近畿植物同好会 掲示板
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スエコザサの線画
相良真佐美 投稿日:2023年09月30日 16:04 No.890
(植村さんより)
>最終回では、スエコザサの線画と彩色図がドラマに登場します。しかし、牧野図鑑にスエコザサは載ってなかったように思います。間違っておれば、お許しください。

北隆館の牧野図鑑は、以下の経緯で改訂されています。
(1) 牧野日本植物圖鑑(1940)
(2) 増補版 牧野日本植物圖鑑(1956)
(3) 牧野新日本植物圖鑑(1961)
(4) 改訂増補 牧野新日本植物圖鑑(1989)
(5) 新牧野日本植物圖鑑(2008)

今回は(5)の新牧野日本植物圖鑑(2008)が手持ちであるので調べてみました。
調べると、日本名索引には5056種あるのに、スエコザサは抜けています。アズマサザ属はアズマザサだけです。

平凡社の「日本の野生植物」でも調べました。改訂新版 日本の野生植物の総索引でも抜けています。
本編でもアズマザサ属は「約15種が記録されているが、分類が確定していないので、ここでは代表的な1種のみ記述する」とアズマザサしか載っていません。
旧版の「日本の野生植物 木本Ⅱ」でも、「まだ実態はよくわかっていない」と同じような内容でした。

線画であれば、鈴木貞雄著「日本タケ科植物総目録」(学習研究社 1978)があります。今は販売されていないかも分かりません。
当時はアマチュアでは手も出ない価格だったのですが、横浜国立大学の除籍図書が出て古本屋から、なんとか2万円ぐらいで買えました。
今は科名もタケ科からイネ科タケ亜科になりタケ科は古い呼び方ですが、線画では手持ちの本の中では一番のお薦めです。
スエコザサの線画は、乾燥した押し葉を模写したようで、生葉の形態とはちょっと違います。

手持ちの中で一番お薦めは、小林幹夫著「原色植物分類図鑑 日本のタケ亜科植物」(北隆館 2017)です。アマゾンで買えます。
写真が豊富でスエコザサはこの本で学びました。写真なので生葉が分かります。似たケスエコザサも取り上げられ、違いも説明されています。

手持ちの図鑑ではこんな結論ですが、まだまだ他にいい書物があると思います。アマチュアの道楽なので全部私費というのが辛いです。

神戸の望月さんの「兵庫のタケ亜科植物」は、タイムリーな話題も交え、詳しく勉強になります。
https://u7iktzjaokfd.blog.fc2.com/


神戸の望月 投稿日:2023年09月30日 22:31 No.894
相良真佐美様

初めまして、神戸の望月と申します。
知人に教えて頂き、拝読しました。
拙いブログを引用して下さり、ありがとうございます。

平凡社の図鑑のササの頁はちょっとひどいですね。
新しい分類に従わないことは別に問題ないと思いますが、それが有効な記載なら、ただ単に分からないでは通用しません。
従わない理由を明示する必要があります。

ササの同定では、個々の種名を追及するよりも、属の違いを意識して観察すると楽しみが出来ます。
メダケ属、ヤダケ属、ササ属、スズダケ属、スズザサ属、アズマザサ属の相違点を知って、そのササがどの属のメンバーか考えて観察すると目が肥えてきます。
分類体系が飲み込めてくるようになります。
スエコザサとアズマザサの関係を考えるよりも、スエコザサもアズマザサ属の一員であることを理解することの方がはるかに重要です。

アズマザサは東日本では普通種ですが、西日本では稀です。
関西で手軽に観察できる場所は、神戸市立森林植物園の駐車場の側です。(添付画像あり)
私が作文した名札が立ててあります。
2枚目の画像は、基部付近がざらつき(ササ属の特徴)、それより先が平滑な(メダケ属の特徴)「折衷型」と言われるアズマザサの肩毛です。
3枚目の画像は、葉の付く間隔が広いアズマザサの特徴を写しています。
メダケ属のネザサでも、これくらい広い間隔で葉がついていることがよくあります。
こうした特徴からアズマザサ属はササ属やメダケ属などとの雑種分類群と考えられています。


神戸のアズマザサ 相良真佐美 投稿日:2023年09月30日 23:27 No.895
神戸の望月 様

始めまして、ブログではお世話になっていますが、ご本人からのご返事で感激です。
関西では珍しいアズマザサの場所を教えていただきありがとうございます。

本日アップされた「神戸市兵庫区の牧野植物研究所跡地のスエコザサ」
https://u7iktzjaokfd.blog.fc2.com/blog-entry-608.html

は、興味深いですね。会下山公園にも高知県立牧野植物園から贈られたスエコザサがあったのですね。
一緒に生育しているヤダケに青丸、スエコザサに赤丸をつけていただき、参考になります。

近いうちに、会下山公園と森林植物園のアズマザサも「萩の小径」はよく行くので観察に行きたいと思います。
ありがとうございました。


クロチクの開花 植村 修二 投稿日:2023年10月01日 18:30 No.898
相楽真佐美さま、藤井俊夫さま、神戸の望月さま

 相良さん、藤井さん、私の投稿でいろいろ調べていただき、ありがとうございました。

 神戸の望月さんのHP見せていただきました。

 タケ。ササ類の開花がたくさん公開されてました。今後、ゆっくり勉強させていただきます。

 以下の画像は、私が農芸高校に勤務していた頃、通勤途上、撮影した鉢植えのクロチクの開花(大阪府堺市中区、2020年11月6日撮影)です。


神戸の望月 投稿日:2023年10月01日 22:13 No.899
植村修二様

初めまして望月と申します。
ご丁寧な挨拶を賜りありがとうございます。
クロチクの花の写真もありがとうございます。

相良様

森林植物園のアズマザサ、ヤダケ以外のササ・マップを添付いたします。
ご参照頂ければ幸いです。
多目的広場への階段を上がるときの左側にはササがたくさんあります。
チシマザサとオオシダザサだけ図示しましたが、他にもイブキザサ、スズダケ、カリワシノも生えています。
それら3種は混生していて区別が難しいです。
チシマザサとオオシダザサは名札が立っています。
この場所は去年の冬に草刈りされ、それ以降私は行っていないので、現在どれくらい回復しているか分かっていません。
オオシダザサはスズザサ属の大型のササです。
枝葉の毛の状態がどうこうよりも(この時期たいてい落ちています)スズザサ属の特徴を確認すると少しササに近づけます。
属の特徴は枝葉の毛の有無とは無関係な形質で決定できるからです。
小林先生の図鑑を持っておられるようなので、「移譲的分枝様式」を確かめるのがスズザサ属を知る第一歩です。
移譲的分枝様式が見られるのは、スズザサ属とアズマザサ属だけなので、アズマザサでも確認できます。
事務所の建物の前の花壇にはケオロシマチク(名札あり)があります。
メダケ属の小型のササで、ネザサと同じ形態の肩毛を持っています。
さくら園のトイレの側にはミヤマクマザサがあります。
ササ属アマギザサ節のササです。
稈の下の方の稈鞘の長さが節間の2分の1以下で、節上部が目立ってぼこっと膨れていることがアマギザサ節の最大の特徴です。
メタセコイア並木の側にあるミアケザサ(見明笹)(名札あり)もアマギザサ節のササなので同じ特徴があります。
学習の森にはミアケザサがたくさんあります。
こちらはおそらく自生です。
学習の森のタキザワザサは、おそらく室井綽さんが六甲山で採ってきて植えたものではないかと考えています。
短い階段を上がった所にこじんまりとした群落があります。
名札はあったと思います。
タキザワザサはスズザサ属なので、オオシダザサと同じく移譲的に分枝しています。
学習の森の南側の出入口の前の道を西にしばらく行ったところに、コウベコスズの基準産地があり、今もたくさん生えています。
記載した小泉源一博士が1944年8月3日にその場所に来てタイプ標本を採りました。
そのことについては私のブログの2021年8月22日の記事をご参照下さい。




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