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『翻訳百景』越前 敏弥 (角川新書16/2)
愉しい本棚 投稿日:2020年05月30日 15:11 No.789
 ☆☆☆
 本書のなかで著者はこう書いている。
 <翻訳の基本十か条>
 ①英和辞典だけでなく、国語辞典もまめに引くこと。
また、読者がどの程度その日本語を知っているかにもきを配ること。
 ②無自覚なまま機械的に代名詞を訳出しないこと。
 ③なるべく直喩は直喩、隠喩は隠喩のままで訳すこと。
 ④もとの表現のおもしろさや味わいをそのまま生かすこと。
 ⑤ビジュアルな思考を働かせつつ、インターネット検索などで事実確認をしっかり行うこと。
 ⑥日本的過ぎる訳語は避けること。
 ⑦「自分の知識など、たかが知れている」という自覚を持つこと。
 ⑧自分が取り組みたいジャンルをよく研究し、文体をしること。
 ⑨小説の翻訳においては、主人公の視点を忘れないこと。
 ⑩簡単に妥協せず、この訳語でよいかと粘り強く考えること。

〇紀伊国屋書店より
 原文の「歯ごたえ」を残しながら、いかに日本人に伝わる言葉を紡ぐのか―「名人芸」が生まれる現場を、『ダ・ヴィンチ・コード』訳者が紹介。本を愛するすべての人たちに贈る、魅惑的な翻訳の世界への手引き。

目次

第1章 翻訳の現場(文芸翻訳の仕事;すぐれた編集者とは;翻訳書のタイトル;翻訳の匙加減)
第2章 『ダ・ヴィンチ・コード』『インフェルノ』翻訳秘話(『天使と悪魔』と『ダ・ヴィンチ・コード』;『デセプション・ポイント』と『パズル・パレス』、映画二作ほか;『ロスト・シンボル』と『インフェルノ』;ドン・ブライン『ダ・ヴィンチ・コッド』翻訳秘話)
第3章 翻訳者への道(わたしの修業時代;なんのために学ぶのか)
第4章 翻訳書の愉しみ(全国翻訳ミステリー読書会;読書探偵作文コンクール;「紙ばさみ」って何?;『思い出のマーニー』翻訳秘話;ことばの魔術師 翻訳家・東江一紀の世界)

越前敏弥[エチゼントシヤ]
文芸翻訳者。1961年石川県金沢市生まれ。東京大学文学部国文科卒。大学在学中から学習塾を自営、留学予備校講師などを経たのち、37歳からエンタテインメント小説の翻訳の仕事をはじめる。朝日カルチャーセンター新宿教室、中之島教室で翻訳講座を担当