近畿植物同好会 掲示板
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キンモクセイとウスギモクセイ
藤井俊夫 投稿日:2023年10月22日 13:26 No.962
●キンモクセイとウスギモクセイ

三田市の深田公園で、毎年咲いている(今年は1数間ぐらい遅いか?)
●花柄は
キンモクセイ :あまり変わらない
ウスギモクセイ:あまり変わらない
●花は
キンモクセイ :大きい
ウスギモクセイ:小さい
●色は
キンモクセイ :橙色
ウスギモクセイ:薄い黄色
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比べれば、違いが判るが、片方だけでは識別困難です

この違いが、変種の違いになるのか検討が必要です
1.キンモクセイは挿し木によるクローン繁殖が主体
2.交雑実験を行って、果実ができるか確かめたいが、日本のキンモクセイは雄株しか知られていない。
3.上記のような違いが認められるが、これが個体差か、種差か、検討できない
  (上記、1の理由で日本のキンモクセイは1個体から増殖したとされるのでキンとウスギの違いは、個体差でしかない可能性がある)
  例えば、アサガオの花の色など(色の遺伝はトランスポゾン遺伝子が関与しており、複雑な遺伝をすることが知られている)。
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①キンモクセイ: Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. aurantiacus (Makino) P.S.Green
flora China の図では、果実が描かれている
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=210001392
分布図:https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77188571-1
日本、朝鮮半島
(中国では雌株があるようだが、日本では雄株のみが知られる)

②ギンモクセイ:Osmanthus fragrans Lour. var. fragrans
分布図:https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:610878-1#distributions
日本、朝鮮半島、中国南部、東南アジア(キンモクセイ、ウスギモクセイの分布を合わせていると考えられる)
(雄株のみが知られる)

③ウスギモクセイ:Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. thunbergii (Makino) T.Yamaz.
分布図:POWOには、載っていない。多分キンモクセイのsynonymにされている。
(雌雄、両株がある:上記2種との関係がよくわからず、分類が混乱しているので、正確な分布は不明)
九州南部(熊本、鹿児島)と言われる。

●基本変種は、ギンモクセイ(Osmanthus fragrans Lour.)

モクセイ属(Osmunthus)は、東アジアに約30種が分布。
分類に有用な形態形質が少なく、おまけに雌雄異株。
葉の大きさ、葉の質、葉脈の浮き出方、花柄の長さなどで識別される。
これこそDNA解析が必要なグループと思います。

種間関係は、論文があるようです。

Wang-Jun YUAN, Wei-Rui ZHANG, Yuan-Ji HAN, Mei-Fang DONG, Fu-De SHANG。2010.Nov.
Molecular phylogeny of Osmanthus (Oleaceae) based on non-coding chloroplast and nuclear ribosomal internal transcribed spacer regions.
Journal of systematisc evolution.
Volume48, Pages 482-489
November 2010
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1759-6831.2010.00099.x
これから種内変異(キン、ギン、ウスギ)を調べる研究が出てくるかもしれません。

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明日(10月23日)は、植物分類学会のエクスカージョン(西宮市武田尾)の下見。アオヤギバナ、ツメレンゲぐらいか。
24日は、県立大附属中学のプロジェクト学習で上郡町光都(姫路の北)中学校はシカ除けのフェンスで囲まれている。人間が檻の中に住んでいる?
29日は博物館の観察会で小野市の鴨池(草甸の植物)。リンドウ、ヤマラッキョウか?
30日は植物分類学会のエクスカージョン(本番)韓国の人を中心に15人ぐらいの案内。

分身の術が欲しい
(一人は寝ていて、観察会の指導や、デスクワーク(掲示板に投稿する記事など)した情報が寝ながらにして入手できるような分身の術)
観察会で写真を写せば、自動的に解説するAIが欲しい。
当分、AIに仕事を奪われることはないか?




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