近畿植物同好会 掲示板
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パラグアイオニバスの花
辻本 穣 投稿日:2023年08月13日 21:33 No.782
夜に開花する植物、パラグアイオニバスの授粉を行ってきました。
2日目の花から花粉がでるので、1日目の花に花粉を付けます。

1枚目が1日目の花
2枚目が2日目の花


オオオニバス類について、送受粉機構など 藤井俊夫 投稿日:2023年08月15日 13:32 No.785
オオオニバスなどについて(送受粉関係も)
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●オオオニバス
学名: Victoria amazonica(1850)
Ann. Mag. Nat. Hist., ser. 2 6: 310 1850.
南米のアマゾン川流域に生育し、属名の Victoria はイギリスのビクトリア女王に、種小名の amazonica はその生育地にちなんで命名された。
夕方から咲き始め、はじめは白色であるが、翌日にはピンク色に変化する。送粉者となるのは主にコガネムシ科の甲虫であり、強い匂いに誘引されて1日目に訪花したものが花に閉じ込められ、2日目に花粉をつけたものが放たれる。
雌性先熟(1日目は雌しべが成熟し受粉する。2日目は雄蕊が成熟し花粉をつけた甲虫(Beetle)が花から脱出する。
まる1日、花の中に閉じ込められ、柱頭盤を囲むデンプンに富む偽柱頭がコガネムシ類の餌となる。
分布図
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:605776-1
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:605776-1#distributions

●パラグアイオニバス
学名: Victoria cruziana(1840)
Ann. Sci. Nat., Bot., sér. 2, 13: 57 1840.
種小名の cruziana はボリビア・ペルー大統領であったアンドレス・デ・サンタ・クルスにちなんで命名された。
南米のブラジル、アルゼンチン、パラグアイに分布する。
分布図
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:605778-1
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:605778-1#distributions

以上、解説は日本語版Wikipediaより。
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●最近、新種が見つかった。(ボリビアオオオニバス)
Victoria boliviana Magdalena & L.T.Sm.(2022)
●Kew gardenで、新種のオオオニバスが見つかったニュース(2022年)
https://www.cnn.co.jp/fringe/35189980.html
https://www.bbc.com/news/science-environment-61725827
●英語版Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Victoria_boliviana
https://en.wikipedia.org/wiki/Victoria_(plant)
https://www.ipni.org/n/77300986-1
分布図
https://powo.science.kew.org/taxon/77300986-1

●花の断面図(V. bolivianaの、原記載論文)
Lucy T. Smith,Carlos Magdalena,
corresponding author Natalia A. S. Przelomska, Oscar A. Pérez-Escobar, Darío G. Melgar-Gómez, Stephan Beck, Raquel Negrão, Sahr Mian, Ilia J. Leitch, Steven Dodsworth, Olivier Maurin, Gaston Ribero-Guardia, César D. Salazar, Gloria Gutierrez-Sibauty, Alexandre Antonelli, and Alexandre K. Monro
2022.
Revised Species Delimitation in the Giant Water Lily Genus Victoria (Nymphaeaceae) Confirms a New Species and Has Implications for Its Conservation.
Front Plant Sci. 2022; 13: 883151.
Published online 2022 Jul 4. doi: 10.3389/fpls.2022.883151
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9289450/

1日目の花は、雌蕊が成熟し、花粉を受け入れる準備ができている(蕾の状態で、昆虫が花に潜りこんでいく)
 この期間中(1日間)、昆虫は花の中に閉じ込められ、栄養豊かな花盤部分を食べながら交尾を行う。
2日目の花は、雄蕊が成熟し、花が開くので、中に閉じ込められていた昆虫が花粉をつけて他の花へと旅立っていく。


夜咲き熱帯スイレンの観察会 相良真佐美 投稿日:2023年08月15日 15:38 No.786
辻本さんを差し置いてお節介ですが「夜間特別開園―夜咲き熱帯スイレン観察会―」の紹介です。
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大阪公立大学附属植物園は2023年9月1日(金)・2日(土)の2日間「夜間特別開園」を実施します。
また、2日(土)には「夜咲き熱帯スイレンの観察会」を開催します。

●夜咲き熱帯スイレンの開花の様子を観察できます
通常は閉園している17時から開園し、20時30分まで観察いただけます。
夜咲き熱帯スイレンの花は、夜19時頃から咲き始め、翌朝9時頃に閉じ、これを2日間繰り返します。
夜間に色鮮やかな花を咲かせ、強い芳香を出すことで夜行性昆虫を誘引し、花粉を送粉してもらうのが特徴です。
●専門家による解説を実施
9月2日(土)は18時から30分間、当園のスタッフや本学理学研究科 厚井 聡准教授が、夜咲き熱帯スイレンの開花の仕組みを解説します。
また、夜咲き熱帯スイレンの仲間であるパラグアイオニバスも観察します。
葉の裏側や内部構造、さらには花の断面を観察し、巨大な葉が水面に浮く仕組みや、昆虫を巧みに利用した送粉様式について説明します。
https://www.omu.ac.jp/event/entry-01752.html
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10年前に参加した時は、飯野教授(元園長)から、1日目に閉じ込められた送粉者が、2日目に出てくる詳しい説明を現地で聞けました。


辻本 穣 投稿日:2023年08月15日 17:42 No.787
藤井 様
相良 様

補足説明及び、園のイベント案内をありがとうございます。

2016年よりパラグアイオニバスの授粉にチャレンジしてきました。
最初は雌蕊、雄蕊の場所すらわからず、元園長(岡田先生)に聞いたりしていました。
自然交配するには、送粉者の甲虫がいないので、園内では難しいのではないか?といわれいいました。
そこで、人工授粉することにしたのですが、コロナ禍で勤務体制も一部変わり、花の開花時期の確認もできなくなり、授粉作業も滞りました。
しかし、少しではありますが種ができていました。
何らかの甲虫が(虫)園内のパラグアイオニバスの送粉者になっているのです。
次は、この送粉者を突き止めたいです。




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