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教えてください。
水谷 穣 投稿日:2022年12月04日 11:19 No.726
仮同定していたヒメキマエホソバのゲニ,大図鑑と標準図鑑では異なっていますが,どちらが正しいのでしょうか?解剖の結果は大図鑑のゲニに一致しました。ご教示よろしくお願いいたします。

梅津一史 投稿日:2022年12月04日 13:48 No.727
確かに違って見えますね.今まで気付いていませんでした.
Eilema gina の原記載の図は,大図鑑の図と似ているように思いますので,これが正しいのかなという気がします.
Ignatyev & Witt 2007に示されたE. ginaの図は,標準図鑑のと似ています.う~ん?


梅津一史 投稿日:2022年12月04日 13:50 No.728
左が Okanoの原記載,右がIgnatyev & Wittのもので,32aは原記載の図を転載したものです.

水谷 穣 投稿日:2022年12月04日 16:29 No.729
梅津様
 ありがとうございます。何故か両方とも違うような気がします。解剖の結果は大図   鑑のゲニに全て一致いまいた。とりあえずヒメキマエホソバで処理します。大図鑑の
ヒメキマエホソバはEilema coreanaで標準図鑑のヒメキマエホソバはE.ginaとなって
いる点も良くわかりません。coreanaから分離されて独立種とされたようですが,
coreanaも存在しているとの事でしょうか?


梅津一史 投稿日:2022年12月04日 20:02 No.730
Okano(1954)が新種記載したE. ginaをInoue & Yamamoto(1961)がE. coreanaのsynonymとしたけれども,Ignatyev & Witt (2007)が独立種に戻した,という次第のようです.Ignatyev & Witt (2007)はE. coreanaは日本には産しないとしています.以下,参考までに.この3つの論文は,いずれもネット上でダウンロード可能です.

Okano(1954) Annual Report of the Gakugei Faculty of the Iwate University 7 (1954) 2: 61–64. で,Eilema ginaを新種として記載し,ヒメキマエホソバの和名を与えている.同じ論文で,E. coreana Leech キマエホソバモドキが本州,九州,対馬,種子島,屋久島,韓国,アムール,ウスリーに分布すると記している.

Inoue & Yamamoto (1961) Kontyû 29: 72-77. は,大英博物館にあるE. coreanaの交尾器のスライドを検したところ,E. ginaと同一であり,日本でそれまでE. coreanaとされていたものとは全く違うとして,E. gina Okano を E. coreana (Leech)のsynonymとした.一方,日本でE. coreanaとされてきたものはE. nankingicaであるとしている.

Ignatyev & Witt (2007) Nota lepidopterologica 30: 25-43. は,E. gina (17-19mm) はE. coreana (23-25mm)より小さく,翅の色,雌雄交尾器が異なるとして,独立種の扱いに戻した.E. ginaの分布は,"Japan (Honshu (Morioka), Akita city (Wariyama)). Recorded by Dubatolov et al. (1993) as E. coreana also from Tsushima island"としている.E. coreana の分布はKoreaだけとしている.※秋田の標本はたぶん岸田さんから行ったものだろう.

Okano(1954)では♂の前翅長を9mmと記しており,Ignatyev & Witt (2007)の記述とと矛盾がない.

E. gina のタイプ標本は行方不明である.
Ignatyev & Witt (2007)では,ロシア極東,韓国,日本でこれまでE. coreanaとされていたのはE. ussurica Daniel, 1954の誤同定であろうとしている.しかし,E. ussuricaは日本には産しない.また,大英博物館にあるタイプ標本以外には材料が得られなかったと記している.




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