近畿植物同好会 掲示板
★投稿用パスワードは不要です。誰でも自由に投稿できます。
| トップに戻る | 検索 | アルバム | 管理用 |

ワタスゲ、タテヤマチングルマ、シロバナタテヤマリンドウ
磯野久美子 投稿日:2023年08月04日 06:43 No.775
7月28日夜行で出発して、29日早朝より9年ぶりに立山を歩いて来ました。
コースは室堂バスターミナル(標高2450m)から室堂平→ミドリガ池→ミクリガ池→地獄谷→天狗平→餓鬼田→弥陀ヶ原ホテル前(1930m)まで。
室堂で立山玉殿の湧き水を汲んで出発。
お花を見ながらお散歩気分で歩けるだろうと、よく調べもせずにツアーに参加したら、甘いでした。
現地ガイドさんによると、たまに登山客が流れて来るだけのマイナールートということで、とても荒れていました。
弥陀ヶ原は以前とは植生が随分変わって来ているそうで、笹が生い茂り、ジャングルのようになっているのをつい最近切り開いて下さったばかりとかで、なんとか通れましたが、木道もボロボロガタガタで、慎重に歩かざるを得ませんでした。
おまけに一箇所、修験道の行場だったという鎖場がいくつもいくつも連続する厳しい急斜面(崖?)があり(獅子ヶ鼻岩~一ノ谷)、水量の多い谷川まで下りましたが、下ったからには登り返さねばならず、最初にガイドさんが雄山へ登るよりハードだと釘を刺された意味が分かりました。手持ちの中で一番しっかりした靴を履いて行ってよかったと思いました。
崖の途中には洞窟があり、弘法大師の像が祀ってありました。
雄山は子供たちや外国人観光客も多く賑わうので、足元の岩の形なども整えられ、登り下りも分けられたそうで、さらに歩きやすくなっているそうです。
幸いこの日は晴れて良かったですが、歩いている間は日差しがとても強くて暑かったです。
ゴールの弥陀ヶ原ホテルの玄関の温湿度計は日陰だったからか、雨がパラつき始めて曇って来たせいか、21℃、75%を示していて、冷房の入ったホテルの中より外の方が涼しいでしたが…。

笹が増えたから乾燥が進んだのか、乾燥が進んだから笹が増えたのかは分からないとのことでしたが、池塘も干からびていたり、ひび割れていたりするものが沢山あり、胸が痛みました。
それでも、季節の高山植物を沢山見ることができて、癒されました。
こちらも例年より花が少し早いようで、おかげで一面にワタスゲが揺れる光景を初めて見ることができ、嬉しかったです。
チングルマの群落の中にわずかに存在するというピンクがかったトキ色のタテヤマチングルマと呼ばれる個体にも出会えました。
晴れていたので、シロバナタテヤマリンドウやミヤマリンドウの花もパッチリ開花していました。
タテヤマリンドウはおびただしい数のシロバナを見ましたが、青花のタテヤマリンドウだと思って撮ったものはどれも「そばかす」が写っておらず、ミヤマリンドウだったようです。青花とは遭遇しなかったのかも…。
モウセンゴケの花も見ることができました。

目に留まった生物(見た順)
沢山見た花:ヨツバシオガマ、チングルマ、イワイチョウ、ウサギギク、ウラジロタデ、ハナニガナ、シロバナタテヤマリンドウ、ミヤマキンバイ、タテヤマアザミ、ミヤマアキノキリンソウ、ヤマハハコ、イワオウギ、ミヤマリンドウ、ハクサンボウフウ、ダイモンジソウ、ワレモコウ、オオハナウド、ノビネチドリ(1か所群落があった)、ミヤマダイコンソウ、タテヤマタンポポ(外来種のタンポポはややレモンイエローだそう。見つけ次第抜いているとのことで見かけず)、モミジカラマツ、シロバナニガナ、オオコメツツジ(4弁)、ミヤマホツツジ、キンコウカ、ミヤマホタルイ、モウセンゴケ、シモツケソウ、タテヤマウツボグサ、カラマツソウ、トリアシショウマ、オニシモツケ、エゾシオガマ
少し見た花:ヤナギラン、シナノオトギリ、クルマユリ、コバイケイソウ(今年は当たり年ではないそう)、トリカブトの仲間、ハクサンフウロ、イワカガミ、タテヤマチングルマ、オタカラコウ、ホソバノキソチドリ?、オヤマリンドウ、イタドリ(見つけ次第抜いているが、ラチがあかず困っているとのこと)、ギボウシの仲間、ゼンテイカ、ゴゼンタチバナ、キバナノカワラマツバ、シシウドの仲間
果実:イワカガミ、シラタマノキ、ミヤマヤナギ、ダケカンバの仲間、チングルマ、ハイマツ、ワタスゲ(果穂)、ショウジョウバカマ、クロウスゴ、アカモノ、サンカヨウ、エンレイソウ、ミズバショウ、
紅葉・黄葉:ガンコウラン(わずかに紅葉)、イワイチョウ(わずかに黄葉)、ナナカマドの仲間(わずかに紅葉)、
昆虫:ヒョウモンチョウの仲間を沢山見ました。弥陀ヶ原にいるのはコヒョウモンらしいですが。
ライチョウ:親子連れ

ライチョウについて(ガイドさんのお話より)
・最近多いのは一夫二妻。
・あるオスがずっと屋根の上にいたが、それは2羽の妻の居場所が見える場所だった。
・通常、自分の子以外は育てないのに、親が死んだよその子と出会う度に自分の子と混ぜて合計12羽まで連  
 れて育てた母鳥がいた。
・崖の上で8個卵がかえり、8羽のヒナ全部が次々崖から転げ落ちたが、全員無事だった。
・ライチョウはハイマツの実が好物だが、実際にはウラジロタデやハクサンボウフウなどなんでも食べる。   
 有毒なバイケイソウの類まで食べる。
 盲腸が人間の2倍(体重比)長く、盲腸で解毒する。
 ヒナは母鳥の盲腸糞を食べて毒を消化する能力を身につける。
 なので、ヒナだけで育てても育たない。

そのほか印象に残ったガイドさんのお話
・ハイマツの実は寒さに耐えるためか笠が開かないので、鳥が中をつついて種子をほじくり出して食べてく  
 れることで種子散布ができる。
 ホシガラスは頭が良くて、ハイマツの種子を土に埋める貯食をするが、95%その場所を覚えている。残り  
 の5%でハイマツが命をつなぐ。
・チングルマは成長の遅い木本なので、富山では小学生に「一踏み十年」と教えているそう。

写真
1枚目:ワタスゲ
2枚目:池塘(ワタスゲ、キンコウカ、ホタルイ)
3枚目:池塘の水面におちたワタスゲの綿毛
4枚目:干からびた池塘
5枚目:シロバナタテヤマリンドウ
6枚目:タテヤマチングルマ
7枚目:モウセンゴケ




お名前
タイトル
画像添付





編集キー ( 記事を編集・削除する際に使用 )
文字色