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イチョウの受粉機構(精子が現れる時期は、いつ頃か?)、平瀬の論文
藤井俊夫 投稿日:2023年09月28日 16:17 No.883
イチョウの受粉機構(精子が現れる時期は、いつ頃か?)

●日本植物生理学会
HOMEみんなのひろば:Q&A: イチョウの受精について
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=5257&key=&target=
質問者: 一般 sonoko
登録番号5257 登録日:2021-10-22

花粉は受粉後、すぐ受精に与るのではなくそこ(花粉室)で1週間ほど待機してから花粉管が伸び始めます。
最終的に精子が放出されて受精が起きるのは受粉後数ヶ月経ってからです。
(●藤井注:受粉後、受精までのブランクがある。受精する時期に初めて精子が現れることになります)
 花粉の代わりに精子が空中を飛んでくるわけではない。
(シダの前葉体と同じで、精子の移動には水が必須です)

①花粉が雌しべに着くと、雌蕊先端に分泌される受粉滴によって、内部に吸い込まれる
 (裸子植物なので、雌蕊というには問題があるが。。。:珠孔と呼ぶべきか?)
②雌しべ内部の部屋で花粉が1週間ほど待機している
③1週間後から花粉管が伸び始める
④受粉後数カ月たってから、精子が花粉管を移動していく
⑤花粉管から外部に精子が出たときに初めて「精子」が観察できる
(受粉後、数週間から数か月経って初めて観察できます)

●イチョウの受粉機構についての論文(英文)。
受粉時の模式図(Fig.12)と顕微鏡写真(花粉管の成長から受粉時まで)が載っています。
Nakao,Y., Kawase,K., Shinozaki,S., Ogata,T., and Horiuchi,S. 2001.
The Growth of Pollen and Female Reproductive Organs of Ginkgo between Pollination and Fertilization. 
J.Jpn.Soc. Hort.Sci.70(1):21-27.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjshs1925/70/1/70_1_21/_pdf/-char/ja

***************************●イチョウの精子発見に関する文献です●***************************
●ホーム > Journal of Plant Research > イチョウ精子発見者平瀬作五郎:その業績と周辺
https://bsj.or.jp/jpn/JPR/digital/icho2.php

●ホーム > Journal of Plant Research > イチョウの精子の発見
https://bsj.or.jp/jpn/JPR/digital/icho1.php

●精子発見とその意義(東大総合研究博物館)
http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DPastExh/Publish_db/1996Koishikawa300/03/0300.html

●書籍
長田敏行。2014.イチョウの自然史と文化史。裳華房、2400円

上記書籍の記述から
「花粉管は胚珠組織の中に根のような足を延ばし、養分の供給を受けて著しい形態的変化を遂げる。
花粉の飛散からおよそ3カ月後、精子を放出し、精子は泳いで卵細胞に到達し、受精が起こる」
9月の初めごろに、受精が起こる。(p16の図1-6.の説明より)。

藤井注:9月頃に未熟種子が落ちていることがある(受粉できなかったからか?)
9月以前には、種子の成長は見られないが、このころから急激に成長を始めるように感じます。
受粉後に急激に成長が始まるのか?

*********●平瀬の論文●**************************************
●平瀬作五郎。1896.いてふノ精虫ニ就テ。植物学雑誌。10(116):325-328.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/10/116/10_116_325/_pdf/-char/ja
現代語訳
https://www.fukui-educate.jp/museum/files/uploads/1896年「いてふノ精虫ニ就テ」%20(現代文).pdf

●平瀬のイチョウ精子発見の論文
Hirase,S. 1895. Etudes sur la Fecondation et l'Embryogenie du Ginkgo Biloba (1).
The journal of the College of Science, Imperial University, Japan = 帝國大學紀要. 理科, 8, p. 307-322, 1895
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=-createdate&search_type=0&q= Ginkgo
顕微鏡で観察した、精緻な図が描かれている。

●平瀬のイチョウ胚生長の論文
Hirase,S. 1898. Etudes sur la Fecondation et l'Embryogenie du Ginkgo biloba. Second memoire.
The journal of the College of Science, Imperial University of Tokyo, Japan = 東京帝國大學紀要. 理科, 12, 2, p. 103-149, 1898-07-20.
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=-createdate&search_type=0&q= Ginkgo

★東京大学:学術機関リポジトリ(site)
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/


ダウンロード172イチョウ精子:jcs803001 ( .pdf / 1.7MB )
ダウンロード172イチョウ胚発生:jcs012002 ( .pdf / 2.5MB )


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