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「転機の金融政策」を考える(3)
二村 重博 投稿日:2024年03月26日 21:59 No.402
 日銀は3月19日の金融政策決定会合で大規模緩和の解除を決めました。翌日の日本経済新聞には「金融正常化へ一歩」「日銀、マイナス金利解除」「17年ぶり利上げ」などの大きな見出しが目につきました。
 すでに紹介したように、僕のこのホームページへの一連の書き込みは大学時代の友人との関係で2月20日に書いたもので、この第3部のコメントの内容は金融政策そのものとさらに大きな経済全体の展望になってしまいました。今回の「大規模緩和の解除」の詳細については、様子を見ながら次の機会に取り上げてみたいと思っています。

 3 若干のコメント
 (1)経済活動の決定を市場に任せる好機に来ている。
 最近の株価の上昇、景気の回復、賃金上昇の期待、さらにH3ロケット打ち上げの成功までも入れて、日本経済は長期停滞から抜け出る良い環境にあると思う。このチャンスを捉えて、日銀は政策金利をより市場に任せて経済の効率的な資源配分と企業の生産性を上昇させる好機である、というのは北坂氏と同じ意見である。この時期に関しては、関根氏のテイラー・ルールによる説明でも支持されている。

 (2)経済活度の決定を市場に任せるときの問題点
 といっても北坂氏も指摘するように、これまでの日銀のゼロ金利政策を解除したらそのときに起こってくる問題を十分検討しておく必要がある。この困難について、僕は金融の専門家ではないので、自分の意見を主張するほどの知識はない。
 さらに福井氏が指摘するように、株や不動産などの資産価格の上昇を伴う経済の好況局面は通貨安に依存しているとするならば、ゼロ金利政策を転換した時に日銀のゼロ金利政策からもたらされている現在の円安が維持できるかどうかという問題もある。

 (3)経済を活発にするためには、金融政策だけでは十分でない。
 経済を市場に任せるということは、「何をどれだけ、どのような方法で、誰のために生産するのか」という経済の決定を市場に任せることになる。そのためには、金利だけでは十分でない。他の市場、特に労働市場を自由にする必要がある。日本的な慣行もあり、労働市場の自由化は困難かもしれないが、AIを中心とした人材の育成と経済の変化に対応するためには、硬直的な労働市場でなく競争的な労働市場が必要になってくると思う。

 (4)日本人は何を幸福と思っているのか。
 経済を市場に任せるということは、すでに述べたように効率的な資源配分と持続的な経済成長が期待できるということだが、同時に独占・寡占や失業、所得分配の格差の拡大等の競争経済から生み出される弊害もある。
 現在の日本経済は、市場の弊害に対して過度の保護がなされているように思う。そのため、日本の人々は、競争社会で所得を増やすよりもある程度の生活を維持できればこの状態に満足しているかもしれない。言い換えれば、競争社会の中で世界の第3位の経済規模を維持するより、経済規模は小さくなっても落ち着いた生活を望んでいるのかもしれない。
 現在の日本経済は、日本の文化と市場をどのように融合していくのかという問題に直面しているように思う。

 (5)世界の中の日本をどう考えるか。
 これからの世界の動きを考えたとき、大きく3つの問題があると思う。
 一つは、ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスに見られるような新たな世界の戦争である。どのように収束させるかの難しい問題に直面している。
 次は、AIなどに見られる新しい技術革新である。この技術進歩が産業構造、働き方、生活内容をどのように変化させるかという問題である。
 もう一つは、地球 ⇒ 月 ⇒ 他の惑星 に見られるような宇宙に関する動きである。この動きが、これまでの人間の歴史をどのように変えるかという問題を持っている。
 そして、これらの問題を解決するために、市場経済を中心とした民主主義が良いのか、自由が制限されても権威主義が良いのか、という体制選択の問題もこれまで以上に重要になると思う。
 残念ながら僕たちは(注、友人たちとのメールなので「僕たち」とは80歳以上を頭に置いている)、これらの問題が今後どのように展開するのかのほんの一部を見ることしかできないだろう!

(おわり)



5期生 ひろせ 投稿日:2024年03月28日 20:56 No.404
マイナス金利の終了で円安が止むのかと思ったら、日銀関係者の発言で円安フェーズから移行せず。政府は介入する、と言ってますが。。。




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