近畿植物同好会 掲示板
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タヌキモ
磯野久美子 投稿日:2023年10月03日 18:15 No.908
深泥池(京都市)にタヌキモの花が咲いていると聞き、10月1日、約半世紀ぶり(!)に行って来ました。
池の南側、名物のジュンサイに囲まれて、黄色い可愛い花がまだ沢山咲いていました。
たまたま調査に来られていた方のお話も聞けてラッキーでした。

池の北側にも南側以上に夥しい数の黄色い花が一面に咲いていましたが、これは外来種のオオバナイトタヌキモで、タヌキモではないとのことでした。
オオバナイトタヌキモは、タヌキモと異なり年中花を咲かせる、花がタヌキモより小さい、タヌキモとは異なり主軸がないマット状で、まるで毛布みたいな姿になっている、と教えて下さいました。
オオバナイトタヌキモはほかの池では自然に消えて行くそうですが、この深泥池では水が合っているのかよく繁茂するとのことでした。深泥池は貧栄養とのこと。

深泥池は町中にありながら、氷河期からの生き残りもいるとても珍しい所です。
釧路湿原から見に来られた方もミツガシワが咲いていることに驚かれたそうです。
今回は、さすがにミツガシワは葉しか見られませんでしたが、ヒメコウホネ、サワギキョウ、シロイヌノヒゲなどの花が咲いていました。
また、池の周りにはクロミノニシゴリの木がまだ青い果実をつけていました。

最近は、朝ドラ「らんまん」の影響でムジナモを探しに深泥池に来る人が多いとか。
そのような人たちには「ムジナモはここにはもうありません。タヌキモを見に来て!」とお話しておられるそうです。

一つ、あれっ?と思ったのは、深泥池の周囲にまださほど大きくないナンキンハゼが沢山生えていたことです。
調査の方は、土砂の流出を防いでくれているので、ここではあえて抜かないままにしてあります、と仰っていました。
すぐに思い浮かべたのは、母校、京都府立大学のメインストリート。
ここはナンキンハゼ並木で、秋になると紅葉がとても美しく、果実も鈴なりに生ります。
うちでもこの種子を蒔いてみたことがありますが、発芽率はとても良かったです。
ひょっとして、深泥池のナンキンハゼはあの並木の実を食べた鳥が運んだ種子から生えて来たものかな?と思いました。なにしろすぐ近くなので。

深泥池は北山駅からまっすぐ北に歩いて10分ほどの道路沿いにありますから、誰でもいつでも迷うことなくすぐに行けます。
朝は鹿がズラッといるそうです。子供を産んだりもしているそうです。

写真
1枚目 タヌキモ
2枚目 ジュンサイとタヌキモ
3枚目 タヌキモ
4枚目 タヌキモ(捕虫嚢)
5枚目 オオバナイトタヌキモ
6枚目 オオバナイトタヌキモ(捕虫嚢)
7枚目 オオバナイトタヌキモ(夥しい数の花)
8枚目 ヒメコウホネ
9枚目 クロミノニシゴリとその果実


深泥池は採取禁止です。 磯野久美子 投稿日:2023年10月03日 23:27 No.910
深泥池は簡単に行ける場所ですが、採取は禁止されていますので、念のため、お知らせ致します。
先の投稿の写真3~6枚目については、調査の方が我々への説明のために採って見せて下さったものを撮らせていただいたものです。


深泥池のムジナモについて 藤井俊夫 投稿日:2023年10月04日 10:53 No.911
牧野富太郎が、ムジナモ発見物語に「三木茂」が巨椋池で発見した経緯を報告しています。
また、深泥池は国の天然記念物なので、三木茂が巨椋池からムジナモを深泥池に移植したことが問題になっていました。
**********************************************************
牧野富太郎。ムジナモ発見物語り。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001266/files/47239_29289.html
●三木茂が巨椋池でムジナモを発見したいきさつも記述されている。

「更に大正十四年一月二十日に山城の巨椋おぐら池でも見出された。この発見者は当時京都大学の学生だつた三木茂博士であつた。この池のムジナモは干拓のため不幸にして、その影響を蒙り、惜しいことには、遂に絶滅してしまつた。」

底本:「日本の名随筆94 草」作品社
   1990(平成2)年8月25日第1刷発行
   2000(平成12)年4月20日第6刷発行
底本の親本:「草木とともに」ダヴィッド社
   1956(昭和31)年11月発行
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2007年12月19日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。
入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
***********●三木茂●*******************************
●三木茂:
メタセコイアを発見したことで有名。論文発表は1941年。
京都大学在籍時は巨椋池を中心に水草研究を行い、その成果である「山城水草誌」(1937)は、日本の水草研究のバイブルとなっている。
大阪市立自然史博物館の前身、大阪市立自然科学博物館の後援会(1955年5月2日設立:大阪自然科学研究会に名称変更。)1971年から会長を務める。
https://www.omnh.jp/tokuten/2005naniwa/virtual/chrono/frame.html

●塚越実。2016.メタセコイアの発見と普及―三木 茂博士の発見から75年―。化石。100:1-2.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kaseki/100/0/100_1/_pdf
*************●深泥池の植物の報告●****************************
三木茂(1955)深泥池にムジナモ.コタヌキモを移植した事情について 京都植物 2: 63-64

国の天然記念物である深泥池に京都大学の学生であった三木茂が外部(巨椋池:干拓される運命)から植物を移植したことが問題になっていた。
(巨椋池が干拓されるので、緊急避難として深泥池に持ち込んだということになっている)

●深泥池団体研究グループ。1976.深泥池の研究(1)。地球科学。30(1).15-38.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/agcjchikyukagaku/30/1/30_KJ00005299564/_pdf/-char/ja
当時、深泥池で見られた植物の目録がある。ムジナモは確認されなかった。

●現在の深泥池では、ムジナモは確認されていない。
京都府レッドデータブック
https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/flo0009.html
深泥池水生植物群落
https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/eco/db/sys0035.html


コウホネ、タヌキモについて 藤井俊夫 投稿日:2023年10月04日 16:05 No.916
深泥池のタヌキモとコウホネについて

以前にも掲示板で書いたと思いますが、
近畿地方のヒメコウホネとされていた植物は、真のヒメコウホネではなく、
ヒメコウホネとコウホネ、オグラコウホネの複雑な雑種起源であることがわかっています。
ヒメコウホネは三重県の伊勢志摩地方に局限されています。

志賀さんの河骨愛を参照
●コウホネの話
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~shiga/

志賀隆, 角野康郎。2015.中部日本から西日本に分布するコウホネ属(スイレン科)の1新種サイコクヒメコウホネ。
植物研究雑誌/90 巻 (2015) 1 号/22-28.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/90/1/90_90_1_10549/_article/-char/ja
*********************************************************
タヌキモについて
亀山 慶晃, 外山 雅寛, 大原 雅。2004.Jun.
水生植物タヌキモ類における雑種形成と集団の維持機構。
第51回日本生態学会大会 釧路大会。セッションID: P1-095。ポスター発表。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/esj/ESJ51/0/ESJ51_0_180/_article/-char/ja/

北大、首藤さんのブログ。
https://kohshutoh.wixsite.com/home/blog
タヌキモ種複合体が難しい
タヌキモ種複合体が難しい (kohshutoh.wixsite.com)


ホロムイソウ 磯野久美子 投稿日:2023年10月05日 00:43 No.919
藤井様

色々ご教示いただき、ありがとうございました。

載せて下さっていた文献「深泥池団体研究グループによる深泥池の研究(1):地球科学, 30(1), 15 (1976)」に、深泥池でホロムイソウを発見された宮本水文さんのお名前を見つけ、嬉しく思いました。
お目にかかったことはありませんが、在学中にこの大発見をされたので、母校京府大で同じ生物愛好会に所属した者たちには伝説の大先輩です。
今も深泥池で活動されておられるそうです。
なお、ホロムイソウはシベリアの湿原には普通にあるそうです。


サイコクヒメコウホネ 磯野久美子 投稿日:2023年10月19日 00:55 No.957
京都府のレッドデータブックも「ヒメコウホネ」から「サイコクヒメコウホネ」に名称変更されていました。
https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/flo0232.html


ホロムイソウ 磯野久美子 投稿日:2023年10月19日 01:00 No.958
深泥池でホロムイソウが発見された時の報文です。ご参考までに。
植物分類, 地理(現Acta Phytotax. Geobot.), 25(4-6), 187(1973)
https://www.jstage.jst.go.jp/pub/pdfpreview/bunruichiri/25/4-6_25_KJ00001078120.jpg
このページの一番下に書かれています。




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