J Med, Jul 31, 2021.
5) Anthes E, The delta variant is sending more children to the hospital. Are they sicker, too? New York Times, Aug 9, 2021.
6) Classification of omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 variant of concerdn. WHO, Nov 26, 2021.
7) SARS-CoV-2 variant classifications and definitions. CDC, Oct 4, 2021.
8) Wires N, WHO skips Greek letter Xi for COVID variant omicron. WATCH TV LIVE, Nov 26, 2021.
9) Zimmer C, New virus variant stokes concern but vaccines still likely to work. New York Times, Nov 26, 2021.
   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2858 )
日時: 2022年02月21日 10:40
名前: はっちん [ 返信 ]
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岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)

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(2022.2.21)
NEW!
(2) コロナ致命率の発表値は正しいのか?
 感染症の危険性を表わす指標として「致命率」がよく使われます。たとえばインフルエンザは致命率が0.06~0.1パーセントとされています。

新型コロナの場合、NHKの報道によれば30歳代で0.1パーセント、80歳代で11.1パーセントです。このような報道こそが、人々、とくに高齢者の恐怖心を煽り、「たからこそワクチンを・・・」との話に利用されがちです。この数字が正しのかどうか検証してみましょう。

世間では、「原因の如何を問わず、とにかく病院に運びこまれた時点でPCR陽性だった人はコロナ死とされる」とウワサされています。たとえば交通事故で死亡しても、入院時にPCR陽性であればコロナ死としてカウントされてしまう、というわけです。実際、私がコロナと診断し、専門病院に救急搬送したあと亡くなった方が何人かいましたが、老衰のため看取り間近という状態だったにもかかわらず、「直接死因は新型コロナ」との連絡が後日ありました。

通常、死亡の原因は、医師が作成する死亡診断書によって確定されますが、その作成には難しい問題があります。死亡診断書には病名を記入する欄が4つあり、上から順に「(ア) 直接死因」→「(イ) (ア)の原因」→「(ウ) (イ)の原因」->「(エ) (ウ)の原因」となっています。このスタイルは、ほぼ万国共通です。

昔から使われてきた、この死亡診断書を巡って、米国のニューヨークタイムズ紙上で、今更ながらの議論が展開されました。たとえば認知症を患っている人では、食物を誤って肺に吸い込み、いわゆる誤嚥性肺炎を起こして死亡する人が少なくありません。最近の調査で、認知症の人の3分の2で、この誤嚥性肺炎が「直接死因」として記載されていることがわかりました。つまり「認知症」が直接死因ではなく、「その原因」とされているというわけです。

死亡統計として世の中に公表されるのは、直接死因に記載された病名だけをカウントしたものであることから、ある専門家は「病気別の死亡数は、予防を考えるための大切な統計値であり、このままでは認知症が注目されなくなり、医学研究に支障をきたすことになる」と述べています。

しかし、その一方、認知症を直接死因にしてしまうと、その他の死亡理由、たとえば転倒や交通事故、栄養障害など、認知症のケアに社会をあげて取り組むべき課題が埋もれてしまうという問題が生じてしまいます。

私自身、仕事柄、死亡診断書を書く機会が多いのですが、直接死因の欄に何を書き込むべきなのか、いつも迷います。ひとつだけはっきりしているのは、直接死因として「心不全」や「呼吸不全」という言葉を書かないようにとの指導が、どの国でもなされていることです。なぜなら人間の死とは、心臓と呼吸が止まることであり、決して原因ではないからです。

つまり、それ以外の直接死因は、医師の考え方しだいで大きくかわってしまうということなのです。

さて、コロナ死についてです。厚生労働省から出されている地方自治体への事務連絡に、「新型コロナウイルス感染症の陽性者であって、入院中や療養中に亡くなった方については、厳密な死因を問わず、「死亡者」として全数を公表するようにお願いいたします」と書かれています。

この文章を素直に読めば、交通事故に遭い、病院到着時にすでに死亡していて、あとで陽性が判明したという人は、入院中でもなく療養中でもありませんから、カウントの対象にならないはずですが、実際には含まれてしまっているでしょう。

テレビでは、高齢者の死亡数が毎日、報じられています。問題は、その中に、老衰が進行した状態でたまたま陽性となった人たちが含まれているという点です。とくに高齢者施設などでは、症状の有無にかかわらず全員に対して検査が行われることが多いため、無症状のまま最後(看取り)を迎えても「陽性者」とされてしまいます。死亡診断の直接死因の欄には、「老衰」と記載されているはずなのですが。

実際、テレビなどで日々発表される死亡者数は、死亡診断書にもとずいたものではなく、医療機関から別途、行政に報告される人数(原因を問わず)になっていて、その中に、老衰で天寿をまっとうした人も結果的に含まれてしまっているのです。

感染者の総数が増えれば、それに比例して高齢者の人数も増え、必然的に老衰死も多くなっていきます(もちろん老衰に限らず、高齢者に多い腎臓や心臓の疾患、がんなどの末期でも同じこと)。したがって「高齢者のコロナ死亡が急増」などのニュースは、実態を正しく表わしていないことになります。

だからと言って死亡診断書をもとに数えても、問題が多々あることは、すでに述べたとおりです。真実を見極めるのは、なかなか難しいものです。少なくとも、メディアによる「正しくない報道」に怯えることがないようお願いします。

【参考文献】
1) Brody JE, When the death cerificate omits the true cause of death, New York Times, Feb 14, 2022
2) 大津秀一, 「厚生労働省が新型コロナの死亡者数を水増しする通達を出している」は正しくない情報. Yahoo! JAPANニュース, May 28, 2021.
   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2886 )
日時: 2022年02月28日 09:32
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(2022.2.28)
NEW!
(4) 2種類のオミクロン株の違いとは
 オミクロン株には、BA.1、BA.2、BA.3の3つの亜型が見つかっています。2022年2月28日現在、国内で流行しているのはBA.1ですが、すでにBA.2(ステルス・オミクロン)も広がってきています。テレビでは、BA.2のほうが感染力が強く、重症化しやすいとも報じられていますが、本当でしょうか? 以下、オミクロン株についての確かな情報をまとめてみました。

日本人の研究者グループが発表した、ある論文が話題となり、国内外の多くのメディアで取り上げられています。その研究とは、実験動物にウイルスを感染させたり、培養細胞にウイルスを反応させたり、さらにはコンピュータ・シミュレーションで計算したりと、多岐に渡るもので、以下のようなことがわかったとしています。

・ハムスタ―の肺で認められたウイルス量は、(BA.1感染に比べて)BA.2感染のほうで多かった
・ハムスターの肺の炎症は、(以下同じ)BA.2のほうで強かった
・ひとりの感染者が他の人に感染させる割合(感染率)は、BA.2のほうで1.4倍ほど大きいようだ

一方、海外でも、オミクロン株について膨大な数の研究が行われていて、以下のようなことがわかってきました。

・オミクロン株に対するワクチン効果は、デルタ株に対する効果の4割以下(ほとんど効かないということ)
・「ワクチン未接種」「2回接種」「3回接種」を比べると、BA.2に感染する率は同じ
・感染の速度が(BA.1より)BA.2のほうが早い(潜伏期が短い)
・実際の感染者で比べると、BA.1とBA.2で重症度に違いがない
・抗体カクテル(ロナプリーブ:Q4(4)参照⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212#2832 )はBA.1とBA.2の両方で無効
・単一抗体(ソトリビマブ:Q4(4)参照)がBA.2だけに効く
・実験動物と異なり人間の行動は複雑なため、感染率や病原性はウイルス遺伝子の違いだけで説明できない
・すでにBA.2に置き換わっているデンマークや南アフリカで、新たな感染ピークは認められていない

以上をまとめるとポイントは3つ。まず実験動物で得られたデータが、そのままヒトには当てはまらず、結論としてBA.1とBA.2に大きな違いはないということです。2つめは、BA.1もBA.2も遺伝子変異があまりに大きく、ワクチンの効果がまったく期待できないということ。そして3つめが、BA.2のほうが感染の広がる速度が速いため、終息も早く、新たなピーク(第7波)にはつながらない、と考えられることです。

【参考文献】
1) Classification of Omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 variant of concern. WHO, Nov 26, 2021.
2) Buchan AS, et al., Effectiveness of CIVID-19 vaccines against Omicron or Delta infection. medRxiv, Jan 1, 2022.
3) Yu J, et al., Comparable neutralization of the SARS-CoV-2 Omicron BA.1 and BA.2 varinats. madRxiv, Feb 7, 2022.
4) Yamasoba D, et al., Virological characteristics of SARS-CoV-2 BA.2 variant. bioRxiv, Feb 15, 2022.
5) Callaway E, Why does the Omicron sub-variant spread faster than the original? Nature, Feb 16, 2022.
   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2943 )
日時: 2022年03月14日 08:50
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(2022.3.14)
NEW!
(5) オミクロン株感染症はインフルエンザより軽い?
 テレビは、10歳未満の子供のコロナ死を大きく報じるなど、相変わらず恐怖を煽っています。オミクロン株の時代となり、コロナをどのように理解すればよいのでしょうか?

米国の研究者が、5~11歳の子供でオミクロン株に感染した子供のうち、入院に至った事例を、2017年のインフルエンザ感染事例と比べ、死亡率について考察したという論文が発表されました。2017年は、コロナ禍になる前の10年間で、インフルエンザがちょうど平均的に流行していた時期です。その結果(死亡率)は、以下のようなものでした。

 【オミクロン株の場合】
   新型コロナウイルス  5.1%
   インフルエンザ   17.0%

あきらかに、インフエンザのほうで死亡率が高かったのです。実は、オミクロン株が流行する前に行われた調査でも、ほぼ同じ結果が得られていました。トルコの研究者たちが行った調査で、対象は0~18歳。新型コロナウイルス、またはインフルエンザに感染し入院した子供たちでした。両者の死亡率は以下の通りで、2つの調査の結果はほとんど同じだったのです。

 【従来株の場合】
   新型コロナウイルス  1.2%
   インフルエンザ   15.2%

つまり、新型コロナウイルス感染症より、インフルエンザのほうが、遙かに危険な病気なのです。

【参考文献】
1) Yilmaz K, et al., Does Covid-19 in chiledren have a milder course than influenza? Int J Clin Pract, June 1, 2021.
2) Encinosa W, et al., Severity of hospitalizations from SARS-CoV-2 vs influenza and respiratory syncytical virus infection in children aged 5 to 11 years in 11 US states. JAMA Pediatr, Feb 21, 2022.
   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.2976 )
日時: 2022年03月21日 09:16
名前: はっちん [ 返信 ]
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(2022.3.21)
NEW!
(6) 新しい変異株『デルタクロン』とは?
 またまた新しい変異株が発生しました。デルタ株とオミクロン株を合体させたような遺伝子構造を持っていることから、デルタクロン、あるいはデルタミクロンと呼ばれています。

当ホームページのQ8https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/#PQ8 (2)で、ウイルスが変異を遂げる道筋が3種類あることと、そのひとつは「性質が異なるウイルスに同時感染した場合の相互組み換え」であることを紹介しました。デルタクロンは、まさに相互組み換えで発生したものと考えられます。トゲトゲ蛋白の遺伝子はオミクロン株、またウイルスの体の部分はデルタ株でできています。

最初はフランスで3人、米国で2人の感染者から検出され、2022年3月8日に正式報告がなされました。その後、すでに2022年1月には、欧州各地で同じ変異株が発見されていたこともあきらかにされました。

したがって、もしこの変異株の感染力が大きく、病原性も強いのであれば、とっくにオミクロン株と入れ替わっているはずですから、性質はおとなしいと考えられるのです。

第一報を伝えたのはイギリスの通信社ロイターでしたが、記事の中で面白いニュースがついでに紹介されていました。感染者と感染してないボランティアの「汗の匂い」を犬に嗅がせたところ、前者を97パーセント、また後者を91パーセント当てることができたというのです。もしこの数字が正しければ、いかなるPCRや抗原検査より信頼性が高いことになります。でも、そんな犬がデパートの入り口にいて「2回吠えたら、あなたは陽性」などと言われたりするのも嫌ですね。

【参考文献】
1) Lapid N, Variant that combines Delta and Omicron identified; dogs sniff out virus with high accuracy. Reuters, Mar 9, 2022.
2) Zimmer C, New 'Deltacron' varinat is rare and similar to Omicron, experts say. New York Times, Mar 11, 2022.
3) Grandjean D, et al., Diagnostic accuracy of non-invasive detection of SARS-CoV-2 infection by canine olfaction. medRxiv, Mar 8, 2022.
   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3056 )
日時: 2022年04月11日 20:09
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220411/k10013577751000.html?word_result=新型コロナ 国内感染者数

新型コロナウイルス “XE” 国内検疫で初確認 成田到着の女性
2022年4月11日 18時52分

新型コロナウイルスのうち、オミクロン株の複数のタイプが組み合わさった「XE」と呼ばれるウイルスへの感染が、国内の検疫で初めて確認されました。

厚生労働省によりますと、感染が確認されたのは3月26日にアメリカから成田空港に到着した30代の女性です。

空港の検疫所で新型コロナウイルスの検査を受けて陽性となり、国立感染症研究所で検体の遺伝子を解析した結果「XE」と確認されたということです。

XEはイギリスなどで報告されていますが、国内で感染が確認されたのは初めてです。

「XE」は「第6波」で広がったオミクロン株の「BA.1」と、より感染力が高いとされる「BA.2」が組み合わさったタイプで、イギリスの保健当局の資料では「BA.2」より感染が広がるスピードが12.6%速いと試算されています。

厚生労働省の専門家会合の脇田隆字座長は先週「イギリスでも感染が広がっている状況ではなく、重症度との関連についてもよく分かっていない」などとしています。

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見様見真似(エビデンス無き)政策ばかりの日本では、またゝゝ、'20年,'21年と同じ過ちを繰り返すのかも・・・
   
   
Re: 変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのか ー 新型コロナのエビデンスより ー ( No.3524 )
日時: 2022年09月05日 15:16
名前: はっちん [ 返信 ]
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元記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/
岡田正彦 Masahiko Okada, MD, PhD
新潟大学名誉教授(医学博士)
新型コロナのエビデンスhttps://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ )> Q8 変異ウイルスはどこで生まれたのか?⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index.html#Q8 より


(2022.9.5改訂)
(3) 変異ウイルス一覧
 → 難しいのは、変異ウイルスの「感染力」や「致死率」をどうやって求めるのかです。たとえば、大勢の若者がスポーツ観戦などで大騒ぎをして、たまたまその中に変異ウイルスの感染者が1人いたため100人くらいに感染が広がったとします。単純に統計をとれば、この変異ウイルスは感染力が強い、ということにされてしまうでしょう。

つまり多様で、予測不能な人間の行動様式が絡み合っているため、ウイルスの性質だけをわけて求めることができないのです。

たとえば200匹くらいのネズミを用意して公平に2つのグループにわけ、それぞれを大きなカゴに閉じ込めた場面を想像してください。その一方に、変異ウイルスを感染させたネズミを、もう一つには従来型ウイルスを感染させたネズミを、それぞれ1匹ずつ入れます。1週間後くらい経ったら、すべてのネズミを解剖して、何匹に感染が起こっていたかを調べる、という方法なら、少しはましなデータが得られそうです。

方法はともかく、そんな困難を乗り越えて世界中の研究者たちが実験や予測をしてくれたデータがありますので、それらを次の表(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/variant.jpg )にまとめてみました。左端の「WHOの新呼称」とは、「ブラジル株、イギリス株、・・・」などの呼び方をして、その地域に汚名を着せることにならないようにとの配慮から考えだされたもので、ギリシャ文字を順に使っています。注目ポイントのひとつは、「ニュー」と「クサイ」の2つが飛ばされてしまっていることです。

ここで、デルタ変異ウイルスについての最新情報(2021年8月26日現在)をまとめておきます。
 ・感染力は2倍以上、強い
 ・致死率(病原性)は他の変異ウイルスより強いが、正確なところはわからない
 ・12歳以下の子供が、とくに罹りやすいかもしれない
 ・ほかのウイルスと異なり、暑い季節ほど感染が拡大する傾向がある
 ・ファイザー社、モデルナ社ワクチンの効果は、最初の変異ウイルス(イギリス株)
  に対する効果とほぼ同じ

2021年11月26日、WHOは、新しい変異株「オミクロン」が南アフリカで発見されたと発表しました。新しい「変異ウイルス」の出現に役立つ点があるとすれば、世界各地、とくに日本国内にどのようなルートで入り込んでくるのか、感染者の動きが明確に追跡できることです。もし、このウイルスが羽田空港から入国した人から広がったとすれば、空港検疫が甘かったことになります。もし米軍基地の周辺から広がったとすれば、日米地位協定に甘さがあったことになります。つまり新たなピークを防ぐための重要なツールになるということです。

変異ウイルスの話題は、ともすればワクチン接種を推進する宣伝に使われたりしかねません。張り切っているのはワクチンメーカーです。メッセンジャーRNAタイプのワクチンは、変異ウイルスに合わせて簡単に作り替えることができるからです。表の下から4行目にあるように、WHOの信頼度も地に落ちています。メディア報道に振り回されることなく、事態の推移を冷静に見守っていきたいものです。

【参考文献】
1) Wu F, et al., A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature, Mar 12, 2020.
2) Corum J, et al., Coronavirus variants and mutations. New York Times, Jun 4, 2021.
3) Anthes E, Covid's lambda variant: worth watching, but no cause for alarm. New York Times, Jul 8, 2021.
4) Bernal JL, et al., Effectiveness of Covid-19 vaccines against the B.1.617.2 (delta) variant. N Engl J Med, Jul 31, 2021.
5) Anthes E, The delta variant is sending more children to the hospital - are they sicker, too? New York Times, Aug 9, 2021.
6) Classification of omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 variant of concern. WHO, Nov 26, 2021.
7) SARS-CoV-2 variant classifications and definitions. CDC, Oct 4, 2021.
8) Wires N, WHO skips Greek letter Xi for COVID variant omicron. WATCH TV LIVE, Nov 26, 2021.
9) Zimmer C, New virus variant stokes concern but vaccines still likely to work. New York Times, Nov 26, 2021.
   
   
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