そもそも、このロンドン議定書は、「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(以下、ロンドン条約)を強化するために締結されたもので、海洋投棄による海洋汚染を防止するために、廃棄物の船舶・航空機・人口海洋構造物からの海洋投棄および洋上焼却を原則として禁止する国際条約である。遵守グループ会合や締約国会合において、韓国、中国、グリーンピースインターナショナルが主張したのは、第1に、議定書の2条が、「締約国は…汚染のすべての発生源から(from all sources of pollution)海洋環境を保護し、及び保全し」と規定しており、ALPS処理水の海洋放出はこれに違反する、第2に、ALPS処理水に含まれるトリチウムは、通常の操業によるものではなく事故によって発生したものである、ということであった。はたしてこれらの主張は妥当かどうかが問題となる。