掲示板 > 記事閲覧


オンブー

1: 甲藤紀夫:2023/02/27 10:41 No.27
義母がお世話になっている療養施設が仁井田にあり、訪問する際に種崎海岸まで足を伸ばすことがある。
2020年5月17日、そこで見慣れない木を見つけた。
高さ7mほど、岩のような盤根から幹が何本も立ち上がる。
枝は四方に広がり、差し渡し10mに達する(写真1)

一週間後に行くと開花時期にあたっていて、穂状花序を沢山付けていた(写真2)


いろいろ調べた結果、この木は「オンブー」と呼ばれる南米産の木であることが判った。

アルゼンチンのパンパと呼ばれる草原に生育する。
雨の少ない気候に適応して、盤根や幹には大量の水分(80%)を蓄えているという。
パンパでは、この木以外に高い木はないため、草原の「灯台」と呼ばれている。


草原で活動するカウボーイ(ガウチョ)にとっては、厳しい日差しから逃れられる
日陰を提供する木として貴重な植物であるようだ。

多量の水を含むので火災に強く、樹液は毒なので、昆虫や動物の食害もないため、
世界一強い植物の一つと言われている。

誰が植えたか分からないが、パンパとは全然気候の違う多雨の高知でも
その強さを発揮して生き延びているのだろう。

この植物は、雌雄異株というので花序を見てみると、この株は雌株のようだ。(写真3)


付近を歩いてみたが、同種の木は見当たらないため、
雌株だけで結実せず、その後観察してもむなしく花を散らしているようだ。

こんな大木と見える植物だが、木であるのか、草であるのか、
意見が分かれるようで、元々は草本であったものが、木のようになったとされている。
幹は柔らかく、ナイフで簡単に切れるという。

現在は枝の一部が伐られてしまって、少し貧弱に見えるようになった。

この木にはいろんな民話が伝えられていて、
その一つに次ぎのようなものがある。

酋長の妻オンビは、部族が留守の間干ばつからトウモロコシを守ろうとする。
努力もむなしくトウモロコシは次々に枯れていく。
オンビは自分の身体で影をつくり、涙で潤そうとする。
それを見たグネチェ神は、彼女を大木に変え、その影でトウモロコシを守ることを可能にした。
帰ってきた部族はオンビが大木に変身したのを見て嘆き悲しみつつも、感謝する。
それでこの木はオンブーと名付けられた。

ヤマゴボウ科 ヤマゴボウ属
学名: Phytolacca dioica  dioica は雌雄異株の意
英名: Ombu
別名: メキシコヤマゴボウ
原産: 南米(アルゼンチン、ウルグアイ)

参考サイト: https://www.taringa.net/ arte/la-leyenda-del-ombu_g6zdm


2: 坂本彰:2023/02/28 10:24 No.28
関連して高知県に生育するヤマゴボウ属の写真を掲示させていただきます。
写真1はヨウシュヤマゴボウ(アリカヤマゴボウ)Phytolacca americana L.です。
写真2と3はマルミノヤマゴボウPhytolacca japonica Makinoです。
オンブ―とヨウシュヤマゴボウ(アメリカヤマゴボウ)はリンネの命名、マルミノヤマゴボウは牧野富太郎の命名です。

姿はオンブ―と全く違いますが、花序の形状は近縁の植物であることが感じられると思います。


名前: E-mail:
| 特大 | | | 下線 | 取消線 | 点滅 | | 動画

Powered by Rara掲示板