近畿植物同好会 掲示板
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ホンゴウソウ、またはウエマツソウか?
藤井俊夫 投稿日:2023年09月28日 12:54 No.882
ホンゴウソウ、またはウエマツソウか?

ホンゴウソウと思います。
●ホンゴウソウとウエマツソウの区別点
雄蕊に葯隔附属突起があるのが、ホンゴウソウ属。
雄蕊に葯核附属突起がないのが、ウエマツソウ属です。

●阿波の野草散歩より
ホンゴウソウ・ウエマツソウ
https://yasousanpo.sakuraweb.com/menu/ha/hongou.html
雄花の雄蕊基部の白く丸い部分が葯隔附属突起です。
雄花、雌花の花被片の幅も違います。
★掲示板の写真では、雄花が着いていないか蕾の状態なので判断できませんが、各県版のRDBなどの分布情報から、ホンゴウソウと考えます。
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①ホンゴウソウ:三重県の本郷村で採集されたことによる。四日市市楠町本郷の樹林で120年前に発見された。Makino(1902: B.M.T. 16:211)
現在は、Sciaphila nana Blume(1851)ののsynonymとされる。
②ウエマツソウ:採集者の名前にちなんでいる。植松栄次郎、時久芳馬、両氏によって高知県で発見された。 Makino(1905: B.M.T. 19:140)
 現在は、Sciaphila secundiflora Thwaites ex Benth.(1855)のsynonymとされる。

●Ohashi,H., Kato,H. Kobayashi,S., and Murata,J. 2008. A revision of Triuridaceae. of Japan. J.Jpn.Bot. 83:20-35.
  in English and Japanese summary.(各種の標本情報がある)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/83/1/83_83_1_10022/_pdf/-char/ja

●ホンゴウソウ(日本のレッドデータ検索システム:絶滅危惧II類)
http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=06050085184
●ウエマツソウ(日本のレッドデータ検索システム:奈良で記録がない?)
http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=06050085189
●YAMAP:金剛山688~91回digest・7月下旬は+α満載(2022.07.29(金):金剛山系でのホンゴウソウの写真。
https://yamap.com/activities/18688879
********************●以下、参考資料●**************************************
●春日山原始林の「平成 25 年度(2013)冬季 植物目録」にも、ホンゴウソウが載っています。(p46)
https://www.pref.nara.jp/secure/119376/06siryou01-3.pdf
●第Ⅲ章.春日山原始林の保全に、ホンゴウソウの写真がある。(p73)
https://www.pref.nara.jp/secure/192657/31.pdf
●大切にしたい奈良県の野生動植物2016 改訂版(p48:ホンゴウソウ:絶滅寸前種)
https://www.pref.nara.jp/secure/178458/redlist3.pdf
●レッドデータブック近畿研究会(編)2001.改訂・近畿地方の保護上重要な植物。(財)枚岡環境科学研究所発行(神奈川)。2500円。絶版。
古本屋で探してください。
巻末の各府県における分布表では、ホンゴウソウは奈良県北部に分布。ウエマツソウは奈良県に分布しないとしている。
(三田盆地の水生植物や、春日山原始林の記事を分担していたっけ。)

上記、近畿RDB(2001)の、前身(1995年版)の抜粋が以下のsiteに掲載されています。
「近畿地方における保護上重要な植物-レッドデータブック近畿-」(1995)関西自然保護機構発行:(2000円?、これも、絶版です。)
https://www.omnh.jp/fujii/RDB.html

追伸
 大和葛城山は、2015年以来、もう8年も経っていた。
去年(2022年10月9日)カツラギグミ、ノコギリソウを見に行ったが、見当たらず。ススキ草原が草刈りされていた。
今年(2013年9月9日)に行くと、大阪側にノコギリソウが数株点在していた。カツラギグミはロープウェー駅から山頂までの遊歩道沿いにあったと思うが、見つからず。
●セイヨウノコギリソウとの違い(葉の分裂が違う:セイヨウは2回羽状深裂。在来ノコギリは1回羽状深裂)
武田薬品工業:京都薬用植物園のsite
https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno251.html
添付写真は、葛城山頂上から南のススキ原で、ノコギリソウ。(以前にも、登山道通行止めのお知らせで載せたような。。。)


辻本 穣 投稿日:2023年09月28日 19:20 No.884
藤井様

大変詳しく説明していただき、また資料を添付していただきありがとうございます。
「レッドデータブック近畿研究会(編)2001.改訂・近畿地方の保護上重要な植物」
↑が、なかなか見つからず、在庫切れなどが多いです。引き続き探してみます。

ホンゴウソウにウエマツソウ、今後、這いつくばって探す自分の姿が想像できます。




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