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『一粒の麦死して-弁護士・森長英三郎の「大逆事件」』田中 伸尚(岩波書店19/12)
愉しい本棚 投稿日:2020年02月07日 13:07 No.768
 ☆☆☆☆
<大逆事件>を戦後なお救われなかった被害者(被告)に寄り添って、事件と人間を追い続け今なおこの事件をすべて、支配階級の悪辣なフレームアップではなく、正しいとする日本の司法に対する告発し続けた一人の弁護人の実に地味な奮闘の記録。それを掘り起こしていく著者の執念。力作。
 〇幸徳秋水、管野須賀子ら一二名が処刑された、近代日本最大の国家権力犯罪「大逆事件」。その真実を明らかにすべく、戦後、再審請求の主任弁護人となった弁護士・森長英三郎(一九〇六‐八三)。抹殺された犠牲者を記録し、近現代史の書き換えに心血を注いだ生き様は何を物語るのか。戦前から引き継がれる司法の「暗部」を問い続けた弁護士の「生と死」を鮮やかに描く。丹念な取材で「大逆事件」の実相に迫る第四作。
 〇目次
第1章 前夜の回廊
第2章 縅黙せず
第3章 自由主義
第4章 風霜五十余年遥か
第5章 百年の余韻
 〇田中伸尚[タナカノブマサ]
ノンフィクション作家。『ドキュメント憲法を獲得する人びと』(岩波書店)で第8回平和・協同ジャーナリスト基金賞。明治の大逆事件から100年後の遺族らを追ったノンフィクション『大逆事件―死と生の群像』(岩波書店、のちに岩波現代文庫)で第59回日本エッセイスト・クラブ賞